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発明の名称 ダイオキシン類の発生抑制方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−162137(P2001−162137A)
公開日 平成13年6月19日(2001.6.19)
出願番号 特願平11−350684
出願日 平成11年12月9日(1999.12.9)
代理人 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
【テーマコード(参考)】
4D002
4D048
【Fターム(参考)】
4D002 AA21 BA04 CA01 DA01 DA15 DA18 DA31 DA57 EA01 GA01 GA02 GA03 GB06 GB20 
4D048 AA11 AB03 BA35X BA43X CC39 DA01 DA02 DA08 DA10
発明者 藤本 健一郎 / 柴田 清 / 松崎 洋市 / 野上 敦嗣
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ダイオキシン類の生成材料とダイオキシン類の生成を促進する触媒を含有する物質の両方がダンオキシン類の生成温度を通過するダイオキシン類生成プロセスを含む際に、前記ダイオキシン類生成プロセスあるいはそれ以前のいずれかの段階において、前記触媒含有物質に対して、沸点が70℃以上でありかつ/または触媒上へ配位結合する配位原子を有する薬剤を添加することを特徴とする、ダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項2】 前記薬剤が1分子内に2つ以上の配位原子を有することを特徴とする、請求項1に記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項3】 含有される触媒の質量の0.1 から1000倍量の薬剤を添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項4】 触媒が銅化合物であることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れかに記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項5】 銅化合物を含有する被加熱処理原料のみに薬剤を添加し、その後、その他の原料と混合して配合原料とした後に、加熱処理が施されて前記ダイオキシン類生成プロセスを通過することを特徴とする、請求項4に記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項6】 前記触媒含有物質が焼却炉から発生する飛灰に含まれ、その飛灰に対して前記薬剤を添加してダイオキシン類の生成を抑制することを特徴とする、請求項1から請求項5の何れかに記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【請求項7】 触媒を含有する物質を連続的に加熱処理する場合であって、触媒を含有する物質の触媒濃度を測定し、その測定値により前記薬剤の添加量を制御して添加する、請求項1から請求項6の何れかに記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却炉、ガス化溶融炉等で加熱処理を施した際に発生し、排ガス中、及び集塵器内における飛灰などの固形物上に存在する、ポリ塩化ジベンゾジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニル等の有害な有機塩素化合物( 以下、ダイオキシン類と称する) の生成を抑制するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴミ焼却炉等の排気ガスおよび飛灰中に猛毒のダイオキシン類が含まれていることが判明し、大きな社会問題となっていることは周知の事実であるが、その生成機構に関しては、詳細は未だ不明な点が多いものの、徐々に明らかになってきている。
【0003】その中でも、銅、鉄などの化合物がダイオキシン類生成反応の触媒として作用する現象は、各所で確認されており、これら触媒の存在によりダイオキシン類の生成反応が大きく加速されていることは、ほぼ間違いないと考えられている。これらのダイオキシン類生成反応は、200から600℃程度の温度領域で顕著であることが判明しているが、触媒として作用する金属化合物を飛灰等の形態で含有し、かつダイオキシン類の出発原料であるマクロモレキュラーカーボン、クロルフェノール類を含有する焼却炉などの排ガスは、ボイラー、集塵機、煙道等の燃焼装置以降の設備内で、この温度領域を通過するため、燃焼直後に存在するダイオキシン類に加えて、これら設備内で再合成が顕著となりダイオキシン類総量は増大する。
【0004】これらのダイオキシン類の環境中への放出を抑制する手段として、活性炭などを用いて吸着除去するもの、ダイオキシン類を分解可能な触媒を用いて無害化するものなどが考案されている。また、アンモニアや、エタノールアミン、プロパノールアミン、硫黄化合物を、噴霧などの手法を用いて飛灰、排ガスに添加し、触媒の活性を低下させて、ダイオキシン類の生成を抑制するという方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、活性炭などの吸着剤を利用する方法は、吸着剤上のダイオキシン類を無害化処理する装置が別途必要であり、また、触媒を利用してダイオキシン類を分解する方法は、反応器を新たに設置する必要があるため、それぞれ設備上の負担が大きくなるという欠点を有している。また、アンモニアを飛灰、排ガスに添加し、ダイオキシン類合成触媒の活性を低下させる方法では、その効果が低いという欠点があった。
【0006】本発明は、上記した従来技術における課題を解決し、大きな設備負担がなく、少量の添加薬剤により、ダイオキシン類の生成を効果的に抑制することが可能な方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするところは、以下に記す通りである。
(1)ダイオキシン類の生成材料とダイオキシン類の生成を促進する触媒を含有する物質の両方がダンオキシン類の生成温度を通過するダイオキシン類生成プロセスを含む際に、前記ダイオキシン類生成プロセスあるいはそれ以前のいずれかの段階において、前記触媒含有物質(ダイオキシン類生成材料が触媒含有物質を含むものでもよい。)に対して、沸点が70℃以上でありかつ/または触媒上へ配位結合する配位原子を有する薬剤を添加することを特徴とする、ダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【0008】(2)前記薬剤が1分子内に2つ以上の配位原子を有することを特徴とする、(1)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
(3)含有される触媒の質量の0.1 から1000倍量の薬剤を添加することを特徴とする、(1)又は(2)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
(4)触媒が銅化合物であることを特徴とする、(1)〜(3)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【0009】(5)銅化合物を含有する被加熱処理原料のみに薬剤を添加し、その後、その他の原料と混合して配合原料とした後に、加熱処理が施されて前記ダイオキシン類生成プロセスを通過することを特徴とする、(4)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
(6)前記触媒含有物質が焼却炉から発生する飛灰に含まれ、その飛灰に対して前記薬剤を添加してダイオキシン類の生成を抑制することを特徴とする、(1)〜(5)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【0010】(7)触媒を含有する物質を連続的に加熱処理する場合であって、触媒を含有する物質の触媒濃度を測定し、その測定値により前記薬剤の添加量を制御して添加する、(1)〜(6)記載のダイオキシン類の生成を抑制する方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳述する。ダイオキシン類の生成を促進する触媒の活性を低下させる薬剤を用いる際に、ダイオキシン類が生成する温度領域に至るまで、該薬剤が原料物質中の触媒金属近傍に存在可能な化合物を選択することで、効果的にダイオキシン類の生成が抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0012】本発明は、ダイオキシン類の生成を促進する触媒として作用するとされている、銅、鉄、ニッケル、亜鉛などの金属化合物を含有する物質に加熱処理を施す、或いは該物質がダイオキシンが生成する温度領域に曝される際に発生するダイオキシン類の生成を抑制するものである。ここでいう金属化合物とは、金属、金属酸化物、金属塩化物など、その状態を問わず、ダイオキシン類の生成を促進する全ての化合物を指すものである。
【0013】また、本明細書でいう加熱処理(ダイオキシン類生成プロセス)とは、ダイオキシン類生成材料とダイオキシン類の生成触媒を含有する物質に対して、加熱、加温、燃焼、焼結、焼成など、ダイオキシン類の生成が可能である温度雰囲気を作り出す処理のほか、飛灰などの形態でダイオキシン類生成の原因物質と共にダイオキシン類の生成触媒を含有する排ガスが、その冷却過程などで、ダイオキシン類が生成可能な100℃以上の温度領域にさらされる場合も含まれる。本発明では、これらの処理を包括して単に加熱処理(ダイオキシン類生成プロセス)と称する。
【0014】この加熱処理の際に、ダイオキシン類生成材料(ダイオキシン類生成原因物質)と共に触媒作用を示す金属化合物が存在するとダイオキシン類の生成量が増大する。この触媒の活性を低下させるために薬剤を用いるのであるが、より高温でも安定に触媒表面に存在する薬剤を用いれば、薬剤の添加量を低減でき、効率よくダイオキシン類の生成抑制が可能となる。そのためには、沸点が少なくとも70℃以上、好ましくは110℃以上の薬剤、或いは、触媒上へ配位結合する配位原子を有する薬剤を添加する必要がある。沸点が70℃よりも低いと、加熱処理中に薬剤が揮散し、有効に触媒活性を低下させることが困難である。また、配位結合する配位原子を有する薬剤としては、金属と配位結合する化合物であれば特に限定するものではないが、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン類(H2N(CH2CH2NH)n H :n=1〜6) 、エチレンジアミン四酢酸およびその塩等のアルキルアミン類、モノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等のアルカノールアミン類、ルチジン、ピコリン、コリジン等を含むピリジン及びピリジン誘導体、キナルジン等を含むキノリン誘導体、トルイジン等を含むアニリン及びアニリン誘導体、インドール誘導体、亜リン酸トリエチル、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、硫化ナトリウム等の硫黄化合物など、孤立電子対をもつ原子が含まれる化合物が相当する。上記化合物と触媒金属との間の配位結合エネルギーは数十kcal/molにも達するもので、この新たな結合形成により、高温に曝されても触媒となる金属化合物の近傍に薬剤が留まることが可能となる。エチレンジアミン等の1分子内に2つ以上の配位原子を有するキレート化合物( 多座配位子) では、その効果は更に高く、触媒となる金属化合物の近傍に効果的に留まり、触媒の活性を有効に低下させることが可能となる。
【0015】ダイオキシンの生成促進に繋がらない限りにおいて、本発明による薬剤は上記化合物の塩でも良い。特にナトリウム塩とすることで水に対する溶解性を改善する効果を付与できるものでは、後述するように希釈した方が好ましい際には希釈液として水が使用可能となり、好適である。また、カルシウム塩を用いた際には、反応系内に存在する塩化水素等の塩素を捕捉する作用も併せて期待できるため好ましい。
【0016】また、沸点が70℃以上、又は配位結合する配位原子を有する薬剤のいずれかであればダイオキシン類の生成抑制効果はあるが、沸点が70℃以上かつ配位原子を有する薬剤であれば更に効果が高い。薬剤は単独ではなく、お互いに反応しない限り、複数の混合物でもよい。また、有機合成過程や天然物の分離、抽出過程で得られる中間生成物、粗精製物で、上記の物質が複数含まれるものは、ダイオキシンの生成促進に繋がる物質が混入していない限りにおいて、わざわざ分離、精製した後に用いなくても、そのまま用いることができる。例えば、エタノールアミンを合成する場合、モノ体〜トリ体の混合物が得られた場合には分離して使用しなくても、混合物をそのまま用いればよいし、コールタール蒸留により得られるタール塩基と呼ばれる物質等を薬剤として用いる際も、ダイオキシンの生成促進に繋がる物質が混入していない限り、厳密な精製を行い純度を向上させる必要はない。
【0017】本発明による薬剤を触媒を含む物質に添加する場合、好ましい薬剤添加量は薬剤の種類や、触媒を含む物質中の金属化合物の状態により異なる。即ち、薬剤の沸点の高低、触媒への配位結合エネルギーの大小により、熱処理中の薬剤の揮散・散逸量は異なるため、有効に作用可能な薬剤量が各薬剤毎に異なる。また、被処理物質中の金属化合物が触媒として作用する際には、該化合物粒のうち表面に存在するものが触媒として作用可能であるが、該化合物粒の大きさ、即ち分散状況は被処理物質毎に異なるため、同一質量の該化合物が含有されていても、触媒として作用することが可能である化合物表面の量が被処理物質毎に異なる。これらの要因により、好ましい添加量範囲を質量で規定する場合、その好ましい範囲は広範に渡ってしまうが、含有触媒質量の0.1 から1000倍量、好ましくは1 〜100 倍量の薬剤を添加するとその効果が発現される。0.1 倍量を下回ると十分な効果が得られず、1000倍量を越えると本来の目的を達成するに必要な量を上回った分は、無駄に消費されてコストがかさむ。
【0018】本発明による薬剤を添加する際には、その対象物全体に薬剤を行き渡らせるように添加できれば何れの方法でも良いが、触媒となる金属に確実に接触させるため、上記量の薬剤を希釈して使用することが望ましい。希釈の際には薬剤が水溶性である場合は水を用いるのが最も簡便である。また非水溶性の場合は、溶剤等を用いることもできるが、界面活性剤を水中に分散させた溶液を希釈液とすることも可能である。
【0019】薬剤添加の時期は、原料物質中の触媒成分によるダイオキシン類の生成反応が起こるプロセスあるいはそれ以前であればどの段階でも良いが、燃焼など極端に温度が上がるプロセスがある場合には、その後工程で薬剤を添加する方が、酸化等による薬剤の損失が少なく効率が高い。上記したようなダイオキシン類の生成を促進する触媒としては、銅、鉄、ニッケル、亜鉛などの金属化合物などが知られているが、銅化合物の触媒活性が最も高い。銅化合物を含有する物質を加熱処理する際に本発明を用いると、最もダイオキシン類の生成抑制効果が高い。特に、本発明者は、以上のような触媒が複数多量に共存している際でも、少量の銅化合物が存在するだけでダイオキシン類の生成が大きく促進されることを確認した。つまり、触媒となる金属化合物のうち銅化合物の活性を集中的に低下させれば、ダイオキシン類の生成を効果的に抑制させることができる。
【0020】従って、加熱処理する物質が複数原料の混合物であり、ダイオキシン類の生成を促進する銅化合物を含有する原料が限られている場合には、混合する以前に、その原料だけに本発明による薬剤を添加して、更に他の原料と混合して供すれば、銅化合物と結合する銅近傍の薬剤濃度が高くなるので、効率よくダイオキシン類の生成を抑えることができる。
【0021】本発明は、燃焼工程から発生する排ガス中に本発明による薬剤を添加・噴霧することにより、燃焼後の冷却過程においてダイオキシン類が生成する反応を焼却炉から発生する飛灰が触媒するダイオキシン類の生成プロセスを抑制するように適用することも可能である。また、マクロモレキュラーカーボンやクロロフェノールなどのダイオキシン類の出発原料やダイオキシン類の付着した飛灰を加熱処理して、ダイオキシン類の無害化処理を行う際にも、本薬剤を添加することにより、ダイオキシンの再合成を抑制しつつ、ダイオキシン類を分解することが可能となる。
【0022】被加熱物質の不均一性や原料ロットの変更、経時変化等により、ダイオキシン類生成を促進する銅などの触媒の含有率が、時間と共に変化する可能性が高く、かつ、バッチ処理ではなく連続的に加熱処理を施す際には、銅などの触媒を含有する物質の銅などの触媒濃度を測定し、その測定値により該薬剤の添加量を制御することで、最小の薬剤添加量で最大のダイオキシン類の生成抑制効果を得ることが可能となる。
【0023】銅などの触媒濃度の測定方法としては、銅などの触媒濃度の変化を検出して薬剤添加量に対するフィードバック制御が可能であるものであれば特に制限するものではなく、間欠的にサンプリングを行って測定しても連続的にモニターしても良いが、銅などの触媒濃度の変化速度が大きい場合には迅速に測定結果が得られるような分析方法を、また、銅などの触媒濃度の変化幅が小さい場合には高い分析精度が得られる方法を用いる必要がある。
【0024】分析手段としては、以上のような観点から、通常の湿式分析手法や蛍光X 線分析法などから最も適するものを選んで用いればよい。例えば、焼却炉における燃焼後の排ガス中に含まれる飛灰を触媒としたダイオキシン類の生成を抑制したい場合には、飛灰中の触媒、例えば、銅含有率を測定し、銅含有率が高い時には薬剤添加量を増大させ、銅含有率が低いときには薬剤添加量を減少させるといった制御を実施すれば、最大の薬剤添加効率を得ることができる。薬剤を添加する箇所は、排ガスの冷却過程で、ダイオキシン類が再合成する温度領域に達する以前が好ましいため、飛灰中の銅濃度を測定する箇所は、燃焼を終えた点から薬剤を添加する箇所の間がよい。精度及び効率の良い薬剤添加量に対するフィードバック制御を実施するためには、測定した飛灰がプロセス中でダイオキシン類の再合成温度領域に達する以前に飛灰中の銅濃度を測定して最適薬剤添加量を決定する必要がある。よって、銅濃度分析のための時間的な余裕が持てる箇所で測定を実施することが好ましい。
【0025】また、マクロモレキュラーカーボンやクロロフェノールなどのダイオキシン類の出発原料やダイオキシン類が付着した飛灰を加熱処理して、ダイオキシン類の無害化処理を連続して行う際には、該処理前に薬剤を添加するが、飛灰中の銅などの触媒濃度の測定は薬剤添加前の飛灰に対して行う。精度及び効率の良い薬剤添加量に対するフィードバック制御を実施するためには、測定した飛灰がプロセス中でダイオキシン類の再合成温度領域に達する以前に飛灰中の銅などの触媒濃度を測定して最適薬剤添加量を決定する必要がある。よって、銅などの触媒濃度分析のための時間的な余裕が持てる箇所で測定を実施することが好ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例、比較例により、本発明の効果を示す。検討は、図1に示すガス流通式固定床反応装置を用いて実施し、ダイオキシン生成反応のモデル反応として、ペンタクロロフェノールを塩化第二銅担持触媒上で縮合反応させて、ダイオキシン類( ポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)) の生成量を測定した。結果は、実際に生成した質量と、毒性等価質量( ng−TEQ) の二通りで表した。
【0027】(実施例1)塩化第二銅を含浸法により銅が1質量% となるようにシリカ担体に担持した触媒1gを石英管1に充填し、触媒層2を形成した後、触媒層2にトリエタノールアミン0.20g を溶解したアセトンを添加して全体を湿潤させ、アセトンを乾燥させる。その後、100 μg のペンタクロロフェノールをトルエン中に溶解して0.5gの多孔性シリカに滴下し、トルエンを揮散させたものを触媒層2の上流に配置してペンタクロロフェノール保持層3を設ける。反応は、300 ℃、10分間、乾燥空気流通下で実施した。反応中は、触媒層2の下流に設けた、ダイオキシン吸着用シリカ層4、ドライアイス温度にて冷却したガス洗浄瓶6中のトルエン5により、生成、揮散したダイオキシン類が回収される。反応終了後、触媒層2、ダイオキシン吸着用シリカ層4は、ソックスレー抽出器を用いてトルエンにより24時間抽出操作を行い、該抽出液をガス洗浄瓶6中のトルエン5と合わせて、JISK0311 に準拠してダイオキシン類の定量を行った。結果を表1に示す。
【0028】(実施例2)トリエタノールアミンの質量を0.10g とした他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)トリエタノールアミンの質量を0.40g とした他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
【0029】(実施例4)トリエタノールアミンの代わりに、0.082gのモノエタノールアミンを用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)トリエタノールアミンの代わりに、0.081gのエチレンジアミン(H2N(CH2CH2NH)n H :n=1) を用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
【0030】(実施例6)トリエタノールアミンの代わりに、0.20g のトリエチレンテトラミン(H2N(CH2CH2NH)n H :n=3) を用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)トリエタノールアミンの代わりに、0.11g のピリジンを用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
【0031】(実施例8)トリエタノールアミンの代わりに、0.22g の亜リン酸トリエチルを用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例9)塩化第二銅を担持した触媒1gにトリエタノールアミン0.20g を溶解したアセトンを添加して全体を湿潤させ、アセトンを乾燥させたものを、該触媒の担体として用いたのと同一のシリカ1gと混合、希釈したもので触媒層2を形成する。その後、100 μg のペンタクロロフェノールをトルエン中に溶解して0.5 gの多孔性シリカに滴下し、トルエンを揮散させたものを触媒層2の上流に配置してペンタクロロフェノール保持層3を設ける。反応は、300 ℃、10分間、乾燥空気流通下で実施した。反応中は、触媒層2の下流に設けた、ダイオキシン吸着用シリカ層4、ドライアイス温度にて冷却したガス洗浄瓶6中のトルエン5により、生成、揮散したダイオキシン類が回収される。反応終了後、触媒層2、ダイオキシン吸着用シリカ層4は、ソックスレー抽出器を用いてトルエンにより24時間抽出操作を行い、該抽出液をガス洗浄瓶6中のトルエン5と合わせて、JIS K0311に準拠してダイオキシン類の定量を行った。結果を表1に示す。
【0032】(比較例1)塩化第二銅を担持せずにシリカ担体のみ1gを触媒層2として充填し、トリエタノールアミンを触媒層2に添加しない他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)トリエタノールアミンを触媒に添加しない他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
【0033】(比較例3)トリエタノールアミンの代わりに、0.081gの尿素を用いた他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)塩化第二銅を担持した触媒1gを、該触媒の担体として用いたのと同一のシリカ1gと混合、希釈したもので触媒層2を形成し、該触媒の希釈混合物である触媒層2にトリエタノールアミンを添加する他は、実施例1に記載の方法でダイオキシン類の生成量を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】比較例2を比較例1と比較すると、塩化銅を担持することにより、ダイオキシン類の生成が顕著に増大しており、塩化銅がダイオキシン類の生成を促進する触媒として作用していることがわかる。また、実施例1〜9を比較例2と比較すると、沸点が70℃以上である薬剤、或いは触媒上へ配位結合する配位原子を有する薬剤を、ダイオキシン類の生成を促進する触媒を含有する物質に添加することにより、ダイオキシン類の生成を効果的に抑制可能であることが明らかである。また、ダイオキシン類の生成を促進する銅化合物を含有する物質と他の物質との混合物に本発明による薬剤を添加する場合には、実施例9に示したように、混合する以前に、銅化合物を含有する物質だけに該薬剤を添加して、更に他の原料と混合して供すれば、効率よくダイオキシン類の生成を抑制可能であることが、比較例4との対比において明らかである。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、ダイオキシン類の生成を促進する触媒を含有する物質に対して加熱処理を施す際に、大きなダイオキシン類無害化設備を必要とせずに、少量の薬剤添加によって、ダイオキシン類の生成を効果的に抑制することが可能となる。




 

 


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