米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 新日本製鐵株式会社

発明の名称 異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−138016(P2001−138016A)
公開日 平成13年5月22日(2001.5.22)
出願番号 特願平11−323701
出願日 平成11年11月15日(1999.11.15)
代理人 【識別番号】100094972
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004 MB14 NC01 
発明者 本渡 秀樹
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、前鍋の溶鋼規格成分値と後鍋の溶鋼規格成分値に差があり、かつ、前鍋と後鍋の溶鋼規格成分値の間に重複部を含まない場合は、規格成分値から外れる鋳片の重量が最小となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整して、連続鋳造することを特徴とする異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【請求項2】 連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、前鍋の溶鋼規格成分値と後鍋の溶鋼規格成分値に差があり、その両規格成分値に重複部がない場合は、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した後におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化推移状況を示す成分変化予測線を求めると共に、前記後鍋から溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した時点での該タンディッシュに残留している溶鋼量に相当する溶鋼量の排出が完了する時点を求め、この求めた時点において前記成分変化予測線が規格成分値から外れる鋳片の重量が最小となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することを特徴とする請求項1記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【請求項3】 前記連々鋳造方法において、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重ほぼが同一単重の場合は、両者の規格成分値を勘案して、前・後鍋の溶鋼から得られるどちらかの鋳片を規格外れの鋳片となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【請求項4】 前記連々鋳造方法において、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重が異なる重量の場合は、鋳片単重の少ない方の鋳片を規格外れの鋳片となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造中の異鋼種の連々鋳等を行う際して、前鍋と後鍋の溶鋼成分混合領域部から鋳造される鋳片における規格成分外れの鋳片の重量をできるだけ少なくするために、溶鋼の精錬工程において適正な成分狙い値を設定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の連続鋳造中の鋼種変更連続鋳造方法は、前取鍋の溶鋼を取鍋からタンディッシュへ供給を完了した後、次の取鍋に交換してタンディッシュ内へ溶鋼を供給開始する際には、連続鋳造を一旦停止する処置を採る。その後、モールド内の前鍋溶鋼の最終湯面に仕切り鉄板を浸漬凝固させ、その上に次の溶鋼をタンディッシュから注入しながら鋳造速度を連続的に、または階段状に増速して行き定常鋳造速度に到達させると共に、タンディッシュ内湯面レベルを定常設定レベルに復帰させる操作をおこなっていた。
【0003】このような従来方法においては、仕切り鉄板を使用するにはその作業に多くの労力を要し、また、連続鋳造を停止することにより生産性に多大の影響を与えていた。さらに、タンディッシュ内での溶鋼残量がほぼ皆無に近い状態としなければならないために、残溶鋼と溶滓とが混合した状態となり、この残溶滓の処理をいかにすべきかという問題点をも有していた。このように従来より鋼種変更連続鋳造方法には未解決の問題が多く残されていた。
【0004】この解決法の一つとして、特開平6−198400号公報に記載された技術が提案されている。該公報によれば、前取鍋からタンディッシュへの溶鋼供給完了後、所定の溶鋼残量となるまで定常の速度で鋳造し、その後鋳造速度を0.10〜0.60m/minの割合で減速し、0.13〜0.17m/minにして、溶滓が流出しない最少量になると次の取鍋から溶鋼の供給を開始し、その後タンディッシュ内へ最大量となるように溶鋼を供給し、かつ急速に鋳造速度を増速して行き次取鍋での定常速度に到達させること、およびモールド下二次冷却帯を前取鍋について強冷のみとし、次取鍋は強冷または徐冷とする組合せによって、成分の混合した中間成分を有する鋳片を最少とする方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来での通常の溶鋼精錬工程での成分調整においては、前・後鍋の溶鋼成分範囲を考慮することなく、工程能力範囲内でコストが最小となるよう成分規格範囲内で調整して連続鋳造を実施していた。そのため、鋼種変更を要する連続鋳造時においては、前鍋および後鍋の混合領域部から得られる鋳片が、予定とする成分規格から外れることが多く発生していた。
【0006】近年、生産性向上のための連々鋳比率の増大に伴い、異鋼種の連々鋳率も増してきているが、上記特許公報に記載のように鋳造速度を調整する方法では、鋳造速度を変動する頻度が多くなり、また、混合領域部での成分外れの鋳片発生量を減少させる効果も余りなく、さらに、連続鋳造速度を変更(低速化)するため、鋳造作業に及ぼす影響が大きく、生産性が低下する等の問題があり、有効な解決策とはなっていなかった。そこで、本発明においては異鋼種の溶鋼を連々鋳するに際し、鋳造速度を低速化させることなく、前鍋と後鍋の成分混合領域で必然的に成分外れが起こる鋳片については、その単重をできるだけ少なくするための連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたものであってその要旨とするところは下記手段にある。
(1) 連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、前鍋の溶鋼規格成分値と後鍋の溶鋼規格成分値に差があり、かつ、前鍋と後鍋の溶鋼規格成分値の間に重複部を含まない場合は、規格成分値から外れる鋳片の重量が最小となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整して、連続鋳造する異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
(2) 連続鋳造中に前鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給完了後、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給して連続鋳造を継続する連々鋳造方法において、前鍋の溶鋼規格成分値と後鍋の溶鋼規格成分値に差があり、その両規格成分値に重複部がない場合は、後鍋からの溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した後におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化推移状況を示す成分変化予測線を求めると共に、前記後鍋から溶鋼をタンディッシュへ供給を開始した時点での該タンディッシュに残留している溶鋼量に相当する溶鋼量の排出が完了する時点を求め、この求めた時点において前記成分変化予測線が規格成分値から外れる鋳片の重量が最小となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整する(1)記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【0008】(3) 前記連々鋳造方法において、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重ほぼが同一単重の場合は、両者の規格成分値を勘案して、前・後鍋の溶鋼から得られるどちらかの鋳片を規格外れの鋳片となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整する(1)または(2)記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
(4) 前記連々鋳造方法において、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重が異なる重量の場合は、鋳片単重の少ない方の鋳片を規格外れの鋳片となるように、溶鋼の精錬工程において各規格成分値の範囲内で前記前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整する(1)または(2)記載の異鋼種の溶鋼を連続的に鋳造する連々鋳造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは異鋼種の連続鋳造時において、鋳造すべき鋳片の鋼種、サイズによって定められている鋳造速度をできるだけ所定値に保ちながら連続鋳造を続行すると共に、成分混合領域で必然的に成分外れが起こる鋳片については、その単重をできるだけ少なくするために種々の検討を重ねた結果、前鍋溶鋼と後鍋溶鋼との混合領域において、前鍋または後鍋溶鋼の規格成分値を満足させ、できるだけ所定量の鋳片を確保するためには、従来のように規格成分値の範囲内で中央値(または下限値から1/3の値,または下限値から2/3の値)を狙う固定値とすることに固執していたのでは、混合領域において目的とした規格成分値をできるだけ満し、成分外れの少ない鋳片を確保することは困難であるとの結論に達した。
【0010】そこで、タンディッシュ内における前鍋と後鍋の溶鋼の混合領域における成分の変化推移状況を予測し、この予測した成分の変化値が、後鍋の溶鋼をタンディッシュへ供給開始した時点で、該タンディッシュ内に残留している前鍋の溶鋼量に相当する溶鋼量を排出した時点において、前鍋または後鍋の規格成分値から外れた部分から得られる鋳片の重量が少なくなるよう、前鍋および/または後鍋の溶鋼の精錬工程、すなわち、転炉での吹錬工程、脱ガス設備での成分値調整工程等で狙い成分値の調整を行うことにより、成分外れ鋳片の発生を大幅に低減すると共に、成分外れ鋳片の重量を少なくすることが可能であることを見出したものである。
【0011】ここで、溶鋼を収容する容器内において、溶鋼を混合したときの溶鋼の混合状態の推移については、通常は次のように変化して行くものと考えられる。今、特定収容容量を持つ容器において、容器内に収容された特定成分値aを有する溶鋼Aを排出しながら、他の特定成分値bを有する溶鋼Bを溶鋼Aの排出量(単位時間当たり一定量)に見合うだけ供給した場合、容器内における溶鋼成分a,bの混合状態(溶鋼Aと溶鋼Bとが容器内でそれぞれ占める割合)は、当然のことながら、成分aの溶鋼Aに成分bの溶鋼Bを混入した直後から、溶鋼Aに対して溶鋼Bを混入するのではなく、溶鋼Aと溶鋼Bとの混合溶鋼B/A(以下溶鋼Cと呼ぶ)に対して溶鋼Bを混入していることに他ならない。
【0012】当初は溶鋼Cのうち溶鋼Aが大半を占めているので、溶鋼Bの混合率は時間の経過とともに急速に高くなるが、このような混合状態にある溶鋼にさらに溶鋼Bを供給追加して行くので、容器内の溶鋼Cにおける溶鋼Bの混合率は、溶鋼Bの供給量が単位時間当たり同一であるにも拘らず、その混合率は順次低くなって行く。従って、容器内の溶鋼成分aが完全に溶鋼成分bに置き換わるには、多大の時間(多大の溶鋼量Bの供給)を必要とする。
【0013】しかし、上記混合状態は溶鋼成分aを有する溶鋼Aに対して溶鋼成分bを有する溶鋼Bの混合が、瞬時にして完全かつ均一に行われることを前提とした場合であって、通常の連続鋳造に使用しているタンディッシュ(溶鋼収容容器)においては、タンディッシュの上方より溶鋼を供給し、下方より溶鋼を鋳型へ排出しながら連続鋳造操業を継続しているので、溶鋼Bがタンディッシュ内の溶鋼A中に供給されても、タンディッシュ内で直ちに溶鋼Aに全ての溶鋼Bが均一に混合して溶鋼Cとなることは、現実の作業を想定した場合、タンディッシュの構造上(内部堰の有無,排出口の位置等)不可能なことであり、タンディッシュ内の下部に存在する溶鋼Aが鋳型へ排出されつつ、順次溶鋼Bを混入した溶鋼Cが、溶鋼Bの混合率を次第に増しながら排出し続け、最終的にタンディッシュ内の溶鋼Cは殆どが溶鋼Bに置換されて、溶鋼成分bを有する溶鋼Bが排出されることとなる。
【0014】本発明者らの経験によれば、特定成分値aを有するタンディッシュ内の溶鋼Aに、他の特定成分値bを有する溶鋼Bを供給しながら連続鋳造を継続した場合、溶鋼成分aと溶鋼成分bの混合状態の推移は、例えば図7に示す如き混合割合で時間と共に変化して行く。図7は上記した理論上での瞬時完全混合が行われた時の混合率の変化曲線と、現実での操業状況を予測した時の混合率の変化曲線および前鍋溶鋼流出終了点を図示したものである。タンディッシュ内の溶鋼は図7のような推移で変化すると予測されるので、成分aを有する溶鋼Aと成分bを有する溶鋼Bの混合中間点をタンディッシュ内残溶鋼(溶鋼A)相当量排出完時点とし、また、後鍋から供給される溶鋼Bの溶鋼量がタンディッシュの収容量の約3倍を超えた時点を以て、溶鋼Aが溶鋼Bへの変更が完了したと見做しても、実作業においてそれ程大きな支障をきたす惧れはない。
【0015】次に本発明での基本概念の理解を容易にするために、各々想定されるモデルとして以下に図面で示した。これは何れも便宜的に示したもので、溶鋼の規格成分範囲については前・後鍋共に上・下限値が占める割合を同一範囲とし、また前鍋と後鍋のタンディッシュ内の溶鋼混合主要領域から得ようとす鋳片については、鋳片の採尺寸法(厚さ×幅×長さ)によってその重量が変動するのは当然のことであるが、ここでは一応その量を前・後鍋共に鋳片の単重が同一の場合、前・後鍋該当部分の溶鋼からそれぞれ3本ずつの例と、前鍋または後鍋のどちらか一方の鋳片単重が小単重の場合は、前・後鍋該当部分の溶鋼から得られる鋳片はどちらか片方が3本でもう一方が4本と仮定し(後鍋については後鍋成分の溶鋼がタンディッシュ内でほぼ完全に置換されるには、前鍋残留溶鋼量より多くの溶鋼量(経過時間)を必要とするが、後述するような理由により同量とした)、さらに、溶鋼の混合領域内での成分の変化の推移を直線に近似してその増減の傾向を表わしてみたものである。
【0016】成分推移値の変化を直線に近似したのは、図7からみられるように成分の規格外れの発生が起こる部位は、タンディッシュ内前鍋残留溶鋼相当量が排出した時点(後鍋溶鋼供給量がタンディッシュ収容量とほぼ同一量)となる近傍であり、その部位のみに限って言えば成分変化が予側される線と殆ど同一の値で通過する線であるならば、直線に近似しても鋳片の合否判定に余り影響を及ぼさず、また、前述したように本発明の目的をできるだけ容易に理解するためのもので、種々の原因による成分のバラツキを考慮したときは、然程の厳密性を要求されないであろうとの考えの基に、飽くまでも便宜上直線を用いることによって面倒な曲線による表現を避け簡略化を図ったものである。
【0017】本発明においては、前鍋の規格成分値と後鍋に規格成分値に差があり、かつ、重複部を含まないことが前提となっているので、前鍋または後鍋から得られる鋳片のうち必ず規格成分外れの鋳片が発生することは避けることはできない。そこで規格成分外れの発生する鋳片を前鍋溶鋼に該当する分とするか、または後鍋溶鋼に該当する分とするかは、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重が同一単重の場合は、両者の規格成分値を勘案し、前以て規格成分外れ発生鋳片が他への向先が容易かどうかによって選択し、前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することとした。また、主に前鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重と、主に後鍋の溶鋼から得られる1本当たりの鋳片単重が異なる重量の場合は、鋳片単重の少ない方の鋳片が規格外れの鋳片となるように、前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整することとした。
【0018】先ず、図1は前鍋溶鋼の規格成分範囲値に対して後鍋溶鋼の規格成分範囲値が低目の場合で、前・後鍋溶鋼規格成分範囲値では重複部分を含まず、前鍋溶鋼の成分範囲の下限値が後鍋溶鋼の成分範囲の上限値から或る値だけ離れていることを想定して例示したものであり、且つ前鍋溶鋼から得られる鋳片の単重と後鍋溶鋼から得られる鋳片の単重がほぼ同一単重であると仮定したものである。しかして、規格成分外れ鋳片の発生は前鍋溶鋼に該当する分とし、後鍋溶鋼からの鋳片は極力規格成分値を満足せしめることを念頭に置いて作図してみたものである。
【0019】図1において前・後鍋共に成分狙い値を下方狙い値(R)とした場合は、前鍋と後鍋の溶鋼の混合域におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化値線は、点線cの如く経過して行き、前鍋から採取予定の溶鋼混合主要領域内の鋳片No.2と3の2本が、前鍋溶鋼の規格値から外れることになる。これに対して前鍋溶鋼成分値を下方狙い値(R)より高目の中央狙い値(M)に設定して置けば、後鍋が下方狙い値(R)であっても前鍋と後鍋の溶鋼混合主要領域内においては、その溶鋼成分の変化値線は実線aの如く推移し規格値から外れる鋳片の発生は鋳片No.3の1本で済み、前鍋予定鋳造量(規格値外れ鋳片1本)を確保することができる。この場合、成分値のバラツキをも考慮して例えば、前鍋溶鋼からの鋳片No.2が規格から外れる惧れがないよう前鍋溶鋼を上方狙い値(V)として、後鍋溶鋼を下方狙い値(R)とすると実線bのようになり、後鍋の溶鋼からの鋳片No.4も規格から外れることになる。
【0020】図2は前記した図1同様前鍋溶鋼の規格成分範囲値に対して後鍋溶鋼の規格成分範囲値が低目の場合を想定して例示したもので、前鍋溶鋼から得られる鋳片の単重が後鍋溶鋼から得られる鋳片の単重より、小単重の場合を例としたものである。したがって、前記したように前鍋溶鋼からの小単重鋳片の規格成分外れを予定し、後鍋溶鋼からの鋳片は極力規格成分値を満足せしめるよう作図してみたものである。図2において前・後鍋共に成分狙い値を下方狙い値(R)とした場合は、前鍋と後鍋の溶鋼の混合域におけるタンディッシュ内の溶鋼成分の変化値線は、点線cの如く経過して行き、前鍋から採取予定の溶鋼混合主要領域内の鋳片No.2,34の3本が、前鍋溶鋼の規格値から外れることになる。これに対して前鍋溶鋼成分値を中央狙い値(M)より若干高目の(M′)に設定して置けば、後鍋が下方狙い値(R)であっても前鍋と後鍋の溶鋼混合主要領域内においては、その溶鋼成分の変化値線は実線aの如く推移し規格値から外れる鋳片の発生は鋳片No.4の1本で済み、前鍋予定鋳造量(規格値外れ鋳片1本)を確保することができる。この場合も、成分値のバラツキをも考慮して例えば、前鍋溶鋼からの鋳片No.3が規格から外れる惧れがないよう前鍋溶鋼を上方狙い値(V)として、後鍋溶鋼を下方狙い値(R)とすると実線bのようになり、後鍋の溶鋼からの鋳片No.5が規格から外れることになる。
【0021】図3およびは図4は図1およびは図2の場合と同様、前鍋溶鋼の規格成分範囲値に対して後鍋溶鋼の規格成分範囲値が低目の場合を想定したもので、前鍋溶鋼の成分範囲の下限値が後鍋溶鋼の成分範囲の上限値から或る値だけ離れ、且つ前鍋溶鋼から得られる鋳片の単重と後鍋溶鋼から得られる鋳片の単重がほぼ同一単重の場合(図3)と前鍋溶鋼から得られる鋳片の単重が後鍋溶鋼から得られる鋳片の単重より、小単重の場合(図4)を例としたものである。しかして、後鍋溶鋼からの鋳片の規格成分外れを予定し、前鍋溶鋼からの鋳片は極力規格成分値を満足せしめることとして作図してみたものである。これら図3,4で例示しているのは、丁度図1,2の場合とは逆の鍋から規格成分外れの鋳片を発生させることを意図している。そこで規格成分の狙い値の設定に当たっては、図3においては図1と逆の設定を実施すればよく、また図4についても図2と逆の設定をすればよい。すなわち、図3で見られるように前鍋溶鋼を上方狙い値(V)として、後鍋溶鋼を中央狙い値(M)に設定して置けば成分の変化値線が実線aのようになり、後鍋の溶鋼からの鋳片No.4の1本のみが規格から外れることで収まり、後鍋の規格外れの鋳片数を最少限に抑えることができる。この場合、成分値のバラツキをも考慮して例えば、前鍋溶鋼からの鋳片No.3が規格から外れる惧れがないよう後鍋溶鋼を下方狙い値(R)とすると実線bのようになり、前鍋の溶鋼からの鋳片No.3も規格から外れることになる。
【0022】また、図4において前鍋溶鋼を上方狙い値(V)として、後鍋溶鋼成分値を中央狙い値(M)より若干低目の(M″)に設定すれば、その溶鋼成分の変化値線は実線aの如く推移し規格値から外れる鋳片の発生は鋳片No.4の1本で済み、後鍋予定鋳造量(規格値外れ鋳片1本)を確保することができる。このときも前記図3の場合と同様、成分値のバラツキをも考慮して、前鍋溶鋼からの鋳片No.3が規格から外れるのを危惧する余り、後鍋溶鋼を下方狙い値(R)とすると実線bのようになり、前鍋の溶鋼からの鋳片No.3が規格から外れることになる。前述のように、図3,4については特に新たな説明を加える必要はないものと思われるので、概略のみを記述たが同図面を見れば容易に理解できるものと思われる。
【0023】図5および図6は図1およびは図3の場合とは逆に、前鍋溶鋼の規格成分範囲値に対して後鍋溶鋼の規格成分範囲値が高目の場合を想定したもので、前鍋溶鋼の成分範囲の上限値が後鍋溶鋼の成分範囲の下限値から或る値だけ離れ、且つ前鍋溶鋼から得られる鋳片の単重と後鍋溶鋼から得られる鋳片の単重がほぼ同一単重の場合を想定し、前鍋溶鋼からの鋳片の規格成分外れを予定し、後鍋溶鋼からの鋳片は極力規格成分値を満足せしめる場合(図5)と、後鍋溶鋼からの鋳片の規格成分外れを予定し、前鍋溶鋼からの鋳片は極力規格成分値を満足せしめる場合(図6)を例としたものである。この場合、図5については図1と全く正反対の設定を採ればよく、図6については図3と正反対の設定を採ることによって、規格成分外れの鋳片を最少限に抑えることができるは、図面を見れば明らかであり、詳細な説明は特に要しないものと思う。なお、前記図1〜6において図中の実線a,b、点線cは、その意味することは同じである。
【0024】さらに、図5,6では前・後鍋共に鋳片が同一単重の場合について示したが、前・後鍋のどちらか一方から得られる鋳片単重が小単重の時は、図2,4を正反対にした場合を想定すればよく、特に図で示して説明する程のことではないものと思い、図とその説明は省略したが本発明の意図するところは、図示しなくとも理解できることと思う。
【0025】ただし、前記作図は何れも図面上では成分変化を直線的に変化するよう仮定して示したものであり、実際の操業においては成分値のバラツキにより、上・下のどちらかにずれることは当然起り得るので、溶鋼混合主要領域内から得られる鋳片では、図示した規格成分外れ鋳片の前・後でどちらかの鋳片が規格外れとなる可能性は否定できない。
【0026】さて、一応図1〜6に図示したのは、前述したように本発明での基本概念の理解を助けるためのものであり、実際操業においては前・後鍋の溶鋼規格成分値での範囲幅の違い、前・後鍋で溶鋼規格成分の上・下限値の離れる度合い、また、前・後鍋での鋳片単重の異なり具合など多くの変動要素を有しており、単純に処理するわけにはいかない。しかして、一般的には前・後鍋における溶鋼規格成分値の範囲幅が大きいこと、前・後鍋で溶鋼規格成分の上・下限値の離れる度合いが小さいこと、前・後鍋の鋳片の単重の異なり具合いが小さいこと等の場合は、規格成分外れ鋳片の発生を少なくするために、前鍋および/または後鍋の溶鋼の狙い成分値を調整するに際してはその設定が比較的に容易となる。
【0027】なお、本発明において成分狙い値を図面上では点で表現したが、これは飽くまでも図面上で目標とした狙い値であって、上記したように実際の操業においてはその狙い値に対して現実には上・下に多少のずれを生じることは当然起こり得ることであり、本発明ではそれらのことを考慮した上で狙い値を決定する必要があることは言うまでもないことである。
【0028】ここで、図面についての説明は前述したように、前鍋溶鋼量のタンディッシュ残存量が略一定で、後鍋から供給される溶鋼量も時間当り一定割合で供給されていると仮定し、それを基に図示してみたもので、現実には前鍋と後鍋の変換には或る程度の時間を要し、タンディッシュの残溶鋼はその間でもタンディッシュから鋳型への溶鋼の注入は継続しているので、タンディッシュ内溶鋼量は漸次低減している。したがって、後鍋溶鋼の供給開始後、タンディッシュ内に所定の溶鋼量を保有させるためには、後鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給は初期には若干早め(単位時間当たり多量)となり、このため後鍋溶鋼の混合率の上昇は早めに行われ、その結果、後鍋の成分系に近付くのが早くなるが、本発明における溶鋼の混合成分予測線はその点も加味して算出している。
【0029】なお、後述する本発明の実施例で鋳片における成分値を表示しているが、この値は前述したように成分規格外れが発生する可能性が高いのは、前鍋溶鋼と後鍋溶鋼の混合領域での中間部分であり、また、鋳片内においては前鍋溶鋼からの鋳片では鋳片のボトム側(鋳造方向での後端側)と、後鍋溶鋼からの鋳片では鋳片のトップ側(鋳造方向での先端側)の部分でその可能性が最も大きくなる。そこで成分値を判定するための鋳片からのサンプリングは、前鍋からの鋳片についてはボトム部から、前鍋からの鋳片についてはトップ部から行い、鋳片全体に亙って成分規格値を満足するか否についての確定をおこなっている。
【0030】本発明においては、成分規格中で適用できる成分についての言及は特にしていないが、特定の元素のみにしか適さないということはなく、通常の鋼に含まれる主要元素は勿論のこと、他の添加元素についても溶鋼中で偏りをもたないものであれば何れの元素であっても差し支えない。これらのことは本発明者らは既に多くの元素について実験を行い、偏差のないことを確認している。また、鋼種変更の継ぎ目部分に該当する鋳片については、鋳片の先端部側と後端部側より試料を採取し、その成分の分析結果によって、規格値を満たすものかどうかの判定を行っている。さらに、本発明において発生する成分規格外れの鋳片については、極力振り向け先の確保に努め、採尺歩留りの低下を防ぐよう心掛けるが、差し当たって向け先のない場合はストックヤード等に保管するか、格落材としての処置を採らざるを得ないのは通常作業と変わりない。
【0031】
【実施例】以下、異種鋼の連続鋳造を行った実施例につき、表1,2に基づき説明する。表1と表2には本例で使用した鋼の化学成分のうち、Mn元素についてのみ規格値範囲の上・下限値,取鍋狙い値,各鋳片での値につき、前鍋・後鍋毎に示した。また同表に連続鋳造における主要諸元も示した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】本例では、前鍋と後鍋とで規格成分範囲値の上・下限値が離れる度合いによって、成分狙い値を変更して設定し実施した。表1および表2中に従来例として、従来からの考え方に基づき成分狙い値の設定を行った例についても同様に記載した。
【0035】表1は前鍋のMn規格範囲値に対して後鍋のMn規格値が高い場合を示し、実施番号■,■は本発明例で■は従来例である。実施番号■は前・後鍋から得られる鋳片単重が同一の場合、実施番号■は前・後鍋から得られる鋳片単重が異なり、前鍋の単重が少ない場合(単重差5t)である。実施番号■は従前例であり、前・後鍋から得られる鋳片の単重差が無い場合である。
【0036】表2は表1とは逆に前鍋のMn規格範囲値に対して後鍋のMn規格値が低い場合を示し、実施番号■,■は本発明例で■は従来例である。実施番号■は前・後鍋から得られる鋳片単重が同一の場合、実施番号■は前・後鍋から得られる鋳片単重が異なり、後鍋の単重が少ない場合(単重差5t)である。実施番号■は従来例で前・後鍋から得られる鋳片の単重差が無い場合である。
【0037】表1から明らかなように、本発明の実施番号■の例では鋳片No.2,3が規格値から外れ、実施番号■の例では鋳片No.3,4(小単重鋳片)が規格値から外れた。これに対し従来例の実施番号■では、鋳片No.4,5,6が規格値から外れ、本発明の実施例に比し規格外れとなった鋳片本数が多く、規格外となった鋳片の総重量が大きかったことを示している。
【0038】同様に表2からは、本発明の実施番号■の例で鋳片No.2,3,4が規格値から外れ、実施番号■の例では鋳片No.4,5,6(小単重鋳片)が規格値から外れた。これに対し従来例の実施番号■では、鋳片No.1,2,3,4が規格値から外れ、本発明の実施例に比し規格外れとなった鋳片本数が多く、規格外となった鋳片の総重量が大きかったことを示している。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば連続鋳造時に鋳造速度を変更しないか、変更しても鋼種特有の変更量で済ますことができるので、前・後鍋の継ぎ目部分から得られる鋳片の成分値外れ本数を少なくすることができ、鋳片品質の安定はもとより、表面性状にも悪影響を及ぼすことなく、鋼種変更の連々鋳作業の効率を高めると共に、生産性において従来の連々鋳法に比し格段の優れた効果を発揮することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013