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発明の名称 鋼材のスケール除去方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−121205(P2001−121205A)
公開日 平成13年5月8日(2001.5.8)
出願番号 特願平11−302985
出願日 平成11年10月25日(1999.10.25)
代理人 【識別番号】100062421
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弘明 (外1名)
発明者 近藤 泰光 / 明石 透
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 表面に厚さ5μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法。
【請求項2】 表面に厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3 変態点通過時の鋼材に高圧水によるデスケ処理を施すとともに、該Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法。
【請求項3】 表面に厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3 変態点通過時の鋼材に曲率半径500mm以下の曲げ加工を付与するとともに、該Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法。
【請求項4】 前記Ar3 変態点通過時の鋼材に、高圧水によるデスケーリング処理を施すことを特徴とする請求項3記載の鋼材のスケール除去方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の熱間加工や熱処理過程で生成した表面酸化スケールを、酸洗処理を行わずに短時間で除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱間加工鋼材は表面に酸化スケールを有している。例えば熱延鋼板は、熱間圧延ラインにおいて、スラブ加熱後、粗圧延機および仕上圧延機で圧延された鋼板ストリップをホットランテーブル上で冷却し、巻取機でコイルにして製造され、スラブ加熱で生成したスラブの厚い酸化スケールは、粗圧延前に高圧水によるデスケーリング処理で除去されるが、その後、巻取機までの工程で鋼板表面には新たな酸化スケールが生成する。このほか、熱間圧延により製造される厚板、棒材、線材、形材、管材、熱間鍛造により製造される形材、熱間押出により製造される管材、形材など、いずれも通常の工程では鋼材表面に酸化スケールが生成している。
【0003】従来、熱間圧延ではオーステナイト域の温度で鋼材を加工したのち冷却している。熱間圧延は通常、大気中で施されるため、熱間圧延中は常に鋼材表面に酸化スケールが生成する。製造された熱延鋼板などの熱間加工材は、冷延鋼板など冷間加工材の素材となるほか、熱間加工製品として各種用途に加工される。いずれの場合も鋼材表面に酸化スケールがあると、冷間加工時あるいは各種用途への加工時に鋼材表面およびロールや工具等の疵発生の原因となり、また最終製品としての外観上あるいは耐食性劣化の問題から、スケール除去が行われている。
【0004】従来の鋼材の熱間加工において、上記のように高圧水によるデスケ処理が行われている。この処理は、高温の鋼材表面に生成している厚い酸化スケールに対し、通常は5〜15MPa 程度、難デスケ材にはそれ以上の圧の高圧水を噴射し、その衝撃でスケールを除去するものである。しかしこのデスケ処理は、その後の熱間加工において有害となる厚いスケールを除去するために行われ、熱間加工終了までに新たなスケールが生成する。
【0005】そこで従来の熱延鋼板においては、鋼板ストリップを連続酸洗ラインに通板し、塩酸や硫酸を使用する酸洗処理によってスケール除去が行われている。また酸洗速度を向上させるため、曲げやブラスト処理などの機械的処理を併用すること、さらには酸洗時に電気化学処理を施すことも行われる。そのほか、厚板、棒材、線材、形材、管材などのスケール除去も、酸洗を主とする処理により行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の熱間加工鋼材のスケール除去は、鋼材製造メーカーや一部の鋼材ユーザーで行われるが、酸洗処理を伴うため、酸洗槽およびその周辺設備や関連設備の保全、酸洗廃液の処理などに要するコストが増大している。今後、環境問題などにより廃酸処理はますます厳しく、その処理コストの高騰は避け難い問題となっている。
【0007】一方、近年における素材の品質向上や熱間加工技術の向上に伴って、材質および表面性状の優れた熱間加工鋼材が製造できるようになり、従来は冷間加工材が使用されていた分野にも熱間加工材が使用され始め、その用途はますます拡大することが予想される。したがって従来の製造工程では、熱間加工材のスケール除去処理、特に酸洗処理に対する負担が、今後ますます増大すると予想される。また酸洗処理は、鋼材の熱処理時に生成する酸化スケールを除去するためにも行われている。
【0008】そこで本発明が解決しようとする課題は、熱延鋼板などの熱間加工鋼材、あるいは熱処理鋼材の表面酸化スケールを、従来のような酸洗処理を行わず、あるいは酸洗処理の負荷を著しく軽減して、効率的に除去することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の第1発明は、表面に厚さ5μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法である。第2発明は、表面に厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3 変態点通過時の鋼材に高圧水によるデスケ処理を施すとともに、該Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法である。
【0010】第3発明は、表面に厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を、該鋼材のAr3 変態点より高い温度から冷却し、該Ar3 変態点通過時の鋼材に曲率半径500mm以下の曲げ加工を付与するとともに、該Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させることを特徴とする鋼材のスケール除去方法である。そして第3発明において、前記Ar3 変態点通過時の鋼材に、高圧水によるデスケ処理を施すことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明法は、鋼材の熱間加工や熱処理によって生成する表面の酸化スケールを、鋼材のAr3 変態を利用して除去するものである。表面に酸化スケールを有する鋼材が冷却されてAr3 変態点を通過するとき、地鉄は、オーステナイト相からフェライト相への変態に伴い体積膨脹するのに対し、スケールは体積膨脹しないため、スケールには引張り応力が付加される。低炭素鋼ではAr3 変態に伴い鋼が約1%膨脹する。この膨脹量は、鋼材を変態させることなく室温から1000℃まで加熱したときの熱膨張量よりも大きい。
【0012】本発明の第1発明法は、表面に厚さ5μm以上の酸化スケールを有する鋼材を冷却して、Ar3 変態点を10℃/sec以上の冷却速度で通過させる。スケールが薄い場合は、変態時の地鉄の膨脹による引張り応力が付加されても、スケールが変形して応力が緩和される。しかしスケールの厚さが5μm以上になると、スケールは延性限界を超え、スケールと地鉄の間に応力が集中して、スケールは全面にわたって剥離する。また変態時の冷却速度が10℃/sec未満のときは、変態と同時に起きるスケール生成の量が多くなってスケールにかかる応力が緩和され、スケール剥離の効果が得られ難い。
【0013】鋼材の熱間加工では、スケールも同時に圧下されるためスケールの厚さは薄くなるので、従来の熱間圧延直後の酸化スケールの厚さは1〜3μm程度であった。したがって、その後の冷却過程におけるAr3 変態で地鉄が膨脹しても、スケール厚さが1〜3μmと薄いため、スケールが塑性変形することでスケールと地鉄の間の応力が緩和され、スケールは剥離し難く付着している。
【0014】第1発明法では、上記のように厚さ5μm以上の厚いスケールを有する鋼材を、10℃/sec以上の冷却速度でAr3 変態点を通過させるので、スケールを全面にわたって剥離することができる。なおスケール厚さを5μm以上とするには、薄鋼板の熱間圧延工程では最終仕上圧延後、水冷開始まで2秒程度の放冷を行えばよい。また酸素を含む酸化雰囲気で加熱する場合は、800℃では4秒以上、900℃では1秒以上、1000℃では0.3秒以上の加熱を行えばよい。
【0015】10℃/sec以上の冷却速度で冷却する温度範囲は、Ar3 変態点よりも高い温度から、酸化スケールが生成し難い570℃以下までとするのが望ましい。この間の冷却速度が10℃/sec未満だと、スケールが剥離した鋼材表面に新たな酸化スケールが生成し、その除去が必要になる場合が生じる。冷却手段としては水噴射、気体噴射などを採用することができる。なお、非酸化性雰囲気で冷却する場合は、Ar3 変態による鋼の膨脹が鋼材中心部まで完了する温度までとすればよく、低炭素熱延鋼板の場合は700℃程度まででよい。
【0016】第2発明法は、厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を冷却し、Ar3 変態点通過時の鋼材に高圧水によるデスケ処理を施すとともに、10℃/sec以上の冷却速度でAr3 変態点を通過させる。高圧水によるデスケ処理は、鋼材の従来の熱間加工において行われているのと同様の設備で行うことができ、高圧水の噴射圧は高いほどよいが、10MPa 以上とすればよい。この高圧水によるデスケ処理と、Ar3 変態による鋼材の体積膨脹との相乗作用によって、鋼材の地鉄とスケールの界面に働く応力が高まり、厚さ5μm未満のスケールでも全面にわたって剥離することができる。
【0017】第3発明法は、厚さ1μm以上の酸化スケールを有する鋼材を冷却し、Ar3 変態点通過時の鋼材に曲率半径500mm以下の曲げ加工を付与するとともに、10℃/sec以上の冷却速度でAr3 変態点を通過させる。曲げ加工は、スケール除去すべき鋼材表面が凸となる場合、凹となる場合のいずれでもよく、また繰り返し曲げにより凸および凹の双方を行ってもよい。曲率半径は小さいほどよいが、500mm以下とすればよい。この曲げ加工と、Ar3 変態による鋼材の体積膨脹との相乗作用によって、鋼材の地鉄とスケールの界面に働く応力が高まり、厚さ5μm未満のスケールでも全面にわたって剥離することができる。さらに第3発明法において、Ar3 変態点通過時の鋼材に、高圧水によるデスケ処理を施し、かつ曲率半径500mm以下の曲げ加工を付与することで、より効果的に全面にわたってスケールを剥離することができる。
【0018】このほか、本発明法は熱処理により生成した酸化スケールに対しても有効であり、上記熱間加工の場合と同様、Ar3 変態点より高い温度からの冷却中にスケール除去することができる。そして、熱間加工設備あるいは熱処理設備での冷却中にスケール除去できるので、従来必要であった酸洗設備が不要となる。なお本発明法において、冷却途中で新たに酸化スケールが生成する場合があっても軽度の酸洗で除去可能であり、そのための酸洗設備は従来よりも著しく簡易なものとなり、その負荷も著しく軽減される。
【0019】
【実施例】厚さ5.5mmの低炭素鋼板を1000℃に加熱し、加熱時間を変えて生成するスケール厚を変え、1000℃から500℃までの冷却速度を変えて冷却し、スケールの剥離状況を観察した。冷却はN2 ガスを吹き付けて行い、冷却速度は吹き付けるガス量により制御した。また、冷却時に圧力10MPa の高圧水によるデスケ処理と、曲率半径500mmの曲げ加工を行ったものについても、スケールの剥離状況を観察した。結果を表1に示す。
【0020】No.1は冷却速度を5℃/secとした比較例であり、スケール厚0.8μm〜15.3μmのいずれもスケールが全面に残存した。またNo.2〜No.5は冷却速度を10℃/secとしているが、スケール厚0.8μmは比較例であり、スケールが全面に残存した。冷却速度を10℃/secとしたNo.2は、曲げ加工も高圧水デスケも行わなかったものであり、スケール厚1.0μmおよび4.0μmの比較例はスケールが部分的に残存したが、スケール厚5.0μm以上の第1発明例は全面剥離した。
【0021】No.3は曲率半径500mmの曲げ加工を行ったものであり、スケール厚1.0μm以上の第3発明例は全面剥離した。No.4は10MPa の高圧水デスケ処理を行ったものであり、スケール厚1.0μm以上の第2発明例は全面剥離した。No.5は同様の曲げ加工と同様の高圧水デスケ処理を行ったものであり、スケール厚1.0μm以上の第3発明例の好ましい態様は全面剥離した。
【0022】
【表1】

【0023】
【発明の効果】本発明法により、熱延鋼板などの熱間加工鋼材、あるいは熱処理鋼材の表面酸化スケールを、従来のような酸洗処理を行わず、あるいは酸洗処理の負荷を著しく軽減して、効率的に除去することができる。しかも熱間加工設備や熱処理設備における冷却中にスケールを剥離することができるので、従来のような酸洗設備が不要となる。本発明法の冷却途中で新たに酸化スケールが生成する場合があっても、軽度の酸洗で除去可能であり、そのための酸洗設備は従来よりも著しく簡易なものとなり、その負荷も著しく軽減される。




 

 


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