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発明の名称 薄鋼板のアーク溶接用ソリッドワイヤ及びそれを用いた溶接方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−96392(P2001−96392A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−272003
出願日 平成11年9月27日(1999.9.27)
代理人 【識別番号】100094972
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
【テーマコード(参考)】
4E001
4E081
【Fターム(参考)】
4E001 AA03 BB08 CC04 DC01 EA04 
4E081 YC01 YX15
発明者 及川 初彦 / 小原 昌弘 / 志村 竜一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 板厚が0.5mm以上0.8mm以下の薄鋼板のアーク溶接に用いるソリッドワイヤにおいて、比抵抗が0.30μΩ・m以上0.45μΩ・m以下で、直径が0.5mm以上0.9mm以下であることにより、耐溶け落ち性に優れたことを特徴とするアーク溶接用ソリッドワイヤ。
【請求項2】 板厚が0.5mm以上0.8mm以下の薄鋼板のアーク溶接において、比抵抗が0.30μΩ・m以上0.45μΩ・m以下で、直径が0.5mm以上0.9mm以下のソリッドワイヤを用いてアーク溶接を行うことにより、耐溶け落ち性に優れたことを特徴とする薄鋼板のアーク溶接方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体の軽量化などを目的として板厚を低減した薄鋼板のアーク溶接方法と、それに用いるアーク溶接用ソリッドワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、大気中でのCO2 の増加による地球の温暖化が環境問題として大きく取り上げられるようになり、自動車、鉄道車両、船舶などを軽量化し、CO2 の排出量を軽減させようという動きがある。このような動きに対応して、自動車分野では、高強度鋼板を用いることにより鋼板の板厚を低減し、車体の重量を低減させようという試みがなされている。また、多くの自動車部品は、フランジを溶接することに組み立てられているが、フランジの存在は車体の重量増加をもたらす。そこで最近、このフランジをなくすために、自動車部品を静水圧によって成型し製造しようという試みが成されている。静水圧によって成型された部品(ハイドロフォーム部品)では、多くの場合、重量を低減させるために板厚の薄い鋼板が使われている。このように、自動車分野では、車体重量軽減のために薄板化が進行しており、今後、薄板の適用は拡大するものと考えられる。
【0003】一方、従来、自動車の組立行程では、スポット溶接やシーム溶接などの抵抗溶接が主に使われており、薄鋼板の溶接でもこれらの溶接法が主に使われている。しかし、最近、衝突安全性向上の観点から、強度や剛性を必要とする部位では直線的な溶接が必要となり、この場合には、アーク溶接やレーザー溶接を使うことが検討されている。アーク溶接は、溶接部の品質が良好であるため、信頼性有る溶接法として、従来より様々な分野で用いられている。また、片面からの溶接が可能であるため、閉断面構造部材の溶接でも有利である。さらに、レーザー溶接に比べて、装置コストが安いというメリットもある。
【0004】車体をアーク溶接する場合には、主にMAG溶接が使われている。これはTIG溶接に比べて高速溶接が可能だからである。従来、車体でアーク溶接が使われる部位は足廻りやシャーシなど、板厚が1.6mm以上の鋼板を使用している部位がほとんどであった。これは、アーク溶接では入熱量が高いため、板厚が1.6mm以下の鋼板を溶接すると、溶け落ちが起こりやすくなるからである。しかし最近では、電源の制御技術の進歩によって、板厚が1.6mm以下の鋼板でもアーク溶接することが可能になってきている。最近、自動車分野でも、板厚が0.6〜1.0mm程度の鋼板が使用されつつあり、これらの鋼板の溶接にもアーク溶接が適用されつつあるが、この板厚領域、特に、板厚が0.6〜0.8mm程度の鋼板のアーク溶接では、溶け落ちが起こりやすくなり、特に、板間にギャップが存在する場合には、溶け落ちが顕著になり、大きな問題となっている。
【0005】板厚0.6〜0.8mm程度の薄鋼板を、溶け落ちさせることなくアーク溶接する方法としては、例えば、溶接学会全国大会講演概要第62集(1998)のp.76〜p.77にあるように、交流のアーク溶接電源を用い、板厚0.7mmの亜鉛めっき鋼板(目付量:60/60 g/m2 )同士をアーク溶接する方法が知られている。この溶接では、電極となるワイヤと鋼板の極性が周期的に変わるため、これによって鋼板の溶け込みが制御され、板間に2.0mmのギャップが存在しても溶け落ちが防止される。しかし、この方法では、溶接速度が通常の溶接の1/3〜1/6と低いため、効率が悪いという問題がある。また、特殊な溶接電源を必要とし、かつ、この方法で使用する交流電源の値段は、通常使用されている直流電源の3倍程度と、コスト的にも問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的は、板厚0.5〜0.8mmの薄鋼板をアーク溶接する際、交流電源などの特殊な電源を必要とせず、高速溶接が可能で、かつ、ギャップが存在しても溶け落ちを防止することが可能なアーク溶接方法とそれに用いる溶接用ワイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記で述べた課題を解決するために、本発明者らは研究を重ねた結果、板厚が0.5mm以上0.8mm以下の薄鋼板をアーク溶接する場合に、比抵抗が0.30μΩ・m以上0.45μΩ・m以下で、直径が0.5mm以上0.9mm以下のアーク溶接用ソリッドワイヤを用いることにより、薄鋼板の溶け落ちを防止することが可能であることを見出した。
【0008】ここに、本発明の要旨とするところは、板厚が0.5mm以上0.8mm以下の薄鋼板のアーク溶接において、比抵抗が0.30μΩ・m以上0.45μΩ・m以下で、直径が0.5mm以上0.9mm以下のソリッドワイヤを用いてアーク溶接を行うことにより、耐溶け落ち性に優れたことを特徴とする薄鋼板のアーク溶接方法、およびこれに使用するアーク溶接用ソリッドワイヤである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、図面に基づいて、本発明にかかる薄鋼板のアーク溶接方法について、作用とともに具体的に説明する。図1は、本発明にかかるアーク溶接方法の説明図であり、MAG溶接で薄鋼板同士を溶接する方法について示している。図に示すように、MAG溶接すべき薄鋼板1同士を重ね合わせて重ね隅肉継手を作製し、この重ね合わせた部分を溶接トーチ2からワイヤ4を送給して隅肉溶接し、1パスでビード5(図2)を形成する。
【0010】本発明で用いるアーク溶接用ソリッドワイヤ4としては、比抵抗の値が0.30μΩ・m以上0.45μΩ・m以下で、直径が0.5mm以上0.9mm以下であることが必要である。一般に使用されている溶接用ソリッドワイヤの比抵抗は0.2μΩ・m程度であるが、このように比抵抗の値が高いアーク溶接用ソリッドワイヤを用いるのは、トーチ先端のワイヤ突出部におけるジュール発熱量を高めるためである。また、細径のアーク溶接用ソリッドワイヤを用いるのは、アーク溶接時におけるワイヤでの電流密度を高め、ジュール発熱量を高めるためである。このような比抵抗の高いワイヤを製造する方法としては、C、Si、Mnなど合金成分の量を比較的多くすること、またダイスで伸線して加工硬化した状態を維持するように焼鈍をやめたり焼鈍温度を低くするなどの手段が用いられる。
【0011】一般的に、トーチ先端のワイヤ突出部におけるジュール発熱量Qは、以下の式で表される。
Q=R・I2 =ρ・L・I2 /A=4・ρ・L・I2 /π・D2ただし、Q:ワイヤ突出部でのジュール発熱量、R:電気抵抗、I:溶接電流、ρ:比抵抗、L:ワイヤ突出部の長さ、A:ワイヤの断面積、D:ワイヤの直径【0012】アーク溶接時におけるワイヤの溶融量は、トーチ先端のワイヤ突出部におけるジュール発熱量Qに比例するから、上記の式より、ワイヤの比抵抗の値ρが大きく、直径の値Dが小さいほど、アーク溶接時のワイヤ溶融量が増加する。したがって、比抵抗の値が高く、直径が小さいワイヤを用いることにより、投入された熱がかなりの割合でワイヤの溶融に費やされ、ワイヤの溶融が促進される。またこの際、ワイヤの溶融に費やされた分だけ鋼板への入熱量が低下して鋼板の溶融が制限される。その結果、薄鋼板では溶け落ちが防止されやすくなるのである。特に、鋼板間にギャップが存在する場合には、ギャップを溶着金属によって埋めるために溶接電流を増加させなければならないが、この場合には、入熱量が増加するために鋼板は溶け落ちやすくなる。しかし、上記のワイヤを用いれば鋼板の溶け込みは制限され、かつ、ワイヤの溶融量(溶着金属)は増えるため、鋼板間にギャップが存在していても鋼板の溶け落ちを生じさせることなく、アーク溶接を行うことが可能になるのである。
【0013】比抵抗が高いアーク溶接用ソリッドワイヤを用いてアーク溶接を行う方法としては、例えば、特開平3−52795号報にあるように、比抵抗の高いアーク溶接用ソリッドワイヤを用いて、効率良くアーク溶接を行う方法や、特開平7−266081号報にあるように、比抵抗の高いアーク溶接用ソリッドワイヤを用いて、入熱量を下げて亜鉛めっき鋼板をアーク溶接する方法が知られている。しかし、これらの方法は、アーク溶接の効率を上げるためや、ブローホール、ピットの低減を目的としたものであり、薄鋼板の溶け落ちを防止することを目的としたものではない。また、これらのアーク溶接方法では、直径が1.2mmのアーク溶接用ワイヤを用いているが、薄鋼板のアーク溶接で溶け落ちを防止するためには、アーク溶接用ワイヤの比抵抗を高くするだけでなく、一般の溶接用ソリッドワイヤの最も細径なものである1.0mmよりさらに細径にすることが必要であり、直径1.2mmのワイヤを用いたのでは、本発明の目的を達成できないのである。
【0014】ワイヤの成分としては、C、Si、Mnを合金成分として含有し、残部がFeと不純物からなり、かつ、比抵抗が上記の範囲であるならば、特にこだわるものではなく、鋼板の成分に適しており、かつ、溶接部で鋼板より高い引張強さが得られるものであればどのようなものでも良い。
【0015】ワイヤの比抵抗を0.30μΩ・m以上としたのは、それ以下の比抵抗ではジュール発熱量が低下してワイヤの溶融が促進されなくなり、鋼板が溶け落ちやすくなるからである。ワイヤの比抵抗を0.45μΩ・m以下としたのは、それ以上の比抵抗ではジュール発熱量が増加しすぎて、ワイヤの溶融が過大に促進され、ワイヤから鋼板への溶滴移行がスムースにいかなくなるからである。
【0016】ワイヤの直径を0.5mm以上としたのは、それ以下の直径ではワイヤの溶融が促進され過ぎてワイヤから鋼板への溶滴移行がスムースにいかなくなり、また、ワイヤの送給中に座屈が起こりやすくなって、アーク溶接が中断するという問題が生じるからである。ワイヤの直径を0.9mm以下としたのは、それ以上の直径では電流密度が低下しすぎて鋼板が溶け落ちやすくなったり、アークが不安定なるという問題が生じるからである。なお、上記板厚範囲の薄鋼板をアーク溶接するためには、溶け落ちを防止するために溶接電流を低く設定しなくてはならないが、この場合には、電流密度が低下してアークが不安定になる。しかし、上記範囲の直径のワイヤを用いれば、電流密度を高めに設定することが可能になるため、アークが不安定になるという問題も解決される。
【0017】なお、上記の式で示したように、トーチ先端のワイヤ突出部におけるジュール発熱量Qは、ワイヤ突出長さLにも比例するため、ワイヤの溶融量を増加させるためには、ワイヤ突出長さLを増加させることも有効である。しかし、ワイヤ突出長さLを長くしすぎると、シールド不良となって溶接部で欠陥が多発したり、溶滴移行が不安定になるという問題が生じるため、本発明のアーク溶接法では、ワイヤ突出し長さを10〜15mm程度にするのが望ましい。
【0018】本発明のアーク溶接法としては、シールドガス5として、CO2 ガスまたはArとCO2 が混合されたガスを用いるMAG溶接であれば良い。シールドガスとしては、いずれのガスを用いてもかまわないが、スパッターを出来るだけ低減させるためには、CO2 ガスよりもArとCO2 が混合されたガスを用いた方が良い。また、ArとCO2 が混合されたガスでは、組成は特に問わないが、アークを安定化させ、スパッターを低減させる意味から、10〜30%のCO2 ガスが混合されたArガスを用いることが望ましい。MAG溶接は、電流一定の溶接であってもパルス溶接であっても、どちらでも良い。
【0019】本発明で用いる鋼板の板厚は、0.5〜0.8mmであることが必要である。鋼板の板厚を0.5mm以上としたのは、これ以下の板厚では、本発明のワイヤを用いても、溶け落ちが起こりやすくなるからである。鋼板の板厚を0.8mm以下としたのは、これ以上の板厚では溶け落ちが起こりにくくなり、従来のアーク溶接法でも、十分に対応できるからである。鋼板の成分としては、特に制限を設けるものではなく、軟鋼板であっても高強度鋼板で有っても良い。鋼板の製造法は、特に制限を設けないが、一般的には、冷間圧延法で製造される場合が多い。また、鋼板の表面にZn系(Zn、Zn−Fe、Zn−Ni、Zn−Al、Zn−Mg)、Al系(Al、Al−Si、Al−Mn、Al−Mg、など)、Pb系(Pb−Sn、など)、などのめっきが施されていても良い。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)供試材料として、板厚が0.6mmと0.8mmの軟鋼板(引張強さ:292MPa)を用いた。これらの素材から、サイズが100×300mmの試験片を作製し、この試験片を、図1に示したように、同じ板厚同士の組み合わせで30mmラップさせて重ね合わせ、長手方向にアーク溶接を行った。なお、試験片をラップさせる場合には、鋼板間ギャップが0mmの場合と1.5mmの場合の2種類について行った。
【0021】溶接で用いたワイヤの種類、および溶接条件を表1および表2に示す。なお、ワイヤ突出し長さは12mmとした。表1および表2に示したように、シールドガスとしてAr+20%CO2 ガスとCO2 ガスを用い、溶接電源としてインバーター制御式のアーク溶接電源を用い、電流一定の溶接またはパルス溶接を行った。なお、溶接電流が低い場合には直径0.6mmおよび0.8mmのワイヤを、また、溶接電流が高い場合には直径1.2mmのワイヤを用いた。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】アーク溶接後、それぞれの試験片のビード外観を観察し、溶け落ちの有無を調査した。また、それぞれの試験片から、ビードと垂直な方向に引張せん断試験片(30×170mm)を切り出し、図2に示したように、JIS引張せん断試験法に基づいて、6の方向に荷重をかけ、継手の引張せん断試験を行い、各試験片の破断位置を調査した。それらの結果を併せて表1に示す。
【0025】表1に示したように、本発明の溶接ワイヤを用いた場合(No.1〜No.16)には、溶接法の違いに関わらずいずれも溶け落ちは生じておらず、ビード外観は良好であった。また、引張せん断試験を行った結果、いずれの試験片でも図2の7で示した母材で破断が生じていた。
【0026】一方、本発明以外の溶接ワイヤを用いた場合(No.17〜No.32)には、いずれの場合にも溶け落ちが生じており、ビード外観は極端に劣っていた。ビード外観を調査した結果、溶け落ちはギャップが1.5mmの場合の方が顕著であった。また、引張せん断試験を行った結果、いずれの試験片でも図2の5で示した溶接部で破断が生じていた。
【0027】表1に示したように、溶け落ちは比抵抗の値が高いアーク溶接用ワイヤを用いただけでは防ぐことができず(No.23〜No.24)、本発明に規定された範囲の比抵抗と直径を有するワイヤを用いることによってのみ、溶け落ちを防ぐことが可能であった。引張強さが370MPa、440MPa、590MPaの高強度鋼板で同様の実験を行ったが、結果は同じであった。また、Zn、Zn−Fe、Zn−Niなどのめっきが施されためっき鋼板についても実験を行ったが、結果は同様であった。
【0028】
【発明の効果】以上、説明した通り、本発明によれば、薄鋼板のアーク溶接において、溶け落ちを防ぐことが可能になり、溶接部で高い継手強度(母材破断)を得ることができる。したがって、軽量化を目的として使用される薄鋼板のアーク溶接が可能となることから、本発明の実用上の意義は大きい。




 

 


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