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発明の名称 双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法及び潤滑剤
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−96341(P2001−96341A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願2000−56770(P2000−56770)
出願日 平成12年3月2日(2000.3.2)
代理人 【識別番号】100088018
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 祐治
【テーマコード(参考)】
4E004
4E092
4H104
【Fターム(参考)】
4E004 DA13 RA10 SB03 
4E092 AA02 AA03 AA04 AA05 AA08 AA44 AA45 AA60 CA01 CA10 DA02 EA10 FA10 GA10
4H104 AA04A AA13A AA19A AA22A AA24A AA26A BA02C CB08C CB12C EA02Z EA08A FA03 FA04 FA06 LA03 PA23 QA02 QA09 QA11
発明者 井上 剛 / 内田 秀 / 四阿 佳昭 / 石森 裕一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 一対の回転冷却ドラムとサイド堰との間に形成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、冷却ドラムの端面とサイド堰との間の摺動面に潤滑剤を供給して潤滑を行う双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法において、熱硬化性を有する物質を含有する液状潤滑剤を、ドラム端面に供給することを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項2】 請求項1に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法において、固体粉末および熱硬化性を有する物質を含有する液状潤滑剤を、微粒子状でドラム端面に供給・付着させ、ドラム端面の熱をもって液状潤滑剤を熱硬化させることにより、固体粉末を含有する固形潤滑皮膜をドラム端面に形成させることを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項3】 潤滑剤の微粒子の最大粒径が2mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項4】 微粒子状で供給される潤滑剤のノズルからの噴射量が、毎分0.1mL以上50mL以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項5】 潤滑剤を供給する際に、潤滑剤を噴射するノズルとドラム端面との間に、潤滑剤を供給する領域を限定するための穴のあいたスリット板を設置し、潤滑剤を供給することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項6】 潤滑剤を供給する際に、潤滑剤を微粉状に噴射するノズルの中心線の延長線上に、ドラム端面の中心よりも下側になり、かつ潤滑剤の噴射コーンの最外周部が、冷却ドラム端面の胴面側の端面エッジ部を越えないように、潤滑剤噴射ノズルの角度を変えて、潤滑剤を噴射することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法。
【請求項7】 一対の回転冷却ドラムの端面とサイド堰との間の摺動面に供給して潤滑を行う双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤において、水を10重量%以上95重量%以下含有し、かつ固体粉末を5重量%以上60重量%以下含有し、さらに熱硬化性を有する物質を固体粉末の0.1倍から10倍までの範囲の配合比率で含有することを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造用液状潤滑剤。
【請求項8】 熱硬化性を有する物質が80℃以上の温度で熱硬化することを特徴とする請求項7項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤。
【請求項9】 潤滑剤の粘度が40℃で1000cP(センチポアズ)以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤。
【請求項10】 固体粉末が、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、キッシュ黒鉛、土壌黒鉛、天然雲母、膨潤性を有する雲母、人造雲母、BN、酸化チタン、二硫化モリブデン、二酸化珪素、酸化アルミニウム、プラスチック粉末、二硫化タングステン、タルクのうちの1種もしくは2種以上を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤。
【請求項11】 熱硬化性を有する物質が、アクリルスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メチルシクロヘキサンの1種もしくは2種以上を含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双ドラム式薄板連続鋳造における冷却ドラムとサイド堰との間の摺動面で発生するサイド堰のセラミックプレートの摩耗を低減し、かつ湯漏れの無い安定した鋳造を行うための,双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶鋼等の溶融金属から数ミリの厚さ程度の薄肉鋳片を直接的に製造する連続鋳造方法として、双ドラム式薄板連続鋳造方式が知られている。この方式は、図1に示すように、互いに逆方向に回転する一対の冷却ドラム1a、1bを水平に配置し、該ドラムの両端面をふさぐように一対のサイド堰2a,2bを設け、これら冷却ドラム及びサイド堰によって凹部状の湯溜まり部3を画成し、該湯溜まり部3にタンディッシュ等の容器及び注湯ノズルを介して溶融金属4を注入し、溶融金属が冷却ドラムに接して冷却・凝固してできる凝固シェルを、一対の冷却ドラム1a,1b間のギャップ部で圧着しドラムの回転により下方に引き出して薄肉鋳片5とする方式である。
【0003】冷却ドラムとサイド堰とは溶鋼漏れのないように密着させる必要がある。しかし、冷却ドラムは回転するためサイド堰との接触部は、常に摺動状態となり、摩耗しやすい。通常、この冷却ドラム端面と接触・摺動するサイド堰面にはBN等のセラミックプレートが付設される。このセラミックプレートが冷却ドラム端面と接触・摺動し摩耗することになるが(摩耗によって隙間を無くす意味もある)、摩耗速度を抑制するために、この接触箇所に潤滑剤を供給させる。
【0004】従来の潤滑剤の供給方法としては、特開平6−15416号公報に示す如く、サイド堰と接しない冷却ドラム端面の摺動領域では固体状態で、サイド堰との接触・摺動域では流動状態となる潤滑剤を溶射して、冷却ドラム端面の摺動領域全周に潤滑膜を形成する方法、特開平9−164452号公報のように、冷却ドラムとサイド堰との摺動面に粉体ノズルにより粉体潤滑剤を供給する方法、また、特開平9−108788号公報及び特開平9−295106号公報の如く、棒状の固体潤滑剤を冷却ドラム端面の摺動面に押し付けて供給する方法、等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の潤滑方法は、セラミックプレートの摩耗の低減を図り、安定した長時間の鋳造を行うという目的からみれば、いずれもある程度の効果を達成することが認められるが、さらなる冷却ドラムとサイド堰の長寿命化や双方の材質が硬質化された際のなじみ性と摩耗低減の観点から、より一層の性能向上が望まれている。
【0006】使用する潤滑剤が粉体である場合、粉体貯蔵用のためのタンク、粉体用気送装置、ON/OFF弁付き気送管などの大掛りな設備が必要とされ、経済面及び操業面で必ずしも有利とはいえない。また、粉体は、湿度が高くなると凝集して粉体同士が付着しやすくなりクラスターと呼ばれる固形物を形成し、気送管内やON/OFF弁などでの詰まりを引き起こしやすく,操業上の作業性が低下しやすい。
【0007】棒状固体潤滑剤の場合、押し付け機構だけでよいので供給装置が簡便であるという利点はあるが、付着させた潤滑剤がサイド堰に接触する際に掻き取られたり、サイド堰の振動により脱落したりする恐れがある。また、潤滑剤の供給装置の周囲の雰囲気温度は、鋳造中に250℃にまで達する場合があり、雰囲気温度によっては貯蔵している棒状固体潤滑剤同士もしくは棒状固体潤滑剤と供給装置との間で接着することによる設備トラブルが発生しやすいさらに、この雰囲気温度に耐えうるように、融点の高い棒状固体潤滑剤を用いると、必要な潤滑剤の供給量を達成できないという問題がある。
【0008】供給の容易性の点から、液状潤滑剤を用いることも考えられ、実際に鉱物油やグリースなどが試された例はあるが、潤滑供給部位から接触面入口に達する前に揮発・炭化して、安定した潤滑膜層の形成ができず、十分な潤滑効果が得られない問題がある。さらに、スプレー噴射の供給方式では、冷却ドラムの端面以外のところにも潤滑剤が吹き付けられるため、溶融金属が接触する冷却ドラムの表面に潤滑剤が回り込み、鋳片品質欠陥や操業トラブルを引き起こす可能性がある。さらに、ロールコーター方式による供給方法では、ロールコーター部では均一に冷却ドラム端面に潤滑剤を供給できるが、冷却ドラムの回転による遠心力のため、供給後に冷却ドラムの胴面に回り込み、前述と同じようなトラブルの発生が容易に予見される。
【0009】即ち、棒状固体潤滑剤および粉体潤滑剤を用いる場合には供給方法上の課題が、液状潤滑剤を用いる場合には潤滑効果の課題および供給量の制御方法の課題が存在する。
【0010】本発明は、これら棒状固体潤滑剤、固体粉末潤滑剤と液状潤滑剤の利点を活かす潤滑剤およびその供給方法の組合せによって、複雑な装置や作業を必要とせずに潤滑剤が冷却ドラム端面とサイド堰との間の摺動面に引き込まれ、サイド堰のセラミックプレートの摩耗を抑制し、安定した長時間鋳造を達成することを可能とする双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の(1)〜(11)である。即ち(1) 一対の回転冷却ドラムとサイド堰との間に形成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、冷却ドラムの端面とサイド堰との間の摺動面に潤滑剤を供給して潤滑を行う双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法において、熱硬化性を有する物質を含有する液状潤滑剤を、ドラム端面に供給することを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0012】(2) 前記(1)に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法において、固体粉末および熱硬化性を有する物質を含有する液状潤滑剤を、微粒子状でドラム端面に供給・付着させ、ドラム端面の熱をもって液状潤滑剤を熱硬化させることにより、固体粉末を含有する固形潤滑皮膜をドラム端面に形成させることを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0013】(3) 潤滑剤の微粒子の最大粒径が2mm以下であることを特徴とする前記(2)に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0014】(4) 微粒子状で供給される潤滑剤のノズルからの噴射量が、毎分0.1mL以上50mL以下であることを特徴とする前記(2)または前記(3)に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0015】(5) 潤滑剤を供給する際に、潤滑剤を噴射するノズルとドラム端面との間に、潤滑剤を供給する領域を限定するための穴のあいたスリット板を設置し、潤滑剤を供給することを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0016】(6) 潤滑剤を供給する際に、潤滑剤を微粉状に噴射するノズルの中心線の延長線上に、ドラム端面の中心よりも下側になり、かつ潤滑剤の噴射コーンの最外周部が、冷却ドラム端面の胴面側の端面エッジ部を越えないように、潤滑剤噴射ノズルの角度を変えて、潤滑剤を噴射することを特徴とする前記(2)〜(5)のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法である。
【0017】(7) 一対の回転冷却ドラムの端面とサイド堰との間の摺動面に供給して潤滑を行う双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤において、水を10重量%以上95重量%以下含有し、かつ固体粉末を5重量%以上60重量%以下含有し、さらに熱硬化性を有する物質を固体粉末の0.1倍から10倍までの範囲の配合比率で含有することを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造用液状潤滑剤である。
【0018】(8) 熱硬化性を有する物質が80℃以上の温度で熱硬化することを特徴とする前記(7)に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤である。
【0019】(9) 潤滑剤の粘度が40℃で1000cP(センチポアズ)以下であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤である。
【0020】(10) 固体粉末が、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、キッシュ黒鉛、土壌黒鉛、天然雲母、膨潤性を有する雲母、人造雲母、BN、酸化チタン、二硫化モリブデン、二酸化珪素、酸化アルミニウム、プラスチック粉末、二硫化タングステン、タルクのうちの1種もしくは2種以上を含むことを特徴とする前記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤である。
【0021】(11) 熱硬化性を有する物質が、アクリルスチレン系樹脂、フェノール系樹脂、メチルシクロヘキサンの1種もしくは2種以上を含むことを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれか1項に記載の双ドラム式薄板連続鋳造用潤滑剤である。
【0022】前述した課題を解決するための本発明に係る潤滑方法は、一対の回転冷却ドラムとサイド堰との間に形成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、溶融金属を冷却ドラムの回転周面で冷却、凝固させながら薄肉鋳片を製造する双ドラム式薄板連続鋳造における潤滑方法において、前記冷却ドラム端面の摺動面に熱硬化性物質および固体粉末を含有する潤滑剤を、最大粒径が2mm以下の微粒子状で冷却ドラム端面に供給することによって、冷却ドラム端面の摺動面に付着した潤滑剤を、ドラム端面の熱によって瞬間的に熱硬化させて、固体粉末を含有する固形潤滑皮膜を当該冷却ドラム端面に形成させることにより、冷却ドラム端面の摺動面に均一な潤滑膜を形成することを特徴とする。
【0023】また,本発明では潤滑方法に用いる液状潤滑剤として、水を10重量%以上、固体粉末を5重量%以上60重量%含有し、さらに熱硬化性を有する物質を固体粉末の0.1倍から10倍までの範囲の配合比率で含有する液状潤滑剤を用いることを特徴とする。
【0024】潤滑剤の成分は、操業条件にて決まる冷却ドラム端面の摺動長や摺動面の温度等により適宜最適な成分を選定すればよい。また、固体粉末、熱硬化性を有する物質、および水との配合比率に関しても、操業条件にて決まる潤滑供給部位から潤滑する摺動面までの間に固形潤滑皮膜を形成させるのに適した配合比率を選定すればよい。但し、通常の場合、固体粉末として黒鉛、黒鉛粉末の配合量として10〜30重量%、熱硬化性を有する物質としてアクリルスチレン系の有機樹脂を10〜20重量%、残りを水で構成される潤滑剤が好ましい。さらに、液状潤滑剤を微粒子状で安定して噴射・供給を行うため、液状潤滑剤の粘度は、40℃で1000cP以下のものを用いる必要がある。この粘度よりも大きいものは、流動性が悪く、ペースト(半固体状)状になるので、円滑な供給が困難である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形態例を用いて説明する。図2は一方のサイド堰側からみた双ドラム式薄板連続鋳造機の正面模式図であり、僅かなギャップ部を介在させて対向配置した一対の回転冷却ドラム1a,1bと、これらの端面に押し付けられて接触するサイド堰2aが示されている。本発明では、前記の冷却ドラム1a、1bがサイド堰2aと摺動・接触している範囲以外の冷却ドラム端面の円周上内にて潤滑剤が供給できるように、円筒状の潤滑供給装置6を配置している。この潤滑供給装置の設置位置としては、好ましくは溶鋼からなるべく離れたところがよいが、供給装置に特別な冷却機能が組み込まれていれば、例えば図2に示したような比較的溶鋼に近い場所に設置してもよい。
【0026】この潤滑供給装置の中には,潤滑剤を最大粒径2mm以下の微粒子状で供給するためのノズルが設置されている。ノズルの種類に関しては、本発明の潤滑剤の微粒子の最大粒径を2mm以下にし、かつ供給量(噴射量)が毎分0.1ccから毎分50ccの間に制御できるものであればよい。言うまでもなく、固体粉末が混合された潤滑剤を使用するので、ノズル詰まりを起こさないように、ノズルの穴径の選定の際には、用いる固体粉末の粒径を考慮して行う必要がある。通常、固体粉末の平均粒径は30μm以下のものを用いるのが好ましく、この平均粒径よりも大きな穴径をもつノズルを用いればよい。
【0027】本発明では、潤滑剤を供給する際には、潤滑剤を最大粒径が2mm以下の微粒子状にして、冷却ドラム端面に噴射しなければならない最大粒径が2mmよりも大きくなると、本発明の根幹である冷却ドラム端面に付着した潤滑剤を瞬間的に(供給場所からサイド堰との摺動面に達する前に)固形潤滑皮膜化させることが困難である。望ましくは、潤滑剤の最大粒径が1mm以下であることが好ましい。また、潤滑剤の供給量に関しては、毎分0.1ccよりも少ないと、想定しうる実操業条件において、冷却ドラム端面に付着し形成された固形潤滑皮膜の膜厚が、冷却ドラム端面もしくはサイド堰のセラミックプレートの粗度(Rz(十点平均粗さ(JIS B 0601),通常用いられる単位はμm)等)よりも小さくなり、目的とするセラミックプレートの損耗を防止することが困難となる。
【0028】潤滑剤の供給量が毎分50ccを越えると、潤滑剤が冷却ドラムの端面、つまり摺動部だけでなく冷却ドラムの胴面にまで回り込み、鋳片品質などへ悪影響を及ぼす他、供給した潤滑剤をすべて瞬間的に固形化させることが困難になる。発明者らの実験によると、ノズル先端部における潤滑剤の供給量(噴射量)は毎分0.5ccから毎分20cc程度が最も好ましい。
【0029】本発明の潤滑剤および潤滑方法で市販のノズルから噴射すると、多くの場合、図4に示すように、潤滑剤を供給する冷却ドラムの端面の幅以上に噴射コーンが広がる。従って、このような状態で潤滑剤を使用すると冷却ドラムの端面だけでなく、冷却ドラムの胴面(溶鋼と接触する部分)にまで潤滑剤が供給され、鋳片品質に悪影響を及ぼしやすい。さらに、潤滑剤の供給量を少なくすると、ノズル詰まりなどのトラブル発生確率が大きくなる上に、潤滑剤を微粉状で噴射しにくくなり、ノズルから噴射される潤滑剤の噴射コーンの中心部は微粒子状ではなく液体状となりやすい。これでは、本発明の目的とする効果を得るのは困難である。
【0030】そこで、どんなノズルを用いても、言い換えると、どんな潤滑剤の噴射コーンでも、冷却ドラム端面だけに潤滑剤が供給されるように、図5に示すように、潤滑剤を噴射するノズルと冷却ドラム端面との間に、潤滑供給領域に相応の穴が空いた板(スリット板)を設置して、潤滑する冷却ドラム端面にのみ潤滑剤が供給されるようにする。潤滑剤の供給領域(供給面積)は、このスリットの穴面積や穴形状、および設置位置(ノズル先端からの距離など)によって制御可能である。
【0031】さらに、どんな潤滑剤供給量、とりわけ少量の潤滑剤(ここでは約毎分5cc程度を想定)を微粒子状で安定して供給するために、図6に示すように、ノズルの中心線の延長線が冷却ドラム端面の中心線よりも下側にくるようにノズルを設置することによって、ノズルから噴射している潤滑剤の量は毎分10cc以上でも、実際に冷却ドラム端面に噴射される潤滑剤の量は、毎分5cc以下にすることが可能になる。実際に冷却ドラム端面に噴射される潤滑剤の量の調整は、ノズルの中心線の延長線と、冷却ドラムの端面の中心線とのずれ(差異,図6のL)の大きさで制御することが可能である。
【0032】ただし、潤滑剤が冷却ドラム胴面側に回り込まないように、潤滑剤の噴射コーンの最外周部を越えないように、ノズルを傾ける角度の調節や、潤滑剤の供給量および噴霧用の気体の圧力を調整する必要がある。また、少量噴射する場合、噴射コーンの中心部よりも、噴射コーンの周辺部から噴射される潤滑剤の方が、微粒子状になりやすく、本発明にあるような固形化皮膜を瞬時に形成するのに重要な、潤滑剤を微粒子状で供給することが容易に実現可能である。
【0033】この方法を用いると、ノズルから噴射された潤滑剤のほんのわずかな量(例えば全噴射量の1/5等)しか、実際に潤滑剤として機能しないが、本発明の目的とするサイド堰のセラミックプレートの摩耗低減効果や長時間鋳造が可能になることで、潤滑供給時の歩留の小さいことが、経済的な観点で問題になるようなことは無い。
【0034】図3は冷却ドラムに対する潤滑剤の供給装置の設置例を示すものである。冷却ドラムの端面と潤滑剤供給装置との間には、ある程度の隙間をあけて設置する。これは、極端に近接すると潤滑剤の供給時に冷却ドラム端面にあたった潤滑剤が跳ね返って、供給装置に付着し、ノズル先端の噴射口を防ぐように潤滑剤が固形化する場合があるためである。しかし、極端に供給装置と冷却ドラム端面との距離を大きくすると、冷却ドラム端面以外のところにも潤滑剤が供給され、潤滑剤の歩留が悪くなるだけでなく、前述した胴面への回り込みが発生し、鋳片品質に悪影響をおよぼす場合があるためである。好ましくは、胴面への回り込みを防ぐために。冷却ドラムと潤滑剤供給装置との間にマスキング板などを設置して、胴面への潤滑剤の回り込みを防止するとともに、潤滑供給領域を限定するようにすることが好ましい。
【0035】潤滑剤を構成する主成分の一つである固体粉末には、冷却ドラムとサイド堰との摩擦熱や溶融金属からの伝熱に対して耐久性のある材料を選択する必要があり、例えば、今までBN,タルク、黒鉛、雲母、二硫化タングステン、二硫化モリブデン等が用いられているが、この中でも特に黒鉛が潤滑性および経済性の観点から最も好ましい。もちろん、黒鉛にさらに別の固体粉末を適宜組合せて、操業に最適なサイド堰のセラミックプレートの損耗速度および摩擦係数を狙ったものを用いてもよい。また、潤滑剤のもう一つの主成分である熱硬化性を有する物質として、アクリルスチレン系の有機樹脂や、フェノール系有機樹脂など、80℃以上の温度で熱硬化するものであれば、何でもよい。80℃以上で熱硬化性を示さないと、冷却ドラム端面に蓄熱される熱によって、微粒子状で供給された潤滑剤を固形潤滑皮膜化させることができない。
【0036】
【実施例】(試験条件)
・冷却ドラム端面のリング状摺動面:リング直径300mm,リング幅10mm・セラミックプレート:BN50%及びAlN50%(幅30mm・長さ150mm・厚さ15mm)・摺動速度(冷却ドラム回転速度):60m/min・摺動面圧(サイド堰押付け圧力):6kg/cm2・ 摺動面温度:500℃〜600℃・ セラミックプレート温度:800℃〜1100℃・潤滑剤:水65重量%,黒鉛粉末(平均粒径15μm)20重量%,熱硬化性物質(アクリルスチレン樹脂)15重量%の室温レベル(50℃以下)で液状物質のもの・潤滑剤供給条件:気液2流体ノズルによる微粉状噴霧方式にて供給。
供給量:毎分5cc,微粉化するための気体:空気,液体搬送機:ポンプ、ドラム胴面側への回り込みを防ぐため,図3に記載のマスキング板を設置し、端面(摺動面)にのみ潤滑剤がかかるようにした。
【0037】(試験結果)上記の試験条件を基本条件とし、■潤滑剤の添加成分比率、■微粒子状供給か液供給、■潤滑剤の供給量、■潤滑剤の種類を変えて、冷却ドラムとサイド堰の摺動試験を行った。その結果を表1に示す。本発明に係る実施例(備考欄に本発明と明記)が、比較例(備考欄に比較例と明記)に比べセラミックプレートの摩耗速度が小さく、摩擦係数も低くなることが分かる。従って、本発明の潤滑方法が、従来の潤滑方法よりも遙かに優れた効果をもたらすことがわかる。
【0038】
【実施例2】(試験条件)
・冷却ドラム端面のリング状摺動面:リング直径300mm,リング幅10mm・セラミックプレート:BN50%及びAlN50%(幅30mm・長さ150mm・厚さ15mm)・摺動速度(冷却ドラム回転速度):60m/min・摺動面圧(サイド堰押付け圧力):6kg/cm2・ 摺動面温度:500℃〜600℃・ セラミックプレート温度:800℃〜1100℃・潤滑剤:水65重量%,黒鉛粉末(平均粒径15μm)20重量%,熱硬化性物質(アクリルスチレン樹脂)15重量%の室温レベル(50℃以下)で液状物質のもの・潤滑剤供給条件:気液2流体ノズルによる微粉状噴霧方式にて供給。
供給量:毎分20cc,微粉化するための気体:空気,液体搬送機:ポンプ。
【0039】(試験結果)上記の試験条件を基本条件とし、■スリット板の有無、■ノズル設置角度(ノズル中心線と冷却ト゛ラム端面の中心線との差異(L))の大きさを変えて、冷却ドラムとサイド堰の摺動試験を行った。その結果を表2に示す。本発明に係る実施例(備考欄に本発明と明記)が、比較例(備考欄に比較例と明記)に比べセラミックプレートの摩耗速度が小さく、摩擦係数も低くなり、しかも、冷却ドラムの胴面側に潤滑剤が回り込むことが無いことが判明した。
【0040】
【発明の効果】本発明に係る潤滑方法によれば、従来では双ドラム式薄板連続鋳造における冷却ドラム端面とサイド堰との間の摺動面に最適な潤滑が施され、サイド堰の摺動耐火物(セラミックプレート)の損耗(摩耗)を低減し、安定した長時間の連続鋳造が可能になる。また、本発明に係る潤滑方法は、上記のプロセス以外にも、乾燥状態で、かつ潤滑対象物の潤滑供給部の最高温度が250℃以下の物質に対しても同様の効果が得られ、広く汎用可能な潤滑技術となるものである。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】





 

 


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