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発明の名称 表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−87841(P2001−87841A)
公開日 平成13年4月3日(2001.4.3)
出願番号 特願平11−267497
出願日 平成11年9月21日(1999.9.21)
代理人 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004 DA13 DB16 QA03 QA20 SD02 
発明者 瀬々 昌文 / 諸星 隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質で表面にコーティング層を形成した一対のロールを間隔を有して配置して、ステンレス溶鋼を連続鋳造することを特徴とする表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法。
【請求項2】 請求項1記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法において、前記δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質はMgOあるいはMgOを含む酸化物であることを特徴とする表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法。
【請求項3】 請求項1又は2記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法において、前記コーティング層の厚みを1〜5000μmにしていることを特徴とする表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法において、前記ステンレス溶鋼にはクロムが10〜20重量%含まれていることを特徴とする表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一対のロールを用いて薄肉鋳片を連続して鋳造する表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、耐食性に優れており、美しい光沢を長期間にわたり保ち続けること、比較的安価であること等から、厨房器具や家電製品等に広く使用されている。このステンレス鋼板は、転炉や電気炉等を用いてクロムやニッケルを含有する溶鋼を溶製し、真空精錬を行った後、一対のロールを用いて薄肉鋳片を連続鋳造し、この鋳片に圧延等の加工を施して鋼板が製造される。しかし、ステンレスの薄肉鋳片には、連続鋳造の際に、表面に割れが発生するので、研削等の手入れを行って除去することが行われている。この割れが大きい場合には、発生した部位の薄肉鋳片を切断して除去し、切断部を屑化するため、良製品の歩留りが低下したり、薄肉鋳片の品質が低下する等の問題がある。この対策として、特開平5−185188号公報には、間隔を有する一対の回転するロールを配置し、このロールで溶融金属を冷却して金属薄帯(薄肉鋳片)を連続鋳造する際に、ロール表面にTiN、TiC、Ti(CN)等をコーティングすることが記載されており、薄肉鋳片の耐焼き付き性や耐磨耗性を改善して、疵の発生を防止している。また、特開平1−83342号公報には、ロール表面にくぼみを形成し、このくぼみによって溶鋼の冷却を緩和して薄肉鋳片を鋳造することが記載されており、冷却の均一化により割れの少ない薄肉鋳片を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平5−185188号公報では、薄肉鋳片の焼き付きをTiN、TiC等のコーティング層により防止できるが、薄肉鋳片の初期に凝固する凝固殻の凝固組織が大きくなり、薄肉鋳片に表面割れが発生する。更に、溶鋼との濡れ性や耐磨耗性を有する金属をコーティングに用いているため、ロールに接した溶鋼が急冷却され、凝固過程の収縮応力により割れや板反り等が生じる。また、特開平1−83342号公報では、ロール表面にNiメッキを施し、ロール表面に接する溶鋼との熱伝達係数を0.018(cal/cm2 ・S・℃)以下にしているため、溶鋼が緩冷却となり、凝固組織が大きくなり、特開平5−185188号公報に記載の方法と同様の問題が発生する。このように、いずれの方法にも、凝固組織を安定して微細にし薄肉鋳片の表面に発生する割れや内部の偏析等を防止するための具体的な方法についての記述がなく、薄肉鋳片の割れ等をより安定して防止する鋳造方法が望まれている。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、薄肉鋳片の凝固組織を微細にして、表面に発生する割れや偏析等を防止することができる表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法は、δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質で表面にコーティング層を形成した一対のロールを間隔を有して配置して、ステンレス溶鋼を連続鋳造する。この方法により、コーティング層に接した溶鋼が凝固する際に、δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質(凝固核生成物質)が凝固核として作用し、コーティング層に接した凝固殻の凝固組織を微細にすることができ、表面に発生する割れや偏析を防止することができる。なお、δフェライトとの格子整合度とは、溶鋼が凝固して生成される結晶核の格子定数とコーティング層に含まれる物質の格子定数の差を溶鋼の結晶核の格子定数で除した値である。
【0006】ここで、前記δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質をMgOあるいはMgOを含む酸化物にすることができる。これにより、凝固核としての働きが強められ、薄肉鋳片の凝固組織を微細にすることができる。
【0007】更に、前記コーティング層の厚みを1〜5000μmにすることが好ましい。コーティング層を所定の厚みにしているので、コーティング層の強度を強くして、コーティング層の剥離や欠損を防止し、溶鋼を緩冷しながら凝固させることにより、凝固核生成物質を凝固核として十分に作用させることができ凝固殻を微細な凝固組織にすることができる。なお、コーティング層の厚みが1μmより小さいと、溶鋼に接触した際に凝固核として働くMgOを表面に多量に露出できず、薄肉鋳片の凝固組織が粗大化したり、コーティング層が薄くなって強度が低下し、剥離等を招く。一方、コーティング層の厚みが5000μmより厚くなると、ロールによる抜熱が低下して溶鋼の凝固が悪くなり、鋳造速度が遅くなって生産性が低下する。
【0008】また、前記ステンレス溶鋼はクロムを10〜20重量%にすることができる。これにより凝固組織が粗大化して表面割れの生じ易いステンレス溶鋼の凝固組織を微細にして、薄肉鋳片に発生する表面や偏析等の欠陥を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。図1は本発明の一実施の形態に係る表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法に用いる双ロール式鋳造装置の概略図、図2は薄肉鋳片の凝固組織の生成過程を表す模式図である。本発明の一実施の形態に係る表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法に用いる双ロール式鋳造装置10は、内部が水冷構造となって回転し、表面にはδフェライトとの格子整合度が5%以下の物質の一例であるMgOを含む酸化物からなるコーティング層13、14を設けた一対のロール11、12を有しており、このロール11、12を5〜30mmの間隔を持って配置し、ステンレス溶鋼(以下溶鋼という)15を浸漬ノズル16からロール11、12の間、すなわちコーティング層13、14の間に鋳湯して連続鋳造を行っている。ロール11、12の両端部には、図示しないサイド堰を設けており、ロール11、12の空間部に溶鋼15が溜まって形成された湯溜まり部17の溶鋼15が流れ出ないようにしている。なお、符号18は、溶鋼15が初期に凝固した凝固殻であり、符号19は、ロール11、12の表面のコーティング層13、14の間を通過する際に冷却されて溶鋼15が凝固した薄肉鋳片である。
【0010】次に、双ロール式鋳造装置10を適用した本発明の一実施の形態に係る表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法について説明する。溶鋼15は、転炉あるいは電気炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量%程度に脱炭精錬した後、真空二次精錬を行い、Cが0.003〜0.050重量%、Crが10〜20重量%に調整され、必要に応じてSi、Mn等を添加している。この溶鋼15を表面にコーティング層13、14が形成されたロール11、12間の空間部に、浸漬ノズル16により注湯する。ロール11、12間の空間部の下方は、鋳造を開始するまで図示しないダミーバーにより閉鎖しているので、溶鋼15の湯溜まり部17が形成される。そして、引き続き浸漬ノズル16から注湯を行いながら、ロール11、12を回転させ、ロール11、12によって、溶鋼15を冷却し、凝固殻18を生成する。ダミーバーは、ロール11、12の回転の開始と共に下降する。更に、ロール11、12による冷却と、ロール11、12を出てから水や空気等の冷却により、全てが凝固した薄肉鋳片19が連続して鋳造される。
【0011】コーティング層13、14は、δフェライトとの格子定数が5%以下の物質として、MgOの単体、あるいはMgAlO4 、TiN、TiC、CeO2 、ZrO2 等、又はこれ等二種以上からなるMgOを含む酸化物をコーティングしたものである。従って、図2に示すように、コーティング層13、14の表面には、MgOを含む酸化物20が多数露出しており、溶鋼15がこのMgOを含む酸化物20に接触してロール11、12からの抜熱によって、冷却されることにより凝固殻18が生成する。MgOを含む酸化物20は、MgOの格子定数0.4213nm(ナノメータ)が、δフェライト(δ−鉄)の格子定数0.4054nm(ナノメータ)に極めて近いために、凝固核(この核を起点に溶鋼が最初に凝固する)として作用する働きがある。溶鋼15は、この凝固核を起点にして凝固を開始し、そのまま微細な等軸晶21が形成される。しかも、引き続き凝固する内部方向の凝固組織も比較的小さい等軸晶22を形成することができる。その結果、薄肉鋳片19の表層の凝固組織を微細な等軸晶21にしているので、急冷されて凝固する際に発生する表面の割れを防止することができ、研削等の手入れや屑化等の必要がなくなる。しかも、ロール11、12からの抜熱を抑制でき、溶鋼15の冷却を緩冷にできるので、ポロシティや偏析等の無い良品質の薄肉鋳片19を製造することができる。このMgOを含む酸化物20のコーティング層13、14における密度は、MgOを含む酸化物20がコーティング層13、14の表面に露出した際に、含有量等を調整して各粒が不連続状態になるようにするとより好ましい結果が得られる。
【0012】コーティング層13、14を形成するには、陰極と陽極間に発生したアーク電流にアルゴンガスやヘリウムガスを搬送してプラズマガスを生成し、ここに溶射剤を供給して噴射ノズルから吹き付けるプラズマ方式、あるいはアセチレンガスと酸素等を供給して燃焼させながら溶射剤を溶融して吹き付けるガス方式、レーザ光を用いて溶射剤を溶融して吹き付けるレーザ方式等一般に用いられている溶射方法を適用することができる。前記何れかの溶射方法により、ロール11、12の表面に1〜5000μmの厚みにコーティング層13、14を形成する。このコーティング層13、14は、厚みが薄くなるとロール11、12の表面を十分に覆うことができず、溶鋼15と接触するMgOを含有する酸化物20が不足し、厚くなり過ぎるとロール11、12による抜熱が悪くなり、鋳造速度が遅くなって生産性が低下するので、厚みを5〜1000μmにするとより好ましい結果が得られる。また、コーティング層13、14に含まれるMgOの含有量は、5重量%以上にすることにより、前記のように最初に微細な等軸晶21を効率良く生成すことができる。MgOの含有量が5重量%より少ないと、溶鋼15と接するMgOが減少して凝固組織を微細にすることができない。この理由から、MgOの含有量を10重量%以上にするとより好ましい結果が得られる。なお、Niを含むオーステナイト系のステンレス鋼のうち凝固初晶がフェライトになるものについても有効であり、具体的には例えばSUS404等において、前記と同様の表層の微細化組織とその効果を発現することができる。
【0013】このようにして、ロール11、12及びコーティング層13、14からの抜熱により冷却されて凝固した薄肉鋳片19は、10〜100m/分の速度で引き抜かれ、コイルに巻き取られてから後工程に搬送される。
【0014】
【実施例】次に、表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法の実施例について説明する。まず、転炉あるいは電気炉等でクロム合金を添加し、Cを0.60重量%程度に脱炭精錬した後、真空二次精錬を行なってCを0.07重量%、クロムを13重量%にしたステンレス溶鋼を溶製し、10μmの厚みのコーティング層が表面に形成されたロールを用いて、50m/分の引き抜き速度で連続鋳造を行い、薄肉鋳片の凝固状態及び表面割れ、総合評価を調査した。その結果を表1に示す。実施例1は、MgOを10重量%含み残部をサーメット系としたコーティング層を形成した場合であり、十分に溶鋼を冷却して正常な凝固殻を形成でき、凝固殻の破れ等のトラブルが無く(○)、薄肉鋳片の表面に割れの発生も無く(○)、総合評価は良い(○)結果が得られた。実施例2は、MgOを20重量%、残部がTiNのコーティング層を形成した場合であり、十分に溶鋼を冷却して正常な凝固殻を形成でき、凝固殻の破れ等のトラブルが無く(○)、薄肉鋳片の表面に割れの発生が全く無く(◎)、総合評価は優れた(◎)結果が得られた。実施例3は、MgO・Al23 のコーティング層を形成した場合であり、十分に溶鋼を冷却して正常な凝固殻を形成でき、凝固殻の破れ等のトラブルが無く(○)、薄肉鋳片の表面に割れの発生が無く(○)、総合評価は良い(○)結果が得られた。
【0015】
【表1】

【0016】これに対して、比較例1は、全くコーティング層を形成しなかった場合であり、溶鋼が過冷却になり、薄肉鋳片の表面に割れが発生し(×)、総合評価は悪い(×)結果となった。比較例2は、サーメットをコーティングし、ロールの耐磨耗性を向上させ、緩冷却を行った場合であり、溶鋼をある程度緩冷却することはできた。しかし、薄肉鋳片の凝固組織が粗大になり、表面に割れが発生し(×)、総合評価は悪い(×)結果となった。
【0017】以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。例えば、金属酸化物と窒素化合物と金属との混合物からなるサーメットに金属Mgを添加するか、金属酸化物の一部としてMgOを添加する。又は、金属MgあるいはMgOの粒と、Al23 、ZrO2 、TiN、CeO2 等の一種あるいは二種以上を配合したものをコーティング剤として用いることができる。更に、双ロールの他に、単ロール鋳造のロール表面やベルト式連続鋳造のベルトの表面に前記のコーティング層を適用することもできる。
【0018】
【発明の効果】請求項1〜4記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法においては、δフェライトとの格子整合度が5%以下の物質で表面にコーティング層を形成した一対のロールを間隔を有して配置して、ステンレス溶鋼を連続鋳造するので、薄肉鋳片の凝固組織を微細にし、薄肉鋳片の表面に発生する割れを抑制でき、研削等の手入れや屑化等を防止して、良製品の歩留りを向上することができる。しかも、薄肉鋳片を緩冷却により製造するので、ポロシティ等の偏析を防止することができる。
【0019】特に、請求項2記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法においては、δフェライトとの格子整合度5%以下の物質をMgOあるいはMgOを含む酸化物にしているので、薄肉鋳片の凝固殻の組織をより微細にすることができ、表面に発生する割れを安定して防止することができる。
【0020】請求項3記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法においては、コーティング層の厚みを1〜5000μmにしているので、溶鋼を緩冷却して微細な凝固殻にすることができ、内部に発生するポロシティや偏析等を防止し、しかも、鋳造速度を速くして生産性を高めることができる。
【0021】請求項4記載の表面品質に優れた薄肉鋳片の連続鋳造方法においては、ステンレス溶鋼にクロムを10〜20重量%含ませているので、粗大化し易い溶鋼を微細な凝固組織にすることができ、表面割れや偏析等の欠陥を確実に防止することができる。




 

 


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