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発明の名称 金属板のレーザ溶接方法および構造体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−62575(P2001−62575A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−238665
出願日 平成11年8月25日(1999.8.25)
代理人 【識別番号】100068423
【弁理士】
【氏名又は名称】矢葺 知之 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4E068
【Fターム(参考)】
4E068 BA01 BF01 DA14 DB01 
発明者 南田 勝宏 / 及川 昌志 / 浜田 直也
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 重ね合わせた2枚の金属板をレーザ溶接する方法において、閉曲線に沿いナゲット径/ピッチ≧0.5とし複数のナゲットを形成するようにしてレーザスポット溶接することを特徴とする金属板のレーザ溶接方法。
【請求項2】 ナゲットが直線または曲線に沿って並ぶようにレーザスポット溶接し、前記閉曲線内に前記直線または曲線を含むようにして請求項1記載のレーザスポット溶接を行う金属板のレーザ溶接方法。
【請求項3】 溶接線が直線または曲線の溶接部の両端部に、それぞれ請求項1記載のレーザスポット溶接を行う金属板のレーザ溶接方法。
【請求項4】 請求項1、2または3記載のレーザ溶接方法によるスポット溶接部を含む構造体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属板のレーザ溶接方法に関し、特に熱歪みの防止と溶接強度の確保とを両立させた金属板のレーザ溶接方法、およびその溶接方法による構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ溶接は、加工歪みが少なく、高速溶接が可能であり、残留熱影響部も少ないなどの利点がある。このような利点から、レーザ溶接は最近広く用いられるようになって来ており、様々なレーザ溶接方法が提案されている。
【0003】2枚の金属板を重ね合わせてレーザ溶接する技術として、例えば特開平8−206864号公報で開示された「レーザ加工機」は、レーザビームを直線状に集光する工学系を回転させて大面積の円形状のスポット溶接部を得るものである。この「レーザ加工機」では、接合箇所を大きく溶融させるため、溶接1点に対する入熱量が大きく、熱歪みの発生は避けられない。このため、残留応力による溶接部強度低下および構造体の精度低下を生じる。特開平5−177375号公報で開示された「レーザビームスキャナ」は、溶接線幅を広くするために、光学系の一部を回転させながら、直線上に加工物を移動させるものである。この「レーザビームスキャナ」では、直線進行ベクトルと円周方向の速度ベクトルとが溶接線の左右で異なるため、安定した溶接部を得ることができない。特開平7−309138号公報で開示された「ヘムフランジ溶接法」は、鉄アレイ状の溶接部を得るために、プラズマ溶接とレーザ溶接を複合した溶接方法である。この「ヘムフランジ溶接法」では、プラズマ溶接法は大面積となるが、エネルギー密度が低いため、両端部での入熱量が大きい。このため、熱歪みの発生は避けられず、残留応力による溶接部強度低下および構造体の精度低下が生じる。
【0004】また、2枚の金属板を重ね合わせ、直線に沿ってレーザスポット溶接し、構造体を構成することが行われている。構造体には、引張、剪断、曲げ、ねじりなど様々な負荷状態が複合して荷重が加わり、複合した応力が不均一に発生する。単純な引張応力であれば、接合面積に比例した強度が得られる。しかし、このような複合応力により、ナゲットが直線状に並ぶスポット溶接部のある点で局所的に高い応力が発生して破断応力を超えると、その点で破断する。そして、その隣接点に応力が加わる。例えば、高応力点の応力を10とし、隣接点の応力を8とする。高応力点が破断すると、隣接点は応力が8+10/2となって破断し、以下雪崩式にスポット溶接部が破断する。特にスポット溶接では、溶融凝固金属と母材との間に低強度の熱影響部が形成され、熱影響部が破断しやすい。破断を防ぐためナゲット数を増すと、熱歪みが累積し、残留応力も大きくなり、強度および構造体精度の低下を招くこともある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、熱歪みを低減し、溶接部強度の低下および構造体の精度低下を防ぐことができる金属板のレーザ方法、およびその溶接方法による構造体を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の金属板のレーザ溶接方法は、重ね合わせた2枚の金属板をレーザ溶接する方法において、閉曲線に沿いナゲット径/ピッチ≧0.5とし複数のナゲットを形成するようにしてレーザスポット溶接する。
【0007】この発明の金属板のレーザ溶接方法では、ナゲットが閉曲線に沿って形成されているので、1点当りの耐荷重が大きいため雪崩式の破断を阻止することができる。特にこの発明では、ナゲット径/ピッチ≧0.5としているので、破断阻止効果は大きい。一般に、ある1点の周囲に発生する応力は、点の直径と間隔に関連がある。点の間隔が無限大とななれば、点の周囲に発生する応力は周囲の3倍程度となる。この発明のようにナゲット径/ピッチ≧0.5とすれば、2倍程度以下となる。強度の向上によりナゲット、つまり低強度の熱影響部を減らすことができる。この結果、従来法に比べて熱歪みを低減することができ、構造体の精度を高めることもできる。
【0008】ナゲットが直線または曲線に沿って並ぶようにレーザスポット溶接し、前記閉曲線内に前記直線または曲線を含むようにして前記閉曲線に沿うレーザスポット溶接を行うようにしてもよい。閉曲線に沿うナゲット群は、直線または曲線ナゲット群の強度を補強する。
【0009】また、溶接線が直線または曲線の溶接部の両端部に、それぞれ前記閉曲線に沿うレーザスポット溶接を行うようにしてもよい。直線または曲線状溶接部の端部に生じる集中する応力を、端部のナゲット群により負担して分散し、応力集中を緩和する。
【0010】この発明の構造体は、前記閉曲線に沿うレーザスポット溶接部を含む構造体である。閉曲線に沿うレーザスポット溶接部は上述のように高い強度を示すので、構造体の強度および精度を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1(a)〜(d)はそれぞれこの発明の実施の1形態を示すもので、円周に沿ってレーザスポット溶接した円形ナゲット群の拡大図である。図1(a)に示す円周の直径は6mm、(b)は4mm、(c)は3mm、(d)は2mmである。ナゲット 径は0.5mmである。ナゲット数はいずれも24であり、円周の直径が小さくなるに従いナゲットのピッチは小さくなっている。(b)では、隣り合うナゲットはほとんど接している。この発明で用いられるピッチはナゲット径の1/2以下であり、これを超えると十分な接合強度を得ることができない。なお、円周の直径Dは、0.3nd/π<D<2nd/π程度である。nは、ナゲット数である。例えば、直径Dは3〜15mmであり、ナゲット径は0.2〜1mmである。ナゲット数は円周の直径およびナゲットのピッチによるが、概ね10〜100程度である。
【0012】図2は、従来法によるナゲット群の1例を示すもので、直線に沿って2列に並ぶ直線ナゲット群の拡大図である。この発明と比較するために、ナゲット径およびナゲット数は、図1に示すものと同じである。同一列で隣り合うナゲット間のピッチは5mmであり、列間隔は8mmである。
【0013】スポット溶接部は剥離に対し弱いので、一般にスポット溶接部の強度試験として剥離試験が行われている。図3は、剥離試験片を示している。L字形に曲げた2枚の金属板1をスポット溶接して、剥離試験片を作製する。この試験片を引き剥がすように引張って、2枚の板が剥離したときの荷重をスポット溶接部の強度とする。図3で、直線ナゲット群5の試験片は従来法によるものである。同図で、一点鎖線は発明による円形ナゲット群3を示している。
【0014】図4は、この発明と従来法とを比較して、スポット溶接部の剥離試験結果を模式的に示している。この出願の発明の場合、ほぼ半円周上のナゲット群で剥離力を負担するので、変位に対し応力は単純に増加しする。従来法の場合、直線ナゲット群のうち一端(剥離側)のナゲットで剥離荷重を負担し、剥離側のナゲットが破断すると、雪崩式に残りのナゲットが破断する。このため、応力が鋸の刃状に変化している。
【0015】この発明の閉曲線は、円に限られるものではなく、例えば図5(a)に示す楕円、または(b)に示す小判形であってもよい。また、半円や多角形であってもよい。円形の場合は、あらゆる方向に均等な強度を示す。楕円または小判形の場合は、短径方向が剥離側に向かうように、ナゲット群を配置するとよい。
【0016】閉曲線の形状、閉曲線の直径、ナゲット径、ナゲット数などは、構造体のスポット溶接部に作用するに荷重の負荷状態に応じて選ぶ。なお、閉曲線が楕円または小判形の場合には長径と短径とを閉曲線の直径とし、多角形の場合には頂点と対辺との間の距離の最大値を閉曲線の直径とする。
【0017】レーザスポット溶接では、融接型ナゲットが形成される。図6に示すように、ナゲットが2枚の板を貫通させずに、重ね合わせた金属板の下側の板が接合部である程度溶融しておればよい。所要の溶接強度を得るためには、板表面のスポット径Aに対する接触部での溶融部径Bの比は、0.4〜0.8程度とすることが望ましい。また、下側の板の溶込み深さhは、下側の板厚tの0.3〜0.6倍程度とすることが望ましい。ナゲットを2枚の板を貫通させないことにより、溶接入熱量が少なくて済む。この結果、レーザ出力を低くすることができる。また、熱影響部が小さくなるので、溶接接合部の強度および構造体の精度を高めることができる。
【0018】図7は、2列の直線ナゲット群に相当する部分に、2つの円形ナゲット群を配置した例を示している。入熱量が同じである場合、この発明の円形ナゲット群は直線ナゲット群に比べて数倍の強度を示す。
【0019】図8は、2列の直線ナゲット群5と円形ナゲット群3とを組み合わせた例を示している。円形ナゲット群3は、直線ナゲット群5の強度を補強する。
【0020】図9(a)は、溶接線が直線の溶接部7の両端に円形ナゲット群3を配置した例、図9(b)は三角形のナゲット群8を配置した例、および図9(c)は半円のナゲット群9を配置した例をそれぞれ示している。いずれの例でも、直線状溶接部7の端部に生じる集中する応力を、端部のナゲット群により負担して分散し、応力集中を緩和する。図9では溶接線が直線であったが、構造体の形状に従って曲線となった溶接線であってもよい。
【0021】この溶接方法による溶接部を含む構造体は、鉄道車輌、船舶、容器、建築部材などに用いられる。例えば、自動車ドアの縁部などにこの発明のスポット溶接が適用される。
【0022】
【実施例】(実施例1)下記の条件で重ね合わせた金属板のスポット溶接を行い、剥離試験を行った。
1.スポット溶接条件a.材質:SUS304 板厚1.0mmおよび1.5mmb.レーザ溶接条件レーザの種類:パルス発振YAGレーザ伝送光学部品:直径0.8mmの光ファイバ集光光学部品:焦点距離50mmの光学レンズパルス幅 :10msecパルスエネルギー:20J/Pレーザ発振出力:500Wアシストガス:ヘリウム、供給量 50 l/minc.ナゲット群形状従来法:ナゲットピッチ5mm、列間隔8mmで2列、ナゲット群長さ60mmナゲット数26本発明:円周径8mm ナゲット数262. 試験結果a.溶接時間従来法:1.04秒本発明:1.04秒b.入熱量従来法:20J/P ×26点=520J本発明:20J/P ×26点=520Jc.強 度従来法:最大25kgf本発明:最大180kgfd.強度/入熱量従来法:0.048kgf/J本発明:0.346kgf/Je.破断形態従来法:鋸状(1点が破断すると、次々と破断が伝播する)
本発明:直角三角形形状(最大荷重で破断する)
上記試験結果によれば、本発明が従来法に比べて7.2倍の高い強度を示している。また、本発明の溶接時間および入熱は従来法のものと同じであるので、本発明が従来法に比べて経済的に有利である。
【0023】(実施例2)
1. スポット溶接条件a.材質:SUS304 板厚0.8mmおよび1.5mmb.レーザ溶接条件レーザの種類:パルス発振YAGレーザ伝送光学部品:直径0.8mmの光ファイバ集光光学部品:焦点距離50mmの光学レンズパルス幅 :20msecパルスエネルギー:30J/P 、40J/Pレーザ発振出力:500Wアシストガス:ヘリウム、供給量 50 l/minc.ナゲット群形状従来法:ナゲットピッチ2mm、列間隔8mmで2列、ナゲット群長さ35mmナゲット数36本発明:円周径8mm ナゲット数362.試験結果a.溶接時間従来法:1.44秒本発明:1.44秒b.入熱量従来法:40J/P ×36点=1440J本発明:30J/P ×36点=1080Jc.強 度従来法:最大30kgf本発明:最大237kgfd.強度/入熱量従来法:0.021kgf/J本発明:0.219kgf/Je.破断形態従来法:鋸状(1点が破断すると、次々と破断が伝播する)
本発明:直角三角形形状(最大荷重で破断する)
上記試験結果によれば、本発明が従来法に比べて7.9倍の高い強度を示している。また、単位入熱量当りの強度は、本発明が従来法に比べて10.4倍となっており、本発明が従来法に比べて経済的に有利である。
【0024】円周に沿いナゲットを連続して形成すると、レーザのパルスとパルスの時間間隔が20〜50msec程度のため、先行するナゲットの蓄熱影響で後ろのナゲットは大きくなる。同じ接合面積を得るには、ナゲットを連続させて蓄熱効果を利用すると、入熱が少なくて済み、これだけ経済的効果があることになる。
【0025】
【発明の効果】この発明では、閉曲線に沿うナゲット群が直線ナゲット群よりも多くのナゲットで荷重を負担するので、強度は従来の直線ナゲット群よりも高い。強度の向上によりナゲット、つまり低強度の熱影響部を減らすことができる。この結果、従来法に比べて熱歪みを低減することができ、構造体の精度を高めることもできる。




 

 


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