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発明の名称 高性能排気ガス浄化用担体およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−870(P2001−870A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−315008
出願日 平成11年11月5日(1999.11.5)
代理人 【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3G091
4D048
4G069
【Fターム(参考)】
3G091 AA02 BA03 FA01 FB02 FC07 GA08 GA09 GB01X GB17X HA47 
4D048 AA13 AA18 AB01 BA39X BB02 BB15
4G069 AA01 AA08 BA17 BA18 CA02 CA03 CA07 CA14 CA15 EA20 EA21 EA24 EA25 EB10 EB12Y EB14Y EB15X EB16X EB16Y FA01 FB48 FB69 FB78 FC06
発明者 糟谷 雅幸 / 山本 恭裕 / 岡崎 裕一 / 加古 卓三 / 大河内 敏博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記ハニカム体の排気ガス入り側にセル壁の厚さが排気ガス出側のセル壁の厚さよりも薄いセル壁薄肉化部分を有することを特徴とする排気ガス浄化用担体。
【請求項2】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回したメタルハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記平箔と波箔の一方又は両方の排気ガス入り側に厚さが排気ガス出側の厚さよりも薄い薄箔化部分を有することを特徴とする排気ガス浄化用担体。
【請求項3】 前記薄箔化部分は、前記ハニカム体の排気ガス入り側端部から5mm〜40mmまでに配され、該薄箔化部分の箔の厚さがハニカム体の排気ガス出側の箔の厚さの40%〜80%であることを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化用担体。
【請求項4】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回したメタルハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記平箔と波箔の一方又は両方が溶解処理表面を有しかつ厚さが30μm以下であることを特徴とする排気ガス浄化用担体。
【請求項5】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成した後、該メタルハニカム体の排気ガス入り側端部の箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする請求項2又は3に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
【請求項6】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成する請求項2又は3に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法において、前記平箔と波箔の一方又は両方の金属箔について幅方向一方の端部の箔厚さを溶解法によって減じ、次いで前記平箔と波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成することを特徴とする排気ガス浄化用担体の製造方法。
【請求項7】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回す前又は後に、金属箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする請求項4に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
【請求項8】 箔の厚さを溶解法によって減じるのは、箔接触部接合のための熱処理後であることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
【請求項9】 前記セル壁薄肉化部分よりも更に排気ガス入り側の先端部に、セル壁の厚さが前記セル壁薄肉化部分よりも厚い先端セル壁厚肉化部分を有することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化用担体。
【請求項10】 前記薄箔化部分よりも更に排気ガス入り側の先端部に、箔の厚さが前記薄箔化部分よりも厚い先端厚箔化部分を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の排気ガス浄化用担体。
【請求項11】 排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記ハニカム体の排気ガス入り側先端部に先端部セル壁厚肉化部分を有し、該セル壁厚肉化部分より後流側はセル壁の厚さが該セル壁厚肉化部分のセル壁の厚さよりも薄いセル壁薄肉化部分であることを特徴とする排気ガス浄化用担体。
【請求項12】 メタルハニカム体の排気ガス入り側先端部に溶解防止剤を塗布し、その後排気ガス入り側端部の箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする請求項5又は8に記載の排気ガス浄化よう担体の製造方法。
【請求項13】 金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成する請求項10に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法において、前記平箔と波箔の一方又は両方の金属箔について幅方向一方の先端部に溶解防止剤を塗布し、その後同じ方向の端部の箔厚さを溶解法によって減じ、次いで前記平箔と波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成することを特徴とする排気ガス浄化用担体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車エンジン等の内燃機関から排出される排気ガスを浄化する触媒を担持するための排気ガス浄化用担体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の排気ガス浄化用の触媒装置として、排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体を排気ガス経路に設け、該セル表面に触媒を担持した触媒担体が用いられる。ハニカム体としては、多数のセルを形成したセラミックスを用いたもの、及び金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回したメタルハニカム体とが主に用いられている。
【0003】触媒装置においては、触媒活性化温度以上の高温で触媒反応により排気ガス中のCOやHCが酸化され、該触媒反応は発熱反応なので触媒の温度は更に上昇する。触媒活性化温度以下の温度では触媒反応は起こらない。
【0004】エンジン始動前は触媒装置の温度は常温であり、エンジン始動とともに排気ガスの顕熱によって触媒を担持した担体の温度が上昇し、担体温度が触媒活性化温度に到達したところで着火して触媒反応が開始される。触媒反応開始後は、触媒反応が発熱反応なので急速に触媒温度は上昇する。エンジン始動時におけるアイドリング状態では、エンジン本体と排気配管が冷えているため、触媒装置に到着する排気ガスも温度は低く、また排気ガス流量も少ない。そのため、触媒が触媒活性化温度に到達するのに時間がかかり、それまでに排出される排気ガスは触媒反応を行わずに排出される。一方でエンジン始動時は低温の環境下でガソリンを着火させるため若干ガソリンを多めに混合しており、またCO量も多いので、この過剰ガソリン(HC成分)やCOが浄化されずに排出されるという問題をも有する。
【0005】ハニカム体の熱容量を低下することができれば、エンジン始動時における触媒の温度上昇速度を速めることができる。例えばメタル担体においては、ハニカム体を構成する金属箔の厚さを薄くすることにより、熱容量を低下させることができる。従来、圧延法で製造可能な箔厚みの下限は20μmであり、これより薄い箔を用いたメタル担体は実用化されていない。
【0006】触媒装置内にハニカム体を排気ガス流路に直列に2個設置し、排気ガス出側の後部ハニカム体6をメイン担体として定常運転時における触媒反応を主に担当させ、排気ガス入り側の先頭部ハニカム体5はその排気ガス流路方向の長さを短くして低熱容量化し、エンジン始動時には該先頭部ハニカム体5の温度を急速に上昇させていち早く触媒反応を開始させる方法が知られている。ハニカム体を2セット有するのでタンデム担体と呼ばれる。
【0007】タンデム担体の2個のハニカム体のうち排気ガス入り側の先頭部ハニカム体5を電気加熱し、エンジンを始動する直前までに該先頭部ハニカム体5の触媒温度を触媒活性化温度以上に上昇させておき、エンジン始動と同時に触媒反応を開始させる方法が知られており、電気加熱式触媒担体(EHC)と呼ばれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記タンデム担体の排気ガス上流側の先頭部ハニカム体5の流路方向長さを短くして低熱容量化する方法においては、長さを短くするとしても30mmが限度であり、これより短くするとハニカム体の強度を維持することが困難になる。そのため、タンデム担体化による低容量化にも限界がある。また、長さを短くすることによる低容量化は、流路方向長さあたりの熱容量を低下させることにはならないので、本質的な解決にはいたらない。また、タンデム担体においてはハニカム体を2個設置することになるので、担体の価格が上昇するという問題もあった。
【0009】前記EHC法においては、タンデム担体法に加え、更に強制電気加熱用の部品や制御機器が加わるために製造コストが上昇し、浄化性能は良好であるものの経済性からいまだ実用化にいたっていない。
【0010】本発明は、エンジン始動時においても迅速に触媒温度が上昇して触媒反応を開始することにより排気ガス浄化能力を向上でき、かつ製造コストの安価な排気ガス浄化用担体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体2を有する排気ガス浄化用担体1において、前記ハニカム体2の排気ガス入り側9のセル壁の厚さが排気ガス出側のセル壁の厚さよりも薄いセル壁薄肉化部分4を有することを特徴とする排気ガス浄化用担体。
(2)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回したメタルハニカム体2を有する排気ガス浄化用担体1において、前記平箔と波箔の一方又は両方の排気ガス入り側の厚さが排気ガス出側の厚さよりも薄い薄箔化部分4を有することを特徴とする排気ガス浄化用担体。
(3)前記薄箔化部分4は、前記ハニカム体の排気ガス入り側端部から5mm〜40mmまでに配され、該薄箔化部分4の箔の厚さがハニカム体の排気ガス出側の箔の厚さの40%〜80%であることを特徴とする上記(2)に記載の排気ガス浄化用担体。
(4)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回したメタルハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記平箔と波箔の一方又は両方が溶解処理表面を有しかつ厚さが30μm以下であることを特徴とする排気ガス浄化用担体。
(5)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成した後、該メタルハニカム体の排気ガス入り側端部の箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
(6)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成する上記(2)又は(3)に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法において、前記平箔と波箔の一方又は両方の金属箔について幅方向一方の端部の箔厚さを溶解法によって減じ、次いで前記平箔と波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成することを特徴とする排気ガス浄化用担体の製造方法。
(7)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回す前又は後に、金属箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする上記(4)に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
(8)箔の厚さを溶解法によって減じるのは、箔接触部接合のための熱処理後であることを特徴とする上記(5)に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法。
(9)前記セル壁薄肉化部分4よりも更に排気ガス入り側の先端部に、セル壁の厚さが前記セル壁薄肉化部分4よりも厚い先端セル壁厚肉化部分21を有することを特徴とする上記(1)に記載の排気ガス浄化用担体。
(10)前記薄箔化部分4よりも更に排気ガス入り側の先端部に、箔の厚さが前記薄箔化部分よりも厚い先端厚箔化部分21を有することを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の排気ガス浄化用担体。
(11)排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記ハニカム体の排気ガス入り側先端部に先端部セル壁厚肉化部分を有し、該セル壁厚肉化部分より後流側はセル壁の厚さが該セル壁厚肉化部分のセル壁の厚さよりも薄いセル壁薄肉化部分であることを特徴とする排気ガス浄化用担体。
(12)メタルハニカム体の排気ガス入り側先端部に溶解防止剤を塗布し、その後排気ガス入り側端部の箔の厚さを溶解法によって減じることを特徴とする上記(5)又は(8)に記載の排気ガス浄化よう担体の製造方法。
(13)金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成する上記(10)に記載の排気ガス浄化用担体の製造方法において、前記平箔と波箔の一方又は両方の金属箔について幅方向一方の先端部に溶解防止剤を塗布し、その後同じ方向の端部の箔厚さを溶解法によって減じ、次いで前記平箔と波箔とを積層ないし交互に巻き回してメタルハニカム体を形成することを特徴とする排気ガス浄化用担体の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】触媒担体のハニカム体熱容量を低下させる最も有効な手段は、ハニカム体の単位容積当たり重量を軽量化してハニカム体自体の熱容量を低下させることである。金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを交互に積層ないし巻き回したメタル担体においては、金属箔の厚みを薄くすれば直接的にハニカム体の熱容量を低下させることができる。従来、メタルハニカム体の箔厚さは最低でも20μmであり、これはロール圧延法によって製造できる限界箔厚さである。金属箔の量産方法の中では、ロール圧延法が経済的に製造可能な唯一の製造方法であった。
【0013】これに対し、ロール圧延法で製造した金属箔を用い、本発明の溶解法によって更に箔厚さを減じることにより、20μm以下の薄箔を安価に製造することが可能になった。溶解法とは、金属箔を所定の温度の溶解液中に所定時間浸漬し、金属箔の表裏面を溶解除去して箔の厚さを減じるものである。溶解液としては、塩酸、塩酸と酸塩化鉄の混合液をはじめとする酸性腐蝕液を用いることができる。溶解液温度が高いほど溶解速度は速くなる。溶解途中の箔の溶解速度はどの部位でもほぼ一定であり、結果として均一な厚さの薄箔を得ることができる。
【0014】例えば、金属箔としてCr:20質量%、Al:5質量%を含有するフェライト系ステンレス鋼で厚さ30μmの箔を用い、塩酸20%溶液を溶解液とした場合、溶解液の温度80℃では箔の厚さは20秒で15μm、30秒で0μm(完全溶解)となる。また、同じ溶解液で液温を70℃とした場合、箔の厚みは40秒で15μm、60秒で0μm(完全溶解)となる。
【0015】箔の排気ガス入り側の端部のみを溶解液に浸漬して該端部のみを薄箔化することも、あるいは箔の幅方向(ハニカム体の排気ガス流路方向)の全体を溶解して薄箔化することもできる。また、金属箔を溶解液に浸漬するのは、金属箔を積層ないし巻き回してハニカム体とする前でもハニカム体とした後でもいずれでもよい。
【0016】最初に、図1に示すように、ハニカム体2の排気ガス入り側9の端部のみを溶解液に浸漬して該端部のみを薄箔化部分4とする場合について説明する。
【0017】ロール圧延法により、金属箔を製造する。ロール圧延法によって製造できる最も薄い箔厚みは20μmである。該金属箔をハニカム体に巻き回す前に薄箔化する場合においては、図3に示すように、コイル状(12)に巻き取られた金属箔11を巻きほどき、溶解液7を充たした溶解槽13中に金属箔11の一方の端部のみを浸漬させる。薄箔化したい箔の幅に相当する部分を浸漬させる。一定速度で金属箔を搬送させることにより金属箔11は連続して溶解槽13に浸漬し、溶解槽13の反対側から抽出する。抽出後はリンス槽14でリンスを行った後に再度コイル状に巻き取る。溶解槽13の長さと金属箔11の搬送速度を調整することにより、箔の浸漬時間を調整して溶解後の箔の厚さを目標厚さとする。溶解槽13及びリンス槽14は、図3に示すようにオーバーフロー16をさせるオーバーフロー槽とし、金属箔11が通過する部分をスリット15とすることも可能である。スリットの幅を2mm程度とすれば、溶解液はオーバーフローさせつつ金属箔11の薄箔化部分4を溶解槽中に浸漬させることができる。
【0018】ハニカム体用の平箔と波箔の両方を端部を薄箔化した箔とすることも可能であり、平箔と波箔の一方のみを端部を薄箔化した箔とし、他方はロール圧延ままの箔を用いることもできる。このように準備した平箔と波箔とを巻き回してハニカム体2とし、このハニカム体2をステンレス鋼製の外筒3に収納し、ハニカム体の平箔と波箔との接触部、およびハニカム体2と外筒3との接触部をろう付けあるいは拡散接合によって接合することにより、本発明の担体が完成する。
【0019】金属箔をハニカム体2に巻き回した後に薄箔化する場合においては、図2に示すように、平箔と波箔とを巻き回してハニカム体2とした後、あるいは更にステンレス鋼製外筒3に該ハニカム体2を収納した後に、該ハニカム体2の排気ガス入り側端部を溶解液7中に浸漬する。該ハニカム体の薄箔化したい部分が浸漬するように浸漬深さを調整する。所定時間浸漬させて該端部の箔厚みを目標厚みまで薄箔化し、必要ならハニカム体2をステンレス鋼製外筒3に収納し、ハニカム体の平箔と波箔との接触部、およびハニカム体と外筒との接触部をろう付けあるいは拡散接合によって接合することにより、本発明の担体が完成する。
【0020】また、更に安価に本発明の担体を得る製造方法としては、ハニカム体のロウ付けあるいは拡散接合のための熱処理を行った後に、薄箔化したい部分を溶解液中に浸漬してもよい。
【0021】エンジン始動時において、排気ガスの通過によりハニカム体2の排気ガス入り側9端部から温度の上昇が始まる。そして該端部の温度が触媒活性化温度まで到達したところで触媒反応が開始して酸化反応が始まり、ハニカム体内の排気ガス温度およびハニカム体温度が急速に上昇する。従って、ハニカム体の箔厚さ(セル壁厚さ)を薄くして低熱容量化することにより効果を発揮するのは排気ガス入り側端部である。薄肉化する部分4の排気ガス入り側端部からの長さは、5mm以上40mm以下、より好ましくは5mm以上30mm以下の長さとする。5mm未満では薄肉化したことによる浄化性能の向上効果が少ない。また、40mmを超えると、浄化性能の向上効果が飽和する。
【0022】図4に示すような従来のハニカム体を複数個設置するタンデム担体において、排気ガス入り側の先頭部ハニカム体5の長さは最も短い場合でも30mm以上であった。従って、本発明のハニカム体2の薄肉部分4が排気ガス入り側端部から30mm以内のものについては、従来のタンデム担体よりも好ましい結果を得ることができる。
【0023】排気ガス入り側端部の薄肉化部分4のセル壁厚さは、好ましくは排気ガス出側のセル壁の厚さの40%〜80%、より好ましくは50%〜80%とする。40%未満の厚さとしても排気ガス浄化性能は飽和し、80%を超える厚さでは薄肉化効果が少ないからである。ロール圧延法により製造できる金属箔の最小厚みである20μmの箔を用いた場合、薄箔部の好ましい厚み範囲は10μm〜16μmとなる。
【0024】従来のタンデム担体においても、ハニカム体を構成する金属箔はロール圧延法によって製造されていたので、箔の厚みは最小でも20μmであり、本発明により、従来のタンデム担体よりも低コストで低熱容量化した担体を得ることができる。
【0025】金属箔を溶解法で薄箔化した場合、該薄箔化された箔の表面は溶解法特有の凹凸を有する表面となる。具体的には、箔の結晶粒界にそって溶解が進み、不規則な凹凸ができる。このような凹凸は、ハニカム体のセル表面に触媒を担持する際に担持を容易にする作用を有する。従って、ハニカム体の排気ガス入り側端部のみならず、ハニカム体の全長を溶解法で薄箔にすることにより、即ちハニカム体を構成する金属箔の全幅を溶解法で薄箔にすることにより、担持性能の優れたハニカム体を得ることができるという効果を有する。この場合において、箔厚さを30μm以下とすることにより、排気ガス入り側端部のみを薄箔化した本発明と同様にエンジン始動時の初期浄化性能の向上効果を得ることができる。
【0026】ところで、自動車エンジン運転中に高負荷運転からアイドリングに移行した場合、担体に流入する排気ガスの温度が低下する。高温を保っていた担体は低温の排気ガスによって冷却され、担体温度も低下する。そうすると、エンジンがアイドリングから再度高負荷運転に戻った際、担体の温度が再上昇して触媒反応を再開するまでに時間を要することとなる。このとき、担体のセル壁厚さが厚ければ、担体の熱容量が大きくなるので担体の温度低下も抑制され、触媒反応再開までのロスタイムを低減することができる。本発明において、エンジン始動時の初期浄化性能の向上効果が飽和する部分、即ち排気ガス入り側端部から40mmよりも排気ガス出側の部分については、薄肉化せずに積極的に厚肉のまま保つことにより、エンジン運転中の排気ガス温度低下時の担体温度低下を抑制し、常に一定した排気ガス浄化性能の維持を図ることができる。
【0027】以上の説明において便宜的にメタルハニカム体を用いる場合について説明を行ったが、セラミックス製のハニカム体においても同様の効果を得ることができる。即ち、セラミックス製のハニカム体の排気ガスが通過するセルのセル壁厚さについて、排気ガス入り側のセル壁厚さを薄くすることによってエンジン始動時の初期浄化性能の向上を実現し、排気ガス出側のセル壁は厚く保つことによってエンジン運転中の担体温度低下を抑制して常に一定した排気ガス浄化性能の維持を図ることができる。
【0028】ハニカム体の排気ガス入り側端部に薄肉化部分4を設ける場合、ハニカム体の排気ガス入り側先端部まで含めて薄肉化することにより、以上に説明した効果を発揮することができる。更に図5に示すように、排気ガス入り側端部に薄肉化部分4を設けるとともに、排気ガス入り側の更に先端部に、該薄肉化部分4よりも厚肉化した厚肉化部分21を設けることにより、上記に述べた効果を得るとともに、エンジン始動時における触媒反応を開始させる触媒着火性能を向上させることができる。
【0029】メタルハニカム体を例にとって説明する。メタルハニカム体の排気ガス入り側先端部に厚箔化部分21を設けると、排気ガス入り側の箔の先端部においては排気ガスを受ける面積が増大する。この面積の増大に起因して、触媒の活性化の起点が増加し、その結果触媒反応開始時における触媒への着火が容易になるものと推定される。厚箔化部分21の後流側には薄箔化部分4が配置され、該薄箔化部分4は熱容量が小さいため、触媒着火後においてはこの薄箔化部分4が速やかに昇温する。即ち、厚箔化部分21と薄箔化部分4との相乗効果により、エンジン始動時の初期浄化性能を著しく向上させることが可能になるのである。
【0030】ハニカム体の排気ガス入り側に厚箔化部分21を設けることにより、排気ガス入り側におけるハニカム体の剛性が向上し、ハニカム体に流入する排気ガス流に偏流が存在した場合においてもハニカム体の箔のカケが発生しづらい。そのため、ハニカム体の寿命が向上するという効果を得ることができる。
【0031】ハニカム体の排気ガス入り側先端部に厚箔化部分21(厚肉化部分)を設ける場合、該厚箔化部分21の厚さは特に限定はないが、ハニカム体の排気ガス出側の箔の厚さと同等の厚さとすることが好ましい。製造が容易にできるからである。また、厚箔化部分21のハニカム体長手方向の長さは5mm未満とすることが好ましい。厚箔化部分21の長さが5mmを超えると、その分、薄箔化部分4(薄肉化部分)の割合が減少し、触媒着火後の担体昇温が遅くなってゆくからである。
【0032】金属箔のうち、排気ガス入り側端部に相当する側を溶解液に浸漬することによって薄箔化部分4を形成する前記製造方法において、更に厚箔化部分21を形成する製造方法について説明する。
【0033】第1の方法は以下の通りである。箔の先端部厚箔化部分21に相当する部分について、予め溶解防止剤を塗布しておく。溶解防止剤としては、塗料や樹脂等を用いることができる。次いで、該溶解防止剤を塗布した金属箔を溶解液に浸漬すると、前記溶解防止剤を塗布した部分は金属箔が溶解されず、厚箔化部分21として厚さを保持することができ、溶解液に浸漬した部分のうち前記溶解防止剤を塗布していない部分は金属箔が溶解され、薄箔化部分4を形成することができる。溶解液浸漬後において前記溶解防止剤を除去する。以上の方法は、金属箔をハニカム体に巻き回す前に溶解液に塗布する場合(図6)、及び金属箔をハニカム体に巻き回した後に溶解液を塗布する場合(図5)のいずれにも用いることができる。
【0034】図6に金属箔をハニカム体に巻き回す前に溶解液に塗布する場合の概略図を示す。金属箔コイル12の一方の端部には予め溶解防止剤を塗布した溶解防止剤塗布部分22を有する。このコイルを巻きほどした金属箔11を一定速度で搬送させながら、金属箔11の一方の端部を溶解槽13中に浸漬させ、次いでリンス槽14でリンスを行なった後に再度コイル状に巻き取る。溶解防止剤の除去は、該コイル状に巻き取る前に行なっても、あるいは巻き取った後に別途行なっても良い。
【0035】厚箔化部分を形成する第2の方法は以下の通りである。ハニカム体を構成する金属箔の厚箔化部分21に相当する箇所にロウ材を塗布し、次いで該ハニカム体を高温加熱して該塗布したロウ材を厚箔化部分21に相当する箇所に融着させる。金属箔と該融着したロウ材とが合金化し、その結果金属箔にはNi成分が添加されるため溶解液に浸漬しても溶解しなくなる。従って、該ロウ材溶着後においてハニカム体の排気ガス入り側部分を溶解液に浸漬することにより、厚箔化部分21の厚さを維持しつつ薄箔化部分4のみを薄箔化することができる。
【0036】金属箔の厚箔化部分21にロウ材を塗布する方法としては、例えばハニカム体を形成した後に該ハニカム体の排気ガス入り側先端部を粘着液中に浸漬して厚箔化部分21に相当する箇所に粘着材を塗布し、次いで該ハニカム材にろう粉末を振りかけることによって該粘着材塗布部分にロウ材を塗布することができる。また、粘着材の塗布は、金属箔を巻き回してハニカム体とする前に該金属箔に塗布することによって行なっても良い。
【0037】ハニカム体の排気ガス入り側先端部に厚箔化部分(厚肉化部分)21を設け、該厚箔化部分21の後流側に薄箔化部分(薄肉化部分)4を設ける場合において、該薄箔化部分は排気ガス出側までのハニカム体全域に設けても良い。
【0038】
【実施例】(実施例1)Crを20質量%、Alを5質量%含有するフェライト系ステンレス鋼の箔を用い、該箔をそのまま用いる平箔と、該箔をコルゲート加工した波箔とを交互に巻き回してハニカム体を形成した。箔の厚さとしては50μm、30μm、20μmの3種類のものをロール圧延法によって製造した。このハニカム体を耐熱性ステンレス鋼製外筒に挿入固定する前に溶解法による薄箔化処理を行った。
【0039】図2に示すように、底の平坦なパレット8内に塩酸20%入り溶液を溶解液7として準備した。溶解液表面からパレット8の底までの深さがハニカム体排気ガス入り側端部の薄箔化部分4の長さに等しくなるように該深さを調整し、ハニカム体2の排気ガス入り側端部がパレット8の底に接触するようにハニカム体を溶解液中に浸漬して薄箔化処理を行う。
【0040】まず、30μm厚さの箔材で組立てたハニカム体2を、深さ5mmに調整した溶解液7中に浸漬安置した。溶解液の温度は80℃と70℃の2種類で処理を行った。その結果、液温80℃では浸漬部の箔厚さが15μmになるのに20秒を要し、箔厚さが0μm、即ち完全溶解するのに30秒を要した。一方、液温70℃では浸漬部の箔厚さが15μmになるのに40秒を要し、箔厚さが0μm、即ち完全溶解するのに60秒を要した。溶解処理中において、ハニカム体各部の箔厚さはほぼ均一に減少していくことが確認され、ハニカム体の一方の端部から5mmまでは所定の厚さに薄箔化され、その他の部分は30μm厚さのまま保たれた。
【0041】パレット中の溶解液の深さを30mmとして同じようにハニカム体を溶解液中に浸漬し、薄箔化部分4をハニカム体端部から30mmとする処理を行ったところ、箔の溶解速度は上記深さ5mmの場合と同様であった。
【0042】箔の元厚が50μmのもの、および20μmのものについても同様の処理を行ったところ同様の結果が得られ、箔の溶解速度は箔の元厚に影響されないことが確認できた。
【0043】生産速度と箔厚さ管理の両面から最適な液温および浸漬時間を決定することができる。
【0044】(実施例2)本発明例1として、上記実施例1と同様の材質のステンレス鋼箔を用いて同様の方法でハニカム体を製造した。箔の元厚には20μmのものを用いて直径80mm、全長100mm、セル密度600c.p.s.iのハニカム体2を構成した。排気ガス入り側端部から10mmまでの長さ部分を上記実施例1と同様の方法で箔厚さ10μmまで薄箔化し、該薄箔化部分4以外の箔厚さは元の20μmのままとした。次いで該ハニカム体2をステンレス鋼製外筒3に挿入固定し、ハニカム体の平箔と波箔との接触部、およびハニカム体と外筒との接触部をロウ付け法によって接合して担体とした。
【0045】本発明例2として、排気ガス入り側先端部に長さ3mm、厚さ20μmの厚箔化部分21を設け、該厚箔化部分21の後流側に長さ30mm、厚さ10μmの薄箔化部分4を設け、その他の事項については上記本発明例1と同様とした担体を製造した。
【0046】比較例1として、上記本発明例と同様のハニカム体であって、排気ガス入り側端部に薄箔化部分4を形成しないものを準備した。また、比較例2として図4に示すようなタンデム担体を準備し、該タンデム担体の先頭部ハニカム体5は全長30mm、後部ハニカム体6は全長70mmであり、先頭部・後部ハニカム体とも直径80mm、セル密度600c.p.s.i、箔厚み20μmである。
【0047】上記本発明例と比較例についてHC浄化率の比較を行ったところ、本発明例1、2ともに、比較例1に対してはHC浄化率で20%、CO浄化率でも20%の改善効果が確認された。また、比較例2に対してもHC浄化率で10%、CO浄化率でも10%の改善効果が確認された。
【0048】更に、本発明例2については、比較例1に対してはHC浄化率で25%、CO浄化率でも25%の改善効果が確認され、比較例2に対してもHC浄化率で15%、CO浄化率でも15%の改善効果を得ることができた。
【0049】
【発明の効果】排気ガスが通過する多数のセルを設けたハニカム体を有する排気ガス浄化用担体において、前記ハニカム体の排気ガス入り側のセル壁の厚さを排気ガス出側のセル壁の厚さよりも薄くすることにより、エンジン始動時の初期浄化性能の向上を図ることができる。
【0050】金属製平箔と該平箔にコルゲート加工を施した波箔とを交互に積層または巻き回してメタルハニカム体において箔の厚さを溶解法によって減じることにより、排気ガス入り側端部の箔厚さを従来実現できなかった薄箔とすることができ、エンジン始動時の初期浄化性能の向上を図ることができる。
【0051】メタルハニカム体のハニカム体全長を溶解法で薄箔にすることにより、即ちハニカム体を構成する金属箔の全幅を溶解法で薄箔にすることにより、担持性能の優れたハニカム体を得ることができる。
【0052】本発明において、排気ガス出側の部分については薄肉化せずに積極的に厚肉のまま保つことにより、エンジン運転中の排気ガス温度低下時の担体温度低下を抑制し、常に一定した排気ガス浄化性能の維持を図ることができる。
【0053】本発明において、排気ガス入り側先端部に厚肉化部分を設けることにより、触媒着火性能が向上するとともに、担体の耐久性を向上することができる。




 

 


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