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発明の名称 滅菌システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−327583(P2001−327583A)
公開日 平成13年11月27日(2001.11.27)
出願番号 特願2000−375622(P2000−375622)
出願日 平成12年5月18日(2000.5.18)
代理人
発明者 露口 省二 / 牧 岳彦 / 中井 哲志
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材供給手段3の運転状態または前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段2を制御することを特徴とする滅菌システム。
【請求項2】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌手段2の運転状態または前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌材供給手段3を制御することを特徴とする滅菌システム。
【請求項3】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌材供給手段3を制御し、さらにこのときの前記滅菌材供給手段3の運転状態または前記滅菌材供給手段3による前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換状況の監視結果に基づいて、前記滅菌手段2を制御することを特徴とする滅菌システム。
【請求項4】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材原料の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段2および前記滅菌材供給手段3のいずれか一方または両方を制御することを特徴とする滅菌システム。
【請求項5】 前記滅菌材供給手段3を供給手段本体4および前処理手段5で構成し、この前処理手段5による処理後の前記滅菌材原料の供給状態を含めて前記滅菌材原料の供給状態として監視することを特徴とする請求項4に記載の滅菌システム。
【請求項6】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材供給手段3を供給手段本体4および前処理手段5で構成し、前記滅菌材原料の供給状態の監視結果に基づいて、前記供給手段本体4および前記前処理手段5のいずれか一方または両方を制御することを特徴とする滅菌システム。
【請求項7】 滅菌手段2と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段2へ供給する滅菌材供給手段3とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌手段2に第一監視体9を設け、前記滅菌材供給手段3を供給手段本体4および前処理手段5で構成し、前記供給手段本体4に第二監視体10を設け、前記前処理手段5に第三監視体11を設け、前記滅菌手段2と前記供給手段本体4とを第一配管監視体12を備えた第一配管6で接続し、前記供給手段本体4と前記前処理手段5とを第二配管監視体13を備えた第二配管7で接続し、さらに前記前処理手段5に第三配管監視体14を備えた第三配管8を接続し、前記各監視体9〜14の監視結果に基づいて、前記滅菌手段2,前記供給手段本体4および前記前処理手段5の少なくとも1つを制御することを特徴とする滅菌システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、蒸気滅菌器,ガス滅菌器のような滅菌手段と、この滅菌手段への滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムに関し、とくに前記滅菌手段と前記滅菌材供給手段とを有機的に制御する滅菌システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】病院や各種医療機関などにおいては、手術衣や患者の使用した衣服,手術用器材や医療用器材などを滅菌処理している。この滅菌処理を行う滅菌手段として、たとえば蒸気滅菌器が用いられる。この蒸気滅菌器は、被滅菌物を滅菌槽内へ密閉収容し、この滅菌槽内へ蒸気(飽和蒸気)を送り込むことによって滅菌処理するものである。前記蒸気滅菌器には、蒸気供給手段としてのボイラが接続されており、前記蒸気滅菌器と前記ボイラとによって蒸気滅菌システムとして構成されている。
【0003】ところで、滅菌に用いられる蒸気は、滅菌不良を防止するために、乾き度,過熱度,非凝縮性気体濃度を管理する必要がある。また、被滅菌物の汚染を防止するために、化学物質や金属成分などの不純物濃度,硬度分,pH値,電気伝導度などを管理する必要がある。さらに、滅菌状態を確認するためのケミカルインジケータの判定不良を防止するためにもpH値を管理する必要がある。これらの基準値は、欧州規格EN285などに国際標準として規定されている。
【0004】ここで、前記滅菌材としての蒸気の要求条件に関し、前記欧州規格EN285に規定された国際標準について説明する。この国際標準としての基準値は、現状では、つぎのような内容である。まず、乾き度については、0.9(好ましくは0.95)以上であり、過熱度については、25℃未満であり、また非凝縮性気体濃度については、3.5%(体積比)未満である。また、不純物濃度については、蒸発残分については、1.0mg/kg以下であり、二酸化珪素(SiO2),鉄(Fe),重金属(鉄,カドミウム,鉛以外),塩化物(Cl-)および燐酸塩(P25)については、それぞれ0.1mg/kg以下であり、カドミウム(Cd)については、0.005mg/kg以下であり、また鉛(Pb)については、0.05mg/kg以下である。さらに、硬度分については、0.02mmol/リットル以下であり、pH値については、5.0〜7.0であり、電気伝導度(20℃)については、3μs/cm以下である。
【0005】前記基準値の管理は、通常、前記ボイラ側で行われているが、前記蒸気滅菌システムにおいては、前記蒸気滅菌器と前記ボイラの制御が互いに独立して行われる構成のため、つぎのような不都合が生じることがあった。すなわち、前記蒸気供給手段から供給される蒸気の乾き度が低い場合、前記蒸気滅菌器はそのまま滅菌作業を継続してしまう。そのため、滅菌工程においては、被滅菌物への供給熱量の不足によって滅菌不良が発生し、また蒸気に含まれる液滴分が被滅菌物に付着したままとなって乾燥工程終了後も残ってしまい,いわゆる乾燥不良を生じる。また、前記ボイラにキャリオーバが生じると、このキャリオーバによって不純物が蒸気とともに前記蒸気滅菌器へ流入し、被滅菌物が汚染される場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しようとする課題は、滅菌品質の向上を図ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材供給手段の運転状態または前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段を制御することを特徴としている。
【0008】請求項2に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌手段の運転状態または前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌材供給手段を制御することを特徴としている。
【0009】請求項3に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌材供給手段を制御し、さらにこのときの前記滅菌材供給手段の運転状態または前記滅菌材供給手段による前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換状況の監視結果に基づいて、前記滅菌手段を制御することを特徴としている。
【0010】請求項4に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材原料の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段のいずれか一方または両方を制御することを特徴としている。
【0011】請求項5に記載の発明は、前記滅菌材供給手段を供給手段本体および前処理手段で構成し、この前処理手段による処理後の前記滅菌材原料の供給状態を含めて前記滅菌材原料の供給状態として監視することを特徴としている。
【0012】請求項6に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌材供給手段を供給手段本体および前処理手段で構成し、前記滅菌材原料の供給状態の監視結果に基づいて、前記供給手段本体および前記前処理手段のいずれか一方または両方を制御することを特徴としている。
【0013】さらに、請求項7に記載の発明は、滅菌手段と、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて、前記滅菌手段に第一監視体を設け、前記滅菌材供給手段を供給手段本体および前処理手段で構成し、前記供給手段本体に第二監視体を設け、前記前処理手段に第三監視体を設け、前記滅菌手段と前記供給手段本体とを第一配管監視体を備えた第一配管で接続し、前記供給手段本体と前記前処理手段とを第二配管監視体を備えた第二配管で接続し、さらに前記前処理手段に第三配管監視体を備えた第三配管を接続し、前記各監視体の監視結果に基づいて、前記滅菌手段,前記供給手段本体および前記前処理手段の少なくとも1つを制御することを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、滅菌手段と、滅菌材を前記滅菌手段へ供給する滅菌材供給手段とを備えた滅菌システムにおいて好適に実施することができる。そして、この発明に係る滅菌システムは、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態を監視するとともに、前記滅菌材の供給状態を監視し、これらの監視結果に基づいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段のいずれか一方または両方を制御する構成となっている。
【0015】前記滅菌システムの構成について、具体的に説明する。まず、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段について説明する。前記滅菌手段は、蒸気滅菌器やガス滅菌器であって、これらは、被滅菌物を収容する滅菌槽を備えている。前記蒸気滅菌器は、蒸気を用いて滅菌を行う通常の蒸気滅菌器のほか、温水,熱水などを用いて被滅菌物を洗浄した後、蒸気で滅菌を行う洗浄滅菌器を含んでいる。また、前記滅菌材供給手段は、滅菌材原料を滅菌材へ変換し、この滅菌材を前記滅菌手段へ供給する手段であり、蒸気発生手段などである。
【0016】つぎに、前記滅菌材と前記滅菌材原料について説明する。まず、前記滅菌材は、前記滅菌手段において、被滅菌物を滅菌するために用いられる材料である。したがって、前記滅菌材は、蒸気滅菌器においては蒸気であり、ガス滅菌器においては滅菌作用を有する滅菌ガスである。この滅菌ガスとしては、酸化エチレンのように、単独で滅菌作用を発揮する滅菌ガスがあり、またホルムアルデヒドと蒸気との混合ガスのように、2つ以上の材料を組み合わせた状態で滅菌作用を発揮する滅菌ガスがある。さらに、前記滅菌材は、前記のように、それ自体が滅菌作用を発揮する材料のほか、主となる滅菌材と同時に使用され、滅菌作用を発揮または促進させるための補助的な材料を含んでいる。この補助的な材料としては、前記主材料が酸化エチレンの場合、湿度を調整し、滅菌作用を高めるために用いられる蒸気がある。
【0017】また、前記滅菌材原料は、前記滅菌手段において使用可能とする前の状態の材料である。すなわち、前記滅菌材が蒸気のとき、前記滅菌材原料は、水(純水や軟水を含む)である。また、前記滅菌材が酸化エチレン(ガス)のとき、前記滅菌材原料は、通常、液状の酸化エチレンである。さらに、前記滅菌材がホルムアルデヒドと蒸気との混合ガスのとき、前記滅菌材原料は、ホルムアルデヒドの水溶液(いわゆるホルマリン)である。
【0018】つぎに、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態の監視および前記滅菌材の供給状態の監視について説明する。まず、前記滅菌手段の運転状態の監視とは、前記滅菌手段による滅菌作業の各工程や、これらの各工程における各処理操作の実行状況の監視であり、温度,圧力,湿度,濃度,乾き度などのような滅菌槽内の状態の監視であり、また運転時間の監視である。これらの運転状態の監視は、前記各工程,前記各処理操作の実行状況や経過時間を記録したり、前記滅菌槽内の状態を前記滅菌手段に設けた第一監視体によって検出することによって行う。
【0019】つぎに、前記滅菌材供給手段の運転状態の監視とは、前記滅菌材供給手段における前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換状況および前記滅菌材供給手段内へ供給された前記滅菌材原料の状態の監視である。すなわち、前記滅菌材供給手段の運転状態の監視とは、前記滅菌材供給手段における前記滅菌材や前記滅菌材原料の流量,温度,圧力,濃度,乾き度,変換量,pH値,電気伝導度などの状態の監視であり、また運転時間の監視である。そして、前記滅菌材供給手段の運転状態の監視は、前記滅菌手段と同様、適宜の監視体(後述する第二監視体および第三監視体)によって検出することによって行う。
【0020】さらに、前記滅菌材の供給状態の監視とは、前記滅菌材供給手段から前記滅菌手段へ供給されている前記滅菌材の流量,温度,圧力,濃度,乾き度,不純物濃度,pH値,電気伝導度などのような状態の監視である。そして、前記滅菌材の供給状態の監視は、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段と同様、適宜の監視体によって検出することによって行う。すなわち、前記滅菌手段と前記滅菌材供給手段とを第一配管で接続し、この第一配管に第一配管監視体を設け、この第一配管監視体により前記滅菌材の供給状態を監視する。
【0021】ここで、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態の監視には、前記滅菌システムの制御のための設定値の入力による前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の制御内容の変更を含んでいる。前記設定値は、前記滅菌システムを構成する際に、予め入力される場合や、前記滅菌システムの運転ごとに適宜入力される場合などを含んでいる。また、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態や前記滅菌材の供給状態の監視は、前記各監視体からの検出値や前記設定値を演算することによって求めた推定値に基づいて行うことができる。たとえば、前記滅菌材としての蒸気の圧力の検出値から蒸気の温度を演算によって推定する場合がある。
【0022】つぎに、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態の監視結果と、前記滅菌材の供給状態の監視結果とについて説明する。まず、前記滅菌手段の運転状態の監視結果とは、前記各工程,前記各処理操作の実行状況であり、また前記各工程,前記各処理操作の所要時間や経過時間である。また、前記滅菌手段の運転状態の監視結果とは、前記第一監視体による前記滅菌槽内の状態の検出値そのもののほか、この検出値の時間変化(変化率)や積算値であり、また前記推定値そのものおよび前記推定値の時間変化(変化率)や積算値である。前記検出値や前記推定値の積算値としては、前記滅菌手段においては、前記滅菌手段の運転全体,各工程ごと,各処理操作ごとなどの所要時間の積算値があり、前記滅菌手段内における前記滅菌材の圧力,温度などの積算値があり、また前記滅菌手段が供給を受けた前記滅菌材の供給量の積算値などがある。
【0023】つぎに、前記滅菌材供給手段の運転状態の監視結果とは、前記監視体による前記滅菌材供給手段内の前記滅菌材や前記滅菌材原料の状態の検出値そのもののほか、この検出値の時間変化(変化率)や積算値であり、また前記推定値そのものおよび前記推定値の時間変化(変化率)や積算値である。前記検出値や前記推定値の積算値としては、たとえば前記滅菌材供給手段内における前記滅菌材の圧力,温度の積算値があり、前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換量の積算値があり、また前記滅菌材供給手段の運転時間の積算値などがある。
【0024】さらに、前記滅菌材の供給状態の監視結果とは、前記第一配管監視体による前記滅菌材の状態の検出値そのもののほか、この検出値の時間変化(変化率)や積算値であり、また前記推定値そのものおよび前記推定値の時間変化(変化率)や積算値である。前記検出値や前記推定値の積算値としては、たとえば前記滅菌手段への前記滅菌材の供給量の積算値である。
【0025】つぎに、前記各監視結果に基づく前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の制御について説明する。まず、前記滅菌手段の制御は、前記滅菌材供給手段の運転状態または前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記各工程の調整を行う。前記各工程の調整とは、前記各工程の所要時間を調整することであり、前記各工程の処理内容を変更することである。前記各工程の処理内容の変更とは、前記各工程における各処理操作の実行回数や所要時間を調整したり、前記各処理操作を実行する順番を変更することである。さらに、前記各工程の処理内容の変更とは、前記各工程における一連の処理操作を別の制御手法による処理操作に変更することである。
【0026】つぎに、前記滅菌材供給手段の制御は、前記滅菌手段の運転状態や前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づく制御であって、前記滅菌材供給手段からの前記滅菌材の供給状態の調整,前記滅菌材供給手段における前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換状況の調整,前記滅菌材供給手段内における前記滅菌材原料の調整などである。
【0027】さらに、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の制御は、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の制御の組み合わせである。たとえば、前記滅菌材の供給状態の監視結果に応じて、前記滅菌材供給手段による前記滅菌材原料から前記滅菌材への変換状況を制御し、さらにこのときの前記滅菌材供給手段の運転状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段を制御する。また、前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌材供給手段による前記滅菌材の変換状況を制御し、さらに前記滅菌材供給手段による前記滅菌材の変換状況の検出結果に基づいて、前記滅菌手段を制御する。
【0028】ここにおいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段をフィードバック制御する場合は、つぎのように制御する。すなわち、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の運転状態および前記滅菌材の供給状態に目標値を設定し、前記監視結果に基づいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の各運転状態や、前記滅菌材の供給状態が目標値となるように、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段を制御する。
【0029】また、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段を予知制御する場合には、つぎのように制御する。すなわち、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の運転状態および前記滅菌材の供給状態の監視結果に基づいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態や、前記滅菌材の供給状態の将来の状態を予測し、この予測状態が目標値となるように、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段を制御する。ここで、前記監視結果は、現在の検出値または現在の検出値および検出値の時間変化(変化率)を用いる。
【0030】また、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段を積算制御する場合には、つぎのように制御する。すなわち、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の運転状態および前記滅菌材の供給状態の監視結果(積算値)に基づいて、前記滅菌材供給手段や前記滅菌材供給手段の運転状態や前記滅菌材の供給状態に経時変化による悪化が生じないように、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段を制御する。
【0031】さらに、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の制御は、前記フィードバック制御,前記予知制御および前記積算制御を適宜組み合わせた制御とすることができる。たとえば、前記のように、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段をフィードバック制御または予知制御しながら、さらに前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の運転状態および前記滅菌材の供給状態の監視結果(積算値)に基づいて、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段を積算制御する。
【0032】以上のように、この発明に係る滅菌システムにおいては、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段が有機的に一元化されて制御され、滅菌システム全体が総合的に制御される。そして、このような制御によって、前記滅菌手段における前記滅菌材の要求条件に合致した前記滅菌材を供給することができ、また前記滅菌手段において不適切な前記滅菌材を用いて滅菌作業が行われるのを防止することができる。したがって、この発明に係る滅菌システムにおいては、適切な滅菌作業を行うことができ、滅菌品質を向上させることができる。
【0033】さらに、この発明に係る滅菌システムにおいては、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の運転状態の監視,前記滅菌材の供給状態の監視に加えて、前記滅菌材供給手段への滅菌材原料の供給状態を監視し、これらの監視結果に基づいて、前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段のいずれか一方または両方を制御することができる。前記滅菌材原料の供給状態の監視結果に基づく場合、前記滅菌材供給手段の運転を制御するか、または前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の両方の運転を制御するのが好ましい。
【0034】ここで、前記滅菌材原料の供給状態の監視とは、前記滅菌材供給手段へ供給されている前記滅菌材原料の流量,温度,圧力,濃度,不純物濃度,pH値,電気伝導度などの状態の監視である。前記滅菌材原料の供給状態の監視は、前記滅菌材の供給状態の監視と同様、適宜の監視体(後述する第二配管監視体および第三配管監視体)によって検出することによって行う。また、前記滅菌材原料の供給状態の監視は、前記監視体からの検出値や前記設定値を演算することによって求めた推定値に基づいて行うことができる。たとえば、前記滅菌材原料としての水(原水)の温度から溶存している非凝縮性気体の濃度を演算によって推定する場合がある。そして、前記滅菌材原料の供給状態の監視結果とは、前記監視体による検出値そのもののほか、この検出値の時間変化(変化率)や積算値であり、また前記推定値そのものおよび前記推定値の時間変化(変化率)や積算値である。前記検出値や前記推定値の積算値としては、たとえば前記滅菌材供給手段への前記滅菌材原料の供給量の積算値や、不純物濃度の積算値である。
【0035】さらに、この発明に係る滅菌システムにおける制御内容は、前記滅菌手段の制御装置に組み込むほか、前記滅菌材供給手段の制御装置に組み込むことができる。また、前記制御内容は、前記滅菌手段や前記滅菌材供給手段の制御装置に組み込む代わりに、前記滅菌システム全体での制御装置を設けて、この制御装置に組み込むこともできる。この場合には、前記滅菌システム全体での制御装置と前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段の各制御装置との間で制御信号や検出値を授受する構成とする。
【0036】ここで、この発明に係る滅菌システムにおいて、前記滅菌材供給手段は、供給手段本体と前処理手段とで構成することができる。前記供給手段本体は、滅菌作業に使用可能な状態の前記滅菌材を前記滅菌手段へ供給するための手段であり、また前記前処理手段は、前記供給手段本体への前記滅菌材原料の質を調整するための処理手段である。すなわち、前記前処理手段は、前記滅菌材原料から滅菌品質を低下させる不純物(非凝縮性気体を含む)を除去したり、また前記滅菌材のpH値や電気伝導度などを調整する手段である。たとえば、前記供給手段本体が蒸気発生手段のとき、前記前処理手段は、水処理装置である。ここにおいて、前記供給手段本体には、前記供給手段本体の運転状態を監視するために、第二監視体が設けられている。一方、前記前処理手段には、前記前処理手段の運転状態を監視するために、第三監視体が設けられている。
【0037】前記供給手段本体および前記前処理手段とで前記滅菌材供給手段を構成する場合、前記前処理手段による処理後の前記滅菌材原料の供給状態を含めて前記滅菌材原料の供給状態として監視し、その監視結果に基づいて前記滅菌手段および前記滅菌材供給手段のいずれか一方または両方を制御する。また、前記滅菌材原料および処理後の前記滅菌材原料の供給状態の監視結果のうちの1つまたは両方に基づいて、前記供給手段本体および前記前処理手段のいずれか一方または両方を制御する。ここにおいて、前記供給手段本体と前記前処理手段とは、第二配管で接続されており、この第二配管に第二配管監視体が設けられ、この第二配管監視体により処理後の前記滅菌材原料の供給状態が監視される。また、前記前処理手段には、前記滅菌材原料を供給する第三配管が接続されており、この第三配管に第三配管監視体が設けられ、この第三配管監視体により処理前の前記滅菌材原料の供給状態が監視される。
【0038】さらに、この発明に係る滅菌システムは、前記滅菌手段と前記滅菌材供給手段とが個別に設置されている場合のみならず、前記滅菌手段と前記滅菌材供給手段とが一体的に構成されている場合および前記滅菌手段と前記滅菌材供給手段の一部,たとえば前記供給手段本体が一体的に構成されている場合にも適用できる。
【0039】
【実施例】以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の一実施例の概略構成を示す説明図である。この実施例は、滅菌材として蒸気を使用する滅菌システムの構成例を示す。
【0040】さて、図1において、滅菌システム1は、滅菌手段としての蒸気滅菌器2と、滅菌材供給手段としての蒸気供給手段3とを備えている。前記蒸気滅菌器2は、被滅菌物を収容する滅菌槽(図示省略)と、この滅菌槽を取り囲むように設けた滅菌槽加熱手段(図示省略)とを備えている。
【0041】前記蒸気供給手段3は、供給手段本体としての蒸気発生手段4と、前処理手段としての水質調整手段5とで構成されている。前記蒸気発生手段4は、滅菌材原料としての水を加熱し、蒸気を発生させるボイラやリボイラである。前記水質調整手段5は、滅菌材原料,すなわち水(以下、「原水」という)の段階で、滅菌品質を低下させる不純物(非凝縮性気体,硬度分などを含む)を除去するとともに、前記蒸気発生手段4の好適な運転のために、原水の水質を調整する。そして、前記水質調整手段5は、調整後の原水(以下、「処理水」という)を前記蒸気発生手段4へ供給する。前記水質調整手段5は、この実施例においては、軟水器,脱気装置,逆浸透膜装置などのような不純物除去装置と、水処理薬品の注入装置,すなわち薬注装置とで構成されている。
【0042】前記蒸気滅菌器2と前記蒸気発生手段4とは、第一配管としての蒸気供給配管6によって接続されている。また、前記蒸気発生手段4と前記水質調整手段5とは、第二配管としての処理水供給配管7によって接続されている。さらに、前記水質調整手段5には、第三配管としての原水供給配管8が接続されている。ここで、前記各配管6〜8には、各種制御弁(電磁弁,調圧弁,逆止弁など),各種ポンプ(給水ポンプなど)が目的に応じて適宜設けられるが、図1においては図示を省略している。
【0043】前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5には、それぞれ自らの運転状態を監視するための監視体9〜11が設けられている。前記蒸気滅菌器2における第一監視体9は、圧力検出器および温度検出器から構成されている。また、前記蒸気発生手段4における第二監視体10は、圧力検出器および水位検出器から構成されている。さらに、前記水質調整手段5における第三監視体11は、原水から処理水への処理状態の監視体であって、温度検出器,硬度検出器,pH値検出器および電気伝導度検出器のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成されている。
【0044】また、前記各配管6〜8には、配管監視体12〜14がそれぞれ設けられている。まず、前記蒸気供給配管6における第一配管監視体12は、蒸気の供給状態の監視体であって、乾き度検出器,温度検出器,圧力検出器,pH値検出器,電気伝導度検出器のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成されている。つぎに、前記処理水供給配管7における第二配管監視体13は、前記水質調整手段5からの処理水の供給状態の監視体であって、温度検出器,硬度検出器,pH値検出器および電気伝導度検出器のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成されている。つぎに、前記原水供給配管8における第三配管監視体14は、原水の供給状態の監視体であって、温度検出器,硬度検出器,pH値検出器および電気伝導度検出器のうちの1つまたはそれらの組み合わせで構成されている。
【0045】つぎに、前記滅菌システム1における滅菌作業について説明する。ここで、滅菌作業を開始する際には、前記蒸気発生手段4を起動させておく。すなわち、前記水質調整手段5からの処理水を前記蒸気発生手段4内で加熱することによって、蒸気を発生させておく。ここで、前記蒸気発生手段4において発生させた蒸気は、前記滅菌槽加熱手段(図示省略)へ供給しておくことにより、前記滅菌槽(図示省略)を所定温度に加熱しておく。
【0046】そして、前記蒸気滅菌器2においては、前記蒸気発生手段4からの蒸気を用いて滅菌作業を行う。この滅菌作業では、前記滅菌槽内へ被滅菌物を密閉収容した後、予熱工程,空気排除工程,給蒸工程,滅菌工程,排気工程および乾燥工程の各工程をこの順に行う。つぎに、前記滅菌作業の各工程について説明する。
【0047】まず、予熱工程においては、前記滅菌槽加熱手段により、前記滅菌槽を介して被滅菌物を所定温度まで加熱する。この際、前記滅菌槽加熱手段内の蒸気圧や温度を検出しながら、前記蒸気発生手段4から前記滅菌槽加熱手段内へ所定の圧力と温度の蒸気を供給する。
【0048】つぎの空気排除工程では、前記滅菌槽内および被滅菌物内部の空気を排除する。この空気排除工程は、滅菌工程において、被滅菌物と蒸気とを良好に接触させ、被滅菌物への伝熱を促進し、蒸気滅菌の効率を向上させるために行われる。この空気排除工程においては、前記滅菌槽内を真空吸引した後、前記蒸気発生手段4から所定圧力まで加圧した蒸気を前記滅菌槽内へ供給する操作(蒸気供給操作)および前記滅菌槽内から蒸気を排出する操作(蒸気排出操作)を所定回数繰り返す。
【0049】つぎの給蒸工程では、前記滅菌槽内へ蒸気を供給する。そして、前記滅菌槽内が、所定の滅菌温度(または、この滅菌温度に対応する飽和蒸気圧力)となると、滅菌工程を開始する。この滅菌工程では、前記滅菌槽内を所定の滅菌温度に維持して被滅菌物の滅菌を行う。
【0050】つぎの排気工程では、前記滅菌槽内の蒸気を排出し、その後乾燥工程を行う。この乾燥工程は、滅菌工程を行った際に被滅菌物に付着した凝縮水を除去するための工程である。この乾燥工程では、前記滅菌槽内を真空吸引する操作および前記滅菌槽内へ若干の空気を導入する操作とを所定回数繰り返すか、または前記滅菌槽内を所定時間連続して真空吸引することにより、被滅菌物を乾燥させる。そして、この乾燥工程が終了すれば、滅菌後の被滅菌物を取り出し、滅菌作業を終了する。
【0051】さて、つぎに前記滅菌システム1における制御内容について説明する。まず、蒸気の供給状態の監視結果に基づく前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5の制御内容について説明する。
【0052】ここで、前記各工程において、前記滅菌槽内へ蒸気が供給される工程は、空気排除工程,給蒸工程および滅菌工程である。これらの各工程のうち、空気排除工程においては、蒸気の乾き度,圧力,過熱度,非凝縮性気体濃度が空気排除率に及ぼす影響が大きく、しかもこの空気排除率は、滅菌工程における滅菌作用に及ぼす影響が大きい。また、給蒸工程や滅菌工程においては、蒸気の乾き度,圧力,過熱度,非凝縮性気体濃度が滅菌作用に及ぼす影響が大きい。さらに、前記各工程においては、蒸気中の不純物が被滅菌物を汚染する可能性がある。
【0053】そこで、空気排除工程,給蒸工程および滅菌工程においては、前記蒸気滅菌器2へ供給される蒸気の乾き度,圧力,過熱度,非凝縮性気体濃度,不純物濃度の監視結果が所定の範囲を維持するように、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5を制御する。
【0054】まず、蒸気の乾き度の監視結果に基づく前記蒸気発生手段4の制御について説明する。蒸気の乾き度の低下は、主に前記蒸気発生手段4におけるキャリオーバの発生によって生じる。また、この実施例においては、前記蒸気発生手段4への処理水には、水処理薬品が添加されているため、前記蒸気発生手段4内部における処理水のpH値は、通常8.0〜11.0程度となっており、また水処理薬品や前記水質調整手段5によって除去しきれなかった不純物により電気伝導度も高くなっている。したがって、前記蒸気発生手段4においてキャリオーバが発生すると、処理水中の水処理薬品や不純物が前記滅菌槽への蒸気に混入し、また蒸気のpH値や電気伝導度が高くなる。
【0055】そこで、前記蒸気供給配管6内における蒸気の乾き度,pH値,電気伝導度のうちの少なくとも1つを検出することにより、蒸気の乾き度を監視し、この監視結果に基づいて、前記蒸気発生手段4を制御することによりキャリオーバを防止する。この場合の前記蒸気発生手段4の具体的制御内容は、前記蒸気発生手段4における加熱量を低下させる制御,水位を低下させる制御,濃縮度を低下させるためのブローを行う制御である。これらの3つの制御は、単独で行うか、または適宜組み合わせて行う。
【0056】また、蒸気の乾き度の監視結果に基づく前記蒸気発生手段4の制御については、蒸気の乾き度,pH値,電気伝導度などの検出値に基づいて、これらの検出値が所定の値または範囲となるように、加熱量,水位の低下量,ブロー量およびブロー間隔などを修正しながら制御するフィードバック制御を行う。また、このフィードバック制御に代えて、前記各検出値または前記各検出値と前記各検出値の時間変化(すなわち、変化率)に基づいて、前記各検出値が将来も所定の値または範囲内を維持するように、加熱量,水位の低下量,ブロー量およびブロー間隔を調整する予知制御を行う。
【0057】このように、前記滅菌槽2へ供給される蒸気の乾き度を所定の値または範囲に維持することで、空気排除率の低下を防止するとともに、被滅菌物への供給熱量の低下を防止することができるため、所定の滅菌作用を確実に行うことができる。また、このように、蒸気の乾き度を所定の値または範囲に維持することで、被滅菌物に付着する凝縮水が増加することも防止できるため、乾燥不良も防止できる。さらに、前記水質調整手段5によって除去しきれなかった不純物や処理水中の水処理薬品が前記滅菌槽内へ流入するのが防止されるため、被滅菌物の汚染を防止することができる。
【0058】つぎに、蒸気の圧力や温度の監視結果に基づく前記蒸気発生手段4の制御について説明する。前記各工程のうち、とくに滅菌工程では、前記滅菌槽内を飽和蒸気とする必要がある。そこで、前記各工程においては、とくに滅菌工程において、前記蒸気供給配管6内における蒸気の圧力と温度の監視結果に基づいて、前記蒸気発生手段4からの蒸気の過熱度が0℃に近づくように、前記蒸気発生手段4における加熱量を調整する。
【0059】すなわち、蒸気の圧力と温度の監視結果に基づいて、蒸気の過熱度が増加したときは、この過熱度が0℃に近づくように、前記蒸気発生手段4における加熱量を減少させるように調整するフィードバック制御を行う。また、このフィードバック制御に代えて、蒸気の圧力と温度の監視結果に基づいて、蒸気の過熱度が増加傾向にあるときには、この過熱度が0℃となるように、前記蒸気発生手段4における加熱量を減少させるように調整する予知制御を行う。
【0060】つぎに、蒸気の非凝縮性気体濃度の監視結果に基づく前記水質調整手段5の制御について説明する。蒸気の非凝縮性気体濃度は、処理水中における非凝縮性気体そのものの濃度および分解して非凝縮性気体となる不純物濃度によって決まる。そのため、原水および処理水の供給状態の監視結果,すなわち原水の温度や原水または処理水中の不純物濃度の検出結果に基づいて、前記水質調整手段5を制御し、前記水質調整手段5における非凝縮性気体や不純物の除去率を調整する。ここで、非凝縮性気体の除去率を調整するに際して、原水の温度を用いるのは、原水の温度から原水中の非凝縮性気体濃度を推定することができるからである。
【0061】すなわち、処理水中の非凝縮性気体濃度や不純物濃度の検出値に基づいて、これらの検出値が所定の値または範囲となるように、前記水質調整手段5における非凝縮性気体や不純物の除去率を修正するフィードバック制御を行う。また、このフィードバック制御に代えて、前記各検出値または前記各検出値の時間変化(すなわち、変化率)に基づいて、前記各検出値が将来も所定の値または範囲を維持するように、前記水質調整手段5における前記各除去率を調整する予知制御を行う。さらに、この予知制御の変形例として、原水中の非凝縮性気体濃度や不純物濃度,原水の温度の検出値に基づいて、処理水中の非凝縮性気体濃度や不純物濃度が将来も所定の値または範囲を維持するように、前記水質調整手段5における前記各除去率を調整する予知制御を行う。
【0062】つぎに、前記蒸気滅菌器2の運転状態の監視結果に基づく前記蒸気滅菌器2および前記蒸気発生手段4の制御について説明する。まず、前記蒸気滅菌器2における運転状態,すなわち前記滅菌作業における各工程,各工程における各処理操作の実行状況や、前記滅菌槽内における圧力や温度の状態を監視し、この監視結果に基づいて、前記蒸気発生手段4を制御する。
【0063】たとえば、前記蒸気滅菌器2において、空気排除工程(とくに蒸気供給操作時)や給蒸工程では、前記滅菌槽における蒸気の消費量が多く、滅菌工程においては、蒸気の消費量が少ない。そのため、空気排除工程や給蒸工程においては、前記蒸気発生手段4における蒸気圧が前記滅菌槽内において必要な蒸気圧よりも低下することがある。
【0064】そこで、空気排除工程において、前記蒸気発生手段4における蒸気圧が必要な蒸気圧よりも低下した場合には、前記滅菌手段2における蒸気排出操作の所要時間を長くする。そして、この蒸気排出操作の間に前記蒸気発生手段4の蒸気圧が回復すれば、つぎの蒸気供給操作を行うように、前記蒸気滅菌器2を制御する。また、この空気排除工程において、前記蒸気発生手段4における蒸気圧が必要な蒸気圧よりも低下した場合には、蒸気の消費量の少ない方法に切り替えて空気を排除することもできる。すなわち、蒸気供給操作および蒸気排出操作を繰り返す代わりに、前記滅菌槽内を連続的に真空吸引し、前記滅菌槽を減圧状態に保った状態で前記滅菌槽内へ蒸気を供給する操作を断続的に繰り返すことによって空気を排除する。
【0065】また、給蒸工程においては、前記蒸気発生手段4における蒸気圧が、必要な蒸気圧よりも低下した場合には、前記蒸気発生手段4における加熱量を増加させ、所定圧力で蒸気が供給されるように制御する。
【0066】ここで、滅菌工程においては、蒸気の消費量が少ないため、前記蒸気発生手段4の加熱量を低下させ、必要最小限の加熱を行うように制御する。また、排気工程および乾燥工程においては、前記滅菌槽内へ蒸気を供給する必要がないため、前記蒸気滅菌器2の運転状態の監視結果に基づき、前記蒸気発生手段4の加熱量を減少させたり、待機状態とする。
【0067】さらに、前記滅菌システム1において、前記蒸気発生手段4におけるブロー量やブロー間隔を調整する制御は、積算制御とすることができる。すなわち、前記蒸気発生手段4内の処理水は、前記蒸気発生手段4の運転時間に応じて濃縮し、この濃縮状態が高くなると、前記蒸気発生手段4においてキャリオーバを生じ易くなる。前記濃縮状態は、前記蒸気発生手段4の運転時間の積算値に基づいて推測することができ、また前記蒸気滅菌器2および前記水質調整手段5の運転時間,前記蒸気発生手段4からの蒸気の供給量,前記水質調整手段5における原水の処理量などの積算値に基づいて推測することができる。そこで、前記蒸気発生手段4におけるキャリオーバを防止するために、これらの積算値に基づいて、前記蒸気発生手段4におけるブロー量やブロー間隔を調整する積算制御を行う。
【0068】以上のように、前記滅菌システム1においては、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5の運転状態の監視結果や、蒸気,処理水,原水の供給状態の監視結果に基づいて、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5を制御しながら滅菌作業を行うことにより、所定の滅菌作用を維持することができる。
【0069】ここで、前記蒸気滅菌器2へ供給する蒸気の質については、前記のように、国際標準としての基準値が規定されているが、前記滅菌システム1においては、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5の有機的な制御によって前記基準値を満足する蒸気を用いて滅菌作業を行うことができる。そのため、滅菌作用の低下および被滅菌物の汚染を防止することができる。また、不純物,とくに水処理薬品によって汚染された被滅菌物を使用することによる化学熱傷の発生を防止することができる。また、蒸気のpH値が前記基準値から外れた場合におけるケミカルインジケータの判定不良による滅菌の質の評価に間違いが生じるのを防止することができ、滅菌品質を確実に管理することができる。
【0070】ここで、被滅菌物が、金属製の手術用器材や医療用器材などの場合と、手術衣のような多孔質のものが含まれる場合に応じて蒸気の質を変更するように制御することもできる。すなわち、金属製品のみの場合には、前記手術衣のように内部まで蒸気を浸透させる必要が無いため、蒸気中の非凝縮性気体濃度を所定値以下に調整する必要が少ないためである。そこで、被滅菌物の種類に応じて、非凝縮性気体そのものの除去率や、非凝縮性気体を発生させる不純物の除去率を低下させるように、前記水質調整手段5を制御し、経済性を優先させることができる。
【0071】この場合には、前記蒸気滅菌器2の制御盤(図示省略)を操作して、被滅菌物の種類を入力することで、前記蒸気滅菌器2から前記水質調整手段5へ前記水質調整手段5の運転状態を変更する制御信号を出力し、前記水質調整手段5における非凝縮性気体そのものの除去率や、この非凝縮性気体を発生させる不純物の除去率を低下させる。また、蒸気中の非凝縮性気体濃度を調整する必要がない場合には、前記水質調整手段5の運転を停止させることができる。
【0072】つぎに、前記滅菌システム1において、前記滅菌材を清浄蒸気とした場合について説明する。この場合、前記蒸気供給手段3は、清浄蒸気供給手段であり、前記蒸気発生手段4は、清浄蒸気発生手段である。前記蒸気発生手段4は、たとえば熱交換器として構成することができる。また、前記水質調整手段5は、前記薬注装置は不要となる。したがって、前記蒸気発生手段4には、前記処理水供給配管7から処理水としての純水(または軟水)が供給され、前記蒸気発生手段4は、この純水を加熱することにより、清浄蒸気を発生する。
【0073】ところで、清浄蒸気は、蒸気に比べて不純物濃度がきわめて低く、pH値がほぼ7.0(すなわち、中性)であり、また電気伝導度もきわめて低いことが要求される。しかし、この場合においても、前記と同様、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5の運転状態の監視結果や、蒸気,純水,原水の供給状態の監視結果に基づいて、前記蒸気滅菌器2,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5を制御することにより、所定の清浄蒸気を前記蒸気滅菌器2へ供給することができる。
【0074】さらに、前記滅菌システム1においては、原水の不純物濃度,非凝縮性気体濃度,硬度分などを監視する代わりに、原水の水質の分析結果を設定値として入力することによって、前記蒸気発生手段4や前記前処理手段5を制御するように構成することができる。すなわち、原水の不純物濃度,非凝縮性気体濃度,硬度分などを予め分析し、この分析結果を設定値として前記蒸気滅菌器2の制御盤から入力する。そして、この設定値に応じて、前記蒸気発生手段4におけるブロー量やブロー間隔を調整するように構成する。また、前記設定値に応じて、前記水質調整手段5における非凝縮性気体そのものの除去率や、この非凝縮性気体を発生させる不純物の除去率,硬度分の除去率などを調整する構成とすることができる。
【0075】つぎに、前記滅菌システム1において、前記蒸気滅菌器2に代えて、ガス滅菌器,たとえば酸化エチレンガスを使用するガス滅菌器とした場合について説明する。この場合、滅菌材としての酸化エチレンガスは、二酸化炭素ガスなどで所定の濃度に希釈された状態で、ボンベやカートリッジのような密閉容器(図示省略)内に貯留されており、ガス滅菌器における滅菌作業のたびに滅菌ガス供給手段を介して所定量の酸化エチレンガスが前記滅菌槽(図示省略)内へ供給される。そして、前記ガス滅菌器においては、酸化エチレンガスの滅菌作用を高めるために、前記滅菌槽内を所定の湿度に調整した状態で滅菌作業が行われる。この湿度の調整は、通常、前記滅菌槽内へ蒸気を供給することによって行われる。
【0076】さて、前記ガス滅菌器を備えた滅菌システム1における滅菌作業では、前記蒸気滅菌器2と同様の予熱工程および空気排除工程を行った後、前記滅菌槽内へ所定圧力まで蒸気を供給する加湿工程,前記滅菌槽内を所定濃度の酸化エチレンガスで充満させる滅菌ガス供給工程,酸化エチレンガスを充満させた状態を所定時間維持する滅菌工程,滅菌槽内の酸化エチレンガスを排出する排気工程を順に行う。
【0077】ここで、予熱工程,空気排除工程および加湿工程においては、前記蒸気滅菌器2と同様に、所定の蒸気が前記滅菌槽へ供給されるように、前記ガス滅菌器,前記蒸気発生手段4および前記水質調整手段5を制御する。つぎの滅菌ガス供給工程においては、酸化エチレンガスの濃度,温度,圧力などを検出し、前記滅菌槽内が所定濃度の酸化エチレンガスで充満するように制御する。
【0078】以上のように、前記ガス滅菌器を備えた滅菌システムにおいても、前記ガス滅菌器へ適切な状態の酸化エチレンガスや蒸気を供給することができるため、所定の滅菌作用を行うことができる。
【0079】
【発明の効果】この発明によれば、滅菌手段と滅菌材供給手段とが有機的一元化されて制御され、滅菌システム全体が総合的に制御されるため、確実な滅菌と汚染防止を行うことができ、滅菌品質を向上させることができる。




 

 


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