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発明の名称 体内腔用の除去可能なステント
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−299932(P2001−299932A)
公開日 平成13年10月30日(2001.10.30)
出願番号 特願2000−389411(P2000−389411)
出願日 平成12年12月21日(2000.12.21)
代理人 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
発明者 ショーン・サヤー・ハクセル / アリンダム・ダッタ / ユフ・リ / デニス・ディー・ジャミオルコフスキ / イー・リチャード・スクラ
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ステントにおいて、複数のコイルを有する螺旋状構造から成り、当該構造が長手軸を有しており、前記コイルが一定のピッチを有していて、前記構造が内部に長手方向の通路を有しており、当該構造が一定の断面および外表面部を有するフィラメントにより構成されていて、当該フィラメントが、一定の外表面部を有する軟質で柔軟な細長い部材と、前記部材の外表面部上の生体吸収性または生体崩壊性の外側ポリマー・コーティングとにより構成されており、前記ポリマー・コーティングがインビボ環境内において十分に崩壊または吸収されて前記螺旋状構造が軟質で細長い部材に効果的に変化するまで、当該ポリマー・コーティングが前記柔軟性部材を一定の螺旋状構造に効果的に維持するための十分な機械的保全性を有しているステント。
【請求項2】 生体崩壊性のフィラメントにおいて、一定の断面および外表面部を有する細長い柔軟性部材と、前記外表面部上のポリマー・コーティングとから成り、当該コーティングが生体崩壊性または生体吸収性のポリマーにより構成されており、前記ポリマー・コーティングがインビボ環境内において十分に崩壊または吸収されて一定の構造が軟質で細長い部材に効果的に変化するまで、当該ポリマー・コーティングが前記柔軟性部材を概ね固定された一定の構造に効果的に維持するための十分な機械的保全性を有しているフィラメント。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医療装置に関し、特に、生体崩壊可能な、または、生体崩壊性のポリマー・コーティングを有する除去可能なステントに関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、導管または脈管等の人間の体内の内腔部を維持するためのステント医療装置またはその他の種類の内腔内の機械的支持装置の使用方法が開発されて、現在においては内腔部の狭窄または遮断に対する主要な治療方法になっている。ステントの種々の外科的処理における使用方法がステント装置による経験の蓄積と共に急速に受け入れられてきており、これらを使用する外科的処理の数がその利点が広く認識されるにつれて増加しつつある。例えば、前立腺尿道、食道、胆汁管、腸管、および種々の冠状動脈および静脈、並びに、大腿動脈等のような遠隔の心臓脈管のような通路を開口状態に保つために体内腔内にステントを使用することが知られている。現在において利用されているステントは永久ステントおよび一時的ステントの2種類がある。永久ステントは不確定量の時間だけ体内腔内において維持できるように構成されている。一方、一時的ステントは一定の時間だけ体内腔内に維持されて、例えば、外科処理または傷害により生じる内腔に対する損傷の後に、体内腔の開通性を維持するように構成されている。一般に、永久ステントは体内腔の損傷を受けた壁部組織を長期にわたって支持するように構成されている。このような永久ステントの用途として、心臓脈管系、泌尿器系、胃腸管系、および婦人科系の用途を含む多数の従来用途がある。このような永久ステントは、例えば、脈関係の用途において、経時的に内皮組織により包容または被覆されることが知られている。同様に、永久ステントは、例えば、尿道系の用途において、上皮により被覆されることが知られている。一方、一時的ステントは特定の制限された時間だけ内腔開口部の開通性を維持するように構成されていて、組織の内部成長または包容化により内腔部の壁部内に取り込まれないことが好ましい。好ましくは、この一時的ステントは、例えば、内腔部の損傷した組織が治癒されてステントが当該内腔部の開通性を維持する必要が無くなった後のような、所定の臨床的に適当な時間の経過後に体内腔部から除去できる。例えば、この一時的ステントは前立腺の遮断またはその他の尿道の構造的病気の治療における用途の体内配備式カテーテルの置換体として使用できる。この一時的ステントの体内腔におけるさらに別の用途として、レーザーまたは熱的な切除のようなエネルギーによる切除処理、または前立腺組織の照射後に用いて術後の急速な尿道の維持またはその他の体液の維持を調節するために使用できる。
【0003】上記の永久ステントおよび一時的ステントの両方を種々の従来的な生体許容性の金属材により作成することが当業界において知られている。しかしながら、金属製のステントの使用に伴う幾つかの不都合点がある。例えば、金属製のステントは体組織により被覆される、包容される、上皮化される、または埋め込まれる可能性がある。このようなステントは場合によりその初期的な挿入位置から移動して、内腔における周囲組織に対して刺激を生じることが知られている。また、金属材は一般に内腔内の周囲組織よりもはるかに硬質で剛性が高いために、解剖学的または生理学的に不適合となって、組織を損傷したり、不所望な生物学的応答を生じる可能性がある。永久的な金属ステントは不確定な時間にわたって移植されるように構成されているが、このような永久的な金属ステントを除去することが必要になる場合がある。例えば、外科的な介入を必要とする生物学的応答が生じた場合に、このようなステントを二次的な処置により除去することが必要になる場合が多い。また、金属ステントが一時的ステントの場合も、臨床的に適当な時間の経過後に除去することが必要になる。すなわち、金属ステントが永久ステントまたは一時的ステントの如何に拘わらず、このステントが包容状態または上皮化された状態等になれば、このステントの外科的除去により患者に対して不所望な痛みや不快を与えることになり、内腔組織に対して付加的な傷害を与える可能性がある。このような痛みや不快に加えて、患者は金属ステントを除去するために、手術の危険性を伴う時間のかかる複雑な外科処理を経験しなければならない。
【0004】非吸収性で生体許容性のポリマーまたはポリマー組成物は合成を減少する等の特別な利点を有しているが、このような材料により作成した永久ステントもまた上記のような金属ステントの場合と同様の問題および不都合点が生じる。
【0005】さらに、一時的ステントを製造する場合に生体吸収性および生体崩壊性の材料を使用することが知られている。このようなステントを作成するための従来的な生体吸収性または生体崩壊性の材料は経時的に吸収または崩壊して体内腔からステントを除去するための外科処理の必要性を排除するために選択される。このようなステントを外科的に除去する必要がなくなることに伴う利点に加えて、生体吸収性で生体崩壊性の材料が、特に大抵の従来的に使用されていた生体許容性の金属材に比べて、特別な感応性を有する患者に対して優れた生体許容性を有する傾向があることが知られている。さらに、生体吸収性で生体崩壊性の材料により作成されたステントの別の利点として、その機械的特性が、脈管や内腔を損傷する可能性の高い金属ステントに伴う場合の多い合成や硬さをほとんど消去または除去するように構成できることである。
【0006】しかしながら、このような生体吸収性または生体崩壊性のステントの使用に伴う不都合点および制限が存在することが知られている。このような制限はステントを作成する材料の特性生じるものである。このような現時点でのステントに伴う不都合点の一つとして、材料の分解が早すぎることが挙げられる。このようなステントの尿道のような内腔の内部における大きくて硬い破片への不適当な分解または崩壊により排尿のような正常な流れが遮られて、内腔の開通性を与えると言うステントの主用目的が損なわれることになる。あるいは、このようなステントが分解するのに長い時間がかかって、その治療目的の達成後に相当な長時間の間目標とする内腔の中に滞在する場合がある。従って、例えば、比較的時間の長くかかる生体崩壊性のポリマーにより作成した尿道ステントの場合に、石を形成すると言うこれらの材料に伴う長期の危険性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、当該技術分野においては、新規な一時的ステントが要望されており、当該ステントは適当な治療目的を達成するために一定の臨床的に適当な時間だけ体内腔内でその機能を維持した後に、患者に対して刺激、閉鎖、痛みまたは不快を生じる可能性のある破片を生じることなく、さらに、外科処理を要さずに、軟化して細長い糸状の部材に変化して除去可能になる。
【0008】本発明の好ましい実施形態において、上記の一時的ステントは体外に容易に排出する、すなわち、しなやかで柔軟な糸状の部材として除去されて、患者に対する刺激、閉鎖、痛みまたは不快は、排除できるか、仮に存在しても、最少である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は体内腔内に挿入するためのステントを提供することであり、当該ステントは縫合線のような柔軟な部材により作成された後に生体崩壊性または生体吸収性のポリマーによりコーティングされていて、部材が比較的剛性のあるステントに形成されており、体内において、ステントが軟化して柔軟なフィラメントに戻ることにより、特定の治療時間の経過後に体内腔から容易に通過または排出できる。
【0010】それゆえ、体内腔において使用するための移植可能なステントを開示し、当該内腔は自然の解剖学的構造の一部として存在しているか、外科的に形成したものである。このステントは螺旋状またはコイル状の構造の細長い中空部材であり、好ましい実施形態において、巻かれた繊維により形成した複数のコイルを有する螺旋状構造を有している。
【0011】この構造は長手軸および長手軸に沿う通路を有している。さらに、上記のコイルは一定のピッチを有している。さらに、この構造は外部ポリマー・コーティングを有する縫合線のような柔軟でしなやかなフィラメントまたは繊維により作成されている。このポリマー・コーティングは生体吸収性または生体崩壊性のポリマー、またはこれらの混合物である。このコーティングは体温において固体であり、この柔軟でしなやかな部材を一定の構造として十分に剛性を有する固定状態に維持できるのに十分な厚さを有している。
【0012】このコーティングのインビボ環境内における崩壊または吸収の速度は所望の治療時間内に効果的に軟化するか、フィラメントの外表面部から除去するのに十分な速度である。このことにより、このコーティングが崩壊する際に、インビボ環境内において軟化または吸収されて、その機械的な保全性が失われる。さらに、このことにより、フィラメントがその自然な柔軟でしなやかな状態に戻り、そのステント構造が効果的に崩壊して、フィラメントが内腔から除去または排出できる。
【0013】インビボ環境における体液に対する曝露により、コーティングが進行的に崩壊および/または吸収されて、ステントが柔軟なフィラメントに軟化または崩壊して、このフィラメントが体内腔を容易に通過して排出されるか、体液により自然に排出されることにより、閉鎖、痛みまたは不快を生じる可能性が最少になる。
【0014】本発明の別の態様は放射線不透過性の繊維により作成した上記のステントである。
【0015】本発明のさらに別の態様は体内腔の開通性を維持するために外科処理において本発明のステントを使用する方法である。すなわち、先ず、本発明のステントを備える。このステントは細長い中空の部材であり、好ましい実施形態において、複数のコイルを有する螺旋構造を有している。この部材は長手軸を有している。さらに、コイルは一定のピッチを有している。この構造は外表面部および外部ポリマー・コーティングを有する柔軟でしなやかなフィラメントまたは繊維により作成されている。このステントは体内腔に挿入される。その後、インビボ環境内で体液に曝されることにより、外部コーティングが吸収されて崩壊および軟化して、ステントの構造が崩壊することによりしなやかで柔軟なフィラメントに戻り、このフィラメントが体液の流通により排除されるか手動により除去できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の上記およびその他の態様は以下の説明、実施例、および図面によりさらに明らかになる。
【0017】図1乃至図9において、本発明の好ましい実施形態を示している。図3に示すように、ステント10は一連の接続コイル20を有する螺旋状構造を有している。これらのコイルはフィラメント100により形成されている。本明細書におけるこの用語の「フィラメント(filament)」はフィラメントだけでなく繊維も含むものとして定義しており、用語の繊維と交換可能に使用される。フィラメント100は連続状のフィラメントであることが好ましいが、ステント10を2個以上のフィラメントの部分により形成した後にこれらを繋ぎ合わせることも可能である。図4に示すように、フィラメント100は内側柔軟部材110および外側コーティング130を有している。内側柔軟部材110は外表面部115を有している。この内側柔軟部材110の外表面部115を外側コーティング130が被覆している。外側コーティング130は内表面部135および外表面部140を有している。好ましくは、外側コーティング130の内表面部135は内側柔軟部材110の外表面部115に接触して固着している。さらに、ステントは長手軸70および中央通路11を有している。また、このステント10はコイル20の第2の部分50に接続したコイル20の第1の先端側部分30を有しており、これらの部分30および50はヒンジ状の接続繊維60により接続されている。ヒンジ状の接続繊維60に隣接するコイルの先端側部分30は外部括約筋よりも先端側に挿入される係留部分を形成する。一方、ステント10の基端側部分50は前立腺尿道内に保持される。この基端側部分50は直径24を有するコイル20および通路51を有している。また、ステント10の先端側部分30は直径22を有するコイル20を有している。さらに、先端側部分30は通路31を有している。これらの通路31および51は連通してステント10の通路11を形成する。図4に示すように、本発明のステント10の好ましい実施形態の一例は円形の断面形状を有するフィラメント100を有している。なお、このフィラメント100は丸形、方形、多角形、湾曲形、卵形、およびこれらの組み合わせおよびその等価物を含む用途に応じた種々の形状を有することができる。当該技術分野の熟練者であれば、特定の断面形状がステントにおいて異なる利点を賦与することが理解できる。例えば、丸形の断面を有する本発明の繊維における利点として、ラインに乗せることが可能であることによるステント製造プロセスの容易さ、後の製造プロセスにおける繊維からステントへの1段階の遷移、外科処理中にステントの長さを調節して特定の患者の解剖学的構造に適合させることが可能であることによるステント配備中の柔軟さ、および縫合線のような市販のフィラメントの使用等が含まれる。
【0018】好ましくは、ステント10は所望の断面形状を有する生体吸収性のポリマー・フィラメント100により製造されている。このステント10の長さおよび全体の直径は患者の解剖学的構造、当該解剖学的構造の寸法、および尿道内腔に影響する外科処理の種類を含む多数のファクターにより決まる。例えば、本発明の実施に有用なステント10の全長は内腔通路を開口状態に維持するのに十分に効果的な長さである。一般に、成人男性の尿道の用途における長さは約10mm乃至約200mmであり、さらに一般的には約20mm乃至約100mmであり、好ましくは約40mm乃至約80mmである。また、本発明のステント10の直径は内腔部を開口状態に維持するのに十分に効果的な直径である。前立腺尿道の用途において、ステントが異なる直径の2個の部分を有している場合は、一般に、前立腺尿道における直径は約2mm乃至約25mmであり、さらに一般的には約4mm乃至約15mmであり、好ましくは約6mm乃至約10mmである。また、外部括約筋よりも先端側に係留するために使用する部分の直径は約2mm乃至約25mmであり、さらに一般的には約4mm乃至約15mmであり、好ましくは約6mm乃至約10mmである。さらに、本発明のステントを製造するために使用する繊維の主要な断面寸法は効果的な支持および柔軟性を賦与するのに十分な値である。一般に、円形の断面を利用する場合に、尿道の用途における直径は約0.1mm乃至約4mmであり、さらに一般的には約0.5mm乃至約3mmであり、好ましくは約1mm乃至約2mmである。すなわち、本発明のステントのピッチ、長さ、直径および繊維の直径は尿道管の壁部の半径方向の応力に対応して十分な支持を効果的に行ない、尿道内腔内に挿入する際の挿入の容易さおよび安定性を賦与し、さらに、所望の柔軟性および内腔の開通性を賦与するのに十分な寸法である。ステントのピッチは単位長さ当たりのコイルの数として定められる。本特許出願明細書においては、例えば、このピッチはステントの長さの1センチメートル当たりのコイルの数として定められている。一般に、尿道の用途において、このピッチは約2.5乃至約100であり、さらに一般的には約3乃至約20であり、好ましくは約5乃至約10である。尿道の用途においては隣接コイルの間に空隙が無いことが好ましいが、本発明のステントは隣接コイルの間に空間が存在していてもよい。
【0019】好ましくは、本発明のフィラメント100を形成するためにコーティング130により被覆される柔軟部材110は崩壊して体内腔から容易に除去できるステントを効果的に提供するために十分な柔軟さ、柔らかさ、およびしなやかさを有するように選択される。この柔軟性部材に対して有用な材料には柔軟でしなやかなモノフィラメントおよび編組式の糸状部材が含まれる。特に、モノフィラメントまたは編組式のポリプロピレン、シルク、ポリエステル、ナイロン等、およびこれらの等価物のような従来的な非吸収性の縫合線を使用することが好ましい。さらに、上記の柔軟部材は従来的な吸収性の縫合線、モノフィラメントまたは編組式の繊維であって、95/5ラクチド/グリコリドおよびポリジオキサノン等が含まれる。さらに、この柔軟部材110は「延伸(spun)」重合して糸を形成している生体許容性の繊維により作成した糸状の材料により作成できる。
【0020】本発明のステントおよびフィラメントに有用な外側コーティングは従来的な生体崩壊性または生体吸収性のポリマーおよびその混合物であって、ラクチド、グリコリド、パラ−ジオキサノン、カプロラクトン、およびトリメチレン・カーボネート、およびこれらの混合物およびこれらのコポリマーから成る群から選択されるモノマーにより作成したポリマーを含む。このポリマー・コーティングの崩壊または吸収の作用により、フィラメントが所定時間の経過後に軟質で柔軟な部材に戻り、ステントが効果的に崩壊して、柔軟部材が内腔から容易に除去または通過できるようになる。流動的な環境内においては、進行的に崩壊するステントが閉鎖を生じることなく容易に体外に排出し、内腔から除去できる。フィラメント100を形成するために効果的に剛性を賦与できるポリマー・コーティングの種類はガラス転移点温度が室温以上、好ましくは55℃以上、最も好ましくは約120℃であるポリマーを含む。これらの材料はアモルファス、すなわち、結晶性を示さないものであってもよい。一方、低い温度、特に室温よりも低いガラス転移点を有するポリマーは一般にある程度の結晶化性を有していて本発明の用途において機能するための寸法安定性および剛性を賦与する。このような材料は半結晶性材料と言うことができる。コーティング用の水溶性ポリマーについては、大まかにイオン性および非イオン性の2種類の水溶性ポリマーがある。一般的に、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ポリマー、ポリエーテル(特に、ポリエチレン・グリコールまたはポリエチレン・オキシド)、特定のポリビニル・アルコールおよび特定のポリ(N−ビニル・ピロリドン)のようなビニル・ポリマーが使用されている。また、特定の多糖類ガムもまた有用であり、ヒドロキシ・メチル・セルロースまたは特定のヒドロキシ・イソプロピルセルロースのような特定のヒドロキシ・セルロースもまた有用である。
【0021】材料を選択することにより溶解処理を制御できる。さらに、水溶性樹脂の分子量を変更することも制御手段になる。
【0022】ポリマー混合処理を利用することは必要な溶解度を達成するために特に有利である。さらに、ポリアミド(ナイロン)は機械的強度、吸水性等を賦与するので便利な成分として使用できる。
【0023】可能な好ましい混合物の成分はポリエチレン・グリコール(PEGまたはポリエチレン・オキシド、PEO)であり、特に、半結晶性であるその高分子量樹脂が好ましい。このPEGの融点は約60℃であり、この温度は本発明において有用なコーティングの必要条件を満たすために十分な高さである。必要に応じて、PEOをナイロンと共に混合することができる。加えて、ポリグリコリド/ラクチド・コポリマー、ポリカプロラクトン等により作成した生体崩壊性ポリマーがフィラメント100の外側コーティングとして使用できる。さらに、ポリオキサエステルが利用でき、この材料は水溶性であって加水分解により崩壊する。さらに別の適当なポリマーが本明細書に参考文献として含まれる米国特許第5,980,551号に記載されている。
【0024】ステントは内腔内の通路を開口状態に維持するというその機能を実行するために半径方向の応力に耐えるように構成する必要がある。ステントが体内腔内に配備されている時に半径方向の応力に耐えるための本発明のステントの機械的能力または機械特性は主に外側コーティングにおける生体崩壊性/生体吸収性の材料により賦与される。すなわち、この外側コーティングにおける材料の強度および剛性および厚さが必要な負荷に対して有効に耐えてステントの機能を維持するのに十分な構成でなければならない。すなわち、コーティングが崩壊して分解する時に、この材料は適当に選択された生体崩壊性の材料の十分な厚さを維持して必要な時間だけ必要な負荷に有効に耐えて患者の内腔を維持することができる。要するに、このコーティングは特定の治療時間だけ体内腔を開通または開口状態に維持するために必要な機械的条件を満たすように構成されている。
【0025】コーティングが崩壊して吸収されて体液によりステント構造から効果的に除去されると、残ったフィラメントが柔軟部材としての軟質でしなやかな小繊維状態に戻る。この残った軟質のフィラメントは容易に内腔から排出または除去できる。
【0026】本発明のコーティングしたフィラメントは同時押出成形、溶融コーティング、後続の溶融処理によるコーティングの拡散処理を伴う溶液コーティングまたはパウダー・コーティング等を含む従来的な方法により作成できる。例えば、コーティング処理を利用する場合は、内側柔軟部材をモノ−フィラメント押出成形材料にするか、マルチ−フィラメント編組材料により形成できる。さらに、この内側コアまたは柔軟部材を液槽中、コーティングローラー中、ブラシ、スプレーおよび/またはダイを通過させることによる溶融コーティングまたは溶液コーティングにより、外側コーティングを当該柔軟部材の上面に備えることができる。
【0027】本発明の別の実施形態において、上記のコーティングを形成するのに用いるポリマーおよび混合物は薬剤供給基質として利用できる。このような基質を形成するために、上記のコーティング材料が治療剤と共に混合される。本発明のポリマーと共に使用できる種々の異なる治療剤の範囲は極めて広い。一般に、本発明の薬剤組成物により投与可能な治療剤としては、抗生物質および抗ウイルス剤のような抗感染剤、鎮痛薬および鎮痛薬混合物、抗炎症剤、ステロイドのようなホルモン、骨再生成長因子、および天然誘導または遺伝子工学処理した蛋白質、多糖類、糖蛋白質、またはリポ蛋白質が含まれるがこれらに限らない。
【0028】基質配合物は1種類以上の治療剤をポリマーと混合することにより配合できる。この治療剤は液体、微細分割した固体、またはその他の任意の適当な物理的形態として存在し得る。一般に、必要な選択物としてでなく、上記の基質は希釈剤、キャリヤ、賦形剤、安定化剤等の1種類以上の添加剤を含むことができる。
【0029】上記の治療剤の量は使用する特定の薬物および治療する医療状態により決まる。一般に、この薬物の量は基質に対して約0.001重量%乃至約70重量%、さらに一般的には約0.001重量%乃至約50重量%、最も一般的には約0.001重量%乃至約20重量%である。さらに、この薬物供給基質内に混合されるポリマーの量および種類は所望の放出プロファイルおよび使用する薬物の量により異なる。
【0030】体液に接触すると、上記のコーティングが徐々に崩壊(主に加水分解による)または吸収され、これに伴って、一定の持続または延長された時間において分散状態の薬物が放出される。これにより、有効量(例えば、0.0001mg/kg/時間乃至10mg/kg/時間)の薬物の持続された供給(例えば、1時間乃至5000時間、このましくは2時間乃至800時間にわたる)が行なえる。なお、この投与形態は、治療する対象、痛みの程度、処方医の調節等により決まる必要性に応じて投与できる形態である。このような処理に従うことにより、当該技術分野の熟練者であれば、種々の配合物を作成することができる。
【0031】コーティング処理したフィラメント100により作成する場合の本発明のステント10は巻き付け処理による以下の方法で製造される。先ず、フィラメント100を加熱した状態でマンドレルの周りに巻きつけた後に、マンドレルの周囲上でコイル状にする。このマンドレルおよびコイルの組立体を拘束状態でアニールした後に、マンドレルを除去する。このコイルのピッチおよび直径は所望のステントの寸法および形状を形成するように選択される。必要に応じて、例えば、コーティング槽または溶融槽に入れて直ぐに、フィラメント100を加熱することなくマンドレルの周囲に巻き付けるか、あるいは、コーティングしていない柔軟部材110をマンドレルの周りに巻いた後に従来法によりコーティングを施してから必要に応じて硬化させることができる。
【0032】本発明のステントは図1,図2,図5,図6,図7および図8に示すような尿道ステント配置処理における以下の方法で利用できる。先ず、ステント10をアプリケータ装置200の先端部に配置する。装置200はグリップ255を有するハンドル250を備えている。ハンドル250の上部257は軸保持部材290に取り付けられている。この保持部材290は長手方向に沿う通路292、前端部295および後端部296を有している。さらに、取り付けチューブ240が先端部242および基端部244を有している。また、この取り付けチューブ240は通路248を備えている。チューブ240の基端部244は通路292の中に取り付けられていて、内側の通路248は通路292に連通している。さらに、アプリケータ・チューブ220が通路248の中に摺動自在に取り付けられている。このチューブ220は先端部222、基端部224、および通路226を有している。このチューブ220の基端部224には取り付けブロック300が取り付けられており、このブロック300はピン309により端部224に固定されている。また、ブロック300の底部にはギア歯335を有するラック・ギア部材330が取り付けられている。さらに、ハンドル250の中に、歯部275を有するピニオン・ギア部材270を受容するための空孔部350が設けられている。ピニオン・ギア部材270は回動ピン265により空孔部350の中に回動自在に取り付けられている。歯部275は歯部335に歯合して係合している。さらに、ピン265の反対側におけるピニオン・ギア部材270から駆動トリガー280が延出している。トリガー280の駆動により、チューブ220がチューブ240に対して基端側および先端側に移動する。さらに、トリガー280を作動することにより、ステント10がチューブ220および240から放出可能になる。
【0033】ステントおよび装置200の先端部が図8および図9に示すような患者の陰茎の管腔400の中の尿道410の中に挿入されている。装置200の先端部およびステント10は尿道410の中で操縦されて、ステントの前立腺部分が前立腺尿道411内に配置され、ステントの先端部が外部括約筋430の先端側に配置されて、膀胱450から尿道の内腔を通して尿の開口した通路が形成できる。その後、トリガー260を係合して装置の先端側に引くことによりアプリケータ装置200を尿道410から抜き取って、この処理が完了し、移植されたステント10により尿道の内腔410が開通する。図9に示すように、適当な時間の経過後のステント10はほとんど軟質で柔軟なフィラメントの状態に変化して、尿の流れと共に患者の体外に尿道410を介して容易に排出されるか、手で内腔から抜き出すことができる。なお、当該技術分野の熟練者であれば、内腔の特異的特徴または外科的な配備処理により必要とされる調整により、別の種類の体内腔に対応した配置が同様に可能であることが理解できる。
【0034】以下の実施例は本発明の原理および実施について例示するが、本発明を制限するものではない。
【0035】実施例1:押出成形コーティング処理による吸収性コーティングを有するフィラメントの製造ポリジオキサノン・ホモポリマーを窒素により脱気した24:1のL:D比の標準的スクリューを備えた3/4インチの縦型一軸スクリュー押出成形装置のホッパーに加えた。この押出成形装置の温度プロファイルは後方領域からダイにかけて250°F,260°F,270°Fおよび275°Fであった。また、スクリュー速度を6.5RPMとして、加圧力を1345psiとした。20ミル直径のガイダー(加圧先端部分)および48ミル直径のダイを備えているB&Hクロスヘッドを使用した。巻出装置上で18ミルの直径を有するEthcon社(サマービル、ニュージャージー州)から入手可能なVicryl(商標)縫合線のスプールをガイダーを介してクロスヘッドの中に導入した後に、ポリジオキサノン溶融物によりコーティングし、水中において冷却してから、エア・ワイパーにより乾燥した後に、スプール上に連続的に引取った。水の温度は8℃であった。また、引取り速度は2.1M/分であった。この繊維は44ミルの外径を有しており、窒素環境内に貯蔵した。
【0036】実施例2:コーティング処理したフィラメントによるステントの製造実施例1のコーティング処理した縫合線を結びつけてマンドレルの第1の穴C(図10参照)の中に通して小さいループを形成した。2個の金属ポスト(φ2×15mm長)を穴AおよびBに挿入した。
【0037】ポストを穴AおよびBに配置して、マンドレルのC側の端部を巻き付けモーターに取り付けた。5フィート長の繊維をスプールから切り出してループに通した。この2個の自由端部を一体に合わせて折り重ねた繊維を緩く引き伸ばすことによりループを繊維のほぼ中心に配置した。この繊維を案内手段としての2本の指で緩く保持して確実にコイルが密着状態で詰め合わさるようにした。その後、前立腺部分の長さだけ巻き付け装置を20RPM乃至30RPMで運転した。
【0038】このコイル化処理は位置Cから始まり、第1のポスト(B)に到達した段階で、繊維を先端側に向かう角度にポスト上で折り曲げた。さらに180°巻きつけてコネクターを形成し、繊維を第2のポスト(A)に向けて引き伸ばし、この位置を通過させた。その後、繊維をマンドレルに対して垂直の位置まで引き戻して、先端側ループをコイル化した。さらに、ワイヤ・タイを用いて繊維をマンドレル上に固定した。この組立体を真空条件下で48時間貯蔵してアニール処理前に乾燥した。
【0039】アニール処理の前に、上記の各ポストをマンドレルから取り外した。この組立体全体をアニール処理槽内に吊り下げて80℃で10時間アニール処理した。その後、ステントをマンドレルから取り外して、窒素ボックス内で貯蔵した。
【0040】実施例3男性の患者を適当に麻酔処理して従来的なレーザー処理装置により前立腺の熱焼灼処理を行なった。この外科処理を有効に完了した後に、本発明のステント10をアプリケーター200を用いて以下の方法で患者の尿道および膀胱の中に挿入した。すなわち、外科医は余分なステント部分を切り取り、このステントをアプリケーターの端部に配置した。従来的な膀胱鏡をアプリケーターの内孔部の中に挿入した。これらのステントおよびアプリケーターは水溶性の医療用潤滑剤により潤滑化している。さらに、標準的な膀胱鏡検査処理において使用するような供給装置に液溜めを取り付けた。その後、ステントを膀胱鏡による直接的な観察下において前立腺尿道内に挿入した。適正に配置した後に、供給装置を取り外して、ステントを前立腺尿道内に残留させた。移植後の約28日経過後に、外側コーティングが吸収および/または崩壊して、ステントが軟質で柔軟なフィラメント状の構造に変化し、このフィラメントの端部を把持して内腔から引き出すことにより、当該フィラメントを尿道管から取り出すことができるようになった。
【0041】本発明のステントは従来技術のステントに優る多くの利点を有している。これらの利点として、所定時間における剛性(内腔開通性)、崩壊/吸収軟質化機構が含まれ、この軟質化機構によりステントが容易に通過可能/除去可能なフィラメントに軟化し、さらに、生体許容性、移動または転移を阻止する手段、X線等によるステントおよびその位置を非侵襲性的にモニターする手段等が含まれる。
【0042】以上、本発明をその詳細な実施形態に基づいて図示し且つ説明したが、当該技術分野の熟練者であれば、これらの実施形態における形態および詳細部を本発明の趣旨および範囲に逸脱することなく多様に変更できることが理解できる。
【0043】本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)前記コーティングが溶融ポリマーにより構成されている請求項1に記載のステント。
(2)前記コーティングが溶液ポリマーにより構成されている請求項1に記載のステント。
(3)前記フィラメントが外科用縫合線により構成されている請求項1に記載のステント。
(4)前記縫合線がモノフィラメントにより構成されている実施態様(3)に記載のステント。
(5)前記縫合線がマルチフィラメントにより構成されている実施態様(3)に記載のステント。
【0044】(6)前記縫合線が非吸収性の縫合線により構成されている実施態様(3)に記載のステント。
(7)前記縫合線が吸収性の縫合線により構成されている実施態様(3)に記載のステント。
(8)前記コーティングがラクチド、グリコリド、パラ−ジオキサノン、カプロラクトン、およびトリメチレン・カーボネート、カプロラクトン、これらの混合物およびこれらのコポリマーから成る群から選択されるモノマーにより作成されたポリマーにより構成されている請求項1に記載のステント。
(9)前記コーティングのポリマーが55℃以上のガラス転移点温度を有している請求項1に記載のステント。
(10)前記コーティングのポリマーが120℃以上のガラス転移点温度を有している請求項1に記載のステント。
【0045】(11)前記コーティングのポリマーがポリアクリルアミド、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・オキシド、ビニル・アルコール、およびポリ(N−ビニル・ピロリドン)から成る群から選択されるポリマーにより構成されている請求項1に記載のステント。
(12)前記ポリマー・コーティングがポリアミドにより構成されている請求項1に記載のステント。
(13)前記コーティングが溶融ポリマーにより構成されている請求項2に記載のステント。
(14)前記コーティングが溶液ポリマーにより構成されている請求項2に記載のステント。
(15)前記フィラメントが外科用縫合線により構成されている請求項2に記載のステント。
【0046】(16)前記縫合線がモノフィラメントにより構成されている実施態様(15)に記載のステント。
(17)前記縫合線がマルチフィラメントにより構成されている実施態様(15)に記載のステント。
(18)前記縫合線が非吸収性の縫合線により構成されている実施態様(15)に記載のステント。
(19)前記縫合線が吸収性の縫合線により構成されている実施態様(15)に記載のステント。
(20)前記コーティングがラクチド、グリコリド、パラ−ジオキサノン、カプロラクトン、およびトリメチレン・カーボネート、カプロラクトン、これらの混合物およびこれらのコポリマーから成る群から選択されるモノマーにより作成されたポリマーにより構成されている請求項2に記載のステント。
【0047】(21)前記コーティングのポリマーが55℃以上のガラス転移点温度を有している請求項2に記載のステント。
(22)前記コーティングのポリマーが120℃以上のガラス転移点温度を有している請求項2に記載のステント。
(23)前記コーティングのポリマーがポリアクリルアミド、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・オキシド、ビニル・アルコール、およびポリ(N−ビニル・ピロリドン)から成る群から選択されるポリマーにより構成されている請求項2に記載のステント。
(24)前記ポリマー・コーティングがポリアミドにより構成されている請求項2に記載のステント。
(25)体内腔の通路を概ね開口状態に維持する方法において、ステントを備える工程から成り、当該ステントが、複数のコイルを有する螺旋状構造を備えており、当該構造が長手軸および長手方向の通路を有していて、前記コイルが一定のピッチを有しており、前記構造がフィラメントにより作成されていて、当該フィラメントが一定の断面を有しており、さらに当該フィラメントが、外表面部および一定の断面を有する細長い柔軟性部材と、前記柔軟性部材の外表面部上の外側ポリマー・コーティングとにより構成されており、当該ポリマー・コーティングが前記柔軟性部材を螺旋状構造に効果的に維持するための十分な機械的保全性を有しており、さらに、前記ステントを体内腔に移植し、当該ステントを体内腔の中で一定の十分な時間だけ維持して、前記外側ポリマー・コーティングが軟化することによりステント構造が軟質で柔軟なフィラメント構造に変化するまで、一定の所望時間だけ体内腔の通路を概ね開口状態に効果的に維持する工程から成る方法。
【0048】
【発明の効果】従って、本発明によれば、人体の内腔の中に移植するための除去可能なステントが提供できる。




 

 


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