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発明の名称 コーヒー抽出用フィルタ及びこれを用いたコーヒー抽出器並びにコーヒーバッグ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−231684(P2001−231684A)
公開日 平成13年8月28日(2001.8.28)
出願番号 特願2000−43655(P2000−43655)
出願日 平成12年2月21日(2000.2.21)
代理人 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【テーマコード(参考)】
3E067
4B004
【Fターム(参考)】
3E067 AA05 AB24 BA12A BB06A EE21 FB17 
4B004 AA04 BA22 BA42
発明者 中林 義晴 / 前田 剛 / 神田 昌志
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタにおいて、前記常温水の注入により生じる下降流により、その内部に収容した前記焙煎コーヒー凝集物と前記常温水との混合液を上下方向に攪拌する攪拌流を形成可能な、下方に縮径した細長い逆円錐状のコーヒー抽出用フィルタ。
【請求項2】 焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタにおいて、その底面に接する水平面と、上端部に設けられた開口面の長径の中点とを結ぶ垂線の交点を逆円錐の頂点とみなすと、前記頂点と前記長径の両端部とでなす角が20〜45°であるコーヒー抽出用フィルタ。
【請求項3】 前記底面の長径の長さが30mm以下である請求項2に記載のコーヒー抽出用フィルタ。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー抽出用フィルタを、下方に縮径した逆円錐状の抽出姿勢で、前記抽出液を収容する収容容器を係止する係止部を設けた支持部材に着設してなるコーヒー抽出器。
【請求項5】 前記コーヒー抽出用フィルタの下端部より下方に、前記係止部を設けた請求項4記載のコーヒー抽出器。
【請求項6】 請求項4または5に記載のコーヒー抽出容器の前記コーヒー抽出用フィルタに、焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出物粒子を担持した焙煎コーヒー凝集物を収容してなるコーヒーバッグ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタ、及びこれを用いたコーヒー抽出容器並びにコーヒーバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】焙煎コーヒー豆を粉砕して得られる焙煎コーヒー粒子から抽出した、いわゆるレギュラーコーヒー(以下、「コーヒー抽出液」という。)は、良好な香りを呈し、極めて嗜好性に富むという特長を有している。一方、前記コーヒー抽出液を噴霧乾燥・凍結乾燥等して得られた固形物である、いわゆるインスタントコーヒー(以下、「焙煎コーヒー抽出物」という。)の溶液は、前記焙煎コーヒー液と比較して香りの質が劣るものの、その他の特性に関してはコーヒー飲料として飲用するに足り、極めて簡単に調製可能である点で好ましいという特長を有している。ここで、両者が簡便性と嗜好性の面で相反する特長を有している点に着目して、香りの良い焙煎コーヒー粒子と水に溶けやすい焙煎コーヒー抽出物との混合造粒物である焙煎コーヒー凝集物を作成し、これを常温水(15〜30℃程度の水)で抽出することによって、簡便にアイスコーヒーを提供することが提案されている。
【0003】このような焙煎コーヒー凝集物の常温水による抽出方法としては、透水性を有する不織布に前記焙煎コーヒー凝集物を封入してなるコーヒーバッグを、常温水に浸漬して、前記焙煎コーヒー凝集物のエキス分を抽出する方法があった。また、従来の熱水抽出用のドリッパー(コーヒー抽出器)に、前記焙煎コーヒー凝集物を収容した従来のコーヒー抽出用フィルタを納置して、熱水抽出と同様に、上方から常温水を注いで、前記常温水と前記焙煎コーヒー凝集物とを接触させることによって、そのエキス分を抽出することも考えられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、常温水で前記焙煎コーヒー凝集物を抽出するとすれば、前記焙煎コーヒー凝集物に含まれる焙煎コーヒー粒子への前記常温水の浸透性が低いため、エキス分や香味成分が抽出され難いという問題点があった。このため、前記コーヒーバックを常温水に浸漬する方法では、充分に前記焙煎コーヒー凝集物のエキス分を抽出するために、長時間(たとえば一晩程度)浸漬する必要があった。上述した従来の熱水抽出用フィルタ3を用いてドリップする方法にあっては、図7に示すように、前記焙煎コーヒー凝集物4の嵩(堆積高)もフィルタ3の高さも低いので、注いだ常温水が前記フィルタ3から溢れ出ないようにするために、勢い良く常温水を注ぐことができなかった。さらに、図7(a)に示すように、前記常温水の水柱6の断面積に対して、前記フィルタ3の底面積が広いので、前記焙煎コーヒー凝集物4に注がれた常温水が、前記フィルタ3の底面に沿って拡散するときに、勢いが落ちがちであった(図7(b)参照)。従って、フィルタ3に収容された前記焙煎コーヒー凝集物4を十分攪拌することができるように、前記常温水と前記焙煎コーヒー凝集物4の混合液を攪拌する攪拌流が形成されにくかった。そのため、前記常温水と前記焙煎コーヒー凝集物4の混合液の中には攪拌され難い領域があって、この領域に存在する乾いた焙煎コーヒー凝集物4の塊が、浮力により水面に浮上し、この焙煎コーヒー凝集物4の塊と前記混合液との間に界面を形成したような状態となる現象がみられた(図7(c)参照)。これによって、前記焙煎コーヒー凝集物4への常温水の滲入がさらに妨げられて、抽出効率が低下するという問題点があった。この焙煎コーヒー凝集物4の塊と前記常温水との間に生じた界面は、水の流動などによって破壊することができる程度のものであるので、マドラー等で攪拌すれば徐々に消失するが、手間がかかるという問題点もある。
【0005】従って、本発明の目的は、上記欠点に鑑み、常温水を用いて、前記焙煎コーヒー凝集物から効率良く嗜好性に富んだコーヒー液を抽出することができるコーヒー抽出用フィルタおよびこれを用いたコーヒー抽出器並びにコーヒーバッグを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明のコーヒー抽出用フィルタの第1特徴構成は、請求項1に記載されているように、焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタにおいて、前記常温水の注入により生じる下降流により、その内部に収容した前記焙煎コーヒー凝集物と前記常温水との混合液を上下方向に攪拌する攪拌流を形成可能な、下方に縮径した細長い逆円錐状である点にある。また、本発明のコーヒー抽出用フィルタの第2特徴構成は、請求項2に記載されているように、焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタにおいて、その底面に接する水平面と、上端部に設けられた開口面の長径の中点とを結ぶ垂線の交点を逆円錐の頂点とみなすと、前記頂点と前記長径の両端部とでなす角が20〜45°である点にあり、また、請求項3に記載してあるように、前記底面の長径の長さが30mm以下であることが好ましい。また、本発明のコーヒー抽出器の特徴構成は、請求項4に記載されているように、請求項1〜3の何れか1項に記載のコーヒー抽出用フィルタを、下方に縮径した逆円錐状の抽出姿勢で、前記抽出液を収容する収容容器を係止する係止部を設けた支持部材に着設してなる点にあり、前記特徴構成において、請求項5に記載されているように、前記コーヒー抽出用フィルタの下端部より下方に、前記係止部を設けてあっても良い。また、本発明のコーヒーバッグの特徴構成は、請求項6に記載されているように、請求項4または5に記載のコーヒー抽出容器の前記コーヒー抽出用フィルタに、焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出物粒子を担持した焙煎コーヒー凝集物を収容してなる点にある。そして、これらの作用効果は、以下の通りである。
【0007】発明者らは、前記焙煎コーヒー凝集物に含まれる焙煎コーヒー粒子への透水性が低い理由として、前記焙煎コーヒー粒子の表面に存在する脂質皮膜の透水性が低いために、水が前記焙煎コーヒー粒子へ滲入することを妨げるからであると考えた。前記焙煎コーヒー粒子の原料となるコーヒー豆の生豆には、16%前後の脂質が含まれている。この生豆に焙煎処理を施すと、温度の上昇によって豆の内部に空胞が形成され、この空胞が成長すると、細胞壁の破壊を伴なって豆が膨張する。これによって、前記空胞に封じ込められていた前記脂質が、前記細胞壁の亀裂を伝って前記コーヒー豆の表面にまで滲出する。従って、このコーヒー豆を粉砕して得られた前記焙煎コーヒー粒子の表面には、前記脂質由来の皮膜が形成されることとなる。なお、この脂質含量は、焙煎によって著しく減少することはないと考えられている。この脂質皮膜は熱水と接触することによって軟化し、前記焙煎コーヒー粒子の表面から遊離するので、前記焙煎コーヒー粒子を熱水抽出する際には比較的容易に前記焙煎コーヒー粒子のエキス分が滲出して、香り等の嗜好性に富んだコーヒー抽出液が得られる。前記焙煎コーヒー粒子に熱水を加えて抽出するに際して、初めに、フィルタに収容された前記焙煎コーヒー粒子全体に少量の熱水を注いでしばらく放置する、いわゆる「蒸らし操作」が推奨されているのも、前記脂質皮膜の除去効果が得られ、前記焙煎コーヒー粒子からのエキス分の抽出効率が向上するからである。しかし、常温水抽出を行なうと、かかる効果を期待することができないので、前記脂質の皮膜を除去する代替策を講じなければならない。ここで、発明者らは、ドリップ抽出において、前記コーヒー抽出用フィルタ内における攪拌流(対流)が、主に前記フィルタに注ぎ込まれる常温水の落下に伴なう加圧を利用して生じる点、および前記常温水の注入による液面の上昇と前記コーヒー液が前記フィルタを通過して流出することによる液面の低下の落差が大きいほど、前記常温水の落下に伴なう加圧が大きくなる点に着目して、前記コーヒー抽出用フィルタの形状と攪拌流の強さの関係について鋭意研究を行なった結果、本発明に想到するに至った。
【0008】つまり、請求項1に記載されているように、前記焙煎コーヒー凝集物4を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタ3の前記焙煎コーヒー凝集物4が収容される底部領域は細径で断面積が小さいので、従来のコーヒー抽出用フィルタ3と比べると、抽出初期において、前記焙煎コーヒー凝集物4の堆積層の最表層の面積(以下「注水面積」という。)に対する、常温水の水柱6が落下して接触する範囲の比率が高い(図1(a)参照)。この領域に存在する前記焙煎コーヒー凝集物4の粒子は、前記常温水の落下によって重力方向に押し付けられるので、水面に浮上することができない(図1(b)参照)。また、前記常温水が落下した領域の外に位置していた前記焙煎コーヒー凝集物4は、重力方向からの圧力を避けるように横方向に移動するが、すぐに壁面付近に達する。そして、前記焙煎コーヒー凝集物4は、壁面にぶつかると壁に沿って上方に移動しようとするが、前記コーヒー抽出用フィルタの形状を下方に縮径した細長い逆円錐状とすることで、その壁面の角度が急峻になっているので、前記焙煎コーヒー凝集物の粒子が上昇移動しにくくなっている。従って、従来のコーヒー抽出用フィルタ3を使用したときと比べて、前記焙煎コーヒー凝集物4の塊が水面に浮上しにくくなる。これによって、前記焙煎コーヒー凝集物4と前記常温水とが混和しやすくなる。また、下部が縮径した逆円錐状の形状としたことで、前記コーヒー液が流出可能な前記コーヒー抽出用フィルタの底部領域の面積が減少するので、前記常温水の滞留時間が長くなり、前記常温水と前記焙煎コーヒー粒子とが接触する機会が増える。従って、前記焙煎コーヒー粒子からのエキス分の抽出効率が向上する。尚、本発明に係るコーヒー抽出用フィルタの断面積は小さいが、細長くしたことで、前記コーヒー液の抽出に要する容量は確保している。
【0009】さらに前記常温水の注入が進んで、前記焙煎コーヒー凝集物4と前記常温水とが混合した混合液が得られるような状態において、前記常温水の注入により生じる下降流が、その内部に収容した前記焙煎コーヒー凝集物4と前記常温水との混合液を上下方向に攪拌する攪拌流を形成可能であると、前記焙煎コーヒー粒子が前記常温水中で攪拌されることとなって、その表面に有する脂質の皮膜が除去され易くなる(図1(c)参照)。これによって、前記常温水と前記焙煎コーヒー粒子との接触が容易となり、前記焙煎コーヒー粒子からのエキス分の抽出効率がさらに向上する。尚、上部の開口面が拡径しているのは、注水を容易とするためである。
【0010】また、請求項2に記載されているように、焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるコーヒー抽出用フィルタにおいて、図2(a)に示すように、その底面に接する水平面と、上端部に設けられた開口面の長径の中点とを結ぶ垂線の交点を逆円錐の頂点とみなしたときに、前記頂点と前記長径の両端部とでなす角θが20〜45°であると、前記常温水の注入が容易であると共に、従来のコーヒー抽出用フィルタと比べて、断面積が小さく、またその外周部のなす角度が急峻であるため、前述したように、前記焙煎コーヒー凝集物の塊が水面に浮上しにくくなる。また、同じ量の前記焙煎コーヒー凝集物を収容すると、従来のコーヒー抽出用フィルタに比べて、その堆積嵩が高くなり、また同じ量の常温水を注ぐとすれば、その水位の変動は大きくなる。従って、前記常温水の注入と流出による液面の上下方向の変動幅は、従来のコーヒー抽出用フィルタを使用した場合と比べて大きくなる。ここで、前記常温水の注入により生じる下降流と、前記水位変動により、その内部に収容した前記焙煎コーヒー凝集物と前記常温水との混合液を上下方向に攪拌する攪拌流を形成可能であるので、前記焙煎コーヒー粒子が前記常温水中で攪拌されることとなって、その表面に有する脂質の皮膜が除去され易くなる。これによって、前記常温水と前記焙煎コーヒー粒子との接触が容易となり、前記焙煎コーヒー粒子からのエキス分の抽出効率がさらに向上する。
【0011】さらに、前記コーヒー抽出用フィルタの底面の長径の長さが30mm以下であると、前記コーヒー液が流出可能な領域を少なくすることによって、滞留時間を延長し、前記焙煎コーヒー凝集物からのエキス分の抽出効率を向上することができる。尚、円錐前記コーヒー抽出用フィルタの形状が、図2(b)〜(e)に示すように、裁頭逆円錐またはこれに類する真の円錐形以外の形状である場合、前記底面の長径の両端から前記水平面に垂線を下し、この垂線と前記水平面との交点を結ぶ線の長さαを、底面の長径の長さとする。
【0012】また、請求項3に記載されているように、請求項1または2に記載のコーヒー抽出用フィルタを、下方に縮径した逆円錐状の抽出に適した姿勢で、前記抽出液を収容する収容容器を係止する係止部を設けた支持部材に着設したコーヒー抽出器は、前記焙煎コーヒー凝集物と常温水を用意するだけで、容易に嗜好性に富んだコーヒー液を提供することができる。
【0013】ここで、請求項4に記載されているように、前記コーヒー抽出器の前記係止部を、前記コーヒー抽出用フィルタの下端部より下方に設けてあると、前記コーヒー抽出器が前記収容容器に収容された前記コーヒー液に漬かり難いので、液切れが良くなり、使用後の始末を簡単に行なうことができる。また、前記収容容器が、前記コーヒー抽出用フィルタの天地方向の長さに対して短く、前記コーヒー抽出用フィルタを前記収容容器内に設置して抽出を行なうことが困難であるような場合であっても、前記コーヒー抽出用フィルタを、前記収容容器の上部に設置することができるので、支障なく抽出することができる。
【0014】また、請求項5に記載されているように、請求項3または4に記載のコーヒー抽出容器の前記コーヒー抽出用フィルタに、焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出物粒子を担持した焙煎コーヒー凝集物を収容してなるコーヒーバッグを用いれば、常温水と収容容器を用意するだけで、簡単に嗜好性に富んだコーヒー液を得ることできる。
【0015】尚、前述した本発明に係るコーヒー抽出用フィルタ、コーヒー抽出器またはコーヒーバッグを用いれば、常温水を用いてコーヒー液を得ることができるので、前記収容容器として耐熱容器を使用する必要がない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】図3(a)に示すように、コーヒー液を抽出可能な姿勢において、上部開口が半径r0 の真円であって、高さがh0 である、下方が縮径した幾何学的な円錐状のフィルタAに、前記焙煎コーヒー凝集物を、体積Vcとなるように収容したものを想定する。なお、前記焙煎コーヒー凝集物は、半径rc1 の真円を底面とし、底面積(注水面面積)Ac1 、高さhc1 の、前記フィルタと相似形の下方が縮径した幾何学的な円錐形状で、前記フィルタ内に収容されているものとする。ここで、前記フィルタと上部開口の面積が同一で高さがx倍のフィルタBに、前記フィルタAと同一体積の前記焙煎コーヒー凝集物を収容したとすると、フィルタの容積はx倍、前記注水面積はx-2/3倍、並びに前記焙煎コーヒー凝集物の堆積高はx5/3 倍となる。本発明に係るコーヒー抽出用フィルタは、焙煎コーヒー粒子と焙煎コーヒー抽出物とを含む焙煎コーヒー凝集物を常温水抽出するために用いるものであって、前掲の如く、下方に縮径した細長い逆円錐状を有することによって、前記常温水を前記フィルタの上方から注入すると、その内部に収容した前記焙煎コーヒー凝集物と前記常温水との混合液を巻き込んで、落差の大きな下降流を形成することができる。この下降流は、前記フィルタの底部まで達すると壁面に沿って反転して上昇流となり、前記混合液全体を上下方向に攪拌する攪拌流(対流)を形成することができる。これによって、前記焙煎コーヒー凝集物に含まれる前記焙煎コーヒー粒子の表面を被覆する脂質の皮膜を、前記焙煎コーヒー粒子の表面から除去し、前記焙煎コーヒー粒子への常温水の浸入を促進し、エキス分の抽出効率を向上することができる。
【0018】尚、前記コーヒー抽出用フィルタの形状は、製造上の問題(フィルタを構成する紙、不織布などの張り合わせを確実なものとする等)や美観の観点から、上述した真の逆円錐に限られず、図2(c)〜(e)に示すように、裁頭逆円錐状であっても良く、また、その頂点の位置は、図2(b)に示すように、底面を含む水平面上にあれば、上端部に設けられた開口面の長径の中点からずれていても良い。ここで、前記開口面が真円でない場合の長径(2×r0 )のとり方は、図4(a)〜(e)に示す。また、図2(d)に示すように、前記底面に水平な面以外で裁頭された逆円錐形状のコーヒー抽出用フィルタであれば、その底面の長径の両端から前記水平面に垂線を下し、この垂線と前記水平面との交点を結ぶ線の長さを、底面の長径αの長さとする。
【0019】図5、6は、本発明に係るコーヒー抽出用フィルタ3を備えたコーヒー抽出器2に前記焙煎コーヒー凝集物4を収納してなるコーヒーバッグ1を使用するときの状態を示すものである。前記コーヒー抽出器2は、筒状の本体部21に係止部材としての横長の係止板22を渡設してあると共に、同じく係止部材としての1対の鉤状突起をその基部が前記本体部21に接するよう設けてあり、前記本体部21に前記係止板22と前記1対の鉤状突起を対向して設けて支持部材を形成する。また、前記本体部21の内壁には、前記コーヒー抽出用フィルタ3の開口端部31が着設されている。ここで、前記コーヒー液を収容するための収容容器としてのグラス5に1杯分のコーヒー抽出液を得るのに適当な量の前記焙煎コーヒー凝集物4を収容した前記コーヒー抽出器2を、前記焙煎コーヒー凝集物4が前記コーヒー抽出用フィルタ3からこぼれ出ないように封をしてアルミフィルム等で個装したものを、1人前のアイスコーヒー用コーヒーバッグ1として提供することもできる。このアイスコーヒー用バックの前記係止板22を前記グラス5の開口端部51に掛け渡して、前記鉤状突起を前記グラス5の開口端部51に掛合させると、前記コーヒー抽出用フィルタ3は、下端部に前記焙煎コーヒー凝集物4を収納した状態で、その下方に向かって縮径した逆円錐状の形状で、前記グラス5内に延出することとなる。
【0020】なお、前記焙煎コーヒー凝集物4としては、35〜65℃の空気流により前記焙煎コーヒー粒子及び前記焙煎コーヒー抽出物粒子の混合物を流動化した状態で、バインダを前記焙煎コーヒー粒子及び前記焙煎コーヒー抽出物粒子の合計重量に対して5〜10%の比率で添加して造粒する造粒工程と、造粒生成物を、前記35〜65℃の空気流により流動化した状態で乾燥させる乾燥工程とからなる焙煎コーヒー凝集物4の製造方法により製造された、焙煎コーヒー抽出物粒子を前記焙煎コーヒー粒子の表面に担持した前記焙煎コーヒー凝集物4が、焙煎コーヒー様の香味に優れ、きわめて嗜好性に富むので好ましい。さらに、前記造粒工程及び前記乾燥工程の所要時間が、合わせて4〜30分間であることが好ましい。尚、前記混合物は、前記焙煎コーヒー粒子と前記焙煎コーヒー抽出物粒子の合計重量に対して、前記焙煎コーヒー抽出物粒子を5〜50%含んでいることが好ましい。そして、前記バインダは、焙煎コーヒー抽出液又は水であると好ましく、前記バインダとしての焙煎コーヒー抽出液が、1〜10%のエキス分を含む焙煎コーヒー抽出液であるものが最適である。
【0021】また、前記グラス5に1杯分のコーヒー液(約140ml)を、10gの前記焙煎コーヒー凝集物4からドリップ抽出するとすれば、前記コーヒー抽出用フィルタ3の形状は、以下の範囲内に設定することが好ましい。(最適値は、後述するθ−25に該当。)
開口部の面積 15〜50cm2 (最適値 27cm2
フィルタ容積 60〜170ml (最適値 100ml)
フィルタの深さ 20〜150mm (最適値 110mm)
【0022】参考までに、従来の市販の簡易型フィルタの例を、表1に示す。なお、容積は、セラミックボールをフィルタに満注し、このときのセラミックボールの嵩高さを測定した。深さは、組み立てた状態(抽出可能な姿勢)の上端と下端の間の長さをノギスで測定した。底面の長径は、前記フィルタを組み立てた状態で、開口部を楕円形又は長方形に見立てて測定した。コーヒーの堆積高は、フィルタに10gの焙煎コーヒー粒子を収容したときの堆積高をノギスで測定し、また、前記焙煎コーヒー粒子の注水面積は、前記フィルタに収容された前記焙煎コーヒー粒子の層の最上部の面積を、楕円形又は長方形に見立てて測定した。
【0023】
【表1】

【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、以下の実験は、本発明に係るコーヒーバッグに、20℃の常温水を150ml注入して、その状態を観察し、得られたコーヒー液の性状を分析し、また専門のパネラーが官能評価した。
【0025】実験例1開口部が半径30mmの円形であって、その中心のから下した垂線上に頂点を有し、前記開口部の長径の両端と前記頂点とのなす角が20〜55°の6種の逆円錐形のコーヒー抽出用フィルタ3を夫々支持部材に着設してなる、図5、6に示すコーヒー抽出器2に、10gの焙煎コーヒー凝集物4を収容して、6種のコーヒーバッグ1を作成した。以下、表2に、夫々のコーヒーバッグ1の名称、底部の角度、前記焙煎コーヒー凝集物4の堆積高、および前記常温水が注入される面の面積を示す。尚、前記焙煎コーヒー凝集物4は、前記焙煎コーヒー粒子と前記焙煎コーヒー抽出物粒子とを5:1の重量比で混合した混合物を、45℃の空気流に流動化した状態で、バインダ(5%焙煎コーヒー抽出液)を5%添加して造粒する造粒工程と、造粒生成物を、前記45℃の空気流により流動化した状態で乾燥させる乾燥工程とからなる焙煎コーヒー凝集物4の製造方法により製造した、焙煎コーヒー抽出物粒子を前記焙煎コーヒー粒子の表面に担持した前記焙煎コーヒー凝集物4である。
【0026】
【表2】

【0027】前記6種のコーヒーバックに、常温水を注いだときの前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がり度合いを観察した。この結果、表3に示すように、底部の角度が20〜45°のコーヒー抽出用フィルタ3を用いることで、前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりをほとんど抑制することができた。なお、特に記載のない限り、以下の実験においては、その底部に複数の穴が貫設され、シャワー状に常温水を滴下可能な注水装置を、前記コーヒー抽出用フィルタ3の上方に架設して、一定時間に一定量の常温水を供給して、前記コーヒー液の抽出を行なった。
【0028】
【表3】

◎:前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりが認められない○:前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりがほとんど認められない△:前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりが部分的に認められる×:浮き上がりが著しく、抽出不能−:コーヒー抽出用フィルタ3の開口部が狭すぎて、注水困難【0029】また、このときに得られたコーヒー抽出液の濃度について検討した結果を、表4に示す。尚、BRIX値は20℃におけるアッベ屈折計の示度を示し、吸光度は、分光光度計を用いて測定した420nmにおける吸光度を示す。抽出中の前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりを抑制することができた前記コーヒーバッグ1においては、BRIX、吸光度のいずれにおいても高い値が得られ、前記焙煎コーヒー凝集物4からのエキス分の抽出効率が向上したことがわかる。
【0030】
【表4】

【0031】また、同様に、これらのコーヒーバッグ1を常温水抽出することによって得られたコーヒー液について官能評価を行なった結果を、表5に示す。官能評価においても、前記底面の角度が20〜45°のコーヒー抽出用フィルタ3を用いたコーヒーバッグ1から得られたコーヒー液の評価は高かった。
【0032】
【表5】

*苦味、濃厚感の評価は、強いものを+2、普通を0、弱いものを−2とした*総合評価は、○をきわめて良好、△を良好、×を不良とした【0033】実験例2上記実験例1において、良好な成績が得られた底面のなす角が25°のコーヒー抽出用フィルタ3の底面を線状とし、この底面の長径の長さを、0〜4cmまで変えた5種のコーヒー抽出用フィルタ3を備えたコーヒー抽出器2に、10gの前記焙煎コーヒー凝集物4を収容した5種の本発明に係るコーヒーバッグ1を作成した(図2(c)参照)。尚、他の条件については、前記実験例1と同じである。以下、表6に、夫々のコーヒーバッグ1の名称、底部の角度、前記焙煎コーヒー凝集物4の堆積高、および前記常温水が注入される面の面積を示す。
【0034】
【表6】

【0035】前記5種のコーヒーバックに、常温水を注いだときの前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がり度合いを観察した。この結果、表7に示すように、底面の長径の長さが0(逆円錐形)〜3cmのコーヒー抽出用フィルタ3を用いることで、前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりをほとんど抑制することができた。
【0036】
【表7】

【0037】また、このときに得られたコーヒー抽出液の濃度について検討した結果を、表8に示す。抽出中の前記焙煎コーヒー凝集物4の浮き上がりを抑制することができた前記コーヒーバッグ1においては、BRIX、吸光度のいずれにおいても高い値が得られ、前記焙煎コーヒー凝集物4からのエキス分の抽出効率が向上したことがわかる。
【0038】
【表8】

【0039】また、同様に、これらのコーヒーバッグ1を常温水抽出することによって得られたコーヒー液について官能評価を行なった結果を、表5に示す。官能評価においても、前記底面の長径の長さが0〜3cmのコーヒー抽出用フィルタ3を用いたコーヒーバッグ1から得られたコーヒー液の評価は高かった。
【0040】
【表9】

【0041】実験例3前記θ−25のコーヒー抽出用フィルタ3を用いたコーヒーバッグ1に、種々の温度の水を注いで得られた11種のコーヒー液の濃度について調べた結果を、表10に示す。このように、前記θ−25のコーヒー抽出用フィルタ3を用いたコーヒーバッグ1にあっては、90℃の熱水はもちろんのこと、15〜30℃の常温水であっても、飲用可能な濃度のコーヒー液を得ることができた。尚、他の良好な結果が得られたコーヒー抽出用フィルタ3を使用した場合も、同様に、常温水で、嗜好性に富んだコーヒー液を抽出することが可能である。
【0042】
【表10】

【0043】実験例4なお、参考として、前記θ25〜55、及びθ25−1〜4の9種のフィルタに、前記焙煎コーヒー粒子を10g収容してなる以外は、前記実験例1及び3と同じ条件で抽出したときの、前記焙煎コーヒー粒子の挙動及び前記コーヒー液の性状を、表11〜14に示す。
【0044】
【表11】

【0045】
【表12】

【0046】
【表13】

【0047】
【表14】

【0048】上記表11〜14に示す結果を、前記焙煎コーヒー凝集物4について同様の試験を行なった結果(表3〜5、7〜9参照)と比較すると、前記コーヒー抽出用フィルタ3の形状と結果の良否との関係については、同じような傾向が得られた。従って、本発明に係るコーヒー抽出用フィルタ3は、前記焙煎コーヒー粒子からのエキス分の抽出効率を向上させる作用があることがわかる。
【0049】〔別実施形態〕以下に別実施形態を説明する。請求項5に記載されているように、前記コーヒー抽出用フィルタ3の下端部より下方に、前記係止部を設けてあっても良い。このように構成すると、前記コーヒー抽出用フィルタ3が、前記コーヒー抽出液に浸漬することがないので、液切れが良く、後片付けが簡単になる。また、前記コーヒー抽出用フィルタ3が前記コーヒー液の収容容器に嵌入するように、前記支持体が設けられたコーヒー抽出容器であっても、使用に差し支えない。また、焙煎コーヒー凝集物4は、実験例で使用したものに限らず、焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出物粒子を担持した焙煎コーヒー凝集物4を使用することができる。また、その他にも、焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出液を噴霧し、これを乾燥させることによって、前記焙煎コーヒー粒子の表面に焙煎コーヒー抽出物の皮膜を形成した焙煎コーヒー凝集物4であっても良い。また、前記係止部材は、前記コーヒー抽出用フィルタ3に前記焙煎コーヒー凝集物4を収容した状態で常温水を注ぐことによって、前記収納容器に前記コーヒー抽出液を収容可能に支持することができれば、係止板22と1対の鉤状突起23とから構成されるものに限らず、たとえば、1対の鉤状突起23が前記抽出液を収容する容器の開口端部51に掛合可能に設けられていてもよく、また、2対の鉤状突起23を夫々前記本体部21の両側に配設して前記抽出液を収容する容器の開口端部51に掛合可能とすることもできる。
【0050】さらに、複数杯分のコーヒー液を一度にドリップして得るような場合には、前記コーヒー抽出用フィルタ3の底部のなす角度が20〜45°とする以外は、適宜設計変更可能である。
【0051】なお、前記コーヒー抽出用フィルタ3に収容した前記焙煎コーヒー凝集物4及び焙煎コーヒー粒子への常温水の供給は、水差し、ポット、薬缶などを用いて行なっても良く、その結果は、前記注水装置を用いた場合と相違ない。




 

 


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