米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 農業 -> 科学技術振興事業団

発明の名称 NAIPトランスジェニック動物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−218539(P2001−218539A)
公開日 平成13年8月14日(2001.8.14)
出願番号 特願2000−32319(P2000−32319)
出願日 平成12年2月9日(2000.2.9)
代理人 【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
【テーマコード(参考)】
2G045
4B024
4B065
4C084
【Fターム(参考)】
2G045 AA40 BB20 BB60 CB01 CB17 DA36 DA80 GC30 
4B024 AA11 CA04 DA02 EA04 GA12 GA18
4B065 AA90X AA93Y AC14 BA04 CA24 CA46
4C084 AA17 ZA022 ZA362 ZA812 ZA942 ZB212 ZB272
発明者 池田 穣衛 / 酒井 治美 / 権藤 洋一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ヒト・アポトーシス抑制タンパク質NAIPをコードするポリヌクレオチドを導入した全能性細胞を個体発生して得られる非ヒト動物およびその子孫動物であって、染色体中に上記ポリヌクレオチドを保有し、体細胞においてNAIPを発現することを特徴とするトランスジェニック動物。
【請求項2】 非ヒト動物がマウスである請求項1のトランスジェニック動物。
【請求項3】 請求項1または2のトランスジェニック動物から単離された細胞。
【請求項4】 請求項1または2の動物に対して、出生前または出生後に候補物質を投与し、細胞アポトーシスの変化を指標としてアポトーシス抑制剤または促進剤をスクリーニングする方法。
【請求項5】 請求項3の細胞の培養培地に候補物質を添加し、細胞アポトーシスの変化を指標としてアポトーシス抑制剤または促進剤をスクリーニングする方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ヒト・アポトーシス抑制タンパク質NAIPをコードするポリヌクレオチドを導入したトランスジェニック動物に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】アポトーシス(apoptosis)は、プログラムされた細胞死の一種であり、周囲の細胞との接触の欠乏、細胞質の濃縮化、エンドヌクレアーゼの活性に関連したクロマチンの凝縮および核凝縮、核の断片化、膜被包性球状小体化、隣接するマクロファージもしくは上皮細胞などによる球状小体の貪食、またはエンドヌクレアーゼ活性によりDNAのヌクレオソーム単位が180〜200塩基長のDNAに断片化するといった現象が観察され、このような現象が認められるアポプティック体細胞の最終断片が隣接する細胞により貪食される機構として論じられている(例えば、Immunology Today 7:115-119, 1986; Science 245:301-305, 1989)。
【0003】このアポトーシスを制御する遺伝子としてしては、例えば、1985年に胞性B細胞腫から発見されたガン遺伝子のひとつであるbcl-2遺伝子が知られている。このbcl-2遺伝子は、免疫系や神経性の細胞で高頻度に発現しており、この遺伝子の発現産物はこれら細胞のアポトーシスを抑制することによって、ヒトの免疫機能や神経系機能の恒常性を維持していると考えられている。また、このbcl-2遺伝子は、胎児では特に広範囲には発現していることから、個体発生の際の形態形成にも重要な役割を果たしていると考えられてもいる。
【0004】一方、この出願の発明者等は、家族性の遺伝病である脊髄性筋萎縮症候群(Spinal Muscular Atrophy:SMA)の原因遺伝子として、ヒト染色体5q13.1領域より神経細胞アポトーシス抑制蛋白質(Neuronal Apoptosis Inhibitory Protein:NAIP)遺伝子を単離し(Roy et al., Cell 80: 167-178, 1995)、また特許出願している(PCT/CA95/00581)。すなわち、このNAIP遺伝子の変異またはコピー数の減少が脊髄ニューロンのアポトーシスを生じさせ、これがSMA発症の原因となると想定されている。また、このNAIP遺伝子を種々の培養細胞に導入し、アポトーシスを誘起させる刺激を細胞に与えたところ、その細胞死が抑制されることが明らかにされ(Liston et al., Nature 379:349-353, 1996)、NAIPが神経細胞だけではなく、体細胞全体のアポトーシス抑制因子であることが明らかにされている。
【0005】そしてこの出願の発明者等は、NAIPをコードするcDNAを単離し、既に特許出願している(特開平11-116599号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のとおり、NAIPはSMAをはじめとする各種アポトーシス性疾患に関与する蛋白質であり、それらの疾患の発症メカニズムの解明、発症の危険性の診断、発症の予防もしくは病態の改善、治療のための医療技術および薬剤の開発等のためには、NAIPの発現レベルと細胞アポトーシスとの関係を個体レベルで解析可能なモデル動物の存在が不可欠である。
【0007】この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、体細胞においてヒトNAIPを発現するトランスジェニック動物を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願は、上記の課題を解決するための発明として、ヒト・アポトーシス抑制蛋白質NAIPをコードするポリヌクレオチドを導入した全能性細胞を個体発生して得られる非ヒト動物およびその子孫動物であって、染色体中に上記ポリヌクレオチドを保有し、体細胞においてNAIPを発現することを特徴とするトランスジェニック動物を提供する。
【0009】このトランスジェニック動物においては、非ヒト動物がマウスであることを好ましい態様としている。また、この出願は、前記のトランスジェニック動物から単離された細胞を提供する。
【0010】さらにこの出願は、前記の動物または細胞を対象として、アポトーシス抑制剤または促進剤をスクリーニングする方法を提供する。以下、これらの発明について、実施形態を詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明のトランスジェニック動物は、公知のトランスジェニック動物作製法(例えば、Proc. Natl. Acad. Scl. USA 77;7380-7384, 1980)に従って作成することができる。すなわち、NAIPをコードするポリヌクレオチド(以下、「導入遺伝子」と記載することがある)を非ヒト動物の全能性細胞に導入し、この細胞を個体へと発生させ、体細胞のゲノム中に導入遺伝子が組み込まれた個体を選別することによって目的とするトランスジェニック動物を作製することができる。非ヒト動物としては、技術的には全ての動物種を対象とすることが可能であるが、特に近交系が多数作出されており、しかも受精卵の培養、体外受精等の技術が整っているマウスが最適である。
【0012】導入遺伝子は、NAIPをコードするポリヌクレオチドを含むDNA断片である。このポリヌクレオチドは公知のNAIPcDNA(特開平11-116599号公報)の任意部分の塩基配列に基づいてオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブとして用いてヒトcDNAライブラリーをスクリーニングする方法や、目的とするcDNA断片の両末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを合成し、これをプライマーとして用いてヒト細胞から単離したmRNAからRT−PCR法により調製することもできる。また、導入遺伝子には、その発現を制御するためのプロモーター配列やエンハンサー配列を連結する。このプロモーター/エンハンサー配列の選択によって、NAIPを全身性に発現させることもでき、また特定の組織で選択的に発現させることもできる。
【0013】このような導入遺伝子は、前記のポリヌクレオチドやプロモーター/エンハンサー配列を、導入遺伝子の発現調節に有効な位置関係となるように環状ベクターDNAに挿入連結することによって構築することができる。そして、このベクターDNAを開列して直鎖状にした後、全能性細胞に導入する。
【0014】遺伝子を導入する全能性細胞としては、マウスの場合、受精卵や初期胚を用いることができる。また培養細胞への遺伝子導入法としては、トランスジェニック動物個体の産出高率や次代への導入遺伝子の伝達効率を考慮した場合、DNAの物理的注入(マイクロインジェクション)法が最適である。
【0015】遺伝子を注入した受精卵は、次に仮親の卵管に移植され、個体まで発生し出生した動物を里親につけて飼育させたのち、体の一部(マウスの場合には、例えば、尾部先端)からDNAを抽出し、サザン解析やPCR法により導入遺伝子の存在を確認する。導入遺伝子の存在が確認された個体を初代(Founder)とすれば、導入遺伝子はその子(F1)の50%に伝達される。さらに、このF1個体を野生型動物または他のF1動物と交配させることにより、2倍体染色体の片方(ヘテロ接合)または両方(ホモ接合)に導入遺伝子を有する個体(F2)を作成することができる。
【0016】このようにして作出されたトランスジェニック動物は、全ての体細胞または特定の組織においてヒトNAIPを過剰発現する。このため、アポトーシス抑制剤や促進剤をスクリーニングするモデル動物として有用である。例えば、一時的な脳虚血による海馬ニューロン等のアポトーシスに対する抑制効果を判定することによって、ヒト神経変性疾患(老化、脳血管障害、SMA等)の治療薬剤を特定することができる。また、NAIPは生殖系や造血系組織で発現し、機能することが知られているので、排卵の制御剤や白血病治療薬等のスクリーニングに使用することもできる。あるいはまた、このトランスジェニック動物は、特定の細胞に細胞死を多発するような疾患モデル動物との交配により、個体レベルでの解析に用いることもできる。
【0017】さらに、薬物スクリーニングは、トランスジェニック動物を用いたin vivoの系で行うこともできるが、この動物から単離された細胞を対象として行うこともできる。また、このトランスジェニック動物がブタ等の大型の動物である場合には、単離された細胞は、例えば移植等の生体材料としても利用できる。このような生体材料としての細胞は、NAIPを過剰発現しているために、アポトーシスに対して抵抗性を示し、移植後にも長期間生存することができる。
【0018】
【実施例】以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細に説明するが、この発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1:トランスジェニックマウスの作製ヒトNAIPcDNAのCDS領域を含むポリヌクレオチド(特開平11-116599号公報の配列番号3の位置180−4950)を調製した。このポリヌクレオチドの5'端にウサギβグロビンのイントロンカセットを連結し、さらにその上流にラットのチロシン水酸化酵素遺伝子のプロモーター配列を連結した。また、NAIPポリヌクレオチド下流にはウサギβグロビンのポリアデニル化シグナルを連結した(図1参照)。このようにして調製した導入遺伝子をベクター(Bluescript IISK+)のクローニング部位BssHII/BssHII)に挿入結合し、導入ベクターを構築した。
【0019】この遺伝子導入ベクターをBssHIIで切断し、ベクター断片を除去して、図1の導入遺伝子断片を得た。導入遺伝子断片は、マイクロインジェクション法により系統B6マウスの受精卵前核に注入した。遺伝子導入受精卵は定法に従って仮親の卵管に移植し、個体へと発生させ出生させた。
【0020】得られたマウス個体の尾部からDNAを抽出し、ヒトNAIPcDNAの配列(特開平11-116599号公報の配列番号3の位置3730−4946)を含むヌクレオチド断片をプローブとして用い、定法に従ってサザン解析によりトランスジェニックマウスを選別した。2 μgのDNAを制限酵素SpeIにより切断し、アガロースゲル電気泳動により展開した後、ナンロンメブレン上に転写してハイブリザイゼーションを行った。プローブDNA10 ngはランダムプライマーによる伸長反応によってP32アイソトープラベルした。ハイブリダンゼーションの条件は、68℃1晩、メンブレンの洗浄は2XSSC、0.1%SDS溶液を用いて65℃で行った。シグナルはX線フィルムに感光して検出した。
【0021】図2はサザンブロットの結果の一例である。マウス番号15Lから抽出したDNA(レーン8)と正常マウスから同様に抽出したDNA(レーン7)、さらに導入された遺伝子のコピー数を推定するために正常マウスから同様に抽出したDNAに導入遺伝子を一定量混入した試料を用いた(レーン1から6)。この結果から、15Lは導入遺伝子をもつトランスジェニックマウスであること、導入遺伝子の推定コピー数は約10であることが確認された。
【0022】実施実施例2:トランスジェニックマウスの遺伝子発現の検討例1で得たトランスジェニックマウス15Lの副腎および嗅球における導入遺伝子の発現をRT−PCRおよびウエスタンブロット解析により調べた。
【0023】RT−PCRは次の方法で行った。10-30 mg程度の組織をとり、少量のRNA抽出システムRneasy(Qiagen)を用いてRNA抽出を行った。得られたRNA2μgをとり、First strand synthesis kit(GIBCO BRL)を用いてcDNAを合成し、合成量の8分の1をPCRに用いた。PCRに用いたプライマーの配列は各々、導入遺伝子の構造(図1)のうちウサギβグロビンイントロンカセットに含まれるエクソン配列の一部(配列番号1)およびNAIPcDNAの配列の一部(配列番号2)である。PCR反応はrTaq polymerase(TaKaRa)の手順書に従い、rTaq polymerase( U)、各プライマー0.25 μM、反応溶液50 μl、PCRプログラムは[94℃/2分間]を1回、[94℃/20秒間、55℃/30秒間、72℃/90秒間]を30回、[72℃/7分間]を1回、4℃保温の条件で行った。得られたPCR産物はアガロースゲル電気泳動により展開し、エチジュウムブロマイド染色を行って検出した。
【0024】ウエスタンブロット解析には、10-30 mg程度の組織をとり、8 M urea、1 mM EDTA、1 mM DTTを含む50 mM Tris-HCl(pH 8.0)に溶解してホモジェネイトしてタンパク溶解液を調製し使用した。調製試料の5 μgを用いてSDSゲル電気泳動を行い、続いてPVDF膜上に転写した。転写後のPVDF膜は、10%スキムミルク、0.05% Tween 20を含むTBSで4℃で一晩処理後、0.05% Tween 20を含むTBS(TBST)で洗浄し、抗NAIPポリクローナル抗体をTBSTで250倍に希釈し、室温で2時間反応させた。続いて、TBSTで洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgを室温で1時間反応させ、TBSTで洗浄し、ECL PLUS試薬(Amasham-Pharmacia社製)で処理し、X線フィルムに露光してシグナルを得た。
【0025】結果は図3および図4に示したとおりである。RT−PCRおよびウエスタンブロット解析で、マウス15Lの副腎および嗅球いずれにおいても、導入遺伝子NAIPに由来する特異的なシグナルが検出された(図3レーン1、3および図4レーン1、2)。
【0026】これらの結果から、得られたトランスジェニックマウスで導入遺伝子が発現していることが確認された。
【0027】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願によってヒトのアポトーシス抑制タンパク質NAIPを発現するトランスジェニック動物が提供される。このトランスジェニック動物は、アポトーシスのメカニズムやそれに対するNAIPの役割をより詳細に検討するたのめ材料としてだけではなく、ヒト・アポトーシス性疾患の治療薬のスクリーニングにも有用である。
【0028】
【配列表】
<110> Japan Science and Technology Corporation<120> NAIPトランスジェニック動物<130> NP99306-YS<160> 2<210> 1<211> 18<212> DNA<213> Artificial Sequence<223> Synthesized oligonucleotide<400> 1GATCCTGAGA ACTTCAGG 18<210> 2<211> 18<212> DNA<213> Artificial Sequence<223> Synthesized oligonucleotide<400> 2GGCTACAGCA GAAGCACTGA 20



 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013