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発明の名称 発芽種子の製造方法、発芽種子、及び種子発芽用浸漬水
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−333713(P2001−333713A)
公開日 平成13年12月4日(2001.12.4)
出願番号 特願2000−158628(P2000−158628)
出願日 平成12年5月29日(2000.5.29)
代理人 【識別番号】300019386
【氏名又は名称】重兼 彰夫
【テーマコード(参考)】
4B018
4B023
4D050
4D061
【Fターム(参考)】
4B018 LB10 MD49 ME02 MF14 
4B023 LC09 LE01 LG03 LP20
4D050 AA02 AA04 AB06 BB04 BC10 BD04 BD08 CA10
4D061 DA02 DA03 DB01 EA02 EB01 EB14 EB37 EB39 ED12 GA20 GA21 GA22 GC02 GC06 GC12 GC18
発明者 土井 豊彦 / 鈴木 潔 / 中村 悌一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水に種子を浸漬し、浸漬した種子を発芽させ、発芽した種子を取得することを特徴とする発芽種子の製造方法。
【請求項2】 種子の浸漬が、新規な電解水が継ぎ足されて適宜入れ替えられる電解水中に種子を浸漬して行われる請求項1に記載の発芽種子の製造方法。
【請求項3】 発芽した種子の取得が、発芽後の種子を別途非電解水に浸漬し、芽を適宜成長させた後に行われる請求項1又は請求項2に記載の発芽種子の製造方法。
【請求項4】 電解水が、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得られる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発芽種子の製造方法。
【請求項5】 ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水に浸漬して発芽させた発芽種子。
【請求項6】 発芽種子が、発芽穀類である請求項5に記載の発芽種子。
【請求項7】 ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水からなる種子発芽用浸漬水。
【請求項8】 電解水が、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得られる請求項7に記載の種子発芽用浸漬水。
【請求項9】 有効塩素濃度が1〜30ppmである請求項7又は請求項8に記載の種子発芽用浸漬水。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発芽種子の製造方法、発芽種子、及び種子発芽用浸漬水に関する。更に詳しくは、本発明は、雑菌が増殖することを防止しつつ、高品質で安全な発芽種子を得ることができる発芽種子の製造方法、発芽種子、及びそのような発芽種子を製造するための種子発芽用浸漬水に関する。本発明において、百分率は、特に断りのない限り重量による値である。
【0002】
【従来の技術】一般に日本人は主食として、白米を食することが多い。この白米は、籾殻が付いた状態のモミから籾殻を取り除いて玄米となし、この玄米の周りの糠層と胚芽とを精米工程によって取り除くことによって得ることができる。
【0003】しかしながら、精米工程によって取り除かれた糠層や胚芽の部分には、多種多様な栄養素が多く含まれており、白米は、これらの栄養素が失われてしまっている。
【0004】このために、最近の健康ブームにのって、玄米を食べる人も増えてきている。ところが、玄米は、市販の炊飯器で炊くことが困難であり、また消化しにくいため下痢を惹起する可能性があり、食品としてみても、食感が悪く、特有のヌカ臭さがあるという問題があった。
【0005】そこで、近年は、玄米を一旦発芽させ、この発芽させた米(発芽米)を食することが普及し始めている。発芽米には、もとの玄米には含まれていなかった生理活性物質が存在することが知られており、栄養の面で優れ、また炊飯などの取り扱いも手軽であるため、食品としては単なる玄米よりも優れている。
【0006】ところで、玄米を発芽させる手順としては、最初に玄米を20〜40℃の温水に10〜72時間程度浸漬し、吸水させて膨潤させる。この結果、白い幼芽がわずかに突出した発芽段階に移行するが、この発芽段階の玄米を発芽米として取得するのである。 尚、この場合の「浸漬」とは、種子を完全に水の中に埋没させる態様のみではなく、種子の一部分を水に接触させるだけの態様も含んでいる。
【0007】ところで、このように、一般に、種子を発芽させるためには、温水に浸漬する必要があるが(尚、本発明では、このように種子を発芽させるために浸漬する水を「浸漬水」と記載することがある。)、このような浸漬水の問題点としては、種子を発芽させるために好適な温度が、雑菌を繁殖させる至適温度にもなる点である。
【0008】例えば、発芽米の場合には、前記のように玄米を20〜40℃の温水に浸漬するが、このような温度では、玄米に付着していた種々の雑菌が、繁殖し、この結果、得られた発芽米は、異臭が発生し、衛生的にも消費者の嗜好に合わないものとなる可能性があった。
【0009】このように、例えば発芽米のような発芽種子を製造する分野においては、浸漬水の中における雑菌の繁殖を抑制することが技術的な課題となっていたのである。
【0010】尚、このように浸漬水の中で雑菌が繁殖するという問題は、予め、浸漬水に浸漬する前の種子を洗浄したとしても抑制できないことが知られている(日本防菌防黴学会第25回年次大会要旨集、第143ページ、平成10年)。
【0011】一方、近年、種々の溶液を電気分解して得られる電解水が知られており、このような電解水の応用技術の確立が急がれている(芝紀代子ら著、「強電解水ハンドブック」、医学情報社、平成7年)。
【0012】従来の電解水は、例えば、特開平1−180293号に開示された技術により製造されるものであった(以下、この技術によって製造された電解水を従来電解水1と記載する。)。この技術においては、食塩を添加した水を隔膜付きの電解槽に通水し、これを電気分解し、陽極側に生成する強酸性水を電解水として取得するものである。この電解水のpHは1.5以上3.2以下であり、単なる低pH液に比して殺菌効果が高いとされている。
【0013】また、特許第2627100号に開示された技術によって製造される電解水(以下従来電解水2と記載する。)は、塩化ナトリウムを添加した水と、塩酸を添加した水とを混合し、これを無隔膜電解槽によって電気分解して得られるものであり、この塩化ナトリウムを添加した水は、電解する際の電解効率を上げるために不可欠の添加物とされている。
【0014】本発明者らは、先に、ほぼ中性で塩化ナトリウムの含量が少ない電解水の技術を発明し、特願平7−63384号として既に特許出願している(以下、この電解水を先願電解水と記載する。)。
【0015】これらの電解水は、例えば、水に次亜塩素酸ソ−ダを添加した場合に比して、低塩素濃度であっても殺菌等の効果が高く、また、毎回使用する度に細かい濃度調整を行なう必要がない点で優れている。
【0016】一方、前記のように発芽種子を製造する分野においては、浸漬水として食塩電解水を使用する技術が公知である(特開平9−275786号公報及び特開平9−289833号公報参照)。しかしながら、このような技術は、前記従来電解水1又は2のような食塩電解水を使用するものでしかなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前記従来電解水1は、有隔膜電解槽を使用する方法であるため処理能力が低く、特に発芽種子を製造する場合のように、電解水を大量に消費する用途では、能力が不足する問題があった。
【0018】一方、前記従来電解水1は、pH1.5以上3.2以下の強酸性水であり、また前記従来電解水1及び2は、いずれも食塩が含有されているため、種子の発芽には適当とはいえず、低pHや食塩の存在が植物の発芽又は成長に悪影響を与える可能性があった。
【0019】更に、前記従来電解水1及び2は、いずれも食塩を含有しているので、使用した後に、食塩が固体として析出する問題点があった。即ち、電解水を使用した後に乾燥して析出した食塩の結晶は、清掃除去することが困難なのである。また、食塩は、金属を腐食させるため、ステンレス製の各種の器具(特に種子の発芽に用いられる器具)に対しては、耐久性の面で影響を及ぼすことになる。
【0020】結局、従来電解水1又は2を種子の発芽に使用することは、実用的な大量生産の技術としては問題があったのである。
【0021】本発明の目的は、生産能力が高くコストが安価な電解水を使用し、種子の発芽に悪影響を与えることがなく、しかも食塩の結晶が析出することがなく作業性が良好で、使用器具への影響が少なく、実用規模での大量生産技術として好適な発芽種子の製造方法を提供すること、である。
【0022】本発明の他の目的は、雑菌の繁殖が抑制されており、食品として安全性が高く、衛生的な発芽種子を提供すること、である。
【0023】更に、本発明の他の目的は、そのような発芽種子の製造に使用できる種子発芽用浸漬水を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明の第一の発明は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水に種子を浸漬し、浸漬した種子を発芽させ、発芽した種子を取得することを特徴とする発芽種子の製造方法、である。
【0025】また、前記第一の発明は、種子の浸漬が、新規な電解水が継ぎ足されて適宜入れ替えられる電解水中に種子を浸漬して行われること、発芽した種子の取得が、発芽後の種子を別途非電解水に浸漬し、芽を適宜成長させた後に行われること、及び、電解水が、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得られること、を望ましい態様としている。
【0026】前記課題を解決するための本発明の第二の発明は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水に浸漬して発芽させた発芽種子、である。
【0027】また、前記第二の発明は、発芽種子が、発芽穀類であること、を望ましい態様としている。
【0028】前記課題を解決するための本発明の第三の発明は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水からなる種子発芽用浸漬水、である。
【0029】また、前記第三の発明は、電解水が、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得られること、及び有効塩素濃度が1〜30ppmであること、を望ましい態様とする。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の第一の発明は、発芽種子の製造方法である。本発明の方法は、特殊な電解水を使用することを特徴としている。この電解水は、前記従来電解水1又は従来電解水2とは異なり、ナトリウムを実質的に添加せず、ほぼ中性のpHを有する電解水であり、この点で、前記従来電解水1又は従来電解水2のような公知の電解水を使用する従来の技術とは顕著に相違している。即ち、本発明の発芽種子の製造方法においては、浸漬水として、ナトリウムイオン濃度が、一般的な上水の水質基準である200ppm以下、より好ましくは50ppm以下の電解水を使用することを一つの特徴としている。
【0031】従来の電解水は、電解効率を増加させるために塩化ナトリウムを添加することが常識であった。即ち、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下の電解水を浸漬水に使用するという着想は従来知られていなかったものである。また、本発明の発芽種子の製造方法において使用される電解水は、pH値が4.0〜7.0の中性付近であることを他の一つの特徴としている。
【0032】従って、本発明において使用する電解水は、塩化ナトリウムを添加しない電解水であり、しかもpHが中性付近の電解水であるため、自然水と同様に取り扱うことが可能であり、種子の発芽に何ら悪影響を与えることがなく、浸漬水としては特に好適なのである。また、この電解水は、前記従来電解水1又は従来電解水2に比して、殺菌作用も強力であるため、長時間種子を浸漬した場合であっても、雑菌が増殖することが困難である。
【0033】また、この電解水は、塩化ナトリウムを添加しない電解水であるから、種子浸漬水に使用した場合、電解水が蒸発した個所でも食塩が析出することはない。従って、例えば発芽種子を取得した後にも、器具を洗浄することが容易であり、塩の析出による作業性の悪化がない。また、金属を腐食させることがないため、ステンレス製の器具を永く安全に使用することができる。
【0034】このような特殊な電解水に、種子を浸漬する。種子を浸漬する態様はいかなるものでも良く、公知の方法を使用することができる。望ましくは、電解水を加温し、20〜40℃の温度範囲に制御し、10〜72時間浸漬すれば、発芽種子を取得することができる。
【0035】このような本発明の方法においては、貯留した電解水(貯留電解水)に新規な電解水を継ぎ足して適宜に入れ替え、このように入れ替えられる電解水中に種子を浸漬することを望ましい態様とする。
【0036】容器に電解水を貯留して、そのまま長時間放置した場合には、殺菌力が低下することがあるが、適宜新規な電解水を継ぎ足して入れ替えることによって、このような事態を回避することができる。この場合、継ぎ足す態様は、少しづつ連続的に継ぎ足しても良いが、断続的に継ぎ足しても良い。
【0037】また、本発明の方法では、発芽した種子を電解水から引き上げた後に、続けて非電解水、例えば通常の水に浸漬し、発芽した幼芽を適度に成長させた後に発芽種子を取得しても良い。即ち、成長した発芽種子を取得するのである。
【0038】一般に、種子が発芽した後に、電解水に浸漬し続けた場合には、幼芽の成長が鈍化する場合がある。これは、種子から伸びる毛根の発達が電解水によって阻害されるためである。従って、種子が発芽した後は、電解水から引き上げて、続けて非電解水に浸漬することによって、芽の成長を促すことができるのである。
【0039】発芽の段階では電解水によって雑菌の繁殖を抑制し、続けて芽を成長させる段階では非電解水に浸漬するのである。なお、非電解水としては、通常の「水」が好ましく、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(例えば、RO水、膜処理水等)、これらの混合水等を例示することができる。
【0040】このような態様は、種子の芽を充分に成長させた後に出荷する製品に適用することができる。即ち、例えば、もやし、玄米もやし、貝割れ大根等の製造に適用することができる。尚、本発明においては、発芽種子は、本来的には幼芽が出た段階の種子(催芽種子)であることが好ましいが、このように発芽後に芽をある程度成長させた種子も、本発明の発芽種子の範囲に包含される。
【0041】また、本発明の方法では、電解水は、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得ることを望ましい態様としている。即ち、例えば、前記の先願電解水を使用することを望ましい態様としているのである。
【0042】前記従来電解水1及び2は、いずれも食塩を添加した水を電気分解するものである。このような従来の電解水であれば、本発明のようなナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水を取得することは困難である。このために、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得る、という先願電解水の作成手順が推奨されるのである。
【0043】本発明の第二の発明は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水に浸漬して発芽させた発芽種子である。
【0044】このような発芽種子は、種子に本来的に付着していた雑菌が洗浄・殺菌されており、色調・食感が良好であり、衛生的かつ安全な食品として、市場に安定して供給することが可能である。
【0045】また、本発明の発芽種子は、発芽穀類であることを望ましい態様としている。このような発芽させた穀類は、市場性が大きく、また、主食として特に安全性が求められているため、本発明の実施には好適な態様なのである。
【0046】このような発芽穀類としては、発芽した玄米、大豆、小麦、大麦、そば、緑豆、グリーンピース、アルファルファ等を例示することができる。
【0047】本発明の第三の発明は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水からなる種子発芽用浸漬水である。
【0048】従来、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、及びpHが4.0〜7.0の範囲の電解水については、これまでは種子の浸漬水としての用途は知られていなかった。本発明は、このような特殊な電解水が、種子の浸漬水として好適であることを発見し、完成したものである。
【0049】また、このような種子発芽用浸漬水は、電解水が、塩化ナトリウムを実質的に添加しない水に塩酸を添加し、塩酸を添加した水を無隔膜電解槽に通水し、通水した水を電気分解し、得られた電気分解水を希釈して得ることを望ましい態様としている。
【0050】即ち、このような種子発芽用浸漬水は、次の手順で製造することが望ましい。まず、塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加し、塩酸添加水を調製する。ここに「水」とは、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(例えば、RO水、膜処理水等)、これらの混合水等である。「塩化ナトリウムを実質的に添加しない」とは、人為的に塩化ナトリウムを添加しないという意味であり、前記水に自然に含有されているナトリウムイオンは考慮しない。尚、本発明においては、塩酸以外の塩素化合物は添加しないことが望ましい。
【0051】前記の塩酸添加水を無隔膜電解槽に通水し、電気分解し、電気分解水を取得する。無隔膜電解槽であるため、電気分解した後に陰極水及び陽極水が分離されることがなく、一括して電気分解水として取得することができる。そしてこの電気分解水を適宜希釈すれば、本発明の種子発芽用浸漬水を取得することができる。
【0052】以上の手順であれば、電解水の大量製造が可能であるため、種子の浸漬水として安価にかつ生産することができ、ランニングコストが安価である。
【0053】また、この電解水には、当然のことながら塩化ナトリウムは全く添加されておらず、換言すれば、ナトリウムイオン濃度が、前記「水」に含有されていたナトリウムイオン濃度を越えることがなく、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下となるのである。
【0054】以上の操作を実施する装置として、市販の電解水製造装置であるピュアスタ−(商標。森永エンジニアリング社製。以下同じ。)を例示することができる。この装置に、21%(重量。以下、特に断りのない限り同じ。)又は3%の塩酸を貯留したタンクを設置し、前者の場合は21%の塩酸と水とを混合して無隔膜電解槽に通水し、後者の場合には3%の塩酸のみを無隔膜電解槽に通水し、連続的に電気分解し、電気分解水を製造することが可能である。得られた電気分解水を水により希釈し、そのpHを4.0〜7.0の範囲に調整し、本発明の方法における種子浸漬水として使用する。
【0055】以上のようにして得られた浸漬水は、塩化ナトリウムが実質的に添加されておらず、しかもpHがほぼ中性の付近にあり、前記従来電解水1又は従来電解水2と比較して、より自然水に近い物性を有しているのである。
【0056】また、このような種子浸漬水は、有効塩素濃度が1〜30ppmであることを望ましい態様としている。有効塩素濃度は、例えば0−トリジン法又はヨウ素滴定法(「上水試験方法 1993年版」、第212〜219ページ、社団法人日本水道協会、平成5年11月15日)によって測定することができる。
【0057】このような有効塩素濃度に調整することによって、種子の発芽に好適な浸漬水を得ることができる。
【0058】次に、試験例を示して、本発明を詳細に説明する。
【0059】試験例1この試験は、本発明の発芽種子の製造方法の効果を確認するために行った。
1)試料の調製後記実施例1と同一の装置及び同一の方法で、電解水の電解条件及び希釈率を変更することによって2種類の電解水(有効塩素濃度20ppmpH6.2、及び有効塩素濃度30ppmpH4.6)を調製した。
【0060】貝割れ大根の種子を25g用意し、5gづつ小分けした。そのうち、20gを1分間水道水を流しながら手で良くもみ洗いした。
【0061】前記2種類の電解水を、1l容フラスコに1lづつ採取し、採取した2種類の電解水に、前記もみ洗いした貝割れ種子5gづつを浸漬した。このフラスコを30℃のインキュベーター中に14時間静置し、浸漬した種子を膨潤させた後、発芽した貝割れの種子を滅菌ガーゼで分別し、試料1及び試料2とした。
【0062】一方、前記の、水道水でもみ洗いする前の種子5gを対照試料1とし、水道水でもみ洗いした後の種子5g(電解水には浸漬していない。)を対照試料2とした。
【0063】以上の作業とは別に、水道水を、1l容フラスコに1l採取し、同様に種子5gを浸漬してインキュベーターで膨潤させて発芽させ、得られた試料を対照試料3とした。
【0064】2)試験方法各試料について、次の方法によって生菌数を測定した。即ち、各試料(5gずつ)をストマフィルター(グンゼ産業製)にとり、0.01%チオ硫酸ナトリウムを含有する滅菌生理食塩水で10倍に希釈し、これをストマッカーで1分間処理した。処理液を常法により滅菌生理食塩水で段階希釈し、標準寒天培地(栄研化学社製)を用い、35℃で48時間培養し、各試料1gあたりの細菌数を測定した。
【0065】また、別途、前記インキュベーターに浸漬した後の2種類の電解水(試料1及び試料2を浸漬した電解水)、並びに水道水(対照試料3を浸漬した水道水)の各浸漬水についても、同様に生菌数を測定した。
【0066】3)試験結果この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、試料1、試料2、及び対照試料1〜3の種子の生菌数、並びに対照試料3の浸漬水と試料1及び試料2の浸漬水の生菌数の測定結果を示す表である。
【0067】表1において、対照試料1(何ら処理していない種子)の生菌数は、10000CFU/gであったところ、これを水道水で洗浄した後の対照試料2の生菌数は530CFU/gに減少しており、洗浄が効果的であったことが明らかである。
【0068】しかし、これを水道水に浸漬して発芽させた場合の種子(対照試料3)は、生菌数が67000CFU/gと激増しており、水道水による浸漬では雑菌が繁殖しやすいことが明らかである。
【0069】これに対して、本発明における電解水に浸漬した発芽種子(試料1及び試料2)は、生菌数は各々2000CFU/g、3300CFU/gであって、前記水道水に浸漬した場合(対照試料3)に比して、雑菌の繁殖が抑制されていることが明らかである。
【0070】この傾向は、対照試料3の浸漬水と試料1及び2の浸漬水の生菌数を見れば更に顕著であり、試料1及び2の浸漬水は、対照試料3の浸漬水(水道水)に比して細菌がほとんど死滅している。
【0071】この試験の結果、本発明の浸漬水は、発芽種子の雑菌の繁殖を効果的に抑制することが可能であり、本発明の浸漬水によって発芽させた種子は、安全、衛生の面で優れた食品として、消費者に供給できることが判明した。
【0072】尚、電解水の有効塩素濃度、pH等の条件を変更して同様の試験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0073】
【表1】

【0074】次に、実施例を示して本発明を更に詳記するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
【実施例】実施例1最初に、本発明の方法において使用する電解水の製造装置の一例を説明する。電解水生成システムであるピュアスタ−(Mp−240)は、塩酸容器と、この塩酸容器に先端が接続される塩酸供給管路と、この塩酸供給管路の末端に接続される無隔膜電解槽と、この無隔膜電解槽に先端が接続される電解水管路を備えている。
【0076】前記塩酸供給管路の先端は、塩酸容器に開口しており、この塩酸容器には、予め塩化ナトリウムを添加せずに作成された3%濃度の塩酸が貯留されている。また塩酸供給管路の末端は無隔膜電解槽に連結されている。更に、塩酸供給管路の中間部分には、前記塩酸容器から無隔膜電解槽に3%濃度の塩酸を送液する定量ポンプが設けられている。
【0077】無隔膜電解槽の排出側には、電解水管路が設けられており、この電解水管路の末端は電解水を排出する機能を有する。電解水管路の中間部には、希釈水を導入して無隔膜電解槽から排出された電気分解水を希釈する希釈管路が合流しており、またその下流には希釈された電解水に含まれる不要なガスを除去するガス分離器が備えられている。
【0078】以上の構造を備えたピュアスタ−Mp−240により、次のように、電解水を製造した。
【0079】ピュアスタ−Mp−240においては、3%濃度塩酸を貯留した塩酸タンクから塩酸供給管路を介して流量110ml/hで無隔膜電解槽に塩酸を連続的に送液し、この状態で、無隔膜電解槽に1.5Aの条件で通電して塩酸を連続的に電気分解した。電気分解水を電解水管路を介して排出し、希釈管路から流入させた希釈水によって連続的に希釈し、ガス分離器により不要な水素ガスを除去したのち、電解水管路の末端より連続的に排出した。得られた電解水は、有効塩素濃度10ppm、pH6.0、ナトリウムイオン濃度112ppmであった。
【0080】一方、玄米5kgをプラスチック製網籠(34×54×15cm)に敷き詰め、この網籠を、前記電解水を満たしたプラスチックトレイ(38×58×20cm)に挿入した。この時の電解水の温度は、30℃であった。
【0081】また、挿入したプラスチックトレイに前記電解水管路の末端を突っ込み、電解水を2時間に1回追加注入し、雑菌の増殖を防止した。
【0082】24時間後に、玄米が発芽したことを確認し、網籠を引き上げ、良く水切りした後、40℃の恒温乾燥器(空気清浄機能付き)に入れ、発芽米を良く乾燥させたところ、衛生的な発芽米を得ることができた。
【0083】得られた発芽米10gをフラスコに採取し、滅菌生理食塩水を加えて全体を100gに調整した後、良く振盪した。
【0084】その生理食塩水を、標準寒天培地(栄研化学社製)を用いて35℃、48時間培養し、コロニー数を計数したところ、1gあたりの生菌数は100個であり、得られた発芽米が極めて衛生的であることが判明した。
【0085】比較例1前記電解水に代えて水道水を使用し、実施例1と同一の方法、条件で発芽米を製造した。得られた発芽米には異臭が付着しており、色合いも不良であった。また、実施例1と同様に付着している生菌数の計測を行ったところ、生菌数は1gあたり110000個であり、極めて不衛生であった。
【0086】実施例2プラスチックトレイ(18×32×10cm)にプラスチック製網籠(11.5×14×8.5cm)を挿入し、網籠の底にグラスウ−ルを厚さ2cmに敷き詰め、前記実施例1と同一の電解水を500ml投入し、電解水をグラスウ−ルに十分に含浸させた。このグラスウ−ルの上に大根の種子20個を撒いた後、プラスチックトレイを暗室に置き、48時間静置したところ、大根が発芽した。
【0087】電解水に替えて水道水をプラスチックトレイに流し、1日に1回、新しい水道水に入れ替えながら、室温で更に5日間栽培した。この結果、いずれの種子も胚軸が6cm程度に生育した。次いでプラスチックトレイを日向に出し、胚軸に光を当てながら2日間栽培したところ、子葉部が緑色になり、茎の内部の雑菌が少ないにもかかわらず、市販品と同様の貝割れ大根が得られた。
【0088】比較例2前記実施例2における電解水に替えて、発芽段階から水道水を使用し、実施例2と同一の方法により貝割れ大根を栽培した結果、前記実施例2と全く同一の貝割れ大根が得られた。即ち、前記実施例2により得られた雑菌の少ない貝割れ大根は、通常の水道水によって栽培したものと全く同一の成長度合いであった。
【0089】比較例3前記実施例2における水道水に替えて、発芽した後も引き続き電解水を使用し、即ち全てを電解水によって貝割れ大根を栽培した結果、前記実施例2で得られた貝割れ大根に比較して若干成長が悪かった。即ち、前記実施例2により得られた貝割れ大根は、電解水のみで栽培したものに比して成長が良好であることが確認された。
【0090】実施例3電解水生成システムであるピュアスタ−の大型機(Mp−10000)を使用したが、この装置の構造は、実施例1で説明した装置と同様である。
【0091】但し、塩酸容器には21%濃度の塩酸が貯留されており、塩酸供給管路には、水管路が合流されている。即ち、この水管路を水が流れ、塩酸供給管路には21%濃度の塩酸が流れ、両者は合流して適宜濃度の塩酸となり無隔膜電解槽に供給されるのである。
【0092】以上の構造を備えたピュアスタ−Mp−10000により、次のように、電解水を製造した。
【0093】最初に、前記水管路を介して流量10000l/hで地下水を連続的に採取した。一方、21%塩酸を貯留した塩酸タンクから、塩酸ポンプによって流量14ml/mで塩酸を流し、前記地下水と塩酸とを連続的に混合し、希釈塩酸を調製した。この際の希釈塩酸のpHは0.42であった。
【0094】無隔膜電解槽に13Aの条件で通電し、希釈塩酸を連続的に電気分解した。無隔膜電解槽より排出された電気分解水を電解水管路に流し、ここで希釈用水管路からの希釈水を合流させ、電気分解水を連続的に希釈した。希釈して得られた電解水は、ガス分離器を介して不要な水素ガスを分離し、種子発芽用浸漬水を得た。
【0095】得られた電解水のナトリウムイオン濃度は45ppm、及びpHは6.2であり、有効塩素濃度は5ppmであった。
【0096】ステンレス金網製のざる(225×225×30cm)に玄米を敷詰め、ステンレス製発芽槽(250×250×50cm)に挿入し、前記電解水を注入して全ての玄米が電解水に浸漬する状態とした。この時の電解水の温度は30℃であった。
【0097】2時間に1回の頻度で、前記発芽槽に貯留した電解水を新規な電解水(30℃)に入れ替えたところ、24時間後に、玄米の胚芽部分が膨らみ、1〜3mmの芽が出た状態の発芽米が得られた。
【0098】使用後のステンレス金網製のざるを壁際に立てかけて乾燥させたところ、食塩結晶の析出は全く認められなかった。また、以上の要領で反復して3回ほど発芽玄米を製造を行ったが、ステンレスの腐食は全く見られず、食塩の結晶が析出することはなかった。
【0099】実施例430×30cmの苗床用紙の上に種籾を5cm間隔で3粒づつ9ヶ所に載置した。この苗床用紙に対し、前記実施例1と同一の装置によって調製した電解水(有効塩素濃度3ppm、pH5.5、ナトリウムイオン濃度112ppm)を流し、常に湿潤している状態に維持した。
【0100】種籾が発芽した後、上から三河砂を振り掛け、発芽した種籾がわずかに隠れる程度に全体的に三河砂を敷き詰めた。この状態で、直射日光のあたる場所に5日間放置して培養した。
【0101】次いで、電解水を水道水に変更し、更に1ヶ月程培養した後、苗を栽培ポットに移し、2ヶ月間育成したところ、健全に生育した稲が得られた。
【0102】比較例4前記実施例3において、電解水に替えて当初から水道水によって同様に実施したところ、稲のうちの20%が枯死した。
【0103】
【発明の効果】本発明の発芽種子の製造方法は、生産能力が高く、安価に製造できる電解水を使用するため、全体のコストが安価であり、かつ植物の発芽に悪影響を与えることがなく、しかも食塩が析出せず、実施にあたっての作業性が良好である。従って、実用レベルでの大量製造に好適に適用することができる。本発明の発芽種子は、雑菌の繁殖が抑制されており、食品として安全性が高い。本発明の種子発芽用浸漬水は、ほぼ中性であるため、取り扱いが簡単であり、食塩が析出せず、使用にあたっての作業性が良好であり、更に、器具類を腐食することがない点で、恒常的に安定して使用することが可能である。




 

 


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