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発明の名称 塩基性炭酸銅およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−335320(P2001−335320A)
公開日 平成13年12月4日(2001.12.4)
出願番号 特願2000−157976(P2000−157976)
出願日 平成12年5月24日(2000.5.24)
代理人
発明者 阿部 功
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 タッピング嵩密度が1g/ミリリットル以上、2.5g/ミリリットル以下であり、球状の粒子形状を有する塩基性炭酸銅。
【請求項2】 銅塩溶液と炭酸アルカリ溶液および炭酸ガスを同時にかつ定量的に反応槽内に供給し、生成する塩基性炭酸銅を連続的に取り出すことを特徴とする請求項1に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
【請求項3】 銅塩溶液が、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅の内の少なくとも1種の溶液である請求項2に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
【請求項4】 中和剤として使用する炭酸アルカリ溶液が、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液であることを特徴とする請求項2または3に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
【請求項5】 中和剤として使用する炭酸アルカリの供給量を供給する銅塩溶液の中和等量の1.05倍から1.2倍とする請求項4に記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
【請求項6】 炭酸ガスの吹き込み量を余剰に供給した炭酸アルカリの炭酸量のモル比で3倍から10倍とする請求項2から5のいずれかに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
【請求項7】 反応槽内の滞留時間を2時間以上、10時間以下とする請求項2から6のいずれかに記載の塩基性炭酸銅の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩基性炭酸銅粉末とその製造方法に関し、特に高嵩密度で球状の粒子形状を有する塩基性炭酸銅粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、銅メッキ浴中の銅の補充用として塩基性炭酸銅が使用されてきた。その塩基性炭酸銅を製造するには、通常、反応槽中で硫酸銅溶液を炭酸ナトリウム等の炭酸アルカリで中和し、塩基性炭酸銅を製造する方法がとられていた。
【0003】しかし、この製造方法の場合、非常に保水量の多い嵩高い塩基性炭酸銅が生成し、かつ形状も不定形であり、洗浄での不純物、副産物の除去が困難である上に、乾燥後は発塵しやすい粉末となり、梱包・輸送や貯蔵上問題があった。このため、極力嵩密度が大きく、形状が球状に近い粒子形状を有する塩基性炭酸銅が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記課題を解決するため、本発明は、銅メッキを行う際の銅浴への銅補充用としての用途に適した、嵩密度の高い塩基性炭酸銅の粉末とその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、タッピング嵩密度が1g/ミリリットル以上、2.5g/ミリリットル以下であり、ほぼ球形の粒子形状を有する嵩密度の高い塩基性炭酸銅である。この塩基性炭酸銅の製造方法は、銅塩溶液と、中和剤としての炭酸アルカリ溶液と、炭酸ガスとを同時にかつ定量的に反応槽内に供給し、生成する塩基性炭酸銅を連続的に取り出すことを特徴とする。
【0006】前記方法において、銅塩溶液は、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅の内の少なくとも1種の溶液であることが好ましく、中和剤として使用する炭酸アルカリ溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液であることが好ましい。
【0007】また、前記中和剤として使用する炭酸アルカリの供給量は、供給する塩化銅の中和等量の1.05倍から1.2倍とし、炭酸ガスの吹き込み量は、余剰に供給した炭酸アルカリの炭酸量のモル比で3倍から10倍が好ましい。
【0008】上記塩基性炭酸銅の製造方法においては、反応系内の滞留時間を2時間以上、10時間以下とすることによって、高嵩密度の塩基性炭酸銅が経済的に製造できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、上記の課題を解決するために連続的に嵩密度の高い塩基性炭酸銅を製造することとした。これにより銅メッキに適した塩基性炭酸銅粉末を得るものである。以下に本発明について詳細に説明する。
【0010】上記したように、従来の塩基性炭酸銅は、通常、タッピング嵩密度は、0.5g/ミリリットル以下であり、乾燥後の発塵、梱包・輸送時の取扱い性の問題があった。これらの問題を解決するためには、少なくともタッピング嵩密度が、1.0g/ミリリットル以上あることが望ましい。なお、本発明の方法で得られる球状の粒子形状を有する塩基性炭酸銅のタッピング嵩密度の上限は、2.5g/ミリリットル程度であった。
【0011】本発明に用いる中和剤としては炭酸アルカリである。炭酸アルカリの反応槽への供給は、供給した銅塩溶液の中和等量の1.05倍から1.2倍量を連続的に供給することが望ましい。
【0012】炭酸アルカリの供給を1.05倍以下とすると液中の炭酸イオンが減少し、液中に中和できない銅が存在することとなり、未反応の銅が系外に排出されることとなり収量が減少するほか、粒成長せず嵩密度の低い塩基性炭酸銅が生成する。また、1.2倍以上とすると、反応に寄与しない過剰の炭酸アルカリが、損失することとなるだけである。
【0013】本発明では、反応槽中に炭酸ガスを吹き込むことを特徴とする。炭酸ガスの吹き込み量は、銅塩の中和当量より余剰に添加した炭酸アルカリの炭酸量のモル比で3倍から10倍とすることが望ましい。
【0014】炭酸ガスの吹き込み量が不足すると、微細な塩基性炭酸銅が生成し、嵩密度が低くなり、次工程での洗浄ろ過が困難となる。また、炭酸ガス量が多すぎると炭酸ガスの損失量が増大し、嵩密度の高い塩基性炭酸銅は生成するものの、液中への銅の溶出量も多くなり、銅の損失が無視できなくなる。また、同時に排水処理にも影響が出ることになりコストがかさむので工業的には不利である。
【0015】また、本発明では、塩基性炭酸銅を製造する際の水素イオン濃度の制御等は不要である。その理由として、吹き込んだ炭酸ガスが液中に溶解する際、液中に存在している炭酸塩との緩衝作用によって槽内の水素イオン濃度は一定に保持されるからである。また、同時に銅も過剰炭酸イオン液中への溶解度を持ち、溶解析出を繰り返しながら晶析し塩基性炭酸銅の粒子を成長させることができる。
【0016】本発明での反応系での塩基性炭酸銅の反応槽内の滞留時間は、製造する塩基性炭酸銅の粒径や嵩密度によって適宜選択すれば良いが、2時間から10時間とすることが望ましい。
【0017】反応系内の滞留時間を2時間以下とすると、塩基性炭酸銅の粒子が成長する段階で排出され、嵩密度の高い塩基性炭酸銅が得られないだけでなく、銅の収量も減少する。また、嵩密度が低いと生成した塩基性炭酸銅の洗浄、濾過、乾燥時に、液中に微細に懸濁し損失となったり、梱包や取り扱い時に空気中に舞って粉塵となり作業環境を悪くするという問題もある。
【0018】反対に10時間以上の滞留時間を確保しても、粒子が成長する段階で崩壊するものが出ることや生産性の低下等を考えると経済的な方法とは言えない。
【0019】
【実施例】(実施例1)試薬硫酸銅4000gを純水を加えて全量で20リットルになるように溶解し、硫酸銅溶液を調整した。また、試薬無水炭酸ナトリウム1860gを純水を加えて全量で20リットルになるように溶解し炭酸ナトリウム溶液を調整した。
【0020】反応槽としてオーバーフロー用の枝を有する内容量1.6リットルのセパラブルフラスコを使用した。この反応槽に最初500ミリリットルの純水を満たし、攪拌しながら上記のように調整した硫酸銅溶液および炭酸ナトリウム溶液をポンプで同時に連続的に反応槽へ添加した。また、同時に反応槽内へ炭酸ガスのバブリングも行った。
【0021】添加した硫酸銅溶液および炭酸ナトリウム溶液の添加速度は、2.7ミリリットル/分、反応槽内へバブリングした炭酸ガス流量は250ミリリットル/分とし、反応温度は常温とした。
【0022】以上のような条件で120時間運転し、100時間後から120時間後の間のオーバーフローで得られた炭酸銅スラリーを回収した。回収した炭酸銅スラリーは、吸引ろ過でろ別し、5リットルの純水で3回水洗濾過を繰り返し、110℃で、8時間大気乾燥した。上記の操作で385gの青緑色の炭酸銅が得られた。得られた炭酸銅をX線回折により組成の同定を行った結果、塩基性炭酸銅:2CuCO3Cu(OH)2が、主成分であることが判明した。得られた炭酸銅は、直径が数十ミクロンの球状粒子であり、タップ密度は1.4g/ミリリットルの非常に嵩密度の高いものであった。
【0023】(実施例2)実施例1と同様の溶液、反応装置を使用して硫酸銅溶液および炭酸ナトリウム溶液の添加速度を1.4ミリリットル/分、反応槽内へバブリングした炭酸ガス流量を250ミリリットル/分、反応温度を常温として実験を行った。
【0024】上記のような条件で240時間運転し、200時間後から240時間後の間のオーバーフローで得られた炭酸銅スラリーを回収した。回収した炭酸銅スラリーを吸引ろ過でろ別し、5リットルの純水で3回水洗ろ過を繰り返し、110℃で8時間大気乾燥した。上記の操作で360gの青色の炭酸銅が得られた。得られた炭酸銅をX線回折により組成の同定を行った結果、2CuCO3Cu(OH)2が主成分であることが判明した。得られた炭酸銅は、数十ミクロンの球状粒子であり、タップ密度は2.0g/ミリリットルの非常に嵩密度の高いものであった。
【0025】(比較例)実施例1と同一の装置で同条件で炭酸ガスのバブリングを行わずに120時間運転し、100時間後から120時間後の間のオーバーフローで得られた炭酸銅スラリーを回収した。回収した炭酸銅スラリーは、吸引濾過でろ別し、5リットルの純水で3回水洗ろ過を繰り返し、110℃で12時間大気乾燥した。上記の操作で450gの青緑色の炭酸銅が得られた。得られた炭酸銅をX線回折により組成の同定を行ったが、ブロードな回折結果しか得られなかった。得られた炭酸銅は、不定形の粒子でタップ密度は0.3g/ミリリットルの非常に嵩高い粒子であった。
【0026】
【発明の効果】本発明により、銅メッキを行う際の銅浴への銅補充用としての用途に適した、球状で嵩密度の高い塩基性炭酸銅の粉末が得られ、また、経済的に製造することができる。




 

 


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