米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 農業 -> 住友化学工業株式会社

発明の名称 多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−114519(P2001−114519A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願2000−176520(P2000−176520)
出願日 平成12年6月13日(2000.6.13)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4D048
4G047
4G069
【Fターム(参考)】
4D048 AA06 AB02 BA01X BA02X BA03X BA07X BA07Y BA08X BA22X BA23X BA23Y BA25X BA26X BA27X BA30X BA32X BA36X BA38X BB08 
4G047 CA02 CB06 CB08 CD07
4G069 AA01 AA03 AA08 AA11 BA05A BA05B BA32A BA32C BB06A BB06B BC09A BC10A BC16A BC27A BC50A BC50B BC50C BC51A BC54A BC54B BC54C BC58A BC59A BC60A BC66A BC68A BC70A BC75A BE06A BE06B BE06C BE08A BE08B BE08C CA02 CA03 CA07 CA08 CA10 CA13 DA06 EA03X EA03Y EC02X EC03X EC04X EC05X EC07X EC08X FB66 FC05
発明者 沖 泰行 / 小池 宏信 / 竹内 美明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アナターゼ型の結晶構造を有し、その結晶子径が3nm〜10nm、アナターゼ結晶化率が60%以上、BET比表面積が10m2/g以上、全細孔容積が0.05cm3/g以上、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.02cm3/g以上であることを特徴とする多孔質チタニア。
【請求項2】 BET比表面積が180m2/g以上である請求項1記載の多孔質チタニア。
【請求項3】 全細孔容積が0.2cm3/g以上であり、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.2cm3/g以上である請求項1または2記載の多孔質チタニア。
【請求項4】 形状が繊維状である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質チタニア。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質チタニアを成形してなる触媒。
【請求項6】 チタンアルコキシドを溶媒に溶解させてチタンアルコキシド溶液を得、該チタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて重合体溶液を得、該重合体溶液を脂肪酸存在下で焼成することを特徴とする請求項1記載の多孔質チタニアの製造方法。
【請求項7】 チタンアルコキシドを溶媒に溶解させてチタンアルコキシド溶液を得、該チタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて重合体溶液を得、該重合体溶液を脂肪酸存在下で水蒸気処理し、焼成することを特徴とする請求項1記載の多孔質チタニアの製造方法。
【請求項8】 チタンアルコキシドが、下記式(I)
Ti(OR14 (I)
〔式(I)中、R1は炭素数が1〜4のアルキルを表す。〕で示される請求項6または7記載の方法。
【請求項9】 脂肪酸が、下記式(III)
3COOH (III)
〔式(III)中、R3は水素または飽和もしくは不飽和の炭化水素残基を表す。〕で示される請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】 チタンアルコキシドを溶媒に溶解させて得られるチタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて、該チタンアルコキシド溶液に重合体を生成させる工程■、該重合体を該重合体が可溶な有機溶媒に溶解させて紡糸液を得る工程■、該紡糸液を紡糸して前駆体繊維を得る工程■、該前駆体繊維を焼成する工程■からなる方法であって、工程■または■にて、脂肪酸を添加することを特徴とする請求項1記載の多孔質チタニアの製造方法。
【請求項11】 チタンアルコキシドが、式(I)で示される請求項10記載の方法。
【請求項12】 脂肪酸が、式(III)で示される請求項10または11記載の方法。
【請求項13】 工程■または■にて、触媒成分を添加する請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法【請求項14】 触媒成分がV、W、Al、As、Ni、Zr、Mo、Ru、Mg、Ca、Fe、CrおよびPtから選ばれる請求項13記載の方法。
【請求項15】 工程■にて、前駆体繊維に水蒸気処理を施す請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法に関するものである。詳細には脱硝、有機物の酸化、ダイオキシンの分解、また、有機溶剤や農薬、界面活性剤等の分解除去等に適用する場合に、優れた活性を示す多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉の排ガスに含まれる窒素酸化物を除去するための脱硝触媒としてチタニア系触媒が知られている。以前より、チタニア系触媒については、長期間の触媒活性の保持を目的に、各種改良法が提案されている。例えば、特開平5−184923号公報には、チタンアルコキシドとバナジウム化合物等との混合アルコキシド溶液を加水分解しゲル化させるゾルゲル法により作製したアモルファス繊維を熱処理し、アナターゼ型酸化チタンと酸化バナジウムの結晶を析出させることによってチタニア系触媒が得られることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平5−184923号公報記載のチタニア系触媒は活性が低く、脱硝性能が低いという問題があった。
【0004】本発明の目的は、脱硝などの用途において優れた触媒活性を示す多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、多孔質チタニアの触媒活性の向上について検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、アナターゼ型の結晶構造を有し、その結晶子径が3nm〜10nm、アナターゼ結晶化率が60%以上、BET比表面積が10m2/g以上、全細孔容積が0.05cm3/g以上、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.02cm3/g以上であることを特徴とする多孔質チタニアを提供するものである。
【0007】本発明は、前記の多孔質チタニアを成形してなる触媒を提供するものである。
【0008】また、本発明は、チタンアルコキシドを溶媒に溶解させてチタンアルコキシド溶液を得、該チタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて重合体溶液を得、該重合体溶液を脂肪酸存在下で焼成することを特徴とする前記の多孔質チタニアの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明する。チタニアはTiO2なる組成式を有し、結晶構造がアナターゼ型、ルチル型および非晶質のものが知られている。本発明の多孔質チタニアは、その中でもアナターゼ型の結晶構造を有するものであり、ここでは、X線回折法によりアナターゼの(101)面のピークの半価幅とピーク位置を求め、Scherrerの式により算出されるアナターゼ結晶子径が3nm以上10nm以下であることを要件とする。アナターゼ結晶子径は5nm以上であること、また、9nm以下であることが好ましい。
【0010】本発明の多孔質チタニアを特定する第2の要件は、アナターゼ結晶化率である。ここでのアナターゼ結晶化率は、チタニアのアナターゼ型結晶への相転移の程度およびアナターゼ型結晶の成長の程度を表す指標であり、X線回折法によりアナターゼの(101)面のピーク面積を求め、算出することができる。本発明では、アナターゼ結晶化率が60%以上であることを要件とする。アナターゼ結晶化率は65%以上、さらには70%以上であり、また、95%以下、さらには90%以下であることが好ましい。本発明による多孔質チタニアは、そのアナターゼ結晶化率が60%未満であると、たとえ、上で説明したアナターゼ結晶子径が3nm〜10nmの範囲内のものであっても、触媒として十分な活性を示すことが困難となる。
【0011】本発明の多孔質チタニアを特定する他の要件は、BET比表面積、全細孔容積および1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積である。本発明では、BET比表面積が10m2/g以上、全細孔容積が0.05cm3/g以上および1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.02cm3/g以上であることを要件とする。BET比表面積は180m2/g以上、さらには200m2/gであること、全細孔容積は0.2cm3/g以上であること、また、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積は0.2cm3/g以上であることが好ましい。BET比表面積が10m2/g未満、全細孔容積が0.05cm3/g未満または1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が0.02cm3/g未満であると、優れた活性を示す多孔質チタニアを得ることが困難となる。なお、BET比表面積、全細孔容積および1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積は、窒素ガスを用いる連続容量法により測定することができる。
【0012】本発明の多孔質チタニアは前記のアナターゼの結晶子径、BET比表面積、全細孔容積および1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積についての要件を満足することに加え、その細孔半径に対する細孔容積の分布曲線において、細孔半径1nm以上30nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下の範囲に極大値を示す細孔構造を有するものであることが好ましい。特に、多孔質チタニアの形状が繊維状である場合には、この細孔構造を有することによって、繊維状多孔質チタニアは触媒活性に優れるとともに、十分な引張強度を有する。この繊維状多孔質チタニアは、通常、引張強度が約0.1GPa以上であり、繊維径が約2μm〜約50μmである。
【0013】また、多孔質チタニアには、脱硝用途等で公知の触媒成分が含まれていてもよい。触媒成分としては、V、W、Al、As、Ni、Zr、Mo、Ru、Mg、Ca、Fe、CrおよびPt等の元素が挙げられる。
【0014】本発明による多孔質チタニアは、成形して球状、リング状、ハニカム状、シート状のような各種形状にすることによって、脱硝触媒の他、有機物の酸化、ダイオキシンの分解または水中の有機溶剤、農薬もしくは界面活性剤の分解除去等に好適な触媒となる。
【0015】本発明による特定のアナターゼの結晶子径、結晶化率、BET比表面積を有し、かつ全細孔容積および1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積が特定量である多孔質チタニアは、例えば、チタンアルコキシドを溶媒に溶解させてチタンアルコキシド溶液を得、該チタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて重合体溶液を得、該重合体溶液を脂肪酸存在下で焼成する方法で得ることができる。
【0016】本発明の多孔質チタニアを製造するときに用いるチタンアルコキシドとしては、下記式(I)
Ti(OR14 (I)
〔式(I)中、R1は炭素数が1〜4のアルキルを表す。〕で示されるチタンアルコキシドがあり、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラsec−ブトキシド、チタンテトラtert−ブトキシドが挙げられる。中でも、チタンテトライソプロポキシドの適用が好ましい。式(I)におけるR1が炭素数5以上のアルキルであるものの場合、得られる多孔質チタニアの機械的強度が低くなることがある。
【0017】用いる溶媒としては、チタンアルコキシドを溶解する各種溶媒が適用でき、例えばアルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類がある。アルコール類は、下記式(II)
2OH (II)
〔式(II)中、R2は炭素数が1〜4のアルキルを表す。〕で示されるものがあり、具体例としてはエタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等がある。チタンアルコキシドを溶解するのに用いる溶媒と、加水分解のときに添加する水と溶媒とからなる混合溶液の調製に用いる溶媒は同種のものであることが好ましい。チタンアルコキシドを溶解するために用いる溶媒の量は、通常、チタンアルコキシド1モルに対し0.5モル〜50モルの範囲である。
【0018】また、用いる脂肪酸としては、下記式(III)
3COOH (III)
〔式(III)中、R3は水素または飽和もしくは不飽和の炭化水素残基を表す。〕で示されるものが挙げられる。飽和脂肪酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸の具体例としては、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等が挙げられる。中でも、式(III)で示され、R3が炭素数8以上の飽和または不飽和の炭化水素残基である脂肪酸の適用が推奨される。重合体溶液中の脂肪酸の量は、その種類により異なり一義的ではないが、通常、重合体溶液の調製のために用いるチタンアルコキシド1モルに対して0.01モル以上、好ましくは0.05モル以上であり、0.5モル以下、好ましくは0.3モル以下である。脂肪酸の量が0.01モルより少ない場合には、優れた活性を示す多孔質チタニアが得られないことがある。脂肪酸の量が0.5モルより多いと多孔質チタニアの機械的強度が低くなることがある。脂肪酸は焼成に際して重合体溶液中に所定量存在していればよく、例えば、チタンアルコキシド溶液に脂肪酸を添加する方法、または重合体溶液に脂肪酸を添加する方法で存在させればよい。。
【0019】本発明による繊維状である多孔質チタニアについて以下に詳しく説明する。この繊維状多孔質チタニアは、チタンアルコキシドを溶媒に溶解させて得られるチタンアルコキシド溶液に水と溶媒とからなる混合溶液を添加して加水分解し、重合させて、該チタンアルコキシド溶液に重合体を生成させる工程(以下、工程■という。)、該重合体を該重合体が可溶な有機溶媒に溶解させて重合体溶液を得る工程(以下、工程■という。)、紡糸液としての該重合体溶液を紡糸して前駆体繊維を得る工程(以下、工程■という。)、該前駆体繊維を焼成する工程(以下、工程■という。)からなる製造方法で得ることができる。
【0020】工程■は、前記式(I)で示されるチタンアルコキシドを溶媒に溶解させて得られるチタンアルコキシド溶液に水と溶媒との混合溶液を添加してチタンアルコキシドを加水分解し、重合させる方法で行うことができる。チタンアルコキシドを溶解するのに用いる溶媒や、加水分解のときに添加する混合溶液の調製に用いる溶媒には、チタンアルコキシドを溶解することが可能な各種溶媒が適用でき、例えばアルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類がある。アルコール類は、前記式(II)で示される。混合溶液は、水濃度が約1重量%〜約50重量%であり、その添加量は、通常、原料として用いるチタンアルコキシド1モルに対してH2O換算で1.5モル〜4モルの範囲である。
【0021】工程■では、窒素のような不活性ガス雰囲気下で、チタンアルコキシドを溶媒に溶解させて得られるチタンアルコキシド溶液に、水と溶媒との混合溶液を添加して加水分解し、重合させることが好ましい。また、前記式(III)で示される脂肪酸を添加するときには、例えば、脂肪酸をチタンアルコキシド溶液に所定量添加する方法で行うことができる。ただし、脂肪酸の量が0.5モルより多くなると、十分な引張強度を有する繊維状多孔質チタニアを得ることが困難となる。
【0022】また、触媒成分を添加するときには、例えば、チタンアルコシキド溶液に、V、W、Al、As、Ni、Zr、Mo、Ru、Mg、Ca、Fe、CrおよびPtの元素またはその化合物等を添加する。その化合物としては、バナジウムアルコキシド、バナジルアルコキシド、トリエトキシバナジル、バナジウムアセチルアセトネート、塩化バナジウム、塩化バナジルのようなバナジウム化合物、タングステンアルコキシド、塩化タングステンのようなタングステン化合物、アルキルアルミニウム、アルミニウムアルコキシドのようなアルミニウム化合物、塩化ヒ素のようなヒ素化合物、ニッケルアルコキシド、塩化ニッケルのようなニッケル化合物、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラブトキシドのようなジルコニウム化合物、モリブデンオキシアセチルアセトネート、塩化モリブデンのようなモリブデン化合物、塩化ルテニウムのようなルテニウム化合物、マグネシウムアルコキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、塩化マグネシウムのようなマグネシウム化合物、カルシウムアルコキシド、塩化カルシウムのようなカルシウム化合物、鉄アルコキシド、鉄アセチルアセトネート、塩化鉄のような鉄化合物、クロムアルコキシド、クロムアセチルアセトネートのようなクロム化合物、白金アセチルアセトネート、塩化白金のような白金化合物等が挙げられる。ここで、バナジウムアルコキシドは、バナジウムメトキシド、バナジウムエトキシド、バナジウムn−プロポキシド、バナジウムイソプロポキシド、バナジウムn−ブトキシド、バナジウムsec−ブトキシドおよびバナジウムtert−ブトキシド等を総称し、他の金属アルコキシドについても同様である。触媒成分の添加量は、その用途によって異なるが、例えば脱硝用途では、得られるチタニア質触媒に対して酸化物換算で0.001重量%〜50重量%である。触媒成分の添加は、焼成に際して重合体溶液に所定量の触媒成分を存在させることができる方法で行えばよく、例えば、チタンアルコキシド溶液に添加する方法、または重合体溶液に添加する方法がある。
【0023】工程■において、チタンアルコキシド溶液中に生成した重合体が析出する場合は、溶媒を除去または一部除去した後、紡糸液の濃度調整に移ればよい。一方、チタンアルコキシド溶液中に生成した重合体が析出しない場合は、そのまま紡糸液の濃度調整に移ればよい。
【0024】また、工程■のチタンアルコキシド溶液の加水分解、重合に際しては、水と溶媒との混合溶液を添加するとともに、チタンアルコキシド溶液を還流させ、添加する混合溶液に含まれる溶媒の量と同量の溶媒を留出させながら行うことが好ましい。このような方法で加水分解、重合を行うことによって、加水分解し、重合させた後のチタンアルコキシド溶液中のチタン濃度の低下を抑制することができる。
【0025】工程■は、窒素ガスのような不活性ガス雰囲気中で、工程■で得られる重合体を該重合体が可溶な有機溶媒に溶解させる方法で行うことができる。有機溶媒は、多孔質チタニアの製造で使用する脂肪酸を溶解するものであればよく、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルのようなエーテル類、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類が挙げられる。また、前記式(III)で示される脂肪酸や上で示した触媒成分は、工程■にて添加することも可能であり、例えば、重合体溶液に所定量の脂肪酸を添加する方法や重合体溶液に所定量の触媒成分を添加する方法で行うことができる。
【0026】工程■では、工程■で得られる重合体を有機溶媒に溶解させて重合体溶液を調製した後、重合体溶液を加熱または減圧によって有機溶媒を除去して重合体溶液を濃縮し、重合体濃度が50重量%〜80重量%である紡糸液を調製することが好ましい。得られる紡糸液の40℃における粘度は、通常、10ポイズ(1Pa・s)〜2000ポイズ(200Pa・s)、好ましくは20ポイズ(2Pa・s)〜1500ポイズ(150Pa・s)である。
【0027】工程■は、工程■で得られる紡糸液をノズル押し出し紡糸、遠心紡糸、吹き出し紡糸のような各種紡糸方法で行うことができる。得られる前駆体繊維には、回転するローラーや高速の空気流等により延伸を施してもよい。
【0028】工程■は、工程■で得られる前駆体繊維を200〜900℃で焼成する方法で行うことができる。また、前駆体繊維には、その焼成前または焼成時に、水蒸気処理を施すことが好ましい。水蒸気処理は、恒温恒湿器、焼成炉等を用いて行えばよく、通常、水蒸気処理の温度は70℃以上、好ましくは85℃以上であり、300℃以下が適当であり、水蒸気分圧は0.3気圧(0.03MPa)以上、好ましくは0.5気圧(0.05MPa)以上であり、接触時間は30分以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは5時間以上である。焼成時に水蒸気処理を行うときには、焼成炉に水蒸気を吹き込む方法または水を噴霧する方法により、所定の湿度を保持しながら昇温速度を調節して処理を行ってもよい。この場合、前駆体繊維は70〜300℃の間で0.3気圧(0.03MPa)以上の水蒸気分圧を有する雰囲気に少なくとも30分以上保持されていればよく、その後は低い水蒸気分圧の雰囲気で焼成されてもよい。
【0029】本発明の多孔質チタニアの製造に際しては、活性水素を有する化合物をチタンアルコキシド溶液に添加してもよい。また、ケイ素化合物をチタンアルコキシド溶液または紡糸液に添加してもよい。活性水素を有する化合物としては、下記式(IV)
4COCH2COR5 (IV)
〔式(IV)中、R4は炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ、R5は炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシを表す。〕で示されるβ−ジケトン化合物またはサリチル酸アルキルエステルが好ましい。β−ジケトン化合物としては、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピルが好ましく、サリチル酸アルキルエステルとしては、サリチル酸エチル、サリチル酸メチルが好ましい。活性水素を有する化合物の添加量は、チタンアルコキシド1モルに対して0.05モル以上、好ましくは0.1モル以上であり、1.9モル以下、さらには1.0モル以下が適当である。ケイ素化合物としては、下記式(V)
Sinn-1(OR62n+2 (V)
〔式(V)中、R6は炭素数1〜4のアルキルを表し、nは1以上の数を表す。〕で示されるアルキルシリケートが好ましい。中でも、式(V)のR6がエチルかつnが4〜6であるものの適用が推奨される。
【0030】
【発明の効果】本発明の多孔質チタニアは、優れた脱硝作用を示し、触媒として用いることによって脱硝を効率的に行うことができる。また、本発明による触媒を適用すれば、脱硝、有機物の酸化、ダイオキシンの分解または水中の有機溶剤、農薬もしくは界面活性剤の分解除去等を効率的に行うことができる。また、本発明の多孔質チタニアやそれを用いる触媒によれば、触媒の必要設置面積を低減させ、脱硝装置等の排ガス処理装置を小型化することができる。
【0031】本発明の製造方法によれば、前記の多孔質チタニアを簡易に製造することができる。
【0032】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により制限を受けるものではない。尚、本発明において、多孔質チタニアのアナターゼ結晶子径、アナターゼ結晶化率、BET比表面積、細孔容積は以下の方法により求めた。実施例では繊維状である多孔質チタニアについて示す。
【0033】アナターゼ結晶子径: 多孔質チタニアを乳鉢にて粉砕した後、X線回折装置RAD−IIA(理学電機製)でX線回折スペクトルを測定し、(101)面のピークの半価幅β(ラジアン)と(101)面のピーク位置θ(ラジアン)を求め、下式により結晶子径L(nm)を算出した。
L=K・λ/(β・cosθ)
〔式中、KはScherrer定数0.94、λ(nm)は測定X線波長(CuKα線:0.15406nm)を表す。〕
【0034】アナターゼ結晶化率: 多孔質チタニアを乳鉢にて粉砕した後、X線回折装置RAD−IIA(理学電機製)でX線回折スペクトルを測定し、(101)面のピークの面積S1を求め、下式により結晶化率A(%)を算出した。
A=S1/(S2・x)
〔式中、S2は標準試料(商品名:STT−65C−S、チタン工業製)の(101)面のピークの面積、xは多孔質チタニア中の全構成元素(酸素を除く。)に対するチタンのモル分率を表す。〕
【0035】BET比表面積(m2/g)、全細孔容積(cm3/g)、1nm以上の細孔半径を有する細孔の容積(cm3/g): 多孔質チタニアを乳鉢にて粉砕した後、ガス吸着/脱着アナライザーオムニソープ360(COULTER社製)を用い、温度130℃、保持6時間、真空度6×10-5Torr(8mPa)の条件で真空脱気し、窒素ガスによる連続容量法にて細孔半径に対する細孔容積の分布曲線を求め、その分布曲線からそれぞれ算出した。
【0036】また、脱硝試験は、多孔質チタニア0.2gを内径12mmφのガラス製反応管内に充填高さが5mmになるように充填した後、NO 100ppm、NH3100ppm、O2 10%、H2O 20%を含有する200℃の混合ガスを流速1NL/分で流通させて行い、反応管の入口NO濃度、出口NO濃度をNOx自動計測器ECL−77A型(柳本製作所製)により測定し、脱硝率(%)を下式により算出した。脱硝率=(入口NO濃度−出口NO濃度)/入口NO濃度×100【0037】実施例1チタンアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシド(試薬1級、和光純薬工業製)225g、触媒成分としてバナジウムイソプロポキシド(日亜化学工業製)61.9g、およびアセト酢酸エチル(試薬特級、和光純薬工業製)10.3gを、溶媒としてのイソプロピルアルコール(試薬特級、和光純薬工業製)77.8gに溶解させ、窒素雰囲気下、1時間還流して、チタンアルコキシド溶液を調製した。このとき、触媒成分の添加量は、得られる繊維状多孔質チタニアに対し酸化バンジウム(V25)として27重量%となる量である。また、アセト酢酸エチルの添加量はチタンテトライソプロポキシド1モルに対し0.1モルである。次いで、水32.7gとイソプロピルアルコール294.9gとを混合して水濃度10重量%の混合溶液を調製した。この水の量はチタンテトライソプロポキシド1モルに対して2.30モルである。
【0038】上で得られたチタンアルコキシド溶液を窒素雰囲気中で還流させると同時に、溶媒を留出させながら、上で得られた混合溶液を撹拌下、添加した。溶媒の留出速度と混合溶液添加による溶媒の供給速度はほぼ等しくなるように調整した。混合溶液の添加時間は96分であった。
【0039】混合溶液をチタンテトライソプロポキシド1モルに対して1.80モル添加したとき、チタンアルコキシド溶液中に重合体の析出が始まり、混合溶液を全量添加したときにはチタンアルコキシド溶液は重合体スラリーとなった。
【0040】得られた重合体スラリーを窒素雰囲気中で1時間還流した後、そのまま加熱により溶媒を留出させ、重合体スラリー中チタン濃度がTi換算で2.97×10-3mol/gになるまで濃縮した。
【0041】濃縮された重合体スラリーに窒素雰囲気中で有機溶媒としてテトラヒドロフラン(試薬特級、和光純薬工業製)273gを添加し、1時間還流して重合体を溶解させた後、脂肪酸としてイソステアリン酸(試薬、和光純薬工業製)33.8gを加えて1時間還流し、重合体溶液を得た。
【0042】得られた重合体溶液を窒素雰囲気中で孔径3μmのフッ素樹脂製メンブレンフィルターで濾過した後、加熱してイソプロピルアルコールとテトラヒドロフランとの混合溶媒を留出させて濃縮し紡糸液247gを得た。この紡糸液の40℃における粘度は50ポイズ(5Pa・s)であった。
【0043】上で得られた紡糸液を40℃に保持し、20kg/cm2(2MPa)の窒素ガスで孔径50μmのノズルから40℃、相対湿度60%の空気雰囲気中に押し出し、70m/分の速度で巻き取り、前駆体繊維を得た。
【0044】得られた前駆体繊維を85℃、相対湿度95%の恒温恒湿器の中に入れて15時間水蒸気処理した後、200℃/時で昇温し、350℃の空気中で1時間焼成して、アナターゼ型結晶構造を有し繊維径15μmの繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0045】実施例2実施例1において、焼成温度350℃を400℃に変えた以外は同様にして繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0046】実施例3実施例1において、焼成温度350℃を300℃に変えた以外は同様にして繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0047】実施例4チタンアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシド(試薬1級、和光純薬工業製)225g、触媒成分としてバナジウムイソプロポキシド(日亜化学工業製)61.9g、およびアセト酢酸エチル(試薬特級、和光純薬工業製)20.6gを、溶媒としてのイソプロピルアルコール(試薬特級、和光純薬工業製)67.5gに溶解させ、窒素雰囲気下、1時間還流して、チタンアルコキシド溶液を調製した。このとき、触媒成分の添加量は、得られる繊維状多孔質チタニア中の酸化バナジウム(V25)として27重量%となる量である。また、アセト酢酸エチルの添加量はチタンイソプロポキシド1モルに対し0.2モルである。次いで、水35.5gとイソプロピルアルコール320.5gとを混合して水濃度10重量%の混合溶液を調製した。
【0048】上で得られたチタンアルコキシド溶液を窒素雰囲気中で還流させると同時に、溶媒を留出させながら、上で得られた混合溶液を撹拌下、添加した。溶媒の留出速度と混合溶媒添加による溶媒の供給速度はほぼ等しくなるように調整した。混合溶媒の添加時間は101分であった。
【0049】混合溶液をチタンテトライソプロポキシド1モルに対して2.07モル添加したとき、チタンアルコキシド溶液中に重合体の析出が始まり、混合溶液を全量添加したときにはチタンアルコキシド溶液は重合体スラリーとなった。
【0050】得られた重合体スラリーを窒素雰囲気中で1時間還流した後、そのまま加熱により溶媒を留出させ、重合体スラリー中チタン濃度がTi換算で2.85×10-3mol/gになるまで濃縮した。
【0051】濃縮された重合体スラリーに窒素雰囲気中で有機溶媒としてテトラヒドロフラン(試薬特級、和光純薬工業製)269gを添加し、1時間還流して重合体を溶解させた後、脂肪酸としてラウリン酸(試薬、和光純薬工業製)23.8gをテトラヒドロフラン(試薬特級、和光純薬工業製)23.8gで溶解した溶液として加え1時間還流し、重合体溶液を得た。
【0052】得られた重合体溶液を窒素雰囲気中で孔径3μmのフッ素樹脂製メンブレンフィルターで濾過した後、加熱してイソプロピルアルコールとテトラヒドロフランとの混合溶媒を留出させて濃縮し紡糸液249gを得た。この紡糸液の40℃における粘度は50ポイズ(5Pa・s)であった。
【0053】得られた紡糸液を40℃に保持し、20kg/cm2(2MPa)の窒素ガスで孔径50μmのノズルから40℃、相対湿度60%の空気雰囲気中に押し出し、前駆体繊維を得た。
【0054】得られた前駆体繊維を85℃、相対湿度95%の恒温恒湿器の中に入れて15時間水蒸気処理した後、200℃/時で昇温し、350℃の空気中で1時間焼成して、アナターゼ型結晶構造を有し繊維径15μmの繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0055】比較例1チタンアルコキシドとしてチタンテトライソプロポキシド(試薬1級、和光純薬工業製)225g、触媒成分としてバナジウムイソプロポキシド(日亜化学工業製)61.9g、およびアセト酢酸エチル(試薬特級、和光純薬工業製)41.2gを、溶媒としてのイソプロピルアルコール(試薬特級、和光純薬工業製)18.1gに溶解させ、窒素雰囲気下、1時間還流して、チタンアルコキシド溶液を調製した。このとき、触媒成分の添加量は、得られる繊維状多孔質チタニア中の酸化バナジウム(V25)として27重量%となる量である。また、アセト酢酸エチルの添加量はチタンイソプロポキシド1モルに対し0.4モルである。次いで、水30.6gとイソプロピルアルコール275.8gとを混合して水濃度10重量%の混合溶液を調製した。
【0056】上で得られたチタンアルコキシド溶液を窒素雰囲気中で還流させると同時に、溶媒を留出させながら、上で調製した混合溶液を撹拌下、添加した。次いで、窒素雰囲気中で1時間リフラックスした後、そのまま加熱により溶媒を留出させ、Ti濃度が3.27×10-3mol/gになるまで濃縮した。
【0057】濃縮された重合体スラリーに窒素雰囲気中で有機溶媒としてテトラヒドロフラン(試薬特級、和光純薬工業製)271gを添加し、1時間還流して重合体を溶解させた後、1時間還流して重合体溶液を得た。
【0058】得られた重合体溶液を窒素雰囲気中で孔径3μmのフッ素樹脂製メンブレンフィルターで濾過した後、加熱してイソプロピルアルコールとテトラヒドロフランとの混合溶媒を留出させて濃縮し紡糸液197gを得た。この紡糸液の40℃における粘度は50ポイズ(5Pa・s)であった。
【0059】得られた紡糸液を40℃に保持し、20kg/cm2(2MPa)の窒素ガスで孔径50μmのノズルから40℃相対湿度60%の空気雰囲気中に押し出し、前駆体繊維を得た。
【0060】得られた前駆体繊維を85℃、相対湿度95%の恒温恒湿器の中に入れて15時間水蒸気処理した後、200℃/時で昇温し、400℃の空気中で1時間焼成してアナターゼ型結晶構造を有し繊維径15μmの繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0061】比較例2比較例1において、焼成温度400℃を300℃に変えた以外は同様にして繊維状多孔質チタニアを得た。得られた繊維状多孔質チタニアの物性およびそれを用いて脱硝試験をしたときの脱硝率を表1に示す。
【0062】
【表1】





 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013