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発明の名称 輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置及びその計測方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−249796(P2000−249796A)
公開日 平成12年9月14日(2000.9.14)
出願番号 特願平11−55897
出願日 平成11年3月3日(1999.3.3)
代理人 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【テーマコード(参考)】
2G065
2G083
2G088
【Fターム(参考)】
2G065 AA11 AB05 AB11 AB14 BA18 BA21 BB02 BB26 BC12 BC15 
2G083 AA03 AA09 BB04 DD02 DD14 DD20 EE10
2G088 EE21 EE30 FF02 FF04 FF06 FF09 GG17 GG30 JJ05 JJ08 KK01 KK11 KK15 LL30
発明者 片桐 政樹
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 放射線検出媒体である輝尽性蛍光体が、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用の2つの作用を持つことを利用して、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出している際に、短時間に強度の強い放射線が入射し蛍光検出機構が飽和しその機能が停止した時、蛍光検出機構の回復後に輝尽性蛍光を読み出し入射した放射線の量を計測する放射線計測装置であって、時間分割で蛍光検出機構の飽和を監視し、飽和状態の回復後に、短時間に入射した強度の強い放射線の量を読み出す際に、輝尽性蛍光体に照射する励起光の光量を変更し、蛍光検出機構が飽和することのない状態で、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項2】 放射線検出媒体である輝尽性蛍光体が、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用の2つの作用を持つことを利用して、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出している際に、短時間に強度の強い放射線が入射し蛍光検出機構が飽和しその機能が停止した時、蛍光検出機構の回復後に輝尽性蛍光を読み出し入射した放射線の量を計測する放射線計測装置であって、時間分割で蛍光検出機構の飽和を監視し、飽和状態の回復後に、短時間に入射した強度の強い放射線の量を読み出す際に、蛍光検出機構の蛍光検出感度を変更することにより蛍光検出機構が飽和することのない状態で、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項3】 請求項1及び2の放射線計測装置を組み合わせて使用することとし、時間分割で蛍光検出機構の飽和を監視し、飽和状態の回復後に、短時間に入射した強度の強い放射線の量を読み出す際に、輝尽性蛍光体に照射する励起光の光量を変更すると共に、蛍光検出機構の蛍光検出感度を変更することにより、蛍光検出機構が飽和することのない状態で、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項4】 放射線検出媒体である輝尽性蛍光体が、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用の2つの作用を持つことを利用して、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出している際に、時分割で蛍光検出機構の飽和を監視し、飽和状態の回復後に、短時間に強度の強い放射線が入射し蛍光検出機構が飽和しその機能が停止した時、蛍光検出機構の回復後に輝尽性蛍光を読み出し入射した放射線の量を計測する放射線計測装置であって、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光体内に蓄積され放射線の量を輝尽性蛍光を用いて計測する時に偶発的に、入射し計測される即発蛍光による寄与分を、蛍光検出機構を用いて時間分割で計測した即発蛍光による放射線の計測量をもとに補正し、入射した放射線の量を計測することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項5】 放射線検出媒体として蛍光寿命が2μs以下の輝尽性蛍光体を使用することとし、この輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる方法であって、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命以下の照射時間幅を持つパルス励起光で輝尽性蛍光体を照射し、輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光を光検出器で検出し、検出した信号を電荷有感型前置増幅器で増幅し、増幅されて出力される信号をパルス整形増幅器に入力し、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命以上の時間の波形整形時定数で波形整形し増幅した後、アナログ・デジタル変換器に入力し、その波高値を求めることにより、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項6】 請求項5の放射線検出方法において、光検出器としてゲート付き光電子増倍管を用い、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命以下の照射時間幅を持つパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する動作と同期して、光電子増倍管のゲートを制御し、その照射時間帯の間光電子増倍管の動作を停止させ、励起光の照射後に光電子増倍管のゲートを制御して光電子増倍管を動作させ、励起光の照射後に放出される輝尽性蛍光を検出し、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項7】 放射線検出媒体として蛍光寿命が2μs以下の輝尽性蛍光体を使用することとし、この輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる方法であって、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命の2倍以下の照射時間幅を持つパルス励起光で輝尽性蛍光体を照射し、輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光を光検出器で検出し、検出した信号を信号増幅器で増幅し、増幅されて出力された信号を波高弁別器に入力して輝尽性蛍光信号をパルス信号として取り出し、このパルス信号とパルス励起光の照射時間幅信号をもとに作製した読み取り信号との同時計数を取ることにより、パルス励起光を照射した後に蛍光寿命に従って輝尽性蛍光信号が出力されることを利用して輝尽性蛍光信号を取り出し、この信号を計数回路により計測し、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項8】 放射線検出媒体である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読み出す励起光を輝尽性蛍光体に照射する際に、励起光を照射するための励起光放射体として、側面から光を放射する機能を持つ側面放射型光ファイバを用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項9】 請求項8の放射線計測方法において、励起光を照射するための励起光放射体として用いる側面から光を放射する側面光放射型光ファイバとして、光ファイバの円周方向の一部角度の側面から光が放射される一部側面光放射型光ファイバを用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項10】 請求項9の放射線計測方法において、光ファイバの円周方向の一部角度の側面から光が放出する一部側面光放射型光ファイバを用いる際に、その一部角度の反対側あるいは反対側の側面あるいは一部角度を除く全側面に光反射材を配置した構造の光ファイバを用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項11】 側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバと、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバとを順に配置した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項12】 請求項11の放射線計測を行うにあたって、方法を用いて、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバ、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ、輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバの順に平面状態に積層した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項13】 請求項12の放射線計測装置において、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバを中心として、その上と下の方向に、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ、輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバの順に平面状態に積層した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項14】 請求項11の放射線計測を行うにあたって、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバを中心位置として、その上と下の方向に平面状態に積層する2つの輝尽性蛍光体が、放射線に対して異なった検出性能を持つ2種類の輝尽性蛍光体である放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項15】 請求項11の放射線計測を行うにあたって、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバを中心として、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する輝尽性蛍光及び即発蛍光の波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバの順に円筒上に積層した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項16】 請求項11乃至15のいずれかに記載の放射線検出部を2個以上用いることとし、それぞれの放射線検出部の側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバと、それぞれの輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバを、光ファイバにより接続した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項17】 請求項16の放射線計測装置において、放射線検出部を2個以上用い、それぞれの放射線検出部の側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバと、それぞれの輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバとを、光ファイバにより接続する際、それぞれの側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバを接続する光ファイバの間に光遅延機構を接続した構造とすることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項18】 請求項11乃至17のいずれかに記載の放射線検出部を放射線計測場所にそって長い距離配置し、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバに輝尽性蛍光体の蛍光寿命以下の時間幅のパルス励起光を入射し、輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光を波長シフト光ファイバを介して光検出器により検出し、励起光源から側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバにパルス励起光を入射した時間と光検出器により検出された輝尽性蛍光強度の時間分布との関係を用いて放射線計測場所に入射する放射線の量の位置分布を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項19】 請求項18の放射線計測装置において、波長シフト光ファイバから出力される輝尽性蛍光の検出に用いる光検出器としてストリークカメラを用い、パルス励起光と同期を取りながら輝尽性蛍光の強度の時間分布を計測し、励起光源から側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバにパルス励起光を入射した時間と光検出器により検出された輝尽性蛍光強度の時間分布との関係を用いて放射線計測場所に入射する放射線の量の位置分布を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項20】 請求項16乃至19のいずれかに記載の放射線計測装置において、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバに輝尽性蛍光体の蛍光寿命以下の時間幅のパルス励起光を入射し、輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光を波長シフト光ファイバを介して光検出器により検出する動作を2回以上繰り返し行い、輝尽性蛍光強度の時間分布を積算し、積算した蛍光強度の時間分布をもとに、励起光源から側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバにパルス励起光を入射した時間と光検出器により検出された輝尽性蛍光強度の時間分布との関係を用いて放射線計測場所に入射する放射線の量の位置分布を求めることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項21】 2つ以上の輝尽性蛍光体を放射線検出媒体として用いる放射線計測装置であって、それぞれの輝尽性蛍光体に励起光を照射するために用いる励起光照射用光ファイバと、2つ以上の輝尽性蛍光体と、それぞれの輝尽性蛍光体に励起光を照射した際輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光の輝尽性蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、それぞれのバンドパス光学フィルタから出力される輝尽性蛍光を検出する輝尽性蛍光波長に有感な1本以上の波長シフト光ファイバとを配置した構造の放射線検出部を用いることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項22】 輝尽性蛍光体を励起可能な波長の光を発生する励起光源と、励起光源から出力された励起光をシート状の輝尽性蛍光体に長方形状にする励起光照射機構と、シート状の輝尽性蛍光体と、輝尽性蛍光の波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光により励起可能な波長シフト光ファイバを面状に並べた構造の波長シフト光ファイバ束と、波長シフト光ファイバにより波長シフトされた蛍光の波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、波長シフト光ファイバ束の各波長シフト光ファイバ毎に放出される蛍光をマルチチャンネルで検出可能な光検出器と、マルチチャンネルの検出器信号を処理しデジタル化し放射線イメージ画像として構成する信号処理装置から構成されるシート状輝尽性蛍光体の放射線画像読み出し装置であって、励起光源から出力された励起光をシート状の輝尽性蛍光体に長方形状に照射するために、側面から光を放射する機能を持つ光ファイバをシート状の輝尽性蛍光体の表面に波長シフト光ファイバ束に直角に面状に並べ、各側面から光を放射する機能を持つ光ファイバに励起光源から順に励起光を入射し、シート状の輝尽性蛍光体に蓄積された放射線の量を位置情報を含めて読み出すことにより放射線イメージ画像を得ることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項23】 請求項11乃至15のいずれかに記載の放射線計測において、波長シフト光ファイバの両端に出力される輝尽性蛍光が波長シフトされて出力される蛍光の蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ通した後、同じ光検出器により検出することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項24】 請求項8乃至23のいずれかに記載の放射線計測において、請求項1、2及び3のいずれかの輝尽性蛍光体を用いた放射線計測を行うことを特長とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項25】 請求項1乃至4、請求項8乃至17、請求項22乃至24のいずれかに記載の放射線計測において、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測する際に、請求項5、6あるいは7の輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測する放射線計測を行うことを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測方法。
【請求項26】 請求項1乃至25のいずれかにおいて、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体に中性子を電離可能な放射線に変換する中性子コンバータ材であるGd、6Liあるいは10Bを一種類以上含んだ、あるいは輝尽性蛍光体と混合した、あるいは輝尽性蛍光体と組み合わせた中性子検出用の放射線検出媒体を用いることにより中性子を検出可能とすることを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
【請求項27】 請求項1乃至26のいずれかに記載の放射線計測おいて、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体の温度を温度検出器によって測定し、測定された温度をもとに励起光の照射により計測される輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を補正することを特徴とした輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術野】本発明は原子炉施設内外あるいは加速器施設内外等において、広範囲な測定箇所で広いダイナミックレンジにわたる放射線強度を実時間で監視する必要のある放射線計測装置及び方法に関するものである。これらの施設においては、非常に弱い放射線線量から瞬時に起こる非常に強い放射線線量を様々な場所で常にモニタできる検出システムが要求される。また。同時に可搬型の放射線モニタも個人放射線被爆管理の面から要求される。
【0002】このため、輝尽性蛍光体を用いて放射線を常時モニタする方法と放射線を積分しながら計測する方法とを組み合わせた微分・積分型で簡便な放射線計測装置および計測方法を考案すると共に、リモートセンシングが可能な放射線計測装置、放射線分布計測装置、可搬型放射線計測装置等へ適用できる放射線計測装置及び計測方法を考案した。
【0003】
【従来の技術】従来、放射線の計測には、電離箱、ガイガミューラー管(GM管)、シンチレータと光電子増倍管を組み合わせたシンチレーション検出器あるいは中性子線量の計測にはBF3計数管あるいは3He計数管等が用いられてきた。しかし、非常に弱い放射線線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーすることは非常に困難であり、感度の低い電離箱と感度の高いシンチレーション検出器などを組み合わせて用いられてきた。さらに、加速器等の周辺あるいはターゲット周辺で瞬時に発生する大強度放射線あるいは原子炉施設等の不測の事故などにより発生する大強度放射線の計測には検出器が放射線により飽和現象を起こすため、放射線線量を測定することは困難であった。
【0004】このため、輝尽性蛍光体が、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用の2つの作用を持つことに着目し、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を切り換えて検出することにより入射した放射線の量を計測する方法が考案された[特願平11−50301号]。この方法を用い放射線計測装置を用いることにより、非常に弱い放射線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーし、かつ瞬時に発生する大強度放射線・中性子線による放射線量を測定することが可能となる。
【0005】本発明の重要な構成要素である放射線検出媒体である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる従来方法[D.J.Huntley等:Nature, Vol.313, 10, pp.105]について図40に示す。他の場所で放射線を照射した輝尽性蛍光体のシートを読み取り台に設置した後、前方から励起用光源から発生した励起光を輝尽性蛍光体に照射し、放出された輝尽性蛍光を輝尽性蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタを通した後、光電子増倍管で検出する。その後、信号処理装置によりその強度に応じてデジタル信号化し放射線量を求める。
【0006】また、光ファイバの先端に少量の輝尽性蛍光体を取り付け、その光ファイバの中に励起光を入れて輝尽性蛍光体を照射し、照射している間に放射される輝尽性蛍光を計数し放射線線量を求める図41に示す方法[北口等:JAERI−Conf 98−011, pp.62]があるが、輝尽性蛍光体が少量のため感度をあげることは困難である。
【0007】さらに、パルス光源を用いて励起光を輝尽性蛍光体に照射し輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる図42に示す従来方法[S.W.S. Mckeever等:Radiation Protection Dosimetry, Vol.65, Nos. 1−4, pp.267]があるが、図43のタイミングで一発のパルス励起光を照射した後蛍光寿命に従って放出される輝尽性蛍光を高速増幅器で増幅し高速計数回路で計数し蓄積され放射線量を求めていた。この方法では光検出器を含め超高速の計測系が必要であった。
【0008】一方、簡便な装置により放射線の量と測定位置を同時に測定する従来方法については、図44及び図45に示す検出部を測定箇所毎に配置し光ファイバで直列に接続し測定する放射線計測方法等がある[前川他:放射線 Vol.21,No.3, pp.69]。これらの方法では、放射線検出媒体としてシンチレータが使用されその蛍光を波長シフト光ファイバにより検出し、波長シフト光ファイバの両端に出力される蛍光の時間差より放射線強度と測定位置を求めており、大強度の放射線が入射した場合には、放射線強度はもとよりその位置を求めることは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、非常に弱い放射線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーし、かつ加速器等の周辺あるいはターゲット周辺で瞬時に発生する大強度放射線・中性子線あるいは原子炉施設等の不測の事故などにより発生する大強度放射線・中性子線による放射線量を簡便に感度良く正確に測定することができる放射線計測装置およびその計測方法、及び通常にも使用できる小型で簡便な放射線計測装置およびその計測方法を提供することを目的としている。また、広範囲な測定場所の放射線の量を簡便に感度良く測定する放射線計測装置およびその計測方法を提供することを目的としている。さらに、放射線の2次元イメージを容易に得るための放射線計測装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】非常に弱い放射線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーし、かつ瞬時に発生する大強度放射線・中性子線による放射線量測定する放射線測定装置を開発するため、輝尽性蛍光体が、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用の2つの作用を持つことに着目し、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を切り換えて検出することにより入射した放射線の量を計測する方法[特願平11−50301号]を用いる。この方法を用いることにより、容易に要求する放射線検出性能を簡便な装置により確保することができるため、本発明は、短時間に強度の強い放射線が入射し蛍光検出機構が飽和しその機能が停止した時、蛍光検出機構の回復後に輝尽性蛍光を読み出し入射した放射線の量を計測する方法を用いた放射線計測装置に関わるものであり、時間分割で蛍光検出機構の飽和を監視し、飽和状態の回復後に、短時間に入射した強度の強い放射線の量を読み出す際に、蛍光を検出する機構が飽和し計測不能とならないように、励起光の光量や蛍光検出感度を変更することにより蛍光検出機構が飽和することのない状態で、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を計測する輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる方式を考案した。
【0011】輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる方法として、パルス光源を用いて短い時間幅の励起光を輝尽性蛍光体に照射し、輝尽性蛍光寿命が短いことを利用して従来の放射線検出系を用いて信号処理を行う方法を用いる。この読み取り方法を用いることにより、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を容易に切り換えて検出し蓄積された放射線量を簡便に計測することができる。
【0012】また、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる際に、励起光を輝尽性蛍光体に照射するために側面から光を放射する光ファイバを用いることにより、簡便にかつ遠隔操作で輝尽性蛍光体に励起光を照射することを可能とした。この方法の考案により、レーザー光源等の光源を放射線線量の強い場所に設置する必要がなくなり、かつ小型の励起光照射機構を構成することが可能となる。また、この側面から光を放射する光ファイバを用いることによりシート状の輝尽性蛍光体を用いた放射線2次元イメージの簡便な測定も容易とすることができる。
【0013】さらに、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する蛍光波長に有感な波長シフト光ファイバを並列に並べて検出面積を確保しかつ輝尽性蛍光を検出可能とすることにより、光電子増倍管等の光検出器を放射線線量の強い場所に設置する必要をなくした。また、この並列に並べた波長シフト光ファイバ束と側面から光を放射する光ファイバとを併用すること、および輝尽性蛍光体及び光学フィルタをサンドイッチ構造にはさみ積層構造とすることにより、小型で色々な検出形状の放射線検出部を構築することが可能となった。
【0014】一方、上記の積層構造の検出部を長く伸ばし、側面から光を放射する光ファイバに極めて短いパルス幅を持つ励起光を入射し、その短パルス幅励起光が伝搬し輝尽性蛍光体に照射され、放出される輝尽性蛍光を波長シフト光ファイバにより検出することにより、長い距離の放射線線量の分布計測を可能とした。この方法と、即発蛍光を検出する方法を切り換えて用いることにより広範囲な測定場所の放射線分布計測での課題を解決することができる。
【0015】上記で述べた放射線検出媒体である輝尽性蛍光体に中性子を電離可能な放射線に変換する中性子コンバータ材であるGd、6Liあるいは10Bを一種類以上含んだ、あるいは輝尽性蛍光体と混合した、あるいは輝尽性蛍光体と組み合わせた中性子検出用の放射線検出媒体を用いることにより、中性子を検出可能とした放射線計測装置およびその計測方法を構築することができる。
【0016】
【実施例】請求項1の実施例について図1を参照して説明する。放射線検出媒体である輝尽性蛍光体には、入射した放射線を蓄積し励起光により輝尽性蛍光として放射線が入射した量を読み出すことができる作用(輝尽性蛍光)と、入射した放射線により即発で蛍光を発する作用(即発蛍光)の2つの作用があり、この2つの作用を利用して蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を実時間で検出することにより入射した放射線の量を計測する放射線計測方法がある。本発明は、この方法を実現し放射線計測装置またその装置を用いて計測する方法に関するものである。
【0017】本発明の輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置は、図1に示すように、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を時間分割で読み出す励起光を輝尽性蛍光体に照射するための励起用光源、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための光検出器、光検出器から出力される輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光信号及び即発蛍光信号を増幅し信号処理する信号処理回路、時間分割で輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光信号と即発蛍光信号を切り換えるモード切替回路、蛍光を検出するための蛍光検出機構の動作状態を監視する飽和監視回路、飽和監視に用いるLED、励起光の光量を変更する励起光・光量変更回路、時間分割で励起用光源、モード切替回路、飽和監視回路、励起光・光量変更回路を制御する制御回路、輝尽性蛍光を計測する輝尽性蛍光データ収集回路、即発蛍光を計測する即発蛍光データ収集回路、制御回路と同期をとりながら時間分割で輝尽性蛍光及び即発蛍光のデータを収集しデータ収集結果から入射した放射線の量を求めるデータ処理回路から構成される。
【0018】以下に、本発明の放射線計測装置の詳細について述べる。放射線検出媒体である輝尽性蛍光体としてシート状のものが使用でき、X線イメージング用に市販されている富士写真フィルム製BASシリーズのイメージングプレートを使用する。但し、市販品のイメージングプレートの後面は透明ではないが、透明なものを作製することは容易である。このイメージングプレートに使用されている輝尽性蛍光体は、BaFBr:Eu2+である。この輝尽性蛍光体の励起可能な波長帯は490nmから680nm(最大効率の半分の効率以上を示す波長帯)である。また、励起光の照射により放出される輝尽性蛍光の波長は390nmである。実施例では、この輝尽性蛍光体について述べるが、他の輝尽性蛍光体としてKCl:Eu2+、RbBr:Tl、SrS:Eu、Sm等を検出媒体としたイメージングプレートについても励起光の波長や読みとる輝尽性蛍光の波長等を変えることにより読み取り対象となりうる。
【0019】本発明においては、励起光を作り出す励起光源としてはレーザー光源を用いる。必要な出力は、読み出す速度とシート状の輝尽性蛍光体であるイメージングプレートの読み出し面積に依存する。直径5mmの検出面積の場合、数mW以上の最大出力が必要である。富士写真フィルムのBASシリーズイメージングプレートの輝尽性蛍光体はBaFBr:Eu2+であるため、励起可能な波長帯は490nmから680nmであることから、高出力が容易に得られるこの波長帯のレーザーとしては半導体レーザー(635nm)あるいは、グリーンレーザー(532nm)等が使用可能である。励起光を作り出すレーザー光源は励起光・光量変更回路から出力される光量制御信号により励起光の光量を変更可能とすると共に制御回路からのON・OFF制御信号を用いて励起光のON・OFF制御を可能とする。
【0020】シート状の輝尽性蛍光体であるイメージングプレートの後面から放出される輝尽性蛍光はイメージングプレートの後に配置した輝尽性蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタを用いて通過させ、励起光の散乱光を除去する。実施例の場合、輝尽性蛍光の波長は390nmであるので、この光学フィルタは中心波長が390nmのものが使用できる。
【0021】次に、蛍光検出機構について説明する。光検出器としては、輝尽性蛍光の波長である390nmの近くで感度の大きい光電子増倍管を使用することができる。図には書いていないが、光電子増倍管には高電圧のバイアス電圧を印加する。光の増幅率は、このバイアス電圧に依存する。
【0022】光電子増倍管により検出された光信号は、信号処理回路により増幅され信号処理がなされる。実施例として、光信号処理方法としては計数方式を用いる。この場合、信号処理としては、光信号を信号増幅した後、波高弁別器で雑音との弁別を行いパルス信号として取り出す。また、この光信号処理方法の他にも従来よりイメージングプレートの画像イメージの読み取りに使用されている輝尽性蛍光の信号列を積分回路で積分し放射線量を読みとる方法も使用することが可能である。
【0023】信号処理回路により処理され出力されるパルス信号はモード切替回路に入力する。この回路では制御回路からのモード切替信号を用いて、パルス信号を輝尽性蛍光モードの場合は輝尽性蛍光データ収集回路に、即発蛍光モードの場合は即発蛍光データ収集回路に振り分ける。本発明の実施例の場合、2つのデータ収集回路は計数回路から構成される。
【0024】輝尽性蛍光モードと即発蛍光モードのモード切替は、制御回路により行い、図2に示すタイミングによって切り換える。すなわち、励起光をシート状の輝尽性蛍光体であるイメージングプレートに照射している場合には、輝尽性蛍光の読み出しを行い、その他の場合には即発蛍光を読み出す。従って、励起光を作り出す励起光源を制御し読みとり動作と同期してこの操作を行うことにより、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光とを1つの蛍光検出機構を用いて検出することができる。
【0025】シート状の輝尽性蛍光体であるイメージングプレートから放出される輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出している際に、加速器等での放射線計測にどの場合、短時間に強度の強い放射線が入射し蛍光検出機構が飽和しその機能が停止する。この場合、光検出器が飽和現象起こし動作しなくなるので信号処理回路に信号が来なくなる。
【0026】この現象を確実に捕らえるため、本発明では、光学フィルタを通過する波長の光を放射するLEDを用い、図2に示すタイミングでLEDパルス光を光検出器に入射しこの光が光検出器により検出できることを信号処理回路の出力信号の飽和監視回路により常時監視する。LEDパルス光を検出できない時は、飽和した状態なので飽和監視回路は飽和信号を制御回路に送る。飽和監視回路は飽和状態の監視をそのまま継続し、短時間で起こる強度の強い放射線などの入射が終了し蛍光検出機構が回復するのを待つ。飽和状態が正常状態に復帰した後、制御回路はモード切替回路によりモード切り替え信号を送り、輝尽性蛍光モードに切り換えてを輝尽性蛍光を計測することにより、短時間に入射した強度の強い放射線の量を計測することができる。
【0027】上記の輝尽性蛍光を計測する操作を行う際、短時間に入射した強度の強い放射線の量がどの程度輝尽性蛍光体内に蓄積されているかが未知である。このため、本発明においては、まず最初に強度の非常に弱い励起光をシート状の輝尽性蛍光体であるイメージングプレートに照射し、その量を把握し輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を読み出すことにより、蛍光検出機構を飽和させることなく、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の全量を計測する。すなわち、励起光を輝尽性蛍光体に照射するための照射機構の励起光の光量を制御回路からの信号にもとづいて励起光・光量変更回路を使って変更しながら、また飽和監視回路を補助として使いながら蛍光検出機構が飽和することのない状態で、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読み出すことができる。
【0028】請求項2の実施例について図3を参照して説明する。上記の実施例で述べたように蛍光検出機構が回復した後に輝尽性蛍光を計測することにより短時間に入射した強度の強い放射線の量を計測する際に、蛍光検出機構の蛍光検出感度を変更し蛍光検出機構が飽和することのない状態で読み取り操作を行うこともできる。実施例では、光検出器として光電子増倍管を用いることから蛍光検出感度変更回路としてバイアス電圧の変更回路を用いこの電圧を制御回路により制御することにより上記操作を行う。
【0029】請求項3の実施例について図4を参照して説明する。本実施例は上記で述べた請求項1と請求項2の実施例を同時に用いるものである。本発明により、非常に放射線の量が多い場合には蛍光検出感度変更回路を用いて光検出感度を下げた状態で輝尽性蛍光を計測し、計測時間の短縮を図ることができることなどの輝尽性蛍光の読み出しの最適化を図ることができる。
【0030】請求項4の実施例について図5を参照して説明する。上記の実施例で述べた輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するための蛍光検出機構を用いて時間分割で輝尽性蛍光による放射線の量を計測する場合に、読み取り時間内に偶発的に放射線が入射し計測される。このため、即発蛍光による寄与分を、蛍光検出機構を用いて時間分割で計測した即発蛍光による放射線の計測量をもとに、データ処理回路を用いて補正することにより入射した放射線の量を正確に計測することが可能である。
【0031】請求項5の実施例を図6を参照して説明する。本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置において、大きな技術課題である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量の読み出し方法に関するものである。
【0032】放射線検出媒体として蛍光寿命が短い輝尽性蛍光体を用いた場合、即ち蛍光寿命が2μs以下の輝尽性蛍光体を用いた場合以下に述べるように従来から半導体検出器の信号処理に使用されている信号処理法を適用することを特徴としている。実施例としては、蛍光寿命が0.8μsのBaFBr:Eu2+を用いる。
【0033】蛍光寿命が0.8μsのBaFBr:Eu2+の輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる際に、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命0.8μs以下の照射時間幅を持つパルス励起光源でパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する。実施例としては照射用パルスレーザー光源としてパルスグリーンレーザーを用いる。このレーザー光源のパルス幅は非常に短く2nsである。このレーザー励起光が輝尽性蛍光体に照射されると、図7のタイミング図に示すようにランダムに輝尽性蛍光が放出される。これらの放出の多くはほぼ輝尽性蛍光体の寿命の間に行われるため、輝尽性蛍光体から放出される蛍光を光電子増倍管などの光検出器で検出し、検出した信号を電荷有感型前置増幅器で増幅すると図に示すような出力信号が得られる。この出力信号を積分・微分回路などから構成されるパルス整形増幅器に入力し、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命以上の時間の波形整形時定数で波形整形し増幅する。この操作により、パルス励起光を照射した後放出される輝尽性蛍光を積分した波高信号を得ることができる。この後、アナログ・デジタル変換器に入力し、その波高値を求める。データ収集・処理回路を用いて、パルスジェネレータからのレーザー制御信号に基づいて励起光用パルスレーザー光源により発生する各パルス励起光毎に得られる波高値を積算することにより、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を求めることができる。
【0034】請求項6の実施例を図8を参照して説明する。上記請求項5の放射線検出装置において、光検出器としてゲート付き光電子増倍管を用いる。ゲート付き光電子増倍管としては、浜松ホトニクス社製R5916等が使用できる。輝尽性蛍光体として、BaFBr:Eu2+を使用した場合、上記で示したパルス幅2nsのグリーンレーザーを励起光源として使用できる。このため、このパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する動作と同期して、5nsの時間幅のゲート信号をゲート付き光電子増倍管に入力し、その照射時間帯の間光電子増倍管の動作を停止させ、励起光の照射後に光電子増倍管のゲートを制御して光電子増倍管を動作させる。この操作により、パルス励起光の影響受けることなく励起光の照射後に放出される輝尽性蛍光を検出することができる。従って、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量をパルス励起光の影響を受けることなく求めることができる輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置とすることができる。
【0035】請求項7の実施例を図9を参照して説明する。本発明も、輝尽性蛍光体を用いた放射線計測装置において、大きな技術課題である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量の読み出し方法に関するものである。放射線検出媒体として蛍光寿命が短い輝尽性蛍光体を用いた場合、即ち蛍光寿命が2μs以下の輝尽性蛍光体を用いた場合でかつ、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量があまり強くない場合に適用可能である。実施例としては、蛍光寿命が0.8μsのBaFBr:Eu2+を用いる。
【0036】蛍光寿命が0.8μsのBaFBr:Eu2+の輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとる際に、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命0.8μs以下の照射時間幅を持つパルス励起光源でパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する。実施例としては蛍光寿命が0.8μsの輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読みとるために、輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光寿命の2倍の1.6μsの照射時間幅を持つパルス励起光源でパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する。この時、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量があまり強くない場合には、図10のタイミング図に示すようにパルス励起光に同期して1個だけの輝尽性蛍光が放出される時と、放出されない時がランダムに生ずる。このため、輝尽性蛍光体から放出される蛍光を光電子増倍管などの光検出器で検出し、検出した信号を前置増幅器及び信号増幅器で増幅すると図に示すような信号増幅器出力が得られる。この出力信号を波高弁別器に入力し、デジタル信号として波高弁別器信号を得る。この波高弁別器信号は、励起光用パルスレーザー光源のレーザー制御信号を発生するパルスジェネレータにより同時作りだされるパルス励起光の照射時間幅信号を用いて読み取り信号発生回路により作製された読み取り信号と同時計数回路により同時計数処理をかけられる。同時計数回路からの出力信号は励起光により読み出された1個の輝尽性蛍光に対応した信号である。この同時計数回路出力信号を計数回路で計数しデータ収集・処理回路においてデータ処理することにより、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を求めることができる。
【0037】請求項8の実施例を図11を参照して説明する。放射線検出媒体である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を読み出す励起光を輝尽性蛍光体に照射するための照射機構において、励起光を照射するための照射機構の励起光放射体として、側面から光を放射する光ファイバを用いる。実施例として請求項7の輝尽性蛍光体を用いた放射線計測法について適用することとし説明する。励起用パルスレーザー光源からの励起光を直接輝尽性蛍光体に照射する替りに、図に示す構造の側面放射型光ファイバを用いて照射する。側面放射型光ファイバとしては、旭化成製側面漏光光ファイバであるルミナスVグレードなどが使用できる。また、通常の光ファイバの全周囲の表面を薄く取り去った構造の側面放射型光ファイバも使用できる。側面放射型光ファイバを用いることにより励起光源を放射線の検出現場に設置する必要がなくなりリモートセンシングも可能となる。
【0038】請求項9の実施例を図12を参照して説明する。請求項8の放射線計測装置の励起光を照射するための照射機構の励起光放射体である側面から光を放射する光ファイバにおいて、図の中の拡大図に示すような光ファイバの円周方向の一部角度の側面から光が放出する光ファイバを用いる。一部側面放射型光ファイバとしては、通常の光ファイバの光放射面を除く全周囲の表面を薄く取り去った構造の一部側面放射型光ファイバを使用できる。一部側面放射型光ファイバを用いることにより励起光源を放射線の検出現場に設置する必要がなくなり、かつ照射方向にのみ光を放射するため、効率良く輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読み出すことが可能となる。
【0039】請求項10の実施例を図13を参照して説明する。実施例としては、請求項9の放射線計測装置の光ファイバの円周方向の一部角度の側面から光が放出する光ファイバにおいて、図に示すように一部角度の反対側の面、即ちに一部側面光放射型ファイバの上部に光反射材を配置し、漏えいする光を放射面に戻すことにより放射する光量を多くすることを目的とする。本構造とすることにより、さらに効率良く輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を読み出すことが可能となる。
【0040】請求項11の実施例を図14を参照して説明する。実施例においては、円筒状の輝尽性蛍光体を用いた放射線検出部とするため、側面から光を放射する機能を持つ光ファイバ(側面発光型光ファイバ)と、空間を置いて配置した放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、輝尽性蛍光体の外側に配置した蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、光学フィルタの外側の全周囲に配置した輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する蛍光波長に有感な多数の波長シフトファイバとを順に配置した構造とし、その周囲を遮光体で覆う構造としている。輝尽性蛍光体としては、蛍光寿命が0.8μsで、輝尽性蛍光波長が390nmのあるBaFBr:Eu2+を用いる。また、本実施例では輝尽性蛍光波長が390nmであるので波長シフタとしては、励起波長幅が320nmから395nmで、蛍光波長の中心波長が450nmの波長シフト性能を持つ蛍光性プラスチックファイバを用いる。波長シフトされた蛍光の寿命は10ns以下である。また、波長シフトファイバとしては輝尽性蛍光波長390nmに有感な本構造の放射線検出部を用いることにより、完全なリモートセンシングが可能となると共に、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体の検出面積を大きくできることから、放射線の検出感度を上げることが可能である。また、側面発光型光ファイバと輝尽性蛍光体部分との間の空間に放射性ガスを導入し検出することにより、高感度な放射性ガス検出器となる。
【0041】請求項12の実施例を図15を参照して説明する。本実施例においても輝尽性蛍光体としては、蛍光寿命が0.8μsであるBaFBr:Eu2+を用いる。側面から光を放射する機能を持つ直径1mmの4本の光ファイバ(側面放射型光ファイバ)と、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する輝尽性蛍光及び即発蛍光の波長に有感な直径1mmの4本の波長シフトファイバと、が平面状態で順に積層した構造の放射線検出部を用いる。図16にこの放射線検出部を用いた放射線計測装置の実施例を示す。本構造の放射線検出部を用いることにより、完全なリモートセンシングが可能となる。また。放射線検出部の断面を1cmx1cm以下とすることが可能であり、設置場所が狭い所、あるいは長い検出部の放射線計測が容易になる。
【0042】請求項13の実施例を図17を参照して説明する。本実施例は、側面から光を放射する機能を持つ直径1mmの4本の光ファイバ(側面放射型光ファイバ)を中心位置として、その上と下の方向に、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する輝尽性蛍光及び即発蛍光の波長に有感な直径1mmの4本の波長シフトファイバと、が平面状態で順に積層した構造の放射線検出部を用いる。両面に輝尽性蛍光体を用いることができることから、検出感度を上げることができるとともに、放射線の入射方向を推定することも可能となる。
【0043】請求項14の実施例を図18を参照して説明する。本実施例は、側面から光を放射する機能を持つ直径1mmの4本の光ファイバ(側面放射型光ファイバ)を中心位置として、その上と下の方向に、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する輝尽性蛍光及び即発蛍光の波長に有感な直径1mmの4本の波長シフトファイバと、が平面状態で順に積層した構造の放射線検出部を用いる。この時、光ファイバを中心位置としてその上と下の方向に積層する2つの放射線検出媒体である輝尽性蛍光体として、一方を輝尽性蛍光体とし、一方を輝尽性蛍光体に中性子を電離可能な放射線に変換する中性子コンバータ材であるGdを混合し中性子用検出可能とした中性子コンバータ・輝尽性蛍光体混合体とする。本構造とすることにより、X線やガンマ線等の電離放射線と共に中性子も検出可能となる。また、中性子コンバータ・輝尽性蛍光体混合体でも有感なX線やガンマ線の影響も輝尽性蛍光体のみの方で読み取ったデータをもとに補正することができるため、精度良く中性子の量を計測することが可能となる。
【0044】請求項15の実施例を図19を参照して説明する。本実施例においても輝尽性蛍光体としては、蛍光寿命が0.8μsであるBaFBr:Eu2+を用いる。側面から光を放射する機能を持つ直径1mmの1本の光ファイバ(側面放射型光ファイバ)と、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、光学フィルタの外側の全周囲に配置した輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する蛍光波長に有感な多数の波長シフトファイバとが順に円筒状に積層した構造の放射線検出部を用いる。本構造の放射線検出部を用いることにより、完全なリモートセンシングが可能となる。また。放射線検出部の断面を直径1cm以下とすることが可能であり、設置場所が狭い所、あるいは長い検出部の放射線計測が容易になる。
【0045】請求項16の実施例を図20を参照して説明する。長い距離を持つ放射線検出媒体である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量をその位置情報をも含めて読み出すため、非常に短いパルス幅の励起光を輝尽性蛍光体に照射するための照射機構を用いる。
【0046】本実施例の場合、放射線計測場所の位置分解能をあげるためには輝尽性蛍光寿命の短い輝尽性蛍光体を用いる必要がある。このため、輝尽性蛍光体としては、輝尽性蛍光寿命が30nsと非常に短いY2SiO2−Ceを用いる。この輝尽性蛍光体の励起波長の中心は620nmである。また、励起光の照射により放出される輝尽性蛍光の波長は410nmである。従って、上記の実施例で示してきた、BaFBr:Eu2+とほぼ同じ特性を示すため、励起光源や波長シフト光ファイバ等についは同じものが使用できる。この輝尽性蛍光体を用いた放射線検出部を計測場所にそって配置し、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバに2ns以下のパルス幅を持つ励起光を輝尽性蛍光体に照射する。励起光源をとしては半導体レーザーなどが使用できる。この照射機構の励起光放射体として、光ファイバの長さ方向の2カ所以上の場所に側面の全面あるいは円周方向の一部角度の側面から光を放射するようにした光ファイバを用いる。各光放射位置に合わせて、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体と、蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する輝尽性蛍光及び即発蛍光の波長に有感な1本以上の波長シフトファイバとを積層して配置し放射線検出部を構成する。波長シフトファイバから出力されたパルス励起光を入射した時間と波長シフトファイバにより出力される輝尽性蛍光の時間分布の関係を用いて放射線計測場所の入射放射線量の分布を求める。
【0047】請求項17の実施例について図21を参照して説明する。本実施例の放射線検出部の素材については、上記請求項16の実施例とほぼ同じ構成で用いることができる。放射線検出媒体である輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を読み出す励起光を輝尽性蛍光体に照射するための照射機構の励起光放射体として、側面の全面あるいは円周方向の一部角度の側面から光を放射する光ファイバ(一部側面光放射型光ファイバ)、光遅延機構、通常の光ファイバとを順に交互に接続した一本以上の照射用光ファイバを用いる。側面光放射型光ファイバの区間の背面には放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、蛍光波長を中心波長とする光学フィルタを積層しその背面に一本以上の輝尽性蛍光に感度のある波長シフト光ファイバを配置する。光遅延機構としては遅延時間に相当する長さの光ファイバを用いることとし、30nsの遅延時間とする。各側面光放射型光ファイバの区間での励起光の放射時間間隔を長くすることにより、励起光の到達時間が長くなるため各放射線計測位置での放射線量を正確に得ることができる。
【0048】請求項18の実施例について図22を参照して説明する。本実施例では請求項12において示した放射線検出部を用いることとする。本実施例の場合も放射線計測場所の位置分解能をあげるためには輝尽性蛍光寿命の短い輝尽性蛍光体を用いる必要がある。このため、輝尽性蛍光体としては、輝尽性蛍光寿命が30nsと非常に短いY2SiO2−Ceを用いる。この輝尽性蛍光体の励起波長の中心は620nmである。また、励起光の照射により放出される輝尽性蛍光の波長は410nmである。従って、上記の実施例で示してきた、BaFBr:Eu2+とほぼ同じ特性を示すため、励起光源や波長シフト光ファイバ等についは同じものが使用できる。この輝尽性蛍光体を用いた放射線検出部を計測場所にそって配置し、側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバに2ns以下のパルス幅を持つ励起光を輝尽性蛍光体に照射する。励起光源をとしては半導体レーザーなどが使用できる。波長シフトファイバにより輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光を検出し、励起光源が側面から光を放射する機能を持つ1本以上の光ファイバにパルス励起光を入射した時間と波長シフトファイバにより出力される輝尽性蛍光の時間分布の関係を用いて放射線計測場所の入射放射線量の連続分布を求める。この動作を実現するため、図に示すように、光電子増倍管、高速DC信号増幅器、アナログ・デジタル変換器、記憶回路及び制御・データ収集装置から構成する信号処理装置を用い、波長シフトファイバから出力される蛍光の時間分布を測定する。アナログ・デジタル変換器としてはサンプリング速度が100MHz以上のものを使用する。この時の位置分解能は輝尽性蛍光体の蛍光寿命の30nsで決まり、最良の場合、約10mとなる。
【0049】請求項19について図23を参照して説明する。本実施例は、請求項18の図22の実施例において示した波長シフトファイバから出力される蛍光を測定する信号処理装置の替わりにストリークカメラ方式を用いる。波長シフトファイバから出力される蛍光をストリーク管に入力し、その変化をパルス励起光の一部側面光放射型光ファイバへの入射と同期をとって偏向電極に時間走査信号を変化させ、高速に輝尽性蛍光の強度の時間分布を計測する。計測した時間分布はCCDカメラ等の撮像装置に記録される。ストリーク管としては、高速の走査が可能な浜松ホトンクス社製のC2830等が使用可能である。記録されたデータをデータ収集・制御装置に取り込み、この蛍光強度データの時間分布をもとに、放射線計測場所の入射放射線量の分布を求めることができる。この時の位置分解能も輝尽性蛍光体の蛍光寿命の30nsで決まり、最良の場合、約10mとなる。
【0050】請求項20の発明は、上記請求項16―19の実施例で示した放射線計測装置においては、非常に短時間に計測作業が終了するため、この計測作業を2回以上連続して行うことにより、放射線検出部の輝尽性蛍光体内部に蓄積された放射線信号を読み出すことを目的としている。放射線検出部の長さが100mの場合、1μs以下の時間で終了する。このため、輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を読み出すパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射する際、パルス励起光を1000回繰り返し照射しても1msでデータを収集することができる。レーザー光の光出力に依存してこの回数を決定することができる。積算した蛍光強度の時間分布をもとに放射線計測場所の入射放射線量の分布を精度良く求めることができる。
【0051】請求項21について図24を参照して説明する。本実施例では、2つ以上の放射線計測場所に放射線検出媒体として輝尽性蛍光体を配置し放射線を計測することを目的とする。配置した輝尽性蛍光体のそれぞれに励起光を照射するために用いる光ファイバと、配置した輝尽性蛍光体と、励起光を照射した際輝尽性蛍光体から放出される輝尽性蛍光及び即発蛍光の蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、放出される輝尽性蛍光及び即発蛍光を検出するために使用する蛍光波長に有感な1本以上の波長シフトファイバを積層した構造の放射線検出部を用いる。輝尽性蛍光体のそれぞれに励起光を照射するために、それぞれ光ファイバを用い多チャンネル励起光源からレーザー光を入射する。計測位置の設定は制御装置を用いて選択でき、1本の波長シフトファイバにより香が輝尽性蛍光を読み取る。信号処理は励起光源制御信号と同期しながら行い、光電子増倍管、高速パルス信号増幅器、波高弁別器、計数回路及び制御装置からなる従来装置で行うことができる。
【0052】請求項22の実施例を図25を参照して説明する。本実施例は、従来法としてある、輝尽性蛍光体を励起可能な波長の光を発生する励起光源と、励起光源から出力された励起光をシート状の輝尽性蛍光体に長方形状にする励起光照射機構と、シート状の輝尽性蛍光体と、輝尽性蛍光の波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、輝尽性蛍光により励起可能な波長シフト光ファイバを面状に並べた構造の波長シフター束と、波長シフト光ファイバにより波長シフトされた蛍光の波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタと、波長シフト光ファイバ束の各波長シフト光ファイバ毎に放出される蛍光をマルチチャンネルで検出可能な光検出器と、マルチチャンネルの検出器信号を処理しデジタル化し放射線イメージ画像として構成する信号処理装置から構成されるシート状輝尽性蛍光体(イメージングプレートとして市販されている)の放射線画像読み出し装置の改良である。励起光源から出力された励起光をシート状の輝尽性蛍光体に長方形状に照射するために、従来法の替わりに、側面から光を放射する機能を持つ光ファイバをシート状の輝尽性蛍光体の表面に波長シフト光ファイバ束に直角に面状に並べ、各側面から光を放射する機能を持つ光ファイバに励起光源から順に励起光を入射する。この発明により、励起光を照射する機構が簡便になりシート状の輝尽性蛍光体に蓄積された放射線の量を位置情報を含めて読み出すことが容易にできる。
【0053】請求項23について図26を参照して説明する。本実施例では、請求項11―15の放射線計測方法及び放射線計測装置において述べた放射線検出部の波長シフトファイバの両端に出力される蛍光を蛍光の蛍光波長を中心波長とするバンドパス光学フィルタ通した後、請求項12で述べた蛍光検出機構の光検出器である光電子増倍管により検出する。この操作を行うことにより、放射線検出部の波長シフトファイバの両端に出力される蛍光を検出することになり、検出効率を約2倍とすることができる。
【0054】請求項24について図27を参照して説明する。本実施例は、請求項12の実施例で述べた放射線計測装置に、請求項1の放射線計測方法を適用した例である。小型であり計測距離長くすることが可能な放射線検出部に、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を切り換えて検出することにより入射した放射線の量を計測する放射線計測方法と短時間に入射した強度の強い放射線の量を読み出すことが可能な放射線計測方法とを付加することにより高機能な放射線計測装置とすることができる。
【0055】請求項25の実施例を図28を参照して説明する。本実施例は、上記請求項24の放射線計測装置の輝尽性蛍光の信号読み出し方法として、従来のパルス計数方法から本発明の請求項5の信号読み出し方法を適用した例である。放射線検出部として、側面から光を放射する光ファイバ束、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体、蛍光波長を中心波長とする光学フィルタ、輝尽性蛍光に有感な波長シフト光ファイバ束の順に平面状態に積層した構造の検出部を用いる。この放射線検出部を用いて、輝尽性蛍光体に、励起光の照射により入射した放射線量に依存して放出する輝尽性蛍光と入射した放射線による即発蛍光の2つの作用があることを利用して、時間分割で輝尽性蛍光と即発蛍光を切り換えて検出する微分積分型放射計測装置を構成する。時間分割で、高強度放射線による蛍光検出機構の飽和を飽和監視回路により監視し、飽和状態の回復後に、短時間に入射した大強度の放射線量を輝尽性蛍光を用いて読み出す。
【0056】この際、輝尽性蛍光体に照射する励起光の光量を変更し、蛍光検出機構に飽和のない状態で、放射線量を計測する。放射線量の読み取りには、短い時間幅を持つパルス励起光を輝尽性蛍光体に照射し、放出される輝尽性蛍光を光検出器で検出し、電荷有感型前置増幅器で増幅し、パルス整形増幅器で波形整形した後、アナログデジタル変換器により波高値をもとにデータ収集処理回路によって輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線量を求める。
【0057】請求項26について図29を参照して説明する。本実施例は、上記請求項24の放射線計測装置の放射線検出媒体である輝尽性蛍光体の代わりに、中性子を電離可能な放射線に変換する中性子コンバータ材であるGdを含ませた中性子イメージングプレート(富士写真フィルム製BAS―NDシリーズ中性子イメージングプレート)を用いた例である。本実施例のように中性子コンバータ材を輝尽性蛍光に混合した放射線検出媒体を用いることにより本発明の上記実施例で述べた機能を持った中性子を計測できる放射線計測装置を構成することができる。
【0058】請求項27について図30を参照して説明する。本実施例は、上記請求項24の実施例で述べた放射線計測装置に、放射線検出媒体である輝尽性蛍光体の輝尽性蛍光の放出特性及びフェーディングと呼ばれている時間とともに輝尽性蛍光体内から放射線信号が徐々に消えてゆく現象が温度に依存してかわることに着目し、輝尽性蛍光体の温度を温度センサと温度検出回路を追加して測定する。この測定した温度をもとに、データ収集・処理回路により、励起光の照射により計測される輝尽性蛍光体内に蓄積された放射線の量を補正し、放射線検出部の温度が変わっても精度良く放射線の量を計測することができる。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上に説明したように構成されているので以下に記載されるような効果を奏する。
【0060】時間分割で計測した輝尽性蛍光及び即発蛍光の計測結果から入射した放射線の量を実時間で求めることにより、非常に弱い放射線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーし、かつ瞬時に発生する大強度放射線・中性子線による放射線量を測定することができる。
【0061】短い時間幅の励起光を輝尽性蛍光体に照射し、輝尽性蛍光寿命が短いことを利用して従来の放射線検出系を用いて信号処理を行うことができる。側面から光を放射する光ファイバを用いることにより、簡便にかつ遠隔操作で輝尽性蛍光体に励起光を照射することができ、レーザー光源等の光源を放射線線量の強い場所に設置する必要がなくなり、かつ小型の励起光照射機構を構成することができる。
【0062】輝尽性蛍光及び即発蛍光の蛍光波長に有感な波長シフトファイバを並列に並べて検出面積を確保しかつ輝尽性蛍光を検出可能とすると共に、光電子増倍管等の光検出器を放射線線量の強い場所に設置する必要をなくすることができる。
【0063】並列に並べた波長シフトファイバと側面から光を放射する光ファイバとを併用し輝尽性蛍光体及び光学フィルタをサンドイッチ構造にはさんで積層構造とすることにより、小型で色々な検出形状の放射線検出部を構築することができる。
【0064】上記の積層構造の検出部を長く伸ばし、側面から光を放射する光ファイバに極めて短いパルス幅を持つ励起光を入射し、その短パルス幅励起光が伝搬し輝尽性蛍光体に照射され、放出される輝尽性蛍光を波長シフト光ファイバを並べた波長シフト光ファイバ束により検出することにより、長い距離にわたる放射線線量の位置分布計測ができる。
【0065】輝尽性蛍光体に中性子を電離可能な放射線に変換するGd等の中性子コンバータ材を含み、あるいは混合し、あるいは組み合わせた中性子用検出体を用いることにより、中性子を検出する放射線計測装置とすることができる。
【0066】上記の放射線計測装置及び及び計測法を用いることにより、非常に弱い放射線量から非常に強い放射線線量までの広いダイナミックレンジを1つの検出器でカバーし、かつ瞬時に発生する大強度放射線・中性子線による放射線量を測定可能とすることにより、加速器等の周辺あるいはターゲット周辺で瞬時に発生する大強度放射線・中性子線あるいは原子炉施設等の不測の事故などにより発生する大強度放射線・中性子線による放射線量を簡便に、感度良く、精度良く測定することができる。




 

 


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