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発明の名称 相変化光ディスク製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−103165(P2000−103165A)
公開日 平成12年4月11日(2000.4.11)
出願番号 特願平10−273289
出願日 平成10年9月28日(1998.9.28)
代理人 【識別番号】100078994
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2H111
5D029
5D121
【Fターム(参考)】
2H111 EA04 EA12 EA23 EA31 EA32 FA01 FA02 FB08 FB09 FB12 FB15 FB17 FB24 FB30 GA01 
5D029 JA01 JB36 JB37 JC18
5D121 AA01 EE03 EE14
発明者 木下 幹夫 / 針谷 眞人
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 Sb及びTeを必須元素として、Ib族元素、Vb族元素、及びVIb族元素を有する相変化記録材料を記録層とする相変化光ディスクの製造方法において、該記録層形成方法が膜厚方向で平均化された元素濃度に面内分布を持たせ、かつ、該記録層形成方法が、該記録層の膜厚方向で平均化された原子比率での組成を(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)と表す組成式において、Vb元素の組成を表すxが、該記録層の記録領域全面にわたり0.72≦x+2a<0.82を満たす範囲とすることを特徴とする相変化光ディスク製造方法。
【請求項2】 請求項1において、内周部から外周部にかけてAg及び/またはAu濃度が連続的に減少することを特徴とする光記録媒体形成方法。
【請求項3】 請求項1または2において、記録層が(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)と表す組成式で表され、Vb元素の組成を表すxが、0.72≦x+2a<0.82の範囲にあり、かつ、全面にわたる該x+2aの値が、±0.02以内の均一性を有することを特徴とする相変化光ディスク製造方法。
【請求項4】 Sb,Teを必須元素として、Ib族元素、Vb族元素、及びVIb族元素を有する相変化記録材料を記録層とする相変化光ディスクの製造方法において、記録層製造工程が、Ag及び/またはAu濃度の異なる複数の層から成る積層構造のAg−Sb−Te記録層形成工程から成り、かつ、該Ag及び/またはAu濃度の異なる層のそれぞれが、該それぞれの記録層の膜厚方向で平均化された原子比率での組成を(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)と表す組成式において、Vb元素の組成を表すxが、該記録層の記録領域全面にわたり0.72≦x+2a<0.82を満たし、かつ、該積層横造の記録層の中の少なくとも1つの記録層の膜厚に面内分布を持たせることを特徴とする記録層製造工程を有することを特徴とする相変化光ディスク製造方法。
【請求項5】 請求項4において、Ag濃度の高いAg−Sb−Te記録層をAg(25at.%)Sb(25at.%)Te(60at.%)の組成を有する記録層とし、かつ、該Ag(25at.%)Sb(25at.%)Te(50at.%)の組成を有する記録層の膜厚に面内分布を付加することを特徴とする相変化光ディスク製造方法。
【請求項6】 請求項1、2、3、4または5において、記録層の全膜厚を全面で一定とすることを特徴とする相変化光ディスク製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型光記録ディスクなど、光ビームを照射することにより記録層財料に光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ書換えが可能な相変化光ディスク製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザービームの照射による情報の記録、再生および消去可能な光記録媒体の一つとして、結晶−非結晶相間、あるいは結晶−結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化光記録媒体がよく知られている。これは単一ビームによるオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系もより単純であることを特徴とし、コンピュータ関連や映像音響に関する記録媒体として応用されている。
【0003】その記録材料の一つとして(SbxTe1-x)Myの組成式のものが、特開平1−277338号公報に開示されている。ここで、Mは、Ag,Al,As,Au,Bi,Cu,Ga,Ge,In,Pb,Pt,Se,Si,Sn及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素で、組成範囲は0.4≦x<0.7、かつ、y≦0.2である。この組成範囲の構造はSb2Te3をベースとしたものである。この構造の記録層の場合、yが0.7以上の領域で、繰り返し記録特性に問題があった。また、類似の材料系で(SbxTe1-xa1-aの組成式(MはAu,Ag,Cuのうち、少なくとも1つの元素)で表される相変化記録材料が、特開平9−71049号公報に開示されている。この組成範囲は0<x<0.9かつ、0<a<1であり、その構造はSb2Te3+Sbである。
【0004】このSb2Te3−Sb擬2元系の共晶組成近傍では、SbとSb2Te3では結晶化速度に差異があり、アモルファス化部と結晶化部の境界が、SbとSb2Te3の粒界の影響で乱れを生じやすい。このためCD−RW等比較的低い記録密度の媒体への応用は可能であるが、DVD−RAM、あるいは、DVD−ROMと同等以上の高記録密度では、良好な記録特性を得ることは困難であった。
【0005】即ち、Sb−Te−M系では、SbTe3、Sb2Te3+Sbの構造をべースとして、Ag,Al,As,Au,Bi,Cu,Ga,Ge,In,Pb,Pt,Se,Si,Sn及びZnを添加元素として、非晶質状態の安定性や高速消去特性、あるいは繰り返し記録特性が改善された記録材料が使用されるのみであった。このように、Sb−Te−M系の記録材料で、空間群Fm3mに属する単数又は複数の準安定結晶相を有する記録媒体に関する知見は従来無く、さらに、この準安定結晶相が存在可能で、繰り返し記録時の熱衝撃に対し、耐久性を持った組成領域を明確にした従来技術は無かった。このため、準安定結晶相を有する記録層の組成と繰り返し記録との関係、あるいは組成と結晶構造との関係、そして、結晶構造と繰り返し記録特性との関係は明確ではなく、高記録密度、例えばDVD−RAMやDVD−ROMと同等以上の記録密度を有し、良好な記録特性を有する光記録媒体は従来無かった。また、繰り返しが良好な組成領域と記録線速との関係も従来明確ではなかった。
【0006】そして、繰り返し記録特性を悪化させることなく結晶化速度を制御するための組成に関する知見も従来無く、CAV記録、あるいはMCAV記録など、記録線速が場所により変化する光ディスクにおいて、高記録密度で全面にわたり繰り返し記録特性が良好な相変化光ディスクの製造方法は従来無かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、CAV記録、あるいはMCAV記録メディアなど、記録線速が場所により異なり、ランダムアクセス性に優れた相変化光ディスクにおいて、幅広い記録線速領域における記録密度、繰返し記録特性に優れた高記録密度相変化光ディスクの製造方法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の相変化光ディスク製造方法は、Sb,Teを必須元素として、Ib族元素、Vb族元素、及びVIb族元素を有する記録層形成プロセスを有しているが、これは記録層の膜厚方向で平均化された元素濃度に面内分布を持たせ、かつ、この記録層形成プロセスが、該記録層の膜厚方向で平均化された原子比率での組成を(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)と表す組成式において、Vb元素の組成を表すxが、該記録層の記録領域全面にわたり0.72≦x+2a<0.82を満たす範囲とすることを特徴としている。特に、Ib族元素としてはAg、Cu及び/又はAu、Vb族元素としてはSb、As及び/又はBi、VIb族元素としてはTe、S及び/またはSe系の記録材料で、記録層が単数又は複数の結晶相とアモルファス相との間の相転移において光学的性質が変化するものである。面内分布を設ける方法としては、組成に面内分布を有するスパッタリング法を使用する、あるいは、請求項4に記載するように、組成の異なる多層膜を形成し、その多層膜の少なくとも1層の膜厚を面内方向で変化させる方法などがある。
【0009】本発明の第2は、本発明の第1において、内周部から外周部にかけてAg及び/またはAu濃度が連続的に減少する記録層形成プロセスを有することを特徴としている相変化光ディスク製造方法である。本発明の第3は、本発明の第1または2において、記録層の組成を(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)と表す組成式において、Vb元素の組成を表すxが、0・72≦x+2a<0.82の範囲にあり、かつ、全面にわたる該x+2aの値が、±0.02以内の均一性を有する記録層形成プロセスを有することを特徴とする相変化光ディスク製造方法である。
【0010】本発明の第4は、Sb,Teを必須元素として、Ib族元素、Vb族元素、及びVIb族元素を有する相変化記録材料を記録層とする相変化光ディスクの製造方法において、記録層製造プロセスを有している。この記録層製造プロセスは、Ag及び/またはAu濃度の異なる複数の層から成る積層構造の記録層形成工程から成る。
【0011】このAg及び/またはAu濃度の異なる層のそれぞれは、それぞれの記録層の膜厚方向で平均化された原子比率での組成を(Ib)a(Vb)X(VIb)(1-a-x)と表す組成式において、Vb元素の組成を表すxが、該記録層の記録領域全面にわたり0.72≦x+2a<0.82を満たし、かつ、該積層構造の記録層の中の少なくとも1つの記録層の膜厚に面内分布を持たせることを特徴とする記録層製造工程を有することを特徴としている。
【0012】本発明の第5は、本発明の第4において、Ag濃度の高いAg−Sb−Te記録層をAg(25at.%)Sb(25at.%)Te(50at.%)の組成を有する記録層とし、かつ、このAg(25at.%)Sb(25at.%)Te(50at.%)の組成を有する記録層の膜厚に面内分布を付加することを特徴としている。本発明の第6は、本発明の第1、2、3、4または5において、記録層の全膜厚を全面で一定とすることを特徴としている。
【0013】以上の本発明の初期結晶化において、初期結晶化工程により析出する結晶相が空間群Fm3mに属する準安定結晶相を含むことが好ましい.準安定結晶相は、Sb及びTeを必須元素として、Ib−Vb−VIb固溶体、Vb−VIb固溶体、(Vb)3(VIb)結晶相の中の少なくとも一つである。上記の諸準安定結晶相の具体的な材料としては、例えば、Ag−Sb−Te系においては、Ag−Sb−Te固溶体、Sb−Te固溶体、Sb3Teの中の少なくとも1つである。これらの準安定結晶相は、空間群Fm3mに属し、格子定数が0.62±0.02nmの結晶相、あるいは、このFm3mの結晶中の元素が規則化した長周期の結晶相のいずれかである。これらの準安定相が存在する領域は、上記組成式で、4a<1の条件が成立する領域である。このため、レーザービーム照射による溶融初期化など、準安定結晶相析出に適した初期化方法が採用される。
【0014】
【作用】Sb,Teを必須含有元素とするIb族元素−Vb族元素−VIb族元素から成る記録材料の結晶相に出現可能な相としては、単体や2元、3元系の化合物や合金相・固溶体があるが、中でもIb−Vb−VIb、Vb−VIb、Vb、例えば、AgSbT2、準安定Sb3e、準安定Sb−Te固溶体、Sb2Te3、Sbが出現しやすい。この中で、AgSbTe2、準安定Sb3Te、準安定Sb−Te固溶体等、一般式IbVbVIb2、準安定Vb3VIb、準安定Vb−VIb固溶体、準安定Ib−Vb−VIb固溶体、で表される結晶の樺造は空間群Fm3mに属し、格子定数も0.6〜0.64nmの近傍にあるため、これらの結晶相は互いに格子整合関係にある。まず、記録層の結晶化部が単相の準安定Ib−Vb−VIb固溶体のみからなる場合、粒界が存在しないか、仮に結晶粒界が存在したとしても、この結晶粒界は比較的良好な格子接合となっており、結晶粒界に大きな空隙は存在せず、熱伝導率にムラも生じ難い。この場合には光ビームの強度分布と時間的プロファイルを忠実に反映した滑らかなアモルファス化部−結晶化部の境界が得られ、高密度記録領域で良好なジッタ値が得られる。この準安定相の記録時の熱衝撃に対する安定性が高い組成領域は、(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)記録層の組成が0.72≦x+2a<0.82、かつ、4a<1を満たす場合であって、これは、上記準安定Ib−Vb−VIb固溶体が仮に第1の相転移を起こし、混相状態となった場合でも、上述した互いに格子整合関係にある準安定相を含む複数の結晶相となるため、なお比較的良好な記録特性を維持する組成領域でもある。なお、複数の結晶相間、例えば、Ib−Vb−VIb安定結晶相とVb−VIb準安定結晶相では、結晶化速度に差異があるため、主要部は準安定相が占めることが好ましく、上記組成式で、a≦0.09の範囲が好ましい。特に、Ag−Sb−Te系の記録材料で、4a=1として、準安定相が存在し難い組成領域では、結晶化速度が遅く、通常の記録線速領域では良好な特性は得られない。そして、従来技術におけるように、記録層の結晶化部が格子整合関係にない複数の結晶相からなる場合、結晶粒界での面の整合性が良くない場合には、粒界に空孔や偏析が生じ、この粒界部分で熱伝導率にムラが生じる。さらに結晶化速度は一般的に粒毎に異なるため、結晶−アモルファス部分の境界もこの結晶粒界を反映したものとなりやすく、アモルフアス化部−結晶化部の境界に乱れが生じ、高記録密度領域では良好な特性が得られない。また、結晶粒径を数nmのオーダーの微結晶にした場合には結晶粒界の滑らかさは得られるが、なお、高記録密度の実現には問題が残る。そして、互いに格子整合関係に無い粒界面では、界面部分の歪みや界面エネルギーが増加し、結晶化速度の低下や粒界からの腐食など好ましくない効果も生じるため、結晶粒の微細化は高記録密度には適さない。一方本発明においては、記録層の結晶化部が複数の結晶相からなる場合で有っても、生成する結晶相は同一の空間群に属し、格子定数も近接するため、粒界は単相の場合と同様な良好な接合となっている。このため結晶化速度に差異はあるものの、熱伝導の不均一性は比較的小さく、単相の場合に準じた記録特性を有している。
【0015】本発明による光ディスクの初期結晶化では、準安定相の析出に適した初期化方法、例えば、レーザービームによる初期化方法などが採用される。特に好ましい構造は、(Ib)a(Vb)x(VIb)(1-a-x)準安定固溶体単相である。
【0016】(Ib)−(Vb)−(VIb)系記録層の結晶化速度には組成依存性がある。上記組成式の成立する範囲で、記録層中のIb族元素やVIb族元素の濃度が増えるほど低記録線速側に好適な記録層となり、Vb族元素の濃度が増えるほど、高記録線速に好適な記録層組成となる。この結晶化速度と組成との間には一定の対応関係がある。特にAg、Au、あるいはAg+Auの濃度は結晶化速度に大きな影響を与える。即ち、Ag+Au濃度が増えるほど、結晶化速度が遅くなる。
【0017】この組成・記録線速と繰り返し記録回数との関係を、図1の構造を有する光記録媒体について調べた結果を表1に示す。図1は、本発明で使用可能な光記録媒体の層構成の一例を示す概念図であるが、案内溝を有するポリカーボネイト基板1上にZnS・SiO2からなる第1保護層2、この第1保護層上のAg−Sb−Te記録層3、この記録層上のZnS・SiO2からなる第2保護層4、この第2保護層上のAl−Ti反射放熱層5、この反射放熱層上の紫外線硬化樹脂からなる環境保護層6が積層されている。記録記録ストラテジ(記録時のLDの発光パターン)はCD−RWで採用されているものを使用した。また、記録可能回数は、ウィンドウ幅Twで規格化したジッタの値σ/Twが13%を上回らない最大繰り返し記録回数で判定したものである。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】
【表4】

【0022】表1で、記録可能回数が1000回以上が確認された記録線速は、Ag濃度0.08に対しては1〜2m/s、Ag濃度0.07に対しては1〜3m/s、Ag濃度0.06に対しては1〜4m/s、Ag濃度0.05に対しては1〜6m/s、Ag濃度0.03及び0.04に対しては2〜8m/s、Ag濃度0.02に対しては3〜8m/s、Ag濃度0.01に対しては4〜8m/s、Ag濃度0.005に対しては6〜8m/sとなる。即ち、記録線速1〜2m/s、2〜3m/s、3〜4m/s、4〜6m/s、6〜8m/sに対応するAg濃度は、それぞれ、0.05≦a≦0.08、0.03≦a≦0.07、0.02≦a≦0.06、0.01≦a≦0.05、0.005≦a≦0.04の範囲である。Agの一部又は全部をAuに置換しても同様な結果が得られる。
【0023】なお、表1の記録層の初期結晶化は、記録層17を除き、レーザービーム照射により行った。記録録層17の初期結晶化はランプアニールにより行った。記録層10〜16の結果から、上述した組成式0.72≦x+2a<0.82の成立する範囲が繰り返し記録周数が良好な範囲であるといえる。繰り返し記録特性の全面にわたる均一性を確保する上では、パラメータx+2aの値が一定であることが好ましく、特に、請求項3に記載のように、この値が±0.02であることが好ましい。なお、本発明と同一の組成を有する記録層であっても、記録層17では、準安定相が分解した場合の析出物であるSbやSb2Te3等の析出が起こり、高記録密度には不適となる。準安定相は長時間の高温アニールにより安定相へ相分離する。
【0024】これ以外の線速の調整方法としては、上記のように、Sb濃度を増大させる、あるいは、Te濃度を減少させる方法があり、記録線速の高い領域では、In、Sbの濃度を増加させ、Te濃度を減少させる記録層形成方法がある。繰り返し記録特性が問題とならない記録媒体の場合にはSb−Teの組成を面内で変化させても良い。
【0025】以上の知見を踏まえた本発明による上記光記録媒体の製造では、所定の記録線速の面内分布に応じ、組成の面内分布の精度良い調整が要求される。このため記録層製造工程は上述した組成式0.72≦x+2a<0.82が成立する記録層製造工程が採用される。特に、内周部の記録線速が遅いCAVやMCAV記録に対応する光記録媒体の製造では、請求項2に記載のように、内周部のAg及び/またはAu濃度を外周部と比較し高くする製造方法となる。
【0026】また、記録層を組成が互いに異なる多層構造とする製造方法も可能である。この場合請求項4に記載のように、少なくとも1つの膜厚に周内分布を持たせる記録層製造プロセスとなる。即ち記録線速が遅い領域でのAg及び/またはAu濃度が高い記録層の膜厚を厚くする、あるいはAg及び/またはAu濃度が低い記録層の膜厚を薄くすれば結晶化速度と記録線速とのマッチングを取ることができる。
【0027】最終的な膜厚方向で平均化したAg濃度を上述した9at.%以下とする場合には、Agリッチな記録層の膜厚を変化させる方が、全膜厚の面内変動が小さく、反射率の面内分布を抑制する上で好ましい。この場合、請求項5に記載のように膜厚の面内分布を変化させる記録層をAg(25at.%)Sb(25at.%)Te(50at.%)の組成を有する記録層とすれば、記録層の全膜厚の面内分布が比較的小さく、モジュレーションや反射率の面内分布を抑制する上で適度なものとすることができる。なお、記録層の組成変動に起因する光学定数の面内分布や、基板の溝形状の面内分布による影響を相殺する上で、わずかに全膜厚を面内で変化させることも可能である。更に、請求項6に記載するように、記録層の全膜厚を全面で一定とすることもモジュレーションや反射率の面内分布を高度に抑制する効果がある。
【0028】
【発明の実施の形態】表2は、上記図1の構造を有する光記録媒体の組成に半径方向の分布を設けた場合の繰り返し記録回数と記録層の組成・初期化後の結晶構造との関係を比較例とともに調べたものである。
【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】
【表7】

【0032】実施例1では、Ib元素であるAg濃度に半径位置に依存する組成勾配を設け、これに応じ、繰り返し記録回数が最適となるように、Vb族元素であるSb及びVIb族元素であるTe濃度に勾配を持たせている。記録層の形成方法は枚葉式スパッタ法で、組成に面内分布のあるスパッリングターゲットを使用したこれにより900rpmでのMCAV記録において、全面にわたる高繰り返し記録が可能となる。実施例2では、1200rpmでのMCAV記録に対応するもので、Ag及びAu濃度に勾配がある。さらにVb族元素としてBiが、VIb族元素としてSeが添加されている。やはり全面にわたる記録特性が良好である。実施例3は600rpmのMCAV記録に対応するものであるが、Ib元素はAuのみである。
【0033】比較例1は、組成に濃度分布を持たせない湯合の繰り返し記録特性で、最適記録線速が確保される半径位置では繰り返し記録特性は良好であるが、これより内周側では記録(アモルファス化)が困難となり、外周側では消去(結晶化)が困難となり、全面にわたる均一な繰り返し記録特性は得られない。表3に示す比較例2は、Ag−Sb−Te系の結晶化速度に影響を与えるSb濃度に勾配をもたせた場合、即ち、(Ag−Sb−Te)1−γ(Sb)γと表される組成式で、γの値を変化させ、結晶化速度を最適化した場合の繰り返し記録特性を示す。組成式0.72≦x+2a<0・82の範囲から逸脱するにつれ、急激に繰り返し記録回数が悪化する。
【0034】即ち、組成条件0.72≦x+2a<0.82は準安定相の安定条件を示す本発明に固有のパラメータであるといえる。特に、不純物の影響が無い場合の繰り返し記録回数が良好な条件は、x+2a=0.76である。また、この条件はその他の特性、例えば、オーバーライトシェルフ等の保存特性が良好な条件とも一致する。
【0035】
【表8】

【0036】一方記録層に不純物、例えば、C,B,N,Pb,Sn,Zn、遷移金属元素等を添加する場合、不純物の結合状態や保護層界面部分での備析の状態により上記最適条件x+2a=0・75は若干シフトする。例えば、記録層に窒素を添加する場合は、x+2a>0.75となる。しかし不純物が概ね5at.%以下の微量である場合には本発明に該当する。
【0037】不純物が無添加の場合や不純物の添加量の面内分布が無い場合には、全面にわたる良好な繰り返し記録特性を維持する上で、パラメータx+2aの値を一定とすることが特に好ましく、このパラメータx+2aの値を全面にわたり±0.02以内とすることが好ましい。
【0038】記録層の組成に面内分布を設ける手段としては、上記以外に、請求項4に記載するように、組成の異なる記録層を積層させ、この少なくとも1層の膜厚に所定の面内分布をもたせることにより記録層全体としての組成に面内分布を設けることができる。この場合は均一な組成のターゲットを使用可能で、ターゲットのコスト低下や、組成分布のあるターゲットの場合に生じるエロージョンの進行に起因する膜の組成分布の経時変化が生じにくい。この積層横造の記録層は溶融初期化による拡散により膜厚方向で均一な組成を有する結晶相を得ることができる。特に、Ag濃度の大きな記録層として、AgSbTe2を用い、この膜厚に面内分布を設ける方法は、Ag濃度の低い本発明での記録層形成に適する。図2に、Ag(28at.%)Sb(25at.%)Te(50at.%)の組成を有する記録層31とSb3Te記録層32を積層させた記録層3を使用する初期結晶化前の実施例の断面を示す。その他の部材は図1と同様である。初期結晶化前の記録層の構造は2層であるが、溶融状態を経た初期結晶化により記録層31と記録層32は相互に拡散し、実質的に均一な記録層3となる。表4に、記録層31及び記録層32の膜厚分布の一例を示す。単層の記録層の場合と同様な記録特性を得ることができる.反射率の周内分布の向上のため、この分布を調整することも重要である。
【0039】
【表9】

【0040】
【表10】

【0041】なお、本発明に使用される光記録媒体の層横成は上記に限定されず、公知の光記録媒体の任意の構造が可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明は上記のごとくなしたが故に以下の効果が生じた。第1に、CAV記録対応の光ディスクなど、記録線速が場所により変化する光ディスクの高記録密度での繰り返し記録回数が向上した相変化光ディスクの製造方法が実現された。第2にCAV対応の光ディスクにおいて、全面にわたる繰り返し記録特性の均一性が向上した光ディスクの製造方法が実現した。




 

 


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