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発明の名称 遮音構造体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−71844(P2000−71844A)
公開日 平成12年3月7日(2000.3.7)
出願番号 特願平10−250008
出願日 平成10年9月3日(1998.9.3)
代理人 【識別番号】100077610
【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 豊
【テーマコード(参考)】
2E001
3B088
3D023
4F100
5D061
【Fターム(参考)】
2E001 DF02 DF04 FA00 GA23 GA29 HA31 HB01 HD11 JA29 
3B088 FB04 FB06 FC01
3D023 BA01 BA02 BA03 BB12 BB17 BC01 BD04 BD12 BE04 BE07 BE31
4F100 AB01D AB03 AD11B AK01A AK19A AK41C AR00A AR00B AR00E AT00C BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10B BA10C BA13 DG11B DG11C DG16E EC03B EJ61A GB07 GB32 JB16B JG01B JG04B JG10A JH01 JH01E JH02E JL03 YY00B
5D061 AA06 AA16 AA22 AA23 AA40 BB40 CC12 DD06
発明者 諸 星 勝 己 / 河 田 強 / 根 本 好 一 / 伊 藤 仁
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 遮音を目的とする構造体において、圧電性を有する圧電層と該圧電層の少なくとも片側に積層した導電性を有する導電層との積層構造が前記構造体の表面および/または内部に設けられていることを特徴とする遮音構造体。
【請求項2】 導電層の体積固有抵抗が10〜10000Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の遮音構造体。
【請求項3】 圧電層と導電層との積層構造がポリエステル繊維を主成分とする布製吸音材の表面および/または内部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の遮音構造体。
【請求項4】 導電層が炭素繊維を主成分とする布であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の遮音構造体。
【請求項5】 導電層が熱可塑性樹脂からなる融着繊維と炭素繊維を主成分とする布であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の遮音構造体。
【請求項6】 圧電性を有する圧電層が樹脂製のフィルムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の遮音構造体。
【請求項7】 圧電性を有する圧電層がポリフッ化ビニリデン樹脂成形物にポーリング処理を施したものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の遮音構造体。
【請求項8】 圧電層と導電層との積層構造を2組以上有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の遮音構造体。
【請求項9】 金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製のパネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されていることを特徴とする車両のフロア用遮音構造体。
【請求項10】 金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されていることを特徴とする車両のフロア用遮音構造体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車フロア部の遮音構造体、自動車ダッシュ部の遮音構造体、各種建築構造物の遮音壁などの遮音構造体等々に適用される遮音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車などの車両、建築構造物等における遮音構造体には、吸音材と金属あるいは樹脂からなる板状材料とを組み合わせたものが多く用いられてきた。この代表的なものとして、例えば、特開平7−223478号公報に開示されているような、金属製のパネルの上に不織布繊維からなる吸音材を積層し、さらに樹脂製のバッキング材が積層された構造としたものを挙げることができる。
【0003】この遮音構造体は、吸音材の層と、樹脂製のバッキング材等によるマスの効果によって吸音および遮音性能を高めたものであり、このメカニズムは、吸音性能については繊維と空気との摩擦による熱損失であり、遮音性能については通気をなくすこととマスによる防振性の向上である。
【0004】従って、上記のような構造のものにおいて遮音性能を高めるためには、吸音材の密度を高めること、密度は一定のまま嵩を上げること、その両方の密度を高め且つ嵩を高めること、および/またはバッキング材の重量を増加すること、等が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような手法の下では大幅な重量の増大や占有体積の増加を招いてしまうこととなり、特に自動車においては、近年、重量増加による燃費増大の問題、遮音材の占有体積の増加による車室空間の減少などといった問題を招くことにもなりかねず、このような手法による弊害は大きな支障となっている。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、吸音性能・遮音性能を低下させることなく、自動車や建築構造物等を構成する遮音構造体の重量と占有体積を低減することができる高効率の遮音構造体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく遮音構造体について鋭意検討した結果、軽量・省スペースにして吸音性能・遮音性能を十分確保することができる遮音構造体とこれに用いる材料を特定して本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明に係る遮音構造体は、請求項1に記載しているように、遮音を目的とする構造体において、圧電性を有する圧電層と該圧電層の少なくとも片側に積層した導電性を有する導電層との積層構造が前記構造体の表面および/または内部に設けられている構成のものとしたことを特徴としている。
【0009】そして、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項2に記載しているように、導電層の体積固有抵抗が10〜10000Ω・cmであるものとしたことを特徴としている。
【0010】そしてこの場合に、体積固有抵抗が10Ω・cmよりも小さいと圧電層によって変換された電気エネルギーの消費量が少なくなって振動を効率よく抑制することができがたくなる傾向となり、10000Ω・cmよりも大きいときにも圧電層によって変換された電気エネルギーの消費量が少なくなって振動を効率よく抑制することができがたくなる傾向となる。
【0011】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項3に記載しているように、圧電層と導電層との積層構造がポリエステル繊維を主成分とする布(織布・不織布)製吸音材の表面および/または内部に設けられているものとしたことを特徴としている。
【0012】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項4に記載しているように、導電層が炭素繊維を主成分とする布(織布・不織布)であるものとしたことを特徴としている。
【0013】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項5に記載しているように、導電層が熱可塑性樹脂からなる融着繊維と炭素繊維を主成分とする布(織布・不織布)であるものとしたことを特徴としている。
【0014】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項6に記載しているように、圧電性を有する圧電層が樹脂製のフィルムであるものとしたことを特徴としている。
【0015】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項7に記載しているように、圧電性を有する圧電層がポリフッ化ビニリデン樹脂成形物にポーリング処理を施したものであるようにしたことを特徴としている。
【0016】同じく、本発明に係る遮音構造体の実施態様においては、請求項8に記載しているように、圧電層と導電層との積層構造を2組以上有するものとしたことを特徴としている。
【0017】本発明に係る車両のフロア用遮音構造体は、請求項9に記載しているように、金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製のパネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されている構成のものとしたことを特徴としている。
【0018】同じく、本発明に係る車両のフロア用遮音構造体は、請求項10に記載しているように、金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されている構成のものとしたことを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る遮音構造体の実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】図1は本発明に係る遮音構造体のひとつの実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、炭素繊維製の吸音材(導電層)13を順次積層した構造をなすものである。
【0021】この図1に示すこの遮音構造体1では、遮音構造体1の内部に、圧電性を有する圧電層4と該圧電層4の両側に積層した導電性を有する導電層3,13との積層構造が設けられていることから、遮音構造体1に入力された振動は圧電層4によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層3,13の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体1から出力される振動を効率よく抑制することができ、結果的にカーペット2から発生する音を低減することができる。
【0022】図2は本発明に係る遮音構造体の他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、ポリエステル繊維製の吸音材5を順次積層した構造をなすものである。
【0023】この図2に示す遮音構造体1では、遮音構造体1の内部に、圧電性を有する圧電層4と該圧電層4の片側に積層した導電性を有する導電層3と該圧電層4の反対側に積層したポリエステル繊維製の吸音材5との積層構造が設けられていることから、遮音構造体1に入力された振動は圧電層4によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層3の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体1から出力される振動を効率よく抑制することができ、同時に、ポリエステル繊維製の吸音材5の動的に柔らかいばね特性と炭素繊維に比べて安価なポリエステル繊維の使用とにより、安価で効率の良い遮音構造体を提供することができる。
【0024】図3は本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、ポリエステル繊維製の吸音材5と、炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、ポリエステル繊維製の吸音材15を順次積層した構造をなすものである。
【0025】この図3に示すこの遮音構造体1では、遮音構造体1の内部に、圧電性を有する圧電層4と、該圧電層4の両側に積層した導電性を有する導電層3,13と、前記導電層3,13の各々反対側に積層したポリエステル繊維製の吸音材5,15との積層構造が設けられていることから、遮音構造体1に入力された振動は圧電層4によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層3,13の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体1から出力される振動を効率よく抑制することができ、同時に、ポリエステル繊維製の吸音材5,15の動的に柔らかいばね特性と炭素繊維に比べて安価なポリエステル繊維の使用とにより、安価で効率の良い遮音構造体を提供することができる。
【0026】図4は本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)14と、炭素繊維製の吸音材(導電層)23を順次積層した構造をなすものである。
【0027】この図4に示す遮音構造体1では、遮音構造体1の内部に、圧電性を有する圧電層4,14と、該圧電層4,14の両側に積層した導電性を有する導電層3,13,23との積層構造が設けられていることから、遮音構造体1に入力された振動は圧電層4,14によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層3,13,23の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体1から出力される振動を効率よく抑制することができ、且つ、2組の圧電層4,14を設けているためより遮音性に優れた構造体とすることができ、結果的にカーペット2から発生する音を低減することができる。
【0028】図5は本発明に係る遮音構造体のさらに他の実施の形態を示すものであって、この遮音構造体1は、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、ポリエステル繊維製の吸音材5と、炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)14と、炭素繊維製の吸音材(導電層)23と、ポリエステル繊維製の吸音材15を順次積層した構造をなすものである。
【0029】この図5に示す遮音構造体1では、遮音構造体1の内部に、圧電性を有する圧電層4,14と、該圧電層4,14の両側に積層した導電性を有する導電層3,13,23と、前記導電層3,23の反対側に積層したポリエステル繊維製の吸音材5,15との積層体が設けられていることから、遮音構造体1に入力された振動は圧電層4,14によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層3,13,23の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体1から出力される振動を効率よく抑制することができ、同時に、ポリエステル繊維製の吸音材5,15の動的に柔らかいばね特性と炭素繊維に比べて安価なポリエステル繊維の使用により、安価で効率の良い遮音構造体を提供することができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る遮音構造体によれば、前記遮音構造体の表面および/または内部に、圧電性を有する圧電層と該圧電層の少なくとも片側に積層した導電性を有する導電層との積層構造が設けられているものとしたから、遮音構造体に入力された振動は圧電層によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体から出力される振動を効率よく抑制することができるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0031】また、本発明の請求項2に係る遮音構造体によれば、導電層の体積固有抵抗が10〜10000Ω・cmであるものとすることにより、遮音構造体に入力された振動は圧電層によって電気エネルギーに変換され、さらに適度の体積固有抵抗を有する導電層の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体から出力される振動を効率よく抑制することができるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0032】さらに、本発明の請求項3に係る遮音構造体によれば、圧電層と導電層との積層構造がポリエステル繊維を主成分とする布製吸音材の表面および/または内部に設けられているものとすることにより、遮音構造体に入力された振動は圧電層によって電気エネルギーに変換され、さらに導電層の導通および電気抵抗によって消費することで、遮音構造体から出力される振動を効率よく抑制することができるとともに、ポリエステル繊維を主成分とする布製の吸音材を併用することで安価なものとし、且つまた、布製吸音材の動的に柔らかいばね特性によって、遮音構造体から出力される振動をさらに効率よく抑制することができるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0033】さらにまた、本発明の請求項4に係る遮音構造体によれば、導電層が炭素繊維を主成分とする布であるものとすることによって、導電層においても高い吸音特性を発現させることが可能となり、遮音構造体から出力される振動をさらに効率よく抑制することができるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0034】さらにまた、本発明の請求項5に係る遮音構造体によれば、導電層が熱可塑性樹脂からなる融着繊維と炭素繊維を主成分とする布であるものとすることによって、導電層においても高い吸音特性を発現させることが可能となるだけでなく、融着繊維と炭素繊維との混合比率を適切に選定することにより体積固有抵抗を所望のものにすることができ、設計を容昜とする効率の良い遮音構造体を作製できると共に、炭素繊維の使用量を低減することで安価な遮音構造体を提供することも可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0035】さらにまた、本発明の請求項6に係る遮音構造体によれば、圧電性を有する圧電層が樹脂製のフィルムであるものとすることによって、樹脂製であるが故に薄くすることができ、柔軟な圧電体になり得ることにより遮音構造体の取り扱いが容易になり、取り付け作業時等において作業性を高めることが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0036】さらにまた、本発明の請求項7に係る遮音構造体によれば、圧電性を有する圧電層がポリフッ化ビニリデン樹脂成形物にポーリング処理を施したものであるものとすることによって、樹脂製のフィルムが遮音構造体の取り扱い上において有利であることに加え、ポリフッ化ビニリデン樹脂が分子構造上圧電性を容易に帯びやすいことになるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0037】さらにまた、本発明の請求項8に係る遮音構造体によれば、圧電層と導電層との積層構造を2組以上有するものとなすことによって、さらに高い遮音性能を得ることが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0038】そしてまた、本発明の請求項9に係る車両のフロア用遮音構造体によれば、金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、金属製のパネルとカーペットとの間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとすることによって、遮音構造体の重量と占有体積をともに低減できる高効率の遮音構造体ないしは制振構造体を提供することが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0039】また、本発明の請求項10に係る車両のフロア用遮音構造体によれば、金属製のパネル、制振材および/または吸音材、カーペットが少なくとも積層されてなる積層体において、制振材および/または吸音材間の少なくとも1個所に請求項1ないし8のいずれかに記載の遮音構造体が積層されているものとすることによって、遮音構造体の重量と占有体積をともに低減できる高効率の遮音構造体ないしは制振構造体を提供することが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0040】
【実施例】本発明による遮音構造体の実施例について比較例と共に詳細に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0041】また、本発明の実施例および比較例においては、以下に示す要領で遮音特性を調べた。すなわち、矩形形状の試験用鋼板上に種々の材料からなる遮音構造体を貼設したものを用意し、これらの透過損失実験を行うことによって遮音特性を評価した。
【0042】この透過損失実験では、JIS A1416に制定されている同実験装置の縮小形状である図6に示す形状の実験装置を使用した。この実験装置31は、2つの残響箱32A,32Bと、これら2つの残響箱32A,32Bを区分し且つ試料を装着できる1つの隔壁33を持ち、片側の残響箱32Aには音源となるスピーカー34が装着されているとともに、2つの残響箱32A,32Bのそれぞれに音圧を計測するための音圧計35A,35Bが組み込まれているものとなっている。
【0043】そして、透過損失TL(dB)は、この2つの音圧計35A,35Bで計測された音圧値(dB)の差で算出され、具体的には、音圧計35Aで計測された音源(スピーカー34)側の音圧値I(dB)と、音圧計35Bで計測された音源を持たない側の音圧値O(dB)によって、式1として与えられる。
【0044】
【式1】TL(dB)=I(dB)−O(dB)
【0045】(比較例1)図7は本発明の比較例1に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体41は、W=300mmの鋼板46の上に、カーペット表部42Aとカーペット基部42Bからなるカーペット42と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材43と、圧電処理を施していないポリフッ化ビニリデン製フィルム(PVDF)44と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材53を積層した構造をなすものである。
【0046】そして、このような構造を有する比較例1の遮音構造体41において、鋼板46を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体41を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図10、12、14、15、16に示す値が観測された。
【0047】(比較例2)図8は本発明の比較例2に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体41は、W=300mmの鋼板46の上に、カーペット表部42Aとカーペット基部42Bからなるカーペット42と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材43と、圧電処理を施していないポリフッ化ビニリデン製フィルム(PVDF)44と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材53と、圧電処理を施していないポリフッ化ビニリデン製フィルム(PVDF)54と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材63を積層した構造をなすものである。
【0048】そして、このような構造を有する比較例2の遮音構造体41において、鋼板46を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体41を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図18、20に示す値が観測された。
【0049】(実施例1)図9は本発明の実施例1に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、W=300mmの鋼板(金属製のパネル)6の上に、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)13を積層した構造をなすものである。
【0050】そして、このような構造を有する実施例1の遮音構造体1において、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図10に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0051】(実施例2)図11は本発明の実施例2に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、W=300mmの鋼板6の上に、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、ポリエステル繊維製の吸音材5を積層した構造をなすものである。
【0052】そして、このような構造を有する実施例2の遮音構造体1において、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図12に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0053】(実施例3)図13は本発明の実施例3に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、W=300mmの鋼板6の上に、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、ポリエステル繊維製の吸音材5と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、ポリエステル繊維製の吸音材15を積層した構造をなすものである。
【0054】そして、このような構造を有する実施例3の遮音構造体1において、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図14に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0055】(実施例4)実施例3における炭素繊維製の吸音材(導電層)3および炭素繊維製の吸音材(導電層)13の体積固有抵抗をともに10000Ω・cmにした以外は実施例3と全く同一の遮音構造体として、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図15に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0056】(実施例5)実施例3における炭素繊維製の吸音材(導電層)3および炭素繊維製の吸音材(導電層)13の体積固有抵抗をともに10Ω・cmにした以外は実施例3と全く同一の遮音構造体として、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図16に示す値が観測され、比較例1に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0057】(実施例6)図17は本発明の実施例6に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、W=300mmの鋼板6の上に、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)14と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)23を積層した構造をなすものである。
【0058】そして、このような構造を有する実施例6の遮音構造体1において、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図18に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0059】(実施例7)図19は本発明の実施例7に係る遮音構造体を示すものであって、この遮音構造体1は、W=300mmの鋼板6の上に、カーペット表部2Aとカーペット基部2Bからなるカーペット2と、ポリエステル繊維製の吸音材5と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)13と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)14と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)23と、ポリエステル繊維製の吸音材15を積層した構造をなすものである。
【0060】そして、このような構造を有する実施例7の遮音構造体1において、鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図20に示す値が観測され、比較例2に比べて遮音性能がかなり向上していることが認められた。
【0061】(実施例8,比較例3)次に、実車のボディ鋼板に制振部材を貼設して、騒音レベルの実車評価を行った結果につき、実施例8および比較例3として説明する。なお、ここで使用した車両は、エンジン排気量2000ccのAT仕様であり、騒音レベルの測定は、2速固定でエンジン回転数が3000rpmとなる定速走行を行った際の耳元位置での音圧レベルを計測した。
【0062】まず、実施例8では、図13に示した実施例3の場合とほぼ同様に、フロアパネル(鋼板6)の上に、ポリエステル繊維製の吸音材(15)と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層13)と、圧電処理を施したポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層4)と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層3)と、カーペット(2)を順次積層した車両のフロア用遮音構造体を作製して、前記した測定方法により耳元位置での音圧レベルを計測したところ、図21に示す値が観測され、耳元位置での音圧レベルは比較例3に比べてより低いものとなっていた。
【0063】次に、比較例3では、前記実施例8の場合と若干同様に、フロアパネル(鋼板6)の上に、ポリエステル繊維製の吸音材(15)と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(13)と、圧電処理を施していないポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製のフィルム(4)と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(3)と、カーペット(2)を順次積層した車両のフロア用遮音構造体を作製して、前記した測定方法により耳元位置での音圧レベルを計測したところ、図21に示す値が観測され、耳元位置での音圧レベルは実施例8に比べてより高いものとなっていた。
【0064】(参考例1)図9に示した実施例1の場合と同様に、鋼板6の上に、カーペット2と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)3と、アルミニウム蒸着を行ったポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)製の圧電フィルム(圧電層)4と、1000Ω・cmの体積固有抵抗を持つ炭素繊維製の吸音材(導電層)13を積層した遮音構造体1を作製し、この遮音構造体1においてその鋼板6を図6に示した透過損失実験装置31の音源(スピーカー34)側に設置し、同遮音構造体1を隔壁33として透過損失TLを測定したところ、透過損失TLは図22に示す値が観測された。
【0065】図22に示す結果から理解されるように、アルミニウム蒸着を行った圧電材料を用いた場合、アルミニウム蒸着を行っていない圧電材料を用いた場合に比べて透過損失は小さくなり、効果が著しく小さいことが分かる。
【0066】以上、実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記の実施例だけに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内であれば、もちろん改変は可能である。特に、実施例8においては、本発明における遮音構造体が自動車用のフロア構造体である場合を例にとって説明したが、積層体による遮音構造であれば、フロア構造体に限らず、ダッシュボード等の自動車の他の部位や、その他の車両、建築構造物などにも応用可能であることはいうまでもない。
【0067】さらに、圧電材料については、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)が入手の容易さから最も望ましいもののひとつといえるが、このポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の他に、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン共重合体樹脂等であっても本発明の効果は発現可能である。




 

 


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