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発明の名称 暖房装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−71749(P2000−71749A)
公開日 平成12年3月7日(2000.3.7)
出願番号 特願平10−248435
出願日 平成10年9月2日(1998.9.2)
代理人 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
発明者 稲葉 隆 / 松岡 孝佳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 エンジン冷却後の冷却水を熱源とするヒーターコアと、前記エンジンを駆動源とし、前記冷却水を前記エンジンと前記ヒーターコアおよびラジエータとの間で循環させるためのエンジン駆動ウォータポンプと、前記冷却水の水温が所定温度よりも低い場合に前記冷却水が前記ラジエータ内を通らないようにバイパスさせるバイパス流路と、前記エンジンの停止時に、電動モータを駆動源として前記冷却水を前記エンジンと前記ヒーターコアとの間で循環させるための電動ウォータポンプと、前記電動ウォータポンプにより、前記冷却水が前記エンジンと前記ヒーターコアとの間を循環する際に、前記ヒーターコアの流出口より流出した前記冷却水が前記バイパス流路を経て前記ヒーターコアの流入口に流入するのを抑止するための弁装置とを有することを特徴とする暖房装置。
【請求項2】 請求項1に記載の暖房装置において、前記弁装置は前記バイパス流路に設けられることを特徴とする暖房装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載の暖房装置において、前記冷却水の温度の高低に応じて前記冷却水の流路を切り替える流路切換装置をさらに有し、前記弁装置は、前記流路切換装置とともに一体化して設けられることを特徴とする暖房装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は暖房装置に関し、特にエンジンの停止後もエンジン冷却後の熱水を熱源として暖房運転の継続が可能な車両用の暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド式車両、たとえば走行用の駆動源としてエンジンと電動モータとを併用、あるいは状況に応じて切り替えるハイブリッド式の自動車(以下、本明細書中ではこれを「HEV」と称する)が知られている。このHEVに装備される暖房装置の暖房用熱源として、通常のエンジン駆動車と同様にエンジン冷却後の冷却水(熱水)を空調ダクト内に配設されるヒーターコアに導いて熱交換を行うものがある。エンジンが作動しているときには、エンジンを駆動源とするウォータポンプ(以下、本明細書中ではこれを「エンジン駆動ウォータポンプ」と称する)が作動しており、エンジン冷却後の熱水はエンジン駆動ウォータポンプによりヒーターコアおよびラジエータに圧送される。
【0003】HEVの走行用駆動源がエンジンから電動モータに切り替えられるのにともない、エンジンは停止するのでエンジン駆動ウォータポンプはその駆動力を失う。しかし、エンジン停止後もエンジン内および冷却水には余熱が残っており、この冷却水を電動ウォータポンプによってエンジンとヒーターコアとの間で循環させることにより、冷却水が冷えて暖房に適さなくなるまでの間、暖房運転の継続が可能となる。
【0004】ところで、上述したHEVのエンジンの冷却系統には、ボトムバイパスあるいはバイパスホースと呼ばれる冷却水用のバイパス管路とサーモスタットとが装備され、以下のように作用する。すなわち、冷却水をラジエータで冷却する必要のないほどにエンジンが冷えている場合でも、エンジン駆動ウォータポンプはエンジンにより駆動されているため、冷却水は圧送され続ける。このとき、サーモスタットの作用によって冷却水はラジエータに圧送されずにバイパス管路を介してエンジンのウォータジャケットに環流されるため、冷却水からの放熱が最小限に食い止められ、速やかにエンジンの暖機を行うことができる。また、降坂路が長く続いてエンジンブレーキを多用する場合などのように、冷却水がエンジンから受け取る熱量がラジエータで放出される熱量を下回る状況が長く続いて冷却水温が所定温度以下に低下した場合にもサーモスタットが作動する。これにより冷却水路は、冷却水をエンジンとラジエータとの間で循環させる水路からバイパス管路とウォータジャケットとの間で循環させる水路に切り替わり、エンジンの過冷が防止される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したHEVで暖房装置が運転しているときに、走行用駆動源がエンジンから電動モータに切り替わった場合、上述したように暖房運転は継続されるが、以下で説明するように冷却水の熱利用効率は十分ではなく、暖房運転継続可能時間が短くなったり、あるいは十分な暖房が行えない場合があった。
【0006】本来、エンジン内および冷却水の余熱を暖房用の熱源として効率良く用いるためには、エンジンのウォータジャケットとヒーターコアとの間のみで冷却水を循環させることが必要である。しかし、上述したHEVの暖房装置では、電動ウォータポンプが作動を開始したときにヒーターコアで熱交換されて冷えた冷却水の一部がウォータジャケット内に環流することなく、上述したバイパス管路を経て再度ヒーターコアに流入していた。このため、余熱の利用効率は30%程度にとどまる場合があった。
【0007】また、エンジンには冷却水温を検知するための水温センサが取り付けられており、この水温センサで検出された冷却水温に基づいてヒーターコアを通過する空気の量が制御され、これにより空調されて車室内に吹き出す空気の温度(以下、本明細書中ではこれを「吹出温度」と称する)が調節される。このとき、上述したように冷却水の一部がバイパス管路を経て再度ヒーターコアに流入するため、水温センサで検出される水温に比べてヒーターコア内を流動する冷却水の水温は低くなり、吹出温度の調節がうまく行われずに乗員の快適性が低下する場合があった。
【0008】本発明の目的は、ヒーターコアで熱交換されて冷えた冷却水の一部がウォータジャケットに環流することなく再度ヒーターコアに流入するのを抑制し、これによりエンジン停止後の運転継続可能時間が永くて吹出温度の制御精度に優れた暖房装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1に対応付けて本発明を説明する。
(1) 請求項1に記載の発明は、エンジン10冷却後の冷却水を熱源とするヒーターコア16と;エンジン10を駆動源とし、冷却水をエンジン10とヒーターコア16およびラジエータ18との間で循環させるためのエンジン駆動ウォータポンプ12と;冷却水の水温が所定温度よりも低い場合に冷却水がラジエータ18内を通らないようにバイパスさせるバイパス流路24と;エンジン10の停止時に、電動モータを駆動源として冷却水をエンジン10とヒーターコア16との間で循環させるための電動ウォータポンプ14と;電動ウォータポンプ14により、冷却水がエンジン10とヒーターコア16との間を循環する際に、ヒーターコア16の流出口16outより流出した冷却水がバイパス流路24を経てヒーターコア16の流入口16inに流入するのを抑止するための弁装置22とを有することにより上述した目的を達成する。
(2) 請求項2に記載の発明は、弁装置22がバイパス流路24に設けられるものである。
(3) 一実施の形態を示す図2に対応付けて説明すると、請求項3に記載の発明は、冷却水の温度の高低に応じて冷却水の流路を切り替える流路切換装置27が弁装置23とともに一体化して設けられるものである。
【0010】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
【発明の効果】(1) 請求項1に記載の発明によれば、冷却水が電動ウォータポンプによりエンジンとヒーターコアとの間を循環する際に、ヒーターコアの流出口より流出した冷却水がエンジン内に設けられる冷却水路を通過することなくバイパス流路を経てヒーターコアの流入口に流入するのを弁装置で抑止するようにしたので、エンジン停止後の暖房運転を効率よく行うことができる。すなわち、エンジンの停止後も継続して行われる暖房運転に際してヒーターコアで熱交換された冷えた冷却水は必ずエンジン内に設けられる冷却水路を通過するので、エンジンおよびエンジン内の冷却水が有する余熱を効率よく利用して暖房を行うことができる。
(2) 請求項2に記載の発明によれば、エンジンが作動していて、かつ冷却水がラジエータで放熱されているような状況において冷却水の分流比の比較的小さいバイパス流路に弁装置を設けることにより、エンジンとラジエータとの間における冷却水の循環を妨げることがない。つまり、もともと流量の少ないバイパス流路に弁装置を設けることにより、弁装置による通水抵抗の増加が冷却水の上述した循環を妨げることがない。このため、エンジン作動時には冷却水をラジエータで効率よく冷却することができる一方、エンジン停止時にはエンジンおよび冷却水が有する余熱を効率良く利用して暖房を行うことができる。
(3) 請求項3に記載の発明によれば、弁装置が流路切換装置とともに一体化して設けられることにより、ヒータ水路組立の際の工数低減が可能となるとともにメインテナンスも容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】−第1の実施の形態−図1を参照して本発明の実施の形態に係る暖房装置について説明する。図1(a)は、エンジンの冷却系統およびヒーターコアのエンジンへの接続状態を概略的に説明する図である。
【0013】ラジエータ18のインレットホース18inはエンジン10の冷却水出口10eに接続される一方、アウトレットホース18outはサーモスタットハウジング20のポート20aに接続される。
【0014】ヒーターコア16のインレットホース16inはエンジン10の冷却水出口10eに接続される一方、アウトレットホース16outはエンジン10の冷却水入口10sに接続される。アウトレットホース16には、不図示の空調制御部によりその作動が制御される電動ウォータポンプ14が介装される。
【0015】サーモスタットハウジング20のポート20bとエンジン10の冷却水出口10eとは、間に逆止弁22が介装されるボトムバイパス24により接続される一方、ポート20cとエンジン10の冷却水入口10sとは管路28により接続される。サーモスタットハウジング20には、冷却水の水温に応じてその開弁状態が自動的に切り替えられるサーモスタット26が内装される。
【0016】エンジン10には、冷却水入口10sから吸い込んだ冷却水をシリンダブロック10b内のウォータジャケットからシリンダヘッド10a内のウォータジャケットへ導き、そして冷却水出口10eより吐出するためのエンジン駆動ウォータポンプ12が接続される。エンジン10にはまた、水温センサ10cが取り付けられ、水温センサ10cで検出された水温に関する情報は不図示の空調制御部に出力される。なお、この水温センサ10cはサーモスタットハウジング20に取り付けられるものであってもよい。
【0017】− エンジン作動時の冷却水の流れ −図1(b)および図1(c)を参照し、冷却水温の変化にともなってサーモスタット26の開弁状態がどのように変化するか、そしてサーモスタット26の開弁状態の変化に応じて冷却水の循環経路がどのように変化するかについて説明する。なお、本実施の形態ではサーモスタット26の作動点(サーモスタット作動温度)を80゜Cとして以下の説明を行うが、この作動点を80゜C以外に設定するものであってもよい。
【0018】冷却水温が80゜Cを下回る場合、サーモスタット26は図1(b)に示されるように閉弁状態となる。この状態でエンジンが作動すると、エンジン駆動ウォータポンプ12が作動して冷却水は冷却水出口10eより吐出される。このとき、サーモスタット26が上述のように閉弁状態にあるため、冷却水はラジエータ18のインレットホース18inには流入せず、ボトムバイパス24およびヒーターコア16のインレットホース16inへ分流する。ボトムバイパス24に分流した冷却水は逆止弁22、サーモスタットハウジング20、管路28を経て冷却水入口10sに環流する一方、インレットホース16inに分流した冷却水はヒーターコア16、作動停止中の電動ウォータポンプ14を経て冷却水入口10sに環流する。
【0019】すなわち、暖機運転中等でエンジン10がまだ冷えており、冷却水温が十分な温度に達していない場合には冷却水がラジエータ18内を流動するのを抑制して冷却水温の速やかな上昇を図る。また、冷却水温が80゜Cを上回っている状況で車両が走行しているときに連続する降坂路にさしかかってエンジンブレーキを多用するような場合、冷却水温が低下して80゜Cを下回る状態になる場合がある。このような場合にもサーモスタット26は閉弁し、冷却水がラジエータ18内を流動するのを抑制してエンジン10の過冷を抑制する。
【0020】冷却水温が80゜Cを上回る場合、サーモスタット26は図1(c)に示されるように開弁状態となる。この状態でエンジン10が作動しているときにはエンジン作動のウォータポンプ12が作動して冷却水は冷却水出口10eより吐出される。このときサーモスタット26が上述のように開弁状態にあるため、冷却水はラジエータ18のインレットホース18inと、ボトムバイパス24と、ヒーターコア16のインレットホース16inとに分流する。冷却水出口10eより吐出される冷却水は、上述したそれぞれの流路の入口から出口までの間で生じる損失水頭の違いにより、その大半がラジエータ18およびヒーターコア16に分流し、ボトムバイパス24を通る冷却水の量はさほど多くはない。したがって、エンジン10冷却後の冷却水はラジエータ18およびヒーターコア16で効率良く冷却される。なお、損失水頭の大きさは、一般的にボトムバイパス>ラジエータ>ヒーターコア>エンジンとなり、ウォータポンプ等のポンプ類を除けば、ボトムバイパスでの損失水頭が最も大きい。
【0021】− エンジン停止中かつ暖房運転中の冷却水の流れ −以上で説明したのは通常の内燃機関車両で暖房運転を行うのと同じ状態の冷却水の流れであったが、ここではエンジン10が停止している状態で暖房運転が行われているときの冷却水の流れについて図1(d)を参照して説明する。
【0022】図1(d)は、エンジン10が停止するのにともなってエンジン駆動ウォータポンプ12が停止し、かつ電動ウォータポンプ14が起動したときの冷却水の流れを説明する図である。なお、図1(d)において、サーモスタット26は閉弁状態にあるが、これは以下の理由による。すなわち、エンジン10の作動停止直前の状態で冷却水温が80゜Cを上回っていていても、エンジン10の作動停止後はラジエータ18の放熱作用によりラジエータ18を経てアウトレットホース18outより流出する冷却水の温度は速やかに80゜Cを下回ってサーモスタット26は上述したように閉弁状態となる。したがって、ここではサーモスタット26が閉弁状態にあるときの冷却水の流れについてのみ説明する。
【0023】電動ウォータポンプ14の起動にともない、冷却水はヒーターコア16より冷却水入口10sに向けて図1(d)の破線P3で示される向きに圧送される。このとき、管路28の内圧が高まるので図1(d)の破線Qで示される向きに冷却水が流動しようとするが、逆止弁22の作用により破線Qで示される向きに沿う水流は阻止される。また、サーモスタット26は閉弁状態にあるので管路28内の冷却水がラジエータ18のアウトレットホース18outを通ってラジエータ18に逆流することもない。
【0024】冷却水入口10sに冷却水が流入するのにともない、シリンダブロック10bおよびシリンダヘッド10aのウォータジャケット内の冷却水(熱水)が冷却水出口10eより流出し、ヒーターコア16のインレットホース16inを経てヒーターコア16内に流入する。このとき、サーモスタット26は上述のとおり閉弁状態にあるので、冷却水出口10eから流出した冷却水がラジエータ18に流入することはない。また、管路28内の水圧とボトムバイパス24内の水圧との関係により、冷却水出口10eから流出した冷却水がボトムバイパス24を通ってサーモスタットハウジング20のポート20bに向けて流動することもない。
【0025】以上の実施の形態の説明では、逆止弁22をボトムバイパス24に介装する例について説明したが、管路28、すなわちサーモスタットハウジング20のポート20cと冷却水入口10sとの間の管路に介装するものであってもよい。
【0026】以上のように、第1の実施の形態に係る暖房装置によれば、エンジン10の停止後も継続して行われる暖房運転に際してヒーターコア16で熱交換されて冷えた冷却水は必ずエンジン10内のウォータジャケットを通ってヒーターコア16に環流する。このため、エンジン10のウォータジャケット内とヒーターコア16との間を循環する冷却水の水温はほぼ均一となるのでエンジン10そのものの余熱およびエンジン10のウォータジャケット内にある冷却水の余熱を効率良く利用することができる。したがってエンジン停止後の暖房可能時間を最大限に延ばすことができる。
【0027】また、上述のように冷却水が流動することにより、ヒーターコア16内を流動する冷却水の水温が水温センサ10cで検出される水温とほぼ等しくなることにより、乗員の快適性を維持することができる。すなわち、空調制御部は水温センサ10cから入力した冷却水温情報に基づいてヒーターコア16内を流動する冷却水の温度を正確に検出することができ、これに基づいて不図示の空調ダクト内に送風する空気の流量を調節して吹出温度を精度良く維持できる。
【0028】以上で説明した暖房装置は、HEVは無論のこと、信号待ち等で車両が一時停止しているときにエンジンを停止させる、いわゆるアイドルストップ車に搭載することも可能である。
【0029】−第2の実施の形態−第1の実施の形態に係る暖房装置では、図1に示されるボトムバイパス24あるいは管路28に逆止弁22を介装する例について説明したが、第2の実施の形態に係る暖房装置では逆止弁をサーモスタットとともに一体化してサーモスタットハウジングに納める例について説明する。なお、第2の実施の形態に係る暖房装置を説明する図2において図1と同様の部分には同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態に係る暖房装置との差異を中心に説明する。
【0030】エンジンの冷却系統およびヒーターコアのエンジンへの接続状態を概略的に説明する図2(a)において、サーモスタットハウジング21の内部には冷却水温の高低に応じて開閉する開閉弁とともに逆止弁23が一体に形成されるサーモスタット27が内蔵される。ボトムバイパス25および管路29は、後述するようにサーモスタットハウジング21の中に形成される。このため、本実施の形態に係る暖房装置ではこれらボトムバイパス25および管路29を形成する管そのものは有していないが、説明の便宜上、図2および以下の説明中ではあたかもこれらの管路があるかのように説明をする。
【0031】サーモスタットハウジング21は6つのポート21a〜21fを有する。ポート21a、21bにはラジエータ18のアウトレットホース18out、インレットホース18inが、ポート21d、21eにはエンジン10の冷却水出口、冷却水入口が、そしてポート21c、21fにはヒーターコア16のインレットホース16in、アウトレットホース16outがそれぞれ接続される。サーモスタットハウジング21は、後述するようにホース等を用いずにエンジン10へ直接固設され、ポート21dがエンジン10の冷却水出口と、そしてポート21eがエンジン10の冷却水入口と連通している。
【0032】上述した6つのポート21a〜21fのうち、ポート21bと21cと21dとが、そしてポート21eと21fとがサーモスタットハウジング21の内部でそれぞれ連通している。ポート21b、21cおよび21dとサーモスタット27の開口27aとはボトムバイパス25で連通している一方、ポート21eおよび21fとサーモスタット27の開口27bとは管路29で連通している。
【0033】− エンジン作動時の冷却水の流れ −図2(b)および図2(c)を参照し、冷却水温の変化にともなってサーモスタット27の開弁状態がどのように変化するか、そしてサーモスタット27の開弁状態の変化に応じて冷却水の循環経路がどのように変化するかについて説明する。なお、本実施の形態の説明においてもサーモスタット27の作動点(サーモスタット作動温度)を第1の実施の形態と同様に80゜Cとして以下の説明を行うが、この作動点を80゜C以外に設定するものであってもよい。
【0034】冷却水温が80゜Cを下回る場合、サーモスタット27は図2(b)に示されるように閉弁状態となる。この状態でエンジンが作動すると、エンジン駆動ウォータポンプ12が作動してエンジン10のウォータジャケット内の冷却水はポート21dに流入する。このとき、サーモスタット27が上述のように閉弁状態にあるため、冷却水はラジエータ18のインレットホース18inには流入せず、ボトムバイパス25およびヒーターコア16のインレットホース16inへ分流する。ボトムバイパス25に分流した冷却水は、逆止弁23、管路29を経てポート21eに環流する一方、ヒーターコア16のインレットホース16inに分流した冷却水はヒーターコア16、作動停止中の電動ウォータポンプ14、ポート21f、ポート21eを経てエンジン10のウォータジャケット内に環流する。
【0035】すなわち、暖機運転中等で、冷却水温が十分な温度に達していない場合には冷却水がラジエータ18内を流動するのを抑制して冷却水温の速やかな上昇を図る。また、冷却水温が80゜Cを上回っている状況で車両が走行しているときにエンジンブレーキを多用し、冷却水温が低下して80゜Cを下回るような場合にもサーモスタット27は上述した状態となってエンジン10の過冷を抑制する。
【0036】冷却水温が80゜Cを上回る場合、サーモスタット27は図2(c)に示されるように開弁状態となる。この状態でエンジン10が作動しているときにはエンジン作動のウォータポンプ12が作動してエンジン10のウォータジャケット内の冷却水はサーモスタットハウジング21のポート21dに流入する。このとき、サーモスタット27が上述のように開弁状態にあるため、冷却水はラジエータ18のインレットホース18inと、ボトムバイパス25と、ヒーターコア16のインレットホース16inとに分流する。ポート21dに流入する冷却水は、上述したそれぞれの流路の入口から出口までの間で生じる損失水頭の違いにより、その大半がラジエータ18およびヒーターコア16に分流し、ボトムバイパス25を通る冷却水の量はさほど多くはない。したがって、エンジン10冷却後の冷却水はラジエータ18およびヒーターコア16で効率良く放熱される。
【0037】− エンジン停止中かつ暖房運転中の冷却水の流れ −以上で説明したのは通常の内燃機関車両で暖房運転を行うのと同じ状態の冷却水の流れであったが、ここではエンジン10が停止している状態で暖房運転が行われているときの冷却水の流れについて図2(d)を参照して説明する。
【0038】図2(d)は、エンジン10が停止するのにともなってエンジン駆動ウォータポンプ12が停止し、かつ電動ウォータポンプ14が起動したときの冷却水の流れを説明する図である。なお、図2(d)において、サーモスタット27は閉弁状態にあるが、これは以下の理由による。すなわち、エンジン10の作動停止直前の状態で冷却水温が80゜Cを上回っていていても、エンジン10の作動停止後はラジエータ18の放熱作用により冷却水温は速やかに80゜Cを下回ってサーモスタット27は上述したように閉弁状態となる。したがって、ここでは第1の実施の形態の説明と同様にサーモスタット27が閉弁状態にあるときの冷却水の流れについてのみ説明する。
【0039】電動ウォータポンプ14の作動開始にともない、冷却水はヒーターコア16よりポート21fに向けて図2(d)の破線P3で示される向きに圧送される。このとき、管路29の内圧が高まるので図1(d)の破線Qで示される向きに冷却水は流動しようとするが、逆止弁23の作用により破線Qで示される向きに沿う水流は阻止される。また、サーモスタット27は閉弁状態にあるので管路29内の冷却水がラジエータ18のアウトレットホース18outを通ってラジエータ18に逆流することもない。
【0040】ポート21fに流入した冷却水がポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入するのにともない、シリンダブロック10bおよびシリンダヘッド10aのウォータジャケット内の冷却水(熱水)がエンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入する。このとき、サーモスタット27は上述のとおり閉弁状態にあるので、ポート21dに流入した冷却水がラジエータ18に流入することはない。また、管路29内の水圧とボトムバイパス25内の水圧との関係により、ポート21dに流入した冷却水がボトムバイパス25、逆止弁23、そして管路29を通ってポート21eに向けて流動することもない。したがって、ポート21dよりサーモスタットハウジング21に流入した冷却水はポート21cよりヒーターコア16のインレットホース16inへ流入する。つまり、電動ウォータポンプ14により圧送される冷却水はエンジン10内のウォータジャケットとヒーターコア16との間を循環する。
【0041】− サーモスタットハウジングの具体的構成 −図3〜図5を参照して上述したサーモスタットハウジング21の具体例を説明する。図3は、サーモスタットハウジング21の外観を示す上面図であり、4箇所に設けられた貫通孔21gを介してエンジン10(図2)に固設される。
【0042】図3の断面IV−IVを示す図4においてサーモスタットハウジング21に設けられる6つのポート21a〜21fには、すでに図2を参照して説明したようにラジエータ18のインレットホース18inおよびアウトレットホース18out、ヒーターコア16のインレットホース16inおよびアウトレットホース16out、そしてエンジン10の冷却水流入口および冷却水流出口がそれぞれ接続される。このうち、エンジン10の冷却水出口とポート21d、そして冷却水入口とポート21eとはサーモスタットハウジング21をエンジン10に固設することで直接連通するように構成されるので、特に管路を必要としない。
【0043】サーモスタットハウジング21の内部空間は隔壁21hにより二つの空間21jと21kとに分割される。空間21jとポート21cとは孔21iにより連通している。
【0044】サーモスタットハウジング21の内部には開閉弁27vと逆止弁23とが一体に構成されるサーモスタット27が配設される。サーモスタット27の開口27cはポート21aと、開口27aは隔壁21hに穿設される開口21nを介して空間21jと、そして開口27bは隔壁21hに穿設される開口21mを介して空間21kとそれぞれ連通している。
【0045】サーモスタット27の開閉弁27vは冷却水温が80゜Cを上回る場合に開弁状態となり、それ以外の場合には閉弁状態となる。図4において開閉弁27vは閉弁状にある。
【0046】逆止弁23を構成する弁23aはバネ23bにより図4の下方に向かって比較的小さい力で付勢されている。このため、逆止弁23内を図4の下方に向かう冷却水の流れは阻止される一方、開口27aの側より図4の上方に向かう方向に冷却水は流動可能である。なお、図4に示されるサーモスタットハウジング21の内部構造において、逆止弁23が配設される空間が図2に示すボトムバイパス25に、そして図4の開口27bから空間21kに至る部分が図2の管路28に対応する。
【0047】以下、エンジン駆動ウォータポンプ12および電動ウォータポンプ14の作動状態が切り替わる様子と、冷却水温の高低に応じてサーモスタットハウジング21内の流路が切り替わる様子とを示す図5を参照してサーモスタットハウジング21内における冷却水の流れを説明する。
【0048】− エンジン作動時の冷却水の流れ −本実施の形態に係る暖房装置における冷却水の流れについては図2を参照してすでに説明したので、ここではサーモスタットハウジング21内の流路切り替わり状態を中心に説明する。図5(a)〜図5(c)における矢印は、冷却水の流動方向を示している。
【0049】図5(a)は、エンジン10が作動中で冷却水温が80゜Cを下回る場合の状態を示している。開閉弁27vは閉弁状態にあるため、エンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入した冷却水の一部は孔21i、ポート21c、インレットホース16in、ヒーターコア16、アウトレットホース16out、ポート21f、ポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。エンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入した冷却水の他の一部は開口27a、逆止弁23、開口27b、開口21m、ポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。
【0050】冷却水温が80゜Cを上回る場合、図5(b)に示されるように開閉弁27vが開弁状態となり、エンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入した冷却水の一部はポート21b、インレットホース18in、ラジエータ18、アウトレットホース18out、ポート21a、サーモスタット27、開口27b、開口21m、そしてポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。エンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入した冷却水の他の一部は孔21i、ポート21c、インレットホース16in、ヒーターコア16、アウトレットホース16out、ポート21f、ポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。なお、図4(b)では図示はしていないが、エンジン10の冷却水出口よりポート21dに流入した冷却水のうちの少量が、上述した流路以外に逆止弁23内を図4(b)の上方向に流れて開口27b、開口21m、ポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。
【0051】− エンジン停止中かつ暖房運転中の冷却水の流れ −図5(c)は、エンジン10が停止するのにともなってエンジン駆動ウォータポンプ12が停止し、かつ電動ウォータポンプ14が起動したときの冷却水の流れを説明する図である。なお、図5(c)も図2(d)と同様に、サーモスタット27の開閉弁27vが閉弁状態にある場合を示している。
【0052】ヒーターコア16で熱交換され、比較的低温状態にある冷却水は電動ウォータポンプ14により圧送されてアウトレットホース16outよりポート21fに流入し、ポート21eを経てエンジン10の冷却水入口に流入する。このとき、開口21m、開口27b、逆止弁23を経て開口27aに向かおうとする水流は逆止弁23により阻止される。以上のように冷却水がポート21eを経てエンジン10のウォータジャケット内に流入するのにともない、エンジン10のウォータジャケット内の熱水が押し出されてポート21d、孔21i、ポート21c、インレットホース16inを経てヒーターコア16に流れ込む。
【0053】以上の第2の実施の形態において、逆止弁23は図2に示されるようにボトムバイパス25に介装する例について説明したが、図2(e)に示されるように管路29に介装するものであってもよい。この場合、図3においては逆止弁23を除去し、別の逆止弁をサーモスタット27の開口27bの位置に設ければよい。そして、サーモスタット27から空間21kに向かって冷却水が流れるのを可能とし、この逆の向きの流れを阻止するように逆止弁を構成すればよい。
【0054】以上に説明したように、第2の実施の形態に係る暖房装置によっても、エンジン10の停止後に継続して行われる暖房運転に際して、ヒーターコア16で熱交換されて冷えた冷却水はすべてエンジン10内のウォータジャケットを通ってヒーターコア16に環流する。このため、エンジン10内のウォータジャケットとヒーターコア16との間を循環する冷却水の水温はほぼ均一となるので、エンジン10そのものの余熱およびエンジン10のウォータジャケット内にある冷却水の余熱を効率良く利用することができる。したがってエンジン停止後の暖房可能時間を最大限に延ばすことができる。
【0055】また、上述のように冷却水が流動するため、ヒーターコア16内を流動する冷却水の水温が水温センサ10cで検出される水温とほぼ等しくなることにより、乗員の快適性を維持することができるのも第1の実施の形態に係る暖房装置と同様である。なお、本実施の形態においても水温センサ10cはエンジン10に取り付けられているが、サーモスタットハウジング21に取り付けられるものであってもよい。
【0056】さらに、第2の実施の形態に係る暖房装置において、逆止弁23はサーモスタット27とともに一体構造をなし、サーモスタットハウジング21内に配設されるのでサーモスタットハウジング21を大型化することなく逆止弁23を組み込むことが可能である。また、逆止弁23はサーモスタット27とともに一体化されていることにより、サーモスタットハウジング21の組立工数を低減することができ、同時にメインテナンスも容易となる。
【0057】なお、サーモスタット27と逆止弁23とは一体構造としなくても両者をサーモスタットハウジング21、すなわち一つの収納容器内に収納するものであってもよい。この場合、逆止弁23のために専用の収納容器を設ける必要がないので部品製造や組立に際しての工数低減に有効である。
【0058】第2の実施の形態に係る暖房装置も第1の実施の形態に係る暖房装置と同様、HEVは無論のこと、アイドルストップ車に搭載することも可能である。
【0059】以上の実施の形態の説明では本発明を暖房装置に適用する例について説明したが、冷暖房運転が可能な空調装置に本発明を適用することもできる。
【0060】以上の発明の実施の形態と請求項との対応において、シリンダブロック10bおよびシリンダヘッド10a内に設けられるウォータジャケットがエンジン内に設けられる冷却水路を、逆止弁22、23が弁装置を、サーモスタット27が流路切換装置をそれぞれ構成する。




 

 


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