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発明の名称 車両の駆動力制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−52818(P2000−52818A)
公開日 平成12年2月22日(2000.2.22)
出願番号 特願平10−223918
出願日 平成10年8月7日(1998.8.7)
代理人 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
【テーマコード(参考)】
3D041
3G065
3G084
3G093
【Fターム(参考)】
3D041 AA31 AA66 AB01 AC01 AC09 AC15 AC20 AD10 AD30 AD51 AE02 AE04 AE36 AF01 AF09 
3G065 DA06 EA04 EA13 FA02 FA12 GA11 GA31 GA46 KA02 KA36
3G084 BA00 BA05 BA32 CA04 CA08 DA05 DA15 EB08 EB12 EC07 FA05 FA06 FA10
3G093 AA01 AA06 BA02 BA15 CB05 CB06 CB08 DA06 DB05 EA09 EB03 EC02 EC04 FA07 FA10 FB01 FB03
発明者 片倉 秀策 / 内田 正明 / 岩崎 美憲 / 川島 啓一 / 渡辺 英明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アクセルペダル操作以外の因子によっても任意に出力を変更可能なエンジンと、無段変速機との組み合わせになるパワートレーンを搭載した車両であって、車両の運転状態や走行条件により決まる要求車軸駆動力から求めた過渡目標車軸駆動力を実現するための目標エンジン回転数および目標エンジン出力の組み合わせを求め、前記目標エンジン回転数に対応した変速機目標入力回転数となるよう前記無段変速機を変速制御するとともに、前記目標エンジン出力となるようエンジンを出力制御し、前記変速制御およびエンジン出力制御のうち応答遅れの小さい方の制御目標値が、応答遅れの大きい方の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分を相殺するよう補正されるようにした車両の駆動力制御装置において、前記応答遅れの小さい方の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を、前記要求車軸駆動力および過渡目標車軸駆動力とは別個に、該応答遅れの小さい方の制御目標値の急変が抑制されるよう調整する構成にしたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
【請求項2】 請求項1において、前記エンジンが補助動力源により補佐され、これらエンジンおよび補助動力源を個々に出力制御して合計出力が前記目標エンジン出力になるようにしたものであり、これらエンジンの出力制御、補助動力源の出力制御、および前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するようにしたものである場合、エンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を個々に、両制御目標値の合計の急変が抑制されるよう調整する構成にしたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
【請求項3】 請求項1または2において、エンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するに際しては、前記過渡目標車軸駆動力を実変速比で除算して前記目標エンジン出力を求めることにより、該目標エンジン出力がそれ自体で前記の補正を行われたものとなるよう構成したことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
【請求項4】 請求項1または2において、エンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するに際しては、前記過渡目標車軸駆動力に対応する要求馬力をもとに前記目標エンジン出力を求めるか、または該過渡目標車軸駆動力を、この過渡目標車軸駆動力から求めた目標変速比で除算して前記目標エンジン出力を演算し、該目標エンジン出力を変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるよう補正する構成にしたことを特徴とする車両の駆動力制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を搭載された車両の要求車輪駆動力を、エンジン出力および変速比との組み合わせとして過渡制御下に適切に定めるようにした駆動力制御装置、特に、これらエンジン出力および変速比を達成させるための制御系の間で応答遅れに差がある場合において有用な車両の駆動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Vベルト式無段変速機や、トロイダル型無段変速機に代表される無段変速機は、一般的にエンジン要求負荷および車速から目標変速比を求め、実変速比がこの目標変速比になるよう変速制御する。従って、運転者がアクセルペダルを踏み込んでエンジン要求負荷を増すような加速時は、目標変速比が大きくなる(低速側の変速比になる)よう変更され、無段変速機は当該大きくされた目標変速比へダウンシフト変速され、逆に運転者がアクセルペダルを戻してエンジン要求負荷を低下させるような低負荷運転時は、目標変速比が小さくなる(高速側の変速比になる)よう変更され、無段変速機は当該小さくされた目標変速比へアップシフト変速される。
【0003】一方で、車両の要求駆動力を求める技術としては従来、例えば特開平7−172217号公報に記載されているようなものがある。この技術は、車速とアクセルペダル踏み込み量から車両の目標駆動力を求め、これに、車速から推定可能な走行抵抗分を加算して車輪に伝達すべき要求駆動力とするものである。
【0004】ところで、上記した一般的な無段変速機の変速制御では、上記の文献による技術で求めた要求駆動力を正確に実現することができないし、まして、無段変速機の変速制御のみでは如何にしても、求めた要求駆動力をエンジンの燃費が最低になるような態様で実現することは不可能である。
【0005】例えばかように要求駆動力をエンジンの燃費が最低になるような態様で実現するなどのために、当該要求駆動力をエンジンの出力制御と無段変速機の変速制御(エンジン回転数制御)との適切な組み合わせにより実現する駆動力制御が考えられる。しかして、上記の要求駆動力は定常的な目標値であり、これを所定の経時変化で実現して好適な加減速フィーリングを得るために過渡的な目標値を定め、当該過渡的な駆動力目標値を時々刻々達成するようになすのが良い。
【0006】そのための駆動力制御システムとしては、例えば図10〜図13に示すごときものが考えられる。図10の駆動力制御システムは、要求車軸駆動力演算部121で車速VSPおよびアクセル踏量APSを基に、例えば前記特開平7−172217号公報に記載の方法により車両の運転状態や走行条件に応じた必要最小限の要求車軸駆動力TS を求め、過渡目標車軸駆動力演算部126で、要求車軸駆動力TS を所定の要求駆動力過渡特性に対応したフィルタに通し、要求車軸駆動力TS を所定の経時変化で実現させるための時々刻々の過渡目標車軸駆動力TSTを算出する。
【0007】他方で車軸回転数演算部122は、変速機出力回転数Nsec をファイナルドライブギヤ比iF で除算して、現在の車軸回転数NS を求める。そして要求馬力演算部123は、過渡目標車軸駆動力TSTと車軸回転数NS との乗算により要求馬力HPS を算出する。変速機目標入力回転数演算部124では、実験などにより予め求めたエンジンの特性線図を基に、上記要求馬力HPS (過渡目標車軸駆動力TST)を最低燃費で発生させるための目標エンジン回転数を求めて、これに対応する変速機目標入力回転数Npri * を決定し、変速制御部125はこの目標入力回転数Npri * が達成されるよう無段変速機を変速制御する。
【0008】車輪駆動系実変速比演算部127は、変速機入力回転数Npri を前記の車軸回転数NS (=Nsec /iF )で除算することにより車輪駆動系実変速比iT を演算し、目標エンジン出力演算部128は、過渡目標車軸駆動力演算部126において前記のごとくに求めた過渡目標車軸駆動力TSTを車輪駆動系実変速比iT で除算することにより、過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で実現するための目標エンジン出力(トルク)Te * を求める。演算部128からの目標エンジン出力Te * はエンジン出力制御部130に入力され、この演算部130は、当該目標エンジン出力Te * が発生するようエンジンを制御する。
【0009】これがため、要求車軸駆動力TS を演算部126において定めた過渡特性で達成するための過渡目標車軸駆動力TSTを(要求馬力HPS )を最低燃費で発生させるような態様で無段変速機の変速制御およびエンジンの出力制御を行うことができる。
【0010】図11の駆動力制御システムは、目標エンジン出力Te * についてはこれを上記と同様にして求めるが、変速機目標入力回転数Npri * については、上記のように過渡目標車軸駆動力TSTを要求馬力HPS に変換しないで、変速機目標入力回転数演算部133において過渡目標車軸駆動力TSTおよび車速VSPから、エンジンの特性線図に基づき求めたデータマップを基に現在の車速VSPのもと上記過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で発生させるための目標エンジン回転数を求め、これに対応した変速機目標入力回転数Npri * を求めるものである。
【0011】図12の駆動力制御システムは、図10における変速機目標入力回転数演算部24に代えて変速機目標入力回転数兼目標エンジン出力演算部147を設け、当該演算部147で、エンジン性能線図に対応したマップをもとに最低燃費エンジン回転数(変速機目標入力回転数Npri * )を求める時に、同じマップから目標エンジン出力Te * をも同時に求めるようにし、これらをそれぞれ変速制御部125およびエンジン出力制御部130に供給するものである。
【0012】図13の駆動力制御システムは、変速制御部125への変速機目標入力回転数Npri * を図11におけると同様に求めるが、目標エンジン出力Te * を以下のようにして求めるようにしたものである。つまり、車輪駆動系目標変速比演算部145で上記の変速機目標入力回転数Npri * を前記の車軸回転数NS で除算することにより車輪駆動系目標変速比iT* を演算し、目標エンジン出力演算部128において、演算部126からの過渡目標車軸駆動力TSTを車輪駆動系目標変速比iT * で除算することにより、過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で実現するための目標エンジン出力Te * を算出し、これをエンジン出力制御部130に供給する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、目標車軸駆動力を過渡制御しようとする場合、図10〜図13に示すいずれの駆動力制御装置にあっても、エンジンの出力制御と無段変速機の変速制御との間に大きな応答遅れの差があると、以下に説明するような問題を生ずることを確かめた。当該問題を、通常はそうであるようにエンジンの出力制御よりも無段変速機の変速制御の方が応答遅れが大きい場合について以下に説明する。
【0014】図10および図11に示す駆動力制御装置にあっては、目標エンジン出力Te* を求めるに際し、実際の変速比である車輪駆動系実変速比iT を用いていることから、目標エンジン出力Te * の演算に変速応答遅れ分が既に考慮されていることになる。つまり、目標エンジン出力Te * が変速応答遅れによる過渡目標車軸駆動力TSTの変化遅れを補償するよう増減されており、変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTは逐一実現され得る。
【0015】しかして、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合は、アクセル踏量の急増などにより要求車軸駆動力TS 、従って過渡目標車軸駆動力TSTが急増するときに、更にこれに大きな変速応答の遅れ分が上乗せされることとなって、過渡目標車軸駆動力TSTが忠実に実現されるものの、エンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化を生ずる懸念を払拭しきれない。
【0016】なお、この問題解決のために過渡目標車軸駆動力演算部126の過渡特性を、上記問題となるエンジン出力の急増が生じないように調整する一般的な方法では、当該調整が変速制御系にも及んで、変速機目標入力回転数Npri * の変化をも遅延させてしまい、運転性の悪化を防止しようとすると変速制御の応答遅れの補正が実現不能となって、実際的な解決策となり得ない。
【0017】また、図12に示す駆動力制御装置のように過渡目標車軸駆動力TSTと車軸回転数NS との乗算により求めた要求馬力HPS から直接的に目標エンジン出力Te * を求める場合や、図13に示す駆動力制御装置のように、変速機目標入力回転数Npri * を車軸回転数NS で除算して求めた車輪駆動系目標変速比iT * により過渡目標車軸駆動力TSTを除算することにより目標エンジン出力Te * を算出する場合は、図10および図11の場合と異なり、目標エンジン出力Te * を求めるに際し、実際の変速比である車輪駆動系実変速比iT を用いないことから、目標エンジン出力Te * の演算に変速応答遅れ分が考慮されていない。
【0018】これがため、変速応答遅れの分だけ過渡目標車軸駆動力TSTの実現が遅れることとなり、過渡目標車軸駆動力TSTの実現さえ困難である。この変速応答遅れを補償するための技術が従来から考えられているが、当該対策により過渡目標車軸駆動力TSTの忠実な実現を図った時も、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合における前記の懸念、つまり、アクセル踏量の急増などにより過渡目標車軸駆動力TSTが急増した時にエンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化が生ずるという懸念を払拭しきれない。
【0019】請求項1に記載の第1発明は上記の実情に鑑み、つまり目標駆動力を過渡制御するものにおいて、エンジン出力制御と変速制御との間に応答遅れの差がある場合でも上記の過渡制御が忠実に実現されるよう応答遅れの大きな制御系の応答遅れに起因した駆動力偏差分を応答遅れの小さな制御系の制御量で相殺する時に問題となる、目標駆動力の急変時におけるエンジン出力の急変を緩和して、当該エンジン出力の急変で車体や駆動系のねじり共振が生じて運転性が悪化するという前記の懸念を払拭し、もって上述の問題を解消した車両の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
【0020】請求項2に記載の第2発明は、エンジンが補助動力源により補佐される車両の場合において、そして変速制御系の応答遅れの方が大きい場合において、第1発明の目的が達成されるようにした車両の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
【0021】請求項3に記載の第3発明は、変速制御系の応答遅れが大きくエンジン出力制御系および/または補助動力制御系の制御量を補正する場合において、変速制御系の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分を好適に相殺し得るようにした車両の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
【0022】請求項4に記載の第4発明は、変速制御系の応答遅れが大きくエンジン出力制御系および/または補助動力制御系の制御量を補正する場合において、変速制御系の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分を好適に相殺し得るようにした別型式の駆動力制御装置を提案することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先ず第1発明による車両の駆動力制御装置は、アクセルペダル操作以外の因子によっても任意に出力を変更可能なエンジンと、無段変速機との組み合わせになるパワートレーンを搭載した車両であって、車両の運転状態や走行条件により決まる要求車軸駆動力から求めた過渡目標車軸駆動力を実現するための目標エンジン回転数および目標エンジン出力の組み合わせを求め、前記目標エンジン回転数に対応した変速機目標入力回転数となるよう前記無段変速機を変速制御するとともに、前記目標エンジン出力となるようエンジンを出力制御し、前記変速制御およびエンジン出力制御のうち応答遅れの小さい方の制御目標値が、応答遅れの大きい方の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分を相殺するよう補正されるようにした車両の駆動力制御装置において、前記応答遅れの小さい方の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を、前記要求車軸駆動力および過渡目標車軸駆動力とは別個に、該応答遅れの小さい方の制御目標値の急変が抑制されるよう調整する構成にしたことを特徴とするものである。
【0024】第2発明による車両の駆動力制御装置は、上記第1発明において、前記エンジンが補助動力源により補佐され、これらエンジンおよび補助動力源を個々に出力制御して合計出力が前記目標エンジン出力になるようにしたものであり、これらエンジンの出力制御、補助動力源の出力制御、および前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するようにしたものである場合、エンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を個々に、両制御目標値の合計の急変が抑制されるよう調整する構成にしたことを特徴とするものである。
【0025】第3発明による車両の駆動力制御装置は、上記第1発明または第2発明において、エンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するに際しては、前記過渡目標車軸駆動力を実変速比で除算して前記目標エンジン出力を求めることにより、該目標エンジン出力がそれ自体で前記の補正を行われたものとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0026】第4発明による車両の駆動力制御装置は、上記第1発明または第2発明において、エンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するに際しては、前記過渡目標車軸駆動力に対応する要求馬力をもとに前記目標エンジン出力を求めるか、または該過渡目標車軸駆動力を、この過渡目標車軸駆動力から求めた目標変速比で除算して前記目標エンジン出力を演算し、該目標エンジン出力を変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるよう補正する構成にしたことを特徴とするものである。
【0027】
【発明の効果】第1発明においては、車両の運転状態や走行条件により決まる要求車軸駆動力から求めた過渡目標車軸駆動力を実現するための目標エンジン回転数および目標エンジン出力の組み合わせを求め、上記目標エンジン回転数に対応した変速機目標入力回転数となるよう無段変速機を変速制御するとともに上記目標エンジン出力となるようエンジンを出力制御する、駆動力制御を行う。かように制御されるエンジンからの出力は、上記のように変速制御される無段変速機により変速されてパワートレーンの出力となる。
【0028】そして、上記の変速制御およびエンジン出力制御のうち、応答遅れの小さい方の制御目標値を、応答遅れの大きい方の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるよう補正するから、大きな応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分を応答遅れの小さい方の制御目標値の補正により相殺することができ、当該大きな応答遅れに影響されることなく過渡目標車軸駆動力を逐一忠実に実現することができる。
【0029】ところで第1発明においては特に、上記応答遅れの小さい方の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を、前記要求車軸駆動力および過渡目標車軸駆動力とは別個に、該応答遅れの小さい方の制御目標値の急変が抑制されるよう調整するから、大きい方の応答遅れが小さい方の応答遅れに対して著しく大きくなる場合において、アクセル踏量の急増などにより要求車軸駆動力、従って過渡目標車軸駆動力が急増するときにもエンジン出力が問題となるほどに急増することがなく、上記制御目標値の補正により過渡目標車軸駆動力が忠実に実現されるとはいっても、過渡目標車軸駆動力が急増する運転状態のもとでエンジン出力が急増して車体や駆動系のねじり共振などが発生し、運転性が悪化するという懸念を払拭することができる。
【0030】第2発明においては、上記のエンジンが補助動力源により補佐され、これらエンジンおよび補助動力源を個々に出力制御して合計出力が前記目標エンジン出力になるようにしたものであり、これらエンジンの出力制御、補助動力源の出力制御、および前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値を補正するようにしたものである場合、エンジン出力制御系および補助動力源出力制御系の制御目標値に対する前記車軸駆動力偏差分相殺用の補正量を個々に、両制御目標値の合計の急変が抑制されるよう調整するから、電動機などの補助動力源からの動力によっても走行される車両において、そして変速制御系の応答遅れの方が大きい場合において、上記第1発明と同様の目的を達成することができる。
【0031】第3発明においては、上記第1発明または第2発明におけるエンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正する場合に、過渡目標車軸駆動力を実変速比で除算して前記目標エンジン出力を求めることにより、該目標エンジン出力がそれ自体で前記の補正を行われたものとなるようにしたから、当該補正のための特別な手段が全く必要でなくなり、しかも確実に上記車軸駆動力偏差分の相殺を実現することができ、低廉化と正確さとを両立させ得て大いに有利である。
【0032】第4発明においては、上記第1発明または第2発明におけるエンジンの出力制御および/または補助動力源の出力制御、並びに前記変速制御のうち、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるようエンジン出力制御系および/または補助動力源出力制御系の制御目標値を補正する場合に、過渡目標車軸駆動力に対応する要求馬力をもとに前記目標エンジン出力を求めるか、または過渡目標車軸駆動力を、この過渡目標車軸駆動力から求めた目標変速比で除算して前記目標エンジン出力を演算し、該目標エンジン出力を変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるよう補正するから、当該補正のための手段が必要ではあるものの、第3発明とは別の型式により確実に上記車軸駆動力偏差分の相殺を実現することができて有利である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態になる駆動力制御装置を具えた車両のパワートレーンとその制御系を示し、該パワートレーンをエンジン1と無段変速機2とで構成する。エンジン1は内燃機関で構成するも、運転者が操作するアクセルペダル3にリンク連結せず、これから切り離されて、ステップモータ4により開度を電子制御されるようにしたスロットルバルブ5を具え、ステップモータ4を目標スロットル開度(TVO* )指令に対応した回転位置にすることでスロットルバルブ5を目標スロットル開度TVO* にして、エンジン1の出力を、アクセルペダル操作以外の因子によっても制御し得るようなものとする。
【0034】無段変速機2は周知のVベルト式無段変速機とし、トルクコンバータ6を介してエンジン1の出力軸に駆動結合されたプライマリプーリ7と、これに整列配置したセカンダリプーリ8と、これら両プーリ間に掛け渡したVベルト9とを具える。そして、セカンダリプーリ8にファイナルドライブギヤ組10を介してディファレンシャルギヤ装置11を駆動結合し、これらにより図示せざる車輪を回転駆動するものとする。
【0035】無段変速機2の変速のために、プライマリプーリ7およびセカンダリプーリ8のそれぞれのV溝を形成するフランジのうち、一方の可動フランジを他方の固定フランジに対して相対的に接近してV溝幅を狭めたり、離反してV溝幅を広め得るようにし、両可動フランジを、目標変速比(i* )指令に応動する油圧アクチュエータ12からのプライマリプーリ圧Ppri およびセカンダリプーリ圧Psec に応じた位置に変位させることで、無段変速機2を実変速比が目標変速比i* に一致するよう無段変速させ得るものとする。
【0036】目標スロットル開度TVO* および目標変速比i* はそれぞれ、コントローラ13により演算して求めることとする。これがためコントローラ13には、アクセルペダル3の踏み込み位置(アクセル踏量)APSを検出するアクセル踏量センサ14からの信号と、スロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ16からの信号と、プライマリプーリ7の回転数(プライマリ回転数)Npri を検出するプライマリプーリ回転センサ17からの信号と、セカンダリプーリ8の回転数(セカンダリ回転数)Nsec を検出するセカンダリプーリ回転センサ18からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ19からの信号とをそれぞれ入力する。
【0037】コントローラ13はこれら入力情報を基に、図2に機能別ブロック線図で示すように無段変速機2の変速制御およびエンジン1のスロットル開度制御を以下のごとくに行って、本発明が狙いとする車両の駆動力制御を実行する。図2に示す駆動力制御装置は、図10に示すものに本発明による改良を付加したものである。要求車軸駆動力演算部21では、センサ14により検出したアクセル踏量APSおよびセンサ19により検出した車速VSPを基に、例えば前記特開平7−172217号公報に記載されている方法により、車両の運転状態や走行条件に応じた必要最小限の要求車軸駆動力TS を求める。
【0038】過渡目標車軸駆動力演算部26では、要求車軸駆動力TS を所定の過渡特性に対応したフィルタに通して、当該要求車軸駆動力TS を所定の経時変化で実現させるための時々刻々の過渡目標車軸駆動力TSTを算出する。
【0039】他方で車軸回転数演算部22は、センサ18により検出したセカンダリ回転数Nsec 、つまり変速機出力回転数を、ファイナルドライブギヤ組10のギヤ比(ファイナルドライブギヤ比)iF で除算することによって、現在の車軸回転数NS を求める。そして要求馬力演算部23は、上記のようにして夫々求めた過渡目標車軸駆動力TSTと車軸回転数NS との乗算により要求馬力HPS を算出する。
【0040】変速機目標入力回転数演算部24では、実験などにより予め求めた図7に例示するエンジンの特性線図を基に、上記算出した要求馬力HPS (過渡目標車軸駆動力TST)を最低燃費で発生させるためのエンジン回転数Ne の目標値Ne * を求め、次に目標エンジン回転数Ne * に対応した変速機目標入力回転数(目標プライマリ回転数)Npri * を求める。
【0041】ここで図7は、エンジン回転数Ne と、エンジン出力(トルク)Te との関係を、燃料消費率が同じになる等燃費線αとして、また、出力馬力が同じになる等馬力線βとして示し、更に各等馬力線β上で最も燃料消費率が良くなる点を結んだ最低燃費線をδにより示したものである。図7上において、要求馬力HPS に対応した1本の等馬力線βと最低燃費線δとの交点が例えば図7のZ点であるとすると、当該要求馬力HPS を最低燃費で発生させるための目標エンジン回転数Ne * は、図7に示すようにZ点から横軸に下ろした目盛り値として求めることができる。
【0042】なお無段変速機搭載車においては、動力伝達中の大半時間に亘りトルクコンバータ6を、入出力要素間が直結されたロックアップ状態にしているため、本実施の形態では変速機目標入力回転数Npri * を目標エンジン回転数Ne * に便宜上同じ値として取り扱うこととする。
【0043】変速機目標入力回転数Npri * は目標変速比演算部25に入力され、この演算部25は、当該変速機目標入力回転数Npri * を変速機出力回転数Nsec で除算することにより、変速機目標入力回転数Npri * に対応した目標変速比i* を求めて図1のように油圧アクチュエータ12に出力し、無段変速機2を目標変速比i* が達成されるよう、つまり目標入力回転数Npri * が達成されるよう変速制御する。
【0044】車輪駆動系実変速比演算部27では、センサ17で検出したプライマリプーリ回転数(変速機入力回転数)Npri を前記の車軸回転数NS で除算することにより車輪駆動系実変速比iT を演算し、目標エンジン出力演算部28では、過渡目標車軸駆動力演算部26において前記のごとくに求めた過渡目標車軸駆動力TSTを車輪駆動系実変速比iT で除算することにより、過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で実現するための目標エンジン出力(トルク)Te * を求める。ここで目標エンジン出力(トルク)Te * は、図7に例示するとZ点から縦軸に下した線のトルク目盛り値に相当する値となる。
【0045】ところで目標エンジン出力Te * を求めるに際し、上記の通り実際の変速比である車輪駆動系実変速比iT を用いていることから、目標エンジン出力Te * の演算に変速応答遅れ分が既に考慮されていることになる。つまり、目標エンジン出力Te * が変速応答遅れによる過渡目標車軸駆動力TSTの変化遅れを補償するよう増減されており、変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTは逐一忠実に実現され得る。なおエンジン出力制御の応答遅れは変速制御の応答遅れに比べて遥かに小さく、エンジン出力制御の応答遅れが過渡目標車軸駆動力TSTの忠実な実現を妨げることはほとんどない。
【0046】ここで過渡目標車軸駆動力TSTの忠実な実現は、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御の応答遅れに対して著しく大きい場合、アクセル踏量の急増などにより要求車軸駆動力TS 、従って過渡目標車軸駆動力TSTが急増する時、これに大きな変速応答の遅れ分が上乗せされることもあってエンジン出力の急増を惹起し、車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化を生ずることがある。
【0047】この問題解決のため本実施の形態においては特に、演算部28からの目標エンジン出力Te * をそのままエンジン出力制御に用いず、それに先立ち目標エンジン出力Te * を変速遅れ分補正量調整部29に入力し、ここで、上記したごとく目標エンジン出力Te * に含まれる変速制御応答遅れ分(相殺用)補正量を、目標エンジン出力Te * が問題となるようなエンジン出力の急増を惹起することのないように調整して補正済目標エンジン出力TeTとする。
【0048】上記のようにして求めた補正済目標エンジン出力TeTは目標スロットル開度演算部30に入力され、この演算部30は、当該補正済目標エンジン出力TeTが発生するような目標スロットル開度TVO* を求めて図1に示すようにステップモータ4に出力し、スロットルバルブ5を目標スロットル開度TVO* となるよう開度制御する。
【0049】以上のような本実施の形態によれば、要求車軸駆動力TS を演算部26において定めた過渡特性で達成するための過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で発生させるような態様で無段変速機の変速制御(i* )およびエンジンのスロットル開度制御(TVO* )を行うことができる。そしてこの際、実際の変速比である車輪駆動系実変速比iT を用いて目標エンジン出力Te * 求めるために、この目標エンジン出力Te * がそれ自体で、エンジン出力制御よりも応答遅れの大きな変速制御の応答遅れ分を既に考慮されたものとなり、換言すれば目標エンジン出力Te * が、変速応答遅れによる過渡目標車軸駆動力TSTの変化遅れを補償するよう増減補正されたものとなり、これに基づくスロットル開度制御(エンジン出力制御)および目標変速比i* に基づく変速制御により、上記の変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTを逐一忠実に実現することができる。
【0050】これがため、エンジン出力制御の応答遅れに対して変速制御の応答遅れが著しく大きい場合、アクセル踏量の急増などにより要求車軸駆動力TS 、従って過渡目標車軸駆動力TSTが急増する時、本来なら、これに大きな変速応答の遅れ分が上乗せされることもあってエンジン出力の急増を惹起し、車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化を生ずるところながら、本実施の形態においては特に、演算部28からの目標エンジン出力Te * をそのままエンジン出力制御に用いず、ブロック29において、上記したごとく目標エンジン出力Te * に含まれる変速制御応答遅れ分(相殺用)補正量を、目標エンジン出力Te * が上記した問題となるようなエンジン出力の急増を惹起することのないように調整した(目標エンジン出力Te * の変化割合を調整した)補正済目標エンジン出力TeTを求め、これをスロットル開度制御(エンジン出力制御)に資するため、エンジン出力の問題となるような急増を防止することができ、これが原因で車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化が生ずるのを回避することができる。
【0051】なお、上記実施の形態においてはエンジン出力制御の応答遅れよりも変速制御の応答遅れの方が大きい場合について説明したが、逆に変速制御の応答遅れよりエンジン出力制御の応答遅れの方が大きい場合も同様の考え方により同様の目的を達成し得ることは言うまでもない。
【0052】図3は本発明の他の実施の形態を示し、当該図3に示す駆動力制御装置は、図11に示すものに本発明による改良を付加したものである。本実施の形態においては変速機目標入力回転数Npri * および目標エンジン出力Te * を、前記実施の形態とは異なり以下のように求める。要求車軸駆動力演算部21でアクセル踏量APSおよび車速VSPを基に求めた必要最小限の要求車軸駆動力TS を、過渡目標車軸駆動力演算部26において設定した所定の過渡特性で発生させるための過渡目標車軸駆動力TSTを変速機目標入力回転数演算部33に入力し、この演算部33には更にセンサ19からの車速検出値VSPを入力する。
【0053】変速機目標入力回転数演算部33では、過渡目標車軸駆動力TSTおよび車速VSPから、エンジンの特性線図に基づき以下のごとくに求めた例えば図9に示すデータに対応するマップを基に、現在の車速VSPのもと上記過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で発生させるためのエンジン回転数Ne の目標値Ne * を求め、次にこの目標エンジン回転数Ne * に対応した変速機目標入力回転数(目標プライマリ回転数)Npri * を求めて、演算部25における目標変速比i* の演算に資する。
【0054】ここで図9のデータを説明するに、このデータは図7に示すエンジンの特性線図から以下のごとくに求めた、車速VSPと、車軸駆動力TS と、エンジン回転数Ne との関係とする。図7は既に前記したが、エンジン回転数Ne と、エンジン出力(トルク)Teとの関係を、燃料消費率が同じになる等燃費線αとして、また、出力馬力が同じになる等馬力線βとして示し、更に各等馬力線β上で最も燃料消費率が良くなる点を結んだ最低燃費線をδにより示したものである。図7に示す最低燃費線δ上の個々の点を図8のごとく、変速比(これに関する係数も含む)によってエンジン回転数Ne を車速VSPに、またエンジン出力(トルク)Te を車軸駆動力TS に置き換えた2次元座標上に移記し、変速比ごとの最低燃費となる車速VSPとエンジン出力(トルク)Te の組み合わせを求めると、図8に示す通りのものとなる。
【0055】そして、変速比ごとの特性線図上にエンジン回転数Neが等しくなる点をプロットすると、或るエンジン回転数Ne の場合、図8にAで示すごときものとなり、これらの点を結んで、エンジン回転数Ne ごとに車速VSPおよび車軸駆動力TS の関係を示すと、図7の最低燃費線δは図9に示すような線で表すことができる。なお図9においては便宜上、エンジン回転数Ne を目標エンジン回転数Ne *として表記し、また、車軸駆動力TS に過渡目標車軸駆動力TSTを併記して示した。かかる車速VSPと、過渡目標車軸駆動力TSTと、目標エンジン回転数Ne *との関係を表すデータによれば、現在の車速VSPと過渡目標車軸駆動力TSTとの組み合わせが例えば点Zに対応したものである場合について説明すると、当該車速VSPのもとで過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で発生させるための目標エンジン回転数Ne * は、図9におけるZ点を通る線に係わるパラメータ値(エンジン回転数)として求めることができる。なお無段変速機搭載車においては、動力伝達中の大半時間に亘りトルクコンバータ6を、入出力要素間が直結されたロックアップ状態にしているため、図示する実施の形態においては図10に示したが、前記の変速機目標入力回転数(目標プライマリ回転数)Npri * を目標エンジン回転数Ne * に同じ値として取り扱うこととする。
【0056】他方で本実施の形態においては、図2の場合とは異なり変速遅れ分補正量調整部を31で示すように目標エンジン出力演算部28の前段に配置する。従って本実施の形態では、図2の実施形態のように目標エンジン出力Te * 自身ではなく、これを求める時の資料である過渡目標車軸駆動力TSTを、図2の変速遅れ分補正量調整部29によると同様の趣旨により、変速応答遅れによる車軸駆動力の過渡的な過不足が解消されるための補正量の調整により補正して補正済過渡目標車軸駆動力TSCとする。
【0057】次いで目標エンジン出力演算部28において当該補正済過渡目標車軸駆動力TSCを車輪駆動系実変速比iT で除算することにより、この補正済過渡目標車軸駆動力TSCを最低燃費で実現するための目標エンジン出力(トルク)Te * を求め、この目標エンジン出力(トルク)Te * をもとに目標スロットル開度演算部30では、当該目標エンジン出力(トルク)Te * が発生するような目標スロットル開度TVO* を求めて図1に示すようにステップモータ4に出力し、スロットルバルブ5を目標スロットル開度TVO* となるよう開度制御する。
【0058】以上のような本実施の形態においても、要求車軸駆動力TS を演算部26において定めた過渡特性で達成するための過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で発生させるような態様で無段変速機の変速制御(i* )およびエンジンのスロットル開度制御(TVO* )を行うことができる。そしてこの際、実際の変速比である車輪駆動系実変速比iT を用いて目標エンジン出力Te * を求めるために、この目標エンジン出力Te * がそれ自体で、エンジン出力制御よりも応答遅れの大きな変速制御の応答遅れ分を既に考慮されたものとなり、従って目標エンジン出力Te * が、変速応答遅れによる過渡目標車軸駆動力TSTの変化遅れを補償するよう増減補正されたものとなり、これに基づくスロットル開度制御(エンジン出力制御)および目標変速比i* に基づく変速制御により、上記の変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTを逐一忠実に実現することができる。
【0059】さらに過渡目標車軸駆動力TSTを変速遅れ分補正量調整部31において、図2の変速遅れ分補正量調整部29によると同様の趣旨をもって、つまり目標エンジン出力Te * が問題となるようなエンジン出力の急増を惹起することのないようにするという趣旨で、変速応答遅れによる車軸駆動力の過渡的な過不足が解消されるための補正量の調整により補正して補正済過渡目標車軸駆動力TSCを求め、これを目標エンジン出力Te * の演算に資するため、エンジン出力制御の応答遅れに対して変速制御の応答遅れが著しく大きい場合において、アクセル踏量の急増などにより要求車軸駆動力TS 、従って過渡目標車軸駆動力TSTが急増する時でも、エンジン出力の問題となるような急増を防止することができ、これが原因で車体や駆動系のねじり共振などによる運転性の悪化が生ずるのを回避することができる。
【0060】図4は本発明の更に他の実施の形態を示し、当該図4に示す駆動力制御装置は図11に示すものをもとにし、エンジンが電動機などの補助動力源40により補佐される場合において変速応答遅れ分を補償するようにすると共に、そのための補正量を問題となるようなエンジン出力の急増が生ずることのないよう調整する構成にしたものである。これがため本実施の形態においては、過渡目標車軸駆動力TSTをエンジン側と補助動力源側とに所定の比率で配分して、エンジン側目標駆動力TST1 および補助動力源側目標駆動力TST2 を求める駆動力分配量演算部41を設ける。
【0061】目標エンジン出力演算部28はエンジン側目標駆動力TST1 を車輪駆動系実変速比iT で除算することにより、エンジン側目標駆動力TST1 を発生させるための目標エンジン出力Te * を求め、変速遅れ分主補正量調整部42は図2における変速遅れ分補正量調整部29と同様のもので、目標エンジン出力Te * に前記のごとく自動的に内包される変速応答遅れ分(相殺用)補正量を、目標エンジン出力Te * が問題となるようなエンジン出力の急増を惹起することのないように調整して補正済目標エンジン出力TeTとする。
【0062】この補正済目標エンジン出力TeTをもとに目標スロットル開度演算部30では、当該補正済目標エンジン出力TeTが発生するような目標スロットル開度TVO* を求めて図1に示すようにステップモータ4に出力し、スロットルバルブ5を目標スロットル開度TVO* となるよう開度制御する。
【0063】他方で駆動力分配量演算部41からの補助動力源側目標駆動力TST2 は変速遅れ分補正量副調整部43に入力する。ここで変速遅れ分補正量副調整部43は図3における変速遅れ分補正量調整部31と同様なものとし、補助動力源側目標駆動力TST2 を、変速応答遅れによる車軸駆動力の過渡的な過不足分が演算部41での対応する分配比率と同じ割合で補償されるための補正量の調整により補正して目標補助駆動力TA * を求め、これを補助動力源40に入力する。
【0064】なお、変速遅れ分主補正量調整部42による調整量と、変速遅れ分補正量副調整部43による調整量とは、演算部41における分配比率に対応させ、両者の調整量の合計が丁度、問題となるようなエンジン出力の急増を生じさせないようなものとなるようにすること勿論である。
【0065】本実施の形態においては、エンジンおよび補助動力源40を個々に出力制御して合計出力を過渡目標車軸駆動力TSTに対応したものとなし、応答遅れの最も大きい変速制御の応答遅れに起因した車軸駆動力偏差分が相殺されるよう、エンジンおよび補助動力源40の制御目標値を補正することとなり、電動機などの補助動力源40からの動力によっても走行される車両において、上記図2および図3に示す実施の形態におけると同様の作用効果を得ることができる。
【0066】図5は本発明の更に別の実施形態を示し、当該図5に示す駆動力制御装置は、図12に示すものにおいて変速応答遅れ分を補償するようにすると共に、そのための補正量を問題となるようなエンジン出力の急増が生ずることのないよう調整する構成にしたものである。本実施の形態においては、図2における変速機目標入力回転数演算部24に代えて変速機目標入力回転数兼目標エンジン出力演算部47を設け、当該演算部47で、図7に対応したマップをもとに変速機目標入力回転数Npri * を求める時に、同じマップから目標エンジン出力Te * をも同時に求める。
【0067】ところで、かようにして目標エンジン出力Te * を求める場合、当該演算時に実変速比が関与していないことから、目標エンジン出力Te * が変速応答遅れによる駆動力の過渡的な過不足分を含んでおらず、過渡目標車軸駆動力TSTを忠実に実現することが困難で、その実現が変速応答遅れに伴って遅れる。そこで本実施の形態においては、目標エンジン出力Te * を先ず変速遅れ分補正部32に入力する。この補正部32は、無段変速機の変速がアップシフトである場合、当該変速の応答遅れが車軸駆動力の低下遅れをもたらすことから、車軸駆動力の過渡的な過剰分だけエンジン出力制御量(目標スロットル開度TVO* )が低下されるよう目標エンジン出力Te * を低下させて補償済目標エンジン出力TeHとし、逆に無段変速機の変速がダウンシフトである場合、当該変速の応答遅れが車軸駆動力の増大遅れをもたらすことから、車軸駆動力の過渡的な不足分だけエンジン出力制御量(目標スロットル開度TVO* )が増大されるよう目標エンジン出力Te * を上昇させて補償済目標エンジン出力TeHとするものである。
【0068】かかる補償済目標エンジン出力TeHは上記補正の結果、変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTを忠実に実現することを可能にするが、その反面、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合における前記の懸念、つまり、アクセル踏量の急増などにより過渡目標車軸駆動力TSTが急増した時にエンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などが発生し、運転性の悪化を生じさせるという懸念を生じさせる。
【0069】そこで、上記の補償済目標エンジン出力TeHを更に図2におけると同様な変速遅れ分補正量調整部29で補正した後の補正済目標エンジン出力TeTを演算部30における目標スロットル開度TVO* の演算資料とするようになす。よって本実施の形態においても、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合における上記の懸念、つまり、アクセル踏量の急増などにより過渡目標車軸駆動力TSTが急増した時にエンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などが発生して運転性を悪化させるという懸念をなくすことができる。
【0070】図6は本発明の更に他の実施の形態を示し、当該図6に示す駆動力制御装置は、図13に示すものにおいて変速応答遅れ分を補償するようにすると共に、そのための補正量を問題となるようなエンジン出力の急増が生ずることのないよう調整する構成にしたものである。本実施の形態においては、変速機目標入力回転数Npri * を図3におけると同様に求めるが、目標スロットル開度TVO* を以下のようにして求める。
【0071】つまり、車輪駆動系目標変速比演算部45で上記の変速機目標入力回転数Npri * を前記の車軸回転数NS で除算することにより車輪駆動系目標変速比iT *を演算し、目標エンジン出力演算部28において、演算部26からの過渡目標車軸駆動力TSTを車輪駆動系目標変速比iT * で除算することにより、過渡目標車軸駆動力TSTを最低燃費で実現するための目標エンジン出力(トルク)Te * を算出する。
【0072】ところで、かようにして目標エンジン出力Te * を求める場合、当該演算時に目標変速比iT * が用いられ実変速比が関与していないことから、目標エンジン出力Te * が変速応答遅れによる駆動力の過渡的な過不足分を含んでおらず、過渡目標車軸駆動力TSTを忠実に実現することが困難で、その実現が変速応答遅れに伴って遅れる。そこで本実施の形態においては、目標エンジン出力Te * を先ず変速遅れ分補正部46に入力する。この補正部46は、無段変速機の変速がアップシフトである場合、当該変速の応答遅れが車軸駆動力の低下遅れをもたらすことから、車軸駆動力の過渡的な過剰分だけエンジン出力制御量(目標スロットル開度TVO* )が低下されるよう目標エンジン出力Te * を低下させて補償済目標エンジン出力TeHとし、逆に無段変速機の変速がダウンシフトである場合、当該変速の応答遅れが車軸駆動力の増大遅れをもたらすことから、車軸駆動力の過渡的な不足分だけエンジン出力制御量(目標スロットル開度TVO* )が増大されるよう目標エンジン出力Te * を上昇させて補償済目標エンジン出力TeHとするものである。
【0073】かかる補償済目標エンジン出力TeHは上記補正の結果、変速応答遅れにもかかわらず過渡目標車軸駆動力TSTを忠実に実現することを可能にするが、その反面、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合における前記の懸念、つまり、アクセル踏量の急増などにより過渡目標車軸駆動力TSTが急増した時にエンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などが発生し、運転性の悪化を生じさせるという懸念を生じさせる。
【0074】そこで、上記の補償済目標エンジン出力TeHを更に図2におけると同様な変速遅れ分補正量調整部29で補正した後の補正済目標エンジン出力TeTを演算部30における目標スロットル開度TVO* の演算資料とするようになす。よって本実施の形態においても、変速制御の応答遅れがエンジン出力制御のそれに対して著しく大きい場合における上記の懸念、つまり、アクセル踏量の急増などにより過渡目標車軸駆動力TSTが急増した時にエンジン出力の急増で車体や駆動系のねじり共振などが発生して運転性を悪化させるという懸念をなくすことができる。




 

 


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