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発明の名称 血中吸光物質濃度測定装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−37371(P2000−37371A)
公開日 平成12年2月8日(2000.2.8)
出願番号 特願平10−209564
出願日 平成10年7月24日(1998.7.24)
代理人 【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
【テーマコード(参考)】
2G059
4C038
【Fターム(参考)】
2G059 AA06 BB13 EE01 EE02 EE11 GG02 GG03 HH01 HH02 HH06 MM01 MM09 MM20 NN10 
4C038 KK01 KL07 KM01 KX02
発明者 青柳 卓雄 / 金本 理夫 / 布施 政好
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 生体組織に複数個の波長の光を照射して得られる組織透過光または反射光の脈動に基づいて、血中の複数の吸光物質の濃度比を測定する血中吸光物質濃度測定装置において、組織透過光または反射光の減光度変化分を求める減光度変化分検出手段と、この減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分の所定の2波長分ΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段と、この加重減算波形計算手段が求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小または極大をとるK の値を求める加重値検出手段と、この加重値検出手段が求めたK の値からΦ=K/(1-K)を求めるΦ計算手段と、このΦ計算手段が求めたΦに基づいて血中吸光物質の濃度比を計算する濃度比計算手段と、を具備することを特徴とする血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項2】 生体組織に複数個の波長の光を照射して得られる組織透過光または反射光の脈動に基づいて、血中の複数の吸光物質の濃度比を測定する血中吸光物質濃度測定装置において、組織透過光または反射光の減光度変化分を求める減光度変化分検出手段と、この減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分の所定の2波長分ΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段と、この加重減算波形計算手段が求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小または極大となるK の値を求める加重値検出手段と、前記減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分を通過させるフィルタと、前記加重値検出手段が求めたK の値における加重減算波形について周波数分析を行い、その分析結果に基づいて前記フィルタの通過帯域を決定する通過帯域決定手段と、前記フィルタの2つの出力それぞれの減光度変化分の比Φを求めるΦ計算手段と、このΦ計算手段が求めたΦに基づいて血中吸光物質の濃度比を計算する濃度比計算手段と、を具備することを特徴とする血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項3】 通過帯域決定手段は、前記減光度変化分検出手段が求めたΔA2、ΔA3の原波形の周波数分析を行い、またパワーが極小または極大となるK における加重減算波形の周波数分析を行い、両者を対比し、これに基づいて通過帯域を決定することを特徴とする請求項2に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項4】 周波数分析は、一定区間について、一定サンプル個数毎に移動平均をとり、サンプル個数の異なる2つの移動平均波形の差波形を求め、これに基づいてその帯域のパワーを計算することを特徴とする請求項2または3記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項5】 フィルタは、一定区間について、一定サンプル個数毎に移動平均をとり、そのまま、またはサンプル個数の異なる2つの移動平均波形の差波形を求めることを特徴とする請求項2に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項6】 用いる波長は3波長以上であり、通過帯域決定手段は、その内の2波長に基づいてフィルタの通過帯域を決定し、この通過帯域のフィルタにΔA2、ΔA3以外の波長についての減光度変化分を通過させることを特徴とする請求項2に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項7】 加重値検出手段は、本装置が連続測定を行う場合にある区間について求めたK の値をKaとすると次の区間についてはKaの近辺の加重減算波形のパワーを求め、パワーの極小または極大におけるK の値を求め、これを新しいKaとすることを特徴とする請求項1または2に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項8】 加重値検出手段は、複数個のK の値それぞれに対する複数個の加重減算波形についてパワーを求め、これに基づいてパワーが極小または極大になるK の値を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項9】 濃度比計算手段が求める血中吸光物質の濃度比は、動脈血の酸素飽和度またはその他の血中吸光物質濃度比であることを特徴とする請求項1、2または7に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
【請求項10】 濃度比計算手段が求める血中吸光物質の濃度比は、静脈血の酸素飽和度またはその他の血中吸光物質濃度比であることを特徴とする請求項1、2または7に記載の血中吸光物質濃度測定装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパルスオキシメータのように、生体組織の透過光または反射光の脈動に基づいて、血中の複数の吸光物質の濃度比を無侵襲連続測定する血中吸光物質濃度測定装置に関する。本発明はその他、血中色素濃度測定による色素希釈曲線の測定、その他の血中吸光物質の測定一般に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置は、体動により脈波が乱されて測定誤差を生じる問題があった。また、脈波が小であって、外部に起因する雑音および装置自身に起因する雑音により測定誤差を生ずる問題があった。この種の装置の用途、応用が拡大するにつれこれが大きな問題となってきた。
【0003】これらの問題の対策として、(1)Φ列を修正する方式があるが、効果が限られている。(2)ECG同期で脈波を加算平均する方法があるが、ECGの同時測定が必要であり、しかも測定結果が遅く出るという欠点がある。(3)いわゆるアダプティブフィルタ(adaptive-filter )方式があるが、これは演算が複雑であり、即応が不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の体動対策の欠点に鑑みなされたもので、その目的は、この種測定装置において、測定の遅れが少なく、計算が容易であり、多波長、多成分に適用が容易な体動対策を備えた装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ここで、2波長λ2 、λ3 の光を生体組織に照射した場合を考える。その組織透過光L2、L3の対数を求める。
ΔA2≡ΔLogL2 (1)ΔA3≡ΔLogL3 (2)は、血液を含む組織の減光度の変化分である。体動の無い場合はこれらはすべて動脈血の成分である。動脈血の成分をサフィックスaで示すなら、ΔA2= ΔAa2 (3)ΔA3= ΔAa3 (4)である。両者の比を次のように定義する。
Φa ≡ΔAa3 /ΔAa2 (5)【0006】この種測定装置による動脈血中の吸光物質の濃度比の測定、例えば動脈血の酸素飽和度の測定や色素希釈曲線の測定は、このΦに基づいて行なわれるものである。従って、ΔA2やΔA3にアーテファクトまたは雑音が加わると、目的とする動脈血の情報が乱されて、測定に誤差が生じる。
【0007】アーテファクトの原因には次のようなものがある。
(1)光学系の歪み:これは、プローブにおいて発光と受光との位置関係の変動によるものである。これによる透過光の変動比は全波長に共通である。これは、プローブと生体との密着を例えば両面粘着テープ等で良くすれば、大幅に低減できる。
【0008】(2)静脈血の厚みの変動:体動アーテファクトの原因は体に加わる加速度である。静脈血管は柔らかく、静脈血液の充満度も低いので、加速度によって血管内の静脈血は容易に移動する。これがアーテファクトの原因になる。なぜなら、酸素飽和度の測定においては、動脈血と静脈血とは酸素飽和度が異なるからであり、また、色素希釈曲線の測定においては、血中色素濃度は動脈血と静脈血とで異なるからである。ここで静脈血の成分をサフィックスvで示し、組織内の静脈血の量の変動による組織減光度の変化分をΔAv2 、ΔAv3 とし、両者の比をΦv ≡ΔAv3 /ΔAv2 (6)と定義する。
【0009】(3)動脈血の厚みの変動:動脈血は血管内の充満度が高いので、加速度による移動は少ない。しかも、もし体動で脈波波形が歪んでも、Φ計算に影響しないようにすることは容易である。例えば、2波長の脈波の相互間の回帰直線を求めれば、その傾斜としてΦa=ΔAa3 /ΔAa2 (7)が得られる。
【0010】(4)血液以外の組織の厚みの変動:組織内の血液の移動においては、血液以外の組織の厚みの変動も当然に生じ、これが脈波を歪ませる。しかし、血液に比して吸光が少ないから、影響は小である。パルスオキシメータでは3波長の光を用いて血液以外の組織の影響を低減することができるが、その際にアーテファクトとしての血液以外の組織の厚みの変動の影響も低減される。
【0011】(5)雑音:装置内部、周囲環境、による雑音である。
本発明はこのようなアーテファクトまたは雑音に影響されないようにするためになされたものであり、以下にその原理を説明する。
【0012】動脈血の脈動に静脈血の変動が重畳した場合は(5) 式および(6) 式より次のように書ける。
ΔA2= ΔAa2+ΔAv2 (8) ΔA3= ΔAa3+ΔAv3=Φa ΔAa2+Φv ΔAv2 (9) 次のように定義する。
ΔA32 ≡ΔA3(1-K)-ΔA2K=[ Φa ΔAa2+Φv ΔAv2](1-K)-[ ΔAa2+ΔAv2]K =ΔAa2[Φa(1-K)-K]+ΔAv2[Φv(1-K)-K] (10)K=0 〜1 とする。これにより、ΔA32=ΔA3〜 -ΔA2 となる。
M ≡K/(1-K) (11)と定義すると、K=0 〜1 において、M=0 〜∞になる。(10)式は次のようになる。
ΔA32=[ ΔAa2(Φa-M)+ ΔAv2 ( Φv-M)](1-K) (12)【0013】もしM=Φa ならば ΔA32=ΔAv2(Φv-Φa )(1-K) (13)これは静脈血分の波形である。もしM=Φv ならば ΔA32=ΔAa2(Φa-Φv )(1-K) (14)これは動脈血分の波形である。
【0014】仮に、λ2=900nm,λ3=660nm とすると、Φa <Φv 、従って、もしM=Φa ならば ΔA32 >0 ;もしアーテファクトが無ければこの値は0もしM=Φv ならば ΔA32 <0【0015】ΔA32 は、K が0 から増加する場合には減少する。K が増加を続けてM=Φa になった場合には、 ΔA32=ΔAv2(Φv-Φa)(1-K) >0 (15)これは静脈血の波形であり、静脈血の変動が無ければ一般的な雑音である。
【0016】K が更に増加を続けてM=Φv になった場合には、 ΔA32=ΔAa2(Φa-Φv)(1-K) <0 (16)これは動脈血の波形である。
【0017】上記の式中のΔAv2 とΔAa2 との大小関係は、アーテファクトの大きさが小ならΔAv2 <ΔAa2 、アーテファクトの大きさが大ならΔAv2 >ΔAa2 である。M=Φa からM=Φv に至る途中でΔA32 の極性が反転する。
【0018】従って、K の増加におけるΔA32 のパワーの変化は、(1)M=Φa において極小となり、(2)M=Φv においては、アーテファクトが小なら極大、アーテファクトが大なら極小になる。いずれにしろ、最初の極小はM=Φa の場合である。ただしこの前提としては前記のような波長の選定がある。
【0019】以上の考察により、体動がある場合に動脈血成分のΦa を正しく求める方法は、次の2つが考えられる。
(1)ΔA32 が動脈血成分の無いものとなる極小点を求め、その場合のM=Φa を得る。
(2)ΔA32 が動脈血成分の無いものとなる極小点を求め、その場合のΔA32 の周波数分析をし、一方、原波形ΔA2またはΔA3の周波数分析をし、両者の比較に基づいて雑音およびアーテファクトの周波数成分を把握し、これに基づいて通過帯域が決定されたフィルタに原波形を通すことにより、脈波のSNを改善する。ただし、異なるΔA32 の周波数分析の結果を対比するには、パワーの大きさは標準化した値とすることが必要である。その標準化の方法は、例えば、周波数帯域の内の最も高い周波数帯域は、雑音成分のものであって、信号の光波長によらないものであるから、そこにおけるパワーを各波形で等しいとして、標準化する。
【0020】また、光波長がいくつであっても、適当な2波長を用いてフィルタの通過帯域を決定すると、他の波長の減光度の変化分もこのフィルタを通せばアーテファクトやその他の雑音が除去される。
【0021】また、体動があると、ΔA32 のパワーはM=Φv となるK で極大値または極小値をとるので、M=Φv となる点を検出できる。このΦv から静脈血の情報を得ることができる。例えば酸素飽和度の測定においては、静脈血の酸素飽和度を求めることができる。これは組織における酸素の需要供給を示すパラメータとして有用である。また、例えば色素希釈曲線の測定において、意図的に体動を加えて静脈における色素希釈曲線を同時測定することができる。以上の原理に基づき、本発明は以下の構成とした。
【0022】請求項1の発明は、生体組織に複数個の波長の光を照射して得られる組織透過光または反射光の脈動に基づいて、血中の複数の吸光物質の濃度比を測定する血中吸光物質濃度測定装置において、組織透過光または反射光の減光度変化分を求める減光度変化分検出手段と、この減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分の所定の2波長分ΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段と、この加重減算波形計算手段が求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小または極大をとるK の値を求める加重値検出手段と、この加重値検出手段が求めたK の値からΦ=K/(1-K)を求めるΦ計算手段と、このΦ計算手段が求めたΦに基づいて血中吸光物質の濃度比を計算する濃度比計算手段とを具備することを特徴とする。
【0023】請求項2の発明は、生体組織に複数個の波長の光を照射して得られる組織透過光または反射光の脈動に基づいて、血中の複数の吸光物質の濃度比を測定する血中吸光物質濃度測定装置において、組織透過光または反射光の減光度変化分を求める減光度変化分検出手段と、この減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分の所定の2波長分ΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段と、この加重減算波形計算手段が求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小または極大となるK の値を求める加重値検出手段と、前記減光度変化分検出手段が求めた減光度変化分を通過させるフィルタと、前記加重値検出手段が求めたK の値における加重減算波形について周波数分析を行い、その分析結果に基づいて前記フィルタの通過帯域を決定する通過帯域決定手段と、前記フィルタの2つの出力それぞれの減光度変化分の比Φを求めるΦ計算手段と、このΦ計算手段が求めたΦに基づいて血中吸光物質の濃度比を計算する濃度比計算手段とを具備することを特徴とする。
【0024】請求項3の発明は、請求項2に記載の装置において、通過帯域決定手段は、前記減光度変化分検出手段が求めたΔA2、ΔA3の原波形の周波数分析を行い、またパワーが極小または極大となるK における加重減算波形の周波数分析を行い、両者を対比し、これに基づいて通過帯域を決定することを特徴とする。
【0025】請求項4の発明は、請求項2または3記載の装置において、周波数分析は、一定区間について、一定サンプル個数毎に移動平均をとり、サンプル個数の異なる2つの移動平均波形の差波形を求め、これに基づいてその帯域のパワーを計算することを特徴とする。
【0026】請求項5の発明は、請求項2に記載の装置において、フィルタは、一定区間について、一定サンプル個数毎に移動平均をとり、そのまま、またはサンプル個数の異なる2つの移動平均波形の差波形を求めることを特徴とする。
【0027】請求項6の発明は、請求項2に記載の装置において、用いる波長は3波長以上であり、通過帯域決定手段は、その内の2波長に基づいてフィルタの通過帯域を決定し、この通過帯域のフィルタにΔA2、ΔA3以外の波長についての減光度変化分を通過させることを特徴とする。
【0028】請求項7の発明は、請求項1または2に記載の装置において、加重値検出手段は、本装置が連続測定を行う場合にある区間について求めたK の値をKaとすると次の区間についてはKaの近辺の加重減算波形のパワーを求め、パワーの極小または極大におけるK の値を求め、これを新しいKaとすることを特徴とする。
【0029】請求項8の発明は、請求項1または2に記載の装置において、加重値検出手段は、複数個のK の値それぞれに対する複数個の加重減算波形についてパワーを求め、これに基づいてパワーが極小または極大になるK の値を推定することを特徴とする。
【0030】請求項9の発明は、請求項1、2または7に記載の装置において、濃度比計算手段が求める血中吸光物質の濃度比は、動脈血の酸素飽和度またはその他の血中吸光物質濃度比であることを特徴とする。
【0031】請求項10の発明は、請求項1、2または7に記載の装置において、濃度比計算手段が求める血中吸光物質の濃度比は、静脈血の酸素飽和度またはその他の血中吸光物質濃度比であることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明のパルスオキシメータの全体構成の一例を図1(a)に示す。この装置は、プローブ1と装置本体2とから成る。
【0033】プローブ1は、光を発生する光照射部3と、受光部4とから成る。光照射部3は、LED から成る光源5を備えている。2個のLED は、それぞれ異なる波長λ2,λ3 の光を発生するものである。光照射部3と受光部4は生体組織を介して対向する状態に配置される。受光部4は、フォトダイオードから成り、光照射部3からの光を受け取り、電気信号に変換するものである。
【0034】装置本体2は、アナログ処理部7、A/D変換部8、光源駆動部9およびデジタル処理部10を備えている。アナログ処理部7は、受光部4の出力信号のノイズ除去や増幅を行なう回路であり、A/D変換部8は、アナログ処理部7の出力信号をデジタル信号に変換する回路である。光源駆動部9は、光源5のLED を駆動する回路である。デジタル処理部10は、コンピュータにより構成され、演算制御を行なうCPU(中央処理装置)と、処理プログラムが書き込まれており、また処理に必要なデータが書き込まれるメモリと、外部との信号の授受を行なうための入出力インタフェースを備えている。このデジタル処理部10は機能ブロックで示すと、A/D変換部8の出力からΦを計算するΦ計算部11、このΦ計算部11が求めたΦに基づいて動脈血の酸素飽和度SaO2を求める変換部12および本装置全体を制御する制御部13から成る。この様にして得られたSaO2の値は通常はSpO2と表記される。
【0035】Φ計算部11を更に詳しくすると、図1(b)に示すようになる。すなわち、2波長の組織透過光の減光度の変化分ΔA2、ΔA3を求める減光度変化分検出手段Aと、この減光度変化分検出手段Aが求めたΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段Bと、加重減算波形計算手段Bが求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小または極大をとるK の値を求める加重値検出手段Cと、加重値検出手段Cが求めたK の値からΦ=K/(1-K)を求めるΦ計算手段Dとから成る。
【0036】次にこのように構成された本装置の動作を説明する。図2はデジタル処理部10が行なう処理のフローチャートである。この図を参照して説明する。
【0037】本装置が動作開始となると、光照射部3は光を生体組織に照射する。そしてデジタル処理部10は、A/D変換部8からのデータの取り込みを開始する(ステップ101)。ここで得られるのは2波長λ2,λ3 の光による生体組織の透過光データである。
【0038】次に、2波長それぞれの透過光L2,L3 の対数を取りそれにより組織の減光度の変化分ΔA を求める(ステップ102)。すなわち、 ΔA3= ΔlogL3 (17) ΔA2= ΔlogL2 (18)を求める。
【0039】次に、K を最小値に設定する(ステップ103)。例えば、K を0 〜1 の範囲で変化させるとすると、K=0 とする。
【0040】次に、設定されたK の値におけるΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を求める(ステップ104)。
【0041】次に、求めたΔA32 を所定のフィルタに通してその低周波成分および高周波成分を除外する(ステップ105)。これは明らかなノイズを除外するためである。フィルタは例えば10点の移動平均波形と60点の移動平均波形との差をとるようにしても良い。
【0042】次に、ΔA32 のパワーを求め、その結果を記録する(ステップ106)。パワーは次のようにして求める。
ΔA32 のパワー= ΣΔA32 2 (20)次に、K を現在のK に所定変化分ΔK を加え、K=K+ΔK に設定する(ステップ107)。
【0043】次に、K の値が最大値になったかを判断する(ステップ108)。すなわち、上記の例ではK=1 になったかを判断する。未だK の値が最大値になっていないならば、ステップ104に戻る。K の値が最大値になっていれば、図3に示すようなK とパワーの関係が得られている。この後、ステップ109〜111の処理およびステップ112〜114の処理を行なう。
【0044】ステップ109ではΔA32 のパワーが最初に極小値をとるとき(K を0 から増加させた場合)のK を決定する(図3参照)。ステップ110ではそのK よりΦa=K/(1-K) を求め、ステップ111では求めたΦa より動脈血の酸素飽和度SaO2を求める。
【0045】組織の厚みの変動の個人差を無視する場合は2波長によって動脈血の酸素飽和度SaO2を求めることができる。Φa が次の理論式によって表わされ、Eo,Er,F は既知であるからである(特願平10-23048参照)。従って、次の式に求めたΦa を代入すればSaを求めることができる。
Φa=ΔAa3/ΔAa2=[{Ea3(Ea3+F)} 1/2 -Ex3]/[{Ea2(Ea2+F)} 1/2 -Ex2] (21) ここで、Ea3=SaEo3+(1-Sa)Er3 (22) Ea2=SaEo2+(1-Sa)Er2 (23)Eo2,Eo3;波長λ2,λ3 の酸化ヘモグロビンの吸光係数。
Er2,Er3;波長λ2,λ3 の還元ヘモグロビンの吸光係数。
F ; 散乱係数。
Sa; SaO2(動脈血の酸素飽和度)
Ex2,Ex3;波長λ2,λ3 の組織項(組織の影響を表わす項)
組織の厚みの脈動の個人差を無視する場合はこれらは実数とする。
【0046】一方、ステップ112ではΔA32 のパワーが極大値をとるK を決定し(図3参照)、ステップ113ではそのK よりΦv=K/(1-K) を求める。この例ではアーテファクトが小の場合であるからパワーが極大値をとるK を決定したが、アーテファクトが大の場合はパワーが極小値をとるK を決定する。いずれにしてもΦa=K/(1-K) のときのK よりも大きいK であって極値をとるときのK を求める。ステップ114では求めたΦv より静脈血の酸素飽和度SvO2を求める。Φv よりSvO2を求めるには次のようにする。
【0047】(21)式と同様にΦv が次の理論式によって表わされ、Eo,Er,F は既知であるからこの式にΦv を代入してSvを求める。
Φv=ΔAv3/ΔAv2=[{Ev3(Ev3+F)} 1/2 -Ex3]/[{Ev2(Ev2+F)} 1/2 -Ex2] (24) ここで、Ev3=SvEo3+(1-Sv)Er3 (25) Ea2=SvEo2+(1-Sv)Er2 (26)Sv;SvO2 (静脈血の酸素飽和度)
他の記号は前記の通り。
【0048】次に、上記実施の形態による実測例を示す。図4は2波長の組織透過光を対数変換した原波形であり、区間117-126secのデータである。この波形は組織の減光度の変化ΔA2, ΔA3を示している(ステップ101〜102)。プローブは指先用であり、被験者の指先にプローブを両面粘着テープで装着した。光波長はλ2=900nm,λ3=660nm とした。測定中は空気呼吸で動脈血の酸素飽和度はほぼ一定とした。117.5-119secでは手の甲に周期的な衝撃を加えた。
【0049】次に、ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を求めると、その実際例は図5および図6に示すようになる。
【0050】図5は、区間123-126secのものであって、アーテファクトの無い場合である。各小グラフの上部中央の2つの数字はK および1-K を示している。K=0 からK=1まで0.1 刻みでΔA32 波形を描いて、小グラフ1-11に示す。これを見ると、K=0.3 からK=0.4 の間でΔA32 が逆転している。その間を細かく示すものが小グラフ12-14 である。これを見ると、K=0.35において丁度、脈波成分が無くなり、雑音だけになっている。
【0051】このように、加重減算における加重K を順次増加してゆくと、ΔA32 のパワーが極小になる点があり、その場合のK について、Φ=K/(1-K)とした場合に、このΦは動脈血のΔA3/ ΔA2に相当するものであり、これをΦa とする(ステップ103〜110)。
【0052】動脈血の酸素飽和度の測定においては、このΦa を動脈血の酸素飽和度SaO2に変換し、これをSpO2として出力する(ステップ111)。このようにして、動脈血の酸素飽和度を求めることができる。なお、計算の対象とする区間は3secとしたが、これより大も小も取り得る。
【0053】図6は、区間117-120secのものであって、アーテファクトのある場合である。各小グラフの上部中央の2つの数字はK および1-K を示している。K=0 からK=1まで0.1 刻みでΔA32 波形を描いて、小グラフ1-11に示す。これを見ると、 K=0.3 からK=0.4 の間でΔA32 が逆転している。その間を細かく示すものが小グラフ12-14 である。これを見ると、K=0.35において丁度、脈波成分が無くなり、アーテファクトだけになっている。
【0054】このように、加重減算における加重K を順次増加してゆくと、ΔA32 のパワーが極小になる点があり、その場合のK について、Φ=K/(1-K)とした場合に、このΦは動脈血のΔA3/ ΔA2に相当するものであり、これをΦa とする(ステップ103〜110)。
【0055】動脈血の酸素飽和度の測定においては、このΦa を動脈血の酸素飽和度SaO2に変換し、これをSpO2として出力する(ステップ111)。このようにして、動脈血の酸素飽和度を求めることができる。
【0056】図6の小グラフ15の波形は、ΔA32 のパワーが極大になった場合のものであって、この点では静脈血の成分が消去されて動脈血成分のみとなった場合である。従ってこの点のΦは静脈血の酸素飽和度に対応したΦv である(ステップ112〜113)。
【0057】静脈血の酸素飽和度の測定においては、このΦv を静脈血の酸素飽和度SvO2に変換し、これを出力する(ステップ114)。このようにして、静脈血の酸素飽和度を求めることができる。
【0058】ΔA32 のパワーが極小または極大になるK を精度高く求めるには、K の増加分ΔK を十分に小にしなくてはならない。しかしそれは、計算ステップを多く必要とする。K を高精度でしかもステップ数を少なくする工夫として2つの方法がある。
【0059】1つは、ΔK を大きくしてKaを求め、次にΔK を小さくしてKaの近傍からより精度の高いKaを求める方法である。他の1つは、比較的大きなΔK としてΔA32のパワーを求め、K+ΔK とΔA32 のパワーとの関係から、パワーの極大極小値を推定する、という方法である。
【0060】上記の実施の形態において、連続測定を行なう場合、ステップ103〜109を次のようにしても良い。まず前回のΦa に対応するK をKaとしてこれを記憶しておき、次の新しい区間においてはK をKaの前後所定の幅で順次変化させてそれぞれのK についてΔA32 のパワーを求める。その中で最小のパワーとなるK の値を新しい区間のKaとする。このようにすることによって、計算時間を短縮できると共に、アーテファクトが大きい場合の異常な状態(パワーが極小値をとるのでΦa の点とΦv の点はいずれも極小となり混同する)を避けることができる。
【0061】また、測定対象が酸素飽和度ではなく、例えば色素希釈曲線の測定における血中色素濃度の測定である場合にも、パワーが極小となる点が動脈値のΦすなわちΦa に相当する。
【0062】また、2波長でなく多波長を使用した場合にも、適当な2波長づつの組み合わせについて前記のようにΦa を求め、これによって、アーテファクトの影響無く動脈血中の複数の吸光物質の濃度比を測定することができる(多波長を使用する例については、特願平7-4820, 特願平10-23048参照)。
【0063】次に第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の装置の全体構成は図1(a)に示した装置においてデジタル処理部10の中でΦ計算部が異なった構成となっている。Φ計算部の構成を図7に示す。この図に示すように、Φ計算部は、2波長の組織透過光の減光度の変化分ΔA2、ΔA3を求める減光度変化分検出手段Eと、この減光度変化分検出手段Eが求めたΔA2、ΔA3の両波形間の加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求める加重減算波形計算手段Fと、前記減光度変化分検出手段Eが求めたΔA2、ΔA3を通過させるフィルタGと、加重減算波形計算手段Fが求めた加重減算波形のパワーを各K について求め、パワーが極小となるK の値を求める加重値検出手段Hと、加重値検出手段Hが求めたK の値における加重減算波形について周波数分析を行い、その分析結果に基づいてフィルタGの通過帯域を決定する通過帯域決定手段Iと、フィルタGの2つの出力ΔA2、ΔA3の比Φを求めるΦ計算手段Jとから成っている。
【0064】次にこのように構成された本装置の動作を説明する。図8はデジタル処理部10が行なう処理のフローチャートである。この図を参照して説明する。
【0065】A/D変換器8の出力を対数変換してΔA2、ΔA3を求め、加重減算波形ΔA32=ΔA3(1-K)-ΔA2K を、K を変化させてそれぞれのK について求め、各K について加重減算波形のパワーを求め、パワーが極小または極大となるK の値を求めるまでは第1の実施の形態の図2に示したステップ101〜109と同じである。
【0066】次に、パワーが極小となるK の値におけるΔA32 の周波数スペクトルを求める(ステップ121)。この周波数スペクトルを求める処理を図9に示す。パワーが極小となるK の値におけるΔA32 の波形を取り出す(ステップ150)。次に平均個数を1に設定する(ステップ151)。設定された平均個数の移動平均を求める(ステップ152)。次に前回の移動平均個数における移動平均波形と、今回の移動平均波形との差を求める(ステップ153)。求めた差の波形のパワー= ΣΔA32 2 を求め、記録する(ステップ154)。次に平均個数を1段増加する(ステップ155)。次に平均個数が予め定めた値Kmaxになったかを判断する(ステップ156)。この判断結果がNoであればステップ152に戻り、YesであればΔA32 の周波数スペクトル分析は終了する(ステップ157)。
【0067】一方、原波形ΔA3の周波数スペクトルも図9に示した処理と同様の処理により求める(ステップ125)。次に、ΔA32 の周波数スペクトルとΔA3の周波数スペクトルの差のスペクトルを求める(ステップ122)。この差のスペクトルから最大値をとる波長域を決定する(ステップ123)。この波長域からフィルタ通過帯域を決定する(ステップ124)。
【0068】一方、対数変換ステップ102により得られる対数からΔA2、ΔA3を求め(ステップ126、127)、これらをステップ124で決定された通過帯域のフィルタに通す(ステップ128、129)。このフィルタを通されたΔA2、ΔA3からΦ= ΔA3/ΔA2を求め(ステップ130)、このΦに基づいてSpO2を計算する(ステップ131)。
【0069】以上述べたステップにおいて、ステップ121以降を実測に基づいて具体的に説明する。なお、この例においても2波長は第1の実施の形態において用いた波長と同じ波長であり、原波形ΔA2、ΔA3も図4に示したものと同じである。
【0070】ステップ109において決定したK をKaとすると、ステップ121(図9のステップ150〜157)では次のようにしてK=KaにおけるΔA32 の周波数スペクトルを求める。まず波形ΔA32 の移動平均をとる。平均個数ave は次のようにする。
ave=1-2-3-5-9-13-17-25-33-49-65-97-129ここで、用いるデータは1sec当たり60sampleのものである。次に、隣接する平均個数の各移動平均波形の差波形を求める。各差波形の名称は、例えば1ave-2ave は2ave、25ave-33ave は33ave のようにする。次に各差波形のパワーを求める。これも前述のように2乗の積分をとる。これにより平均個数とパワーの関係が得られ、これを周波数スペクトルとする。同様に、原波形ΔA2、ΔA3について周波数スペクトルを求める。実例を図10および図11に示す。前者は図4に示した波形の区間123-126sec、後者は同じく区間117-120secのΔA32 の周波数スペクトルである。原波形ΔA2、ΔA3は、ΔA3= ΔA32(K=0)、ΔA2= ΔA32(K=1)で示している。参考のためにその他のK の場合の周波数スペクトルも併記している。更に参考のために、図12、図13に、横軸をK として、各周波数成分のパワーを示した。これによってK を変化させた場合のパワーの変化が良く分かる。
【0071】次に原波形のスペクトルとΔA32(K=Ka) のスペクトルとの差を求める(ステップ122)。差を求めるに当たっては両者のレベルをどこかで合わせることが必要である。ここでは、最も高い周波数帯域である1ave-2ave の周波数帯域のパワーを一致させた。図10、図11はそのようにしたものである。差スペクトルを図14、図15に示す。
【0072】次に、差スペクトルの最大の帯域を求める(ステップ123)。これは両区間123-126sec、117-120secで同じであり、33ave-49ave の周波数帯域となる。
【0073】次に、原波形ΔA2、ΔA3をフィルタに通す(ステップ128、129)。具体的には原波形の33個および49個の移動平均をとって、その差をとる。117-126secについてこれを適用した結果を図16に示す(ステップ130)。
【0074】図16の波形からΦを計算する。具体的には1sec毎にΔA2とΔA3との回帰直線の傾斜を求めた。その結果を図17に示す。対比のために併記したものはフィルタを通さないでΦを求めた場合である。この図に示すように本装置によれば体動によるΦの乱れが大幅に低減される。
【0075】本実施の形態では、原波形のスペクトルとΔA32(K=Ka) のスペクトルとの差を求めたが、これは両スペクトルの比でも良く、また、その他の方法でもフィルタの帯域を決定することができる。
【0076】また、本実施の形態では、2波長としたが、これは多波長であっても2波長で決定されたフィルタに他の波長の原波形を通すならば同様にアーテファクトや雑音が除去される。このため、血液を除いた組織の厚みの脈動を考慮したパルスオキシメータや、色素希釈曲線の測定装置や、その他の血中吸光物質の濃度比を測定する装置のように多波長を用いる装置に極めて有用である。
【0077】また、上記の装置では光照射部に対し生体組織を挟んで受光部を対向配置して透過光を受ける構成としたが、光照射部と受光部を生体組織の同側に配置して反射光を受ける構成としても、同様の作用効果が得られる。
【0078】
【発明の効果】請求項1〜5の本発明によれば、計算が容易であり、迅速に測定結果を得ることができ、多波長を必要とする場合や、多成分の測定についても簡単な構成で体動に影響されないで測定を行うことができる。
【0079】請求項6〜10の本発明によれば、上記の効果の他、多波長を必要とする場合には一層簡単な構成によって測定を行うことができる。




 

 


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