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発明の名称 根尖位置検出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−5201(P2000−5201A)
公開日 平成12年1月11日(2000.1.11)
出願番号 特願平10−192399
出願日 平成10年6月22日(1998.6.22)
代理人 【識別番号】100084799
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 實
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052 AA06 FF07 LL07 NN02 NN03 NN16 
発明者 日下部 博昭 / 山下 誠一郎 / 的場 一成
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 測定電極と口腔電極との間のインピーダンスに対応する応答値の変化から測定電極の先端位置を検出するように構成された根尖位置検出装置であって、根管からの血液や薬液等の洩れによって応答値が影響を受けている場合に、これらの薬液類の洩れに起因する応答値の異常分を補償してその影響を除去する補償手段と、この補償手段による補償モードに切り替えるための補償選択手段、とを備えたことを特徴とする根尖位置検出装置。
【請求項2】 上記補償選択手段が応答値の異常を検出して自動的に補償モードに切り替えるように構成されている請求項1記載の根尖位置検出装置。
【請求項3】 上記補償選択手段がマニュアル操作により補償モードに切り替えるように構成されている請求項1記載の根尖位置検出装置。
【請求項4】 上記補償手段が、応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が最大値または最小値に達したことを検出し、この最大値または最小値に基づいて基準値を算出し、引き続いて得られる応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が上記基準値に対してあらかじめ設定された判定値だけ変化した時に、測定電極の先端が根尖あるいはその近傍に達したと判断するように構成されている請求項1記載の根尖位置検出装置。
【請求項5】 測定電極と口腔電極の間に交流の測定電圧を印加し、この測定電圧の波形と両電極間に流れる測定電流の波形とを比較し、電圧波形と電流波形の位相のずれを応答値とするように構成された請求項4記載の根尖位置検出装置。
【請求項6】 測定電極と口腔電極の間に容量成分を含むインピーダンスによって生ずる過渡現象が異なる少なくとも2個の単発波形を一組とした測定電圧を印加し、両電極間に流れる一組の測定電流の波形のずれを応答値とするように構成された請求項4記載の根尖位置検出装置。
【請求項7】 上記応答値の最小値を基準値とし、引き続いて得られる応答値から最小値を減じた値を換算値とするように構成された請求項5又は6のいずれかに記載の根尖位置検出装置。
【請求項8】 測定電極と口腔電極の間に周波数の異なる少なくとも2種類の測定電圧を印加し、両電極の間に得られる各周波数における応答値の比を求め、この比の最大値または最小値をその値で除した値を基準値とすると共に、引き続いて得られる応答値の比を前記最大値または最小値で除した値を換算値とするように構成された請求項4記載の根尖位置検出装置。
【請求項9】 上記判定値を任意に設定するための設定手段を備えた請求項4乃至8のいずれかに記載の根尖位置検出装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、歯科の診断や治療に用いられる根尖位置検出装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】根尖位置検出装置としては、根管と口腔内軟組織との間のインピーダンスを近似的に抵抗と静電容量が直列及び並列に組み合わされた等価回路と見なし、測定されたインピーダンスに対応する応答値の変化状態によって測定電極の先端位置を算出するように構成されたものが一般的である。すなわちこれらの装置は、根管に挿入される測定電極と口腔内の軟組織に当接される口腔電極との間に測定電圧を印加して両電極間に測定電流を流し、測定電極が根尖に近付くと上記等価回路の抵抗値が非常に小さくなって静電容量が大部分となり、例えば測定電流の位相や波形が大幅に変化することを利用して根尖到達を検出し、またその結果を表示するのである。なお、根尖の位置が特定できれば根管長も測定できるので、この種の装置は根管長測定器と称されることもある。
【0003】具体的な検出方法としては、測定電圧の波形に対する電流の位相のずれや波形のずれを検出し、測定電極が根尖に近付くとずれが大きくなることを利用したもの(例えば、特開平4−73056号公報参照)、周波数の異なる2種類の測定電圧を印加した時に得られる各応答値の比を算出し、この比が測定電極が根尖に近付くと大きくなることを利用したもの(例えば、特開平4−64354号公報参照)があり、また上記応答値の差を算出し、測定電極が根尖に近付くと差が小さくなることを利用したものも知られている(例えば、特開平2−297359号公報参照)。
【0004】ここで応答値とは、測定電流の値そのもの、あるいはこれを例えば上記のように位相のずれに変換するなどの処理を行って得られた数値のことで、測定されるインピーダンスに対応した値を持つものであり、この明細書ではこの意味で「応答値」なる語を用いてある。
【0005】上述した各装置では、測定電流は測定の原理的な理由によって測定電極が根管の中間位置付近にある時には応答値は比較的小さい値を示し、根尖に近付くにつれて急速に増加するという変化を示す。また測定電極を根管に挿入した最初の段階では、血液や薬液などの強電解質の液体(以下、薬液類と記す)で濡れた根管内壁や根管内に溜まっている薬液類に電極が触れた時に、薬液類の容量成分の影響で電流値は一旦上がり、電極が根管の中間位置まで挿入されるにつれてその影響が小さくなって値が下がるという変化を示すことが多い。このため、この範囲の数値をそのまま表示に用いると判断を誤り、あるいは測定不能になるので、測定電流が再び増加し始めるまでのデータの扱いや表示には注意を要するが、この問題は既に提案されている種々の対策で解決されており、例えば特開平4−348749号公報では、この範囲の表示モードと測定電流が再び増加し始めてからの表示モードとを異ならせている。
【0006】また、上記各公報に記載されたものは、根管内の状態、すなわち根管内が乾燥状態にあるか薬液類による湿潤状態にあるかによって測定結果が大きな影響を受けないようにするために上記のような各種の検出方法を採用しており、それぞれ一定の効果が得られている。しかしながら、これらの従来技術はいずれも根管内の状態のみに着目しており、薬液類が根管から歯牙の外部に洩れた場合は全く考慮されていない。
【0007】すなわち、このような薬液類の漏れ(以下、液洩れと記す)があると上述した等価回路に更に並列に静電容量が挿入された状態となり、等価回路のインピーダンスは測定電極が根尖に達した場合と同じ程度か、あるいはそれ以上の値となるので、測定電極を根管に挿入した直後に根尖到達と同じ表示が行われて測定を継続できなくなる。従って、このような場合にはこれを根尖到達表示であると誤認することなく術者は液漏れがあると判断して測定を中止する必要があり、測定を再開する前に歯牙の周辺や根管を完全に洗浄しなければならない。このため煩わしい洗浄作業を術者に強いる結果となり、また診療の効率を低下させる要因ともなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明はこれらの点に着目し、根管からの液洩れがあった場合でも正確に根尖到達を検出できるようにすることを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するために、この出願の根尖位置検出装置は、測定電極と口腔電極との間のインピーダンスに対応する応答値の変化から測定電極の先端位置を検出するように構成された根尖位置検出装置において、根管からの血液や薬液等の洩れによって応答値が影響を受けている場合に、これらの薬液類の洩れに起因する応答値の異常分を補償してその影響を除去する補償手段と、この補償手段による補償モードに切り替えるための補償選択手段、とを備えている。
【0010】上記の補償選択手段としては、例えば応答値の異常を検出して自動的に補償モードに切り替えるように構成されたもの、マニュアル操作により補償モードに切り替えるように構成されたもの等が採用できる。このような構成により、液洩れがあっても測定を中止したり歯牙の内外を清掃したりする必要がなくなり、そのまま測定作業を継続できるようになる。
【0011】上記の補償手段は、応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が最大値または最小値に達したことを検出し、この最大値または最小値に基づいて基準値を算出し、引き続いて得られる応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が上記基準値に対してあらかじめ設定された判定値だけ変化した時に、測定電極の先端が根尖あるいはその近傍に達したと判断するように構成されている。上記のように、換算値は応答値に一定の処理を施して得られた値であるから、応答値と同様に測定されるインピーダンスに対応した値であり、このような構成によって、液洩れに起因する応答値の異常が除去され、液洩れの影響を受けないで測定を行うことができる。
【0012】上記の応答値は、例えば測定電極と口腔電極の間に交流の測定電圧を印加し、この測定電圧の波形と両電極間に流れる測定電流の波形とを比較して電圧波形と電流波形の位相のずれを応答値とすることで得られる。
【0013】また上記の応答値は、測定電極と口腔電極の間に容量成分を含むインピーダンスによって生ずる過渡現象が異なる少なくとも2個の単発波形を一組とした測定電圧を印加し、両電極間に流れる一組の測定電流の波形のずれを応答値とすることでも得ることができる。
【0014】上記のような方法で応答値を得る場合には、その最小値を基準値とすることにより以下の発明の実施の形態に詳述するように液洩れに起因する応答値の異常が除去される。
【0015】また、測定電極と口腔電極の間に周波数の異なる少なくとも2種類の測定電圧を印加し、両電極の間に得られる各周波数における応答値の比を求め、この比の最大値または最小値をその値で除した値を基準値とすると共に、引き続いて得られる応答値の比を前記最大値または最小値で除した値を換算値とすることによって、液洩れに起因する応答値の異常を除去することができる。
【0016】また、測定電極の先端が根尖に達したと判断するために用いられる判定値を任意に設定するための設定手段を備えることができる。このような構成により、液洩れによる応答値の異常分の除去をより適切に行うことが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態について、まず測定電圧を繰り返し波形とし、測定電流の位相のずれを検出するようにした例を説明する。図1はブロック図、図2は波形の説明図、図3乃至図6は基準値の決定と根尖到達の判断に関する説明図であり、図1において、1は歯牙、1a及び1bはその根管及び根尖、2は測定電極、2aはその先端、3は口腔電極、4は連続で、あるいは所定の間隔で交流の信号を出力する測定信号発生回路、5は電流検出抵抗、6は比較回路、7は制御部、8は表示部、9は補償回路、9aは補償モードに切り替えるための補償選択手段である。制御部7は回路全体の動作を制御するもので、例えばCPUを用いて構成されている。
【0018】測定信号発生回路4は例えば1kHzの繰り返し信号を測定電圧として発生し、これを抵抗5を介してリーマ、ファイル等の測定電極2に印加する。測定電極2と口腔電極3の間に流れる測定電流は測定電極2の電圧の形で検出されるが、この検出電圧は測定電極2と口腔電極3の間の等価回路のインピーダンスに対応したものとなっており、この検出電圧と測定電圧とが比較回路6に入力される。
【0019】図2において、Aは測定信号発生回路4から出力される測定電圧波形、Bは検出された測定電流波形であり、B1及びB2は測定電極2の先端2aがそれぞれ歯頸部及び根尖付近に位置している時の波形である。またCは比較回路6の出力波形であり、C1及びC2は測定電極2の先端2aがそれぞれ歯頸部及び根尖付近に位置している時の波形である。図1のA,B,Cはこれらの各信号波形が得られる箇所を示している。
【0020】測定電極2と口腔電極3の間の等価回路は抵抗と静電容量を直列あるいは並列に組み合わせた回路と見なされるため、測定電圧Aが例えば正弦波である場合、測定電流の波形B1及びB2は同じ正弦波であってもその位相は静電容量の大きさに応じて異なったものとなる。このため、電極2の先端2aが根尖付近に近付いて等価回路の静電容量成分が増加すると、波形Aに対する波形Bの位相のずれは大きくなり、その位相差に応じて出力波形C2はC1よりもパルスの幅が大きくなる。すなわち、比較回路6はこの両電圧の位相差に応じた幅のパルス電圧を応答値として出力するように構成されており、制御部7はこの応答値の変化状態を検出し、基準値を決定すると共にその後の変化により根尖到達を判断し、表示部8にその結果を表示させるのである。この基準値決定と根尖到達判断は次のようにして行われる。
【0021】図3は、測定電極2の先端2aの位置と比較回路6から出力されるパルス電圧のパルス幅、すなわち応答値との関係を例示したものである。図の横軸は負数で表した先端2aから根尖1bまでの距離(単位mm)、縦軸はパルス幅を電流に置き換えて表示した応答値(単位mA)であり、この応答値は等価回路のインピーダンスに対応した位相差を定量的に表したものとなっているが、数値の絶対値にはそれほどの意味はない。図3は根管に生理食塩水が溜まっている場合であって、実線は生理食塩水が洩れていない状態、破線は洩れている状態をそれぞれ例示している。
【0022】まず実線で示す生理食塩水が洩れていない場合について説明する。測定電極2を根管1aに挿入した最初の段階で電極2が内部の生理食塩水に触れると、その容量成分の影響で図示のように数値は一旦上がり、電極2が根管1aに挿入されるにつれてその影響が小さくなって数値が下がる。更に電極2が根管1aの中間位置付近まで進むと数値の低下が止まり、根尖1bに近付くにつれて数値は逆に上がり始め、根尖1b付近ではかなり急激に増加するのである。なお、数値が上がり始めるまでの範囲ではこの数値をそのまま表示に用いると判断を誤ることになるが、この問題は前述したように公知の手法で解決することができるので、以下、この明細書では本願発明に関係ある根管の中間位置から根尖をやや過ぎる位置の範囲についてのみ説明する。
【0023】一方、破線の場合も変化の傾向は同じであるが、歯牙の外部に洩れている生理食塩水のために余分な静電容量が等価回路に挿入された状態となり、数値は実線の場合よりも大きくなる。従って、この上下の差が液洩れに起因する応答値の異常分に相当することになる。
【0024】液洩れのない場合には、測定電極が根尖付近に達した時の数値はほぼ一定であることが臨床的に確認されているので、従来の装置では一般に根尖到達を判断する判定値をあらかじめ或る値に設定している。これが例えば36であったと仮定すると、図3の場合には、丸印で示すように実線では臨床上重要な根尖より0.5mm手前の根尖狭窄部と丁度一致するが、破線では約2mm手前となり、全く不適切な判断となってしまう。また、判定値がこれより高く設定されていれば実線では根尖を通り過ぎた位置で到達判断が行われる可能性が生じ、低く設定されていれば破線ではすべての位置で到達と判断されてしまう可能性もある。従って、液洩れに起因する応答値の異常分を補償してその影響を除去しないと、信頼性のある測定は全く不可能になってしまうのである。
【0025】ここで、破線の最小値に注目すると35が最小値となっており、図4はこの最小値の数値を図3の各数値から減じた値をプロットしたものである。この図4から分かるように、比較回路6から出力されるパルス電圧に対応した数値をそのまま応答値として利用せず、最小値を減ずるという処理を行って得られた換算値を利用するのであり、丸印で示すように例えばその値の5.5付近を到達判断の判定値とすれば根尖狭窄部を、また8付近を到達判断の判定値とすれば根尖をそれぞれ検出することが可能となるのである。
【0026】図5及び図6は、根管に生理食塩水と薬液(次亜塩素酸ナトリウム)の混合液が溜まっている場合について、図3及び図4と同様なデータ処理を行い、その結果を混合液が洩れていない状態を実線で、洩れている状態を破線でそれぞれ例示したものである。この例においても、生理食塩水だけの場合と全く同様に図5では破線は実線よりかなり数値が高くなっており、液洩れがある場合には適切な測定ができない。これに対して破線の最小値の36.5を図5の各数値から減じた値をプロットした図6では、例えばその値の7付近を到達判断の判定値とすれば根尖狭窄部を、また9付近を到達判断の判定値とすれば根尖をそれぞれ検出することが可能となるのである。
【0027】この発明はこの特徴を利用し、上述の場合には検出されたインピーダンスに対応した数値、すなわち応答値の最小値を基準値とすると共に、各応答値からこの最小値を減じてこれを換算値とし、例えば上記で示した数値を判定値とするという補正を行うことにより、薬液などの根管からの洩れの影響をなくして液洩れがあっても支障なく測定できるようにしているのである。このようなデータの処理は、制御部7と補償回路9によって行われる。
【0028】すなわち、制御部7は補償選択手段の機能を備えており、測定電極2を根管1aに挿入した直後に応答値が大きな値を示し、しかもそれが液洩れのない場合の通常の値よりもあらかじめ設定された設定値以上大きい場合には、制御部7は液漏れがあると判断して補償モードに切り替えるのである。このモードでは制御部7において応答値の変化を常時監視し、応答値が増加し始める直前の数値、例えば図3の破線では3mm手前の位置における数値35を基準値に設定する。これにより動作は図4によるものに切り替わり、以後の各数値から35を減算してその変化を監視し、これが例えば判定値5.5に達したら根尖狭窄部に到達したと判断する。
【0029】なお、以上のように補償モードへの切り替えを自動的に行わず、補償選択手段として図1に破線で示すように例えば押釦スイッチなどのマニュアル操作式の選択スイッチ9aを設け、測定電極2を根管1aに挿入した直後に応答値が通常より大幅に大きい値を示した時に、術者がこの選択スイッチ9aを操作して補償モードに切り替えるようにしてもよい。従って、自動的な切り替えの場合には選択操作が不要で操作性のよい装置が得られ、また選択スイッチを設けたものはそれだけ制御回路が簡単となり、コスト的に有利になる。
【0030】以上の説明においては判定値として具体的な数値を例示しているが、使用条件や薬液の種類などに応じて若干異なる場合があるので、判定値はこれらを勘案して適切な或る値にあらかじめ設定される。またこのように判定値を固定せず、図1に破線で示すように判定値設定操作部9bを設けて使用条件や薬液の種類などに応じて適宜マニュアル設定できるようにしてもよく、状況に応じて判定値を変更することにより応答値の異常をより適切に除去することが可能となる。
【0031】以上の手順によって、液洩れがある場合には図4あるいは図6の換算値が、また液洩れのない場合には図3あるいは図5の実線の応答値が、表示部8に逐次リアルタイムで表示される。なお、図4及び図6では横軸の全範囲にわたって換算値を示してあるが、実際には補償モードに切り替えられた以後のみ換算値が用いられるので、表示もこれ以降についてのみ行われる。この表示自体は従来の装置と同様でよく、例えばデジタル式表示や指針式表示のほか、音声など他の手段による表示を単独で行い、あるいはこれらを併用するなど、各種の表示方式を適宜採用することができる。また具体的な表示は上記の応答値や換算値である必要はないので、例えば各図の横軸の数値を応答値や換算値から逆算して根尖1bまでの距離を表示するなど、実用上最も望ましい態様で表示すればよい。
【0032】以上は電圧波形と電流波形との位相のずれを検出値とした例であるが、単発波形の測定電圧を用い、過渡現象によって生ずる測定電圧と測定電流の波形のずれを応答値として用いることもできる。図7はこの場合の装置のブロック図、図8は波形の説明図である。図7において、11は単発波形の信号を出力する測定信号発生回路、12はタイミングコントローラ、13はメモリ、14は波形比較回路、15はA−D変換器であり、他は図1と同様である。
【0033】測定信号発生回路11は、例えば図8の波形Dのように正確な傾きと振幅を持つ三角波を測定電圧として発生するように構成され、この三角波が抵抗5を介して測定電極2に印加される。A−D変換器15は測定電流に対応して測定電極2に発生する電圧、すなわち電流波形Eをタイミングコントローラ12の制御のもとに所定の単位時間ごとにA−D変換し、各時刻T1〜T6の波高値を記録するように構成されている。また、メモリ13には電極2の先端2aが根尖1bに到達した時に得られる電流波形の各時刻T1〜T6の波高値を基準データとして記憶しており、波形比較回路14はこのメモリ13の基準データとA−D変換器15で得られた負荷電流波形Eとを比較し、比較結果に応じた信号電圧を出力するように構成されている。
【0034】すなわち、電極2の先端2aが例えば歯頸部に位置している時における電流波形E1は、等価インピーダンスの容量成分がほとんどないため測定電圧波形Dと同等な三角波となり、基準データとの形状のずれが大きくて波形比較回路14の出力は小さい。しかし、電極2の先端2aが根尖付近に近付いて等価インピーダンスの容量成分が増大すると、過渡現象の影響によって負荷電流波形E2は基準データの波形とのずれが小さくなり、波形比較回路14の出力が増大する。
【0035】以上の例では、この波形比較回路14の出力が応答値として利用されるのであり、これによって電極2の先端2aの位置を検出できる。具体的な応答値のグラフは省略するが、液洩れがない場合とある場合の応答値は、前述の位相のずれを応答値とした例における図3乃至図6とほぼ同等の結果が得られており、この例においても、液洩れがある場合には補償モードに切り替えることによって根尖狭窄部や根尖を適切に検出することができるのである。
【0036】次に、測定電極と口腔電極の間に周波数の異なる少なくとも2種類の測定電圧を印加し、両電極の間に得られる各周波数における応答値の比を用いるようにした例について説明する。図9に示すブロック図において、21及び22は交流の信号を出力する測定信号発生回路で、21は周波数fの測定電圧を出力する発振器、22は周波数5fの測定電圧を出力する発振器となっている。23はアナログ・マルチプレクサ、24はバッファ、25はタイミングコントローラ、26は波形整形回路、27はA−D変換器、28は制御部、29は表示部、30は補償回路である。
【0037】タイミングコントローラ25は各回路の動作タイミングを制御するもので、この制御のもとでアナログ・マルチプレクサ23は各発振器21,22を所定の周期で切り換え、その出力がバッファ24を介して測定電極2に印加される。測定電流は抵抗5によって電圧の形で検出され、これを波形整形回路26で整形された後、A−D変換器27でデジタルデータに変換される。制御部28はこのデジタルデータから周波数fの測定電圧による応答値VLと、周波数5fの測定電圧による応答値VHとを求め、その比VH/VLを計算する。液洩れがない場合にはこの比VH/VLによって測定電極2の先端2aの位置が検出されるのであるが、その動作原理については前出の特開平4−64354号公報に開示されているのでこの明細書での説明は省略する。
【0038】図10は、この比VH/VLの値を縦軸とし、図3などと同様に測定電極2の先端2aから根尖までの距離を横軸としたものである。ここで、実線のL1は根管に生理食塩水が溜まっていて洩れていない状態、破線のL2は洩れている状態をそれぞれ例示し、実線のM1は根管に生理食塩水と薬液(次亜塩素酸ナトリウム)の混合液が溜まっていて洩れていない状態、破線のM2は洩れている状態をそれぞれ例示している。この図に示すように、比VH/VLは上に凸の形状となり、液洩れのある場合の数値は液洩れのない場合よりも小さくなる。
【0039】この上下の差が液洩れに起因する応答値の異常分に相当することになり、この差のために例えば根尖より0.5mm手前の根尖狭窄部に相当する位置での応答値の比は、液洩れのある場合と液洩れのない場合とでかなりの開きが生じている。従って、このままでは図3などの場合と同様に信頼性のある測定は全く不可能になってしまう。
【0040】ここで破線の最大値に注目すると、L2では根尖より約4mm手前における0.84が、M2では根尖より約5mm手前における0.72がそれぞれ最大値となっている。図11はこの最大値の数値で図10のL2及びM2の各数値をそれぞれ割った値をプロットしたものであり、制御部28から出力される比VH/VLをそのまま利用せず、最大値で割るという処理を行うのである。この処理は上記の例と同様に制御部28が補償モードに切り替えることによって行われ、最大値を示した部分の比は丁度1.0に変換され、他の部分の比は1以下に変換される。
【0041】この例では、上記の変換後の数値がこの発明の換算値として利用されるのであり、図11から分かるように基準値を1.0とし、例えば換算値の0.93付近を到達判断の判定値とすれば根尖狭窄部を、また0.88付近を到達判断の判定値とすれば根尖をそれぞれ検出することが可能となる。すなわち、この例においても液洩れがある場合に補償モードに切り替えることにより、根尖狭窄部や根尖を適切に検出することができるのである。なお、ここではVH/VLを用いてその最大値で各比値を割っているが、応答値の比としてはVL/VHを用いることもでき、この場合には各比値を最小値で割ることになる。
【0042】なおこの例においても、図9に破線で示すように選択スイッチ30aを設け、補償モードへの切り替えをマニュアル操作で行うようにすることができる。また同じく破線で示すように判定値設定操作部30bを設け、判定値を適宜マニュアル設定できるようにしてもよい。
【0043】以上の例は、測定電圧と測定電流との位相のずれや一組の電流波形のずれを利用して測定電極の先端位置を検出する方式の装置、あるいは周波数の異なる2種類の測定電圧による応答値の比を利用して測定電極の先端位置を検出する方式の装置にこの発明を適用したものであるが、この発明は前出の応答値の差を利用する特開平2−297359号公報の装置にも適用することができる。
【0044】なお、測定電圧と測定電流との位相のずれや一組の電流波形のずれを利用して測定電極の先端位置を検出する方式の装置では、この発明による上記のような補償を行うと、等価回路に含まれる抵抗分の影響が消去されて静電容量分に対する補償が実施される。従って、理論的には液洩れに起因する応答値の異常分を完全に除去できるので、応答値の比や差を用いる方式の装置よりもこの発明による補償効果は大きいと考えられる。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発明の根尖位置検出装置は、測定電極と口腔電極との間のインピーダンスに対応する応答値の変化から測定電極の先端位置を検出するように構成された根尖位置検出装置において、根管からの血液や薬液等の洩れにより応答値が影響を受けている場合に、これらの液洩れに起因する応答値の異常分を補償してその影響を除去する補償手段と、この補償手段による補償モードに切り替えるための補償選択手段、とを備えたものである。従って、液洩れがあった場合でも測定を中止したり歯牙の内外を清掃したりする必要がなく、そのまま作業を継続できるので術者の負担が軽減され、また信頼性の高い測定が可能になると共に診療を効率よく進めることができる。
【0046】上記の補償選択手段として、応答値の異常を検出して自動的に補償モードに切り替えるように構成されたものでは、モード選択操作が不要で操作性のよい装置が得られる。また、マニュアル操作により補償モードに切り替えるように構成されたものでは、制御回路が簡単で装置のコストを下げることができる。
【0047】上記の補償手段を、応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が最大値または最小値に達したことを検出し、この最大値または最小値に基づいて基準値を算出し、引き続いて得られる応答値あるいはこれに一定の処理を施して得られた換算値が上記基準値に対してあらかじめ設定された判定値だけ変化した時に、測定電極の先端が根尖あるいはその近傍に達したと判断するように構成することにより、液洩れに起因する応答値の異常を除去する補償動作を確実に行うことができる。
【0048】また、測定電圧と測定電流との位相のずれや一組の電流波形のずれを応答値として利用するようにしたものでは、等価回路に含まれる抵抗分の影響を消去して静電容量分に対する補償動作をより確実に行うことができる。
【0049】また、測定電極の先端が根尖に達したと判断するために用いられる判定値を任意に設定するための設定手段を備えたものでは、使用条件や薬液の種類などに応じて判定値を変更することにより、液洩れによる応答値の異常の除去をより適切に行うことが可能となる。




 

 


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