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発明の名称 上室性期外収縮判定方法および装置と上室性期外収縮判定のためのプログラムを記憶した記憶媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2000−60816(P2000−60816A)
公開日 平成12年2月29日(2000.2.29)
出願番号 特願平10−238344
出願日 平成10年8月25日(1998.8.25)
代理人 【識別番号】100082935
【弁理士】
【氏名又は名称】京本 直樹 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4C027
【Fターム(参考)】
4C027 AA02 CC00 FF01 GG01 GG02 GG05 GG07 GG09 GG13 GG16 HH01 HH02 KK05 
発明者 金澤 正樹
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】入力された心電図波形の心拍ごとに、心電図波形の早期性を検出する早期性検出ステップと、入力された心電図波形の心拍ごとに、P波の振幅とP’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出ステップと、前記早期性検出ステップの結果と、前記P波異所性検出ステップの検出結果をもとに、上室性期外収縮であると判定する上室性期外収縮判定ステップと、を有することを特徴とする上室性期外収縮の判定方法。
【請求項2】前記早期性検出ステップは、前記早期性の程度を表す早期性レベルを検出し、前記P波異所性検出ステップは、前記P波の振幅と前記P’波の振幅と前記PR間隔の変位からP波異所性の程度を表すP波異所性レベルを検出することを特徴とする請求項1記載の上室性期外収縮の判定方法。
【請求項3】前記早期性検出ステップは、前記心電図波形のうち、個々の心拍毎に波形のR波の位置を検出するR波検出ステップを有し、前記R波検出ステップで検出された、個々の心拍毎にR波の位置から、心拍間の時間間隔を算出し、この時間間隔に基づいて前記早期性レベルを検出することを特徴とする請求項2記載の上室性期外収縮の判定方法。
【請求項4】前記P波異所性検出ステップは、心電図の誘導波形のうちの第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、前記第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP’波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP’波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのPR間隔の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するPR間隔値変位算出ステップと、前記P波振幅値変位算出ステップおよびP’波振幅値変位算出ステップおよびPR間隔値変位算出ステップで算出された変位を合計する合計変位算出ステップとを含み、前期合計変位算出ステップで算出された合計変位に基づいてP波異所性レベルを算出することを特徴とする請求項2または3記載の上室性期外収縮の判定方法。
【請求項5】前記第1誘導は、II誘導であり、前記第2誘導は、V1誘導であることを特徴とする請求項4記載の上室性期外収縮の判定方法。
【請求項6】前記上室性期外収縮判定ステップは、前記早期性検出ステップで検出された早期性レベルと、前記P波異所性検出ステップで検出されたP波異所性レベルの両方のレベルの組み合わせを基に、ある一定の組み合わせ関係に基づいて、上室性期外収縮であると判定することを特徴とする請求項2、3または4記載の上室性期外収縮の判定方法。
【請求項7】入力された心電図波形の心拍ごとに、1心拍毎に早期性を検出する早期性検出手段と、入力された心電図波形の心拍ごとに、P波の振幅P’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出手段と、前記早期性検出手段で検出された前記早期性と、前記P波異所性検出手段からの前記変位をもとに、上室性期外収縮を判定する上室性期外収縮判定手段と、を備えることを特徴とする上室性期外収縮の判定装置。
【請求項8】前記早期性検出手段は、前記早期性の程度を表す早期性レベルを検出し、前記P波異所性検出手段は、前記P波の振幅と前記P’波の振幅と前記PR間隔の変位からP波異所性の程度を表すP波異所性レベルを検出することを特徴とする請求項7記載の上室性期外収縮の判定装置。
【請求項9】前記早期性検出手段は、前記心電図波形のうち、個々の心拍毎に波形のR波の位置を検出するR波検出手段を備え、前記R波検出手段で検出された、個々の心拍毎にR波の位置から、心拍間の時間間隔を算出し、この時間間隔に基づいて前記早期性レベルの検出を行うことを特徴とする請求項8記載の上室性期外収縮の判定装置。
【請求項10】前記P波異所性検出手段は、心電図波形の第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、前記第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP波振幅値変位算出手段と、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP’波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP’波振幅値変位算出手段と、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのPR間隔の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するPR間隔値変位算出手段と、前記P波振幅値変位算出手段およびP’波振幅値変位算出手段およびPR間隔値変位算出手段で算出された変位を合計する合計変位算出手段とを含み、前期合計変位算出手段で算出された合計変位に基づいて前記P波異所性レベルを算出することを特徴とする請求項8または9記載の上室性期外収縮の判定装置。
【請求項11】前記上室性期外収縮判定手段は、前記早期性検出手段で検出された早期性レベルと、前記P波異所性検出手段で検出されたP波異所性レベルの両方のレベルの組み合わせを基に、ある一定の組み合わせ関係に基づいて、上室性期外収縮であると判定することを特徴とする請求項8、9または10記載の上室性期外収縮の判定装置。
【請求項12】前記P波の平均振幅値または前記P’波の平均振幅値または、前記PR間隔の平均間隔値は、II誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、II誘導とV1誘導の各誘導毎の基準心拍についてのP波の平均振幅値と、P’波の平均振幅値と、PR平均間隔値を算出することを特徴とする請求項10記載の上室性期外収縮の判定装置。
【請求項13】上室性期外収縮を判定するための制御プログラムを記録した記録媒体であって、体表面の、所定の位置の電位を計測して得られる心電図波形の早期性を検出する早期性検出手順と、前記心電図波形のP波の振幅とP’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出手順と、前記早期性検出手順の結果と、前記P波異所性検出手順の結果をもとに、上室性期外収縮であると判定する上室性期外収縮判定手順と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体。
【請求項14】前記早期性検出手順は、前記心電図波形のうち、個々の心拍毎に波形のR波の位置を検出するR波検出手順と、前記R波検出手順で検出された、個々の心拍毎にR波の位置から、心拍間の時間間隔を算出し、この時間間隔に基づいて早期性レベルを算出する手順とを有することを特徴とする請求項13記載の記憶媒体。
【請求項15】前記P波異所性検出手順は、心電図の誘導波形のうちの第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、前記第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP’波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP’波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのPR間隔の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するPR間隔値変位算出ステップと、前記P波振幅値変位算出ステップおよびP’波振幅値変位算出ステップおよびPR間隔値変位算出ステップで算出された変位を合計する合計変位算出ステップとを含み、前期合計変位算出ステップで算出された合計変位に基づいてP波異所性レベルを算出するプログラムであることを特徴とする請求項13または14記載の記憶媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心電図波形に対する上室性期外収縮の判定方法及び装置に関し、特に上室性期外収縮の判定の信頼性を高めることが可能な判定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】心臓の刺激伝達系において起こる期外収縮の1つとして、心房に起こる上室性期外収縮がある。従来、上室性期外収縮を判定する方法としては、心電図波形のR波が発生するリズムのみに着目し、上室性期外収縮の特徴の一つである間入性、代償性、非代償性など、期外収縮心拍とその前後の心拍とから形成されるリズムを検出することで、上室性期外収縮を検出していた。
【0003】例えば、特開平7−132118号公報に記載された上室性期外収縮検出方法では、心電図波形からR波ピーク点の間隔であるRR間隔を検出し、RR間隔より早期収縮を検出する。さらに検出されたRR間隔をもとに、連結期より任意前の心拍についてそれぞれ前の心拍との差を算出し、算出された差の平均をRR間隔の平均値で割ることにより求めたRR変動率を求める。さらに、その上室性期外収縮検出方法では、RR変動率に比較してRR間隔の所定以上の短縮(短縮度)を検出し、先に検出した早期収縮と短縮度の2つが満足されたときに上室性期外収縮を判定する。
【0004】このように従来は、RR間隔、RR変動率や短縮度から判定していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術には以下に掲げる問題点があった。
【0006】第1の問題点は、単発の上室性期外収縮の場合には、上述する上室性期外収縮の特徴的なリズムが顕著に現れる場合があるが、連発した場合には、このリズムの特徴性は無くなるため、これを以って上室性期外収縮を検出することができなくなることである。
【0007】第2の問題点は、単発の上室性期外収縮の場合でも、上述する上室性期外収縮の特徴的なリズムが顕著に現れない場合があるため、これを以って上室性期外収縮を検出することができなくなることである。
【0008】第3の問題点は、呼吸性不整脈や洞性不整脈の場合にも、上述する上室性期外収縮の特徴的なリズムを伴う場合があり、本来、呼吸性不整脈や洞性不整脈を検出しなければならないケースに、誤って上室性期外収縮と診断していまうことである。この例は、その治療方法が異なるために、臨床的に大変問題とされてきた。
【0009】以上のように、上室性期外収縮の一つの特徴である、心電図のR波が発生するリズムのみに着目する診断方法は、原理的に上室性期外収縮をすべて検出することができず、また、上室性期外収縮でない心拍を、上室性期外収縮であるとする誤診をする可能性を持っていた。
【0010】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、確実に上室性期外収縮を判定することの可能な上室性期外収縮の判定方法及び装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上室性期外収縮判定方法は、入力された心電図波形の心拍ごとに、心電図波形の早期性を検出する早期性検出ステップと、入力された心電図波形の心拍ごとに、P波の振幅とP’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出ステップと、早期性検出ステップの結果とP波異所性検出ステップの検出結果をもとに、上室性期外収縮であると判定する上室性期外収縮判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】特に、P波異所性検出ステップでは、P波振幅値とP’波振幅値とPR間隔値の平均値を基準に、平均値との変位を算出し、それらの合計変位を算出するP波異所性レベル算出ステップを有する。また上室性期外収縮判定ステップでは、早期性検出ステップにおいて算出された早期性レベルと、P波異所性レベル算出ステップにおいて算出されたP波異所性レベルの両方を組み合わせることで、上室性期外収縮であると判定する。
【0013】その早期性検出ステップは、心電図波形のうち、個々の心拍ごとの、心電図のR波の位置を検出するR波検出ステップと、そのR波検出ステップで検出された個々の心拍ごとの、R波の位置から、心拍間の時間間隔を算出するステップを含み、算出された時間間隔に基づいて早期性レベルの算出を行うことが好ましい。
【0014】またそのP波異所性レベル算出ステップは、II誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、II誘導とV1誘導の各誘導誤毎の基準心拍群についてのP波振幅値の平均値とP’波振幅値の平均値とPR間隔の平均値を算出するステップとを含んでおり、平均値を算出する際には、基準心拍群の中心部のみの関しての平均値を算出することが望ましい。
【0015】本発明による上室性期外収縮判定装置は、入力された心電図波形の心拍ごとに、1心拍毎に早期性を検出する早期性検出手段と、入力された心電図波形の心拍ごとに、P波の振幅P’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出手段と、早期性検出手段で検出された早期性と、P波異所性検出手段からの変位をもとに、上室性期外収縮を判定する上室性期外収縮判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】具体的には、本発明の上室性期外収縮判定装置は、体表面からの、所定の位置の電位を検出するための心電図信号入力手段と、検出された電位を増幅してデジタル信号に変換する信号増幅変換手段と、信号増幅変換手段から入力したデジタル信号から心電図波形を形成する心電図波形形成手段と、心電図波形の各心拍毎に、早期性の程度を示す早期性レベルを算出する早期性レベル算出手段と、その心拍波形P波振幅とP’波振幅とPR間隔の平均値からの偏差を算出するP波異所性レベル算出手段と、早期性レベル算出手段とP波異所性レベル算出手段で算出された各値を総合的に評価し、ある一定の基準を満たした関係であると判定された場合に上室性期外収縮であると判定する上室性期外収縮判定手段と、プログラムと必要な情報を記録するメモリ手段と、操作に必要な情報を入力するための入力手段と、必要な情報を表示し記録するための表示記録手段と、各手段の制御を行う中央処理部とを備えている。
【0017】その早期性レベル算出手段は、心電図波形における個々の心拍ごとの、心電図波形のR波の位置を検出するR波検出手段と、そのR波検出手段で検出された各心拍ごとのR波の位置から、心拍間の時間間隔を算出するR波時間間隔算出手段とを備え、そのR波時間間隔算出手段で算出された時間間隔に基づいて所定の基準で早期性レベルの算出を行うことが好ましい。
【0018】またそのP波異所性レベル算出手段は、II誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、II誘導とV1誘導の各誘導誤毎の基準心拍群についてのP波振幅値の平均値とP’波振幅値の平均値とPR間隔の平均値を算出する手段とを含んでおり、平均値を算出する際には、基準心拍群の中心部のみの関しての平均値を算出する事が望ましい。
【0019】本発明の上室性期外収縮判定および装置では、心電図波形に現れる早期性の特徴に加え、P波振幅の特徴とP’波振幅の特徴とPR間隔を特徴を定量的に数値として表現し、それらを用いてP波の異所性レベルを算出する算出処理を有しているので、確実に上室性期外収縮を検出できる。
【0020】また、異所性P波の特徴に関する、パラメータ算出処理のための、P波とP’波の形状とPR間隔の算定には、従来の心電図解析処理の中で用いられている心電図波形の区分点(開始・終了点)認識処理と計測処理を流用することがでいるので低コストで上室性期外収縮検出装置が提供できる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明の実施の形態である上室性期外収縮判定方法が適用される判定装置の回路構成を示すブロック図である。この図において、複数の体表面電極11と誘導コード12からなる心電図信号入力部10から得られた信号(心電図波形)は、信号増幅変換部20の心電アンプ21により増幅された後、A/Dコンバータ22によりデジタル信号に変換され、MPU30を構成する中央処理部31に出力される。
【0023】体表面電極1は、被検者の両手、両足の電極と胸部の電極からなり、心電図波形は、1心拍時に発生した両手両足の電極出力による6つの誘導波形(I、II、III誘導を含む)とその1心拍時に発生した胸部電極出力による6つの誘導波形(V1誘導からV6誘導)からなる標準12誘導の心拍波形である。これらは個別にデジタル信号に変換され、コンピュータで構成されるMPU30の中央処理部31に出力される。
【0024】MPU30は、心電図波形形成部32、早期性レベル算出部33、P波異所性レベル算出部34、上室性期外収縮判定部35、メモリ部36により心電図波形の心拍波形より上室性期外収縮を判定する。記憶媒体39は上室性期外収縮を判定するための手順のプログラムを格納する。
【0025】入力部40からはオペレーションパネル41から操作のための各種情報を発生し、中央処理部31に出力される。
【0026】表示記録部50は、各種情報の画面表示を行うLCD51、MPU30から出力される心電図波形を記録するサーマルレコーダ52を備える。
【0027】この上室性期外収縮検出装置は公知の心電計としての機能を併せて具備していてもよい。
【0028】次に、本発明の第1の実施の形態における上室性期外収縮検出方法の実施の手順について図1の上室性期外収縮検出装置の動作とともに説明する。図2は、図1に示す上室性期外収縮検出装置の動作ルーチンのうち、早期性レベル算出処理とP波異所性レベル算出処理と上室性期外収縮判定処理を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートを中央処理部31に実行させるための制御プログラムは、すべて記憶媒体39に格納されている。
【0029】図2及び図1において、スタートすると(ステップS101)、中央処理部31の指示により心電図波形形成部32は、信号増幅変換部20から供給された心電図波形信号(例えば、本例でいえば20秒間のII誘導の心電図波形信号のデジタル値)に対してスムージング(加算平均処理)によるハム等のノイズ除去といったデジタルフィルタリング処理を行って心電図波形を形成する。つぎに、中央処理装置31の指示により早期性レベル算出部33は、デジタルフィルタリング処理された心電図波形の各心拍ごとのR波のピークを検出してその位置を確定する(ステップS102)。
【0030】次に、早期レベル算出部33によってステップ102で求められたR波の位置情報を基に、中央処理装置31は各心拍ごとに各疎波(P,Q,R,S,T波)の開始・終了点の位置を認識し、検出された位置情報メモリ部36に記憶する(ステップS103)。
【0031】図4は心拍波形と各疎波との位置関係の一例を示す波形図であり、各疎波の開始・終了点は、心電図波形を二次微分して変極点を抽出し、この変極点の位置から図4に示すような関係に基づいて求められる。
【0032】さらに、中央処理部31は、各心拍ごとの各疎波(P,Q,R,S,T波)の開始・終了点の位置をもとに、各心拍ごとの各疎波の時間幅と振幅値を計算し、その結果をメモリ部36に格納する(ステップS104)。この各疎波の区分点を認識し、その時間幅と振幅値を計算する処理は、従来の心電図解析処理の中に実現されている心電図波形の区分点(開始・終了点)認識処理と計測処理を流用することができる。
【0033】次に、早期性レベル算出部33は、ステップS102で求められたR波の位置情報をもとに、R波のピーク時間間隔を計算し(ステップS105)、その計算結果から早期性の程度を表す早期性レベルを算出する(ステップS106)。ここで言う早期性レベルとは、対象となる心拍と先行する心拍との時間間隔(R−R間のピーク時間間隔u)が、1拍前の心拍とそれに先行する心拍との時間間隔にくらべ、どの程度短縮しているかをあらわす数値である。一般的には、対象となる心拍と先行する心拍との時間間隔(R−R間のピーク時間間隔u)が1拍前の心拍とそれに先行する心拍との時間間隔の85%以下になった場合に早期性あり、そうでないものについては早期性なしと判断するが、本発明ではこの短縮率を数値として認識し、最終的にP波異所性レベルとの組み合わせで上室性期外収縮を判定することが特徴である。
【0034】一例として、図5に示す心電図波形において、心拍Bと心拍Cとの間の時間間隔は、それに先立つ心拍Aと心拍Bとの間の時間間隔にほぼ等しいので心拍Cには早期性がないが、心拍Cと心拍Dとの間の時間間隔(uCD)は、それに先立つ心拍Bと心拍Cとの間の時間間隔(uBC)に比較してかなり短縮していることから、心拍Dには早期性が認められ、その早期性の程度を示す早期性レベルは、uCD/uBC*100(%)で表される。不整脈の中でも期外収縮とは、基本調律の心周期より早く興奮を生じるものを指す。このため、期外収縮は正常な洞調律のリズムの中で、本来発生すると思われる場所よりやや手前(図5上では左寄り)で発生するという特徴を持つ。このように、早期性があるという特徴をもった心拍は、期外収縮の可能性が疑われ、この早期性という特徴は期外収縮を診断する上での一つの重要な要因となっている。
【0035】次に、中央処理部31の制御により心電波形形成部32からの心電図波形がP波異所性レベル算出部34に送られ、P波の波異所性レベルが調査される(ステップS106)。
【0036】図3は図2のステップS106の詳細内容を示すフローチャートである。
【0037】P波異所性レベル算出部34では、II誘導でP波(図4参照)が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍(心電波形形成部32からの心電図波形)を正常心拍群として抽出し(ステップS202)、II誘導とV1誘導の各誘導波毎の正常心拍群についてのP波の平均振幅値とP’波(P波に続く波)の平均振幅値とPR間隔(P波とR波のピーク間隔)の平均間隔値とを算出する(ステップS203、S204、S205)。
【0038】ステップS203からS205において平均値を算出する際、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍群のP波振幅の系列を値の大きい順に並べ、全体個数のうちのそれぞれ最大値から20%、最小値から20%のデータを除外した、残りの60%のデータを平均して平均値算出による精度低下を防止している。
【0039】次に、P波異所性レベル算出部34は、各心拍ごとに、正常心拍群のP波の振幅値とP波の振幅値とPR間隔の間隔値とのそれぞれの平均値に対するP波の振幅値とP波の振幅値とPR間隔の間隔値それぞれの変位を、1心拍についてのII誘導とV1誘導の誘導毎に算出し(ステップS206、S207、S208)、最終的に誘導毎の変位の和を足しあわせ、1心拍についての変位の総和を算出する(ステップS209)。その変位の総和がP波異所性レベルである。
【0040】最終的に、中央処理部31の指示により1心拍について早期性レベル算出部33で算出された早期性レベルおよびP波異所性レベル算出部34で算出されたP波異所性レベルが上室性期外収縮判定部35に送られ、早期性レベル算出部33、P波異所性レベル算出部34の結果を基に、上室性期外収縮かどうかの判定を行う。ここでは、早期性レベルとP波の異所性レベルの両方の値を参照し、早期性レベルとP波異所性レベルの関係が、一例として、図6に示すマトリックスの丸印の関係に適合すれば上室性期外収縮であると判断し、×印の関係の場合には上室性期外収縮でないと判断する。
【0041】図6において、例えば、早期性レベルが0〜60%の場合、P波異所性レベルである変位の総和を表す合計偏差(mm)がなんであれ、上室性期外収縮判定部35は上室性期外収縮と判定し、早期性レベルが60〜70%の場合、P波異所性レベルである合計偏差(mm)が0〜1(mm)の場合には上室性期外収縮ではない、1以上の場合に上室性期外収縮と判定する。なお、早期性レベルが計測不能の場合には、合計偏差が3(mm)以上のときに上室性期外収縮と判定する。計測不能は、心拍(心電図信号)の計測の初期時に発生する。
【0042】ステップS209において算出された、1心拍毎のP波の振幅値変位と、P’波の振幅値変位と、PR間隔の間隔値の変位との総和が大きい場合には、目視的にもP波を含む心拍の変化が大きいと判断されるため、最終的に上室性期外収縮の特徴とされている異所性P波の可能性が高いと判定される。上室性期外収縮は、本来の刺激が発生する洞結節と異なる心房内の部位から刺激が発生しているため、正常な洞調律の心拍にくらべ、形状が異なったP波が伴う。この形状の異なるP波のことを異所性P波と呼び、この特徴は上室性期外収縮を診断する上での一つの重要な要因となっている。上述の図5の例では、心拍Dに異所性P波が生じている。
【0043】本実施の形態の上室性期外収縮判定および装置では、心電図波形に現れる早期性の特徴に加え、P波振幅の特徴とP’波振幅の特徴とPR間隔を特徴を定量的に数値として表現し、それらの合計偏差を用いてP波の異所性レベルのを算出する算出処理を有しているので、確実に上室性期外収縮を検出できる。
【0044】また、図2のステップ103、104のように、異所性P波の特徴に関する、パラメータ算出処理のためのP波とP’波の形状とPR間隔の算定には、従来の心電図解析処理の中で用いられている心電図波形の区分点(開始・終了点)認識処理と計測処理を流用することがでいるので、低コストで上室性期外収縮検出装置が提供できる。
【0045】本実施の形態では、メモリ部36は、上室性期外収縮を判定するための制御プログラムを記録した記録媒体であって、中央処理部31は、その制御プログラムによって、(A)体表面の、所定の位置の電位を計測して得られる心電図波形の早期性を検出する早期性検出手順と、(B)心電図波形のP波の振幅とP’波の振幅とPR間隔の変位を検出するP波異所性検出手順と、(C)早期性検出手順の結果と、P波異所性検出手順の結果をもとに、上室性期外収縮であると判定する上室性期外収縮判定手順と、を実行するようにしても良い。
【0046】ここにおいて、早期性検出手順は、心電図波形のうち、個々の心拍毎に波形のR波の位置を検出するR波検出手順と、R波検出手順で検出された、個々の心拍毎にR波の位置から、心拍間の時間間隔を算出し、この時間間隔に基づいて早期性レベルを算出する手順とを有する。
【0047】また、P波異所性検出手順は、心電図の誘導波形のうちの第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのP’波の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するP’波振幅値変位算出ステップと、第1誘導でP波が陽性であり、洞性の収縮(期外収縮でない正常な心筋の収縮)と判定された心拍を基準心拍群とし、第1誘導と第2誘導の各誘導毎の基準心拍群についてのPR間隔の平均振幅値を算出して、全ての心拍についてその平均値との変位を計算するPR間隔値変位算出ステップと、P波振幅値変位算出ステップおよびP’波振幅値変位算出ステップおよびPR間隔値変位算出ステップで算出された変位を合計する合計変位算出ステップとを含み、合計変位算出ステップで算出された合計変位に基づいてP波異所性レベルを算出する手順であっても良い。
【0048】なお、本発明は本実施の形態において説明した内容に限定されず、本発明を適用する上で好適な実施の形態に適用することができる。
【0049】また、上述の実施形態では、II誘導とV1誘導の20秒間の心電図をもとに上室性期外収縮を検出する場合について説明したが、II誘導以外の誘導、V1誘導以外の誘導でもよく、誘導の種類とその検出時間長は制限しない。
【0050】
【発明の効果】本発明の上室性期外収縮判定方法と判定装置は以上のように構成されているので次のような効果を有する。
【0051】第1の効果は、確実に上室性期外収縮を検出できることにある。その理由は、早期性の特徴に加え、心拍(心電図波形)のP波の形状とP’波の形状とPR間隔を調べることによる異所性のP波の特徴に関する判定処理を有していているためである。これにより上室性期外収縮を診断する精度が高まる。また、最終的に早期性レベルとP波異所性レベルの、両方の特徴の組み合わせで上室性期外収縮を判定する判定処理を有することにより、上室性期外収縮を診断する精度がより一層高まる。
【0052】第2の効果は、従来の心電図解析処理の中に実現されている、心電図の区分点(開始・終了点)認識処理と計測処理を流用することで、特に新しい処理を追加することなく、簡便に異所性P波の特徴について検証することができることにある。
【0053】第3の効果は、上室性期外収縮が連発した場合など早期性だけでは判断がつかない場合にでも、P波の異所性レベルを定量的に算出しているために、確実に上室性期外収縮を検出できることである。




 

 


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