発明の名称 |
生理用ナプキン |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開2000−254173(P2000−254173A) |
公開日 |
平成12年9月19日(2000.9.19) |
出願番号 |
特願平11−65470 |
出願日 |
平成11年3月11日(1999.3.11) |
代理人 |
【識別番号】100066267 【弁理士】 【氏名又は名称】白浜 吉治 【テーマコード(参考)】
4C003
【Fターム(参考)】
4C003 DA06
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発明者 |
水谷 聡 / 吉政 渡 |
要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】 透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、これら両シート間に介在する吸液性コアとからなり、縦方向へ延びる一対の側縁部と、横方向へ延びる一対の端縁部とを有する生理用ナプキンであって、前記側縁部が、上下へ離間可能に重なり合う上層フラップと下層フラップとからなり、前記上層フラップは、前記ナプキン全長の1/2〜1/1の長さと、前記幅方向へ最大10〜30mmの幅とを有し、前記縦方向へ弾性的に120〜300%伸長可能に形成されており、前記下層フラップは、前記ナプキンの横方向外方へ延びて前記上層フラップの外側縁部から延出し下面に粘着剤が塗布された翼部を有していることを特徴とする前記ナプキン。 【請求項2】 前記上層フラップが、前記縦方向と横方向とのうちの少なくとも前記縦方向へ弾性的に伸縮可能なシートで形成されている請求項1記載のナプキン。 【請求項3】 前記上層フラップが、前記縦方向において非伸縮性のシートに前記縦方向へ伸長した弾性部材を取り付けて該シートに前記縦方向で山と谷とを繰り返す多数のギャザーを形成させたものである請求項1記載のナプキン。 【請求項4】 前記上層フラップが、前記非伸縮性のシートの前記縦方向に前記ギャザーの密集域を間欠的に配置したものである請求項3記載のナプキン。 【請求項5】 前記下層フラップが、前記縦方向へ弾性的に伸長可能である請求項1〜4のいずれかに記載のナプキン。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、生理用ナプキンに関する。 【0002】 【従来の技術】特開平2−7956号公報に開示の生理用ナプキンは、翼部を有するナプキンの改良品であって、ナプキン縦方向への伸長性を有するフラップが側縁部に形成されている。このフラップは、着用ショーツの脚周り開口縁部から開口の中へ出た部分がショーツの股下域外面に折り重ねられるときに伸長し、湾曲している開口縁に密着する。折り重ねられたフラップは、フラップに塗布された粘着剤を介してショーツ外面に止着することができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記公知のナプキンでは、フラップが着用ショーツの開口縁部を覆うことで、経血によるその縁部の汚れを防止することができる。しかし、このように着用される前記公知のナプキンでは、ショーツから横漏れした経血が太股を伝って流れようとするのを止めることは難しい。 【0004】この発明の解決課題は、着用ショーツの外面に止着することができるナプキンにおいて、横漏れした経血の太股を伝っての流れを防止することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題解決のために、この発明が前提とするのは、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、これら両シート間に介在する吸液性コアとからなり、縦方向へ延びる一対の側縁部と、横方向へ延びる一対の端縁部とを有する生理用ナプキンである。 【0006】前記前提において、この発明が特徴とするところは、前記側縁部が、上下へ離間可能に重なり合う上層フラップと下層フラップとからなり、前記上層フラップは、前記ナプキン全長の1/2〜1/1の長さと、前記幅方向へ最大10〜30mmの幅とを有し、前記縦方向へ弾性的に120〜300%伸長可能に形成されており、前記下層フラップは、前記ナプキンの横方向外方へ延びて前記上層フラップの外側縁部から延出し下面に粘着剤が塗布された翼部を有していること、にある。 【0007】この発明の好ましい実施態様において、前記上層フラップが、前記縦方向と横方向とのうちの少なくとも前記縦方向へ弾性的に伸縮可能なシートで形成されている。 【0008】実施態様の他の一つにおいて、前記上層フラップが、前記縦方向において非伸縮性のシートに前記縦方向へ伸長した弾性部材を取り付けて該シートに前記縦方向で山と谷とを繰り返す多数のギャザーを形成させたものである。 【0009】実施態様の他の一つにおいて、前記上層フラップが、非伸縮性のシートの前記縦方向に前記ギャザーの密集域を間欠的に配置したものである。 【0010】実施態様のさらに他の一つにおいて、前記下層フラップが、前記縦方向へ弾性的に伸長可能である。 【0011】 【発明の実施の形態】添付の図面を参照してこの発明に係る生理用ナプキンの詳細を説明すると、以下のとおりである。 【0012】図1に部分破断斜視図で示された生理用ナプキン1は、透液性表面シート2と、不透液性裏面シート3と、これら両シート2,3間に介在する吸液性コア4とを備え、縦方向へ延びる一対の側縁部6と、横方向へ延びる一対の端縁部7とを有する。表裏面シート2,3は、コア4の周縁から延出して重なり合う部分で互いに接合している。側縁部6は、横方向へ延びる山と谷とが縦方向で交互に反復している多数のギャザー8を有するシート10と、縦方向へ延びる弾性部材9とからなる上層フラップ11、およびフラップ11の下側に位置し、翼部13を備えている下層フラップ12を有する。コア4は、砂時計型を呈している。 【0013】図2は、図1のII−II線切断面を示す。上層フラップ11のシート10は非伸縮性または伸縮性のシートであって、このフラップ11の内側縁部16は、接合線17において表面シート2の側縁部および/またはその側縁部から側方へ延出している裏面シート3に接合している。上層フラップ11の外側縁部18では、シート10から下方へ向かって折り返された部分の内側に弾性部材9が伸長状態で貼着し、この部材9の収縮によってギャザー8が形成されている。弾性部材9の貼着時の伸長応力は、10〜150gであることが好ましい。図1,2から明らかなように、内側縁部16の接合線17は、コア4の側縁に沿って縦方向へ延び、ナプキン1の内方へ向かって凸となるように湾曲して、両端部分が外側縁部18と交差している。かかる上層フラップ11の縦方向の寸法Bは、ナプキン1の全長Aの1/2〜1/1の範囲にあり、寸法Bは、伸長したときに200mm以上になり得ることが好ましい。上層フラップ11の横方向の最大寸法Cは、10〜30mmの範囲にあることが好ましい。上層フラップ11の外側縁部18間の寸法Dは、60〜120mm、より好ましくは80〜100mmの範囲にある。 【0014】下層フラップ12は、その基縁部14がコア4の側縁から側方へ延出する表面シート2と裏面シート3とで形成されている。両シート2,3は、コア4の側縁近傍で重なり合い、ホットメルト接着剤21を介して互いに接合している。裏面シート3は、表面シート2の側縁からさらに側方へ延びて上層フラップ11の外側縁部18にまで達し、一部分はさらに延びて翼部13を形成している。翼部13の下面には粘着剤22が塗布されており、剥離紙23によって粘着剤22が保護されている。 【0015】図3は、図2のナプキン1が着用状態にあるときの図面である。ナプキン1は、着用ショーツ26の股下域内面に置かれ、下層フラップ12が股下域の外面に折り重ねられ、翼部13が粘着剤22を介してその外面に止着している。下層フラップ12は、折り重ねられることにより、着用ショーツ26の脚周り開口縁部27を覆い、縁部27の経血による汚れを防止している。 【0016】上層フラップ11は、ショーツ26の開口縁部27に沿って下向きに折曲され、着用者の太股28に密着している。上層フラップ11は、下向きに折曲されるときにギャザー8と弾性部材9とがナプキン1の縦方向へ伸長されるので、図示の状態から図2の元の状態へ復帰しようとする傾向にある。その結果、上層フラップ11が、太股28に強く密着する。上層フラップ11のかかる作用によって、ナプキン1の横から漏れた経血は、太股28の内側を伝って流れ落ちるということがない。 【0017】図4は、この発明の実施態様の一例を示す図1と同様の図面である。このナプキン1では、コア4が矩形のものであって、コア4の側縁に沿って縦に長いほぼ矩形の上層フラップ11と、翼部13を備えた下層フラップ12とが形成されている。上層フラップ11は、ナプキン1のほぼ全長に及ぶもので、幅10〜30mmを有しているが、図1のそれと異なりギャザー8を有していない。その代わりに、このフラップ11には、ナプキン1の縦方向と横方向とのうちの少なくとも縦方向へ120〜300%伸長可能な弾性シート10Aが使用されている。下層フラップ12は、図2のそれと同じように形成されている。かかるナプキン1もまた、それが着用されると図3の状態となる。弾性シート10Aには、天然ゴムや合成ゴム等の伸縮性シートを使用することができる。 【0018】図5もまた、この発明の実施態様の一例を示す図1と同様の図面である。このナプキン1の上層フラップ11では、縦方向において非伸縮性のシート10Bが使用され、かかるシート10Bには縦方向で山と谷とを繰り返すギャザー8の密集域15が縦方向に間欠的に形成されている。上層フラップ11は、外側縁部に弾性部材9を有し、ナプキン1が図3のように着用されると、ギャザー8と弾性部材9とが縦方向へ伸長し、太股28に密着する。 【0019】この発明において、表面シート2には、不織布や開孔プラスチックフィルムを使用することができる。裏面シート3には、プラスチックフィルムを使用することができる。コア4には、粉砕パルプや粉砕パルプと高吸水性ポリマーの混合物を使用することができる。上層フラップ11には、伸縮性または非伸縮性であって、好ましくは通気性、より好ましくは通気性かつ吸汗性の不織布やプラスチックフィルムを使用することができる。下層フラップ12は、図示例のように裏面シート3を側方へ長く延出させて形成する他に、表裏面シート2,3とは別体の不織布やプラスチックフィルムを表面シート2および/または裏面シート3に接合して形成することもできる。下層フラップ12は、着用ショーツの脚周りに沿って折り曲げ易いように図1のように基縁部14を湾曲させる他に、外側縁部29(図1参照)をナプキン1の内方へ湾曲させることができる。下層フラップ12が側方へ延出する寸法は、上層フラップ11のそれとは関係なく定めることができる。ただし、下層フラップ12がいかなる場合であっても、翼部13が着用ショーツの股下域に到達し得る大きさを有していることはいうまでもない。下層フラップ12には、縦方向への弾性的伸縮性をもたせることも可能である。表面シート2,裏面シート3,上層フラップ11および下層フラップ12の相互の接合には、ホットメルト接着剤等の接着剤の他に、熱溶着等の溶着技術を利用することができる。 【0020】 【発明の効果】この発明に係る生理用ナプキンは、上層フラップと下層フラップとを有し、上層フラップを着用者の太股に強く密着させ、下層フラップを着用ショーツ股下域外面へ折り重ね、翼部をその外面に止着することができるから、このナプキンは、翼部付きナプキンの使い勝手の良さと、太股を伝う経血の流れを止める効果とを併せ持つことができる。
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