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発明の名称 電力変換装置の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−41814
公開日 平成11年(1999)2月12日
出願番号 特願平9−195734
出願日 平成9年(1997)7月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
発明者 森川 竜一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 交流系統に変圧器を接続し、この変圧器を介してインバータの交流出力を前記交流系統に供給し、この交流系統の電圧、電流又は電力を変える電力変換装置の制御装置において、前記変圧器のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を補償するように前記インバータの出力を制御するフィードバック制御手段、を具備したことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
【請求項2】 前記フィードバック制御手段は、前記交流系統の母線電圧又は母線電流から位相情報を検出する位相情報検出手段と、前記交流系統の電流、前記変圧器のインピーダンス及び前記位相情報検出手段により検出された位相情報に基づいて前記変圧器のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めるインピーダンス降下補償部と、前記交流系統に前記変圧器を介して供給する電圧における前記交流系統の母線電圧と同位相の第1の電圧成分、及びこの位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分に対する各指令電圧を入力し、これら指令電圧から前記インピーダンス降下補償部により求められた電圧降下分を減算し、前記インバータの電圧指令として出力する加算器と、この加算器から出力されるインバータの電圧指令を前記位相情報検出手段により検出された位相情報に基づいて前記交流系統の相に戻し、前記インバータを動作制御するインバータ制御手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項3】 前記交流系統に前記変圧器を介して供給する電圧を座標変換して前記交流系統の母線電圧と同位相の第1の電圧成分、及びこの位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分を出力する座標変換部と、この座標変換部から出力される第1及び第2の電圧成分とこれら指令電圧との各偏差を求め、これら偏差を小さくする各電圧を前記各指令電圧として前記加算器に送る電圧制御部と、を有する請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項4】 前記母線電流と予め設定されたしきい値とを比較し、前記母線電流がしきい値よりも小さい場合に前記母線電圧を前記位相情報検出手段に与え、かつ前記母線電流がしきい値よりも大きい場合に前記母線電流を前記位相情報検出手段に与える信号切替部を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項5】 前記母線電流から振幅を検出し、この振幅の大きさに応じて前記母線電圧又は前記母線電流を前記位相情報検出手段に与え、かつ前記振幅が所定の領域から変化しない場合に過去に使用していた信号と同一種類の信号を前記位相情報検出手段に与える信号切替部を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項6】 前記位相情報検出手段は、前記母線電圧の位相情報を検出する第1の位相検出器と、前記母線電流の位相情報を検出する第2の位相検出器と、前記母線電流の大きさに応じて位相選択信号を出力する位相選択部と、前記母線電圧の位相又は前記母線電流の位相と少なくとも前記インピーダンス降下補償部に与える位相情報との差又は一次遅れ特性の出力を得るフィルタ手段と、前記位相選択部から出力された位相選択信号に応じて前記フィルタ手段の出力を選択する位相切替部と、を有することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項7】 前記交流系統に前記変圧器を介して供給する電圧のうち前記交流系統の母線電圧に対して同位相の第1の電圧成分と前記母線電圧とに基づいて前記第1の電圧成分の位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分に対する各指令電圧を演算し、これら指令電圧を前記電圧制御部に与える第2の電圧成分演算部を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項8】 前記母線電流と前記母線電圧の位相情報、及び前記変圧器のインピーダンスの指令に基づいて前記交流系統に前記変圧器を介して供給する電圧における前記第1及び第2の電圧成分を演算し、これら第1及び第2の電圧成分を前記電圧制御部に与える電圧指令演算部を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流系統に直列に接続した変圧器を介して交流出力を供給し、この交流系統の電圧、電流又は電力を変える電力変換装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交流系統は、巨大な回路網であり、送電線は分布定数回路と見られる。この送電線が長くなると、インピータンス降下は大きくなり、電流の位相遅れも大きくなるので、送電可能な電力は減少する。
【0003】このため、既設の交流システムと直列に電圧源を設け、この電圧源から交流システムに印加する電圧の大きさと位相を変化させ、交流システムによって送られる電力を負荷の要求に応じて増強するために、交流システムの有効電力と無効電力とを制御する電力調整装置がある。
【0004】図11はかかる電力調整装置を含んだ交流系統の構成図である。これは一般の交流系統を簡略化したものであり、送電端1に送電線2が接続され、この送電線2に電圧型のインバータ3を用いた電力調整装置4が接続されている。
【0005】ここで、送電端1の電圧と位相とはE1 、θ1 であり、受電端5の電圧と位相とはE2 、θ2 である。電力調整装置4が無い場合について説明すると、交流系統に送電される電力Pは、進んだ位相から遅れた位相の方向に送られ、次式で表現される。なお、δは相差角である。
【0006】
P=(E1 ・E2 /X)・ sinδ …(1) δ=θ1 −θ2 、Xは交流系統のインピーダンスこのような電力調整装置4が無い交流系統では、受電端5で大きな有効電力や遅れ無効電力が要求された場合、送電線2の電圧降下が大きくなる。上記式(2)では、受電端5の電圧E2 が小さくなると、送電電力を維持するために位相θ2が遅れて相差角δを大きくする。
【0007】しかし、安定した電力を供給するためには、相差角δは90°以内でなければならない。さらに、実際には、相差角90°に余裕を持って運転する必要があり、その意味で送電電力には限界が存在する。
【0008】又、送電端1側に負荷が存在し、受電端5側にも発電設備がある場合、これら送電端1と受電端5とを繋ぐ送電線2に送られる電力を調整して電力の融通を行う場合もある。この際は、送電端1と受電端5との各々の発電設備で電圧と位相とを調整して協調を取りながら運転しなければならず、目的とする電力を正確に送ることは非常に困難である。
【0009】しかるに、上記電力調整装置4は、直流電源6により制御された直流コンデンサ7の電圧をインバータ3により交流に変換し、この交流を送電線2に直列に挿入された直列変圧器8を介して送電線2に印加し、これにより交流系統との有効電力及び無効電力の授受を行い、交流系統の有効電力と無効電力とを調整する機能を有している。
【0010】以下具体的に説明すると、受電端5の電圧E2 と同位相の座標をd軸とし、90°進んだ位相をq軸とした回転座標系上に受電端5の電圧E2 及び母線電流IB を変換したものをdq軸電圧E2d、E2q及びdq軸電流IBd、IBqとすると、q軸電圧E2qは零となる。このときの受電端5の有効電力Pと無効電力Qは次式で表される。
【0011】
P=E2d・IBd …(2) Q=−E2d・IBq …(3) 交流系統の電圧はそれほど大きくは変化しないように制御されているため、上記式(2) 及び式(3) から有効電力Pは、d軸電流IBdに比例し、無効電力Qはq軸電流IBqに比例することがいえる。つまり、母線電流を制御すれば、交流系統の有効電力Pと無効電力Qとが制御できる。
【0012】交流系統のインピーダンスXは、殆どインダクタンス成分なので、電力調整装置4の出力電圧VCのd軸成分VCd を調整すれば、母線電流のq軸電流IBqが制御でき、又出力電圧VCのq軸成分VCq を調整すれば、母線電流のd軸電流IBdが制御できる。
【0013】このような事から電力検出部9は、送電線2に送られる電力の有効電力Pと無効電力Qとを検出し、それぞれ有効電力制御部10、無効電力制御部11に送出する。
【0014】これら有効電力制御部10、無効電力制御部11は、比例積分制御器等から構成され、それぞれ電力検出部9により検出された有効電力P、無効電力Qを指令値に近付けるように、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を出力する。
【0015】一方、位相情報検出部12は、母線電流IB の位相情報を検出し、この位相情報を座標逆変換部13に送出する。この座標逆変換部13は、位相情報検出部12により検出された位相情報を用い、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換してインバータ3の出力する3相の電圧指令に変換し、その3相の電圧指令をゲート制御部14に与える。
【0016】このゲート制御部14は、座標逆変換部13からのインバータ3の電圧指令にに従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0017】但し、直列変圧器8は、インピーダンスがあるために、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *と実際のdq軸成分VCd 、VCq とには誤差があるが、有効電力制御部10及び無効電力制御部11の働きにより交流系統の有効電力Pと無効電力Qとの制御を可能としている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、交流系統の有効電力P又は無効電力Qを十分に制御するためには、非常に大容量の電力調整装置が必要になる。大容量の電力調整装置は、非常に高価な装置であるとともに、現在の技術では作製すること自体困難である。
【0019】又、交流系統に接続される電力調整装置には、交流系統の有効電力P又は無効電力Qの制御のほかに、交流系統が動揺したときの安定化を行う機能を付加することが望まれている。
【0020】この安定化の機能は、交流系統の有効電力P又は無効電力Qを十分に制御するに必要な容量に対して少ない容量の電力調整装置で可能となる。このため、限られた電力調整装置の容量で、交流系統の安定化を行う機能と交流系統の有効電力P又は無効電力Qを制御する必要がある。
【0021】交流系統の送電容量に対して小容量の電力調整装置で、上記のような交流系統の有効電力P又は無効電力Qの制御を行うと、その制御できる幅は非常に小さい範囲である。この制御可能な範囲内で、電力調整装置に交流系統の有効電力P又は無効電力Qの指令を与えることは非常に困難である。そこで本発明は、限られた容量で効果的に交流系統の有効電力又は無効電力を安定に調整できる電力変換装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1によれば、交流系統に変圧器を接続し、この変圧器を介してインバータの交流出力を交流系統に供給し、この交流系統の電圧、電流又は電力を変える電力変換装置の制御装置において、変圧器のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を補償するようにインバータの出力を制御するフィードバック制御手段、を備えた電力変換装置の制御装置である。
【0023】請求項2によれば、請求項1記載の電力変換装置の制御装置において、フィードバック制御手段は、交流系統の母線電圧又は母線電流から位相情報を検出する位相情報検出手段と、交流系統の電流、変圧器のインピーダンス及び位相情報検出手段により検出された位相情報に基づいて変圧器のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めるインピーダンス降下補償部と、交流系統に変圧器を介して供給する電圧における交流系統の母線電圧と同位相の第1の電圧成分、及びこの位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分に対する各指令電圧を入力し、これら指令電圧からインピーダンス降下補償部により求められた電圧降下分を減算し、これをインバータの電圧指令として出力する加算器と、この加算器から出力されるインバータの電圧指令を位相情報検出手段により検出された位相情報に基づいて交流系統の相に戻し、インバータを動作制御するインバータ制御手段と、を有する。
【0024】請求項3によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、交流系統に変圧器を介して供給する電圧を座標変換して交流系統の母線電圧と同位相の第1の電圧成分、及びこの位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分を出力する座標変換部と、この座標変換部から出力される第1及び第2の電圧成分とこれら指令電圧との各偏差を求め、これら偏差を小さくする各電圧を各指令電圧として加算器に送る電圧制御部と、を有する。
【0025】請求項4によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、母線電流と予め設定されたしきい値とを比較し、母線電流がしきい値よりも小さい場合に母線電圧を位相情報検出手段に与え、かつ母線電流がしきい値よりも大きい場合に母線電流を位相情報検出手段に与える信号切替部を備えた。
【0026】請求項5によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、母線電流から振幅を検出し、この振幅の大きさに応じて母線電圧又は母線電流を位相情報検出手段に与え、かつ振幅が所定の領域から変化しない場合に過去に使用していた信号と同一種類の信号を位相情報検出手段に与える信号切替部を備えた。
【0027】請求項6によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、位相情報検出手段は、母線電圧の位相情報を検出する第1の位相検出器と、母線電流の位相情報を検出する第2の位相検出器と、母線電流の大きさに応じて位相選択信号を出力する位相選択部と、母線電圧の位相又は母線電流の位相と少なくともインピーダンス降下補償部に与える位相情報との差又は一次遅れ特性の出力を得るフィルタ手段と、位相選択部から出力された位相選択信号に応じてフィルタ手段の出力を選択する位相切替部と、を有する。
【0028】請求項7によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、交流系統に変圧器を介して供給する電圧のうち交流系統の母線電圧に対して同位相の第1の電圧成分と母線電圧とに基づいて第1の電圧成分の位相から所定位相進んだ位相の第2の電圧成分に対する各指令電圧を演算し、これら指令電圧を電圧制御部に与える第2の電圧成分演算部を備えた。
【0029】請求項8によれば、請求項2記載の電力変換装置の制御装置において、母線電流と母線電圧の位相情報、及び変圧器のインピーダンスの指令に基づいて交流系統に変圧器を介して供給する電圧における第1及び第2の電圧成分を演算し、これら第1及び第2の電圧成分を電圧制御部に与える電圧指令演算部を備えた。
【0030】
【発明の実施の形態】(1) 以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図11と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。図1は電力変換装置の制御装置の構成図である。
【0031】この電力変換装置の制御装置には、直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を補償するようにインバータ3の出力を制御するフィードバック制御手段20が備えられている。
【0032】すなわち、位相情報検出部21は、交流系統(以下、送電線2として説明する)の母線電圧E2 から位相情報θを検出する機能を有している。座標変換部22は、送電線2に直列変圧器8を介して直列に挿入する直列補償電圧VCを座標変換して送電線2の母線電圧E2 と同位相のd軸成分VCd (第1の電圧成分)と、このd軸成分VCd の位相から90°進んだ位相のq軸成分VCq (第2の電圧成分)とを出力する機能を有している。
【0033】電圧制御部23は、座標変換部22から出力される直列補償電圧VCのd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *とを比較してその各偏差を求め、これら偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力し、それぞれ加算器24、25に送る機能を有している。
【0034】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報検出部21により検出された位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求める、すなわち下記式(4) の右辺を演算する機能を有している。
【0035】すなわち、直流変圧器8を巻線比=1とし、抵抗RとインダクタンスLとで等価的に表現した場合、インバータ3の出力電圧VIと直列補償電圧VCとの間には次式の関係が存在する。
【0036】
【数1】

【0037】このうち、sは微分演算子、IB は母線電流、VI、VC、IB の添字d、qは、上記同様に各電圧・電流の母線電圧E2 と同相のd軸成分、90°進んだq軸成分を表している。
【0038】上記式(4) から分かるように、直列変圧器8に含まれるインピーダンスとそのインピーダンスに流れる電流IB によって生じる電圧降下の分だけ差が生じる。なお、インピーダンス降下補償部26では、母線電流IB からdq軸電流IBd、IBqを演算するのに位相情報θを使用する。
【0039】上記各加算器24、25は、それぞれ電圧制御部23から出力された各指令電圧V1d、V1qを入力し、これら指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する機能を有している。
【0040】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。位相情報検出部21は、送電線2の母線電圧E2 から位相情報θを検出し、この位相情報θを座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0041】このうち座標変換部22は、直列変圧器8から送電線2に供給する直列補償電圧VCを座標変換して母線電圧E2 と同位相のd軸成分VCd と、このd軸成分VCd の位相から90°進んだ位相のq軸成分VCq とを出力する。
【0042】電圧制御部23は、座標変換部22から出力される直列補償電圧VCのd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *とを比較してその各偏差を求め、これら偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0043】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報検出部21により検出された位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を各加算器24、25に送出する。
【0044】これら加算器24、25は、それぞれ電圧制御部23から出力された各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0045】この座標逆変換部13は、位相情報検出部12により検出された位相情報θを用い、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換してインバータ3の出力する3相の電圧指令に変換し、その3相の電圧指令をゲート制御部14に与える。
【0046】このゲート制御部14は、座標逆変換部13からのインバータ3の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0047】このように上記第1の実施の形態においては、直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を補償するようにインバータ3の出力電圧を制御するので、直列変圧器8を通して送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCのdq軸成分VCd 、VCq を独立にかつ高速にしかも安定に制御できる、すなわち限られた容量で効果的に交流系統の有効電力P又は無効電力Qを安定に調整できる。
【0048】なお、直列変圧器8の抵抗R及びインダクタンスLを正確に知ることは困難である為に、現実には直列変圧器8の設計値として得られる抵抗R及びインダクタンスLを使用したり、装置を調整しながら抵抗R及びインダクタンスLを求めたりする。このようにして得られる抵抗R及びインダクタンスLの値を使用したとしても、本発明の趣旨を逸脱するものでない。
【0049】又、上記式(4) の右辺には母線電流IB を微分する項が含まれているが、この項の省略や簡略化を行って制御装置を構成しても実用上大きな問題とならない場合には、母線電流IB を微分する項を省略又は簡略化してもよい。
(2) 次に本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0050】図2は電力変換装置の制御装置の構成図である。各加算器24、25は、それぞれ送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCのdq軸成分VCd 、VCq の各指令電圧VCd *、VCq *を入力し、これら指令電圧VCd *、VCq *からインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令として出力する機能を有している。
【0051】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。位相情報検出部21は、母線電圧E2 から位相情報θを検出し、この位相情報θをインピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0052】このうちインピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報検出部21により検出された位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を各加算器24、25に送出する。
【0053】これら加算器24、25は、それぞれ送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCのdq軸成分VCd 、VCq の各指令電圧VCd *、VCq *を入力し、これら指令電圧VCd *、VCq *からインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令として座標逆変換部13に送出する。
【0054】この座標逆変換部13は、位相情報検出部12により検出された位相情報θを用い、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換してインバータ3の出力する3相の電圧指令に変換し、その3相の電圧指令をゲート制御部14に与える。
【0055】このゲート制御部14は、座標逆変換部13からのインバータ3の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0056】このように上記第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCのdq軸成分VCd 、VCq を独立にかつ高速にしかも安定に制御できる、すなわち限られた容量で効果的に交流系統の有効電力P又は無効電力Qを安定に調整できる。
(3) 次に本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0057】図3は電力変換装置の制御装置の構成図である。位相情報検出部27は、送電線2の母線電流IB から位相情報θを検出し、この位相情報θを座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する機能を有している。
【0058】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。位相情報検出部27は、送電線2の母線電流IB から位相情報θを検出し、この位相情報θを座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0059】このうち座標変換部22は、送電線2に供給する直列補償電圧VCを座標変換して母線電圧E2 と同位相のd軸成分VCd 及びq軸成分VCq を出力し、電圧制御部23は、これらd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *との偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0060】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報検出部21により検出された位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を各加算器24、25に送出する。
【0061】これら加算器24、25は、それぞれ電圧制御部23から出力された各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0062】この座標逆変換部13は、位相情報検出部12により検出された位相情報θを用い、直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換してインバータ3の出力する3相の電圧指令に変換してゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0063】このように上記第3の実施の形態によれば、母線電流IB から位相情報θを求め、この位相情報θを用いて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求め、この電圧降下分を補償するようにインバータ3の出力電圧を制御するので、送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCの母線電流IB と同相の成分VCd と90°進んだ成分VCq を独立にかつ高速にしかも安定に制御できる、すなわち限られた容量で効果的に交流系統の有効電力P又は無効電力Qを安定に調整できる。
(4) 次に本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0064】図4は電力変換装置の制御装置の構成図である。信号切替部28は、母線電流IB と予め設定されたしきい値とを比較し、母線電流IB がしきい値よりも小さい場合に母線電圧E2 を位相情報検出部29に与え、かつ母線電流IB がしきい値よりも大きい場合に母線電流IB を位相情報検出部29に与える機能を有している。
【0065】この位相情報検出部29は、信号切替部28の切り替え動作により母線電流IB 又は母線電圧E2 を入力し、これら母線電流IB 又は母線電圧E2 から位相情報θを検出して座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する機能を有している。
【0066】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。信号切替部28は、母線電流IB と予め設定されたしきい値とを比較し、母線電流IB がしきい値よりも小さい場合に母線電圧E2 を位相情報検出部29に与え、かつ母線電流IB がしきい値よりも大きい場合に母線電流IB を位相情報検出部29に与える。
【0067】すなわち、母線電流IB が小さくなると、母線電流IB の検出器の誤差や電磁ノイズなどにより正確な母線電流IB の位相情報θを得ることが困難になる。正確な母線電流IB の位相情報θが得られない場合、交流系統に直列に挿入する直列補償電圧VCの母線電流IB と同相の成分VCd と90°進んだ成分VCq を独立にかつ安定に制御することが不可能になる。
【0068】交流系統において母線電流IB は負荷状態などによりその大きさが著しく変化するのに対し、母線電圧E2 は殆ど一定に保たれる。そこで、信号切替部28により母線電流IB がしきい値よりも小さい場合に母線電圧E2 を位相情報検出部29に与えることで、母線電流IB が少ない状態において交流系統に直列に挿入する直列補償電圧VCが不安定なることを防ぐことができる。
【0069】従って、位相情報検出部29は、信号切替部28の切り替え動作により母線電流IB 又は母線電圧E2 を入力し、これら母線電流IB 又は母線電圧E2 から位相情報θを検出して座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0070】以下、上記第1の実施の形態の動作と同様に、座標変換部22は、直列補償電圧VCを座標変換してd軸成分VCd 及びq軸成分VCq を出力し、電圧制御部23は、これらd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *との偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0071】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めて各加算器24、25に送出する。
【0072】これら加算器24、25は、上記各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0073】この座標逆変換部13は、位相情報θを用いて直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換して3相の電圧指令としてゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0074】このように上記第4の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、送電線2に直列に挿入する直列補償電圧VCの母線電流IB と同相の成分VCdと90°進んだ成分VCq を独立にかつ高速にしかも安定に制御でき、限られた容量で効果的に交流系統の有効電力P又は無効電力Qを安定に調整でき、そのうえ信号切替部28により母線電流IB がしきい値よりも小さい場合に母線電圧E2 を位相情報検出部29に与えることで、母線電流IB が少ない状態において交流系統に直列に挿入する直列補償電圧VCが不安定なることを防止できる。
(5) 次に本発明の第5の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0075】図5は電力変換装置の制御装置の構成図である。信号切替部30は、母線電流IB から振幅IBMを検出し、この振幅IBMの大きさに応じて母線電圧E2 又は母線電流IB を位相情報検出部31に与え、かつ振幅IBMが所定の領域から変化しない場合に過去に使用していた信号と同一種類の信号を位相情報検出部31に与える機能を有している。
【0076】具体的に信号切替部30は、母線電流IB から振幅IBMを検出し、この振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも小さい領域にある場合には母線電圧E2 を位相情報検出部31に与え、振幅IBMが第2のしきい値R2 (>R1 )よりも大きい領域にある場合には母線電圧IB を位相情報検出部31に与える機能を有している。
【0077】又、信号切替部30は、振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも小さい状態から大きい状態へと変化した場合には母線電圧E2 を位相情報検出部31に与え続け、かつ振幅IBMが第2のしきい値R2 よりも大きい状態から小さい状態へと変化した場合には母線電流IB を位相情報検出部31に与え続け、さらに振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも大きく第2のしきい値R2 よりも小さい領域から変化しない場合には過去に使用していた信号と同一種類の信号を位相情報検出部31に与え続ける機能を有している。
【0078】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。上記の如く信号切替部30は、母線電流IB から振幅IBMを検出し、この振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも小さい領域にある場合には母線電圧E2 を位相情報検出部31に与え、振幅IBMが第2のしきい値R2 (>R1 )よりも大きい領域にある場合には母線電圧IB を位相情報検出部31に与える。
【0079】又、信号切替部30は、振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも小さい状態から大きい状態へと変化した場合には母線電圧E2 を位相情報検出部31に与え続け、振幅IBMが第2のしきい値R2 よりも大きい状態から小さい状態へと変化した場合には母線電流IB を位相情報検出部31に与え続け、さらに振幅IBMが第1のしきい値R1 よりも大きく第2のしきい値R2 よりも小さい領域から変化しない場合には過去に使用していた信号と同一種類の信号を位相情報検出部31に与え続ける。
【0080】このように母線電流IB からの振幅IBMの大きさに応じて母線電圧E2 又は母線電流IB が切り替えられて位相情報検出部31に与えられると、この位相情報検出部21は、切り替えられた母線電圧E2 又は母線電流IB から位相情報θを検出し、この位相情報θを座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0081】以下、上記第1の実施の形態の動作と同様に、座標変換部22は、直列補償電圧VCを座標変換してd軸成分VCd 及びq軸成分VCq を出力し、電圧制御部23は、これらd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *との偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0082】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めて各加算器24、25に送出する。
【0083】これら加算器24、25は、上記各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0084】この座標逆変換部13は、位相情報θを用いて直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換して3相の電圧指令としてゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0085】このように上記第5の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、例えば母線電流IB が1つのしきい値付近では、母線電流IB の大きさとしきい値との比較結果が短時間で多数回変化するハンチング現象を起こす場合があるが、母線電流IB から振幅IBMを検出し、この振幅IBMの大きさに応じて母線電圧E2 又は母線電流IB を位相情報検出部31に与え、かつ振幅IBMが所定の領域から変化しない場合に過去に使用していた信号と同一種類の信号を位相情報検出部31に与えるようにヒステリシス特性を持たせたので、母線電流IB の大きさとしきい値との比較結果が短時間で多数回変化するハンチング現象を抑制でき、交流系統に挿入する直列補償電圧VCの安定した制御ができる。
(6) 次に本発明の第6の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0086】図6は電力変換装置の制御装置に適用する位相情報検出手段の構成図であり、この位相情報検出手段は例えば上記第4の実施の形態の信号切替部28及び位相情報検出部29の代わりに用いられる。
【0087】すなわち、上記第4の実施の形態では、母線電流IB 又は母線電圧E2 の位相情報θを用いて交流系統に直列に挿入する直列補償電圧VCを制御しており、ここで母線電流IB 又は母線電圧E2 の位相が大きく違う場合には、使用する位相情報θを切り替えたときに大きな過渡現象が生じて直列補償電圧VCが大きく変化し、直列補償電圧VCの安定性や交流系統の潮流に過渡的な影響を与える。
【0088】従って、図6に示す位相情報検出手段を用いて過渡的な影響を軽減するものである。第1の位相検出器40は、母線電圧E2 の位相情報θVを検出する機能を有するものであり、第2の位相検出器41は、母線電流IB の位相情報θCを検出する機能を有している。
【0089】又、位相選択部42は、母線電流IB の大きさに応じた位相選択信号SEL、例えば母線電流IB が予め設定されたしきい値に対して小さい場合は「1」の位相選択信号SELを出力し、大きい場合には「0」の位相選択信号SELを出力する機能を有している。
【0090】この位相選択部42から出力された位相選択信号SELは、第1の一次遅れフィルタ回路43及び位相切替部44に送られるとともに、反転部45を通して第2の一次遅れフィルタ回路46に送られている。
【0091】又、第1の減算器47は、第1の位相検出部40から出力される母線電圧E2の位相θVと位相情報検出手段の出力である位相信号θIとの差を求め、これを第1の一次遅れフィルタ回路43に送出する機能を有している。
【0092】第2の減算器48は、第2の位相検出部41から出力される母線電流IB の位相θCと位相情報検出手段の出力である位相信号θIとの差を求め、これを第2の一次遅れフィルタ回路46に送出する機能を有している。
【0093】第1の一次遅れフィルタ回路43は、位相選択信号SELが「0」のとき、第1の減算器47の出力、すなわち第1の位相検出部40からの母線電圧E2 の位相θVと位相信号θIとの差を出力し、かつ位相選択信号SELが「1」になると、母線電圧E2 の位相θVと位相信号θIとの差を初期値として零を最終値とする一次遅れの特性で出力変化させる機能を有している。
【0094】第2の一次遅れフィルタ回路46は、位相選択信号SELが「0」のとき、第2の減算器47の出力、すなわち第2の位相検出部40からの母線電流IB の位相θCと位相信号θIとの差を出力し、かつ位相選択信号SELが「1」になると、母線電流IB の位相θCと位相信号θIとの差を初期値として零を最終値とする一次遅れの特性で出力変化させる機能を有している。
【0095】第3の減算器49は、第1の位相検出部40からの母線電圧E2 の位相θVと第1の一次遅れフィルタ回路43の出力との差θIVを求め、これを位相切替部44に送出する機能を有している。
【0096】第4の減算器50は、第2の位相検出部41からの母線電流IB の位相θCと第2の一次遅れフィルタ回路46の出力との差θICを求め、これを位相切替部44に送出する機能を有している。
【0097】この位相切替部44は、位相選択信号SELが「1」のとき、第3の減算器49から出力された差θIVを位相信号θIとして出力し、かつ位相選択信号SELが「0」のとき、第4の減算器50から出力された差θICを位相信号θIとして出力する機能を有している。
【0098】なお、この位相切替部44から出力される位相信号θIは、座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送られるものとなっている。
【0099】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。位相選択部42は、母線電流IB のしきい値に対する大きさを判断し、母線電流IB がしきい値に対して小さい場合は「1」の位相選択信号SELを出力し、大きい場合には「0」の位相選択信号SELを出力する。
【0100】このうち母線電流IB がしきい値に対して小さい場合、第1の一次遅れフィルタ回路43は、位相選択信号SEL「1」が入力することにより、母線電圧E2の位相θVと位相信号θIとの差を初期値として零を最終値とする一次遅れの特性で出力変化し、第3の減算器49は、第1の位相検出部40からの母線電圧E2 の位相θVと第1の一次遅れフィルタ回路43の出力との差θIVを求め、これを位相切替部44に送出する。
【0101】これと共に第2の一次遅れフィルタ回路46は、反転部45を通して位相選択信号SEL「0」が入力することにより、第2の減算器47の出力、すなわち第2の位相検出部41からの母線電流IB の位相θCと位相信号θIとの差を出力する。
【0102】従って、位相切替部44から出力される位相信号θIは、母線電流IB の位相θCから第2の一次遅れフィルタ回路46の時定数で母線電圧E2 の位相θVへと徐々に変化する。
【0103】一方、母線電流IB がしきい値に対して大きくなった場合、第1の一次遅れフィルタ回路43は、位相選択信号SEL「0」が入力することにより、第1の一次遅れフィルタ回路43は、第1の位相検出部40からの母線電圧E2 の位相θVと位相信号θIとの差を出力し、これと共に第2の一次遅れフィルタ回路46は、位相選択信号SELが「0」のとき、第2の位相検出部40からの母線電流IB の位相θCと位相信号θIとの差を出力する。
【0104】従って、位相切替部44から出力される位相信号θIは、母線電圧E2 の位相θVから第1の一次遅れフィルタ回路43の時定数で母線電流IB の位相θCへと徐々に変化する。
【0105】そして、これら位相信号θIは、座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送られる。以下、上記第1の実施の形態の動作と同様に、座標変換部22は、直列補償電圧VCを座標変換してd軸成分VCd 及びq軸成分VCq を出力し、電圧制御部23は、これらd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *との偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0106】一方、インピーダンス降下補償部26は、送電線2の母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めて各加算器24、25に送出する。
【0107】これら加算器24、25は、上記各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0108】この座標逆変換部13は、位相情報θを用いて直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換して3相の電圧指令としてゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0109】このように上記第6の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、直列補償電圧VCの制御に用いる位相情報θが急変しなくなり、直列補償電圧VCの制御に使用する位相情報θを切り替えたときに生じる直列補償電圧VCの安定性や交流系統の潮流への過渡的な影響を軽減できる。
(7) 次に本発明の第7の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0110】図7は電力変換装置の制御装置の構成図である。d軸指令(第2の電圧成分)演算部51は、送電線2に直列変圧器8を介して供給する直列補償電圧VCのうちd軸成分VCd 及びq軸成分VCq に対する各指令電圧VCd *、VCq *を演算し、これら指令電圧VCd *、VCq *を電圧制御部23に与える機能を有している。
【0111】図8は母線電圧E2 を基準(d軸)にとり、直列変圧器8の両端の母線電圧E2 、E3 と直列補償電圧VCを描いたベクトル図である。ここで、母線電圧E2 の大きさE2mと母線電圧E3 の大きさE3mを等しくするための関係は、次式で表される。
【0112】
【数2】

【0113】この式(5) に示すように直列補償電圧VCのd軸成分VCd を母線電圧E2 の大きさE2mと直列補償電圧VCのq軸成分VCq から計算されうるような値に制御すれば、母線電圧E2 の大きさE2mと母線電圧E3 の大きさE3mを等しくすることが可能である。よって、次式(6) 及び(7) からd軸指令値VCd *を演算することで、直列変圧器8の両端の母線電圧の大きさを等しくできる。
【0114】
【数3】

【0115】上記式(6) は直列補償電圧VCのd軸指令値VCd *を母線電圧E2 の大きさE2mと直列補償電圧VCのq軸成分VCq の検出値から計算する式であり、式(7) は母線電圧E2 の大きさE2mの検出値と直列補償電圧VCのq軸成分VCq の指令値から計算する式である。
【0116】しかるに、d軸指令演算部51は、上記式(7) からd軸指令値VCd *を演算し求める機能を有している。但し、d軸指令演算部51の入力の一つであるd軸指令値VCd *の代わりに直列補償電圧VCのd軸成分VCd を入力とし、上記式(6) からd軸指令値VCd *を演算するようにしてもよい。
【0117】次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。位相情報検出部21は、母線電圧E2 から位相情報θを検出して座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出する。
【0118】このうち座標変換部22は、直列変圧器8から送電線2に加わる直列補償電圧VCを座標変換してd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とを出力する。又、d軸指令演算部51は、直列補償電圧VCのうちd軸成分VCd 及びq軸成分VCq に対する各指令電圧VCd *、VCq *を演算し、これら指令電圧VCd *、VCq *を電圧制御部23に与える。
【0119】この電圧制御部23は、直列補償電圧VCのd軸成分VCd 及びq軸成分VCq とこれら指令電圧VCd *、VCq *とを比較してその各偏差を求め、これら偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0120】以下、上記第1の実施の形態の動作と同様に、インピーダンス降下補償部26は、母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めて各加算器24、25に送出する。
【0121】これら加算器24、25は、上記各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0122】この座標逆変換部13は、位相情報θを用いて直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換して3相の電圧指令としてゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0123】このように上記第7の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、直列変圧器8の両端の母線電圧の大きさを等しくでき、直列補償電圧VCを交流系統に直列に挿入したことによる母線電圧の変動を少なくできる。
(8) 次に本発明の第8の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0124】図9は電力変換装置の制御装置の構成図である。電圧指令演算部52は、母線電流IB と母線電圧E2 の位相情報θ、及直列変圧器8のインピーダンス補償指令値R*、L*に基づいて送電線2に直列変圧器8を介して供給する直列補償電圧VCにおけるdq軸成分の指令値VCd *、VCq*を演算し、これらdq軸成分指令値VCd *、VCq *を電圧制御部23に与える機能を有している。
【0125】図10はリアクトルLと抵抗Rとから成るインピーダンスが含まれている3相の交流母線を示している。母線電流IB とインピータンスによる電圧降下VLとの間には、次式の関係が成り立つ。
【0126】
【数4】

【0127】ここで、sは微分演算子、ωは交流母線の各周波数である。従って、上記式(8) から計算される電圧降下VLと等しい電圧を交流母線に直列に挿入すれば、交流系統のインピーダンスを等価的に変えることができる。
【0128】しかるに、電圧指令演算部52は、位相情報検出部21によって得られる母線電圧E2 の位相情報θを用い、母線電流IB のdq軸成分IBd、IBqを抽出し、インピーダンス補償指令値R*、L*から次式を用いて直列補償電圧指令VCd *、VCq *を演算する機能を有している。
【0129】
【数5】

【0130】但し、上記式(9) に含まれる過渡項sL*は、交流系統を不安定にすることが考えられるため省略してもよい。次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
【0131】位相情報検出部21は、母線電圧E2 から位相情報θを検出して座標変換部22、インピーダンス降下補償部26及び座標逆変換部13に送出し、このうち座標変換部22は、直列変圧器8から送電線2に供給する直列補償電圧VCを座標変換してd軸成分VCd とq軸成分VCq とを出力する。
【0132】又、電圧指令演算部52は、位相情報検出部21によって得られる母線電圧E2 の位相情報θを用い、母線電流IB のdq軸成分IBd、IBqを抽出し、インピーダンス補償指令値R*、L*から直列補償電圧指令VCd *、VCq *を演算して求め、電圧制御部23に送出する。
【0133】この電圧制御部23は、直列補償電圧VCのd軸成分VCd 、q軸成分VCqと直列補償電圧指令VCd *、VCq *とを比較してその各偏差を求め、これら偏差が小さくなるように各々の偏差を比例積分した結果を指令電圧V1d、V1qとして出力する。
【0134】以下、上記第1の実施の形態の動作と同様に、インピーダンス降下補償部26は、母線電流IB 、直列変圧器8のインピーダンス及び位相情報θに基づいて直列変圧器8のインピーダンスより生じる電圧降下分を求めて各加算器24、25に送出する。
【0135】これら加算器24、25は、上記各指令電圧V1d、V1qからインピーダンス降下補償部26により求められた電圧降下分を減算し、インバータ3の電圧指令のd軸成分とq軸成分としてそれぞれ座標逆変換部13に送出する。
【0136】この座標逆変換部13は、位相情報θを用いて直列補償電圧VCのdq軸成分の指令値VCd *、VCq *を母線電流と同期した交流に逆変換して3相の電圧指令としてゲート制御部14に与え、このゲート制御部14は、これら3相の電圧指令に従い、インバータ3を構成するスイッチング素子のゲートをオン・オフコントロールする。
【0137】ここで、電圧指令演算部52に入力するインピーダンス補償指令値R*、L*を負の値にすることで交流母線のインピーダンスを等価に下げ、正の値にすることで、交流系統のインピーダンスを等価に下げることができる。
【0138】このように上記第8の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、インピーダンス補償指令値R*、L*を負の値にすることで交流母線のインピーダンスを等価に下げ、正の値にすることで交流系統のインピーダンスを等価に上げることができ、交流母線の潮流の調整や送電限界を向上させることができる。
【0139】
【発明の効果】以上詳記したように本発明の請求項1〜8によれば、限られた容量で効果的に交流系統の有効電力又は無効電力を安定に調整可能にできる電力変換装置の制御装置を提供できる。
【0140】又、本発明の請求項4によれば、母線電流が少ない状態において交流系統に直列に挿入する直列補償電圧が不安定なることを防止できる電力変換装置の制御装置を提供できる。
【0141】又、本発明の請求項5によれば、母線電流の大きさとしきい値との比較結果が短時間で多数回変化するハンチング現象を抑制でき、交流系統に挿入する直列補償電圧の安定した制御ができる電力変換装置の制御装置を提供できる。
【0142】又、本発明の請求項6によれば、直列補償電圧の制御に使用する位相情報を切り替えたときに生じる直列補償電圧の安定性や交流系統の潮流への過渡的な影響を軽減できる電力変換装置の制御装置を提供できる。
【0143】又、本発明の請求項7によれば、直列変圧器の両端の母線電圧の大きさを等しくでき、直列補償電圧を交流系統に直列に挿入したことによる母線電圧の変動を少なくできる電力変換装置の制御装置を提供できる。
【0144】又、本発明の請求項8によれば、交流母線のインピーダンスを等価に下げたり、又等価に上げることができ、交流母線の潮流の調整や送電限界を向上できる電力変換装置の制御装置を提供できる。




 

 


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