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発明の名称 電力系統監視制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−18297
公開日 平成11年(1999)1月22日
出願番号 特願平9−166254
出願日 平成9年(1997)6月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
発明者 汐 田 耕 治 / 加 藤 明 子 / 甲斐野 康 雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】現在時刻を起点とし所定の刻み幅で時間を累積加算して将来時刻を決定する将来時刻決定手段と、決定された時刻における電力系統の運転状態を決定する電力設備運転状態決定手段と、決定された運転状態に基づいた電力系統状態を作成する将来電力系統状態作成手段と、作成された将来電力系統状態について電圧安定度計算を行う電圧安定度計算手段と、算出された電圧安定度計算結果をもとに安定判別を行う安定判別手段と、この安定判別手段により不安定になると判別された将来時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕として算出する安定度時間余裕算出手段とを備えた電力系統監視制御装置。
【請求項2】請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、前記安定判別手段による安定判別結果が不安定であったとき、電力系統が不安定な状態になることを回避するための無効電力制御量を求め、前記安定度時間余裕及び制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策を提示する回避方策作成手段を備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項3】現在の電力系統状態に基づいて電圧安定度を計算する電圧安定度計算手段と、この電圧安定度計算手段による電圧安定度計算の結果として電圧安定限界となる限界総需要電力を安定度余裕量として算出する安定度余裕量算出手段と、現在時刻を起点とし所定の刻み幅で時間を累積加算して将来時刻を決定する将来時刻決定手段と、決定された時刻における電力系統の運転状態を決定する電力設備運転状態決定手段と、決定された運転状態に基づき総需要電力を含む電力系統状態を作成する将来電力系統状態作成手段と、前記総需要電力を前記安定度余裕量と比較し、前者が後者を上回っているか否かによって総需要安定判別を行う安定判別手段と、この安定判別手段により前記総需要電力が前記安定度余裕量を下回っていると判別されたと現在時刻から不安定な状態になる将来時点までの時間を安定度時間余裕として算出する安定度時間余裕算出とを備えた電力系統監視制御装置。
【請求項4】請求項1に記載の装置と請求項3に記載の装置とを備え、常時は請求項3の装置により一定周期で安定度時間余裕を求め、その安定度時間余裕が所定値以下になったとき請求項3の装置から請求項1の装置に切替えて安定度時間余裕を求める安定判別切替手段をさらに備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項5】請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、前記電圧安定度計算手段により算出された現在時刻における電圧安定度計算結果と過去に算出された同一時刻相当の電圧安定度計算結果とを比較することにより系統安定度が増加傾向にあるか否かを判別する安定化傾向判別手段と、この安定化傾向判別手段により系統安定度が増加傾向にあると判別されたとき前記将来時刻決定手段に対する時間の刻み幅を過去に算出された安定度時間余裕の時刻まで進める時間刻み幅決定手段とを備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項6】請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、前記将来電力系統状態作成手段により作成された将来電力系統状態に基づき発電機初期位相角を算出する発電機初期位相角算出手段と、今回算出された発電機初期位相角を過去に算出された発電機初期位相角と比較し、大きく変化していないときは前記安定度時間余裕算出手段による安定度時間余裕算出の処理を省略させる初期位相角比較手段とを備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項7】請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、予測需要データに基づき現在時刻から最も近い需要極大時刻を需要極大点として算出する需要極大点算出手段と、算出された需要極大点における極大点系統データを作成する第2の電力設備運転状態決定手段と、前記極大点系統データに基づき極大点電力系統状態を作成する第2の将来電力系統状態作成手段と、前記極大点電力系統状態に基づき需要極大点の電圧安定度計算を行うの第2電圧安定度計算手段と、この第2の電圧安定度計算手段により算出された電圧安定度計算結果をもとに安定判別を行い、不安定になると判別したとき前記将来時刻決定手段によって決定された将来時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕とする第2の安定判別手段とを備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項8】請求項7に記載の電力系統監視制御装置において、前記第2電圧安定度計算手段によって前記需要極大点の系統が安定であるとされたとき前記第2の将来電力系統状態作成手段の出力に基づき需要極大点から所定の時間刻みで時刻を戻した時点での限界総需要を算出する需要極大点総需要算出手段と、前記限界総需要が所定の余裕量を保有する時刻まで遡り現在時刻からの余裕量を保有する時刻までの時間を安定度時間余裕として算出する指定余裕量保有時間算出手段とを備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
【請求項9】請求項3ないし7のいずれか1項に記載の電力系統監視制御装置において、前記安定判別手段による安定判別結果が不安定であったとき、電力系統が不安定な状態になることを回避するための無効電力制御量を求め、前記安定度時間余裕及び制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策を提示する回避方策作成手段を備えたことを特徴とする電力系統監視制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力系統監視制御装置、特に安定度時間余裕検知手段及び不安定回避手段を備える電力系統監視制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電力系統監視制御装置においては、電力系統の電圧安定度に対する評価を行い、電力系統の電圧安定度に対する余裕度の評価は、通常時あるいは想定事故毎の限界総需要までの需要の余裕を余裕量とし、この余裕量を指標として使用して行っていた。
【0003】図22に従来の電力系統監視制御装置に関する安定度余裕量算出に関する機能ブロック図を、図23にそのフローチャートを示す。
【0004】まず、図22を参照して従来の電力系統監視制御装置の概略について説明する。
【0005】図22の電力系統監視制御装置は、現在系統作成手段31、電圧安定度計算手段4、及び安定度余裕量算出手段36を備えている。現在系統作成手段31は、現在電力系統データ38を用いて潮流計算を行い、現在電力系統状態データ39を作成する。電圧安定度計算手段4は、現在電力系統状態データ39に対する通常時あるいは想定事故について電圧安定性限界の直接解法(dP/dV法)を使用した電圧安定度計算を行い、電圧安定度計算結果データ14を出力する。安定度余裕量算出手段36は、限界総需要を安定度余裕量データ3eとして出力する。
【0006】次に、図23を参照して、図22の装置の各機能の流れについて説明する。初めに、現在系統作成手段31により現在の電力系統の状態すなわち現在電力系統の作成を行い(ステップS31)、ここで作成された系統状態に対し、電圧安定度計算手段4により電圧安定度の限界計算を直接解法(いわゆる「dP/dV法」。dP/dV法については、例えば、鈴木・棚木「電力系統の電圧安定限界の直接解法」電学論B,100,895,(平2−11)を参照)を使用した電圧安定度計算を行い、限界総需要を求める(ステップS33)。次に、安定度余裕量算出手段36により安定度余裕量の算出を行う(ステップS36)。安定度余裕量算出のステップS36では、電圧安定度計算ステップS33で算出された限界総需要までの余裕量を安定度余裕量として算出し、処理を終了する。
【0007】従来は、このようにして求めた安定度余裕量を指標として電圧安定度に対する余裕度の評価を行っていた。その場合、現在系統だけでなく、将来系統においても将来総需要、将来系統状態を予測し、上記と同様の方法で将来の限界総需要を算出し、限界総需要までの余裕量を安定度余裕量として算出し、それを指標として評価していた。
【0008】以上の従来技術については、例えば特開平2−55526号公報や、特開平2−55529号公報、特開平3−215125号公報等に詳述されているところである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、電力系統監視制御装置における従来の電圧安定度余裕量は、対象となる電力系統状態における通常時あるいは想定事故時の限界総需要を評価指標として使用するものであった。すなわち、従来の安定度余裕量の算定は、「総需要があとどれくらい増加したら不安定になるか」という観点に立って行っていた。つまり、従来方式では、時間的概念が入っていないので、あとどれぐらいの時間が経ったら不安定になるのか」が分からないという不都合があった。
【0010】また、従来は系統が不安定にならないよう総需要を監視し、限界総需要以上になった場合は無効電力制御等を行う等の対策を講じていた。
【0011】本発明は、現在から将来時点に向かっての系統状態の時系列変化をとらえて、系統が不安定な状態になるまでの時間を安定度時間余裕という評価指標として算出できる電力系統監視制御装置を提供することを目的とする。
【0012】さらに本発明は、系統が不安定な状態になる前に、予め安定度時間余裕と制御対象機器の制御所要時間を考慮した無効電力制御を行うことにより、系統を安定化させ得る電力系統監視制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、現在時刻を起点とし所定の刻み幅で時間を累積加算して将来時刻を決定する将来時刻決定手段と、決定された時刻における電力系統の運転状態を決定する電力設備運転状態決定手段と、決定された運転状態に基づいた電力系統状態を作成する将来電力系統状態作成手段と、作成された将来電力系統状態について電圧安定度計算を行う電圧安定度計算手段と、算出された電圧安定度計算結果をもとに安定判別を行う安定判別手段と、この安定判別手段により不安定になると判別された将来時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕として算出する安定度時間余裕算出手段とを備えた電力系統監視制御装置を要旨とするものである。
【0014】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、安定判別手段による安定判別結果が不安定であったとき、電力系統が不安定な状態になることを回避するための無効電力制御量を求め、安定度時間余裕及び制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策を提示する回避方策作成手段を備えたことを特徴とするものである。
【0015】請求項3に係る発明は、現在の電力系統状態に基づいて電圧安定度を計算する電圧安定度計算手段と、この電圧安定度計算手段による電圧安定度計算の結果として電圧安定限界となる限界総需要電力を安定度余裕量として算出する安定度余裕量算出手段と、現在時刻を起点とし所定の刻み幅で時間を累積加算して将来時刻を決定する将来時刻決定手段と、決定された時刻における電力系統の運転状態を決定する電力設備運転状態決定手段と、決定された運転状態に基づき総需要電力を含む電力系統状態を作成する将来電力系統状態作成手段と、総需要電力を安定度余裕量と比較し、前者が後者を上回っているか否かによって総需要安定判別を行う安定判別手段と、この安定判別手段により総需要電力が安定度余裕量を下回っていると判別されたと現在時刻から不安定な状態になる将来時点までの時間を安定度時間余裕として算出する安定度時間余裕算出とを備えた電力系統監視制御装置を要旨とするものである。
【0016】請求項4に係る発明は、請求項1に記載の装置と請求項3に記載の装置とを備え、常時は請求項3の装置により一定周期で安定度時間余裕を求め、その安定度時間余裕が所定値以下になったとき請求項3の装置から請求項1の装置に切替えて安定度時間余裕を求める安定判別切替手段をさらに備えたことを特徴とするものである。
【0017】請求項5に係る発明は、請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、電圧安定度計算手段により算出された現在時刻における電圧安定度計算結果と過去に算出された同一時刻相当の電圧安定度計算結果とを比較することにより系統安定度が増加傾向にあるか否かを判別する安定化傾向判別手段と、この安定化傾向判別手段により系統安定度が増加傾向にあると判別されたとき将来時刻決定手段に対する時間の刻み幅を過去に算出された安定度時間余裕の時刻まで進める時間刻み幅決定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】請求項6に係る発明は、請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、将来電力系統状態作成手段により作成された将来電力系統状態に基づき発電機初期位相角を算出する発電機初期位相角算出手段と、今回算出された発電機初期位相角を過去に算出された発電機初期位相角と比較し、大きく変化していないときは安定度時間余裕算出手段による安定度時間余裕算出の処理を省略させる初期位相角比較手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】請求項7に係る発明は、請求項1に記載の電力系統監視制御装置において、予測需要データに基づき現在時刻から最も近い需要極大時刻を需要極大点として算出する需要極大点算出手段と、算出された需要極大点における極大点系統データを作成する第2の電力設備運転状態決定手段と、極大点系統データに基づき極大点電力系統状態を作成する第2の将来電力系統状態作成手段と、極大点電力系統状態に基づき需要極大点の電圧安定度計算を行うの第2電圧安定度計算手段と、この第2の電圧安定度計算手段により算出された電圧安定度計算結果をもとに安定判別を行い、不安定になると判別したとき将来時刻決定手段によって決定された将来時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕とする第2の安定判別手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】請求項8に係る発明は、請求項7に記載の電力系統監視制御装置において、第2電圧安定度計算手段によって需要極大点の系統が安定であるとされたとき第2の将来電力系統状態作成手段の出力に基づき需要極大点から所定の時間刻みで時刻を戻した時点での限界総需要を算出する需要極大点総需要算出手段と、限界総需要が所定の余裕量を保有する時刻まで遡り現在時刻からの余裕量を保有する時刻までの時間を安定度時間余裕として算出する指定余裕量保有時間算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0021】請求項9に係る発明は、請求項3ないし7のいずれか1項に記載の電力系統監視制御装置において、安定判別手段による安定判別結果が不安定であったとき、電力系統が不安定な状態になることを回避するための無効電力制御量を求め、安定度時間余裕及び制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策を提示する回避方策作成手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(実施の形態1の構成)実施の形態1は請求項1に係る発明の実施の形態であって、その構成を、図1を参照して説明する。
【0023】図示の電力系統監視制御装置100は、現在時刻データ9と時間刻み幅データ10を用いて将来時刻を計算し将来時刻データ8として出力する将来時刻決定手段1と、スケジュールデータ11および現在電力系統状態データ15を用い将来時刻決定決定手段1によって決定された時刻における電力設備の運転状態を決定し将来電力系統データ12として出力する電力設備運転状態決定手段2と、決定した運転状態に基づいた電力系統状態を作成し将来電力系統状態データ13として出力する将来電力系統状態作成手段3と、作成した将来電力系統状態に対する通常時あるいは想定事故時あるいは通常時と想定事故時について電圧安定度計算を行い電圧安定度計算結果データ14として出力する電圧安定度計算手段4と、その電圧安定度計算結果をもとに安定判別を行う安定判別手段6と、系統電圧が不安定になるまでの時間を現在時刻からの安定度時間余裕として算出し安定度時間余裕データ16として出力する安定度時間余裕算出手段7とを備えている。
【0024】(実施の形態1の作用)実施の形態1の作用を、図1、図2、および図3を参照して説明する。現在時刻Tpにおける電力系統を考える。将来時刻決定手段1は現在時刻データ9として与えられる現在時刻Tpに時間刻み幅データ10として与えられる時間刻み幅ΔT毎にΔTを加算して時刻を進め、その累積加算結果として、演算対象の将来時刻Tf=Tp+n・ΔTを計算し決定する(図2:ステップ101)。ここで、n・ΔT=ΔHとして、n=0,1,2,…,mであるが、nの初期値は0である。m・ΔTは予め設定した安定度時間余裕の上限値である。電力設備運転状態決定手段2は、現地電力設備からオンライン伝送データとして受け取る現在電力系統状態データ15と、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして設定するスケジュールデータ11とを用いて、現在時刻Tp及び将来時刻Tfの電力設備の運転状態である将来電力系統状態を決定し、将来電力系統データ12を出力する(ステップ102)。現在電力系統状態データ15は系統の接続状態のデータであり、将来電力系統状態データとして、そのまま出力される。
【0025】電力設備運転状態決定手段2に取込まれるスケジュールデータ11には、図3に例示するように、負荷総需要予測データ11bのほか、発電機データ11c、変圧器タップ設定データ11d、調相設定データ11e等があり、これらのデータを用いて、電力設備運転状態決定手段2がどのように将来電力系統データ12を決定するかについて説明する。
【0026】まず、負荷総需要予測データ11bから、将来時刻決定手段1で決定した時刻Tf=(Tp+n・ΔT)における有効電力と無効電力を決定する。初めに1日の負荷総需要予測データ11bの中から、時刻Tfにおける総需要データを取出し、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして各負荷毎に設定した総需要分担率(総需要に対する各負荷の割合)に従って配分し、時刻Tfにおける有効電力を決定する。そして、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして設定した無効電力対有効電力比すなわちQ/P比に従い、負荷の無効電力を決定する。
【0027】次に、上記で決定した負荷の有効電力と発電機データ11cから将来時刻決定手段1で決定した時刻Tfにおける発電機の有効電力と電圧を決定する。時刻Tfにおける負荷の有効電力を用いて、等増分燃料費法による経済負荷配分計算により各発電機毎の発電機出力を算出する。なお、等増分燃料費法による経済負荷配分計算は公知の技術であり、ここでの詳細説明は省略する。さらに、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして設定した各発電機毎の自動電圧調整装置(AVR)の基準電圧から時刻Tfにおける発電機電圧を取出す。
【0028】次に、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして設定した1日の変圧器タップの運転データである変圧器タップ設定データ11dの中から、時刻Tfにおけるデータを取出し、時刻Tfの各タップのタップ位置を決定する。最後に、予め固定データとして設定するか、または画面からの入力により可変データとして設定した1日の調相の運転データである調相設定データ11eの中から、時刻Tfにおけるデータを取出して、時刻Tfの各調相の投入量を決定する。
【0029】将来電力系統状態作成手段3は、時刻Tfにおける将来電力系統データ12をもとに潮流計算を行い、時間刻み幅ΔT後の各ノードの電圧・位相角を求め、将来電力系統状態データ13を作成する(ステップ103)。電圧安定度計算手段4は、作成した将来電力系統状態データ13、及びこの将来電力系統状態データ13に対する通常時、あるいは想定事故、あるいは通常時と想定事故について、電圧安定限界となる総需要を電圧安定限界の直解法(dP/dV法)により算出し、その総需要を限界総需要値とし、電圧安定度計算結果データ14として出力する(ステップ104)。dP/dV法については公知の技術であり、その詳細説明は省略する。想定事故を複数にして電圧安定度計算を複数回実行することができるが、ここでは説明を簡単にするため、想定事故を1つとして説明する。
【0030】次に、安定判別手段6は、電圧安定度計算結果データ14をもとに、限界総需要値が算出できているか否かを判定し、算出できていれば「安定」、算出できていなければ「不安定」と判定する(ステップ105)。「安定」の場合は将来時刻決定のステップ101に進む。「不安定」の場合は安定度時間余裕算出手段7による安定度時間余裕算出に進む。安定度時間余裕算出手段7は、不安定になる時刻である将来時刻Tfと現在時刻Tpとの差ΔH(=Tf−Tp)を安定度時間余裕として出力する(ステップ106)。安定判別手段6のチェック結果が「安定」の場合、将来時刻決定手段1は、n=n+1としてnの更新を行い、更新されたnのもとに、新たな将来時刻Tf=Tp+n・ΔTを求め、将来時刻データ8として出力する。
【0031】安定判別手段67による安定判別の結果が「安定」である限り、更新された将来時刻Tfに対して、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、電圧安定度計算手段4、及び安定判別手段6による上述の演算処理(ステップ101〜104)を繰返す。
【0032】以上の一連の処理で現在時刻Tpにおける安定度時間余裕を求めるが、これを一定周期(例えば15分毎)で実行することにより、時々刻々と変化する電力系統に対する安定度監視を行うことができる。例えば、現在時刻Tp=0時0分に安定度時間余裕を求めた結果が表1に示す通りだったとする。
【0033】
【表1】

この場合の安定度時間余裕は、系統電圧が不安定になるまでの時間ということであって、1時間15分となる。また次の周期である時刻0時15分での結果を表2として示すと、安定度余裕度は1時間ということになる。
【0034】
【表2】

この実施の形態においては、等増分燃料費法による経済負荷配分計算により算出された発電機出力を使用したが、他の配分方法、例えば2次計画法による最適潮流計算によって算出された発電機出力を使用することもできる。また、AVR基準値やタップスケジュールデータ、調相スケジュールデータについても、無効電力・電圧制御方式に基づいて決定された基準値を使用することもできる。
【0035】(実施の形態1の効果)実施の形態1によれば、現在から将来時点に向かっての安定度に関する余裕量の時系列変化をとらえて、系統が不安定になるまでの時間を安定度時間余裕という評価指標として算出するので、1日の需要の変化を意識した安定度の評価を容易に行うことができる。
【0036】(実施の形態2)
(実施の形態2の構成)実施の形態2は請求項2に係る発明の実施の形態であって、その構成を、図4を参照して説明する。
【0037】図4に示す電力系統監視制御装置110は、図1で説明した電力系統監視制御装置100に加えて、安定判別結果が不安定な場合に制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策を決定し回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えたものである。図1の電力系統監視制御装置100では安定判別手段6による安定判別の結果が「不安定」であった場合に、現在時刻での安定度時間余裕データ16を出力したが、実施の形態2では、それに加えて回避方策作成手段21が回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策として不安定回避方策を提示するものである。ここでは、回避方策として、無効電力調整設備(SC)の投入量を制御することによって電力系統の不安定化を回避する方策の例を示す。
【0038】回避方策作成手段21の詳細機能構成について、図5を参照して説明する。
【0039】図4の回避方策作成手段21においては、まず、SC投入対象変電所抽出手段21aが、安定判別手段6(図1)により不安定と判定された将来時刻におけるSC投入変電所の出力をSC投入対象変電所出力21hとして抽出する。抽出する際には、制御対象となるSCの制御所要時間が安定度時間余裕算出手段7で算出された安定度時間余裕内であるSCを選択する。
【0040】次に制御後出力算出手段21bが、制御量21iから、以下の式により制御後出力21jを算出する。
【0041】Qai=Qbi+Qsiここで、 Qai:SC投入対象変電所iの制御後投入量Qbi:SC投入対象変電所iの制御前投入量Qsi:SC投入対象変電所iの制御量制御後系統状態作成手段21cが、算出した制御後出力21jを用いて潮流計算を実行し、系統の各ノードの電圧・位相角を求め、制御後系統状態21lを作成する。電圧安定度計算手段4が、出力抑制制御後の系統状態21lに対する通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時について電圧安定度計算を実行し、電圧安定度計算結果データ14として出力する。想定事故を複数にして、電圧安定度計算を複数回実行することもできるが、ここでは説明を簡略にするため、1つの想定事故を前提として説明する。
【0042】安定判別手段21eが、電圧安定度計算結果データ14を用いて、制御後のP−V(電力−電圧)曲線の電圧安定限界となる総需要が、運転点を超えているかどうかをチェックする。超えている場合は「安定」、超えていない場合は「不安定」と判定する。「不安定」の場合は制御量変更手段21fに進む。「安定」の場合は制御量算出手段21gに進む。
【0043】安定判別結果が「不安定」の場合、制御量変更手段21fは制御量21iを変更し、変更した制御量21iに関して、制御後出力算出手段21b、制御後系統状態作成手段21c、及び電圧安定度計算手段21dによる各演算処理を繰り返す。
【0044】制御量21iは、初期値と変更刻み幅を予め設定しておき変更する。例えば、初期値0、変更刻み幅1.0(Mvar)の場合、0、10、20、30と順次変更していくことになる。
【0045】安定判別結果が「安定」の場合、制御量算出手段21gは、制御量21nを以下の式により算出する。
【0046】
ΔQai=Qbi−Qaiここで、ΔQai:SC投入対象変電所iの制御量Qbi:SC投入対象変電所iの制御前投入量Qai:SC投入対象変電所iの制御後投入量【0047】(実施の形態2の作用)図1に示した将来時刻判定手段1、電力設備運転状態判定手段2、将来電力系統状態作成手段3、電圧安定度計算手段4、安定判別手段6、及び安定度時間余裕算出手段7までの流れは、実施の形態1として説明したものと同一であり、その部分を実行するステップ101〜106の説明は図2におけるステップ101〜106の説明と重複するので、ここでは省略する。安定度時間余裕算出手段7(図1)において安定度時間余裕を求めた後、制御対象機器の制御所要時間を考慮して図4,5に示す回避方策作成手段21により回避方策作成を行い、将来時刻において不安定となる系統状態に対するSC投入制御量を演算する(ステップ111)。
【0048】(実施の形態2の効果)実施の形態2によれば、安定度時間余裕を算出することによる実施の形態1による効果はもちろん、安定判別手段21eによる安定判別結果が不安定な場合には不安定回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0049】(実施の形態3)
(実施の形態3の構成)実施の形態3の構成を図7及び図8を参照して説明する。
【0050】実施の形態3による電力系統監視制御装置120は、実施の形態1における将来時刻決定手段1、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、及び安定度時間余裕算出手段7のほかに、現在電力系統状態を作成する現在電力系統状態作成手段31、ここで作成した系統状態に対する通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時について電圧安定度計算を行う電圧安定度計算手段33、限界総需要を安定度余裕量として算出する安定度余裕量算出手段36、及び限界総需要である安定度余裕量と将来電力系統状態における監視点総需要を比較して安定判別を行う安定判別手段37を備えている。
【0051】(実施の形態3の作用)実施の形態3の作用を図5及び図6を用いて説明する。
【0052】実施の形態3の演算処理段階は、現在時刻における限界総需要を求める第1段階と、安定度時間余裕を求める第2段階とから構成される。まず、第1段階について説明する。なお、図1におけるものと同一の符号は同一の要素を示すものとする。
【0053】現在電力系統状態作成手段31は、現在時刻における現在電力系統状態データ15をもとに潮流計算を行い、各ノードの電圧・位相角を求めて現在電力系統状態データ39を作成する(図8:ステップ121)。次いで電圧安定度計算手段33は、作成された現在電力系統状態データ39に対する通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時について電圧安定度計算を行い、電圧安定度計算結果データ14を出力する(ステップ122)。想定事故を複数にして、電圧安定度計算を複数回実行することもできるが、ここでは説明を簡略にするため、想定事故は1つであるとして説明を進める。安定度余裕量算出手段36に進むと、限界総需要が仮に1300MWであるとすると、1300MWを内容とする安定度余裕量を算出し安定度余裕量データ3eを出力する(ステップ123)。ここまでが第1段階である。
【0054】次に、上記で求めた安定度余裕量データ3eを用いて最後に安定判別手段37により安定判別を行い、安定度時間余裕を求める第2段階について説明する。
【0055】安定度時間余裕を求める第2段階の処理が実施の形態1と異なるのは、ここでは電圧安定度計算手段4を用いないこと、及びその代わり安定判別手段6とは異なる安定判別手段37を用いることである。将来時刻決定手段1による将来時刻の決定(ステップ101)、電力設備運転状態決定手段2による電力設備運転状態決定(ステップ102)、及び将来電力系統状態作成手段3による将来電力系統状態作成(ステップ103)は図1のものと同一であり、それらの個々の作用の説明は省略する。
【0056】安定判別手段37は、安定度余裕量3e、及び将来電力系統状態データ13を入力し、安定度余裕量3eと現在時刻Tpを始点とした将来時刻Tfにおける電力の総需要とを比較し、総需要が安定度余裕量3eを超えている場合は「不安定」と判別し、超えていない場合は「安定」と判別する(ステップ124)。安定判別手段37において判別結果が「安定」であった場合は将来時刻決定手段1による将来時刻決定の処理を行う(ステップ101)。将来時刻決定手段1は、将来時刻Tfに時間刻み幅ΔTを加算して時刻をΔTだけ進め、その加算結果を新たな将来時刻Tfとして更新出力し、ステップ101,102,103の一連の処理を繰返す。
【0057】ステップ124において行われる安定判別手段37の判別結果が「不安定」であった場合は、安定度時間余裕算出手段7が、時刻差ΔH=Tf−Tpを表す安定度時間余裕データ16として出力する(ステップ125)。
【0058】(実施の形態3の効果)実施の形態3によれば、電圧安定度計算の代わりに総需要予測を用い、電圧安定度計算回数が少なくなるので、実施の形態1の効果を維持しながら、それとの比較において計算処理時間の短縮を図ることができる。
【0059】(実施の形態4)
(実施の形態4の構成)実施の形態4の構成を、図9を参照して説明する。
【0060】図9の電力系統監視制御装置130は、図1の装置100と図7の装置120に加え、算出した安定度時間余裕を保存する安定度時間余裕保存手段44と、安定度時間余裕がある値以下になると装置120から装置100に切替える安定判別手段切替手段41とを備えている。
【0061】(実施の形態4の作用)図9及び図10(フローチャート)を用いて実施の形態4の全体的作用について説明する。ここでは、安定判別手段切替手段41が、現在時刻Tp、切替設定値データ42、前回算出安定度時間余裕データ43を用いて図1の装置100と図7の装置120のどちらを用いるかを判断し、図1の装置100または図7の装置120による処理を実行する。より具体的には、安定判別手段切替手段41は、前回算出安定度時間余裕が切替設定値より小さいか否かをチェックし(ステップ131)、小さい場合は装置100の処理を実行し(ステップ132)、小さくなかった(大きかった)場合は装置120の処理を実行して(ステップ133)それぞれのステップで求められた安定度時間余裕を安定度時間余裕保存手段44に保存する(ステップ134)。安定度時間余裕保存手段44は、図1の装置100または図7の装置120で計算した安定度時間余裕を前回算出安定度時間余裕保存データ43として出力する。
【0062】以上の一連の処理を一定周期(例えば15分毎)に実行することにより、時々刻々と変化する電力系統の安定度を監視することができる。
【0063】図11は、安定判別手段切替手段41の作用を示すフローチャートである。まず、一定周期の処理実行における前回実行時の演算の結果として得られた前回算出安定度時間余裕43が算出済みか否かを判断する(ステップ141)。前回算出安定度時間余裕43が算出済みでなかった場合は、判別手段として図7の装置120を設定して(ステップ142)終了する。安定度時間余裕保存データ43が算出済みであった場合は、安定度時間余裕保存データ43と切替設定値データ42を用いて、安定度時間余裕>切替設定値か否かを判別し(ステップ143)、上記が成立する場合には判別手段として図7の装置120を設定する(ステップ144)。成立しない場合には図1の装置100を設定する(ステップ145)。ここで切替設定値は予め設定しておくものであり、一定周期の実行周期及び計算対象系統の系統特性に合わせて数分から数十分の設定を行うものとする。
【0064】このようにして安定判別手段切替手段41が安定判別手段を切替える。すなわち、不安定になるまでの時間がある場合には図7の装置300により安定度時間余裕を求め、不安定になる時刻が近づけば図1の装置100により安定度時間余裕を求める。
【0065】(実施の形態4の効果)実施の形態4によれば、安定判別手段切替手段41により安定判別手段を切替えるので、常時は装置120により計算時間を短縮して安定度時間余裕を求め、不安定となる時間に近づいた時には装置100により精度良く安定度時間余裕を求めることができる。
【0066】(実施の形態5)
(実施の形態5の構成)実施の形態5の構成を、図12を参照して説明する。この電力系統監視制御装置150は、図1の装置100に加え、電圧安定度計算結果として限界総需要の最小値を保存する電圧安定度計算結果保存手段51と、現在時刻での電圧安定度計算結果と過去に予測計算した同時刻における電圧安定度計算結果から限界総需要の最小値を安定度評価指標として安定度が増加しているかどうかを判別する安定化傾向判別手段52と、算出した安定度時間余裕を保存する安定度時間余裕保存手段44と、系統の安定度が増加している場合に時間刻み幅ΔTを大きくする時間刻み幅決定手段54とを備えている。
【0067】(実施の形態5の作用)実施の形態5の作用を、図12および図13(フローチャート)を参照して説明する。将来時刻決定手段1、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、電圧安定度計算手段4、安定判別手段6、及び安定度時間余裕算出手段7からなる装置100は図1に示したものと同一であり、それらの個々の作用の説明は省略する。これらの処理ブロックはステップ101〜105として示されている。
【0068】一定周期15分毎の実行処理を前提として、まず時刻0時0分で処理を実行したとする。この時の装置100の演算結果を表3に表す。ここで○印は当該時刻に対する電圧安定度計算手段4による計算を実行することを示す。将来時刻決定のための時間刻み幅ΔTは15分である。
【0069】
【表3】

安定度時間余裕保存手段44は、安定度時間余裕算出手段7によって算出された(ステップ106)安定度時間余裕を表す安定度時間余裕データ16を安定度時間余裕保存データ43として保存する(ステップ153)。また、電圧安定度計算結果保存手段51は電圧安定度計算手段4によって算出された電圧安定度計算結果に係るデータ14を限界総需要の最小値として電圧安定度計算結果保存データ55として保存する。表3の例では、安定度時間余裕1時間15分を保存し、各時刻における限界総需要最小値を時間と共に保存する。
【0070】安定化傾向判別手段52は、現在時刻における電圧安定度計算結果14と、電圧安定度計算結果保存データ55から取出す過去に計算した同じ時刻の安定度計算結果である限界総需要最小値との比較によって安定化傾向を判別し(ステップ154)、その結果に従って時間刻み幅決定手段54が時間刻み幅ΔTを決定して(ステップ155)、それを将来時刻決定決定手段1に送出する。
【0071】一連の作用を上記の具体例で説明する。
【0072】現在時刻(データ10)が0時15分となり、一定周期での実行により再び安定度時間余裕(データ16)を求める場合、現在時刻における電圧安定度計算結果(データ14)を用いる。この時、限界総需要の最小値が920MWであり、これを安定化傾向判別手段52が電圧安定度計算結果保存データ55から0時に予測した同じ時刻の計算結果、すなわち900MWと比較する。ここで現在時刻での結果が大きく、安定度が減少する傾向であると言えるので時間刻み幅(データ10)はそのままとし、将来時刻決定手段1に戻り、次の実行時刻である0時30分に進む。
【0073】装置100に含まれる将来時刻決定手段1、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、電圧安定度計算手段4、安定判別手段6、及び安定度時間余裕算出手段7の各処理(ステップ101〜106)を実行し、0時30分の予測計算を行ったところ限界総需要最小値が980MWであり、それを、安定化傾向判別手段52が、保存した同じ時刻の結果と比べて安定度が増加する傾向であると判断し、それゆえ過去に計算した結果が安定であれば現在においても安定であるとみなす。時間刻み幅決定手段54が、ステップ155において過去に計算し保存した不安定となる時刻まで処理を進めるよう時間刻み幅(データ10)を大きくする。この例では、1時15分まで進める。同様にして1時15分で計算を行ったところ、限界総需要最小値は1330MWで不安定となる。そこで、安定度時間余裕算出手段7が安定度時間余裕(データ16)をΔH=1時間(現在時刻0時15分と将来時刻1時15分との差)と設定し、安定度時間余裕保存手段44が安定度時間余裕保存データ43として出力する。以上で述べた0時15分の演算結果を表4に示す。
【0074】
【表4】

不安定傾向であることの判断基準として、実施の形態5では、過去に計算した同じ時刻における限界総需要最小値Soldと、現在計算した同じ時刻における限界総需要最小値Snewとを比較し、Snew > Soldなら、より不安定であるとする。これを次式により判断し、判定定数εを対象系統の特性に合わせて設定してもよい。
Snew − Sold > ε【0075】(実施の形態5の効果)実施の形態5によれば、過去に算出した電圧安定度計算結果を用いて系統の安定度の増加・減少の傾向を判断し、安定度が増加する傾向にある場合には時間刻み幅を大きくするので、安定度時間余裕の算出において効率的に電圧安定度計算を行い、結果として計算処理時間を短縮することができる。
【0076】(実施の形態6)
(実施の形態6の構成)実施の形態6の構成を、図14を参照して説明する。図14の電力系統監視制御装置160は、図1の装置100に加え、電圧安定度計算結果として発電機端子電圧の初期位相角を保存する初期位相角保存手段61と、電圧安定度計算を初期時刻においてのみ行い発電機端子電圧の位相角を算出する発電機初期位相角算出手段62と、算出した発電機初期位相角と過去に保存した同時刻における発電機初期位相角とを比較する初期位相角比較手段63とを備えている。
【0077】(実施の形態6の作用)実施の形態6の作用を図14及び図15(フローチャート)を参照して説明する。
【0078】装置100に含まれる将来時刻決定手段1、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、電圧安定度計算手段4、安定判別手段6、及び安定度時間余裕算出手段7は、図1で説明したのと同一であり、その作用の説明は省略する。
【0079】ここで、電圧安定度計算手段4によって作成された電圧安定度計算結果(データ14)である各発電機端子電圧の位相角を初期位相角保存手段61が初期位相角保存データ65として保存する。また、発電機初期位相角算出手段62は将来電力系統状態(データ13)をもとに電圧安定度計算を初期時刻においてのみ行い、発電機端子電圧の初期位相角を計算する(ステップ161)。端子電圧の位相角は、安定度計算が対象とする系統の初期状態に依存して決まるものであり、端子電圧の位相角が大きく変化していなければ、系統状態に大きな変化はなく、電圧安定度も変わっていないと言える。そこで、初期位相角比較手段63は、上記で作成した、ある時刻に対する発電機端子電圧位相角と位相角保存データ65から取出した過去に計算した同一時刻の発電機初期位相角とを比較し(ステップ162)、次式を満たしている場合、すなわち、過去に算出した安定度時間余裕の時刻まで進んでいないかをどうか判定し(ステップ163)、その判定結果が“No”の場合は過去の結果を採用し、その時刻の電圧安定度計算手段4の演算処理を行うことなく将来時刻決定手段1の処理に戻り、次の実行時刻の計算を行う。
【0080】Σ |(δ1−δ2)| > εここで、δ1:電圧安定度計算結果データ14から取出した同じ時刻の発電機端子電圧位相角δ2:発電機端子電圧初期位相角算出手段61による発電機端子電圧初期位相角ε :判定定数Σ :全ての発電機に対する総和。
【0081】ここで、判定定数は系統対象の特性により設定するものとする。
【0082】ステップ163において、過去に算出した安定度時間余裕の時刻になっていれば、処理を終了する。
【0083】また、ステップ162において発電機初期位相角に変化があった場合には、電圧安定度計算手段5による電圧安定度計算の処理を行い(ステップ104)、初期位相角保存手段62において、その結果から新たに初期位相角を保存する(ステップ164)。次に安定判別手段6において安定度計算結果を判別する(ステップ105)。ここで安定ならば将来時刻決定手段1の処理(ステップ101)へ戻り、不安定ならば安定度時間余裕算出処理(ステップ106)を行い、安定度時間余裕データを出力する。
【0084】以上の一連の処理を一定周期で行い、過去に算出した安定度時間余裕と初期位相角を用いて、安定度時間余裕を求める。
【0085】(実施の形態6の効果)実施の形態6によれば、常時は図1の装置100により安定度時間余裕を求めるが、現在時刻において発電機端子電圧の位相角が過去に算出した位相角と比べ大きく変化していない場合には、系統状態に大きな変化はなく、電圧安定度も変わらないものとして、安定度時間余裕を改めて計算することを省略する。したがって、安定度時間余裕を求めるにあたり計算時間の短縮を図ることができる。
【0086】(実施の形態7)
(実施の形態7の構成)実施の形態7の構成を、図16を参照して説明する。図16の電力系統監視制御装置170は、図1の装置100に加えて、予測需要データを取込み、予測需要の極大点を算出する需要極大点算出手段71を備えているのが実質的な特徴である。電力設備運転状態決定手段72、将来電力系統状態作成手段73、電圧安定度計算手段74、及び安定度判定手段76は、それぞれ同名の各手段2,3,4,6と同一の構成・機能を持っているものであるが、前者は需要極大点のデータを取扱う点で後者と異なっている。
【0087】(実施の形態7の作用)実施の形態7の作用を、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
【0088】需要極大点算出手段71は、予測需要データ70を用いて、現在時刻から最も近い需要極大点を算出し、その時刻を極大点時刻とし極大点時刻データ75を出力する(ステップ171)。この極大点時刻データ75に関し、電力設備運転状態決定手段72はスケジュールデータ11に基づき極大点の電力設備運転状態を決定して極大点系統データ77を作成し(ステップ172)、将来電力系統状態作成手段73は極大点電力系統状態データ78を作成し(ステップ173)、電圧安定度計算手段74は需要極大点の電圧安定度計算結果データ79を出力する(ステップ174)。これらの各手段の作用は、図1の将来時刻データ8が極大点時刻データ75に変わっただけであって、両者の実質的な作用には何らの変わりも無い。
【0089】安定度判定手段76は、上記のようにして算出した電圧安定度計算結果(データ78)により需要極大点での安定判断を行う(ステップ175)。安定な場合は処理を終了し、不安定な場合は以下の処理を行う。
【0090】需要極大点の系統の安定度が不安定な場合には、安定となるところまで時刻を戻し、その時刻と現在の時刻とから安定度時間余裕を算出する。図1の装置100において将来時刻決定手段1の初期値として極大点時刻(データ75)を設定し、時間刻み幅(データ10)を負の値とする。これにより将来時刻設定手段1は極大点時刻から現在時刻(データ9)へと時刻を戻す(ステップ176)。以下、図2のステップ103以下を実行して、安定度時間余裕算出手段7が、安定度時間余裕として、安定度が不安定な需要極大点時刻から遡って安定になる時刻を求め、その安定になる時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕(データ16)として出力する(ステップ106)。
【0091】その他の手段の作用については図1及び図2で説明したものと変わりがないので、ここでの繰返し説明は省略する。
【0092】(実施の形態7の効果)実施の形態7によれば、需要極大点を基準として安定度時間余裕を求めることにより、1日の需要の変化の中で需要極大点というポイントに着目した安定度評価を行うことができる。
【0093】(実施の形態8)
(実施の形態8の構成)実施の形態8の構成を、図18を参照して説明する。実施の形態8の電力系統監視制御装置180は、図16の電力系統監視制御装置170に対し、需要極大点の電力系統状態における通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時の限界総需要を求める需要極大点限界総需要算出手段81と、需要極大点の時間から時刻を戻し予め設定した余裕量を満足する時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕として算出する指定余裕量保有時間算出手段82とを付加したものである。
【0094】(実施の形態8の作用)実施の形態8の作用を、図19のフローチャートを参照しながら説明する。図19において、図17の処理に対応するブロックには対応する符号を付して個々の説明は省略する。ここでは、図16の装置170における安定判別手段76において需要極大点での安定判別の結果、安定となる場合に、需要極大点限界総需要算出手段81及び指定余裕量保有時間算出手段82が動作する。
【0095】装置180の説明に入る前に、まず、需要極大点限界総需要算出手段81について説明する。図20は需要極大点限界総需要算出手段81の機能をフローチャートの形で表現したものである。
【0096】実施の形態3(図7,8)において、現在系統状態を対象とし、通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時の限界総需要を求める処理について説明したが、ここでは需要極大点の状態を対象として限界総需要を求める(図19:ステップ181)。電圧安定度計算手段74及び安定度余裕量算出手段36は、需要極大点の状態が対象となることを除いて、その作用は実施の形態3で述べた通りである。指定余裕度総需要算出手段81aは、安定度余裕量算出手段36により算出された安定度余裕量(データ3e)と、予め設定した指定余裕量(データ81b)との差を算出し指定余裕度総需要(データ83)として出力する(ステップ182)。例えば、安定度余裕量(データ3e)が1000MWであり、指定余裕量(データ81b)が200MWであった場合、指定余裕度総需要(データ83)は800MWとなる。
【0097】次に図21を参照して指定余裕量保有時間算出手段82の機能について説明する。実施の形態3において現在系統状態を基準として将来時刻(データ8)の系統状態の総需要を求める処理について説明したが、ここでは需要極大点の時刻から時刻を戻しその時の総需要を求める。将来時刻決定手段1、電力設備運転状態決定手段2、将来電力系統状態作成手段3、及び安定度時間余裕算出手段7は、需要極大点の時刻から始めて時間刻み幅として負の値を設定することにより時刻を戻すことを除いて、その作用は実施の形態3の項で述べた通りである。
【0098】安定判別手段82aは、将来電力系統状態(データ13)の総需要を指定余裕度総需要(データ83)と比較し、前者が後者より小さければ安定として安定度時間余裕算出手段7に進む。前者が後者より大きければ不安定として将来時刻決定手段1に戻る。安定度時間余裕算出手段7は、安定となる時刻と現在時刻との差を安定度時間余裕(データ16)として出力する。
【0099】上記の例では、指定余裕度総需要(データ83)が800MWであったので、総需要値が800MWより大きければ不安定とし、小さければ安定とする。安定となる時刻と現在時刻との差が1時間であれば、安定度時間余裕(データ16)は1時間であり、現在から1時間は限界総需要である1000MWに対し200MWの余裕を保てるということになる。
(実施の形態8の効果)実施の形態8によれば、需要極大点で系統が不安定な場合に行う実施の形態7の手法による場合の効果に加え、安定な場合には需要極大点での系統に対する通常時、あるいは想定事故時、あるいは通常時と想定事故時の限界総需要を求め、予め設定した余裕量を満足するまで時刻を戻し予測状態を作成し、予め設定した余裕量を保有する現在時刻からの安定度時間余裕を算出するので、1日の需要の変化の中で需要極大点というポイントに着目した安定度評価を行うことができる。
【0100】(実施の形態9)
(実施の形態9の構成)実施の形態9は、図7及び図8に示す実施の形態3の構成に加えて、安定判別手段37の安定判別結果が不安定であった場合に、制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えるものとする。
【0101】(実施の形態9の作用)図7及び図8に示すように、実施の形態3では安定度時間余裕算出手段7で安定度時間余裕を求めたとき、安定判別結果が「不安定」であった場合、現在時刻での安定度時間余裕データ16を出力したが、ここで述べる実施の形態9では、それに加えて回避方策作成手段21が制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策を提示する。回避方策作成手段21の作用については、実施の形態2(図4〜6)で述べた通りである。
(実施の形態9の効果)実施の形態9によれば、安定度時間余裕の算出による実施の形態3の効果を奏するのはもちろん、安定判別結果が不安定な場合に回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0102】(実施の形態10)
(実施の形態10の構成)実施の形態10は、図9〜11に示す実施の形態4に加えて、安定度時間余裕算出手段7によって安定度時間余裕を求めたときの安定判別結果が「不安定」であった場合に、制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えるものである。
【0103】(実施の形態10の作用)図9〜11に示したように、実施の形態4では安定判別結果が「不安定」であった場合に、現在時刻での安定度時間余裕(データ16)を出力したが、ここで述べる実施の形態10では、それに加えて回避方策作成手段21が制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策を提示する。回避方策作成手段21の作用については、図4〜6に示した実施の形態2で述べた通りである。
【0104】(実施の形態10の効果)実施の形態10によれば、安定度時間余裕を算出することによる実施の形態4の効果を奏するのはもちろん、安定判別結果が不安定であった場合には回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0105】(実施の形態11)
(実施の形態11の構成)実施の形態11は、図12及び図13に示した実施の形態5に加えて、安定度時間余裕算出手段7によって安定度時間余裕を求めたときの安定判別結果が「不安定」であった場合に、制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えるものである。
【0106】(実施の形態11の作用)図12及び図13に示したように、実施の形態5では安定度時間余裕算出手段7による安定判別結果が「不安定」であった場合に、現在時刻での安定度時間余裕データ16を出力したが、実施の形態11では、それに加えて回避方策作成手段21が制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策を提示する。回避方策作成手段21の作用については、図4〜6に示した実施の形態2で述べた通りである。
【0107】(実施の形態10の効果)実施の形態11によれば、安定度時間余裕を算出することによる実施の形態5の効果を奏するのはもちろん、安定判別結果が不安定であった場合には回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0108】(実施の形態12)
(実施の形態12の構成)実施の形態12は、図14及び図15に示した実施の形態6に加えて、安定度時間余裕算出手段7によって安定度時間余裕を求めたときの安定判別結果が「不安定」であった場合に、制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えるものである。
【0109】(実施の形態12の作用)図14及び図15に示したように、実施の形態6では安定度時間余裕算出手段7による安定判別結果が「不安定」であった場合に、現在時刻での安定度時間余裕データ16を出力したが、実施の形態12では、それに加えて回避方策作成手段21が制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策を提示する。回避方策作成手段21の作用については、図4〜6に示した実施の形態2で述べた通りである。
【0110】(実施の形態12の効果)実施の形態12によれば、安定度時間余裕を算出することによる実施の形態6の効果を奏するのはもちろん、安定判定結果が不安定であった場合に回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0111】(実施の形態13)
(実施の形態13の構成)実施の形態13は、図16及び図17に示した実施の形態7に加えて、安定判別手段6による安定判別結果が不安定であった場合に制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成する回避方策作成手段21を備えるものである。
【0112】(実施の形態13の作用)図16及び図17に示したように、実施の形態6では安定度時間余裕算出手段7による安定判別結果が「不安定」であった場合に、現在時刻での安定度時間余裕データ16を出力したが、実施の形態13では、それに加えて回避方策作成手段21が制御対象機器の制御所要時間を考慮した回避方策データ22を作成し、運転員に安定化対策を提示する。回避方策作成手段21の作用については、図4〜6に示した実施の形態2で述べた通りである。
【0113】(実施の形態13の効果)実施の形態13によれば、安定度時間余裕を算出することによる実施の形態7の効果を奏するのはもちろん、安定判定結果が不安定であった場合に回避方策を作成するので、制御対象機器の制御所要時間を考慮した安定化対策を行うことができる。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、電力系統監視制御装置において、現在から将来時点に向かっての不安定状態に至るときまでの余裕量の時系列変化をとらえて、不安定になるまでの時間的余裕を評価指標として算出することができ、1日の需要の変化を意識した安定度の評価を行うことができる。




 

 


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