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発明の名称 磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−3517
公開日 平成11年(1999)1月6日
出願番号 特願平9−154107
出願日 平成9年(1997)6月11日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
発明者 和泉 ともこ / 永井 信之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 非磁性支持体上に非磁性粉末を少なくとも結合剤中に分散してなる非磁性層を有するとともに、上記非磁性層上に磁性粉末を少なくとも結合剤中に分散してなる磁性層を有し、上記磁性層の膜厚が、0.05μm以上、0.5μm以下であり、上記非磁性粉末は、オキシ水酸化鉄を含有し、上記非磁性層中に含有される結合剤が、極性官能基を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】 上記極性官能基が、少なくとも−COOH、−SO3M(式中のMは、水素原子またはアルカリ金属を示す)のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】 上記非磁性層は、上記非磁性粉末と上記結合剤との重量比が5以上、10以下となされていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項4】 上記非磁性層は、上記非磁性粉末を結合剤及び溶剤中に分散してなる塗料により形成されており、上記溶剤を除く塗料材料が、塗料全体の量に対して20重量%以上、35重量%以下となされていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の磁性層を有する磁気記録媒体に関し、特に高密度記録に好適な磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、オーディオ用テープ、ビデオテープ、バックアップ用データーカートリッジ、フレキシブルディスク等として広く利用されている。近年、磁気記録媒体においては、高密度記録化や電磁変換特性の向上を図るために、記録波長の短波長化やデジタル記録方式の採用等が検討されている。
【0003】特に、塗布型磁気記録媒体においては、電磁変換特性を向上させるために、磁性層の薄膜化が検討されている。この方法は、記録時の自己減磁損失を低減することにより電磁変換特性を向上させる方法であり、これに伴い種々の塗布方式が提案されている。
【0004】例えば、非磁性支持体上に0.05μm〜0.5μmの薄い磁性層を単層で設けた場合、非磁性支持体の表面形状の影響が現れやすいため、平滑な表面を得ることは困難であり、記録再生時のスペーシングロスの増加等の問題がある。これを解決するために、具体的には磁性層と非磁性支持体との間に非磁性の下塗り層(以下、非磁性層と称する。)を設け、磁性層を薄膜化すると共に平滑面を実現する方法が特開平5−210838号公報で考案されている。
【0005】一方、このような2層を有する磁気記録媒体の塗布方式においては、電磁変換特性の向上やノイズの低減といった目的から、塗布欠陥や塗り筋のない均一な塗膜にすることが要求され、その方法としてダイコーターにより上層の磁性層と下層の非磁性層を非磁性支持体上に同時に塗布する、いわゆる同時重層塗布方式が特開平5−285443号公報で提案されている。上記同時重層塗布方式は、上下層の界面の接着性を向上させる方法としても有効であり、重層塗布型磁気記録媒体の中心的な塗布方式になっている。
【0006】更に、記録再生時のスペーシングロスを最小限にする目的で、磁気記録媒体の表面の平滑化も検討されている。高密度記録を行う場合では、使用する記録波長が短いために、磁気記録媒体の表面の粗さの影響を受けやすく、特にこの表面粗さの制御が重要である。
【0007】塗布型磁気記録媒体の表面を平滑化する手法としては、一般に、含有させる粉末の分散性の改善やカレンダー処理等の方法が行われており、従来より種々の検討がなされてきた。例えば、粉末の分散を向上させるためには、粉体と強固に相互作用する結合剤を使用する方法や、分散効率の高い分散機を使用する方法等が実用化されている。一方、カレンダー処理においても、高温処理やスチールロールのみから構成されるカレンダー装置の使用等の方法が用いられいる。
【0008】また、重層塗布型の磁気記録媒体においては、強磁性合金粉末を強磁性粉末として使用したり、強磁性粉末を微細化したり、強磁性粉末の保磁力を増加させたり、その保磁力分布を均一化するといった強磁性粉末に関する改良が行われている。特に、強磁性粉末を微細化するためには、飽和磁化が140Am2/kg以上の強磁性粉末や長軸長0.1μm以下の強磁性粉末が開発されている。また、保磁力を増加するために、保磁力が160kA/mを越える強磁性粉末が使用されている。さらに、保磁力分布を均一化するためには、保磁力分布を反映する粒子サイズ分布を均一化するといった改良がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような重層塗布型の磁気記録媒体においては、記録波長の短い高密度記録に十分対応可能とするため、磁気記録媒体表面の更なる平滑化を目的として、非磁性層に使用する非磁性粉末についても酸化チタンやヘマタイト等の酸化物が検討されている。
【0010】しかしながら、これらの非磁性粉末を用いた重層塗布型の磁気記録媒体は、高密度記録の観点から、表面の平滑性及び耐久性が不十分である。
【0011】そこで、本発明は、このような従来の実状に鑑みて提案されたものであり、薄膜の磁性層を有するとともに、耐久性に優れ、表面が平滑化されて高電磁変換特性を実現し、高密度記録に十分対応可能な磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層を有するとともに、上記非磁性層上に形成され磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を有し、磁性層の膜厚が0.05μm以上、0.5μm以下であり、非磁性粉末がオキシ水酸化鉄を含有し、かつ非磁性層中に含有される結合剤が極性官能基を有することを特徴とする。また、上記極性官能基が、少なくとも−COOH、−SO3M(式中のMは、水素原子またはアルカリ金属を示す)のいずれかを含むことが好ましい。
【0013】以上のように構成された本発明に係る磁気記録媒体によれば、非磁性支持体上に非磁性層及び磁性層が積層形成され、磁性層の膜厚が0.05μm以上、0.5μm以下であり、しかも非磁性粉末がオキシ水酸化鉄を含有して、非磁性層中に含有される結合剤が極性官能基を有することによって、非磁性粉末の結合剤に対する分散性が向上する。その結果、非磁性層の表面が平滑化されて、非磁性層上に形成された磁性層の表面も平滑化することができて、スペーシング損失を抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】本発明を適用した磁気記録媒体1は、図1に示すように、非磁性支持体2の一方の主面上に形成された、非磁性粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層3と、上記非磁性層3上に形成された、強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層4とを有する。また、非磁性層3及び磁性層4が形成された面とは反対側の非磁性支持体2の一主面上には、非磁性粉末と結合剤とを主体とするバックコート層5を有している。
【0016】非磁性支持体2の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材料あるいは金属、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
【0017】非磁性層3を形成する非磁性粉末としては、従来、酸化チタンやヘマタイト(Fe23)等の酸化物が用いられていた。これに対して、本発明で使用される非磁性粉末は、α−FeOOH、γ−FeOOH等のオキシ水酸化鉄である。なお、上記非磁性粉末は、目的に応じて適量の不純物をドープすることも可能であるし、分散性の改良、導電性の付与、色調の改善等の目的で、Al、Si、Ti、Sn、Sb、Zr等の化合物で表面処理することも可能である。
【0018】また、本発明で使用されるオキシ水酸化鉄としては、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH等が挙げられ、特に、α−FeOOH、γ−FeOOHが好ましい。これらオキシ水酸化鉄は、Co、Ni、Cr、Mn、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Ti、Mo、Ag、Cu等の金属化合物が共存していても良く、表面にアルミニウム化合物や希土類元素化合物が存在していても良い。また、本発明においては、これらオキシ水酸化鉄が脱水して得られる中間生成物である酸化鉄をも、オキシ水酸化鉄の概念中に含めるものとする。
【0019】非磁性層3に含有させる結合剤としては、従来より磁気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使用可能であり、重量平均分子量が15000〜200000のものが好ましい。これらの結合剤は、磁気記録媒体1に走行耐久性、可撓性、靭性を付与したり、非磁性支持体2との接着を良好にする等の目的で使用される。
【0020】上記結合剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アクリトニトリル共重合体、アクリトニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポエイビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテートセルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が用いられる。
【0021】また、上記結合剤として用いられる熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒト樹脂等が用いられる。
【0022】特に、本発明を適用した磁気記録媒体の非磁性層に用いられる結合剤としては、極性官能基を有するものが好ましい。この極性官能基としては、−COOH、−SO3M、−OH、−OSO3M、−PO3M、−OPO32(式中のMは、水素原子またはアルカリ金属を示す)等の極性官能基を用いることができ、特に−COOH、−SO3Mが好ましい。
【0023】このとき、上記非磁性層は、上記非磁性粉末と上記結合剤との重量比が5以上、10以下となされていることが好ましい。
【0024】これは、結合剤の使用量が多すぎて非磁性粉末の配合量が少なすぎると、ドライブでの繰り返し摺動により塗膜の塑性流動が生じやすく、走行耐久性が低下するためである。また、結合剤の使用量が少なすぎて非磁性粉末の配合量が多すぎると、非磁性粉末の分散不良や塗膜の力学的強度が低下するといった問題が生じるためである。
【0025】したがって、上述の結合剤中に上述の割合の非磁性粉末を分散してなる磁気記録媒体においては、結合剤中における非磁性粉末の分散性が向上し、非磁性層の表面が平滑化される。よって、非磁性層上に形成される磁性層の表面も平滑化されて、スペーシング損失が抑えられ、自己減磁損失やノイズを低減し再生出力を向上させることができ、高電磁変換特性を実現することができる。
【0026】さらに、上記非磁性層は、上記非磁性粉末を結合剤及び溶剤中に分散してなる塗料により形成されており、この溶剤を除く塗料の割合が、塗料全体の量に対して20重量%以上、35重量%以下とされていることが好ましい。
【0027】これは、溶剤を除く塗料の割合が、塗料全体の量に対して20重量%以下である場合、ドライブでの繰り返し摺動により走行耐久性が低下するためである。一方、溶剤を除く塗料の割合が、塗料全体の量に対して35重量%以上である場合、非磁性粉末の分散不良や塗膜の力学的強度が低下するためである。
【0028】磁性層4に用いられる強磁性粉末には、例えばFe、Co、Ni等の金属、あるいはFe−Co、Fe−Ni、Fe−Al、Fe−Ni−Al、Fe−Al−P、Fe−Ni−Si−Al、Fe−Ni−Si−Al−Mn、Fe−Mn−Zn、Fe−Ni−Zn、Co−Ni、Co−P、Fe−Co−Ni、Fe−Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等の合金が挙げられる。なお、磁性層4の表層部分には、還元時の焼結防止または形状維持等の目的で添加されるAl、Si、Ca、Mg、P、B、Zr、Yや希土類元素等を、単独あるいは2種類以上を併用して適量塗布してもよい。
【0029】特に、本発明を適用した磁気記録媒体1において、磁性層4は、その膜厚が0.05μm以上、0.5μm以下の薄膜である。このように磁性層4を薄膜化することにより、記録時の自己減磁損失が低減され、電磁変換特性を向上することができる。
【0030】また、磁性層4には、研磨材粒子として、例えば酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等を含有させてもよい。これら研磨材粒子は、非磁性粉末100重量部に対して、20重量部、好ましくは10重量部以下に含有されるとよい。また、研磨材粒子のモース硬度は、4以上、好ましくは5以上がよい。さらに、研磨材粒子の比重は、2〜6、好ましくは3〜5がよい。しかも、研磨材粒子の平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下がよい。
【0031】磁性層4に含有させる結合剤は、非磁性層3に含有される結合剤と同様に、従来より磁気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使用可能であり、重量平均分子量が15000〜200000のものが好ましい。これらの結合剤には、磁性粉末の分散性を向上させる目的で上述した極性官能基が導入されてもよく、導入量は10-1〜10-8mol/gであり、好ましくは10-2〜10-6mol/gである。
【0032】なお、非磁性層3及び磁性層4に用いられる上記結合剤には、その結合剤を架橋硬化させるポリイソシアネートを併用することが可能である。このポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート又はこの付加体、あるいはアルキレンジイソシアネート又はこの付加体等が用いられる。これらポリイソシアネートの上記結合剤への配合量は、結合剤100重量部に対して、5〜80重量部、好ましくは、10〜50重量部がよい。これらポリイソシアネート類は、非磁性層3及び磁性層4の両層の結合剤中に用いることが可能であり、またいずれか一層のみに限定して用いることも可能である。上記両層にポリイソシアネートを配合する場合、その配合量は、各層に等量投入することも可能であるし、任意の比率で変えることも可能である。
【0033】なお、磁性層4及び非磁性層3には、潤滑剤及び界面活性剤を含有させることが可能である。上記潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化ダングステン、シリコーンオイル、炭素数10〜22までの脂肪酸、またはこれらのオリゴマー等が用いられる。これら潤滑剤は、磁性層4にのみ添加することも可能であるし、両層に添加することも可能である。上記界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤を用いることができ、種類、量を目的に応じて各層に使い分けたり、1層のみに使用することが可能である。
【0034】非磁性層3及び磁性層4は、非磁性支持体2上に上述の形成材料を塗料化して塗布乾燥して形成する。この塗料化に用いられる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が用いられる。
【0035】なお、非磁性支持体2上の上記磁性層4が形成された面とは反対側の一主面上には、磁気記録媒体1の走行性の向上や帯電防止及び転写防止等を目的として、上述したように、バックコート層5を設けてもよい。また、非磁性層3と非磁性支持体2との間には、接着性を強化するために、下塗層を形成することも可能である。ただし、この下塗層は、上記の非磁性層3とは異なるものであることは言うまでもない。
【0036】以上のように構成された磁気記録媒体1は、以下に示した製造工程によって製造される。すなわち、磁気記録媒体1は、非磁性支持体2上に塗布される塗料を作製する塗料作製工程と、上述した塗料を非磁性支持体2上に塗布する重層塗布工程と、非磁性支持体2上にバックコート層5を形成するバックコート層形成工程と、非磁性層3と磁性層4とが形成された磁気記録媒体1を裁断する裁断工程の各工程を経て製造される。
【0037】まず、上記塗料作製工程は、混練工程、混合工程、分散工程の各工程を経て塗料を分散させ、その後フィルターによりろ過する。
【0038】次に、このようにして作製された塗料を非磁性支持体2上に重層塗布工程を施して塗布する。この重層塗布工程は、ダイコーターが用いられる同時重層塗布方式で行う。ダイコーターのリップ構成には、2リップ式、3リップ式、4リップ式等がある。
【0039】一般に、非磁性支持体2上に非磁性層3と磁性層4を形成するには、1層ずつ塗布乾燥する方式(いわゆるウエット・オン・ドライ塗布方式)と、乾燥されていない湿潤状態にある非磁性層3上に磁性層4を重ねて塗布する方式(いわゆるウエット・オン・ウエット塗布方式)とがある。
【0040】ウエット・オン・ウエット塗布方式は、非磁性層3が湿潤状態で、その非磁性層3上に磁性層4の磁性塗料を塗布するので、非磁性層3の表面が平滑化されるともに、磁性層4の表面性も良好となり、かつ非磁性層3と磁性層4との接着性も向上する。この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイズの要求される磁気記録媒体としての要求性能を満たしたものとなり、かつ膜剥離がなくなり、膜強度が向上する。また、ドロップアウトも低減することが可能であり、信頼性が向上する。
【0041】一方、ウエット・オン・ドライ塗布方式は、特開平6−236543号公報にも示されるように、非磁性層3として、その上に形成された磁性層4の塗料に対して十分な耐溶剤性のあるものを選択する必要がある。また、この方式では、表面の平滑性が損なわれ、その結果電磁変換特性に支障をきたす。
【0042】そこで、本実施の形態として示す重層塗布工程には、上記ウエット・オン・ウエット塗布方式を用いる。なお、このウエット・オン・ウエット塗布方式によって形成される非磁性層3及び磁性層4は、図1に示すような明確な境界が存在する場合と、一定の厚みを以て両層の成分が混在してなる境界領域が存在する場合とがある。いずれの場合も、本発明の実施の形態に含まれる。
【0043】次に、重層塗布工程の後、非磁性層3及び磁性層4を形成した磁気記録媒体1を乾燥機に導入し、カレンダー装置に導いてカレンダー処理を施し、巻き取りロールに巻き取る。さらに、この磁気記録媒体1の磁性層4の形成された面とは反対側の一主面上に、バックコート層形成工程にて、バックコート層5を形成する。
【0044】そして、バックコート層形成工程の後、この磁気記録媒体1は、裁断工程にて長さ方向に沿って所定幅、例えば8mm幅に切断されて、複数本の磁気テープが製造される。さらに、この磁気テープをカセット内に収容してテープカセットとする。
【0045】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について、具体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0046】実施例1まず、下記に示す組成の磁性層形成材料を塗料化した。塗料化は、磁性粉末、結合剤、添加剤、溶剤を混合し、エクストルーダーにより混練した後、サンドミルで4時間分散し、フィルターでろ過した。
【0047】
<磁性層用の塗料組成>メタル強磁性粉末(長軸長0.11μm、X線粒径15.3nm、保磁力172.8kA/m、飽和磁化量131.2Am2/kg) 100重量部塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン製 MR−110) 14重量部ポリエステルポリウレタン樹脂(重量平均分子量 35000、東洋紡製) 3重量部α−Al23 5重量部ステアリン酸 1重量部ヘプチルステアレート 1重量部メチルエチルケトン 150重量部シクロヘキサノン 150重量部次に、下記に示す組成の非磁性層の形成材料を、上述の磁性層の形成材料の塗料化と同様にして塗料化した。
【0048】
<非磁性層用の塗料組成> α−FeOOH(比表面積65.2m2/g) 100重量部塩化ビニル系共重合体(重量平均分子量 10000、極性官能基[−SO3Na]=7×10-5mol/g) 16重量部ステアリン酸 1重量部ヘプチルステアレート 1重量部メチルエチルケトン 150重量部シクロヘキサノン 150重量部次に、塗布直前にポリイソシアネートを磁性層用の塗料に3重量部、非磁性層用の塗料に3重量部を加え、各塗料を4リップ方式ダイコーターを用いて、厚さ7μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に磁性層を0.2μm、非磁性層を2.0μmとなるように同時重層塗布した。
【0049】次いで、ソレノイドコイルにより磁場配向処理した後、乾燥して巻取った。これをカレンダー処理した後、硬化処理を行った。
【0050】そして、下記に示す組成のバックコート層用塗料を上記磁性層及び非磁性層の形成された面とは反対側の非磁性支持体の一主面上に塗布した。
【0051】
<バックコート層用の塗料組成>カーボンブラック(商品名:旭#50) 100重量部ポリエステルポリウレタン(商品名:ニッポランN−2304) 100重量部メチルエチルケトン 500重量部トルエン 500重量部そして、上述したように、バックコート層を形成した後、この磁気記録媒体を長さ方向に沿って8mm幅に裁断し、磁気テープを作製した。
【0052】実施例2非磁性層の結合剤として、ポリウレタン系樹脂でかつ極性官能基が−SO3Naである樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0053】実施例3非磁性層の結合剤として、塩化ビニル系樹脂でかつ極性官能基が−COOHである樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0054】実施例4非磁性層の結合剤として、ポリウレタン系樹脂でかつ極性官能基が−COOHである樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0055】実施例5非磁性層において、非磁性粉末と結合剤との重量比(P/B比)が6.3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0056】実施例6非磁性層の結合剤の量を12重量部として、非磁性粉末と結合剤との重量比が8.3となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0057】実施例7非磁性層の結合剤の量を18重量部として、非磁性粉末と結合剤との重量比が5.6となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0058】実施例8非磁性層の結合剤の量を25重量部として、非磁性粉末と結合剤との重量比が4.0となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0059】実施例9非磁性層の結合剤の量を8重量部として、非磁性粉末と結合剤との重量比が12.5となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0060】実施例10非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して27.8重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0061】実施例11非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの量をそれぞれ130重量部とすることにより、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して30.7重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0062】実施例12非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの量をそれぞれ200重量部とすることにより、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して22.4重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0063】実施例13非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの量をそれぞれ110重量部とすることにより、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して34.3重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0064】実施例14非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの量をそれぞれ90重量部とすることにより、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して38.9重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0065】実施例15非磁性層を形成する塗料において、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの量をそれぞれ250重量部とすることにより、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンからなる溶剤を除いた塗料材料が、塗料全体に対して18.8重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0066】比較例1非磁性層の結合剤として、塩化ビニル系樹脂でかつ極性官能基を有しない樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0067】比較例2非磁性層の結合剤として、ポリウレタン系樹脂でかつ極性官能基を有しない樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0068】比較例3非磁性層の非磁性粉末として、α−Fe23を用いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。
【0069】比較例4非磁性層の非磁性粉末として、α−Fe23を用いた以外は、実施例2と同様にして、磁気テープを作製した。
【0070】上述したように作製された磁気テープについて、中心線平均粗さ(Ra)、電磁変換特性及び耐久性を以下のようにして測定し評価した。中心線平均粗さ(Ra)については、光干渉方式による非接触型表面粗さ計を用いて測定した。
【0071】また、電磁変換特性については、固定ヘッド式電特測定機を用いて測定した。この測定機は、回転するドラムとこれに接触するヘッドとから構成されており、磁気テープがこのドラムに巻き付けられる。
【0072】測定方法としては、先ず各磁気テープの最適記録電流で10MHzの矩形波信号を記録した。次に、スペクトラムアナライザーにより10MHzの出力レベルを検出した。このとき、磁気テープとヘッドとの間の相対速度は、3.33m/sとした。また、9MHzでのノイズと、10MHzでの出力レベルとの差を10MHzC/Nとした。ここで、10MHzの出力と10MHzC/Nとは、それぞれ比較例1の値を0dBとして計算した。
【0073】耐久性については、8mmカセットに組み込んだ磁気テープを8mmデッキでスチル走行させて、再生出力が1dB低下するまでの時間を測定した。
【0074】以上の測定結果を表1、表2及び表3に示した。表2において、非磁性粉末と結合剤との重量比をP/B比と記した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】表1の結果から、非磁性層の結合剤に極性官能基を有する実施例1〜実施例4は、非磁性層の結合剤に極性官能基を有しない比較例1及び比較例2よりも、表面粗度が低く、再生出力が大きく、スチル耐久時間が大きいことが分かった。このことから、非磁性層の結合剤に極性官能基を有することによって、非磁性粉末の結合剤に対する分散性が向上し、しかも非磁性層の結合剤と磁性層の結合剤との結合がより強固となるため、非磁性層及び磁性層の表面が平滑化されて、その結果電磁変換特性が向上し、また耐久性の向上を図ることができることが判明した。
【0079】また、表1の結果から、非磁性粉末にα−FeOOHを用いた実施例1〜実施例4は、非磁性粉末にα−FeOOHの代わりにα−Fe23を用いた比較例3及び比較例4よりも、表面粗度が低く、再生出力が大きく、スチル耐久時間が大きいことが分かった。このことから、非磁性粉末にα−FeOOHを用いることによって、非磁性層及び磁性層の表面が平滑化されて、電磁変換特性が向上し、耐久性の向上を図ることができることが判明した。
【0080】さらに、表2の結果から、非磁性層において非磁性粉末と結合剤との重量比が5以上、10以下である実施例5〜実施例7は、非磁性粉末と結合剤との重量比が上記の範囲内でない実施例8及び実施例9よりも、特に表面粗度が低く、スチル耐久時間が大きいことが分かった。
【0081】特に、非磁性粉末と結合剤との重量比が5以下である実施例8では、非磁性粉末の量が少なすぎるために、結合剤中に均一に分散することが困難であり、表2に示すように、表面の平滑性が好ましくなく、これに起因するスペーシングロスにより再生出力が低くなる。しかも、添加した潤滑剤が拡散しにくいため、耐久性も低下する。
【0082】また、非磁性粉末と結合剤との重量比が10以上の実施例9では、表2に示すように、非磁性粉末の分散不良が起きて表面の平滑性が劣り、これに起因するスペーシングロスにより再生出力が低くなる。しかも、結合剤量が少なすぎるために非磁性粉末が分散しにくいため、塗膜の力学的強度つまり耐久性が低下する。
【0083】したがって、表2の結果から、非磁性層において非磁性粉末と結合剤との重量比が5以上、10以下であることによって、非磁性粉末の結合剤に対する分散状態が最適となり、非磁性層及び磁性層の表面が平滑化されて、その結果電磁変換特性が向上し、しかも耐久性の向上を図ることができる。
【0084】さらに、表3の結果から、非磁性層を形成する塗料において、溶剤以外の塗料材料が塗料全体の量に対して20重量%以上、35重量%以下含有する実施例10〜実施例13は、溶剤以外の塗料材料が上記の範囲外である実施例14及び実施例15よりも、表面粗度が小さく、再生出力が大きいと分かった。
【0085】特に、溶剤以外の塗料材料の含有量が38.9重量%の実施例14は、表3に示すように、溶剤量が著しく少ないために、非磁性粉末の分散が困難となり、表面が粗くなり、その結果スペーシングロスによる再生出力が低下した。
【0086】また、溶剤以外の塗料材料の含有量が18.8重量%の実施例15は、表3に示すように、溶剤以外の塗料材料が塗料全体に対して著しく少ないために、非磁性粉末を均一に分散することが困難となり、その結果表面の平滑性が劣化して、スペーシングロスによる再生出力が低下した。
【0087】したがって、表3の結果から、溶剤以外の塗料材料の含有量が20重量%以上、35重量%以下とすることによって、非磁性層及び磁性層の表面が平滑化されて、その結果電磁変換特性を向上することができると判明した。
【0088】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明では、非磁性支持体上に非磁性層及び磁性層が順次積層形成され、磁性層の膜厚が0.05μm以上、0.5μm以下であり、しかも非磁性粉末がオキシ水酸化鉄を含有して、非磁性層中に含有される結合剤が極性官能基を有することによって、非磁性粉末の結合剤に対する分散性が向上するため、非磁性層の表面が平滑化されて、その結果非磁性層上に形成された磁性層の表面も平滑化することができる。したがって、本発明に係る磁気記録媒体は、薄膜の磁性層を有するとともに、非磁性層及び磁性層の表面が平滑化されるため、スペーシング損失を抑えることができ、自己減磁損失やノイズを低減して再生出力の向上を図ることが可能となる。その結果、高電磁変換特性を実現することができ、しかも耐久性の向上を図ることもできて、高品質とすることができる。




 

 


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