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発明の名称 定着装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−2982
公開日 平成11年(1999)1月6日
出願番号 特願平9−155388
出願日 平成9年(1997)6月12日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
発明者 黒高 重夫 / 平井 和政
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該加熱工程域の前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記加熱工程域の少なくとも2つの定着ベルト表面設定温度を有し、画像形成動作の開始信号を受けて定着ベルトが回転開始後の定着開始時に、前記温度制御手段により、前記加熱工程域の定着ベルト表面設定温度が、定着可能な高温側設定温度から、定着可能な低温側設定温度に切り換えられて制御されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】請求項1記載の定着装置において、前記加熱工程域の前記定着ベルト表面の低温側設定温度と、前記定着工程域の定着開始時の定着ニップ出口部温度との差が20℃以下になるように、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度が設定されていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】請求項1または2記載の定着装置において、前記温度検知手段を、前記定着ベルトの回転方向に対して前記加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の前記定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項4】定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段の検知信号により、前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記温度検知手段を、前記定着ベルトの回転方向に対して前記加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の前記定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けたことを特徴とする定着装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置における定着装置に関し、特に、カラー画像形成装置の定着装置におけるオイルレス化を目的として、ホットオフセット防止と立ち上がり時間の短縮を図ることのできるベルト定着方式の定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置としては、内部に熱源を有する定着ローラーとこれに圧接する加圧ローラーとにより、未定着トナー像を担持する転写紙を挾持搬送して定着を行なう熱ローラー定着装置がよく知られている。このような熱ローラー定着装置の温度制御方法として、例えば特開平1−282586号公報記載の温度制御方法においては、メインスイッチONによるウォームアップ直後の定着ローラー設定温度を安定時の設定温度より高くし、その後、漸次(時間または通紙枚数とともに)設定温度を安定時の温度に下げるように制御している。
【0003】このような熱ローラー定着装置の場合、定着ローラー内部に熱源を有し、加熱及び定着工程が同じであるため、温度制御に関しては上記公報記載の方法のように比較的安定した定着温度制御が可能である。しかし、このような所謂熱ローラー定着方式は、ローラー対により形成される定着ニップ部の幅に限界があり、省エネルギーを考慮して低温定着を実現しようとした場合には、転写紙が定着ニップ部を搬送される時間(ニップ時間)を長くするのに定着ローラーと加圧ローラーの線速度を低くしなければならず、高速化が困難である。また、定着ローラー表面は常に内部のヒーターから熱供給を受けて高温に保たれており、ニップ時間の増加によるトナーの温度上昇率が高く、トナーの定着上限温度であるホットオフセット温度が低くなるので、定着離型温度幅(トナーの定着が可能な定着温度幅)の余裕度が小さくなる不具合があった。
【0004】そこで上記のような熱ローラー定着装置の不具合を解消することを目的として定着ベルトを用いたベルト定着方式の定着装置が提案されている。例えば、特開平4−273279号公報には、シリコンオイル等の離型剤を全く使用しないか使用してもごく僅かな使用で定着後の画像においてトナーの溶融が充分確保され光沢性がすぐれた色再現性の高い定着装置を提供することを目的として、無端ベルトのベルト面を介して圧着状態にある一対のローラーの一方のローラーと一定距離だけ離れた位置にある搬送用ローラーとの間に前記無端ベルトが巻回して設けられ、前記一対のローラーの少なくとも一方に加熱用のヒータが設けられ、電子写真の未定着トナー像を有する転写材がこれ等一対のローラーと無端ベルトの一部を通過することにより該トナーを該転写材上に定着させる定着装置であって、前記無端ベルトは基体上に離型剤の層を有する構成であり、該ベルトが架けられた加熱側のローラーの該ベルトが接触しない位置の外周面と、該ローラーにベルトを介して圧接する他のローラーの外周面とに対向して温度検知手段を設けたことが記載されている。
【0005】また、特開平4−362984号公報には、トナー画像の乱れの無い良好な定着ができ、定着ローラーや定着ベルトを損傷せず、転写紙に対する定着温度を正確に制御できるとともに、転写紙のコピースピードを変化させずに、各転写紙の紙厚に対応した最適な定着条件が得られる定着装置を提供することを目的として、表面に離型層の形成された薄肉のシームレス金属よりなる定着部材で、転写紙に未定着のトナー像を加熱定着する定着装置において、上記定着部材を無端ベルト状に形成した定着ベルトで構成するとともに、剛体もしくは剛体に薄肉弾性体を表面に設けてなる加圧ローラーの外周に沿って、熱源を内蔵した加熱ローラーと少なくとも1本以上の他のローラーとで上記定着ベルトを掛け渡すことにより、上記定着ベルトと上記加圧ローラーとの圧接部にニップを形成する一方、上記転写紙に対する定着温度を検知する温度検知素子を設け、この温度検知素子により上記熱源の温度制御を行なうことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平4−273279号公報記載の定着装置では、転写材に対して、最初にベルトを介してトナー像を定着する定着工程があり、その後にベルトにより搬送する搬送工程と、定着したトナー像をベルトから剥離する剥離工程があるので、転写材のシワ(皺)や未定着画像のこすれ現象は発生しにくいものの、定着工程を経た転写材の搬送が不安定であり、光沢ムラ及びホットオフセットが発生しやすい。つまり、定着ニップ部を通過した転写材及びトナーは更にベルトの余熱を受けることになるので、トナーが過剰に溶融してオフセット現象が起こり、転写材の搬送が不安定であるために転写材の画像面に部分的な温度ムラが生じて光沢ムラの原因となる。
【0007】また、特開平4−362984号公報記載の定着装置では、加圧ローラーの外周に沿って定着ベルトを湾曲させて定着ベルトと加圧ローラーの圧接部に定着ニップを形成しているので、定着圧力が小さくて転写紙のシワは発生し難いが、逆に定着性が不十分であると考えられる。また、この定着装置では、定着ベルトと加圧ローラーとの圧接部において両者に速度差が生じると、定着ベルトにより転写紙の未定着画像が擦られる恐れもある。
【0008】そこで本発明者らは先に、カラー画像形成装置の定着装置におけるオイルレス化を図れ、且つホットオフセット防止と立ち上がり時間の短縮を図ることのできるベルト定着方式の定着装置として、図9に示すように、定着ローラー2と、加熱ローラー1と、定着ローラー2と加熱ローラー1間に張架された無端状の定着ベルト3と、その定着ベルト3を介して定着ローラー2に対向して設けられた加圧ローラー4と、加圧ローラー4と加熱ローラー1のうち少なくとも加熱ローラー1の内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーター5とを備え、加熱ローラー1により定着ベルト3を加熱する加熱工程域と、加圧ローラー4が定着ローラー2を加圧することなく定着ベルト3に接触する第1の定着工程部と該加圧ローラー4が定着ベルト3を介して定着ローラー2を加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置を提案した。
【0009】この定着装置では、定着ベルト3の加熱工程域と、転写紙13上の未定着トナー像を定着する定着工程域を各々独立して設けた構成が特徴となっており、定着ベルト3は加熱工程域で加熱ローラー1によって加熱され、その定着ベルト3の加熱部が定着工程域を通過する際に、第1の定着工程部の定着ニップで定着ベルト3により未定着トナー像を担持した転写紙13を加熱し、第2の定着工程部の定着ニップで転写紙13を挾持搬送して加熱及び加圧によりトナー像を転写紙13に定着するので、第1の工程部における定着ベルト3と加圧ローラー4との接触圧、第2の定着工程部における加圧ローラー4による加圧力、定着ベルト3の熱容量等を最適化することで、安定した定着性能が得られ、ホットオフセットの防止と、立ち上がり時間の短縮を図ることができる。
【0010】しかし一方ではその方式上、プリントスタート時及び連続プリント時において定着温度の安定化を図ることが大きな課題であった。以下、その課題について説明する。
【0011】ベルト定着装置における従来の温度制御方式として、前述の特開平4−273279号公報記載の定着装置では、定着ベルト内側の定着ローラーと、その定着ローラーにベルトを介して圧接する加圧ローラーの外周面に温度検知手段としてサーミスタを設け、熱源を何れか一方のローラーに設けて温度制御することが記載されている。また、特開平4−362984号公報記載の定着装置では、加熱ローラーの表面やベルト定着の定着ニップ部のベルト内側に温度検知手段としてサーミスタを接触して設け、加熱ローラーと加圧ローラーの熱源を同時に点灯制御させることが記載されている。
【0012】上記従来技術では、何れも温度検知手段としてのサーミスタをベルト内側の、内部に熱源を有するローラーの表面等に設けており、定着ベルト温度を、その内側にある加熱手段を持つローラー(定着ローラーあるいは加熱ローラー)を介して間接的に制御している。しかし、係る方法では、本来定着ベルト温度を直接検出、制御する方法に比べると定着温度が不安定になりやすい。すなわち、定着ベルトの熱容量により、熱応答性と言う問題が大なり小なり生ずるため、定着ベルト表面を常に所定の温度に安定的に維持することは極めて難しいと言える(プリント速度が早いほど、またカラー定着のように画質の安定を問う場合は課題が極めて大きい)。
【0013】ここで、本発明者らが先に提案したベルト定着装置における温度制御方法の一例を説明する。ベルト定着装置の基本構成は図9に示した通りである。また、図16にこの定着装置を用いた画像形成装置で連続プリント動作時のプリント時間と定着ベルト表面温度(以下、定着ベルト温度と記す)の関係を、加熱ローラー部中部(転写ベルトが加熱ローラーと接触している領域(加熱工程域)の略中間部で加熱ローラー軸方向の中央部であり、図9に示すサーミスタ7の位置に相当する)と定着ニップ出口部(定着工程域の出口部)とで測定した結果を示す。
【0014】図16に示すように、通常、待機時のように定着ベルト3が停止している状態では加熱ローラー部中部の定着ベルト3は加熱ローラー1によって所定の設定温度(例えば約150℃)で制御されている。プリント開始にあたって定着ベルト3が回転を始めると、定着工程域の定着ニップ部においては定着ベルト3表面は加圧ローラー4に接触し、また一方では定着ベルト3内面が定着ローラー2に接触しているため、定着ベルト3の熱が奪われ、加熱ローラー部中部の定着ベルト温度は急激に低下する(例えば130℃前後に低下する)。その後、定着ベルト3の回転時間(プリント時間)の経過と共に、定着ベルト3からの熱供給により加圧ローラー4及び定着ローラー2温度は上昇していく。それに伴って、定着ニップ部温度は漸次上昇して、加熱ローラー部中部の所定の定着ベルト温度(例えば約150℃)に近づいてくる。尚、ここで定着ニップ部温度は、その代用として定着ベルト3の定着ニップ出口部温度で置き換えることにする。と言うのは、基本的には未定着トナーを溶融定着した直後であるところの定着ニップ部に最も近い出口部の定着ベルト温度がトナーの軟化点以上にあることが定着可能な条件として考えて良いからである。従って、ここでは検知または測定が難しい定着ニップ部の温度を論ずるよりは、定着ベルト3の定着ニップ出口部温度で表現した方が好ましい(以後、定着ニップ部温度を論ずるときは定着ニップ出口部温度に置き換えて述べることにする)。
【0015】係る状態においては、定着ベルト3の定着ニップ出口部温度が回転時間と共に上昇していくため、特に連続プリント中は、例えば、定着性、光沢性、オフセットといった定着品質が安定せず、一定の(バラツキの少ない)画像が出力されないといった不具合があった。また、連続プリント時間が長くなると定着ニップ出口部温度が加熱ローラー部中部の定着設定温度近くまで上昇し、定着ニップ出口部の上限温度(例えば、135℃前後)を越えてしまうことがありホットオフセットが発生する恐れもある。これらの不具合を解決するには、定着ニップ出口部温度を定着可能な所定の温度範囲内に維持するようにすることが定着工程におけるトナーへの熱供給をより安定的に行なう上で、望ましい方法と言える。
【0016】本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、ベルト定着装置における上述の課題を解決するため、プリント中の定着温度(定着ニップ出口部温度)を、何時、如何なる条件においても安定的に制御して、定着性、オフセット等の定着品質においてバラツキの少ない画像を出力する手段を提示することを目的とし、特には、連続プリント時におけるカラー画像の光沢度の安定化を図ることを目的としている。そして具体的には、温度検知手段の定着ベルト面上の設置場所及び温度制御方法による簡易な構成で上記目的を達成するものである。
【0017】より具体的には、請求項1の発明は、定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができ、特にカラー画像形成時の連続プリント時の定着性の安定化及びホットオフセット防止を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。請求項2の発明は、請求項1の目的に加え、特に連続プリント時のカラー画像の光沢度の安定化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。請求項3の発明は、請求項1,2の目的に加え、定着品質(定着性、オフセット等)のより安定化を図ることができ、特に連続プリント時のカラー画像の光沢度のより安定化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。請求項4の発明は、請求項1〜3の構成よりも簡易な構成で定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができ、連続プリント時のカラー画像の光沢度の安定化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該加熱工程域の前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記加熱工程域の少なくとも2つの定着ベルト表面設定温度を有し、画像形成動作の開始信号を受けて定着ベルトが回転開始後の定着開始時に、前記温度制御手段により、前記加熱工程域の定着ベルト表面設定温度が、定着可能な高温側設定温度から、定着可能な低温側設定温度に切り換えられて制御される構成としたものである。
【0019】請求項2に係る発明は、請求項1記載の定着装置において、前記加熱工程域の前記定着ベルト表面の低温側設定温度と、前記定着工程域の定着開始時の定着ニップ出口部温度との差が20℃以下になるように、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度が設定されている構成としたものである。
【0020】請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の定着装置において、前記温度検知手段を、前記定着ベルトの回転方向に対して前記加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の前記定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けた構成としたものである。
【0021】請求項4に係る発明は、定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段の検知信号により、前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記温度検知手段を、前記定着ベルトの回転方向に対して前記加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の前記定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けた構成としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0023】まず、本発明に係るベルト定着装置の基本的な構成、動作及び作用効果について詳細に説明する。本発明に係る定着装置の基本構成は図9と同様である。また、図10は図9に示す定着装置の加熱工程域及び定着工程域の説明図である。図9、図10において、符号1は加熱ローラー、2は定着ローラー、3は無端状の定着ベルト、4は加圧ローラー、5は定着ベルト加熱用ヒーター、6は入り口ガイド板、7はサーミスタからなる温度検知手段、8は第1の定着工程部、9は第2の定着工程部、10は加圧スプリングからなる加圧手段、11はテンションスプリングからなるテンション付与手段、12は加熱工程域である。
【0024】定着ベルト3は加熱ローラー1及び定着ローラー2に張架され(引張して架設され)、加圧ローラー4は定着ベルト3を介して定着ローラー2に対向して設けられる。加圧ローラー4は、加圧スプリング10により第2の定着工程部9では定着ベルト3を介して定着ローラー2を加圧し、第1の定着工程部8では定着ローラー2を加圧せずに定着ベルト3に圧接されている。
【0025】ヒーター5を内蔵した加熱ローラー1は本装置の立ち上がりを早くするために、小径かつ薄肉の金属パイプ(例えばアルミニウム、鉄、銅またはステンレスからなるパイプ)を使用して低容量化してある。定着ベルト3はヒーター5により加熱ローラー1を介して加熱され、サーミスタ7は定着ベルト3の加熱ローラー1で加熱される部分の表面温度を検知する。そして図示しない温度制御部(後述する)は、サーミスタ7の温度検知信号に基づいてヒーター5への通電を制御し、定着ベルト表面温度(以下、定着ベルト温度と記す)が所定の設定温度に保たれるように制御する。
【0026】定着ローラー2、加熱ローラー1、加圧ローラー4は図示しない駆動源による回転駆動で図中の矢印方向に回転し、定着ベルト3が図中の矢印A方向に回転する。図示しない画像形成部で公知の電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写)により未定着トナー像が転写された転写紙13は、図示しない搬送手段により入り口ガイド板6に沿って定着装置内に搬入され、定着ベルト3と加圧ローラー4との間の第1の定着工程部8、第2の定着工程部9の順に定着工程域を通過し、第1の定着工程部8で定着ベルト3により加熱され、さらに第2の定着工程部9で加熱及び加圧されて転写紙13上にトナー像が定着される。この際、第1の定着工程部8では、定着圧(定着ベルト3と加圧ローラー4との接触圧)が転写紙13にシワが発生しない程度に低く設定され、第2の定着工程部9では、定着圧(定着ベルト3を介して定着ローラー2に圧接する加圧ローラー4の圧力)が所望の定着性が得られるように設定されている。
【0027】加熱ローラー1は移動可能に設けられてテンションスプリング11により定着ベルト3に押圧され、加圧ローラー4は加圧スプリング10により定着ベルト3を介して定着ローラー2を加圧する。第1の定着工程部8における定着圧の設定は、テンションスプリング11により定着ベルト3のテンションを調整することによって行なわれ、第2の定着工程部9における定着圧の設定は加圧スプリング10により行なわれる。尚、加圧スプリング10が定着ローラー2を押圧することにより加圧ローラー4が定着ベルト3を介して定着ローラー2に加圧するようにしてもよい。
【0028】図9,10に示した構成の定着装置の作用効果としては以下のことが期待できる。ヒーター5が低容量化した加熱ローラー1を介して定着ベルト3を加熱するので、瞬時の立ち上がりが可能である。また、定着工程域が第1の定着工程部8と第2の定着工程部9とからなっていて定着ニップ部が十分に長いこと、定着ベルト3の自己冷却作用(定着工程部8,9の未定着画像面側に加熱源が無いため定着工程域内で定着ベルト3の表面が冷える現象)とにより、定着良好な温度領域が得られ、オフセット余裕度が増す。さらに、転写紙13の侵入側である第1の定着工程部8における定着圧を十分に低く設定することにより、転写紙13がスムーズに定着ベルト3と加圧ローラー4とのニップ部に入り込むので転写紙13のシワの発生率を低減できる。
【0029】図9,10に示した構成の定着装置では、上述したように定着良好な温度領域が得られてオフセット余裕度が増すが、この点について図11のモデルを用いて説明する。このモデルは、定着ローラー21の内部にヒーターを持ち、定着ローラー21がアルミニウムからなる芯金21a上にシリコンゴム層21bを設けた熱ローラー定着装置のモデルである。図11は、このモデルにおいて、定着ローラー21と加圧ローラー24との定着ニップ部に転写紙23が侵入して定着ローラー21に転写紙23上の未定着トナー22が接触したときの時間の経過(転写紙が定着ニップ部を搬送されるニップ時間の経過)とともに変化する各層内非定常温度分布状態を表している。
【0030】定着ローラー21には内部のヒーターから常に一定の熱量が供給されるという仮定のもとにおいて、最初は定着ローラー21が一定の温度T0に保たれている。各層内温度分布は、転写紙23が定着ニップ部に進入した直後にはt1の温度分布をなし、時間が経過するにつれてt2、t3のように変化していく。この時、シリコンゴム層21bと転写紙23上の未定着トナー22との境界面は一定の温度T1(トナー22の上面温度に相当する)を維持している。
【0031】また、時間の経過と共にトナー22の内部に熱が伝わり、トナー22と転写紙23との境界温度Tf(トナー22の下面温度に相当する)は上昇する。ニップ時間が十分に長いと、その後は各層内温度分布がt4のような経過をたどり、シリコンゴム層21bと転写紙23上の未定着トナー22との境界の温度T1は上昇していく。もちろんTfも上昇していく。
【0032】一方、本発明に係る図9,10に示した構成のベルト定着装置では、定着ベルト3の自己冷却作用(定着ベルト3と加圧ローラー4との定着ニップ部内における未定着画像面側に加熱源がないために定着ベルト3の表面が転写紙13に熱を奪われて時間と共にその温度が低下する現象)を有しているので、内部に熱源を有する従来の熱ローラー定着方式に比べると先ほどのTfは時間と共に上昇するが、T1に関しては温度上昇が小さい。すなわちT1に関しても時間が十分に長ければ同様に上昇するが、従来の熱ローラー定着方式のような急激な温度上昇は起こりにくい。
【0033】また、図11の定着ローラー21の温度T0のうち、ホットオフセット発生時の温度をT01とし、定着可能な下限温度をT02とする。一方、ホットオフセット現象は定着ローラー21とこれに接触するトナー22との界面において、界面接着力がトナー22の溶融時の粘弾性変化に伴う凝集力を上回ったときに起こり、すなわち、界面温度T1の大きさが影響する。
【0034】また一方では、定着は、転写紙23とこれに接触するトナー22との界面において、その界面接着力がトナー22の溶融時の粘弾性変化に伴う凝集力を上回ったときに起こり、すなわち、界面温度Tfの大きさが影響する。この時、先ほど述べた定着良好な定着温度領域として、定着ローラー21の温度T0がT01のときのT1から、T0がT02のときのTfまでが定義付けられる。
【0035】ここで、図12は本発明に係るベルト定着方式(図9)の定着可能温度領域の幅を示すモデル図であり、図13は従来の内部に熱源を有する熱ローラー定着方式(図11)の定着可能温度領域の幅を示すモデル図である。図12、図13において、ホットオフセットラインはホットオフセット発生温度(ホットオフセットが発生する下限温度)を示すラインであり、定着下限ラインは定着可能な下限温度を示すラインである。ここで、トナーが溶融してトナーの粘弾性が低下してトナーが定着される又はホットオフセットが発生する条件は、トナーが軟化点温度以上にある時間(ニップ時間)も影響することが考えられ、ニップ時間が大きくなると定着下限温度がT02からそれより低いT02’に下がり、ホットオフセットが発生する下限温度もT01’に下がるが、熱ローラー定着方式ではベルト定着方式に比べると、より大きく低下する。しかし、その影響の度合い、すなわちトナーの粘弾性による凝集力の低下を測定等により求めることは困難である。本発明のベルト定着装置では、予め加熱ローラーから定着ベルトに供給された熱容量で定着工程で定着が行われる。従って、ホットオフセットラインはニップ時間が長くてもそれほど下がらない。すなわちホットオフセットラインの温度変化がニップ時間にそれ程左右されず、影響が少ないという特徴があり、熱ローラー定着方式に比べて定着可能温度領域の幅が広くなるという効果がある。しかし、実際に本発明に係るベルト定着方式の効果がどの程度有るかは実験により確認しなければならない。
【0036】図14はその実験結果の一例を示す図である。図14に示す定着可能領域を表す温度分布は図12、図13に示す定着可能領域を示す温度分布のモデルと良い相関を示している。このことから、ホットオフセットは転写紙上のトナーと定着ローラー21または定着ベルト3との定着界面温度が影響し、また、定着下限温度は転写紙上のトナーと加圧ローラー24、4との定着界面温度が影響すると考えられる。
【0037】本発明に係るベルト定着装置と従来の熱ローラー定着装置とを比較すると、定着下限温度についてはニップ時間の増加と共に同様な大きさで低下していく。その一方、ホットオフセット発生温度については本発明に係るベルト定着装置ではニップ時間が増加しても、それほど低下する傾向は見られない。しかし、従来の熱ローラー定着装置では大きく低下し、全体としては定着可能領域を狭めていることが確認された。この結果から、本発明に係るベルト定着装置は従来の熱ローラー定着装置に比べると、ニップ時間の影響が少なく定着可能領域の幅が広いため、定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができ、十分に効果があるということが実証された。
【0038】尚、本発明に係るベルト定着装置に用いる定着ベルト3は言うまでもなく熱容量の小さな構成であり、図15に示すように基体3a上に離型層3bが設けられたものである。この定着ベルト3は、例えば、薄い基体3a(ニッケルあるいはポリイミドからなる基体の場合は厚さが好ましくは30〜150μm位が適当)上に、離型層3bとしてシリコンゴム層(厚さが好ましくは50〜300μm)あるいはフッ素系樹脂層(厚さが好ましくは10〜50μm)を薄く形成し、熱応答性を良好にする。
【0039】定着ベルト3は、加熱ローラー1により加熱部で瞬時に加熱され、定着ニップ部で表面が瞬時に冷却される特性が望まれる。しかし、他方では、定着ベルト3は、定着ニップ部内で、トナーを十分に溶かして定着させるのに必要な熱容量を有するように設計されなくてはならない。従って、定着ベルト3の厚さはこれらの両方の要件を満たす範囲にあるように設定される。
【0040】以上、本発明に係るベルト定着装置の基本的な構成、動作及び作用効果について説明したが、このようなベルト定着装置では、加熱ローラー部の定着ベルト温度を所定の定着ベルト表面設定温度(以下、定着設定温度と記す)で制御すると、前述の課題のところで説明したように、ベルト回転時間と共に定着ニップ出口部温度(定着ニップ出口部の定着ベルト温度)が上昇して安定しないため(図16)、定着品質上の不具合が発生することを指摘した。そこで本発明では、ベルト回転中の定着温度、言い換えれば定着可能な定着ニップ出口部温度を如何に安定的に制御するかという課題を解決して安定した定着画像を提供することが目的である。
【0041】そのための達成手段の一つとして、本発明では図9に示した構成のベルト定着装置において、少なくとも2つの定着設定温度を有し、定着ベルトが回転を開始した後の定着開始時に、その定着設定温度が高い方から低い方の、ホットオフセットや定着不良の発生がない定着可能な所定の温度に切り換えられ、温度検知手段であるサーミスタ及び温度制御手段により制御される構成とするものである。より具体的には、加熱ローラー1により定着ベルト3を加熱する加熱工程域12の定着ベルト3の表面温度を検知するサーミスタ7等の温度検知手段と、該加熱工程域の定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、加熱工程域の少なくとも2つの定着設定温度を有し、画像形成動作の開始信号を受けて定着ベルトが回転開始後の定着開始時に、温度制御手段により、加熱工程域の定着設定温度が、定着可能な高温側設定温度から、定着可能な低温側設定温度に切り換えられて制御される構成とした。
【0042】尚、定着可能な高温側設定温度は、ウォームアップ直後の状態ではホットオフセットが発生するような十分高温側に温度設定されていても問題ない。何故なら、ウォームアップ直後のベルト回転によって、定着ベルト温度は自己冷却作用によりホットオフセットが発生しない定着可能な温度まで直ぐに下がるためである。しかし、連続通紙直後、直ぐに次のプリント開始作業がなされるような場合は、定着ローラーや加圧ローラーの温度も上昇しているため、定着ベルトの回転によってそれほど定着ベルト温度が下がらないため、十分高温側に温度設定されているとホットオフセットが発生してしまう場合も考えられる。従って、高温側設定温度はホットオフセットの発生のない定着可能な範囲にあることが必要である。以下、本発明の実施例を説明する。
【0043】
【実施例】
(実施例1)まず、請求項1に関する実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示す図であって、ベルト定着装置とその制御系の概略構成を示すブロック図である。定着装置の基本構成は図9と同様であり、定着ローラー2と、加熱ローラー1と、定着ローラー2と加熱ローラー1間に張架された無端状の定着ベルト3と、定着ベルト3を介して定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラー4と、加熱ローラー1の内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーター5とを備え、加熱ローラー1に定着ベルト3が接触し、加熱ローラー1により定着ベルト3を加熱する加熱工程域(図10の符号12で示す領域)と、加圧ローラー4が定着ローラー2を加圧することなく定着ベルト3に接触する第1の定着工程部8と加圧ローラー4が定着ベルト3を介して定着ローラー2を加圧する第2の定着工程部9とからなる定着工程域を有している。
【0044】さらに本実施例の定着装置では、加熱工程域の定着ベルト3の表面温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ7と、ヒーター5への通電制御回路33を制御して加熱工程域の定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御部34を備え、且つ加熱工程域の定着ベルト表面設定温度を少なくとも2つの定着設定温度に切り換える温度設定切り換え部35を有している。そして、図示しない画像形成装置本体の制御部からのプリンタ開始信号36を受けると、駆動制御部32により定着ローラー2回転用のモーター31が回転され、定着ベルト3の回転が開始される。尚、定着ベルト3は待機時及び回転開始時には温度制御部34によりホットオフセットの発生しない定着可能な高温側設定温度に制御されている。そして、定着ベルト3の回転開始後に例えば制御部から定着開始信号37が送信されると、温度設定切り換え部35から定着設定温度の切り換え信号が温度制御部34に送られ、温度制御部34により、加熱工程域の定着ベルト表面設定温度が、ホットオフセットの発生しない定着可能な高温側設定温度から、定着可能な低温側設定温度に切り換えられて制御される。以下、その作用効果について具体的に説明する。
【0045】図2は本発明に係る定着装置により実際にプリント(定着)動作を行なった場合の実験結果を示す図である。本実施例では定着ベルト3が停止している所謂待機状態にある時は、定着ベルト回転後のプリント1枚目がホットオフセットの発生しない定着可能な温度として、例えば150℃で加熱ローラー1部分(加熱工程域)の定着ベルト温度(ここでは図9と同様にサーミスタ7で検知される加熱ローラー部中部(加熱工程域の略中間部で加熱ローラー軸方向の中央部)の定着ベルト温度)が制御されている。係る状態では、プリント開始信号36を受けて駆動制御32によりモーター31が回転され定着ベルト3が回転すると、定着ベルト3は定着ローラー2及び加圧ローラー4によって熱を奪われるため、加熱ローラー部中部の定着ベルト温度は約130℃まで低下する。一方、定着ニップ出口部温度(定着ニップ出口部の定着ベルト温度)は100℃位まで上昇し定着可能な状態になる。係る状態で連続プリントを開始した場合、加熱ローラー部中部の定着ベルト温度は、温度制御部34により上記の高温側設定温度150℃から、定着可能な低温側設定温度、例えば140℃に切り換えられて制御されるので、連続プリント中も定着ニップ出口部温度の上昇率は、図16に示したような定着設定温度が一つのみ(約150℃)の場合に比べて小さく、より安定して制御されることが確認され、それに伴い定着性、光沢性、オフセットといった定着品質上の問題もなく安定した画像を出力できることが判った。
【0046】尚、本実施例では温度設定切り換え部35により切り換えられる設定温度として少なくとも2つの温度によってその目的が達成されるが、連続するプリント枚数が多いときは温度設定切り換え部35による切り換え用の設定温度を更に増やして温度が安定するように細かく制御することも可能である。また、定着ベルト回転直後、定着可能な所定の定着ニップ出口部温度が得られるような温度にするには、加熱ローラー1部分の定着ベルト3の温度が、定着ベルト3の回転直前には、ホットオフセットの発生のない定着可能な範囲で十分に高く設定されていなければならない。そうでないと、定着ベルト3の回転直後、定着可能な所定の定着ニップ出口部温度が得られるまで、プレ回転時間を長くとることが必要となってくるからである。
【0047】さて、図1に示す構成の定着装置を備えた画像形成装置においては、図示しない本体制御からのプリント開始信号36を受けて画像形成のための一連の動作がスタートする。すなわち、感光体(図示せず)上においては画像形成工程が開始され、本発明に係る定着装置の定着工程においては定着ベルト3が回転を開始後、定着開始にあたってプリント1枚目が定着可能になるように、設定温度が高い方から連続プリント時においても定着可能な低い方へ切り換えられる。さらには転写紙搬送工程においては、感光体上に形成された画像の先端が転写部において転写紙先端の所定の位置に合致するように給紙がスタートする。また、定着ベルト3が回転開始後、定着温度設定の切り換えを行なうタイミングとしては、プリント開始信号36を受けて定着ベルト3が回転を開始した時、あるいはその後の給紙開始信号を受けた時、あるいは上述のようにプリント開始信号36を受けて定着ベルト3が回転を開始してから一定時間経過後、定着開始信号37を受けた時等に切り換えることができる。
【0048】(実施例2)次に請求項2に関する実施例を説明する。本実施例では、図1の定着装置において、加熱ローラー1部の定着ベルト表面の低温側設定温度と定着開始時の定着ニップ出口部温度との差が20℃以下になるように加熱工程域の定着ベルト表面温度が設定されている。このように設定することにより、実施例1(請求項1)の効果に加えて、加熱工程域における低温側の設定温度を定着開始時の定着温度(ここでは、定着ニップ出口部温度を意味する)に近づけることで連続プリント時における定着温度の上昇はより少なくなる。図3に実際にプリント(定着)動作を行なった場合の実験結果を示す。図3の結果を見ると明らかなように、加熱ローラー部中部の定着ベルト表面の低温側設定温度(約130℃)と定着開始時の定着ニップ出口部温度(ニップ出口部の定着ベルト温度)(約110℃)との差を20℃以下に設定すれば、定着ニップ出口部の定着ベルト温度上昇は10℃以下となる。尚、定着ニップ出口部温度(約110℃)は、この装置の定着設定温度に対してのベルト回転後の定着開始時の定着ニップ出口部温度を予め実験により求めておいたものである。
【0049】ここで、図4に画像光沢度と定着ニップ出口部の定着ベルト温度の関係を測定した実験結果を示すが、定着ニップ出口部の定着ベルト温度上昇を10℃以下の範囲にすれば、すなわち図4に示すように、定着可能なレベルの定着設定温度に対しての温度変化の幅が10℃以下であれば光沢度差は10%以下に抑えることができる。その場合は視覚的に目立たず支障のないレベルである。従って、連続プリント時のカラー画像の光沢度の安定化を図ることができる。
【0050】(実施例3)次に請求項3に関する実施例を説明する。図5は本発明に係るベルト定着装置において、定着ベルト3の回転後、加熱工程において定着ベルト3が所定の温度に回復した時点でのプリント動作を行った場合の定着ベルト周方向の温度分布を測定した結果を示す図であり、(a)は定着ベルト周方向の温度分布測定個所■〜■を示し、(b)が測定結果である。定着ニップ部(第1、第2の定着工程部8,9)では自己冷却作用により定着ベルト3の温度は大きく低下するが、定着ニップ部以外では大気中への放熱による温度低下は少なく、定着ベルト3の温度低下は殆ど見られない。実験結果では、定着設定温度150℃に対して、定着ベルト3の温度測定場所が■(加熱ローラー部中部)で約150℃、■〜■で2℃前後低下して約148℃、■から■の定着ニップ部通過の間で約20℃前後低下して約125℃、■(定着ニップ出口部)〜■(加熱ローラー部上部)の間で5℃前後低下して約120℃となる。この時、■(定着ニップ出口部)の温度が125℃前後、■(加熱ローラー部上部)の温度が120℃前後で、■と■の間では定着ベルト3の温度差は5℃以下であり、定着ニップ出口部と加熱ローラー部上部の温度差は小さいと言える。尚、上記の加熱ローラー部上部とは、定着ベルト3の回転方向Aに対して加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部位内の範囲(加熱工程域)においての上流側を意味する)の定着ベルト3が加熱ローラー1に接触を開始する位置のことである。
【0051】ここで、定着温度を安定的に制御するためには、前述の課題のところで述べたように定着ニップ出口部温度を安定制御することが最善の方策である。従って本発明のベルト定着装置においては、サーミスタ7を定着ニップ出口部により近い側に設けた方が好ましいことは言うまでもない。一例として図6に示すように、サーミスタ7を、定着ベルト3の回転方向Aに対して加熱ローラー1上流側の定着ベルト3が最初に加熱ローラー1に接触する位置(加熱ローラー部上部)に設けた時の実施例を基に説明する。ここでは加熱ローラー部の最上部にサーミスタ7を設けている。このとき、そのサーミスタ7を配置した加熱ローラー部上部(図5(a)のの位置)においては定着ニップ出口部(図5(a)の■の位置)と定着ベルト温度が殆ど同じであるため(図5(b)参照)、定着ニップ出口部温度を直接検知して制御することとほぼ同じになる。従ってこの場合の効果として、請求項1,2に比べると定着ニップ出口部温度をより安定的に維持することができる。
【0052】図7は、図6に示すように加熱ローラー部上部の加熱ローラー軸心方向の中央部にサーミスタ7を設けてこの位置で定着ベルト温度を検知し、連続プリントを行なった時の温度制御状態を表したものである。本実施例では、定着ベルト3の回転前(待機時)は加熱ローラー部上部の定着ベルト温度は150℃になっているが、回転開始後の定着開始時には、加熱ローラー部上部の定着ベルト温度は約125℃近くまで低下し、定着ニップ出口部温度に近い温度となる。そこで、回転開始後の定着開始時に定着設定温度を、定着ニップ出口部の定着ベルト温度とほぼ同じ定着可能な温度として120℃に切り換えた結果、定着ニップ出口部温度が制度良く、安定して制御されていることが判った。従って、本実施例によればプリント中の定着温度(定着ニップ出口部温度)が安定的に制御されるようになり、定着品質(定着性、オフセット等)のより安定化を図ることができ、特に、カラー画像形成時の連続プリント時の光沢度のより安定化を図ることができる。
【0053】(実施例4)次に請求項4に関する実施例を説明する。請求項4のベルト定着装置では、図9に示す構成のベルト定着装置において、加熱工程域12の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段であるサーミスタ7の検知信号により、定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、サーミスタ7を、定着ベルトの回転方向に対して加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の定着ベルト3が最初に該加熱ローラー1に接触する位置もしくはその近傍に設けた構成としたものである。すなわち本実施例では、請求項1〜3と同様に、定着ベルト3の回転後、定着開始に当たって所望の定着ニップ出口部温度(定着ニップ出口部の定着ベルト温度)が得られるような定着設定温度に制御するように、温度検知手段であるサーミスタ7を、加熱ローラー1部分の当該位置である、定着ベルトの回転方向に対して加熱ローラー上流側の定着ベルト3が最初に加熱ローラー1に接触する位置もしくはその近傍(図6と同様の位置であり、加熱ローラー部上部の加熱ローラー軸心方向の中央部)に設ける。この場合、請求項1〜3の実施例の構成と異なるのは、図1に示す制御系の温度切り換え部35を持たない構成としたことであり、その他の構成は図1と同様である。
【0054】図8は、請求項4の構成で連続プリントを行なった時の温度制御状態を表したものである。本実施例では、定着設定温度を130℃としたとき、加熱ローラー部上部のサーミスタ7で検知した定着ベルト温度は、定着ベルト回転直前には130℃であり、定着ベルト3の回転直後には自己冷却作用により110℃前後に下がるが、その後徐々に上昇してほぼ130℃となる。また、定着可能な定着ニップ出口部温度(定着ニップ出口部の定着ベルト温度)は、定着ベルト3の回転直後には約80℃であるが、定着ベルト3の回転により定着開始時には100℃を超え、その後、定着ニップ出口部温度はプリント時間の経過と共に上昇し、定着設定温度の130℃に徐々に近づいていく。このように請求項4の定着装置では、請求項1〜3のような定着温度設定の切り換え手段を設けなくても、定着ニップ出口部温度の安定的な温度制御を行なうことができる。従って、請求項1〜3よりも簡易な構成で、プリント中の定着温度(定着ニップ出口部温度)が安定的に制御されるようになり、定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができ、特に、カラー画像形成時の連続プリント時の定着性の安定化及びホットオフセット防止を図ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該加熱工程域の前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記加熱工程域の少なくとも2つの定着ベルト表面設定温度を有し、画像形成動作の開始信号を受けて定着ベルトが回転開始後の定着開始時に、前記温度制御手段により、前記加熱工程域の定着ベルト表面設定温度が、定着可能な高温側設定温度から、定着可能な低温側設定温度に切り換えられて制御される構成としたので、プリント中の定着温度(定着ニップ部出口部温度)が安定的に制御されるようになり、定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができ、特に、カラー画像形成時の連続プリント時の定着性の安定化及びホットオフセット防止を図ることができる。
【0056】請求項2に係る発明によれば、請求項1記載の定着装置において、加熱工程域の定着ベルト表面の低温側設定温度と、定着工程域の定着開始時の定着ニップ出口部温度との差が20℃以下になるように、加熱工程域の定着ベルト表面温度が設定されている構成としたので、請求項1の効果に加えて、加熱工程域における低温側の設定温度を定着開始時の定着温度(定着ニップ部出口温度)に近付けることで連続プリント時、定着温度の上昇を光沢度差の許容される必要最小限の範囲に留めることができ、連続プリント時のカラー画像の光沢度の安定化を図ることができる。
【0057】請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の定着装置において、温度検知手段を、定着ベルトの回転方向に対して加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けた構成としたので、請求項1または2の効果に加えて、温度検知手段が加熱ローラー部上流側の、定着ニップ出口部に最も近い位置に設けられることになり、当該位置での定着ベルト温度は定着ニップ出口部温度に近く、係る位置に温度検知手段であるサーミスタを設けることにより定着温度の安定的な制御が制度良く行なえるようになる。従って、定着品質(定着性、オフセット等)のより安定化を図ることができ、特に、連続プリント時のカラー画像の光沢度のより安定化を図ることができる。
【0058】請求項4に係る発明によれば、定着ローラーと、加熱ローラーと、前記定着ローラーと加熱ローラー間に張架された無端状の定着ベルトと、該定着ベルトを介して前記定着ローラーに対向して設けられた加圧ローラーと、該加圧ローラーと前記加熱ローラーのうち少なくとも加熱ローラーの内部に設けられた定着ベルト加熱用ヒーターとを備え、前記加熱ローラーにより前記定着ベルトを加熱する加熱工程域と、前記加圧ローラーが前記定着ローラーを加圧することなく前記定着ベルトに接触する第1の定着工程部と該加圧ローラーが定着ベルトを介して前記定着ローラーを加圧する第2の定着工程部とからなる定着工程域を有するベルト定着装置において、前記加熱工程域の定着ベルト表面温度を検知する温度検知手段と、該温度検知手段の検知信号により、前記定着ベルト表面温度を所定の温度に制御する温度制御手段を備え、前記温度検知手段を、定着ベルトの回転方向に対して加熱ローラー部上流側(加熱ローラー部上流側とは加熱ローラー部位内の範囲においての上流側を意味する)の前記定着ベルトが最初に該加熱ローラーに接触する位置もしくはその近傍に設けた構成としたので、温度検知手段が加熱ローラー部上流側の、定着ニップ出口部に最も近い位置に設けられることになり、当該位置での定着ベルト温度は定着ニップ出口部温度に近く、係る位置に温度検知手段であるサーミスタを設けることにより定着温度の安定的な制御が制度良く行なえるようになる。また、請求項1〜3のような定着温度設定の切り換え手段を設けることなく安定的な温度制御が行なえるようになったので、より簡易な構成で、定着品質(定着性、オフセット等)の安定化を図ることができる。




 

 


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