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発明の名称 画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−65322
公開日 平成11年(1999)3月5日
出願番号 特願平9−229981
出願日 平成9年(1997)8月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
発明者 依田 寧雄 / 廣島 康一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 像を担持する像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を転写材へ転写する転写手段と、該転写手段に転写バイアスを印加する転写バイアス電源とを備えた画像形成装置において、前記転写バイアス電源から前記転写手段への転写バイアス印加を制御する制御手段を有し、前記転写手段は、前記像担持体に当接して前記トナー画像を1次転写する中間転写体と、該中間転写体に対して当接離間自在に配置され、前記中間転写体に1次転写された前記トナー画像を前記転写材へ2次転写する転写ベルトとを備え、前記転写ベルトは、2次転写時に前記中間転写体上の画像領域外の非画像領域にも当接され、前記制御手段は、前記非画像領域に前記転写バイアス電源から前記画像領域に印加される前記転写バイアスの極性と逆極性の転写バイアスを印加するよう制御を行い、さらに、前記中間転写体の周長をLi(mm)、前記転写ベルトの周長をLb(mm)、前記非画像領域における前記逆極性の転写バイアス印加時間をTr(msec)、前記像担持体のプロセススピードをVp(mm/sec)としたときに、Vp・Tr>(Li−n・Lb)
(ただし、nはLb≧(Li−n・Lb)>0を満たす整数)の関係を満足するように、これらの値を設定する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記転写バイアスの電流をIt(μA)、前記転写バイアスの印加時間をTt(msec)、前記逆極性の転写バイアスの電流をIr(μA)、前記逆極性の転写バイアスの印加時間をTr(msec)としたときに、|It・Tt|≦|Ir・Tr|の関係を満足するように、これらの値を設定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】 前記転写ベルトは多層構成に成形され、少なくとも熱硬化性ウレタンエラストマーよりなる基層と、該基層表面上にフッ素変性樹脂よりなる表層を備えている、請求項l記載の画像形成装置。
【請求項4】 前記中間転写体は中間転写ドラムである、請求項l記載の画像形成装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真方式を利用して画像形成を行う複写機、プリンタ、ファックス等の転写部に使用される画像形成装置関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、レーザプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の転写部に使用される転写ベルトは、転写材の搬送、転写材へのトナー像の転写及び転写後の転写材の分離・搬送を実現するためのものである。
【0003】このように使用される転写ベルトは、電気的には良好な転写性を得るため、実使用抵抗で108 〜1012Ωという中抵抗領域に制御する必要性がある。また、転写材である紙の吸着、搬送性を得るために適当な静電容量が表層にあることが必要である。更に、汚れが付着しても清浄化しやすいように、離型性がある材料が選択されている。
【0004】このため、従来の画像形成装置で使用されている転写ベルトは、上記の機能を満足するために、多層構成、主に2層構成となっている。
【0005】また、機械的には、転写ベルトは張力印加の下に回転駆動されるために、屈曲特性、引裂強度特性等に優れてなければならない。従って、長寿命化を達成するためには樹脂ベルトタイプよりは、ゴム、エラストマータイプのベルトが主に使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の転写ベルトでは、以下のような問題点があった。
【0007】即ち、大口径の回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)、中間転写ドラムなどから転写材を分離させるには、紙の腰を利用した曲率分離手段を用いると静電吸着力で上記ドラム側に吸着してしまうので、転写ベルト等の吸着分離手段を用いる必要がある。よって、転写ベルトの静電吸着力を上記ドラムよりも大きくする必要がある。
【0008】具体的手段としては、ベルトを多層構成、少なくとも2層構成とし、表層側の抵抗を高く、かつ薄層に構成し、基層側の抵抗を低く抑えることによってベルト自体の静電容量大きくすることで実現できる。
【0009】しかしながら、複写機、プリンタなどの通常使用環境では、高温高湿環境(30℃、80%RH、以下H/H環境)から低温低湿環境(15℃、10%RH、以下L/L環境)まであるため、転写材の抵抗が大きく変化する。
【0010】H/H環境で良好な吸着性を得るためには、本発明者らの検討では表層抵抗が1012Ω以上、基層抵抗108 Ωcm以下の抵抗関係が実現される必要があることが分かった。
【0011】しかしながら、これらの抵抗関係では、L/L環境下で高抵抗化した転写材を転写、通紙すると、転写印加バイアスとは逆極性の電荷がベルト表面に蓄積してチャージアップしてしまい、所望の静電吸着力が得られなくなる。
【0012】従って、従来、転写ベルトに接触する除電手段(除電ローラ、除電ブラシ)によってベルト上を除電するようにしているが、転写ベルトにトナー等が付着した場合、前記の除電手段もトナー汚れが生じて、除電効果の劣化や転写材裏汚れの原因にもなる。このような不具合を回避するために、前記除電手段前に機械的に転写ベルトをクリーニングする手段を備えた画像形成装置があるが、クリーニングしたトナーを回収する廃トナーボックスが必要になるなど、転写ベルト構成が複雑化してしまう、という問題点があった。
【0013】そこで、本発明は、除電手段やクリーニング手段を用いることなくベルト表面を容易に除電することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、像を担持する像担持体と、該像担持体を帯電する帯電手段と、前記像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を転写材へ転写する転写手段と、該転写手段に転写バイアスを印加する転写バイアス電源とを備えた画像形成装置において、前記転写バイアス電源から前記転写手段への転写バイアス印加を制御する制御手段を有し、前記転写手段は、前記像担持体に当接して前記トナー画像を1次転写する中間転写体と、該中間転写体に対して当接離間自在に配置され、前記中間転写体に1次転写された前記トナー画像を前記転写材へ2次転写する転写ベルトとを備え、前記転写ベルトは、2次転写時に前記中間転写体上の画像領域外の非画像領域にも当接され、前記制御手段は、前記非画像領域に前記転写バイアス電源から前記画像領域に印加される前記転写バイアスの極性と逆極性の転写バイアスを印加するよう制御を行い、さらに、前記中間転写体の周長をLi(mm)、前記転写ベルトの周長をLb(mm)、前記非画像領域における前記逆極性の転写バイアス印加時間をTr(msec)、前記像担持体のプロセススピードをVp(mm/sec)としたときに、Vp・Tr>(Li−n・Lb)
(ただし、nはLb≧(Li−n・Lb)>0を満たす整数)の関係を満足するように、これらの値を設定することを特徴としている。
【0015】また、前記転写バイアスの電流をIt(μA)、前記転写バイアスの印加時間をTt(msec)、前記逆極性の転写バイアスの電流をIr(μA)、前記逆極性の転写バイアスの印加時間をTr(msec)としたときに、|It・Tt|≦|Ir・Tr|の関係を満足するように、これらの値を設定することを特徴としている。
【0016】また、前記転写ベルトは多層構成に成形され、少なくとも熱硬化性ウレタンエラストマーよりなる基層と、該基層表面上にフッ素変性樹脂よりなる表層を備えていることを特徴としている。
【0017】また、前記中間転写体は中間転写ドラムであることを特徴としている。
【0018】(作用)本発明の構成によれば、低温低湿環境下で優れた転写材吸着力が維持され、分離不良、チャージアップ起因の画像劣化を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】(第1の実施の形態)図1は、本実施の形態に係る画像形成装置(本実施の形態では、フルカラーモードのレーザービームプリンタ)を示す概略構成図である。
【0021】この画像形成装置は、像担持体である感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、定着装置6などを備えている。
【0022】感光ドラム1は、矢印a方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動し、その回転過程で帯電ローラ2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、画像露光装置(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系等)3による画像露光Lを受けることにより、目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0023】前記静電潜像は、現像装置4の第1現像器(イエロー現像器)4aにより第1色であるイエロートナーにより現像される。現像装置4は第1現像器(イエロー現像器)4a、第2現像器(マゼンタ現像器)4b、第3現像器(シアン現像器)4c、第4現像器(ブラック現像器)4dを備えており、現像装置4は不図示の回転駆動装置によって矢印b方向に回転し、第1〜4現像器4a、4b、4c、4dが、現像過程で感光ドラム1と対向するように配設されている。
【0024】転写装置5は、1次転写を行う中間転写ドラム7と2次転写を行う転写ベルト8とを有しており、中間転写ドラム7は、矢印c方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0025】感光ドラム1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像は、感光ドラム1と中間転写ドラム7とのニップ部を通過する過程で、1次転写バイアス電源9より中間転写ドラム7に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力により、中間転写ドラム7の外周面に中間転写されていく。この行程を1次転写という。
【0026】以下、同様にして第2現像器(マゼンタ現像器)4b、第3現像器(シアン現像器)4c、第4現像器(ブラック現像器)4dにより感光ドラム1上に形成担持された第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ドラム7上に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0027】感光ドラム1から中間転写ドラム7への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアス電源9から印加される1次転写バイアスは、トナーと逆極性(正)である。なお、感光ドラム1から中間転写ドラム7への第1〜第4色のトナー画像の順次転写工程において、転写ベルト6及び中間転写体クリーニングローラ12は中間転写ドラム7から離間している。
【0028】転写ベルト8は、中間転写ドラム7に対して平行に軸受させて下面部に当接・離間自在に設置されている。転写ベルト8は、転写ローラ10aと駆動ローラ10bに巻回して張設されており、矢印d方向に回転する。転写ローラ10aには、2次転写バイアス電源11より所望の2次転写バイアスが印加され、駆動ローラ10bも等電位にしている。
【0029】そして、転写ベルト8が中間転写ドラム7に当接され、給紙カセット(不図示)からレジストローラ13a,13b、転写前ガイド14を通過して中間転写ドラム7と転写ベルト8間の転写ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。この際、2次転写バイアス電源11より2次転写バイアスが転写ローラ10aに印加され、中間転写ドラム7から転写材P上に合成カラートナー画像が転写される。この行程を2次転写という。
【0030】2次転写バイアス電源11には制御装置(CPU)16が接続されている。制御装置(CPU)16は、2次転写時に中間転写ドラム7上の非画像領域にも転写ベルト8が当接するように制御し、かつこの非画像領域において、転写バイアスと逆極性の転写バイアス(転写逆バイアス)を2次転写バイアス電源11から転写ベルト8に印加するように制御する(詳細は後述する)。
【0031】そして、合成カラートナー画像が転写された転写材Pは定着器6に搬送され、定着器6で合成カラートナー画像が加熱溶着された転写材Pが出力される。
【0032】また、中間転写ドラム7上に2次転写されずに残った転写残トナーは、電源15から直流電圧に交流電圧が重畳されたバイアスが印加された中間転写体クリーニングローラ12によって本来とは逆極性の正極性に転換されて感光体ドラム1に静電的に吸着し、中間転写体5上は清浄化される。感光体ドラム1上に吸着したトナーはその後、感光体ドラム1のクリーナ17に回収される。
【0033】次に、上記した中間転写ドラム7の構成について詳細に説明する。
【0034】中間転写ドラム7は、例えば円筒状の導電性支持体上に少なくともゴム、エラストマー、樹脂よりなる弾性層を有するローラ形状、更にはその弾性層の上層に一層以上の表層を有するローラ形状のものである。
【0035】図2は、中間転写ドラム7の概略断面図であり、7aは剛体である円筒状導電性支持体、7bは弾性層、7cは表層である。
【0036】導電性支持体7aとして、本実施の形態では厚さ3mmの円筒状のアルミニウムを用いている。
【0037】弾性層7bの厚みは、転写ニップの形成、回転による色ずれ、材料コスト等を考慮して0.5〜7mm程度が望ましい。また、表層7cの膜厚は、下層の弾性層7bの柔軟性を、更にその上層あるいは感光体ドラム表面に伝えるために薄層にすることが好ましく、具体的には5〜30μm程度が望ましい。
【0038】本実施の形態で用いた中間転写ドラム7は、弾性層7bの厚み5mm、表層7cの膜厚15μm、トータル外径はl86mmφである。
【0039】弾性層7bは体積抵抗率のみを重視し、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)にエピクロルヒドリンゴムを混合し、105 〜106 Ω・cmに制御している。
【0040】中間転写ドラム7の抵抗値は、図3に示す測定装置で測定した。この測定装置20は、中間転写ドラム7表面に当接するアルミシリンダ21、高圧電源22、標準抵抗23を備えている。
【0041】中間転写ドラム7の抵抗値測定時には、回転駆動体(不図示)によってアルミシリンダ21を回転させ、当接する中間転写ドラム7を従動回転させる。このときの当接圧は、実際の画像形成時の使用状態と同様に総圧lKgf程度とする。そして、中間転写ドラム7の導電性支持体7aに、高圧電源22より一定の直流電圧Vdcを印加することにより、中間転写ドラム7の弾性層7bに流れる電流はアルミシリンダ21に流入し、標準抵抗(1KΩ)23を介して接地される。
【0042】標準抵抗23の両端の電圧をVr(V)とすると、中間転写ドラム7の抵抗値Rcは次式によって与えられる。
【0043】Rc(Ω)=106 /Vr(V)
表層7cにはウレタン樹脂をバインダーに、抵抗制御の導電材としてほう酸アルミニウムウィスカー、離型性向上を目的としてPTFEパウダーを分散したものを用いた。この表層7cの抵抗率を測定したところ、1010Ω/□であった。
【0044】表層7cの抵抗率の測定は、弾性層7b上に表層7cを塗布したものを100×100mm、厚さを適宜のシート状に切り出し、Advantest社製のR8340A及びRl2704を用い、印加電圧:lKV、discharge:5sec、charge:30sec及びmeasure:30secの条件で測定した。また、弾性層7b、表層7cを含む体積抵抗は2×l07 Ωcm(300V印加時)であった。
【0045】次に、上記した転写ベルト8の構成について詳細に説明する。
【0046】図4は、転写ベルト8の概略断面図であり、基層8aとその上の薄層化した表層8bの2層構成で成形し、転写電圧が高くなりすぎないように、転写ベルト8の全体としての抵抗を低くして、表層8bと基層8aとの抵抗比率を大きくしている。
【0047】更に、屈曲特性、引っ張り強度特性などの機械的特性を満足するために、基層8aをエラストマーで構成している。基層8aの材料に用いた熱硬化性ウレタンエラストマーはエーテル系であり、一般的にエステル系のウレタンゴムよりは加水分解し難いが、遠心成形により表面粗さが低くなるため、タック性がある。使用状態では、タック性のある面を内側にし、駆動ローラ10bとの摺動面に持ってくることで駆動のロスを少なくしている。また,表層8b側にフッ素樹脂を持ってきているので、使用上タック性の問題は無い。
【0048】その結果、転写ローラ10a、駆動ローラ10bで8%伸張懸架された状態で、蛇行、寄り等の問題は生じず長期の使用にも十分に対応できる。
【0049】次に、本実施の形態で使用した転写ベルト8の材質及び電気的特性について説明する。
【0050】まず、内径65mmφの遠心成形型を用い、表層8b側に溶剤可溶タイプのフッ素変性樹脂を厚さ30μmにキャスト成形し、次いで熱硬化性ウレタンエラストマー(例えば、商品名:ENDURE(INOAC Co.))を内側に成形する。その体積抵抗率をカーボン分散で107 Ωcmに制御し、ベルト層厚を0.3mmとした。また、ベルト全体の抵抗を1010Ωに調整した。
【0051】表層8bの成形は、型の回転速度を3000rpmとし、硬化温度:150℃、硬化時間:3時間とした。基層8aの成型は、表層8bの硬化後注型し、型の回転速度3000rpm、硬化温度:150℃、硬化時間:1時間とした。
【0052】転写ベルト8の抵抗値は、転写ベルト8を100×100mmのシート状に切り出し、Advantest社製のR8340A及びRl2704を用い、印加電圧:100V、discharge:5sec、charge:30sec及びmeasure:30secの条件で測定した。
【0053】次に、転写ベルト8の紙などの転写材Pの分離性に影響を及ぼすベルト特性に関して述べる。
【0054】プロセススピードが速く、中間転写ドラム7の外径が大きい場合、従来の転写ベルトのみでは紙の分離は不可能である。これは、紙の分離を、紙のこしに頼った、重力による曲率分離に依存しているためで、その物理的力は紙の中間転写ドラム7への静電吸着力よりもかなり小さい。また、大口径の中間転写ドラム7からの紙分離は、紙の抵抗によって大きく左右される事が分かっている。
【0055】高温高湿環境(H/H:30℃、80%Rh)で、紙(転写材P)が吸湿などして抵抗が低くなった場合は、紙自身が電荷を保持できないため、転写ベルト8の表層8bの抵抗を高くして、電荷を表層8bで保持してやらなければ分離性が確保できない。
【0056】従って、転写ベルト8の表層8bの抵抗を高くし、基層8aの抵抗を低くすることによって、転写ベルト8の静電容量を大きくする構成とすれば、静電吸着力が増して分離できる。
【0057】ところが、低温低湿環境(L/L:15℃、10%Rh)で紙(転写材P)が乾燥している場合は、紙自身が電荷を保持できるため、中間転写ドラム7と転写ベルト8の何れかの静電容量が大きい方に紙は吸着される。従って、H/H環境に比べ紙分離は容易な方向にシフトするが、紙から供給される転写バイアスとは逆極性の電荷が、転写ベルト8の表面に畜積し、転写ベルト8がチャージアップしてしまう。
【0058】その結果、転写ベルト8の表層8bの静電吸着力が減少し、分離性が悪化してしまう。従って、安定した分離性能を得るためには、転写ベルト8のチャージアップを抑える必要がある。
【0059】次に、上記した画像形成装置に用いた転写ベルト8(転写ローラ10a、駆動ローラ10bに張架された状態でのベルト周長=220mm)の、分離性評価のためにL/L環境において通紙試験を行った。
【0060】また、比較のために、内径60mmφの遠心成形型により製造した転写ベルトで、上記同様に転写ローラ10a、駆動ローラ10bで8%伸張懸架された状態でのベルト周長が200mmである場合の分離性評価も行った。
【0061】図5は、モノカラー連続プリント時における上記画像形成装置に用いた転写ベルト8のチャージアップ防止シーケンスと、前記比較例(従来例)のシーケンスを示した図である。なお、図では前記中間転写ドラム7を中間転写体と表記している。このシーケンスはモノカラープリントに限ったもので、中間転写ドラム7が1回転毎に2次転写が行われる。
【0062】図5に示すように、比較例のシーケンスでは、中間転写ドラム(中間転写体)7上のトナー画像のある部分(画像領域)にのみ転写ベルト8を当接させ、転写バイアスを印加して2次転写を行っている。
【0063】一方、本実施の形態のチャージアップ防止シーケンスでは、制御装置(CPU)16の制御により、2次転写時に中間転写ドラム(中間転写体)7上のトナー画像のない部分(非画像領域)にも転写ベルト8を当接させ、かつこの非画像領域において、2次転写バイアス電源11から転写バイアスとは逆極性の転写バイアス(転写逆バイアス)を転写ベルト8に印加させるようした。すなわち、転写ベルト8が中間転写ドラム7に接している非画像領域では、転写バイアスと逆極性の転写バイアス(転写逆バイアス)を印加するようにした。
【0064】図6は、本実施の形態におけるモノカラー連続プリント時の中間転写ドラム7上での画像領域と逆極性転写バイアス印加領域、中間転写ドラム7と転写ベルト8との回転関係、転写ベルト8上での逆極性転写バイアス印加領域を示した図である。なお、図では前記中間転写ドラム7を中間転写体と表記している。
【0065】図6における中間転写ドラム7上と転写ベルト8上の位置の基準点は、2次転写開始時における中間転写ドラム7と転写ベルト8との転写ニップに置いている。
【0066】そして、本実施の形態では、中間転写ドラム7の周長をLi(mm)、転写ベルト8の周長をLb(mm)、前記非画像領域における逆極性の転写バイアス印加時間をTr(msec)、画像形成装置のプロセススピードをVp(mm/sec)としたときに、Vp・Tr>(Li−n・Lb)…(1)
の関係を満足するように、これらの値を設定した。
【0067】ただし、nはLb≧(Li−n・Lb)>0を満たす整数で、本実施の形態では、n=2とした。
【0068】なお、本実施の形態では、画像形成装置のプロセススピードVp=117mm/sec、逆極性の転写バイアス印加時間Tr=1.3lsec、中間転写ドラム7の周長Li=584mm、転写ベルト8の周長Lb=220mmである。
【0069】図7は、比較例におけるモノカラー連続プリント時の中間転写ドラム7上での画像領域と逆極性転写バイアス印加領域、中間転写ドラム7と転写ベルト8との回転関係、転写ベルト8上での逆極性転写バイアス印加領域を示した図である。なお、図では前記中間転写ドラム7を中間転写体と表記している。
【0070】図7における中間転写ドラム7上と転写ベルト8上の位置の基準点は、2次転写開始時における中間転写ドラム7と転写ベルト8との転写ニップに置いている。
【0071】比較例の画像形成装置では、画像形成装置のプロセススピードVp=117mm/sec、逆極性の転写バイアス印加時間Tr=1.3lsec、中間転写ドラム7の周長Li=584mm、転写ベルト8の周長Lb=200mmとした。この比較例では、上記(1)式の関係を満足していない。
【0072】図8は、上記した本実施の形態における中間転写ドラム7の1回転毎の運続プリント時の転写ベルト8上での逆極性バイアス印加領域を示した図であり、図9は、上記した比較例における中間転写ドラム7の1回転毎の運続プリント時の転写ベルト8上での逆バイアス印加領域を示した図である。なお、図中の網掛け部の数字は、中間転写ドラム7の回転に対応して除電された転写ベルト8上の領域(図6、図7の転写ベルト8上での逆極性転写バイアス印加領域に対応している)を表している。
【0073】図8に示す本実施の形態では、転写ベルト8上は2ベージ分の2次転写する間に、必ず1回逆極性バイアス印加によるベルト除電を受けるのに対し、図9に示す比較例では、比較例の転写ベルト8上の除電のされ方にはむらがあり、転写ベルト全体を除電するのに4ページ分の2次転写を行わなければならない。このように比較例では、転写ベルト8の除電が十分になされない。
【0074】上記した本実施の形態と比較例について、L/L環境において通紙試験を行ったところ、表1に示すような結果が得られた。
【0075】
【表1】

なお、プリントモードは、単色LDRサイズで、プリントスピード12ppm、連続l00ページプリントである。また、このときの、画像転写バイアスは、+20μA定電流制御(最大電圧+3.5KV)、転写逆バイアスは100μA定電流制御としした。
【0076】表1から明らかなように、上記した本実施の形態では、分離不良、画像不良の発生はなかったが、上記した比較例では、分離不良、画像不良が認められた。
【0077】また、本実施の形態と比較例での連続10ページ通紙後の転写ベルト8上での最大転写ベルトチャージアップ量を測定したところ、本実施の形態では転写ベルト8のチャージアップが0Vに抑えられたが、比較例では転写ベルト8全体をむらなく除電するのが困難であるため、転写ベルト8が部分的に700Vにチャージアップしていた。転写ベルト8のチャージアップ量は表面電位計(トレック(社)製のmode1 344)を用いて測定した。
【0078】このように、本実施の形態のチャージアップ防止シーケンスでは、プリント初期からチャージアップが抑えられており、常に安定した転写バイアスで2次転写を行うことができる。
【0079】一方、上記比較例において、紙(転写材)の分離性を評価したところ、初期は安定していた分離性も徐々に転写ベルト8ヘの吸着力が弱まるような挙動を見せ、そのまま通紙を行うと分離不良が発生したが、本実施の形態のチャージアップ防止シーケンスでは、初期から最後まで安定した分離性が確保された。
【0080】また、図8に示すように本実施の形態では、転写ベルト8が5周するうちに、転写ベルト8全域が最低1回は逆極性転写バイアスによる除電を受けるが、図9に示すように比較例では、転写ベルト8全域が逆極性転写バイアスによる除電を受けるには、転写ベルト8が11周する必要がある。このため、本実施の形態の方が比較例よりもむらのない除電を受けることができるので、転写ベルト8のチャージアップを抑制することができる。
【0081】また、比較例のように、転写ベルト8がチャージアップすると、正極性の転写電流が転写ベルト8の負極性の帯電電荷とキャンセルしてしまうため、転写ベルト8に供給される電荷量が少なくなってしまう。このため、転写ベルト8に供給される実質的な電荷量が少なくなり、紙(転写材)を転写ベルト8ヘ引きつけよとするクーロン力も小さくなって、分離不良が発生する。
【0082】また、紙(転写材)を引きつける力が小さくなると同時にトナーを紙(転写材)へ引きつけておく力も小さくなるため、トナーが紙(転写材)上で動いてしまい、画像飛び散りが発生することとなる。
【0083】(第2の実施の形態)本実施の形態では、前記転写バイアス電流をIt(μA)、前記転写バイアス印加時間をTt、前記逆極性の転写バイアス電流をIr(μA)、前記逆極性の転写バイアス印加時間をTr(msec)としたときに、|It・Tt|≦|Ir・Tr|…(2)
の関係を満足するように、これらの値を設定したことを特徴としている。他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0084】本実施の形態における転写ベルト8は、内径l30mmφの遠心成形型により製造した転写べルトで、前記転写ローラ10a、駆動ローラ10bに張架された状態でのベルト周長は440mmである。
【0085】そして、前記同様に、この転写ベルト8(転写ローラ10a、駆動ローラ10bに張架された状態でのベルト周長=440mm)の、分離性評価のためにL/L環境において通紙試験を行った。
【0086】図10は、本実施の形態におけるモノカラー連続プリント時の中間転写ドラム7上での画像領域と逆極性転写バイアス印加領域、中間転写ドラム7と転写ベルト8との回転関係、転写ベルト8上での逆極性転写バイアス印加領域を示した図である。なお、図では前記中間転写ドラム7を中間転写体と表記している。
【0087】図10における中間転写ドラム7上と転写ベルト8上の位置の基準点は、2次転写開始時における中間転写ドラム7と転写ベルト8との転写ニップに置いている。
【0088】図11は、上記した本実施の形態における中間転写ドラム7の1回転毎の運続プリント時の転写ベルト8上での逆極性バイアス印加領域を示した図である。なお、図中の網掛け部の数字は、中間転写ドラム7の回転に対応して除電された転写ベルト8上の領域(図10の転写ベルト8上での逆極性転写バイアス印加領域に対応している)を表している。
【0089】そして、本実施の形態では、前記(2)式、及び前記(1)式を満足するように、中間転写ドラム7の周長Li、転写ベルト8の周長Lb、前記非画像領域における逆極性の転写バイアス印加時間Tr、画像形成装置のプロセススピードVpを設定した。ただし、本実施の形態では(1)式のnを1とした。
【0090】本実施の形態では、画像形成装置のプロセススピードVp=117mm/sec、逆極性の転写バイアス印加時間Tr=1.3lsec、中間転写ドラム7の周長Li=584mm、転写ベルト8の周長Lb=440mmである。
【0091】本実施の形態において、前記2次転写バイアスを+20μAに固定し、前記逆極性転写バイアスを0〜−100μAまで変化させた場合でのL/L環境において通紙試験を行ったところ、表2に示すような結果が得られた。
【0092】
【表2】

表2から明らかなように、上記した本実施の形態では、逆極性転写バイアス値が−40μA以上で分離不良の発生が抑制され、−60μA以上で分離不良と飛び散りによる画像不良が抑制された。
【0093】これは、図11に示した本実施の形態における中間転写ドラム7の1回転毎の違続プリント時の転写ベルト8上での逆極性バイアス印加領域から、転写ベルト8の任意の領域は少なくとも3回転写バイアスの印加を受ける間に、1回は逆極性転写バイアスの印加を受けていることが分かる。
【0094】このように、本実施の形態においても、プリント初期からチャージアップが抑えて、常に安定した転写バイアスで2次転写を行うことができる。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、転写ベルト表面の除電を容易に、特別な手段を設けることなく行うことができるので、環境に影響されることなく転写ベルトの安定した静電吸着力が維持され、分離不良、チャージアップ起因による画像劣化を防止して、良好な画像形成を行うことができる。




 

 


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