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発明の名称 イヤリング性の優れた深絞り缶用鋼板および製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−315346
公開日 平成11年(1999)11月16日
出願番号 特願平10−123494
出願日 平成10年(1998)5月6日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弘明 (外1名)
発明者 山田 輝昭 / 濃野 通博 / 高橋 豊
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 重量%で、 C :≦0.0030%、 Si:≦0.05%、 Mn:≦0.5%、 P :≦0.03%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.005〜0.10%、 N :0.0055〜0.010%、Nb:0.004〜0.020%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、板厚tが0.10〜0.60mmで、r値が1.4以上でΔrmax 値(鋼板の板面内のr値の異方性を15度ピッチで測定し、最大値から最小値を引いて求めた値、以下同じ)を0.40以下にしたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用鋼板。
【請求項2】 請求項1の鋼板において、鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキの何れか1種が施されたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用メッキ鋼板。
【請求項3】 重量%で、 C :≦0.0030%、 Si:≦0.05%、 Mn:≦0.5%、 P :≦0.03%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.005〜0.10%、 N :0.0055〜0.010%、Nb:0.004〜0.020%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成の鋳片を、1050℃以上に加熱し、870℃〜950℃で仕上げ圧延を行い、仕上げ圧延後冷却し、750℃以下で巻取り熱延鋼帯とした後、87〜92%の冷間圧延率の範囲内で、再結晶焼鈍後のΔrmax 値が0.4以下になるように調整し、0.10〜0.60mmに冷間圧延を行った後、再結晶以上で連続焼鈍し、0.5〜5.0%で調質圧延を施すことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用鋼板の製造方法。
【請求項4】 請求項3の鋼板において、製造された鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキの何れか1種が施されたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項5】 請求項3において、冷間圧延後、脱脂等の前処理を行った後にNi電気メッキを施し、その後、冷間圧延組織の再結晶焼鈍とNiの拡散熱処理とを兼ねた連続焼鈍を行い、0.5〜5.0%で調質圧延を施してメッキ層の加工性と密着性を向上させることを特徴とする深絞り性とイヤリング性および耐食性にも優れた電池缶用Ni拡散メッキ鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板および製造方法に関するものである。本発明の絞り缶用鋼板は、Snメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施された後に、厳しい多段の深絞り加工、深絞り加工、張出し加工等を行い、缶容器、例えば電池缶(本発明では絞り缶と称する。)に製缶され、あるいは、製缶後Snメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施され、缶容器となる。
【0002】
【従来の技術】従来、特公平7−59734号報等の方法、あるいは、板金プレス成形分科会第29回SMFセミナー資料「製缶技術と製缶材料の最新動向(平成6年10月7日/於名古屋大学)」(以下文献1いう。)で紹介されている技術があったが、例えば電池缶の成形技術がプレス速度が速くなったり、またDI成形化が進むなどで、より厳しい深絞り性とより優れたイヤリング性とが要求されるようになり、特公平7−59734号報の方法ではイヤリング性はほぼ満足するが、低r値であるため深絞り性が悪く新しい電池缶の成形には耐えられないものも現れるようになった。
【0003】そこで、本発明者らは、前述の文献に紹介されている図3の高r値(2.0前後レべル)である0.009C−0.118Ti(いわゆるTi添加の極低炭素鋼)を、図6にイヤリング性が最も良くなると紹介されている冷延率(87〜88%)前後に調整し、Δr値{=(r0+r90)/2−r45…r0,r90,45:r値測定用引張り試験片の方向と圧延方向とのなす角度がそれぞれ0,90,45゜であるところのそれぞれのr値)}がゼロである鋼板を造り、厳しい深絞り試験を行い、深絞り性とイヤリング性を評価したが、深絞り性は良好であるが、イヤリング性は、Δr値がゼロであるにもかかわらず特公平7−59734号報で得られるような良好なイヤリング性が得られなかった。すなわち、本発明の方法が目標とする深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板および製造方法は、未だないことが明らかになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板および製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決する鋼板および製造方法を提供することについて、鋭意検討を行い、本発明を完成したものであり、その要旨とするところは、下記の通りである。
(1)重量%で、 C :≦0.0030%、 Si:≦0.05%、 Mn:≦0.5%、 P :≦0.03%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.005〜0.10%、 N :0.0055〜0.010%、Nb:0.004〜0.020%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成で、板厚tが0.10〜0.60mmで、r値が1.4以上でΔrmax 値(鋼板の板面内のr値の異方性を15度ピッチで測定し、最大値から最小値を引いて求めた値、以下同じ) を0.40以下にしたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用鋼板。
(2)前項1の鋼板において、鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキの何れか1種が施されたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用メッキ鋼板。
【0006】(3)重量%で、 C :≦0.0030%、 Si:≦0.05%、 Mn:≦0.5%、 P :≦0.03%、 S :≦0.025%、 sol.Al:0.005〜0.10%、 N :0.0055〜0.010%、Nb:0.004〜0.020%、残部がFeおよび不可避元素からなる組成の鋳片を、1050℃以上に加熱し、870℃〜950℃で仕上げ圧延を行い、仕上げ圧延後冷却し、750℃以下で巻取り熱延鋼帯とした後、87〜92%の冷間圧延率の範囲内で、再結晶焼鈍後のΔrmax 値が0.4以下になるように調整し0.10〜0.60mmに冷間圧延を行った後、再結晶以上で連続焼鈍し、0.5〜5.0%で調質圧延を施すことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用鋼板の製造方法。
(4)前項3の鋼板において、製造された鋼板の表面にNiメッキ、Ni拡散メッキ、Snメッキ、TFSメッキの何れか1種が施されたことを特徴とする深絞り性とイヤリング性に優れた深絞り缶用メッキ鋼板の製造方法。
(5)前項3において、冷間圧延後、脱脂等の前処理を行った後にNi電気メッキを施し、その後、冷間圧延組織の再結晶焼鈍とNiの拡散熱処理とを兼ねた連続焼鈍を行い、0.5〜5.0%で調質圧延を施してメッキ層の加工性と密着性を向上させることを特徴とする深絞り性とイヤリング性および耐食性にも優れた電池缶用Ni拡散メッキ鋼板の製造方法。
【0007】以下に本発明について詳細に述べる。本発明者らは、まず、上述のTi添加極低炭素鋼は、Δr値がゼロであるにもかかわらず、特公平7−59734号報のような優れたイヤリング性が得られない原因について詳細な検討を行った。
【0008】最初の調査として、Ti,Nb,B,N等を種々添加した極低炭素鋼および特公平7−59734号報の方法および箱焼鈍(BAF)法用の種々の鋼に、冷間圧延率を種々調整して冷間圧延を行い、Δr値がほぼゼロの缶用深絞り冷延鋼板を造り供試材とし、深絞り試験を行い、イヤリング性を調査した結果、Δr値がほぼゼロでもイヤリング性が良好なものか性が得られないことを知見した。なお、このことは前述の文献1の図4を詳細に見れば、Δr値がゼロでもイヤリング率は0.7〜3wt%と大幅に変動していることからも、イヤリング性はΔr値以外のファクターが意外に大きいことを示唆していることが分かる。
【0009】次に、本発明者らは、何故このようなことが起こるのかを、鋼板のr値を15度ピッチ0〜90度まで調査し、r値の面内異方性を詳細に調査し、イヤリング性との関係を比較検討した。その結果、1) イヤリング性に関連するr値の0〜90゜間の最大値、最小値は、従来のΔr値の測定に使われる0,45,90゜の位置ではなく、最大値は90,75,60゜、最小値は0,15,30,45゜の位置のどこかに存在し、特定の方向に定まっていないこと、ましてや0,45,90゜で代表できるものではないことが判明した。即ち、上記の「Δr値がほぼゼロでもイヤリング性が良好なものから悪いものまで種々であること」の原因は、Δr値の測定の定義そのものが、イヤリング性に関連するr値の面内異方性を代表する指数になっていないことに起因していることがわかった。
【0010】さらに、2) 15度ピッチ測定したr値の最大値から最小値を引いたΔrmax値とイヤリング性との関係は、図1に示すように、明瞭な相関が認められ、イヤリング性の指標としては、従来から用いられているΔr値ではなくΔrmax 値を用い、Δrmax 値をミニマムにする製造方法を検討しなければ、最近の厳しい深絞り加工や電池缶のDI加工時のイヤリング不良に起因するプレストラブルを阻止し得ないことが判明した。
【0011】本発明者らは、本発明の課題である「深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板」は、前述の種々の組成および製造条件で製造した鋼板のΔrmax 値とイヤリング性との調査結果から、r値1.4以上、Δrmax 値0.40以下の鋼板であることを見出した。
【0012】さらに、本発明者らは、前述の種々の組成および製造条件で製造した鋼板の調査結果に、さらに種々の条件の実験を追加検討し、また、もう一方の本発明の課題である「深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板であるr値を1.4以上、Δrmax 値≦0.40の鋼板を製造する方法」のポイントは、下記1) 〜5) であることを見出すことができた。そのポイントは、1) 焼鈍方法は、箱焼鈍ではコイル内の温度バラツキによるΔrmax 値がコイルの長手幅方向での変動が大きいため、連続焼鈍法でなければならないこと、2) 鋼の組成は、極低炭素鋼でなければr値の1.4以上が得られないこと、3) Ti添加鋼では、いわゆるΔr値をゼロにしても、60度方向のr値が極めて高く、15〜30度方向のr値が極めて低くなり、冷延率をどのように調整してもΔrmax 値を確実に0.40以下にすることができないこと、4) Nb添加極低炭素鋼では、成分、熱延条件、冷延条件、焼鈍条件の最適化でΔrmax 値が改善されるが、本発明の目標である0.40以下を安定して達成できないこと、5) Nを55〜100ppm 添加したNb添加極低炭素鋼は、成分、熱延条件、冷延条件、焼鈍条件の最適化でΔrmax 値が大きく改善され、本発明の目標である0.40以下を安定して達成できること、である。
【0013】なお、以上の1) 〜5) のポイントを最適化した請求項(3)の方法で製造した冷延鋼板およびその鋼板に、請求項(4)および請求項(5)に記載の各種のメッキを施した鋼板は、DI加工あるいはより厳しい多段の深絞り加工で電池缶等缶容器のプレス成形において、優れたイヤリング性と深絞りを示した。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成条件の詳細な説明を行う。まず、本発明の成分を限定した理由を説明する。Cは、連続焼鈍法で絞り缶に要求されるような軟質鋼板を製造するのに重要な元素で、C含有量が0.0030wt%超では1.4以上のr値の軟質冷延鋼板が得られなくなるので、0.0030wt%以下に規制する必要がある。
【0015】Siは、多くなるとメッキ密着性や製缶後に塗装されるときの塗装密着性等に悪影響を及ぼすので0.05wt%以下に規制する必要がある。
【0016】Mnは、多く含有すると、硬質化厳しい深絞り加工に耐えれなくなるので、0.5wt%以下に規制する必要がある。
【0017】Pは、鋼板の強度を上昇させると共に、絞り缶の二次加工性(深絞りを行った缶は、例えば−10℃のような低温では、落下時の衝撃や曲げ加工歪みで缶側壁端部が脆性破断することがある。このような破断の発生のしやすさを示す指標を二次加工性と称されている。)を劣化させるので、0.030wt%以下に規制する必要がある。
【0018】Sは、熱間圧延時の脆性を阻害し、熱延鋼帯に耳荒れを生じさせるので、0.025wt%以下に規制する必要がある。
【0019】sol.Alは、鋳片を造るときに、良好な表面品位を得、かつNをAlNとして固定し、N時効による材質の時効劣化を抑制させることが可能な元素で、0.005wt%以上添加してやる必要があり、また、0.10wt%超ではこの効果が飽和し、コストが高くなるばかりでなく、固溶強化により硬質化し過ぎると言う弊害も生じるようになるので、0.10wt%以下に規制する必要がある。
【0020】Nは、本発明では重要な元素で、Nb添加極低炭素鋼のΔrmax 値を0.40以下にするために不可欠な元素で、0.0055wt%以上含有する必要がある。また、NはN時効による材質の時効劣化等硬質化させる元素でもあるので、0.0100wt%以下に規制する必要がある。なお、Nを0.0055wt%以上添加することでNb添加極低炭素鋼のΔrmax 値を改善するメカニズムは明確でないが、熱間圧延時に多くのAlN,NbNが熱延板の結晶粒径を微細化すると共に、結晶方位にも影響を及ぼし、そのことが冷間圧延時の集合組織に影響し、焼鈍板のΔrmax 値を低減させる(111)<110>集合組織を高冷延率でもより集積度を高める役割を持っているものと推測される。
【0021】Tiは、Δrmax 値を悪くする元素であるので厳しく規制せねばならない。具体的には、トランプエレメントとして混入される場合でも、多くても0.005wt%以下にする必要がある。
【0022】Nbは、Cの一部をNbCとして固定し、生成した微細なNbCと固溶のNbによって、Ti添加の場合はr値を高くするが、Δrmax 値を悪く(高く)させるのとは異なり、高r値化と同時にΔrmax 値をも良好ならしめる(低減)効果があり、少なくとも0.004wt%以上添加する必要がある。また、Nb添加量は多くなり過ぎると、Δrmax 値を0.40以下にすることが困難になるので、0.020wt%以下にする必要がある。なお、このようなNbのΔrmax 値改善効果は、Nbの熱延板の結晶粒径の顕著な微細化作用効果によって冷間圧延時の集合組織に影響し、焼鈍板のΔrmax 値を低減させる(111)<110>集合組織を高冷延率でもより集積度を高める役割を持っているものと推測される。
【0023】Bは、二次加工性を改善する作用効果があり、必要に応じ微量添加しても良いが、Δrmax 値を良好ならしめるには無添加が好ましい。そして、残部がFeおよび不可避元素からなる鋼組成でなければならない。
【0024】本発明の絞り缶用鋼板の製鋼条件は、上述の組成の鋼を溶製し、鋳片にし得るものではあれば特に規制する必要がなく、通常の方法で鋳片とすれば良い。熱延条件は、絞り缶用鋼板の結晶粒を細粒化するのに重要な工程で、鋳片を、1050℃以上に加熱し、870℃〜950℃で仕上げ圧延を行い、仕上げ圧延後冷却し、750℃以下で巻取り、熱延鋼帯とする必要がある。特に、仕上げ圧延温度は重要で、870℃未満になればα域圧延となり集合組織が大きく変り、Δrmax 値が劣悪になる。また、仕上げ圧延温度が高過ぎると、あるいは巻取り温度が高過ぎても熱延板の結晶粒が大きくなり過ぎ、良好なΔrmax 値が得難くなる。なお、加熱温度を1050℃以上としたのは、1050℃未満では870℃以上の仕上げ温度が確保できなくなるためである。
【0025】冷間圧延の圧延率は、図2に例を持って示すように、本発明の製造条件で製造した熱延板を、その熱延板に最適な冷延率で冷延することでΔrmax 値を安定して0.40以下にすることができるもので、冷間圧延率を87〜92%の範囲内でその熱延板に最適な冷延率で冷延する必要がある。また、板厚は0.60mm超になると、Δrmax 値を0.40以下にするためには熱延板の板厚が厚くなり過ぎ、冷間圧延負荷が掛かり過ぎるので、0.60mm以下に規制する必要がある。0.10mm未満では、逆に熱延板の板厚が薄くなり過ぎ、仕上げ温度を確保できなくなり、Δrmax 値を0.40以下にすることができなくなるので、冷延板の板厚は0.10mm以上に規制する必要がある。
【0026】再結晶焼鈍は、箱焼鈍(BAFと称されている)法と連続焼鈍(CAL)法とがあるが、BAF法ではコイルの積み位置およびコイルの内周、中央、外周部で焼鈍温度に温度差が生じ、そのため安定してΔrmax 値を0.40以下にすることが困難になるので連続焼鈍法とする必要がある。
【0027】焼鈍温度は、特に限定する必要はなく、安定して再結晶する温度で焼鈍すれば良い。調質圧延は、形状を良好ならしめるために0.5%以上が必要で、5.0%超では硬質となり過ぎるので、0.5〜5.0%に規制する必要がある。
【0028】
【実施例】以下に本発明の効果を実施例により説明する。表1に示す成分の鋳片を造り、表2に示す熱延、冷延、焼鈍および調質圧延条件で0.25mmの絞り缶用鋼板を製造し、材質調査、φ30mmの円筒絞りのイヤリング率(=(缶側壁の最大山高さ−最少谷高さ)/最少谷高さ×100)ならびに5段の深絞りプレス加工時の絞り割れおよびイヤリングよるプレストラブルを評価した。それらの評価結果は、表2に示す。なお、5段の深絞り時の絞り割れおよびイヤリング性の評価は、0.01%以下のトラブルのものを○、0.01%超〜0.05%未満のものを×、0.05超のものを××とした。なお、イヤリング率の絶対値は、イヤリング率を測定する深絞り缶のプレス条件によって大幅に異なるので、他の文献のイヤリング率の値と単に比較してもどちらが優れているのかは判別できないので留意する必要がある。
【0029】供試鋼A,B,Cは本発明成分範囲の鋼で、鋼DはNbを含まないTiのみ添加した通常の低N含有の極低炭素鋼の比較例成分の鋼、鋼Eは通常の低N含有のNb添加極低炭素鋼の比較例成分の鋼、鋼FはTi,Nbを複合添加した極低炭素鋼の比較例成分の鋼である。
【0030】試料No.1,5,7は、本発明成分鋼A,B,Cを本発明の熱延、冷延、焼鈍、調質圧延条件で製造した本発明の実施例、試料No.3,4,6は、本発明の成分の鋼Aあるいは鋼Bを用いたが、熱延条件あるいは冷延条件が本発明の製造条件を外れた比較例、試料No.8,9,10は、熱延、冷延、焼鈍の条件は本発明の製造条件内であるが、鋼成分が本発明の範囲を外れた比較例、試料No.2は、試料No.1の冷間圧延後鋼板にNiを電気メッキ法で3μmメッキした後、試料No.1と同じ焼鈍、調質圧延条件で製造したNi拡散メッキ鋼板の本発明の実施例である。
【0031】本発明の実施例の試料No.1,5,7および2は、何れもr値が1.78以上、Δrmax 値が0.32以下と本発明が目標とする特性値をクリアーし、イヤリング率の評価でも2.8%以下と優れた深絞り性とイヤリンク特性を有している。また、これらの鋼板の5段の厳しい深絞り時の深絞り性ならびにイヤリング性は、0.01%以下と優れた成績が得られた。さらに、Ni拡散メッキの実施例のNo.2も、No1と同様に深絞り性ならびにイヤリング性は、0.01%以下と優れた成績が得られ、Ni拡散メッキ等のメッキを施した場合でも本発明の鋼板の深絞り性ならびにイヤリング性は損なわれていない。
【0032】試料No3,4は、本発明の方法の冷間圧延率をそれぞれ86%,93%とした比較例で、r値は高く優れているが、Δrmax 値が0.54,0.48と本発明鋼の範囲を外れ、イヤリング率も悪く製缶時のイヤリング性も優れた成績が得られなかった。
【0033】試料No.6は、本発明の方法のSRT(スラブ加熱温度)を1030℃とし、FT(仕上げ圧延温度)が840℃と本発明の方法の熱延条件から外れた比較例で、r値が1.38と低く、かつΔrmax 値が0.85と本発明鋼の範囲を大きく外れ、イヤリング率も劣悪で製缶時のイヤリング性も劣悪な成績となった。
【0034】試料No.8は、鋼組成が本発明の範囲を外れたTi添加の低Nの極低炭素鋼、いわゆるTi添加極低炭素鋼の比較例で、従来のイヤリング性の指標とされていたΔr値を−0.02と冷延率を調整し、理想的な値としたものであるが、本発明が初めてイヤリングの指標としたΔrmax 値は、0.85と大きく本発明の目標値を外れた材質特性値となり、イヤリング率も劣悪で製缶時のイヤリング性も劣悪な成績となった。この比較例で分かるように、優れたイヤリング性を得るには従来のイヤリングの指標では不十分で、Δrmax 値を良好ならしめることが重要であることが分かる。
【0035】試料No.9,10は、鋼組成が本発明の範囲を外れた低NのNb添加極低炭素鋼および高NではあるがNbとTiを複合添加した鋼の比較例で、何れも従来のイヤリング性の指標とされていたΔr値を−0.04,−0.03と冷延率を調整し、理想的な値としたものであるが、Δrmax 値は0.50,0.57と本発明の目標値を外れた材質特性値となり、イヤリング率も悪く、製缶時のイヤリング性も優れた成績が得られなかった。
【0036】以上の実施例の結果から明らかなように、本発明の鋼板は、本発明が解決しようとする課題とする深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板および製造方法の提供を十分に達成することができる。
【0037】本発明の絞り缶用鋼板は、Snメッキ、Niメッキ、Ni拡散メッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施された後に、厳しい多段の深絞り加工、厳しいDI加工を行い、深絞り缶に製缶され、あるいは、製缶後Snメッキ、Niメッキ、Crメッキ、Sn−Niメッキ等の各種のメッキが施され、缶容器となる用途に供されその効果が発揮できる。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【発明の効果】以上、本発明について詳細に説明したが、本発明の鋼板は、本発明が解決しようとする課題である「深絞り性とイヤリング性に優れた絞り缶用鋼板および製造方法を提供すること」が十分に達成でき、工業的価値が極めて大である。




 

 


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