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発明の名称 イオン交換膜並びにその製造方法及び使用方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−300171
公開日 平成11年(1999)11月2日
出願番号 特願平10−313269
出願日 平成10年(1998)11月4日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
発明者 イオニス ピー. シプサス / ジョセフ ワイ. リー / ロバート エー. フライド / ジョセフ ジー. アディレッタ
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】イオン交換膜であって、芳香族成分でグラフトされた一体強化重合体フィルムを備え、前記芳香族成分は、イオン交換基で置換された芳香環を有することを特徴とするイオン交換膜。
【請求項2】前記一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化されたポリテトラフルオロエチレン、一体に繊維強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)、及びポリテトラフルオロエチレン織布繊維で強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)の流延フィルムから成る群から選択された繊維強化重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン交換膜。
【請求項3】前記一体強化重合体フィルムは、芳香族ポリアミド織布繊維で強化されたポリテトラフルオロエチレンの流延フィルム、炭素不織布繊維強化ポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルム、ポリ(1, 3−フェニレンイソフタルアミド)織布繊維で強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルム、又はポリ( 1, 4−フェニレンテレフタルアミド)/ポリ(1, 3−フェニレンイソフタルアミド)混織繊維で強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオン交換膜。
【請求項4】前記芳香環は、ベンゼン環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
【請求項5】前記イオン交換基は、カチオン交換基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
【請求項6】前記カチオン交換基は、スルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸、又はそれらの誘導体であることを特徴とする請求項5に記載のイオン交換膜。
【請求項7】前記イオン交換基は、アニオン交換基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン交換膜。
【請求項8】前記アニオン交換基は、アンモニウム化学種であることを特徴とする請求項7に記載のイオン交換膜。
【請求項9】前記アニオン交換基は、第四アンモニウム塩であることを特徴とする請求項7又は8に記載のイオン交換膜。
【請求項10】イオン交換膜を製造する方法であって、(a) 一体強化重合体フィルムを提供する工程と、(b)前記一体強化重合体フィルムを、芳香環を持つ芳香族モノマーと接触させる工程と、(c)前記芳香族モノマーが前記一体強化重合体フィルムとのグラフトを形成する条件に、前記一体強化重合体フィルムを曝す工程と、及び、(d)前記芳香環にイオン交換基を導入してイオン交換膜を提供する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】前記一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化されたポリテトラフルオロエチレン、一体に維強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)、及びポリテトラフルオロエチレン織布繊維で一体強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)の流延フィルムから成る群から選択された繊維強化重合体を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】前記一体強化重合体フィルムは、ポリ(1, 4−フェニレンテレフタルアミド)織布繊維で一体強化されたポリテトラフルオロエチレンの流延フィルム、炭素不織繊維強化ポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルム、ポリ( 1, 3−フェニレンイソフタルアミド)織布繊維で一体強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルム、又はポリ( 1, 4−フェニレンテレフタルアミド)/ポリ( 1, 3−フェニレンイソフタルアミド)混織繊維で一体強化されたポリ(フルオロエチレン−プロピレン)フィルムであることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】前記芳香族モノマーは、スチレン、トリフルオロスチレン、α−メチルスチレン、トランス−β−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、2−ビニルナフタレン、及びビニルベンジルハライドから成る群から選択されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】前記イオン交換基は、スルホン酸又はアンモニウム化学種であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】前記条件は、ガンマ線、紫外線、及び電子ビーム線から成る群から選択される放射線への曝露を含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】イオン交換膜を製造する方法であって、(a) 一体強化重合体フィルムを提供する工程と、(b)前記一体強化重合体フィルムを、イオン交換基で置換され芳香環を持つ芳香族モノマーと接触させる工程と、及び、(c)前記芳香族モノマーが前記一体強化重合体フィルムとのグラフトを形成する条件に、前記一体強化重合体フィルムを曝す工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン交換膜に流体を接触させる工程を含むことを特徴とする流体を処理する方法。
【請求項18】ハウジングと、請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン交換膜とを備えることを特徴とする電気透析装置。
【請求項19】請求項1〜9のいずれか1項に記載された、同一の又は異なった2つ以上のイオン交換膜を備えるイオン交換装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン交換膜並びにそのような膜の製造方法及び使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換膜は、2つ以上の化学種を電荷により分離するのに必要なプロセスで広く使用されている。そのようなプロセスには、電気透析、電解、燃料電池に基づく電気生成、限外濾過、逆浸透、ピエゾ透析、拡散透析、そして浸透気化 (pervaporation)がある。これらのプロセスで使用されるイオン交換膜は、それぞれの用途の特定のニーズに合わせて製造されるが、化学薬品に対する耐劣化性(例えば、酸化及び加水分解)や機械的強度(例えば、化学薬品雰囲気中での寸法安定性)を含め、膜の特定の属性はほとんど常に望ましいものである。
【0003】これらの属性は電気透析膜にとって特に重要であり、この電気透析膜は、極く低い電気抵抗、(イオン輸送数で測定される)高い電流効率、そして(低レベルの電気的な水輸送と逆拡散により与えられる)高いプロセス効率を含む、様々な他の特性も備えていなくてはならない。 Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版(1979年),Kirk-Othmer 著, 第8巻,p728-29 を参照されたい。
【0004】これまで、これら全ての品質を含む単体膜を製造することは、先の見えないゴールであった。電気透析膜は、2つの方法で変成された単純な重合体フィルムから作製するのが普通である。第1に、重合体膜は、(カチオン交換用)スルホネート、又は(アニオン交換用)第四アンモニウム塩等のイオン交換基を用いて誘導され、第2に、その物理的強度を改善するために、フィルムを架橋結合するか、あるいは、例えば重合体のファイバー、クロス、膜等で強化を行なう。
【0005】膜の機械的安定性に関しては、一般的に外因的な強化の方が架橋による強化よりも良好な結果をもたらす。しかし、このような強化は、必要な強度改善を提供するために導電性母材に多くの量の非導電性重合材料が導入されねばならないので、未変成膜と比較して、強化膜の電気抵抗を増やしてしまう。米国特許第 4,997,567号(Messalem他)は、強化されたイオン交換膜の一例を提供しており、ここでは非導電性と導電性の重合材料でできた寄せ集め(patchwork)が特に明瞭に示されている。
【0006】膜の強化は、膜の機械的強度と電気抵抗の両方に影響力を持つが、重合体フィルムの化学組成は膜の化学的安定性(例えば、酸化及び/又は加水分解による崩壊に対する感受性)の主要な決定因子である。フィルムもまた、イオン交換膜の決定的なイオン官能基(例えば、スルホネート、カルボキシレート、及び第四アミン)が結合する部位を提供する。このことは、これらのイオン基を導入するにはフィルムの反応性が十分であるばかりでなく、化学薬品環境に挑んで劣化に抗するのに十分なほど不活性でなければならないので、膜の科学者にジレンマを与える。このように、イオン交換膜は、最適な耐化学薬品性には及ばない材料から製造されるのが一般的である。例えば、米国特許第 5,643,968号(Andreola他)には、イオン官能性で誘導されてイオン交換膜を形成するポリアリールスルホン膜が記載されている。この膜の耐薬品性は理想的ではない。なぜなら、ポリスルホンは、大部分の他のフィルム(例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテル、その他)よりも、化学薬品劣化に抗することができるが、塩基促進酸化(base-promoted oxidation)及び加水分解に対して依然として感受性があるので、潜在的な用途範囲が限られてしまうからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】膜形成における誘導ステップを除くことによって、容易な誘導のために化学的安定性を妥協させなくてはならないことを避ける試みがなされてきた。そのような方法のひとつにおいて、支持材を強化するために、必要なイオン官能基を既に含むイオン交換樹脂を溶融することによって膜が製造される。イオン交換樹脂も、フィルム被覆プロセスあるいはフィルム積層プロセスにより支持材に適用されてきた。これにより、この官能性を後で導入する必要が無くなるが、しかし、それで得られた膜のイオン基の分布は不均一であり、誘導法を用いて製造された均一膜に比べ、機械的特性と電気的特性が劣る。不均一イオン交換膜の最近の例を、米国特許第 5,346,924号(Giuffrida 他)で見ることができる。
【0008】イオン交換膜製造時の誘導ステップを回避するもうひとつの方法を用いて、特定の過フッ化(perfluorinated)カチオン交換膜を作製することが時々行なわれている。この膜は、テトラフルオロエチレンモノマーとパーフルオロスルホニル・エトキシビニルエーテル・モノマーとを共重合させてから、フルオロスルホニル基を加水分解してスルホン酸を形成させることにより、製造される。この製造プロセスは、共重合条件に適合性のある保護されたイオン前駆体モノマーを合成する必要があるので、困難が伴ない、費用もかかり、範囲も制限される。更に、膜に含まれるイオン基の数に関連して妥協しなくてはならない。というのは、多すぎると、選択透過性に好ましくない低下が引き起こされ、他方、少なすぎると、許容できないほど高い電気抵抗をもたらすからである。登録商標Nafionとして販売されている過フッ化イオノマー等の膜の強度と寸法安定性を改良するのに必要なフッ素重合ファブリックのような強化材料の導入により、膜の電気抵抗は更にもっと増加してしまう。R.E. Kesting著 "Synthetic Polymeric Membranes,"P164 (1985年)を参照されたい。
【0009】グラフト共重合によるイオン交換膜の製造は、"Journal of the Electrochemical Society," Tsuneda 他著, 142 号, p3659-63 (1995年)に記載されており、そこでは、ポリエチレンフィルム上にアクリル酸とナトリウム・スチレン・スルホネートとを放射線グラフト共重合してカチオン交換膜を調製するか、又はビニル・ベンジル・トリメチル塩化アンモニウムと2−ヒドロキシルエチル・メタクリレートとの放射線グラフト共重合によりアニオン交換膜を調製する。この方法は、ポリエチレン膜の表面へイオン交換特性を与えるのに用いられるが、親水性アクリル酸コモノマーとの共重合が必要であるという点で大きく制限される。更に、得られる膜は、特にカチオン交換膜について、水中で大きな膨潤を示し、寸法安定性及び選択透過性が劣る。また、これらのポリエチレンベースの膜の酸化安定性は疑わしい。
【0010】ポリテトラフルオロエチレンのグラフト変成は、米国特許第 4,113,922号に記載されており、ポリテトラフルオロエチレン幹に、フッ化スチレンモノマーを放射線グラフトして得られる燃料電池膜について述べられている。スチレン型モノマーは、この方法により酸化安定性のあるポリテトラフルオロエチレン支持体へ効率的にグラフトされ得るが、この膜は、それでもなおポリテトラフルオロエチレン支持体の固有の寸法不安定性に煩わされることになる。基材又は支持層を膜へ取り込むことは、単に寸法安定性を適度に増加させるが、膜の電気的特性にとっては不利である。
【0011】上記制限に鑑み、改善された高い安定性を持つイオン交換膜に対するニーズがある。イオン交換膜は、高い化学的安定性と寸法安定性、低い電気抵抗、及び高い電流効率とプロセス効率、そして高い選択透過性を持つのがよい。本発明は、そのようなイオン交換膜、及びそのようなイオン交換膜の使用方法等を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点は、追加の発明性のある特徴と同様に、本明細書中の発明の説明から明らかになるだろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン交換基で置換された少くとも1つの芳香環を有する芳香族成分でグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するイオン交換膜を提供する。
【0013】本発明は、イオン交換膜を製造するための方法も提供し、ここで、一体強化重合体フィルムは、少なくともひとつの芳香環を持つ芳香族モノマーに接触され、前記フィルムは、前記芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムとともにグラフトを形成する条件に曝露される。イオン交換基は芳香族環に導入されて、本発明のイオン交換膜を提供する。
【0014】本発明は更に、イオン交換膜を製造する方法を提供し、ここで、一体強化重合体フィルムは、イオン交換基で置換された芳香環を持つ芳香族モノマーに接触され、前記フィルムは、前記芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムとともにグラフトを形成する条件に曝される。
【0015】本発明は更に、本発明のイオン交換膜に流体を接触させることを伴なう、流体を処理する方法を提供する。
【0016】本発明は更に、ハウジングと本発明のイオン交換膜とを備える電気透析装置、並びに、本発明の同一あるいは異なる2つ以上のイオン交換膜を備えるイオン交換装置を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、イオン交換基で置換された少なくとも1つの芳香環を持つ芳香族成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するイオン交換膜を提供する。本発明のイオン交換膜は、一体強化重合体フィルムを利用して、骨組みを提供するとともに、例えば、寸法安定性、酸化安定性、引張強度のような望ましいバルク膜特性を提供する。このフィルムは、適切であればどのようなポリマーからも誘導できる。好ましくは、バルク(塊状)ポリマーは、酸化に対して安定性があり、それにグラフトされる芳香族成分との間に化学的相溶性がある。好適なバルクポリマーには、ポリオレフィン、より好ましくはフッ化ポリオレフィンがある。非常に好ましい実施形態において、バルクポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。別の非常に好ましい実施形態において、バルクポリマーはポリ(フッ化エチレン−プロピレン)(FEP)である。
【0018】本発明のイオン交換膜は、適切であればどのような物性を持っていてもよく、適切であればどのような構成にもできる。イオン交換膜は、当該技術で普通に呼ばれる「多孔質」でも「微孔質」でもないという点で、実質的に非多孔質(non-porous)であるのが好ましい。本発明のイオン交換膜は実質的に非多孔質であることが好ましいが、それでもなお、膜は、もっと寸法は小さいが或る孔等級を持って流体やイオンの輸送にとって透過性であることが望ましい。かくして、例えば、適切な分子寸法の、気体や液体等の特定の物質が膜を通過することができる。一般に、微孔質フィルムの孔等級は、約 0.01μm から約 10μm である。それに対し、本発明のイオン交換膜の孔等級は、約 200Å未満であることが好ましい。より好ましくは、孔等級が約 100Å未満であり、最も好ましくは、約 50Å未満である。最適には、本発明のイオン交換膜の孔等級は、25Å以下である。
【0019】本発明のイオン交換膜は、一体強化重合体フィルムを利用する。本明細書で用いる「一体強化」という用語は、例えば、紙基材のような、フィルム用の膜基材あるいは膜支持体を指すものではない。むしろ、本明細書で「一体強化」という用語は、フィルムポリマ−の構造中へ一体化された(フィルムポリマー構造と一体の)強化材料を持つ重合体フィルムを指す。フィルムは、例えば、ファイバー、メッシュ、箔等の適切であればどのような強化手段で強化してよい。適切な強化手段は、例えば重合材料又は金属材料を含む適切であればどのような材料からも得ることができる。このように、フィルムは、金属メッシュ又は金属箔、重合体メッシュ又は重合体ファイバを用いて強化することができる。好ましくは、フィルムは、ファイバー、特には重合体ファイバーで強化される。
【0020】繊維強化フィルムは当業界では既知であり、種々の方法によって得ることができる。強化繊維は、フィルム構造中に織布繊維又は不織布繊維を含むことができる。普通、繊維強化膜は、例えば、バルクポリマーと不織布繊維材料との混合物からフィルムを流延(cast)したり、織布繊維ネットをバルクポリマーで被覆する等の、流延や被覆の方法で製造される。
【0021】強化繊維は、適切であれば何れの材料からでも得ることができる。適切な強化繊維には、例えば、登録商標 Nomexで市販されているポリ( 1, 3−フェニレンイソフタルアミド)繊維や、登録商標 Kevlar で市販されているポリ( 1, 4 −フェニレンテレフタルアミド)繊維がある。他の適切な強化繊維には、例えば、芳香族ポリアミド−イミドがあり、これは、少なくとも85%のアミド結合が2つの芳香環へ直接に結合されていてイミド基が約50%までのアミド基に置換されてもよいアミド結合により結合された芳香族基から作られた合成直鎖高分子として、一般的に定義することができる。適切な強化繊維には、例えばポリオレフィン繊維、好ましくはフッ化ポリオレフィン繊維、より好ましくはPTFE繊維がある。適切な強化繊維には、更に炭素繊維がある。もちろん、強化繊維を、適切な混合ポリマー又は混合コポリマーから誘導することもできる。
【0022】本発明のひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化された PTFE フィルム、好ましくは芳香族ポリアミド織布繊維で強化された PTFE流延フィルムである。もうひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化された FEPフィルムである。一体に繊維強化された好ましい FEPフィルムには、例えば、PTFE織布繊維強化 FEP流延フィルム、ポリ( 1, 3−フェニレンイソフタルアミド)織布繊維強化 FEPフィルム、及びポリ( l, 4−フェニレンテレフタルアミド/ポリ( l, 3−フェニレンイソフタルアミド)の混織繊維強化 FEPフィルムがある。さらにもうひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、炭素不織布繊維強化 FEPフィルムである。
【0023】本発明のイオン交換膜は、イオン交換基で置換された少くとも1つの芳香環を持つ芳香族成分を用いてグラフトされる。この芳香族成分は、強化された重合体フィルムを用いて、安定で均質なグラフトを維持でき、少くとも1つの芳香環を持つ、適切であれば何れの有機物であってもよい。被覆や混合したものとは異なり、本発明のイオン交換膜の芳香族成分は、強化重合体フィルムにグラフトされ、それにより強化重合体フィルムとともに共有結合を維持する。更に、芳香族成分は、フィルムのどのような内面も含め、フィルム全体を通して何等の有意な変化も無く、フィルムの表面全域にわたり均質にグラフトされるのが望ましい。好ましくは、芳香族成分は、少くとも1つの芳香環で置換されたビニルモノマーから誘導される、グラフトされた化学種である。芳香環は、当業界で周知の「芳香族性」を持つ何れの炭素環又は複素環、又は環系であってもよい。芳香族成分は、1種類を超える芳香環を持っていてもよい。適切な芳香環には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビフェニルスルホン等の炭素芳香環や、複素環(例えば、オキサゾール、チアゾール、チオフェン、ピリジン、ベンゾチアゾール、キノリンなど)がある。芳香環は、好ましくは炭素芳香環、特にはベンゼン環である。より好ましくは、芳香族成分は、ビニルベンゼンモノマーから誘導されるグラフトである。ひとつの好ましい実施形態において、芳香族成分は、スチレンから誘導されるグラフトである。もうひとつの好適な実施形態において、芳香族成分は、米国特許第 5,602,185号に記載されている方法で合成により製造可能な(トリフルオロビニル)ベンゼンから誘導されるグラフトである。
【0024】芳香族成分の芳香環は、少くとも1つのイオン交換基で置換される。適切なイオン交換基には、イオンに対して親和性のあるどのような官能基又はその誘導体も含まれる。イオン交換基は、カチオン交換基又はアニオン交換基でもよい。適切なカチオン交換基には、芳香環へ直接に結合しているか、又は適切な有機結合を介して結合している、例えば、スルホン酸、カルボン酸及びホスホン酸などの酸、及びその誘導体ならびにそれらの塩のような、カチオンに対して親和性のあるどのような官能基も含まれる。適切なアニオン交換基には、例えばアンモニウム塩のようなアニオンに対して親和性のある適切であればどのような官能基も含まれる。アンモニウム塩には、第四アンモニウム塩及びプロトン化されたアミンがあり、直接に、あるいは適切な有機結合を介して芳香環に結合させることができる。
【0025】ひとつの好適な実施形態において、本発明のイオン交換膜は、芳香環がスルホン酸で置換され、芳香族成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するカチオンイオン交換膜である。もうひとつの好適な実施形態において、本発明のカチオン交換膜は、芳香環がカルボン酸で置換され、芳香族成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有する。好適な更なる実施形態において、本発明のカチオン交換膜は、芳香環がホスホン酸で置換され、芳香族成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有する。更にもうひとつの好適な実施形態において、本発明のイオン交換膜は、好ましくは(トリアルキルアンモニウム)メチル基、より好ましくは(トリエチルアンモニウム)メチル基であるアルキル第四アンモニウム塩で置換された少なくとも1つの芳香環を持つ芳香族成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するアニオン交換膜である。
【0026】本発明は更に、一体強化重合体フィルムを、芳香環を持つ芳香族モノマーに接触させる工程と、一体強化重合体フィルムを、芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムとのグラフトボンディングを受ける条件に曝す工程と、を含むイオン交換膜の製造方法を提供する。次いで、グラフトで得られた芳香族成分の少くとも1つの芳香環に、イオン交換基を導入することによって、イオン交換膜が形成される。
【0027】一体強化重合体フィルムは、本発明のイオン交換膜の検討に関して本明細書中で説明する適切であればどのような重合体フィルムでもよい。このように、フィルムは、適切であれば何れのバルクポリマーからでも誘導することができる。好ましくは、このバルクポリマーはポリオレフィンであり、より好ましくはフッ化ポリオレフィンである。好適な実施形態において、バルクポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。もうひとつの好適な実施形態において、バルクポリマーはポリ(フルオロエチレン−プロピレン)(FEP)である。重合体フィルムは、本明細書に記載の一体強化重合体フィルムである。一体強化重合体フィルムは、本明細書に記載されているような適切であれば何れの手段によっても強化することができる。好適な実施形態において、本発明の方法の一体強化重合体フィルムは、繊維で一体強化されたフィルムである。強化繊維は、フィルム構造内で織られていてもいなくてもよい。強化繊維は、例えば芳香族ポリアミドのような適切であればどのような材料から誘導してもよい。適切な芳香族ポリアミド繊維には、例えば、本明細書に記載のポリ( l, 3−フェニレンイソフタルアミド)繊維及び、ポリ(1, 4−フェニレンテレフタルアミド)繊維がある。他の適切なアラミド強化繊維には、例えば、本明細書に記載の芳香族ポリアミド−イミドのような繊維がある。適切な強化繊維には、ポリオレフィン繊維、好ましくはフッ化ポリオレフィン繊維、より好ましくは PTFE繊維もある。適切な強化繊維には、更に炭素繊維がある。もちろん、強化繊維は、混合された適切なポリマー又はコポリマーから誘導されてもよい。
【0028】本発明のひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化された PTFEフィルム、好ましくは芳香族ポリアミド織布繊維強化 PTFE流延フィルムである。もうひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化された FEPフィルムである。一体に強化された好ましい FEPフィルムには、例えば、PTFE織布繊維強化 FEP流延フィルム、ポリ( l, 3 −フェニレンイソフタルアミド)織布繊維強化 FEPフィルム、そしてポリ(1, 3 −フェニレンイソフタルアミド)/ポリ( l, 4−フェニレンテレフタルアミド)混織(blended woven)繊維強化 FEPフィルムがある。更にもうひとつの好適な実施形態において、一体強化重合体フィルムは、炭素不織布繊維強化 FEPフィルムである。
【0029】芳香族モノマーは、重合体のフィルムにグラフトされることができてイオン交換基が導入可能な芳香環を有する適切であればどのような芳香族モノマーでもよい。芳香環は、本明細書に記載するような芳香族性を持つどのような炭素環又は複素環、あるいはそれらの環系であってよい。適切な芳香環には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビフェニルスルホン等の炭素環式芳香環、及び例えば、オキサゾール、チアゾール、チオフェン、ピリジン、ベンゾチアゾール、キノリンなどの複素環式芳香環がある。芳香環は、好ましくは炭素環式芳香環、特にはベンゼン環である。より好ましくは、芳香族モノマーはビニルアリールモノマーであり、例えば、ビニルベンゼン、ビニルナフタレン(例えば、2−ビニルナフタレン)、ビニルビフェニル、ビニルビフェニルエーテル、又はそれらの誘導体である。最も好ましくは、芳香族モノマーはビニルベンゼンであり、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、トランス−β−メチルスチレン、又は(トリフルオロビニル)ベンゼン)、又はそれらの誘導体(例えば、ビニル塩化ベンジル)である。
【0030】一体強化重合体フィルムを芳香族モノマーに接触させた後、一体強化重合体フィルムは、芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムを用いてグラフトボンディングを受ける条件に曝される。一体強化重合体フィルムに芳香族モノマーをグラフトするのに適した条件には、例えば、放射線グラフト、前放射線グラフト(preirradation grafting)、後放射線グラフト(post irradtion grafting)、紫外線、熱グラフト、電子ビームグラフト、プラズマグラフト等、当業界に普通に精通するものには既知である任意のグラフト条件を含む。本発明の方法のグラフト条件には、放射線、より好ましくはガンマ線でのグラフトを伴うことが望ましい。好適な実施形態において、ガンマ線はコバルト源に由来する。ガンマ線強度は適切などのような強度でもよく、好ましくは約 500ラド/時から約 50,000 ラド/時、より好ましくは約 2,000ラド/時から約 12,000ラド/時、より好ましくは約 4,000ラド/時から約 10,000ラド/時である。反応時間は一般的に、約1時間から約400時間、好ましくは約24時間から約220時間、より好ましくは約72時間から約200時間である。本発明の方法は、適切であればどのような温度でも使用できるが、好ましくは約20℃から50℃である。
【0031】一体強化重合体フィルムに芳香族モノマーがグラフトされた後、イオン交換基が芳香環に導入されてイオン交換膜を提供する。芳香環にイオン交換基を導入するために、適切であればどのような有機反応方法論も利用可能である。例えば、カチオン交換基は、例として、クロロスルホン酸を用いてクロロスルホン化してから、得られたスルホニルクロリドを加水分解するような求電子置換反応によって、芳香環に導入してよい。アニオン交換基も、例えば、芳香環をニトロ化し、得られたニトロ基をアミンに還元してから、適切なアルキル化剤を用いてアミンを第四アミン化し、第四アンモニウムアニオン交換基を提供するような求電子置換反応により、芳香環へ導入することができる。もちろん、芳香族モノマーは、例えば、カルボン酸エステル(加水分解されてカルボン酸を提供可能)、スルホナートエステル(加水分解されてスルホン酸イオン交換基を提供可能)、又はニトロ基(還元されて、アミンを第四アミン化し、第四アンモニウム塩を提供可)等のイオン交換基のシントン(synthon、つまり同等合成品)を用いて置換することができる。
【0032】適切であればどのような技法ででも、例えば置換反応でイオン交換基を導入してよい。例えば、本発明の方法で使用される芳香族モノマーが例えば、ビニルベンジルハロゲン化物(例えば、ビニルベンジル塩化物)のような置換可能なハロゲン化物を有するビニルアリル化学種である場合、イオン交換基は、適切な求核試薬を用いて置換可能な塩化物を置換することにより導入できる。例えば、カチオン交換基は、置換可能な塩化物をスルフィドイオン(又はその同等物)で置換し、スルフィド化学種を酸化してスルホン酸基にすることにより、芳香環に導入できる。任意に、置換可能な塩化物をシアニドで置換してから、シアノ基を加水分解することにより、カルボン酸カチオン交換基を得ることができる。例えば、第四アンモニウム塩のようなアニオン交換基は、塩化物を適切な第三アミンで置換することにより、置換可能な塩化物を用いて芳香環に導入することができる。適切な第三アミンには、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、及び N, N−ジイソプロピルエチルアミン等のトリアルキルアミン、及び、例えば、ピリジン及び N- メチルイミダゾール等の芳香族第三アミンがある。置換反応の全体的な解説は、March 著"Advanced Organic Chemistry "( Wiley-Interscience発行, 1985年)に見ることができる。
【0033】好ましくは、本発明の方法のカチオン交換基はスルホン酸基である。好適な実施形態において、スルホン酸基は、芳香環をクロロスルフォン化してから、得られたクロロスルホニウム化学種を加水分解することにより、芳香環へ導入される。アニオン交換基は、好ましくはアンモニウム化学種、特には第四アンモニウム塩である。好適な実施形態において、アンモニウム化学種は、第三アミンで置換可能なベンジル塩化物を置換することにより、芳香環へ導入される。より好適な実施形態において、第三アミンは、トリアルキルアミン、特にはトリエチルアミンである。
【0034】本発明は更に、イオン交換基で置換された芳香環を持つ芳香族モノマーに、一体強化重合体フィルムを接触させ、次いで、一体強化重合体フィルムを、求イオン性(ionopholic)芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムへのグラフトボンディングを受ける条件に曝すことを含むイオン交換膜の製造方法を提供する。この方法において、芳香族モノマーは、芳香環がイオン交換基で置換されるという点で求イオン性である。従って、イオン交換基を導入する工程は、イオン交換膜を提供するためには必要ではない。しかし所望により、置換された芳香環へ付加的なイオン交換基を導入するための求電子置換法、及び本明細書に記載したような置換法を含め、適切であればどのような方法を用いても、本発明の方法により、付加的なイオン交換基をイオン交換膜の芳香環へ導入してもよい。
【0035】一体強化重合体フィルムは、本発明のイオン交換膜に関して本明細書中に記載されているような適切な材料を含め、適切であればどのような材料からも誘導できる。一体強化重合体フィルムは、本明細書中に記載されているような、適切であればどのような手段によってでも強化することができる。好適な実施形態において、本発明の方法の一体強化重合体フィルムは、一体に繊維強化されたフィルムである。
【0036】本発明のひとつの好適な実施形態において、一体に繊維強化された重合体フィルムは、一体に繊維強化された PTFE フィルム、好ましくは芳香族ポリアミド織布繊維強化 PTFE 流延フィルムである。もうひとつの好適な実施形態において、一体に繊維強化された重合体フィルムは、一体に繊維強化された FEPフィルムである。一体に繊維強化された FEPフィルムには、例えば、PTFE織布繊維強化 FEP流延フィルム、ポリ(1,3−フェニレンイソフタルアミド)織布繊維強化 FEPフィルム、及びポリ( l, 4−フェニレンテレフタルアミド)/ポリ( 1, 3−フェニレンイソルタールアミド)混織繊維強化 FEPフィルムがある。更にもうひとつの好適な実施形態において、繊維強化重合体フィルムは、炭素不織布繊維で強化された FEPフィルムである。
【0037】芳香族モノマーは、重合体フィルムへグラフトされることができてイオン交換基で置換された芳香環を持つ、適切であればどのような芳香族モノマーでもよい。芳香環は、本明細書中で記載されるような芳香族性を持つどのような炭素環又は複素環、もしくはそれらの環系であり得る。適切な芳香環には、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビフェニルスルホン等の炭素環式芳香環、及び例えば、オキサゾール、チアゾール、チオフェン、ピリジン、ベンゾチアゾール、キノリンなどの複素環式芳香環がある。芳香環は炭素芳香環(carbocyclic aromatic ring)、好ましくはベンゼン環である。イオン交換基は、本明細書中に記載するような、適切であればどのようなイオン交換基であってよく、先に検討したように、芳香族モノマーに求イオン性を与える。
【0038】この求イオン性芳香族モノマーは、次の化学式を持つビニルアリルモノマーであるのが好ましい。
【0039】
【式1】

ここで、(a) R1, R2, R3 は、同じでも、異なっていてもよく、それぞれ H, C1 - C3 アルキル又は F;(b)R4, R5, R6, R7, R8 は、同じでも、異なっていてもよく、それぞれ H , Br, Cl, F, NO2, C1 - C6 アルキル又はフルオロアルキル, アリール, シアノ, チオ, ヒドロキシ, アルコキシ, アリーロキシ, 又はアミノ;そして、(c) 置換基 R4, R5, R6, R7, 又は R8 のうち少なくともひとつが、化学式 -(CH2)nA (ここで、n は0から3の整数;Aは、C02R9, S03R9,B(0R9)2, P(O)(OH)2, 又は N+(R10)(R11)(R12), ここで R9 はナトリウム、水素、又はアルキル;R10, R11, R12は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H, C1 - C6 アルキル, 又はアリールである。ひとつの好適な実施形態において、R1, R2, R3 はすべて Hである。もうひとつの好適な実施形態において、R1 = R2 = H であるとき、R3 は CH3 である。もうひとつの好適な実施形態において、R3 = H であるとき、R1 又は R2 は CH3 である。更にもうひとつの好適な実施形態において、R1, R2, R3 はすべて Fである。
【0040】本発明の方法で利用される求イオン性芳香族モノマーは、市販でも、又は適切であればどのような合成法でも入手可能である。市販で入手可能な適切な求イオン性芳香族モノマーの例には、スチレンスルホン酸、ナトリウム塩、及びビニル安息香酸等のようなモノマーがある。
【0041】一体強化重合体フィルムに求イオン性モノマーを接触させた後、一体強化重合体フィルムは、求イオン性芳香族モノマーが一体強化重合体フィルムへのグラフトボンディングを受ける条件に曝される。一体強化重合体フィルムに芳香族モノマーをグラフトする適切な条件は、本明細書中に記載したようなグラフト条件を含め、任意の数の条件を含む。好ましくは、本発明方法のグラフト条件は、放射線、より好ましくはガンマ線によってグラフトすることを伴なう。適切な放射線強度、反応温度、及び反応時間の何れも、本発明の方法の範囲内にあり、本明細書中に記載されるような放射線強度、反応温度、及び反応時間を含む。
【0042】本発明のイオン交換膜の何れについても、それらの方法はバッチ処理又は連続処理を伴なうことができる。同じように、イオン交換膜を、不連続品あるいはロール品で形成することができる。長さの大きい膜、特にはロールを製造する際は、一体強化重合体フィルムが均質であること、すなわち適切な設備、支持体、そしてスペーサを必要に応じて利用することにより、芳香族モノマーを用いて同じように処理することを確保するのが望ましい。
【0043】本発明は更に、流体を処理するための方法を更に提供し、流体は本発明のイオン交換膜に接触させられる。例えば、塩素−アルカリ生成で使用される電解液の処理での、あるいは水の脱塩に向けた用途での選択透過性イオンバリアのような適切であれば、何れの処理方法も流体処理のための本発明方法の範囲内である。特別な用途によっては、流体処理の本発明方法を用いて、流体中のイオンを奪ったりあるいは流体中のイオンを濃縮させたりすることができる。
【0044】例えば、本発明方法のひとつの実施形態において、本発明のカチオン交換膜は、例えば水酸化ナトリウム生成のようなアルカリ金属水酸化物生成に使用される電解セルのための選択透過性カソード隔室バリヤとして利用されることができる。ここで、塩化ナトリウム水溶液が本発明の膜と接触させられ、この膜は、正に帯電したナトリウムイオンが通過して、陰極との間で電解的に反応することを可能にする一方、負に帯電した塩化物イオンを排除するバリアを形成する。それにより、この実施形態における塩化ナトリウム溶液中のナトリウムイオンは奪われることになる。従って、塩化物イオンの排除は、結果として、塩化ナトリウム溶液中の塩化物イオンを濃縮する。
【0045】流体処理のための本発明の方法のもうひとつの実施形態において、本発明のアニオン交換膜は、塩素生成で使用される電解セルのための選択透過性陽極(anode)隔室バリヤとして使われることができる。ここで、塩化ナトリウム水溶液が本発明の膜と接触させられ、この膜は、負に帯電した塩化物が通過して、陽極との間で電解的に反応することを可能にする一方、正に帯電したナトリウムイオンを排除する。それによって、この実施形態の塩化ナトリウム溶液中の塩化物イオンは奪われる一方、ナトリウムイオンの排除は、結果として、塩化ナトリウム溶液中のナトリウムイオンを濃縮する。
【0046】ひとつの好適な実施形態において、流体を処理するための本発明の方法は、スルホン酸基で置換されたベンゼン環を持つ有機成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するカチオン交換膜を利用している。もうひとつの好適な実施形態において、流体を処理するための本発明の方法は、第四アンモニウム基で置換されたベンゼン環を持つ有機成分を用いてグラフトされた一体強化重合体フィルムを有するアニオン交換膜を利用している。
【0047】本発明は、ハウジングと、本発明のイオン交換膜を備えるイオン交換装置も提供する。好ましくは、このイオン交換装置は電気透析装置であって、この電気透析装置は、流体を処理するための本発明の方法で使用される。本発明のイオン交換装置は、典型的には、フィルターユニットを支持するハウジングを含む。このハウジングは、アセンブリ、フレーム、カートリッジ、ブラケット、容器、あるいはアダプタでも、適切であれば何れも含むことができ、カチオン交換膜又はアニオン交換膜であってもよい、本発明の少なくともひとつのイオン交換膜に関係して動作する。
【0048】本発明のイオン交換装置は、多重にした本発明のイオン交換膜を利用することができる。これらのイオン交換膜は、例えば積層した一連の膜のような、適切であればどのような構成にも配置することができる。個々のイオン交換膜は、カチオン交換膜、アニオン交換膜、又は、適切であればどのような組み合わせで構成したカチオン及びアニオン交換膜も使用できる。例えば、イオン交換装置は、本発明のアニオンとカチオン交換膜を交互に複数積層することにより、各カチオン交換膜がひとつおきのアニオン交換膜間に挟まれる交換膜を使用することができる。所望により、イオン交換装置は、単一のバイポーラ膜システムを使用でき、ここで本発明の一枚のアニオン交換膜が、本発明のカチオン交換膜上に重畳される。
【0049】本発明のイオン交換装置の多層の実施形態において、例えば、熱融着、接着剤での前処理による接着、又は(例えば、イオン交換膜を接着及び/又は積層することを伴なうバイポーラ膜の製造のための)当業界で周知の、適切であればどのような方法でも、個々の膜層を一緒に保持することができる。
【0050】以下の実施例は本発明を更に説明するものであるが、もちろん、本発明をその範囲に制限すると解釈すべきではない。
実施例1この実施例は、本発明のカチオン交換膜を製造するための方法を説明する。
【0051】実質的に非多孔質で、厚さ 130ミクロン(5ミル)のポリ( l, 4 −フェニレンテレフタルアミド)織布繊維強化 PTFE フィルムの試料を、スチレン溶液(塩化メチレン中、22重量%のスチレン)で充填された反応容器へ浸漬した。容器を密封し、強度が約 7,000ラド/時のガンマ線を160時間にわたり大気温度で照射した。次いで、試料を容器から取り出して塩化メチレンで洗浄し、大気温度で1.25 時間にわたりクロロスルホン酸溶液(塩化メチレン中、3重量%のクロロスルホン酸)中に放置した。試料を容器から取り出し、沸騰水(100℃)に15から20分間浸漬した後、大気温度で水洗いした。得られたカチオン交換膜を、49℃で15から20分間にわたり乾燥させた。
【0052】乾燥した膜の性質を測定し、それを表1に記載する。
【0053】
【表1】

実施例2この実施例は、本発明のアニオン交換膜を製造するための方法を説明する。実質的に非多孔質で、厚さ 130ミクロン(5ミル)のポリ( l, 4−フェニレンテレフタルアミド)織布繊維強化 PTFEフィルムの試料を、4−ビニル塩化ベンジル溶液(塩化メチレン中、35重量%の 4-ビニル塩化ベンジル)で充填された反応容器へ浸漬した。容器を密封し、強度が約 7,000ラド/時のガンマ線を140時間にわたり大気温度で照射した。次いで、試料を容器から取り出して塩化メチレンで洗浄し、大気温度で5日にわたりトリエチルアミン溶液(塩化メチレン中、30重量%のトリエチルアミン)中に放置した。試料を容器から取り出し、沸騰水(100℃)に30から40分間浸漬した後、大気温度で水洗いした。得られたアニオン交換膜を、55℃で15から20分間にわたり乾燥させた。
【0054】乾燥した膜の性質を測定し、それを表2に記載する。
【0055】
【表2】

実施例3この実施例は、酸水溶液中での本発明のアニオン交換膜の安定性を説明する。実施例2で調製したアニオン交換膜を、種々の温度で種々の期間にわたり、15%(重量) のH2SO4 水溶液中に放置した。アニオン交換膜の寸法安定性を、処理後の膜の膨張百分率で測定した。アニオン交換膜の酸化安定性を、膜の重量百分率変化で測定した。
【0056】実施例3のアニオン交換膜に関して得られた安定性データを表3に引用する。
【0057】
【表3】

これらのデータは、本発明のアニオン交換膜が、酸性条件への長期間にわたる曝露後も、寸法及び酸化安定性を維持することを証明している。6週間にわたる60℃の酸性条件への曝露後、寸法あるいは重量に何等有意な変化はなかった。
実施例4この実施例は、水ベース中での本発明のアニオン交換膜の安定性を説明する。
【0058】実施例2で調製したアニオン交換膜を、種々の温度で種々の期間にわたり、20%(重量)の NaOH 水溶液中に放置した。アニオン交換膜の寸法安定性を、処理後の膜の膨張百分率で測定した。アニオン交換膜の酸化安定性を、膜の重量百分率変化で測定した。
【0059】実施例4のアニオン交換膜に関して得られた安定性データを表4に示す。
【0060】
【表4】

これらのデータは、本発明のアニオン交換膜が、アルカリ性条件への長期間にわたる曝露後も、寸法及び酸化安定性を維持することを証明している。6週間にわたる60℃のアルカリ性条件への曝露後、寸法あるいは重量に何等有意な変化はなかった。
実施例5この実施例は、実施例2のアニオン交換膜の安定性と、並置した2個の周知のアニオン交換膜の加速安定性試験での安定性とを比較する。この実施例において、実施例2の膜と、商標 Neosepta AM-3でTokuyuma Sodaが市販しているアニオン交換膜と、商標 Selemion AMV でAsahi Glass 社が市販しているアニオン交換膜とを、還流させた20(重量)%の NaOH中に10時間にわたり放置した。得られた膜の重量変化百分率と、引張強さ減少百分率とを試験した。その試験結果を表5に示す。
【0061】
【表5】

これらのデータは、本発明のアニオン交換膜が、加速劣化条件のもとでも安定性を維持することを証明している。実施例2の本発明の膜の酸化安定性は、試験を行なった従来の膜の安定性より優れている。本発明の膜は、試験後の変化はほとんど見られなかったが、試験された従来の膜は、重量の 1/10〜2/10が失われた。実施例2の本発明の膜の引張強さも同様に、試験された従来の膜より優れている。本発明の膜は、試験後、何の変化も示さなかったが、試験された従来の膜は、その引張強さの 1/3〜2/3 を失った。
【0062】本明細書中で引用されているすべての文献は、そのすべてを引用して、本明細書中に組み込まれている。
【0063】以上説明したように、本発明の特別な実施形態が示されているが、特に先に述べた教示に照らして、当該技術に精通するものにより変更が可能であることから、本発明がそれらの実施例に限定されないことは当然理解されるであろう。従って、本発明の真の思想と範囲の中での改良の基本的特徴を構成する上記変更の特徴を組み込んだどのような変更も含むように、添付請求項は熟慮されている。




 

 


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