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発明の名称 電動工具の変速装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−123670
公開日 平成11年(1999)5月11日
出願番号 特願平9−290146
出願日 平成9年(1997)10月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外6名)
発明者 佐々木 克彦 / 山田 幸彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 電動モータで回転する駆動軸上に第1および第2駆動ギヤを配置し、スピンドル上に第1および第2従動ギヤを配置し、前記第1駆動ギヤは前記駆動軸に空転可能に支持されて前記第1従動ギヤに噛み合い、前記第2駆動ギヤは前記駆動軸と一体回転し、かつ外周歯が前記第2従動ギヤに噛み合う高速位置と内周歯が前記第1駆動ギヤに噛み合う低速位置との間を移動可能に支持され、該第2駆動ギヤを前記高速位置に切り換えると該第2駆動ギヤの外周歯と前記第2従動ギヤの噛合いを経て前記スピンドルが高速で回転し、該第2駆動ギヤを前記低速位置に切り換えると該第2駆動ギヤの内周歯と前記第1駆動ギヤとの噛合いおよび該第1駆動ギヤと前記第1従動ギヤとの噛合いを経て前記スピンドルが低速で回転する構成としたことを特徴とする電動工具の変速装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば電気ドリルやスクリュードライバ等の電動工具に組み込まれる変速装置であって、ギヤの噛合いを切り換えることによりスピンドルの回転数を変更する形式の変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の変速装置として、例えば実公平7−13926号公報、実開昭61−181605号公報あるいは実開昭59−140179号公報に開示されたものがあった。これら従来の変速装置は、電動モータで回転する駆動軸上に固定され、相互に歯数の異なる2枚の駆動ギヤと、駆動軸に平行なスピンドル上に空転可能に配置され、同じく相互に歯数の異なる2枚の従動ギヤと、この2枚の従動ギヤ間においてスピンドル上に軸方向移動可能かつ回転について固定されたクラッチプレートを有する構成となっていた。一方の駆動ギヤと一方の従動ギヤは常時噛合い、他方の駆動ギヤと他方の従動ギヤも常時噛み合っている。かかるクラッチプレート移動式の変速装置によれば、クラッチプレートの位置を切り換えて一方の従動ギヤに係合させることにより、この一方の従動ギヤを有効とし、他方の従動ギヤを無効としてスピンドル上で空転させることによりスピンドルの回転数を切り換える構成となっていた。また、従来別形態の変速装置として、例えば実開昭53−39889号公報あるいは実開昭61−201706号公報等に開示されているように、相互に一体化した2枚の従動ギヤをスピンドル上に軸方向移動可能かつ回転について固定した構成としたものがあった。かかる従動ギヤ移動式の変速装置によれば、両従動ギヤを第1の位置に位置させると、一方の従動ギヤが一方の駆動ギヤに噛合い、第2の位置に位置させると、他方の従動ギヤが他方の駆動ギヤに噛合い、これによりスピンドルの回転数を切り換える構成となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のクラッチプレート移動式の変速装置にあっては駆動側と従動側の4枚のギヤに加えてクラッチプレートを必要とするため構成が複雑になる問題があった。また、後者の従動ギヤ移動式の変速装置にあっては、ニュートラル状態(2枚の従動ギヤがいずれも駆動ギヤに噛み合わない状態)を確保するため、両駆動ギヤ間に一定以上の間隔を開ける必要があり、その結果当該変速装置をコンパクトに構成することが困難になる問題があった。本発明は、これら従来の問題に鑑みなされたもので、従来のクラッチプレートを必要とせず、かつコンパクトに構成することのできる変速装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載の変速装置は、電動モータで回転する駆動軸上に第1および第2駆動ギヤを配置し、スピンドル上に第1および第2従動ギヤを配置し、前記第1駆動ギヤは前記駆動軸に空転可能に支持されて前記第1従動ギヤに噛み合い、前記第2駆動ギヤは前記駆動軸と一体回転し、かつ外周歯が前記第2従動ギヤに噛み合う高速位置と内周歯が前記第1駆動ギヤに噛み合う低速位置との間を移動可能に支持され、該第2駆動ギヤを前記高速位置に切り換えると該第2駆動ギヤの外周歯と前記第2従動ギヤの噛合いを経て前記スピンドルが高速で回転し、該第2駆動ギヤを前記低速位置に切り換えると該第2駆動ギヤの内周歯と前記第1駆動ギヤとの噛合いおよび該第1駆動ギヤと前記第1従動ギヤとの噛合いを経て前記スピンドルが低速で回転する構成としたことを特徴とする。この変速装置によれば、第2駆動ギヤ自体が移動することにより、高速と低速の切換えがなされるので、従来のクラッチプレートは不要であり、これにより当該装置の簡素化を図ることができる。また、第2駆動ギヤを第1駆動ギヤと第2従動ギヤのいずれにも噛み合わない状態とすることにより、当該変速装置のニュートラル状態を実現できるので、第1駆動ギヤと第2従動ギヤとの間に第2駆動ギヤを位置させるに十分な間隔があれば足り、従来のように2枚のギヤを位置させるためのスペースを確保する必要はなく、これにより当該変速装置のコンパクト化を図ることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る変速装置1を組み込んだスクリュードライバ50を示している。本実施形態において、変速装置1以外については特に変更を要しないが、以下簡単に説明する。図中51は当該スクリュードライバ50のハウジングであり、52は電動モータを示している。電動モータ52の出力軸52aには冷却用のファン53が取付けられている。出力軸52aの先端に形成したピニオンギヤ52bは、駆動軸2に取り付けた第3駆動ギヤ3に噛み合っており、電動モータ52が起動するとこの第3駆動ギヤ3を経て駆動軸2が回転する。駆動軸2は、軸受2a,2bによりハウジング51に回転可能に支持されている。駆動軸2に伝達された動力は、以下説明する本実施形態の変速装置1を経てスピンドル4に伝達される。スピンドル4の先端部4a(図示右端部)は、軸受54cを介してハウジング51に回転可能に支持された中間スリーブ54の支持孔54dに軸方向移動可能に挿入されている。支持孔54d内には圧縮ばね57が介装されているため、スピンドル4はこの支持孔54d内から抜け出す方向(図示左方)に付勢されている。また、スピンドル4の先端部4aには面取り部4bが形成されて、支持孔54d内のエア抜きがなされるようになっており、これによりスピンドル4のスムーズな軸方向の移動が確保されている。一方、スピンドル4の後端部(図示左端部)は、ニードルベアリング55およびスラストベアリング56によりハウジング51に対して軸方向移動可能に支持されている。中間スリーブ54の後部にはフランジ部54aが形成され、このフランジ部54aの後面にはクラッチ歯54b〜54bが形成されている。このクラッチ歯54b〜54bが、後述する第2従動ギヤ8の先端面に形成したクラッチ歯8a〜8aに噛み合うと、この第2従動ギヤ8の回転が中間スリーブ54に伝達される。中間スリーブ54の先端にはドライバビット60が同軸に装着されているので、中間スリーブ54が回転すればこのドライバビット60も一体で回転する。ハウジング51の先端部にはねじ部51aを介してアジャストスリーブ61が取付けられ、このアジャストスリーブ61の先端にはストッパスリーブ62が取付けられている。アジャストスリーブ61を回転操作することによりストッパスリーブ62の軸方向の位置を調整することができる。ストッパスリーブ62の先端面からドライバビット60の先端部60aが突き出されており、ストッパスリーブ62の位置を調整することにより、この先端部60aの突き出し量を調整することができる。
【0006】さて、前記したように駆動軸2に伝達された動力は、変速装置1を経てスピンドル4に伝達される。この変速装置1の詳細が図2〜図5に示されている。なお、本実施形態の変速装置1は減速装置として機能する。駆動軸2上には、前記第3駆動ギヤ3の他に第1および第2駆動ギヤ5,6が取付けられている。第1駆動ギヤ5は駆動軸2に対して回転可能に支持されている。一方、第2駆動ギヤ6は、外周に噛合い歯(外周歯)6aを有し、内周に内周歯6bを有しており、内周歯6bは当該駆動軸2の先端側に形成したスプライン軸部2cに噛み合っている。このため、第2駆動ギヤ6は駆動軸2と一体で回転可能であるとともに、一定の範囲で軸方向に移動可能となっている。この第2駆動ギヤ6は軸方向に移動することにより、その内周歯6bをスプライン軸部2cにのみ噛み合わせた状態(図2に示す状態)と、スプライン軸部2cと第1駆動ギヤ5の双方に噛み合った状態(図5に示す状態)とに切り換えることができるようになっている。第1駆動ギヤ5の歯数Z5 と第2駆動ギヤ6の外周歯6aの歯数Z6 との関係はZ5 <Z6 に設定されている。また、第1駆動ギヤ5と第2駆動ギヤ6の内周歯6bは全周にわたって噛み合う。スピンドル4上には、第1および第2従動ギヤ7,8とニュートラルギヤ9が取付けられている。両従動ギヤ7,8の歯数Z7 ,Z8 とニュートラルギヤ9の歯数Z9 は、Z7 >Z8 =Z9 の関係に設定されている。第1従動ギヤ7の内周側とスピンドル4との間には鋼球7aが挟み込まれており、これにより第1従動ギヤ7はスピンドル4と一体で回転するとともに、第1従動ギヤ7に対するスピンドル4の軸方向の移動が許容されるようになっている。この第1従動ギヤ7は前記第1駆動ギヤ5に常時噛み合っている。
【0007】ニュートラルギヤ9はスピンドル4に回転可能に支持され、また軸方向にも固定されておらず、第1および第2従動ギヤ7,8に挟まれた状態に取付けられている。但し、前記圧縮ばね57の間接作用により第2従動ギヤ8はニュートラルギヤ9に押圧され、従ってニュートラルギヤ9は第1従動ギヤ7に押圧されている。このため、第2従動ギヤ8の後端面とニュートラルギヤ9の前端面9aとの間、およびニュートラルギヤ9の後端面9bと第1従動ギヤ7の前端面との間には摩擦力が発生している。第2従動ギヤ8はスピンドル4に対して軸方向移動不能かつ相対回転不能に固定されている。この第2従動ギヤ8の前面には前記したようにクラッチ歯8a〜8aが形成されている。また、この第2従動ギヤ8にはサイレントクラッチ40用のクラッチピン41〜41が取付けられている。このサイレントクラッチ40については後述する。前記したように第2駆動ギヤ6が軸方向に移動することにより、その外周歯6aは第2従動ギヤ8とニュートラルギヤ9の双方に噛み合う状態(図2に示す状態)と、ニュートラルギヤ9にのみ噛み合う状態(図3および図4に示す状態)と、いづれにも噛み合わない状態(図5に示す状態)とに切り換わる。以下、図2に示すように内周歯6bがスプライン軸部2cにのみ噛合い、外周歯6aが第2従動ギヤ8に噛み合った位置を第2駆動ギヤ6の「高速位置」と言い、図5に示すように内周歯6bがスプライン軸部2cと第1駆動ギヤ5の双方に噛合い、外周歯6aが第2従動ギヤ8に噛み合っていない位置を第2駆動ギヤ6の「低速位置」と言い、図3に示すように内周歯6bがスプライン軸部2cにのみ噛合い、外周歯6aがニュートラルギヤ9にのみ噛み合う位置を第2駆動ギヤ6の「ニュートラル位置」と言う。
【0008】次に、前記第2駆動ギヤ6を高速位置または低速位置に移動させるための変速操作機構10について説明する。図2〜図5に示すように第2駆動ギヤ6の一部は、その回転を阻害しない範囲でU字型のチェンジレバー11に挟まれており、このチェンジレバー11が前後方向(図示左右方向)に移動することにより第2駆動ギヤ6が高速位置と低速位置との間を移動する。このチェンジレバー11を移動させるための機構の詳細が図6〜図8に示されている。先ず、ハウジング51の下面には、切換え用の操作ノブ12が回転可能に設けられている。すなわち、操作ノブ12の軸部12aが、ハウジング51の下壁51bと、該下壁51bの内面に形成した支持壁51cとの間に掛け渡し状に回転可能に支持されている。この操作ノブ12の軸部12aには、位置保持用のフランジ部12bが形成され、またピニオンギヤ13が取付けられている。図8に示すように位置保持用のフランジ部12bの周面には高速位置保持用の凹部12cと低速位置保持用の凹部12dが形成されている。両凹部12c,12dは相互に180°の間隔をおいた2箇所に形成されており、両凹部12c,12dの間には周方向に長い凹部12eが形成されている。この凹部12eは第2駆動ギヤ6をニュートラル位置(図3参照)を保持するために用いられる。一方、各凹部12c,12d,12eに対応してフランジ部12bの側方には、略U字型の位置保持部材14が取付けられている。この位置保持部材14の中央には凸部14aが形成されており、この凸部14aが凹部12c又は凹部12d又は12eに弾性的に嵌まり込むことにより第2駆動ギヤ6が高速位置に保持され、又は低速位置に保持され、又はニュートラル位置に保持される(操作ノブ12の位置保持機構)。
【0009】次に、上記ピニオンギヤ13は、ラック15に噛み合わされている。このラック15は、ハウジング51の内部に設けたスライドバー51dを介して前後方向(図7において左右方向)に移動可能に支持されている。このラック15に上記チェンジレバー11が取付けられている。このため、操作ノブ12をほぼ180°の範囲で回転操作すると、ピニオンギヤ13とラック15の噛合い作用を経て当該ラック15が移動し、ひいてはチェンジレバー11が前後方向に移動して、第2駆動ギヤ6が高速位置と低速位置との間を移動する。
【0010】このように構成した第1実施形態の変速装置1によれば、高速時又は低速時の動力の伝達が以下の経路でなされる。先ず、図2は当該変速装置1が高速位置に切り換えられた状態、すなわち第2駆動ギヤ6が第2従動ギヤ8に噛み合って第1駆動ギヤ5には噛み合っていない状態を示している。この高速位置は、上記したように操作ノブ12の凹部12cに位置保持部材14の凸部14aが弾性的に嵌まり込むことにより保持されている。この高速位置において、電動モータ51の回転力がそのピニオンギヤ52bと第3駆動ギヤ3の噛合い作用を経て駆動軸2に伝達される。駆動軸2が回転すると、内周歯6bとスプライン軸部2cの噛合い作用を経て第2駆動ギヤ6が一体で回転する。第2駆動ギヤ6は第2従動ギヤ8に噛み合っているので、両者の噛合い作用を経てスピンドル4が回転する。従って、この高速位置における減速比は、Z8 /Z6 となっている。スピンドル4の回転は、前記したようにそのクラッチ歯8a〜8aと中間スリーブ54のクラッチ歯54b〜54bが噛み合うことにより当該中間スリーブ54に伝達され、これによりドライバビット60が所定の速度で回転する。
【0011】次に、操作ノブ12を低速側へ約120°だけ回転操作すると、図3に示すように第2駆動ギヤ6は後方(図示左方)へ移動して、第1駆動ギヤ5および第2従動ギヤ8の双方に噛み合わず、ニュートラルギヤ9にのみ噛み合う位置、すなわち当該変速装置1のニュートラル位置に至る。このニュートラル位置では、スプライン軸部2cと内周歯6bの噛合い作用および第2駆動ギヤ6の外周歯6aとニュートラルギヤ9との噛合い作用を経て駆動軸2の回転がニュートラルギヤ9にのみ直接伝達される。ニュートラルギヤ9はスピンドル4に対して空転可能に支持されているため、スピンドル4には直接回転力が伝達されない(ニュートラル状態)。しかしながら、前記圧縮ばね57の間接作用により、第2従動ギヤ8がニュートラルギヤ9の前端面9aに押し付けられているので、両者8,9間に発生する摩擦力によりニュートラルギヤ9の回転が第2従動ギヤ8ひいてはスピンドル4に伝達される。但し、摩擦力を経てのみ伝達されるため、両者8,9間には適度な滑りが生じ、このため第2従動ギヤ8はニュートラルギヤ9よりも若干低い回転数で回転する。また、圧縮ばね57の間接作用によりニュートラルギヤ9の後端面9bが第1従動ギヤ7に押し付けられているので、両者9,7間にも摩擦力が発生し、この摩擦力によってもニュートラルギヤ9の回転が第1従動ギヤ7に伝達され、これにより第1駆動ギヤ5が回転する。このように、このニュートラル状態において、第2従動ギヤ8および第1駆動ギヤ5が適度な回転数差をもって空転しているため、第2駆動ギヤ6を高速位置又は低速位置に移動させる時に、この第2駆動ギヤ6の外周歯6aと第2従動ギヤ8との噛合い、および第2駆動ギヤ6の内周歯6bと第1駆動ギヤ5との噛合いが極めてスムーズになされる(シンクロ機能)。なお、図2に示すように第2駆動ギヤ6が高速位置に切り換えられている状態においても、この第2駆動ギヤ6がニュートラルギヤ9にも僅かに噛み合っているため、ニュートラルギヤ9が第2従動ギヤ8と一体で回転し、従って第1従動ギヤ7および第1駆動ギヤ5が摩擦力による若干の滑りを生じながら回転する。
【0012】図3に示すニュートラル状態において、操作ノブ12をさらに約60°回転操作すると、第2駆動ギヤ6は図4の位置を経て図5の低速位置に至る。図4に示すように、第2駆動ギヤ6が第1駆動ギヤ5に噛み合い始める段階では、上記したように第1駆動ギヤ5が第2駆動ギヤ6よりも若干の回転数差をもって駆動軸2上を空転しているため、第2駆動ギヤ6の内周歯6bと第1駆動ギヤ5の噛合いが極めてスムーズになされる。このシンクロ機能は、本実施形態の場合のように内周歯6bと第1駆動ギヤ5が全周にわたって噛み合うような場合に特に効果が大きい。第2駆動ギヤ6が図4に示す位置を経て図5に示す低速位置に至ると、第2駆動ギヤ6の内周歯6bは駆動軸2のスプライン軸部2cと第1駆動ギヤ5の双方に跨がるようにして噛み合う状態となる。このため、駆動軸2の回転は第2駆動ギヤ6を介して直接的に第1駆動ギヤ5に伝達される。すなわち、第1駆動ギヤ5は駆動軸2と一体で回転する。駆動ギヤ5が回転すると、これに噛み合う第1従動ギヤ7が回転する。第1従動ギヤ7は鋼球7aを介してスピンドル4と回転について一体化されているので、第1従動ギヤ7が回転すればスピンドル4が一体で回転し、ひいては上記と同様第2従動ギヤ8のクラッチ歯8a〜8aと中間スリーブ54のクラッチ歯54b〜54bの噛合いを経てドライバビット60が回転する。このように、第2駆動ギヤ6が低速位置に切り換えられると、第1駆動ギヤ5および第1従動ギヤ7の噛合いを経てスピンドル4が回転し、従ってこの時における減速比はZ7 /Z5 となる。この減速比Z7 /Z5 は、Z5 <Z6 およびZ7 >Z8 の関係より前記減速比Z8 /Z6 よりも大きな値となり、従って第1駆動ギヤ5と第1従動ギヤ7を経て動力が伝達されると(低速時)、第2駆動ギヤ6と第2従動ギヤ8を経て動力が伝達される場合(高速時)よりもスピンドル4はより低速で回転する。
【0013】次に、スピンドル4の回転を中間スリーブ5に伝達するためのサイレントクラッチ40について説明する。ねじ締めを開始すべく、ドライバビット60の先端をビス(図示省略)の頭部にセットして当該スクリュードライバ50をねじ締め方向(図1において右方)に押し付けると、相対的に中間スリーブ54が軸方向に後退する(図1において、左方へ移動する)。前記したように第2従動ギヤ8の前端面には、同一円周上の複数箇所(本実施形態では3箇所、図9〜図13参照)にクラッチ歯8a〜8aが周方向等間隔に形成されている。一方、中間スリーブ54のフランジ部54aの後端面にも、同一円周上の複数箇所(本実施形態では6箇所、図9〜図13参照)にクラッチ歯54b〜54bが周方向等間隔で形成されている。このため、中間スリーブ54が後退すると、クラッチ歯54b〜54bがクラッチ歯8a〜8aに噛合い、これにより第2従動ギヤ8の回転が中間スリーブ54に伝達される。さらに、第2従動ギヤ8には、前記したサイレントクラッチ40用のクラッチピン41〜41が取付けられている。各クラッチピン41は、第2従動ギヤ8側のクラッチ歯8a,8a間に1個づつ従って合計3個取付けられている。このクラッチピン41〜41とクラッチ歯8a〜8a、54b〜54bがサイレントクラッチ40を構成し、その動作が図9〜図13に示されている。なお、図9〜図13では、図示下側が当該スクリュードライバ50の前側であり、上側が後側となる。各クラッチピン41は中間スリーブ54側のクラッチ歯54b〜54bに向けて突き出し状かつ傾動可能に配置されている。このクラッチピン41はほぼ半球体をなす頭部41aと、この頭部41aの前面から突き出す係合ピン部41bを備えている。頭部41aは、第1従動ギヤ8の後面に形成した半球状の受け孔8cに摺動可能に嵌め込まれ、係合ピン部41bは受け孔8cに貫通して形成した挿通孔8dに挿通されている。挿通孔8dの、第2従動ギヤ8の回転方向後ろ側(図9〜図13において右側)には逃がし凹部8bが形成されており、これにより当該クラッチピン41が第2従動ギヤ8の回転方向後ろ側に傾動可能となっている(図11、図12参照)。
【0014】図9、図10および図13に示すようにクラッチピン41が傾斜しない状態では、頭部41aの後面は当該第2従動ギヤ9の後面と面一に位置するため第2従動ギヤ8の後面はニュートラルギヤ9の前面に当接している。一方、図11および図12に示すようにクラッチピン41が傾斜すると、頭部41aの角部が第2従動ギヤ8の後面からはみ出され、このはみ出し部分がニュートラルギヤ9の前面に突き当てられることにより、当該第2従動ギヤ8がスピンドル4と一体となって前方へ移動する。このため、図11および図12に示すように第2従動ギヤ8の後面とニュートラルギヤ9の前面との間に隙間Lが発生する。前記したようにスピンドル4は圧縮ばね57により後方に付勢され、ひいては第2従動ギヤ8がニュートラルギヤ9の前面に押し付けられる方向に付勢されている。従って、上記クラッチピン41の傾動はこの圧縮ばね57に抗してなされ、かつ圧縮ばね57によりクラッチピン41は傾斜しない直立姿勢に保持されるように付勢されている。図9は当該スクリュードライバ50をねじ締め方向に押付け操作していない状態におけるサイレントクラッチ40を示している。この状態では、中間スリーブ54のフランジ部54aと第2従動ギヤ8は圧縮ばね57の付勢力により離れている。また、この状態で第2従動ギヤ8(駆動側)は前記変速装置1を経て図示矢印方向に回転している(以下同じ)。この時、クラッチピン41は圧縮ばね57の間接的作用により直立姿勢に位置している。この状態から当該スクリュードライバ50をねじ締め方向に押付け操作すると、上記したように中間スリーブ54が後退し、図5に示すように中間スリーブ54のフランジ部54aが第2従動ギヤ8に押し付けられ、これにより中間スリーブ54側のクラッチ歯54b〜54bが、第2従動ギヤ8側のクラッチ歯8aとクラッチピン41との間に入り込む。また、これと同時に第2従動ギヤ8が図11に示すように中間スリーブ54に対して回転方向に変位するため、中間スリーブ54側のクラッチ歯54bが相対的に図示右方の回転方向後ろ側へ変位し、これによりクラッチピン41がクラッチ歯54b〜54bに押されて回転方向後ろ側へ一定角度傾動する。このような段階を経てクラッチピン41〜41とクラッチ歯8a〜8aに対して中間スリーブ54のクラッチ歯54b〜54bが相互に噛み合い、この時点で、第2従動ギヤ8の回転駆動力が中間スリーブ54に直接伝達されてドライバビット60が回転し、これによりねじ締めが行われる。
【0015】ストッパスリーブ62の先端面が締め付けすべき材料面に当接すると、図12に示すようにクラッチ歯54b〜54bのクラッチピン41〜41およびクラッチ歯8a〜8aに対する噛合い深さが徐々に浅くなり、最終的にそれらの噛合いが外れる。クラッチピン41〜41からクラッチ歯54b〜54bが外れると、図13に示すようにこのクラッチピン41〜41は圧縮ばね57の間接的作用により即座に直立姿勢に戻され、従って第2従動ギヤ8は圧縮ばね57の付勢力により距離Lだけ後退してニュートラルギヤ9の前面に押し付けられる。このように、クラッチピン41〜41からクラッチ歯54bが外れた瞬間に第2従動ギヤ8が距離Lだけ後退するので、クラッチピン41〜41、クラッチ歯8a〜8aとクラッチ歯54b〜54bとの間に瞬時にして適正な隙間が発生し、これにより当該サイレントクラッチ40が静かに空転する状態となる。このように構成したサイレントクラッチ40において、クラッチピン41〜41の傾動により第2従動ギヤ8を前方に移動させるためには、軸方向に移動しないニュートラルギヤ9の存在が不可欠である。このことから、本実施形態におけるニュートラルギヤ9は、前記したように第2駆動ギヤ6がニュートラル位置に位置する時に、第1駆動ギヤ5および第2従動ギヤ8を空転させておくシンクロ機能に加えて、サイレントクラッチ40を機能させるための重要な役割を兼ね備えている。
【0016】以上説明した本実施形態の変速装置1によれば、1枚の第2駆動ギヤ6の位置を切り換えるだけで変速させることができるので、従来のように別途クラッチプレートを必要とせず、これにより当該変速装置1の構造を簡略化することができる。また、2枚の駆動ギヤ5,6の内1枚の第2駆動ギヤ6のみをニュートラル位置に切り換えることにより当該変速装置1のニュートラル状態を実現することができるので、従来よりも第1従動ギヤ7と第2従動ギヤ8との間隔を小さくすることができ、これにより当該変速装置1のコンパクト化を図ることができる。さらに、第2駆動ギヤ6をニュートラル位置に切り換えると、ニュートラルギヤ9を介して第1駆動ギヤ5および第2従動ギヤ8が空転するので、このニュートラル位置から低速位置あるいは高速位置に変速するにあたり第2駆動ギヤ6をスムーズに噛み合わせることができる。特に、第2駆動ギヤ6と第1駆動ギヤ5の噛み合いは、全周に渡ってなされるため、仮に空転していない第1駆動ギヤ5に対して、電動モータ52が起動している限り回転する第2駆動ギヤ6を噛み合わせることが困難になるのであるが、本実施形態の構成によればこのような問題はなく、極めてスムーズに低速位置に切り換えることができる。
【0017】以上説明した実施形態には種々変更を加えて実施することが可能である。例えば、第2駆動ギヤ6を高速位置または低速位置に移動させるための変速操作機構として操作ノブ12の回転操作によりピニオン13を回転させてチェンジレバー11を移動させる構成を例示したが、チェンジレバー11はその他の手段により移動させることも可能である(例えば、回転式の操作ノブ12に代えてスライド操作部材のスライド操作により移動させる構成)。また、上記実施形態では、電動工具の一例としてスクリュードライバ50を例示したが、電気ドリルや切断工具等その他の電動工具の変速装置にも広く適用可能である。




 

 


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