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発明の名称 ボルトナット締付け機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平11−873
公開日 平成11年(1999)1月6日
出願番号 特願平9−152509
出願日 平成9年(1997)6月10日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外1名)
発明者 柘植 和則
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 出力側のスピンドルに一定の締付けトルクが付加されると、駆動側のスリーブと前記スピンドルとの間に介装した伝達部材が、圧縮ばねに抗して前記スピンドルの軸方向後ろ側に変位して前記駆動側の電動モータが停止されるボルトナット締付け機であって、前記伝達部材は、前記電動モータの停止により駆動側の駆動トルクが除去されると、前記圧縮ばねにより前記スピンドルの軸方向前側に変位して、前記停止してフリー状態となった電動モータが逆転し、該電動モータの逆転による慣性力により前記スピンドルが逆転する構成としたことを特徴とするボルトナット締付け機。
【請求項2】 請求項1記載のボルトナット締付け機であって、スリーブまたは伝達部材の一方に、回転軸線に対して傾斜する傾斜溝部を設け、他方に回転軸線に沿った溝部を設け、該溝部と前記傾斜溝部との間に鋼球を介在させて、前記スリーブと前記伝達部材との間のトルク伝達がなされる構成としたことを特徴とするボルトナット締付け機。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばシャーレンチを用いてシャーボルトにナットを一定のトルク(本締めトルク)で本締めする前に、本締めトルクよりも低い一定の締め付けトルクでナットをシャーボルトに仮締めするためのボルトナット締付け機に関する。
【0002】
【従来の技術】本締め用のシャーレンチは、シャーボルト先端のチップを嵌合するためのインナスリーブと、ナットを嵌合するためのアウタスリーブを備え、インナスリーブのチップ嵌合部にシャーボルトのチップを嵌合し、アウタスリーブにナットを嵌合した状態でこのアウタスリーブを駆動装置(電動モータ)により回転させることにより、シャーボルトに対してナットを締付け、このナットが一定トルクで締め付けられた時点でアウタスリーブによるナットの締付け反力をインナスリーブ側のチップに受けさせることでこのチップを剪断するように構成されている。
【0003】このようなシャーレンチを用いてシャーボルトにナットを本締めする前段階として、一般的には仮締め(一次締め)が行われる。この仮締め作業では、シャーボルトに対してナットが一定のトルクまで締め付けられる。この仮締めを行うボルトナット締付け機は、本締め用のシャーレンチと同様ナットを嵌合するアウタスリーブと、シャーボルトのチップを嵌合するインナスリーブを備え、電動モータ等の駆動装置によりアウタスリーブを回転駆動させることにより、ナットをシャーボルトに対して一定のトルクまで締め付け、この一定のトルクをトルクリミッタで検知してアウタスリーブの回転駆動を自動的に停止する構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかるボルトナット締付け機にあっては、アウタスリーブの回転駆動が停止した後、締め付けられたナット(又は、ボルト、以下同じ)からアウタスリーブすなわち当該ボルトナット締付け機を外そうとするときに、ナットにアウタスリーブが食い付いてなかなか外れない場合があり、この食い付きに対して従来のボルトナット締付け機にはなんら対策が施されていなかったため、使い勝手がよくないという問題があった。
【0005】そこで、本発明は締め付け完了後に、ナットに対するアウタスリーブの食い付きが自動的に解除されて、締め付けたナットから簡単に外すことのできるボルトナット締付け機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載のボルトナット締付け機は、出力側のスピンドルに一定の締め付けトルクが付加されると、駆動側のスリーブと前記スピンドルとの間に介装した伝達部材が、圧縮ばねに抗して前記スピンドルの軸方向後ろ側に変位して前記駆動側の電動モータが停止されるボルトナット締付け機であって、前記伝達部材は、前記スリーブに対してナット緩め方向に相対回転しつつ前記後ろ側に変位し、前記電動モータが停止してフリー状態となったときに、前記圧縮ばねにより前側に戻されて、該フリー状態の電動モータをナット緩め方向に逆転させる構成としたことを特徴とする。
【0007】このボルトナット締付け機によれば、ナットが一定の締め付けトルクで締め付けられると、伝達部材に対してスリーブが回転方向に変位し、これにより伝達部材がスピンドルの軸方向後ろ側へ変位する。伝達部材が後ろ側へ変位することにより電源回路が遮断されて電動モータが停止するとともに、外力を加えればいずれの方向にも回転可能なフリーの状態となる。
【0008】一方、電動モータがフリーの状態になると、駆動側から駆動トルクが除去されるので、伝達部材が圧縮ばねにより前側へ戻され、これによりスリーブひいてはフリー状態の電動モータがナット緩め方向に逆転する。この電動モータの逆転方向の慣性力により、伝達部材ひいてはアウタスリーブも逆転し、これによりアウタスリーブのナットに対する食い付きが自動的に解除される。
【0009】請求項2記載のボルトナット締付け機は、請求項1記載のボルトナット締付け機であって、スリーブまたは伝達部材の一方に、回転軸線に対して傾斜する傾斜溝部を設け、他方に回転軸線に沿った溝部を設け、該溝部と前記傾斜溝部との間に鋼球を介在させて、前記スリーブと前記伝達部材との間のトルク伝達がなされる構成としたことを特徴とする。
【0010】このボルトナット締付け機によれば、簡単な構成で請求項1記載の構成に係る作用効果を確実に得ることができる。すなわち、伝達部材とスリーブとの間には、回転軸線に対して傾斜する傾斜溝部と、回転軸線に沿った溝部と、両溝部に係合する鋼球が介在されているため、伝達部材に対してスリーブが回転方向に変位する時には伝達部材が確実に軸方向に変位する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るボルトナット締付け機1を示している。図中2は、当該ボルトナット締付け機1の駆動源としての電動モータであり、この電動モータ2は、トリガ3のオン操作によりスイッチ4がオンすると起動する。この電動モータ2の回転は、その出力軸に形成されたピニオンギヤ2a、中間ギヤ5、中間ギヤ6を経て中間軸7に伝達される。中間軸7の先端にはかさ歯車7aが形成されており、これはかさ歯車8に噛み合っている。
【0012】かさ歯車8はスリーブ9に固定され、このスリーブ9は軸受10a,10bを介してスピンドル11に回転可能に支持されている。スリーブ9の図示右側には同じく筒形状をなす伝達部材12が配置されている。この伝達部材12と上記スリーブ9との間であって周方向3等分位置には鋼球13がそれぞれ介在されている。
【0013】各鋼球13は、スリーブ9の外周面3等分位置に形成した傾斜溝部9aと、伝達部材12の内周面3等分位置に形成した溝部12aとの間にそれぞれ挟み込まれている。3箇所の傾斜溝部9aは、図9に示すようにスリーブ9の回転軸心に対して傾斜する方向に沿って一定の長さに形成されている。溝部12aは、当該伝達部材12の回転軸心に沿って一定の長さに形成されている。この各鋼球13〜13を介してスリーブ9の回転が伝達部材12に伝達される。なお、スリーブ9の回転軸線と、伝達部材12の回転軸線と、スピンドル11の回転軸線は一致している。
【0014】伝達部材12とスピンドル11との間であって、周方向3等分位置にも鋼球14がそれぞれ介在されている。各鋼球14は、スピンドル11の回転軸線に沿って一定長さに形成した溝部11aと、伝達部材12の軸線(従ってスピンドル11の軸線)に沿って一定の長さに形成した溝部12bとの間にそれぞれ挟み込まれている。この各鋼球14〜14を介して伝達部材12の回転がスピンドル11に伝達される。
【0015】伝達部材12の溝部12a,12bはそれぞれその回転軸線に沿って形成されているので、この伝達部材12はスリーブ9およびスピンドル11に対して軸方向に移動可能となっている。上記スリーブ9、伝達部材12、鋼球13,14および後述する圧縮ばね22,23等によりトルク検知装置が構成されている。
【0016】次に、スピンドル11は軸受15,16により回転可能に支持されている。後端部側(図示右端側)の軸受16の近傍においてスピンドル11には、トルク調整プレート20とスラスト軸受21がそれぞれ軸方向移動可能に配置されている。スラスト軸受21と上記伝達部材12との間に、上記圧縮ばね22,23が介装されている。この両圧縮ばね22,23により伝達部材12が図示左方へ付勢されており、これにより鋼球13は、傾斜溝部9aに対しては相対的にその先端部に保持され、溝部12aに対しては相対的にその後端部に保持される。
【0017】圧縮ばね22は圧縮ばね23よりも若干ばね定数が小さく、自由長が大きくなっている。図1〜図4に示す状態では内側の圧縮ばね23は、軸受21に当接していないので、付勢力を発揮しない自由長の状態となっている。これによる作用効果については後述する。
【0018】トルク検知装置の伝達部材12が移動を開始するために必要な外部トルク(以下、「仮締めトルク」という。この仮締めトルクが請求項1に記載した一定の締付けトルクに相当する。)は、圧縮ばね22または圧縮ばね23またはその双方の付勢力により決定され、それぞれの付勢力は、トルク調整プレート20をスピンドル11の軸方向に移動させることにより一定の範囲で任意に設定することができる。すなわち、仮締めトルクは、トルク調整プレート20を図示左方に移動させるほど圧縮ばね22,23の付勢力は大きくなるので高く設定することができ、トルク調整プレート20を図示右方に移動させるほど圧縮ばね22,23の付勢力は小さくなるので低く設定することができる。本実施形態に係るボルトナット締付け機1においては、仮締めトルクを一定の範囲で任意に設定することができるトルク設定機構を備えている。このトルク設定機構については後述する。
【0019】次に、図1に示すようにスピンドル11の先端部には、ピニオンギヤ11bが形成されており、このピニオンギヤ11bは遊星歯車装置25の第1遊星ギヤ25aに噛み合っている。スピンドル11から出力側のアウタスリーブ30に至る駆動力伝達経路およびシャーボルト締付け機構については特に変更を要しないが、以下簡単に説明する。
【0020】当該ボルトナット締付け機1のハウジング1aの先端開口部にはアウタスリーブ30が回転可能かつ軸方向移動不能に装着されている。このアウタスリーブ30の先端には、シャーボルトのナットを嵌合するためのナット嵌合部30cが形成されている。また、このアウタスリーブ30の内周側には軸受31,32を介して中間スリーブ33が回転可能に支持されている。この中間スリーブ33は、その後端面に形成した面ギヤ34を介して上記遊星歯車機構25の第2キャリア25bと噛み合っている。従って、中間スリーブ33は上記第2キャリア25bと一体で回転する。
【0021】上記第1遊星ギヤ25aと、キャリア25bに回転支持された第2遊星ギヤ25cが、アウタスリーブ30の内周面に形成した第1および第2インターナルギヤ30a,30bに噛み合っている。スピンドル11が回転して第1遊星ギヤ25aが自転することによりアウタスリーブ30が回転する。アウタスリーブ30に回転抵抗が付加さると、第1遊星ギヤ25aが公転し、従ってこれを回転支持する第1キャリア25dが回転する。第1キャリア25dの回転を経て第2キャリア25bが回転し、これにより中間スリーブ33が回転する。
【0022】中間スリーブ33の内周側には、インナスリーブ35が軸方向移動可能に装着されている。このインナスリーブ35の先端には、図示省略したシャーボルトのチップを嵌合するためのチップ嵌合部35aが設けられている。このインナスリーブ35と上記第2キャリア25bとの間には圧縮ばね36が介装されており、このためインナスリーブ35はアウタスリーブ30のナット嵌合部30cに突き出す方向に付勢されている。
【0023】インナスリーブ35の外周面には軸方向に沿って周方向複数の噛合い歯35b〜35bが形成され、中間スリーブ33の内周側であって、軸方向後ろ側のほぼ半分の範囲には軸方向に沿って周方向複数の噛合い歯33a〜33aが形成されている。このため、インナスリーブ35は中間スリーブ33に対してスプライン嵌合されており、これによりインナスリーブ35と中間スリーブ33は一体で回転する。
【0024】インナスリーブ35の内周側には、チップのなめりを防止するためのなめり防止ピン37が軸方向移動可能に支持され、かつ圧縮ばね38によりチップ嵌合部35a内に突き出す方向に付勢されている。インナスリーブ35のチップ嵌合部35a内にチップが完全に嵌合されて上記なめり防止ピン37がチップ嵌合部35a内から退避すると、インナスリーブ35の周面に設けたストッパ39がインナスリーブ35の内周側に退避してインナスリーブ35がアウタスリーブ30の奥側に移動可能となる。この構成によれば、チップをインナスリーブ35のチップ嵌合部35aに完全に嵌合した状態でなければ、アウタスリーブ30のナット嵌合部30cにナットを嵌合することができず、これによりチップのなめりが防止されるようになっている。
【0025】このように構成された駆動力伝達経路および締付け機構によれば、シャーボルトのチップをインナスリーブ35のチップ嵌合部35aに完全に嵌合した状態で、インナスリーブ35を後退させつつアウタスリーブ30のナット嵌合部30cにシャーボルトのナット(図示省略)を嵌合する。この段階で、インナスリーブ35は中間スリーブ33にスプライン嵌合している。この状態で前記トリガ3をオン操作してスピンドル11を回転させると、アウタスリーブ30が回転してナットがシャーボルトに締め付けられていく。
【0026】ナットが、仮締めトルクで締め付けられると、この時のトルクがスピンドル11を経て前記トルク検知装置の伝達部材12に付加されるので、図9(B)に示すように伝達部材12に対してスリーブ9(駆動側)がナット締め方向に変位する。伝達部材12とスリーブ9との間に介在された鋼球13,13は、回転軸心に対して傾斜する傾斜溝部9aに嵌まり込んでいるので、スリーブ9が伝達部材12に対して回転方向に変位すると、伝達部材12は軸方向後ろ側に変位し、これにより仮締めトルクが検知される。こうして、トルク検知装置により仮締めトルクが検知されると、以下説明する回転駆動自動停止機構によりアウタスリーブ30の回転が自動的に停止されるようになっている。
【0027】図2に示すように伝達部材12の後部外周面には、テーパ部12cと円筒部12dが形成されている。このテーパ部12cまたは円筒部12dにはガイドロッド40が突き当てられている。このガイドロッド40は、ハウジング1aに上下方向移動可能に支持されており、その下端部は、当該ボルトナット締付け機1のD型ハンドル部1b内に至っている。
【0028】D型ハンドル部1b内に、前記トリガ3およびメインスイッチ4が配置されている。トリガ3は圧縮ばね3aにより突き出し側(オフ側)に付勢されている。メインスイッチ4は操作片4aを備えている。この操作片4aは内蔵する弾性手段により突き出し方向すなわちオフ側に付勢されている。トリガ3の上方には、支軸41aを介して中間部材41が回動可能に取付けられている。この中間部材41の、支軸41aに対して図示左側には係合片41bが側方へ突き出し状に設けられており、この係合片41bに上記ガイドロッド40の下端が上側から突き当てられている。一方、中間部材41の、支軸41aに対して図示右側には支軸42aを介してスイッチ操作部材42が回動可能に取付けられている。
【0029】支軸42aには、捩りばね43の一端43aが上側から当接されているため、中間部材41は支軸41aを中心にして図示時計回り方向すなわちガイドロッド40を上方へ移動させる方向に付勢されている。
【0030】支軸42aを介して中間部材41の図示右側に回転可能かつ吊り下げ状に支持されたスイッチ操作部材42は下方に延びて、メインスイッチ4の操作片4aに接触し、かつトリガ3に設けた係合部3bに対して接触可能な長さを有している。
【0031】このように構成した回転駆動自動停止機構は以下のように機能する。図1および図2はトリガ3を引き操作(オン操作)していない状態を示している。従って、メインスイッチ4の操作片4aは突き出し側(オフ側)に位置している。また、この非駆動状態ではスピンドル11が回転しないので、トルク検知装置は作動せず、従って伝達部材12は後ろ側へ変位していない。このため、ガイドロッド40は上方位置に位置してその上端は円筒部12dに突き当てられている。この時、スイッチ操作部材42は捩りばね43により下方位置に位置してその下端はトリガ3の係合部3bに接触している。
【0032】この非駆動状態から、図3に示すようにトリガ3を引き操作(オン操作)すると、係合部3bに押されてスイッチ操作部材42が支軸42aを中心にして図示反時計回り方向に回動し、これにより操作片4aが押されてメインスイッチ4がオンする。メインスイッチ4がオンすると図示省略した電源回路により電動モータ2が回転し、これにより前記した駆動力の伝達経路を経てアウタスリーブ30が回転する。アウタスリーブ30が回転してナットがシャーボルトに対して仮締めトルクまで締め付けられると、図4および図9(B)に示すようにトルク検知装置の伝達部材12が圧縮ばね22に抗して後ろ側へ変位する。なお、この段階で、鋼球13,13は傾斜溝部9aの前端部から後端部に移動しており、この鋼球13,13の移動距離だけ伝達部材12が後ろ側へ移動している。
【0033】伝達部材12が後ろ側へ変位すると、円筒部12dに突き当てられていたガイドロッド40がテーパ部12cの後ろ側への変位により下方へ変位する。ガイドロッド40が下方へ変位すると、その下端に突き当たっている係合片41bが下方へ押し下げられ、これにより中間部材41が捩りばね43に抗して反時計回り方向に回転する。
【0034】中間部材41が反時計回りに回転すると、スイッチ操作部材42が上方へ引き上げられるので、その先端部がトリガ3の係合部3bから外れる。先端部が係合部3bから外れると、スイッチ操作部材42はメインスイッチ4の操作片4aに押されて図示左方(時計回り方向)に回動するとともに、メインスイッチ4がオフして電源回路が遮断され、これにより電動モータ2が停止してアウタスリーブ30の回転駆動が自動停止する。
【0035】次に、トルク設定機構について説明する。前記したようにこのトルク設定機構は仮締めトルクを変更するための機構であり、これはトルク調整プレート20をスピンドル11の軸方向に移動させて圧縮ばね22,23の付勢力を変化させることにより達成される。すなわち、仮締めトルクは、トルク調整プレート20を図示左方に移動させるほど高く設定され、図示右方に移動させるほど低く設定される。図1〜図4に示す状態は、トルク調整プレート20が最も右側に移動した状態であり、従って仮締めトルクが最も低く設定された状態を示している。これに対して図5に示す状態は、トルク調整プレート20が最も左側に移動した状態であり、従って仮締めトルクが最も高く設定された状態を示している。
【0036】トルク調整プレート20の移動は、ハウジング1aの後端に配置したトルク調整ダイヤル50を回転させることにより外部から簡単に行うことができるようになっている。トルク調整ダイヤル50は、ハウジング1aの後端に設けた軸部1cの外周側に回転可能に取付けられている。なお、この軸部1cの内側には、スピンドル11の後端部を回転支持する軸受16が固定されている。
【0037】トルク調整ダイヤル50の内周面には、その展開状態を図6に示すように180°の範囲で徐々に高さが変化する2つの傾斜面50b,50bが円対称に形成されている。両傾斜面50b,50bの最も高い位置には乗り越え防止用の段差部50cがそれぞれ突き出し状に形成されている。この両傾斜面50b,50bには、トルク調整プレート20の両係合片20a,20aが摺接される。
【0038】トルク調整プレート20は、図7にその単体を示すように中心にスピンドル11を挿通するための挿通孔20bを有する円板形状をなし、その外周に上記係合片20a,20aが一体に形成されている。両係合片20a,20aは相互に反対側の側部から外方へ張出し状に形成されている。しかも、図7(B)に示すようにこの両係合片20a,20aは、上記傾斜面50bの傾斜角度に合わせて、当該プレート20の本体部の面方向とは若干傾いて設けられており、これにより傾斜面50b,50bに対する良好な摺接状態が得られるようになっている。
【0039】このように構成されたトルク調整プレート20は、両係合片20a,20aをそれぞれ傾斜面50bに摺接させた状態でスピンドル11に装着されている。なお、トルク調整プレート20は、その両係合片20a,20aをハウジング1aの軸部1cに形成した挿通溝1d,1dに挿通させることにより軸部1cに対して回り止めされている。この構成によれば、トルク調整ダイヤル50を180°の範囲で回転させると、相対的にトルク調整プレート20の両係合片20a,20aが傾斜面50b,50b上を移動して、当該トルク調整プレート20が軸方向に移動する。すなわち、トルク調整ダイヤル50とトルク調整プレート20との間に介在された、傾斜面50bと係合片20aからなる動作変換手段により、トルク調整ダイヤル50の回転動作がトルク調整プレート20のスピンドル軸方向への移動に変換される。
【0040】このような機構によりトルク調整プレート20を外部操作により移動させて圧縮ばね22,23の圧縮量を変化させることができ、これにより仮締めトルクの設定変更を簡単に行うことができる。
【0041】ここで、トルク調整プレート20を図1〜図4に示すように最も右側に移動させて仮締めトルクを最低値に設定した状態では、内側の圧縮ばね23は効いていない。このため、上記最低値からトルク調整ダイヤル50を回転させて徐々に設定トルクを上昇させていく初期の一定範囲では、外側の圧縮ばね22のみが効いている状態となるため、設定トルクの緩やかな調整(微調整)を行うことができる。調整ダイヤル50をトルク上昇側へ一定角度回転させて、内側の圧縮ばね23も軸受21に当接して付勢力を発揮する段階になると、仮締めトルクは両圧縮ばね22,23の付勢力により決定される段階となり、このためより大きな仮締めトルクを設定することができるようになる。このように自由長の異なる2本の圧縮ばね22,23を用いることにより、仮締めトルクの微調整範囲と、より広い調整代の範囲の2種類の調整を行うことができる。
【0042】調整ダイヤル50の調整位置は、振動等によって位置ずれしないようになっている。図8に示すように軸部1cの外周には、適度に弾性付勢されたストッパ突起51が取付けられている。一方、調整ダイヤル50の内周面には、全周にわたって一定の間隔で多数の凹部50a〜50aが形成されている。この凹部50aに上記ストッパ突起51が弾性的に嵌まり込むことにより当該調整ダイヤル50の調整位置が保持される。また、調整ダイヤル50を回転させると、ストッパ突起50aがその弾性力により各凹部50aに嵌まり込んでいくため、操作する者にとってはコツコツ感を得ることができ、従ってその使用感がよくなる。また、ストッパ突起51が各凹部50aに弾性的に嵌まり込むので、回転操作するにああって適度な抵抗が得られ、従って確実な調整を行うことができ、この点でも使い勝手がよくなっている。
【0043】次に、前記したようにアウタスリーブ30によりシャーボルトのナットが所定の仮締めトルクで締め付けられると、トルク検知装置の伝達部材12が後ろ側へ変位して電源回路が自動的に遮断されるのであるが、この時点でアウタスリーブ30は通常ナットに食い付いた状態となっている。従って、この食い付きに対して何ら対策が施されていないと、アウタスリーブ30をナットから外しにくいという問題がある。この点、本実施形態に係るボルトナット締付け機1では上記締付け後の食い付き状態が自動的に解除される構成となっている。
【0044】すなわち、トルク検知装置のスリーブ9に形成した傾斜溝部9a,9aは、図9(A)および図9(B)に示すようにスリーブ9の回転軸線に対して傾斜する方向に沿って形成されている。このため、シャーボルトのナットが仮締めトルクで締め付けらて、このトルクがスピンドル11ひいては伝達部材12に付加されて伝達部材12の回転が阻止される。このため、図9(B)に示すようにスリーブ9が伝達部材12に対してナット締め方向(図示下側)にわずかな角度αだけ変位する。スリーブ9が伝達部材12に対して変位すると、傾斜溝部9aおよび鋼球13の作用により伝達部材12が軸方向後ろ側(図示右方)へ距離Lだけ変位する。伝達部材12が後ろ側へ変位することにより前記したように電源回路が遮断されて電動モータ2が停止する。電動モータ2は電源が遮断されると、外力を加えればいずれの方向にも回転可能なフリー状態となる。
【0045】一方、電動モータ2(駆動側)がフリー状態すなわちナット緩め方向に逆転可能な状態になると、伝達部材12が圧縮ばね22,23により前側へ距離Lだけ戻され、従って、傾斜溝部9aおよび鋼球13の作用によりスリーブ9がナット緩め方向に角度αだけ戻される。
【0046】こうして、フリー状態の電動モータ2ひいてはスリーブ9がナット緩め方向に回転すると、その慣性力(惰性)により伝達部材12およびスピンドル11ひいてはアウタスリーブ30がナット緩め方向にわずかに回転し、これによりアウタスリーブ30のナットに対する食い付きが自動的に解除される。
【0047】以上説明した実施形態によれば、ナットの仮締め完了後、ナットに対するアウタスリーブ30の食い付きが自動的に解除されるので、当該ボルトナット締付け機1のナットからの取り外しを簡単に行うことができるようになり、この点で当該ボルトナット締付け機1の使い勝手をよくすることができる。
【0048】また、溝部9aを回転軸線に対して傾斜させることにより上記食い付きの自動解除機能を得る構成であるので、別途特別の部材を必要とせず、従ってコストアップを招くことなく、上記作用効果を得ることができる。
【0049】以上説明した実施形態では、シャーボルトの仮締め機に適用した場合を例示したが、本発明は言うまでもなく本締め用のシャーレンチにも適用可能である他、例えば工具先端に反力受け用の突片を有し、該突片を隣接するボルト、ナット等に当接させて工具本体にナット等締付けに伴う反力を伝えないように構成したタイプのボルトナット締付け機(特公平6−32911号公報、あるいは特公平6−71712号公報等に開示の工具)にも適用することができる。




 

 


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