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発明の名称 ヨウ素樹脂混入ポリエチレン、ポリプロピレンの成形体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−245438
公開日 平成10年(1998)9月14日
出願番号 特願平9−70578
出願日 平成9年(1997)3月6日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】平山 俊夫
発明者 大住 雅明 / 土山 信夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 気体透過性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン樹脂内部に、ヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂を、前記ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂の表面が前記ヨウ素樹脂が有する殺菌ゾーンとなる領域内に分散させて成ることを特徴とするポリエチレン、ポリプロピレン成形体。
【請求項2】 ヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂が、第4級アンモニウム塩である請求項1記載のポリエチレン、ポリプロピレン成形体。
【請求項3】 ヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂が、多孔性の樹脂である請求項1,2記載のうちいずれか1項記載のポリエチレン、ポリプロピレン成形体。
【請求項4】 全重量に対するヨウ素(I2)の含有割合を、0.05重量%以上とした請求項1,2,3のうちいずれか1項記載のポリエチレン、ポリプロピレン成形体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌等の存在に呼応して反応するデマンド型ヨウ素樹脂殺菌剤をポリエチレン、ポリプロピレンに混入させて成るプラスチック成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗菌性を有するプラスチックとしては銀イオン利用するものが一般的であるが、これは主として静菌効果を発揮する程度のもので、且つ、経時と共に銀イオンが流出してしまい、効果を維持する時間の非常に短いものであった。
【0003】これに対し、デマンド型のヨウ素殺菌樹脂が提案され、その概要は、連鎖状の炭素に塩基性アニオン交換基を官能基として結合させた構造を有し、それ自身がイオン交換樹脂としてプラスの電荷を持ち、マイナスの電荷を帯びた周囲の細菌を引き寄せ、I2を遊離させて殺菌するものである。これは、細菌のほかカビ類等に対しても強い殺菌力を発揮すると共に、細菌等の存在に呼応して反応するデマンドリリース型であるため、効力を持続する時間も長いという特性を有している。
【0004】そして、該デマンド型ヨウ素交換樹脂を用いて、例えば弾性を有する発泡性ウレタン樹脂に混入し、その開放孔内にヨウ素樹脂を露出させ、その殺菌作用を包帯等に応用しようとする例が提案されている。
【0005】しかし、上記発泡性樹脂は、表面に凹凸を有し、その発泡部の孔に粒状ヨウ素樹脂を臨ませたものであるから、もしこれを食事容器や医療用器に応用しようとすれば、その凹溝内に食べ糟や有機物等が入り込んでしまい、反って細菌の繁殖を促す等の欠点のあることが判明した。一方、該ヨウ素交換樹脂を熱可塑性プラスチックと混合し、溶融成形することは、ヨウ素樹脂の周囲がプラスチックによって密閉されてしまう為、イオン吸引能に基づく殺菌機能が封殺されて、殺菌性が失われてしまい、又、溶融時の熱によってヨウ素交換樹脂が変性し易い等の問題点を有し、その実用化が困難視されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に基づいてなされたもので、鋭意研究を重ねた結果、ポリエチレン、ポリプロピレンの比較的低融点で気体透過性に優れた樹脂を活用して、イオン吸引作用による殺菌機能を阻害することなくヨウ素樹脂を作用させることが可能であることを見い出し、ここに主として食器や医療用器等のプラスチック成形品及びフィルム品等への応用を狙いとした本発明を完成させたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明が、殺菌機能を有する物質として用いるのは、上述の如く、デマンド型ヨウ素樹脂殺菌剤(以下単にヨウ素樹脂という)である。該ヨウ素樹脂とは、支持体に第4級アンモニウム基等のカチオン基を結合させたアニオン交換樹脂で、該カチオン基にヨウ素成分(例えば三ヨウ化物イオン)を結合させた樹脂をいう。その化学構造は、例えば図1の如くで、スチレンベンゼンの支持体の先に第4級アンモニウム基が結合し、その先に三ヨウ化物イオンの付加した構造を有する。該アニオン交換樹脂には、上記第4級アンモニウム基のほか、第4級アンモニウム交換樹脂と実質的に同等の塩基性を示す基を結合させた樹脂を用いることができ、例えば、第3級スルホニウム樹脂、第4級ホスホニウム樹脂、アルキルピリジウム樹脂等の強塩基性樹脂を挙げることができる。
【0008】又、支持体には、例えば、スチレンージビニルベンゼン重合体鎖を用いることができ、樹脂中への分散を図る上で顆粒状が好ましく、又、通気路を形成する上で多孔質とするのが望ましい。
【0009】該多孔性のヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂の物理的特性は、例えば、下記の如きものとなる。

【0010】次いで、上記ヨウ素殺菌樹脂を分散させる対象樹脂として、比較的低融点で、気体透過性に優れるポリエチレン、ポリプロピレンを用いる。即ち、ポリエチレン及びポリプロピレンは、前者が融点120℃、後者が160℃前後であり、その融点が上記ヨウ素樹脂の融点に近い性質を有し、又、気体透過性に優れる特性を有する。該気体の透過性は、樹脂の拡散係数と、気体と樹脂との溶解度係数とによって決定されるが、ポリマーセグメントの熱的攪乱によって生じる空孔が生じることに起因し、気体の透過は非晶質領域で行われる。ポリエチレン分子は、一平面の中にCH2 鎖が伸びてジグザグ形になるが、拡散係数が大なる特性を有し、又、ポリプロピレン分子には、アイソタクチックとシンジオタクチックの構造があるが、同様に拡散係数が大きく、これが後述のヨウ素分子の透過性との関係で、空孔の存在と溶解度係数との関係で、ヨウ素の透過性を導く要因となり、後述の殺菌メカニズムを促す根拠でもある。尚、該ポリエチレン及びポリプロピレン樹脂には、夫々単独の場合と共に、互いが共重合等で混じり合った場合も含むものとする。
【0011】上記ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂内に多孔性のヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂を、その表面が殺菌ゾーンに属する領域の樹脂内部に分散させてプラスチック成形体を得るが、その成形法は、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形によるが、これに限定されるものではない。又、その成形体としての形状も、特定形状の成形品の他、シート状物、フィルム状物、ペレット状物等賦形物であればその形態を問わない。そして、ポリエチレン又はポリプロピレンは熱可塑性樹脂であるので、該樹脂を射出成形、押出成形等で、成形機を所定温度に加温し、混練して、その成形温度を120〜180℃で成形する。斯かる温度範囲内では溶融時の高熱によってヨウ素樹脂が変性してしまう恐れがなく、又、ヨウ素樹脂の全体を溶融させることなく(一部は溶融するが)混合し、ヨウ素樹脂の有する多孔性を潰してしまうこともなく、その多孔質による殺菌能を維持し得る。
【0012】そして、そのヨウ素樹脂の分散領域は、その表面が殺菌ゾーンに属する領域の樹脂内部とし、その殺菌ゾーンは通常半径が数ミクロン〜0.6mmの領域であり、従って、可及的に表面から数ミクロン〜0.6mmの深さの樹脂層内部にヨウ素樹脂が可及的に多数割合で存在するようにするのが望ましい。しかし、分散を偏在化させるのが困難な場合には、均一分散として、目的に合せた殺菌能力を保つヨウ素樹脂濃度とする。殺菌対象としての微生物からヨウ素樹脂の濃度を検討すると、ウイルスの場合は、全重量に対するヨウ素(I2)の含有割合を、0.05重量%以上の濃度が望ましく、大腸菌の場合は2.5重量%以上、真菌の場合は重量2.5%以上、及び原虫の場合は2.5重量%以上とするのが望ましい。
【0013】次に、上記成形によって得た成形品の殺菌性を下記の条件下で試験した。
[殺菌試験]
菌株(A):Eschericha coil(O−157) 〔大腸菌〕
(B):Staphylococus aureus(ATCC43300)〔ブドウ状球菌〕
(C):Candida albicans(2953) 〔真菌〕
試験片:1 ポリプロピレン板(ヨウ素含有なし)
2 ヨウ素樹脂含有ポリプロピレン板(直径7〜10μmの粉末5重量%含有)
3 ヨウ素樹脂含有ポリプロピレン板(直径500μmの粒を10重量%含有)
4 ヨウ素樹脂含有ポリプロピレン板(直径500μmの粒10重量%+直径7〜10μmの粉末4重量%含有)
(ヨウ素樹脂−ハイドロバイオテック社製商品名トリオシンT50ヨウ素含有割合が約50重量%のもの)
試験方法:滅菌プラスチック12穴プレートに1×106 CFU/mLの菌液10μLを入れ、その菌液の上にプラスチック板の試験片を直接のせ、これを湿潤箱に入れ、5分,10分,20分、60分の間隔で、室温で反応させた後、これに生理食塩水990μLを加え、菌を洗い出し、1mL中の菌数を求めた。
【0014】菌株(A)に対する試験結果:【表1】

【0015】菌株(B)に対する試験結果:【表2】

【0016】菌株(C)に対する試験結果:【表3】

【0017】上記殺菌試験の結果、先ず、菌株(A)の場合は、ヨウ素樹脂を含有しない、所謂ブランクでは、当初1×106 CFU/mLの菌株数が5分経過後に乾燥飛散等により1.2×104 CFU/mLに減少するが、60分経過後においても1.1×103 CFU/mLの状態にある。一方、ヨウ素樹脂を含有させた試験片では、最小濃度の5%含有のものでは5分経過後、5.1×103 CFU/mL 菌株の状態にあるが、10分経過後にはこれが零になり、それ以上の濃度のものでは、5分経過以降では全て零になるという顕著な殺菌効果を示した。菌株(B),(C)の場合においても、結果はほぼ同様であって、最小濃度5%の場合にのみ、若干の菌株の残存数を示すが、それ以外では全て残存菌株数が零になるという顕著な殺菌効果が確認された。
【0018】上記の通り本発明プラスチック成形体は顕著な殺菌作用を発揮することが裏付けられたが、そのメカニズムは以下の如くに考えられる。官能基として強塩基性の第4級アンモニウムを含むヨウ素樹脂は巨大なカチオンの集合体とみることができ、ここにバクテリア等の微生物がが存在すると、該微生物の細胞膜はマイナスに帯電した状態にあるので、該カチオンにより電気的に引き寄せられる。すると、その時点で多孔質のヨウ素樹脂の三ヨウ化物イオンが、I3- →I-+I2の形で遊離し、このI2 が微生物に作用して強力な殺菌効果を発揮する。しかしこの効果は、ヨウ素樹脂表面が固体や粘着性の高い物質で覆われた場合には、喪失する。このことは、本発明の如く、ヨウ素樹脂をプラスチック内に混入させた場合にも、ヨウ素樹脂の周囲を固体が覆うことになるから、全く同様になる危惧がある。
【0019】しかし、該ポリエチレン分子及びポリプロプレン分子のCH2 鎖間にはポリマーセグメントの熱的攪乱によって空孔が形成され易く、拡散係数(D)が大であり、又、一方、I2 は対称性の双極子を形成するから極性が小さく、極性の少ないポリエチレン及びポリプロピレンと類似の性格で溶解度係数(S)も大となる。従って、I2 のポリエチレン及びポリプロピレンに対する透過係数(P)を求めた場合、P=D×S (P:透過係数 D:拡散係数 S:溶解度係数)
であり、Pの値は大となる。従って、殺菌ゾーン内にあって、細菌等との電気的吸引作用によって遊離したI2 は、ポリエチレン及びポリプロピレン分子内で吸着、溶解した後、内部を拡散し、細菌の細胞に到達し、前記メカニズムに基づいてこれを殺菌することができる。ここで殺菌ゾーンとは、カチオンの集団であるヨウ素樹脂が、アニオンとしての微生物を捉えて殺菌能を発揮することができる領域をいい、これはヨウ素樹脂の重量及び濃度に比例する。
【0020】
【実施例1】スチレン系母体樹脂に官能基として第4級アンモニウム塩を配したものにヨウ素をイオン交換して得たヨウ素樹脂(ハイドロバイオテック社製商品名トリオシン)を用いた。 一方対象樹脂として、ポリプロピレン(住友ノーブレン A×674)−メルトフローレート(JIS6758):70g/10min 密度:0.90−のペレット状樹脂を用いた。該ペレット状ポリプロピレン樹脂に、付着剤としてパラフィンを塗布した後、上記ヨウ素樹脂を付着させ、これを射出成形機にて約160℃の温度下で混練し、プレート状の成形板を得た。これに、大腸菌、ブドウ状球菌、真菌を接触させて、その殺菌能を試験したのが、前述の表1〜表3に示した殺菌試験であり、優れた殺菌性が確認されたのは前述の通りである。
【0021】又、併せて、レジオネラ菌に対する殺菌試験を行った結果は、下記の通りであった。
[殺菌試験]
菌株:Legionella pneumophila(ACCC33154) 〔レジオネラ菌〕
試験片 : 1 ポリプロピレンペレット(ヨウ素含有なし)
2 ヨウ素樹脂含有ポリプロピレンペレット直径500μmの粒を20重量%含有)
(ヨウ素樹脂−ハイドロバイオテック社製商品名トリオシンT50)
試験方法:滅菌三角コルベンに1×106 CFU/mLの菌液100mL作り、これに試験片5gを入れてスターラーで攪拌する。5分,10分,20分,1時間毎にサンプルを採取し、1mL中の菌数を求めた。
【0022】試験結果:【表4】

上記試験の結果、10分までは若干の菌数が残存するが、20分後には菌数が零になるという顕著な殺菌効果が確認された。
【0023】
【実施例2】実施例1と同様に、スチレン系母体樹脂に官能基として第4級アンモニウム塩を配したものにヨウ素をイオン交換して得たヨウ素樹脂(ハイドロバイオテック社製商品名トリオシン)を用いた。一方対象樹脂として、ポリエチレン(SUMIKATHENEG806)−メルトフローレート(JIS6758):50g/10min 密度:0.915−のペレット状樹脂を用いた。該ペレット状ポリエチレン樹脂に、付着剤としてパラフィンを塗布した後、上記ヨウ素樹脂を付着させ、これを押出混練機にて約120℃の温度下で混練し、ペレットを得た。
【0024】この成形板の殺菌試験を行ったところ、以下の通りであった。
[殺菌試験]
菌株(A):Eschericha coil(O−157) 〔大腸菌〕
試験片 : 1 ポリエチレンペレット(ヨウ素含有なし)
2 ヨウ素樹脂含有ポリエチレンペレット(直径500μmの粒を20重量%含有)
試験方法:滅菌三角コルベンに1×106 CFU/mLの菌液100mL作り、これに試験片5gを入れてスターラーで攪拌する。5分,10分,20分,1時間毎にサンプルを採取し、1mL中の菌数を求めた。
【0025】試験結果:【表5】

上記試験の結果、少なくとも5分後には菌数が零になるという顕著な殺菌効果が確認された。
【0026】
【発明の効果】以上の構成及び作用に基づく本発明は、以下の如き効果を奏する。
(a)ポリエチレン、ポリプロピレンの溶融樹脂殺菌ゾーン内にヨウ素樹脂を存在させたので、もし樹脂表面に細菌等の微生物が付着しても、微生物との電気的吸引作用によって遊離したヨウ素は樹脂内を透過して微生物に到達でき、その強い殺菌能によってこれを死滅させることができる。同時に、その樹脂の表面を可及的に凹凸の少ない平滑面に形成できるので、食べ糟や有機物を綺麗に洗い流して、常に清潔な状態を維持することができ、食器や医療用器具として最適となる。又、その殺菌性も、O−157、ブドウ状球菌、酵母菌、大腸菌、その他にも強い効果を発揮する。
(b)又、食器や医療用器具に限定されることなく、他のプラスチック成形品や、フィルム品に用いても、そのプラスチックの形態をそのままにして、樹脂表面に強い殺菌性を付与することができる。
(c)マイナスイオンに帯電した微生物が存在する場合にのみ、イオン交換力によるヨウ素殺菌作用が働くので、無駄なヨウ素の放出がなく、殺菌効果を極めて長く維持できる。




 

 


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