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発明の名称 研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−249705
公開日 平成10年(1998)9月22日
出願番号 特願平9−70498
出願日 平成9年(1997)3月6日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 卓
発明者 稲垣 喜照
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 工具本体(3)の一端に研磨盤に装着する接続端を備え、他端に砥石(5)付摺動子(6)を格納するスリット(15)を円筒(11)に備え、該円筒の内筒(13)の中に摺動子(6)の底辺(31)に接する円錐状斜面(21,22)を持つ調整棒(4)を軸方向に摺動可能に挿入して、該調整棒の摺動行為によりスリット(15)内に挿入した砥石(5)付摺動子(6)を半径方向に移動し、前記砥石の研磨面を円筒面におけるスリット(15)の開口より隠顕させる機構を内蔵した研磨工具(2)にあって、調整棒(4)の円錐状斜面(21,22)が、該円錐状斜面を形成する少なくとも一つの円筒(23)の背面に、円錐状窪み(25)を設けて一方の係合部とし、円錐状斜面(21,22)に接する砥石(5)付摺動子(6)の半径方向の摺動に支障のないように、該摺動子の下面の一部に円錐状窪み(25)の傾斜角度と一致する別の係合部を形成して両係合部を組合せ、両係合部の係合関係が研磨工具(2)を研磨盤から外さない限り解けない構造としたことを特徴とする研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
【請求項2】 摺動子(6)の底辺に備えた係合部の形状が、該摺動子の砥石(5)の付着面(33)に平行な底辺(31)の中央を切除して開口部(37)を設け、該開口部を挟む両側に前記底辺の一方を中央寄り、他方を外端寄りに位置するように一部を残し、他の部分を調整棒(4)の円錐状斜面(21,22)の傾斜角度と同一の斜面(35,36)に仕上げ、摺動子(6)が半径方向に摺動の際に、調整棒(4)に備えた円錐状窪み(25)の外周端部と摺動子(6)の底辺(31)との間に干渉なきように、前記開口部に逃げ(38)を設けて鉤状突起(39)とし、先端角度を円錐状窪み(25)の角度と一致せしめたことを特徴とする請求項1に記載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
【請求項3】 調整棒(4)に備えた複数の円錐状斜面(21,22)が、軸心となす各角度αを20〜40°の範囲から選択したことを特徴とする請求項1か2に記載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
【請求項4】 調整棒(4)に備えた円錐状窪み(25)の軸心となす角度βと摺動子(6)に備えた鉤状突起(39)の先端角度を同一のβとして、角度βを30〜50°の範囲から選択し、両角度の差β−αを10〜30°の範囲から選択したことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密中ぐり盤や研削盤等で研削した孔もしくは穴の内面を、精密に仕上げる研磨盤に装着する研磨工具が内蔵する砥石付摺動子の脱落防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】研削された加工面を更に平滑に仕上げ、同時に寸法精度を向上する工作機械として、ラップ盤・ホーニング盤・超仕上盤があるが、その使用方法は大まかには加工対象が平面のような非連続面か円筒のような連続面か、加工対象が固定されているか動いているか、加工方法が砥石による回転と軸方向の送り機構を備えた主軸か振動の機構を利用するのか等により異なる。
【0003】ラップ盤は主軸を利用する形式で平面の仕上げ、ホーニング盤は主軸を利用する形式で平面と円筒等の内外面の仕上げを対象とするいずれも専用機であるが、超仕上盤は加工面に押し付けた砥石に振動を与える機構を備え、非連続面か連続面の仕上げを対象とする専用機と、旋盤等に加工対象物を取付けて回転し、該加工対象物に前記砥石を押し付けて仕上げるユニット形式に分かれる。
【0004】研磨盤に取付けた内面研磨用工具には、工具本体に複数のスリットを備え、該スリット内に砥石付摺動子を挿入し半径方向に移動する手段として、円錐状斜面を持つ調整棒を円筒内部に軸方向に摺動可能に挿入し、該調整棒の円錐状斜面と摺動子の底辺を接触せしめ、調整棒の軸方向への動きにより砥石先端と加工対象物との接触状態を制御し、更にスリットから摺動子が脱落しないように摺動子の両端を工具本体の円筒周囲に嵌挿した伸縮性のリングで係止する構造である。
【0005】研磨工具が内蔵する砥石先端の外径がある程度の大きさ(50mm程度)になると、工具本体の中に研磨の終了を検知する手段として、エアーマイクロメータ用の定圧空気を導通する空気孔を設け、加工対象物の研磨部分に直角に吹き付けて研磨の進捗状態を随時に計測することもできるが、研磨量が直径方向で0.2mm程度に止まるので、定寸プラグと呼ぶ固定外径の専用ゲージを使用することもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】研磨盤に装着した研磨工具は、加工対象物の内面を研磨工具が回転しながら摺動し、該研磨工具と加工対象物との間に研磨液を流しつつ研磨が進められるが、工具本体の構造上の強度や摺動子に接着した砥石の有効研磨時間及び摺動子のスリットからの脱落防止用としての係止リングの耐用時間等に問題を抱える。
【0007】この問題は、スリットから摺動子が脱落することを防止する目的に使用する係止リングが、研磨工具が加工対象物の内部にあるときは回転・停止の何れの状態を問わず不要で、逆に外部にあるときには回転・停止の何れの状態を問わず無条件に必要とする研磨工具自体の構造に起因し、このことが加工対象物の交換の度に研磨工具の停止を必要とする。
【0008】一つ目の問題は、研磨工具の回転中に摺動子が工具本体の円筒面に設けたスリットからの飛び出す防止対策として使用する係止リングのために、円筒面上の前記スリットの長手方向に直交するように環状溝を複数備えるので、工具本体の軸方向に直角な溝部分での断面積の減少は、スリット自体にスリット間の前記環状溝分が加わるので、捩れ強度や耐振性を低下し工具の設計を難しくする。
【0009】二つ目の問題は、工具本体に設けたスリットに挿入した摺動子が、該摺動子の両端部分が係止リングにより占拠されるので、摺動子の長さに対する砥石の接着可能な長さと、同時に半径方向に対しては係止リングにより砥石の厚みの双方が制限を受け、結果として砥石の有効研磨面積と容積を損じ耐用時間を縮める。
【0010】三つ目の問題は、Oリングやワイヤスプリングリングを係止リングとして外装することにあり、本来のOリングの役割であるシリンダとピストンとを組合せた摺動部分やフランヂの接合部分等に内装し漏れ防止をする使用目的から外れ、研磨工具が回転する際の遠心力による摺動子の飛び出し防止と、横形の主軸に装着した研磨工具が停止中に砥石付摺動子が自重により下向きスリットから脱落する防止の手段とした用法にある。
【0011】外装されたOリングは摺動子の出入りによりスリット周辺での部分的な伸縮を繰り返し、しかも研磨による研削粉を含んだ研磨液に曝されるので耐用時間が意外に短かく、またスプリングワイヤリングの場合では、Oリングに較べスプリングが部分的に伸びて復元しなくなる塑性変形を起こすので係止リングとしての寿命がより短い。
【0012】もともと係止リングは、研磨工具が加工対象物の内部から外部に移行する期間を含めて外部にある時にのみ役にたち、内部では加工対象物の内面による規制を受けて必要性が薄められるが、加工対象物内での使用環境が厳しいために主軸の向きが縦・横の装着形態を問わず損耗が激しく、安全のための早期交換が不可欠で、場合により研磨終了毎の交換が欠かせないために高頻度の交換作業が避けらず、研磨盤の稼働率に影響を及ぼす。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、主軸が回転中か停止中の何れなのか、主軸の向きが縦・横の何れなのかに関わりなく、研磨工具が内蔵する砥石付摺動子は研磨工具が解体されない限り、如何なる場合でも飛び出しや自然落下のない、且つ外装の係止リングを必要としない構造の研磨工具に関する。
【0014】本発明は、工具本体の一端に研磨盤に装着する接続端を備え、他端に砥石付摺動子を格納する複数のスリットを円筒面に備え、該円筒内の中に摺動子の底辺に接する円錐状斜面を持つ調整棒を軸方向に摺動可能に挿入して、該調整棒の摺動行為によりスリット内に挿入した砥石付摺動子を半径方向に移動し、前記砥石の研磨面を円筒面におけるスリットの開口より隠蔽する機構を内蔵した研磨工具にあって、調整棒の円錐状斜面が、該円錐状斜面を形成する少なくとも一つの円筒の背面に、円錐状窪みを設けて一方の係合部とし、円錐状斜面に接する砥石付摺動子の半径方向の摺動に支障のないように、該摺動子の底辺の一部に円錐状窪みの傾斜角度と一致する別の係合部を形成して両係合部を組合せ、両係合部の係合関係が研磨工具を研磨盤から外さない限り解けない構造としたことを特徴とする研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、研磨工具が内蔵する摺動子の飛び出し防止に、外装の係止リングを必要としない構造であることを特徴とし、該構造は工具本体内に挿入した複数の円錐状斜面を持つ調整棒と摺動子との間に、該摺動子の半径方向の円滑な動きを阻害しない係合部を夫々に備えたことにあり、該係合部により摺動子は研磨工具を研磨盤から外さない限り係合状態が解除されることがない。
【0016】摺動子の半径方向の動きは、該摺動子の底辺が調整棒の円錐状斜面に接することにより、該調整棒の動きを円錐面を介して摺動子に伝える結果であり、本発明においてもこの動き自体は変わらないが、この動きを伝える側の複数の円錐状斜面を持つ調整棒の一部を利用し、該調整棒の最初の円錐状斜面につながる円筒部の背面に円錐状窪みを形成し動きを伝える側の係合部とした。
【0017】動きを受ける側の摺動子の底辺に備えた係合部の形状が、該摺動子の砥石付着面に平行な底辺の中央を切徐して開口部を設け、該開口部を挟む両側に前記底の一方の中央寄り、他方を外端寄りに位置するように一部を残し、他の部分を調整棒の円錐状斜面と同角度で接する斜面に仕上げ、且つ摺動子が半径方向に摺動の際に、調整棒に備えた円錐状窪みの外周端部と摺動子の底辺との間に干渉なきように、前記開口部に逃げを設けて鉤状突起とし先端角度を円錐状窪みの角度とした。
【0018】その結果、調整棒を工具本体の内に向けて進め(後退)ると、砥石付摺動子はスリットの最も内部に位置し、その段階では円錐状窪みと摺動子の両係合部は密着し、また調整棒の円錐状斜面と摺動子の底辺の両斜面も接触を保つが、砥石付摺動子のスリット内での嵌合状態は、半径方向に円滑な動きに必要な遊び以外を残さぬ程度に仕上げる。
【0019】逆に調整棒を工具本体の外に向けて進め(前進)ると、調整棒の円錐状斜面が摺動子の底の斜面を押し上げ、砥石付摺動片は円筒面のスリット外側に向けて移動を始め、円錐状窪みと摺動片の底辺の鉤状突起の係合状態が密着から緩み半径方向に対する隙間を増加し、砥石が被研磨物に接触するまで砥石付摺動子はスリット内を半径方向に移動する。
【0020】調整棒の円筒部背面に備えた円錐状窪みと摺動子の鉤状突起との係合関係は、研磨工具を研磨盤に装着した状態では回転・停止や研磨・非研磨を問わず、また研磨工具を研磨盤から外した状態でも限度以上に調整棒を移動しない限り、いずれの場合も解けることはなく、スリットから摺動子が脱落することがない。
【0021】その結果、係止リングの必要性が失われ、従来の係止リング付研磨工具が持つ第一の問題である工具本体のスリット部分の溝の解消に伴う断面積の増加により強度を向上したので工具自体の設計にゆとりを増し、第二の問題は摺動子の長さ方向を全面的に利用可能とし、砥石の長さに加えて厚みの増加も可能としたので耐用時間を増し、第三の問題は係止リングを排除したので交換作業がなくなり、加工対象物の入替え時も研磨工具を常時回転状態におくことを可能とした。
【0022】
【作用】本発明の研磨工具は研磨盤から外しても、工具本体内で調整棒と摺動子との係合関係を解除しない限り、また装着中ではいかなる状態でも決して摺動子が研磨工具から抜け落ちない。
【0023】
【実施例】図1は研磨工具2の組立斜視図で、図中のイが研磨盤の主軸と接続する部分、ロが主軸内を通り研磨盤が内蔵する調整機構に接続する部分を示し、研磨工具2は図2〜5に示すように工具本体3と調整棒4と砥石5付摺動子6と触子7及び連結棒8で構成し、係合部は調整棒4と摺動片6とに内蔵するので、係合状態を研磨工具2の外側から直接見ることはできない。
【0024】図2(A,B)は工具本体3を、図3は調整棒4を、図4(A,B,C)は砥石5付摺動子6を個別に取り出して示し、図5で砥石5付摺動子6が最も内部に位置する状態の研磨工具2を、図6で砥石5付摺動子6が最も外部に位置する状態(稼働状態)の研磨工具2を、図7で研磨終了にともなう砥石5付摺動片6が後退を開始する寸前の状態を夫々示し、図5,6,7の各図で工具本体3内での調整棒4と砥石5付摺動子6の動作を説明するが、研磨工具2自体は縦・横何れの主軸を持つ研磨盤に使用しても問題はなく、説明も変わらない。
【0025】図2(A)で工具本体3の正面図を、該図のa−a線に沿う断面を展開した側面図を同図(B)に夫々示すように、工具本体3は円筒11に内筒13を有し、該円筒の一端には主軸との接続端を持つ小円筒12を備え、該小内筒も内筒13と接続し同心の内筒14を備え、他端には開口部19を備えた円筒11の円周面を六等分した位置に方形状のスリット15を内筒13まで貫通する。
【0026】円筒11の外周面に備えたスリット間に挟まれた部分には、逆の曲面を付加し最深部に浅いスロット16を刻み、対称的な位置関係にある二本のスロットに、触子7を本体側に備えた通気孔17の出口17Aと触子7に設けた孔18とが一致するように接着材等で固定し、該両触子外面を所要の曲率に研磨し、他のスロット16は研磨液の逃げ溝として使用するが、スロットとスリットの数については六個に限定されることはない。
【0027】二本の触子7の外面は加工対象物1(図5参照)の内面と直接の接触はなく、通気孔17を経由し孔18から加圧空気を出すエアーマイクロメータの触子として働き、該触子外面と加工対象物の内面の隙間を計測し、その値により図3に示す調整棒4を接続した連結棒8を研磨盤側から動かし制御するが、該制御自体は本発明とは関係なく説明は省略する。
【0028】図3は内筒13内を摺動する調整棒4を示し、調整棒4は各々の斜面角度αを22.5°とする斜面21,22を備えた円筒部23,24と、円錐状斜面22先端と円筒部23との間を小径の軸でつなぎ、円筒部23の背面に斜面角度βを45°とする円錐状窪み25を設け、該円錐状窪みは円筒部23外面から斜面への切り込みを鋭利に仕上げ、小孔26は円筒部27に備えたネジ穴28に連結棒8(図5参照)を接続する際の回り止め用である。
【0029】調整棒4の円錐状斜面21,22の角度αは目的・条件に合わせ5〜35°の範囲から選択し、同様に円錐状窪み25の角度βは角度αよりも大き目として、角度差β−αを5〜35°の範囲から、好ましくは15〜25°の範囲から選択することが望ましく、両円錐斜面の断面形状も直線に限らずクラウン付としても段付としてもよい。
【0030】図4は砥石5付摺動片子6で、同図(A)では正面図を、同図(B)では側面図を、同図(C)では底面図を夫々に示し、正面図の方形断面の底辺31を上辺33の幅の3/10とし、該底の幅両端から垂線に対し各々30°で切上げた角度γを60°とし、両側面32がスリット15の内面と接触する。
【0031】側面図での摺動子6は、後述の比較例に示すように係止リングの溝を必要としないので、上辺33の全長に渡り砥石5の接着が可能となり、摺動子6が係止リングにより占められていた研磨に対する無効部分がなくなるので、先に説明した係止リング式と同一長さの摺動子に較べて、砥石の有効研磨長を増加することができ、他に工具本体3の全長の短小化が可能になった。
【0032】摺動子の底辺31には調整棒4の円錐状斜面に対応する二箇所を、該円錐状斜面の傾斜角度αに合わせ、底辺31の一部を残して斜面35,36を形成し、斜面35,36の間に開口部37と逃げ38を持つ鉤状突起39を設け、該鉤状突起の先端角度を調整棒4の円錐状窪み25の傾斜角度βに合わせ、図3(C)の底面図で見るように、この角度の付与部分に丸みを付し鉤状突起39の厚みを底辺31の厚みより薄くする。
【0033】調整棒4と摺動子6との係合関係は本実施例に限定されることはなく、底31の厚みは上辺33の幅の10〜50%の範囲から選択し、鉤状突起39の厚みは底辺31の幅の50〜90%範囲から選択し、接触部分の形状・寸法等の条件に合わせて得られる形状とすればよく、角度γについても摺動子6とスリット15の関係によりきめればよい。
【0034】図5(A)では、加工対象物1内に挿入した調整棒4が最も後退し砥石5付摺動子6が最も内部に位置する状態の研磨工具2の正面図を、同図(B)では同図(A)のb−b線に沿う断面を展開した側面図を示し、この段階では調整棒4の端27Aが内筒13の奥13Aに近(Lで示す)づくと、円錐状窪み25の中心部に摺動子6の鉤状突起39の先端が密着し、摺動子6はスリット15の最も内寄りに位置し、砥石5の上面は円筒11面に付着した触子7の外周面以下か僅かに突出する状態に保たれる。
【0035】また調整棒4の円錐状斜面21,22と摺動子6の斜面35,36とは密着に近く、摺動子6とスリット15との嵌合関係を両者の円滑な動きを妨げない範囲に仕上げるので、摺動子6はスリット15内で円筒11の半径方向の摺動の際に遊びは殆どなく、研磨工具2が回転しても調整棒4と摺動子6との係合関係は解けることがないので、摺動子6がスリット15内から遠心力で飛び出す恐れは鉤状突起39が折損しない限り起らない。
【0036】調整棒4が連結棒8に押され工具本体3の開口部19に向い摺動を始めると、円錐状斜面21,22に対応する摺動子6の斜面35,36を半径方向の外側に押し出し、摺動片6はスリット15の内壁に沿い移動し、砥石5を加工対象物1の方向に動かすが、摺動を始めた時点で円錐状窪み25と摺動子6の鉤状突起39先端の密着状態は解除され隙間を生ずるが、円錐状窪み25の中に鉤状突起39が十分に挿入しているので係合関係が持続する。
【0037】図6は、加工対象物1の内面と砥石5が接触し研磨状態にある研磨工具2を示し、研磨盤の制御機構に接続された連結棒8の動きにより、調整軸4の端27Aと内筒13の奥13Aとの間(L1 で示す)は開き、この段階で砥石5を研磨に必要な強さで加工対象物1の内壁に押し付けた状態となり、研磨加工の進捗は円筒11に設けた通気孔17を経由する加圧空気を触子7の孔18から噴出すると、触子7はエアーマイクロメータとして働き、該触子外面と加工対象物1との内面の隙間を計測して研磨盤側から調整棒4の出入りを制御する。
【0038】研磨工具2は上方から冷却と潤滑を兼ね研磨により発生した研削粉を除去する研磨液を流す際に、触子7を付着しないスロット16より相当量の研磨液を逃がすとしても、エアーマイクロメータの触子7は回転時に激しく前記研磨液の一部と衝突する悪条件下に置かれることには変わりなく、予測される触子7の磨耗防止のために超鋼を使用する。
【0039】研磨終了の時期は、エアーマイクロメータで検知することも可能ではあるが、半径方向の有効検出量が小さくまた研磨の過程を知る必要がない時は、円筒11に連続する小円筒12の外周に、外径を加工対象物1の内径の研磨目標値に仕上げた定寸プラグ(図示せず)と呼ばれる中空円筒を研磨工具2に外装することにより、該定寸プラグが研磨の進捗に伴い加工対象物1の研磨面に落下することで終了を検知する方法が採られる。
【0040】研磨が終了すると図7に示すように連結棒8の動きにより調整棒4は後退し、円錐状斜面21,22は対応する摺動子6の斜面35,36との接触を解除し、摺動子6をスリット15の中に残して後退を続け円錐状窪み25の外周に近い内側に鉤状突起39先端が係合する時点、即ち調整軸4の端27Aと内筒13の奥13Aとの間(L2 で示す)が縮小した時に、初めて摺動子6はスリット15の内面に引き込まれ砥石5は加工対象物1の内壁から離れる。
【0041】研磨工具2が加工対象物1の外部にある時に、調整棒4が十分に内筒13の奥くに引き込まれていない状況で、研磨工具2が回転をすると遠心力により、摺動子6の斜面35,36は対応する調整棒4の円錐状斜面21,22から離れ、摺動子6は円錐状窪み25と鉤状突起39の先端とが係合するところまで、スリット15内に沿い半径方向に遊び代だけ移動するが飛び出すことはない。
【0042】研磨盤が縦形ではなく横形の場合に、研磨工具2が加工対象物1の外部にあり研磨工具2が回転している時は、調整棒4が内筒13内に十分に引き込まれていてもいなくても状況は縦形と変わらないが、研磨工具2が停止している時で引き込みが十分でないときは、スリットに納まった下向きの摺動子6が重力により係合部の遊び代だけズリ出ることになる。
【0043】調整棒4と摺動子6との係合部分におけるの遊び代は、調整棒4の円錐状斜面21,22の傾斜角度αと円錐状窪み25の傾斜角度βとの関係により決まり、両者の傾斜角度が同一であれば遊びもなくなり最も好ましいが、加工が格段に難しくなるので好ましい条件とはいえず、後者の傾斜角度を前者より大きい目としておくのがよい。
【0044】上記の研磨工具2は、調整棒4と摺動子6の双方に耐久性に富む係合部と、実質的研磨面積と容積を増した砥石を備えたので、研磨工具2の装着・整備等の手間の減少や安全の確保と工具の損傷防止並びに工具の短小化を可能とし、砥石の耐用時間を著しく増加し、その結果研磨工具を止める必要がなく加工対象物を連続供給できる場合は研磨盤の稼働率の向上が計れた。
【0045】研磨工具2から摺動子6を外すためには、研磨盤から外した状態で調整棒4を十分に開口部19に向けて移動させれば、調整棒4と摺動子6の係合関係は全て解除され、スリット15から摺動子6を取り出すことが出来る状態となり、この逆の順序に従えば容易に係合関係を構築することができるので、組立と分解が楽である。
【0046】
【比較例】図8(A)は従来方式による研磨工具52の正面図を、該図のc−c線に沿う断面を展開した側面図を同図(B)に夫々示し、研磨工具52は工具本体53と調整棒54と砥石55付摺動子56と触子57と連結棒58及び係止リング59で構成し、この構成自体は実施例と較べた際に、双方から係止または係合手段を除けば基本的には変わらない。
【0047】工具本体53の円筒61は内筒63を有し、該円筒の一端には主軸との接続用小円筒62を備え、該小内筒も内筒63と接続し同心円である内筒64を備え、他端は円筒61の円周面を均等に六分割して方形状のスリット65を内筒63までを貫通し、該スリットの前後で交錯するように係止リング59を嵌め込む環状溝61Aが刻まれている。
【0048】調整棒54と摺動子56との間には直接の係合関係を持たないので、研磨工具52が加工対象物51の外部で回転すると、スリット65内から遠心力により摺動子56が飛び出すので、円筒61のスリット65上に設けた溝61Aを利用して、係止リング59を挿入し摺動子56の両端を抑えて飛び出しを防止する。
【0049】この係止リング59には、Oリングやピアノ線材等を紐状スプリングに加工しリング状に結束したもの等を使用するが、いずれも比較的短時間の内に前者は部分的に弾性力を失ない伸びが進み、後者は部分的に延びて復元不能な塑性変形を起こし、長時間の使用に耐えず毎回、係止リング59の取り換えを必要とする場合が発生することもある。
【0050】その原因は、係止リング59が外装状態のために、摺動子56がスリット65からの突出によりリングを局部的に鋭角状に引き伸ばした儘、研磨工具52の上方から冷却と潤滑を兼ねて、研磨により発生した研削粉を除去する研磨液が流れるので、触子70を付着しないスロット66から相当量の研磨液を逃がしても、回転時に激しく前記研磨液に衝突する悪条件下に置かれる。
【0051】また研磨工具52が加工対象物51の外部で回転すると、摺動子56に過大な遠心力が働き、その力が係止リング59の抑止力を超えて該係止リングを切断することも起りうるので、安全のために回転を低く抑えるか停止する必要があり、かかる動作により係止リング59自体の寿命を損じ、再々交換のために研磨盤の停止を必要とし稼働率の低下を引き起こす。
【0052】工具本体53の円筒61上に刻む溝61Aは、該溝と直交するスリット65の部分の断面の強度を低下するので、使用中の捩じれに対する強度を低下しビビリ等の振動の原因にもなり許容回転数に対する制限を生じ、通気孔67の位置にも関係して研磨工具52の設計に対して大きな影響を与える。
【0053】研磨工具52の軸方向に対する摺動子56の長さは、両端を係止リング59に占拠されるので、接着出来る砥石55の長さが短く有効研磨面積を減少し、また半径方向に対しては係止リング59と加工対象物51の接触の問題があるので、砥石55の厚みを有効に使用できないので、研磨に有効に働く砥石55の容積はより小さくなる。
【0054】係止リング59の代わりに金属リングまたは金属片を、スリット上に挿入するか固定して摺動片56の飛び出しを抑える方法(図示せず)もあるが、この方法では金属リングまたは金属片に弾性が乏しく、摺動子56の形状と動きが著しく制限されることになるので、弾力性のある係止リング59の方法と較べても優劣は余り認められない。
【0055】
【発明の効果】本発明の研磨工具の使用により下記の効果を得た。
■研磨工具が内蔵する調整棒と摺動子とに夫々係合部を設け、消耗度の高い外装係止リングの使用を排除したので、研磨工具の装着・整備等の手間が大幅に減少した。
■研磨工具を加工対象物の外部で回転しても摺動子が飛び出す心配が全くなくなり、安全の確保は勿論のこと工具の損傷防止に役立った。
■外装係止リングを排除したことにより工具本体上の係止リング溝がなくなり、スリット部分の強度向上と短小化を可能とし、摺動子の長さを全面的に活用による大きな砥石の使用が可能となり砥石の耐用時間を増加した。
■研磨工具を止める必要がなく、加工対象物の連続供給ができる時は研磨盤の稼働率が一段と向上した。
■係合部の存在にもかかわらず組立・分解は容易である。




 

 


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