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発明の名称 シリコーン系油分含有複合エマルジョン及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−28858
公開日 平成10年(1998)2月3日
出願番号 特願平8−205428
出願日 平成8年(1996)7月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
発明者 吉田 克典 / 梁木 利男 / 山口 道広
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 外油相中にO/W型エマルジョンが分散されたO/W/O型複合エマルジョンにおいて、前記外油相中に有機変性粘土鉱物を含有し、且つ油相中にシリコーン系油分を含有することを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項2】 請求項1記載の複合エマルジョンにおいて、有機変性粘土鉱物は水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム型カチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とで処理して得られたものであることを特徴とする複合エマルジョン。
【請求項3】 請求項1又は2記載の複合エマルジョンにおいて、O/W型エマルジョンと外相油との配合比が2:3〜19:1であることを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の複合エマルジョンにおいて、シリコーン系油分が外油相中に配合されたことを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の複合エマルジョンにおいて、シリコーン系油分が複合エマルジョン全量に対して5〜60重量%配合されたことを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の複合エマルジョンにおいて、シリコーン系油分が沸点200℃以下の低沸点シリコーン油であることを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の複合エマルジョンにおいて、内油相中に脂溶性薬剤を含有することを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項8】 請求項7記載の複合エマルジョンにおいて、内油相に配合される脂溶性薬剤がシリコーン系油分に対して難溶性の薬剤であり、且つシリコーン系油分が外油相に配合されたことを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項9】 請求項7又は8記載の複合エマルジョンにおいて、内油相に配合される脂溶性薬剤が易酸化性の脂溶性ビタミン、油溶性紫外線吸収剤、不飽和脂肪酸及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョン。
【請求項10】 親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、これに内油相油分を添加する水溶性溶媒中油型エマルジョン調製工程と、前記水溶性溶媒中油型エマルジョンに水を添加するO/W型エマルジョン調製工程と、前記O/W型エマルジョンを、有機変性粘土鉱物を含有する外油相油分に分散乳化してO/W/O型複合エマルジョンとする複合化工程と、を備え、前記油相油分としてシリコーン系油分を配合することを特徴とするシリコーン系油分含有複合エマルジョンの製造方法。
【請求項11】 請求項10記載の複合エマルジョンの製造方法において、シリコーン系油分を外油相油分として配合することを特徴とするO/W/O型複合エマルジョンの製造方法。
【請求項12】 請求項10又は11記載のO/W/O型複合エマルジョンの製造方法において、内油相中に脂溶性薬剤を配合することを特徴とする複合エマルジョンの製造方法。
【請求項13】 請求項12記載のO/W/O型複合エマルジョンの製造方法において、内油相に配合される脂溶性薬剤がシリコーン系油分に対して難溶性の薬剤であり、且つシリコーン系油分を外油相油分として配合することを特徴とする複合エマルジョンの製造方法。
【請求項14】 請求項12又は13記載のO/W/O型複合エマルジョンの製造方法において、内油相に配合される前記脂溶性薬剤が易酸化性の脂溶性ビタミン、油溶性紫外線吸収剤、不飽和脂肪酸及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする複合エマルジョンの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリコーン系油分含有複合エマルジョンおよびその製造方法、特にその乳化安定性の改良と、さらには、シリコーン系油分に対して難溶性の脂溶性薬剤を含有した場合の薬剤安定性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、そののびの良さ、さっぱり感、べとつきのなさ等の良好な使用性や、耐水性、耐油性に優れて汗や水にながれにくいなどの機能を有することから、皮膚外用剤や化粧料の基剤としてジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系基剤が広く使用されている。特にサンケア化粧料においては、夏場に汎用されるため、さっぱりとした使用感や、汗や皮脂、水浴等で容易に流れ落ちないものが要求されるので、このようなシリコーン系基剤の使用頻度は高まってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常化粧料や皮膚外用剤に配合される脂溶性薬剤にはシリコーン系油分に難溶性のものが少なくない。例えば、サンケア化粧料に配合される油溶性紫外線吸収剤の中にはシリコーン系基剤に対する溶解度が著しく低いものも多い。そのため、シリコーン系基剤を多く含む化粧料においてこのような紫外線吸収剤を配合すると、経時的に紫外線吸収剤の結晶が析出するという問題点があった。
【0004】このような結晶析出を防止するために、シリコーン系油分に難溶性の脂溶性薬剤の使用量を制限したり、該薬剤の溶解性が高い極性油等の油分を多量に併用したりすることが必要であった。しかし、薬剤の効果は通常その添加量に依存し、使用量を制限すればその薬剤の効果を充分に得ることができない。また、極性油等の非シリコーン系油分を多量に使用すると、例えば乳化組成物では製剤上の問題からシリコーン系油分の配合量が制限され、シリコーン系油分を多量に配合できず、充分な使用感や耐水性、耐油性を得ることが困難となることがあった。
【0005】また、シリコーン系油分は他の極性油や非極性油とその構造や性質が全く異なるため、W/O型やO/W型等のエマルジョンの油相にシリコーン系油分とともに非シリコーン系油分を配合した場合には、乳化剤や乳化条件等の選択が難しく、一般に良好な乳化安定性を有する乳化組成物を得ることが非常に困難であった。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は油相中にシリコーン系油分と非シリコーン系油分を配合したエマルジョンにおいて、乳化安定性が良好で、しかもシリコーン系油分に難溶性の脂溶性薬剤を配合した場合にも該薬剤の析出が防止されるエマルジョンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために、外油相中にO/W型エマルジョンを分散させたO/W/O型複合エマルジョンの応用を考えた。水中油型(以下、O/W型と称する)エマルジョンをさらに油相中に乳化分散させた油中水中油型(以下、O/W/O型と称する)乳化組成物は、別名複合エマルジョンまたはマルチプルエマルジョンとも呼ばれる。通常のW/O型エマルジョンが単に油相中に水相を分散させたものであるのに対して、複合エマルジョンの粒子構造は図1に示すように外油相10中に分散された水相12中にさらに内油相14が分散された構造を有している。
【0007】従って、このようなO/W/O型複合エマルジョンでは、内油相14と外油相10が水相12により隔てられているため、2種の異なる性質を有する油分、例えばシリコーン系油分と非シリコーン系油分というような性質の異なる油分を一つのエマルジョン中に独立して存在させるということが理論上可能であり、例えば、一方の油相中にはシリコーン系油分難溶性の脂溶性薬剤と該薬剤を溶解する非シリコーン系油分を、他方の油相中にはシリコーン系油分をそれぞれ別々に配合すれば、これらを一つのエマルジョン中に安定に共存させながら、該薬剤の析出を防止することができると考えたのである。
【0008】しかしながら、従来より公知の複合エマルジョンの製造方法では、充分な乳化安定性を有するシリコーン系油分含有複合エマルジョンは得ることはできなかった。例えば、複合エマルジョンの製法としては、親水性界面活性剤16を用いて調製したO/W型エマルジョンを、親油性界面活性剤18を溶解した外油相中に再乳化する、いわゆる二段階乳化法が従来よりよく知られている。しかしながら、このようにして調製された複合エマルジョンは、その乳化安定性が著しく悪く、経時的に内相油14と外相油10が融合したり、水相12の合一が認められ、ついには油分や水分の分離に至ってしまう。
【0009】これらの問題を改善するため、様々な取り組みもなされており、例えば、特公昭55−33294号公報には乳蛋白質、ショ糖脂肪酸エステルを併用した方法、特公平4−54709公報にはポリグリセリン脂肪酸エステルを外相油に配合する方法が記載されている。又、特開昭63−30405号公報には特定のベントナイトを水相に、デキストリン脂肪酸エステルを外相油に、それぞれ配合する方法が記載されている。また、最近、紫外線吸収剤や抗酸化剤をその内油相に配合したO/W/O型複合エマルジョンも報告されている(特開平7−101844)。しかしながら、これらの方法によって調製された何れのO/W/O型複合エマルジョンにあっても、やはり内相油が外相油と融合し、内相油の残存量が経時的に少なくなる傾向にあり、充分な乳化安定性を得るには至っていない。
【0010】このことは、内相油14と外相油10が、水相12及び界面活性剤16,18の親水基をはさんで相対しており、両油相10,14が融合する隔壁は極めて小さいことに起因するものと考えられる。しかも、内相油14を存在させる必要上、物理的にもあるいは製造上も水相12の粒径を小さくすることは困難であり、不安定化の要素は一般のO/W型あるいはW/O型のエマルジョンに比較して著しく大きく、O/W/O型複合エマルジョンの安定化を困難にしているものと推察される。
【0011】このような従来法では、例え調製の際にシリコーン系油分難溶性の油溶性薬剤や非シリコーン系油分と、シリコーン系油分を別々の油相に配合したとしても、経時的に内油相が外油相に合一してしまい、また、該薬剤はシリコーン系油分との接触で析出してしまうので、所望の乳化安定性や薬剤安定性を得ることはできなかった。
【0012】そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、シリコーン系油分含有O/W/O型複合エマルジョンの外相油中に有機変性粘土鉱物を存在させることによって、エマルジョンの乳化安定性を格段に向上させることができ、また、シリコーン系油分難溶性薬剤の結晶析出も効果的に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明にかかるシリコーン系油分含有複合エマルジョンは、外油相中にO/W型エマルジョンが分散されたO/W/O型複合エマルジョンにおいて、前記外油相中に有機変性粘土鉱物を含有し、且つ油相中にシリコーン系油分を含有することを特徴とする。
【0013】なお、前記有機変性粘土鉱物は水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム型カチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とで処理して得られたものであることが好適である。また、O/W型エマルジョンと外相油との配合比が2:3〜19:1であることが好適である。また、本発明にかかるO/W/O型複合エマルジョンにおいて、シリコーン系油分は外油相中に配合されることが好適である。また、シリコーン系油分が複合エマルジョン全量に対して5〜60重量%配合されることが好適である。また、シリコーン系油分が沸点200℃以下の低沸点シリコーン油であることが好適である。また、本発明にかかるO/W/O型複合エマルジョンは、内油相中に脂溶性薬剤を含有することが好適である。
【0014】なお、本発明にかかる複合エマルジョンにおいて、内油相に配合される脂溶性薬剤がシリコーン系油分に対して難溶性の薬剤であり、且つシリコーン系油分が外油相に配合されることが好適である。また、本発明において脂溶性薬剤は易酸化性の脂溶性ビタミン、油溶性紫外線吸収剤、不飽和脂肪酸及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることが好適である。
【0015】本発明のシリコーン系油分含有複合エマルジョンの製造方法は、親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、これに内油相油分を添加する水溶性溶媒中油型エマルジョン調製工程と、前記水溶性溶媒中油型エマルジョンに水を添加するO/W型エマルジョン調製工程と、前記O/W型エマルジョンを、有機変性粘土鉱物を含有する外油相油分に分散乳化してO/W/O型複合エマルジョンとする複合化工程と、を備え、且つ前記油相油分としてシリコーン系油分を配合することを特徴とする。
【0016】なお、本発明の複合エマルジョンの製造方法において、シリコーン系油分を外油相油分として配合することが好適である。また、本発明の複合エマルジョンの製造方法において、内油相中に脂溶性薬剤を配合することが好適である。なお、内油相に配合される脂溶性薬剤が、シリコーン系油分に対して難溶性の薬剤であり、且つシリコーン系油分を外油相油分として配合することが好適である。また、本発明の複合エマルジョンの製造方法において、内油相に配合される脂溶性薬剤が易酸化性の脂溶性ビタミン、油溶性紫外線吸収剤、不飽和脂肪酸及びその誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることが好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】まず本発明者らは、各種界面活性剤を用いO/W型エマルジョン、W/O型エマルジョン、O/W/O型エマルジョンを表1〜3の処方で各常法により調製した。以下、表中の配合量は特に指定のない限り全て重量%である。なお、各安定性の評価は、後述する複合エマルジョンの乳化安定性評価方法に準じた。
【0018】
【表1】

上記表1に記載の(a)成分を均一に溶解混合したものに、(b)成分を撹拌しながら混合・乳化した後、(c)成分を添加混合しO/W型エマルジョンを得た。
【0019】
【表2】
W/O型エマルジョン──────────────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 2 3 4 5 6 7────────────────────────────────────(a)界面活性剤 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体*1 1 5 10 − − − POEメチルホ゜リシロキサン共重合体*2 − − − 1 5 10(b)油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 39 35 30 − − − オクタメチルシクロテトラシロキサン − − − 39 35 30(c)水相 イオン交換水 60 60 60 60 60 60────────────────────────────────────乳化安定性(形態観察)
室温 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 50℃ ○ ○ ○ ○ ○ ○使用感 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ──────────────────────────────────── *用いたPOEメチルポリシロキサン共重合体の商品名は次の通り。
*1:シリコ−ンSC9450N(信越化学工業(株)製)
*2:シリコ−ンKF6015 (信越化学工業(株)製)
【0020】上記表2の(a)成分と(b)成分とを混合し、これに(c)成分を撹拌しながら混合、乳化することにより目的とするW/O型エマルジョンを得た。
【0021】
【表3】
O/W/O型エマルジョン──────────────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 8 9 10 11 12 13────────────────────────────────────(a)O/W相 試験例1のO/W型エマルジョン 70 70 70 70 70 70(b)外油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 29 25 20 − − − オクタメチルシクロテトラシロキサン − − − 29 25 20(c)親油性界面活性剤 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体*1 1 5 10 − − − POEメチルホ゜リシロキサン共重合体*2 − − − 1 5 10────────────────────────────────────乳化安定性 形態観察(室温) × × × × × × (50℃) × × × × × × 内相油残存率(50℃8週間後) <5 <5 <5 <5 <5 <5使用感 △ △ △ △ △ △ ──────────────────────────────────── *1〜2:表2と同じ。
【0022】上記表3において(b)成分と(c)成分を混合し、試験例1のO/W型エマルジョン(a)を(b)+(c)成分中に撹拌しながら混合、乳化して目的とするO/W/O型エマルジョンを調製した。
【0023】前記表1および表2を参酌すると、非シリコーン系油分を油相とするO/W型エマルジョンも、シリコーン系油分を油相とするW/O型エマルジョンもそれぞれ適切な界面活性剤を選択することにより、かなり高い乳化安定性を得ることができる。しかしながら、このような安定なO/W型エマルジョンをシリコーン系油分を含有する油相中に分散させ、O/W/O型エマルジョンとした場合には、表3に示すように保存安定性が大きく低下し、特に、内油相が外油相中に浸出していることが明らかである。
【0024】そこで本発明者らはシリコーン系油分含有複合エマルジョンにおける安定化、特にこのような内相油と外相油の合一を防止するため、有機変性粘土鉱物の採用に至ったのであるこの有機変性粘土鉱物は、例えば特公平2−32015などに示されており、安定なW/O型エマルジョンを調製するのに有効であることは公知であるが、O/W/O型複合エマルジョンの安定化、特にその内相油と外相油の合一防止に有効である点は明らかにされていなかった。本発明者らは次の実験を行い、有機変性粘土鉱物の複合エマルジョン安定化に対する効果について検証を行った。
【0025】
【表4】
──────────────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 14 15 16 17 18────────────────────────────────────(a)O/W相 試験例1のO/W型エマルジョン 70 70 70 70 70(b)外油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 28 28 28 28 28(c)外油相中の界面活性剤 有機変性粘土鉱物 2 − − − − 未変性粘土鉱物 − 2 − − − ヘ゛ンシ゛ルシ゛メチルステアリルアンモニウムクロリト゛ − − 2 − − POEメチルホ゜リシロキサン共重合体* − − − 2 − ヘ゛ンシ゛ルシ゛メチルステアリルアンモニウムクロリト゛ +POEメチルホ゜リシロキサン共重合体* − − − − 2────────────────────────────────────乳化安定性 形態観察(室温) ○ × × × × (50℃) ○ × × × × 内相油残存率(50℃8週間後) 98 <5 <5 <5 <5使用感 ◎ ○ ○ ○ ○ ──────────────────────────────────── *用いたPOEメチルポリシロキサン共重合体の商品名は次の通り。
シリコーンSC9450N(信越化学工業(株)製)
【0026】上記表3の製法に準じて表4の処方でシリコーン系油分含有O/W/O型複合エマルジョンを調製した。上記表4より明らかなように、有機変性粘土鉱物を外油相に配合した場合には、その乳化安定性は乳化形態、内相油残存率共に極めて良好であるが、該有機変性粘土鉱物の構成要素である未変性粘土鉱物、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、POEメチルポリシロキサン共重合体を単独で、あるいは組み合わせて用いたとしても有機変性粘土鉱物を配合した場合のような高い乳化安定性は得られなかった。このことから、有機変性粘土鉱物による安定化作用が極めて特異的であることが理解される。
【0027】また、有機変性粘土鉱物を外油相に配合した試験例14の複合エマルジョンでは、皮膚に塗布した際にのびが非常によく、さっぱりとしたべたつきのない使用感で、油分としてシリコーン系油分を用いた表2のW/O型エマルジョンや表3の複合エマルジョンに比してもその使用感が非常に優れていた。なお、表4においてデカメチルシクロペンタシロキサンの代わりにオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いた場合にも同様の結果が得られた。
【0028】以上のように、単に安定なO/W型エマルジョンを、安定なW/O型エマルジョンの水相に置き換えるのみでは、安定なシリコーン系油分含有複合エマルジョンを得ることはできず、調製時にシリコーン系油分と非シリコーン系油分をそれぞれ別々の油相に配合したとしても、これらを安定に保持することはできない。これに対して、有機変性粘土鉱物を外油相に配合すれば、内油相と外油相の合一が抑制され、安定なシリコーン系油分複合エマルジョンを得ることができ、調製時にシリコーン系油分と非シリコーン系油分をそれぞれ別々の油相に配合すれば、これらを一つのエマルジョン中に独立して安定に保持することができる。また、その使用感はシリコーン系油分を含有するW/O型エマルジョンに比して、非常に良好である。
【0029】次に、本発明者らは、このような複合エマルジョンにおける結晶析出防止効果について、シリコーン系油分難溶性の脂溶性薬剤として、紫外線吸収剤の1種である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを用いて検証を行った。また、併せて使用感についても調べた。なお、これらの評価方法は後述の薬剤安定性試験及び使用感評価試験によった。
【0030】
【表5】

上記表1に記載の(a)成分を均一に溶解混合したものに、(b)成分を撹拌しながら混合・乳化した後、(c)成分を添加混合しO/W型エマルジョンを得た。
【0031】
【表6】
W/O型エマルジョン───────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 20 21───────────────────────────── (a)界面活性剤 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体* 5 5(b)油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 33 − オクタメチルシクロテトラシロキサン − 33 4-tert-フ゛チル-4'-メトキシシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン 2 2(c)水相 イオン交換水 60 60───────────────────────────── 乳化安定性(形態観察) 室温 ○ ○ 50℃ ○ ○結晶析出 ×(有り) ×(有り) 使用感 ○ ○ ───────────────────────────── *表4で用いたものと同じ。
【0032】上記表6の(a)成分と(b)成分とを混合し、これに(c)成分を撹拌しながら混合、乳化することにより目的とするW/O型エマルジョンを得た。
【0033】
【表7】
O/W/O型エマルジョン──────────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 22 23──────────────────────────────── (a)O/W相[内油相に4-tert-フ゛チル-4'-メトキシシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタンを含有する]
試験例19のO/W型エマルジョン 70 70(b)外油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 25 − オクタメチルシクロテトラシロキサン − 25(c)親油性界面活性剤 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体* 5 5──────────────────────────────── 乳化安定性 形態観察(室温) × × (50℃) × × 内相油残存率(50℃8週間後) <5 <5結晶析出 ×(有り) ×(有り) 使用感 △ △ ──────────────────────────────── *表6で用いたものと同じ。
【0034】上記表3において(b)成分と(c)成分を混合し、試験例1のO/W型エマルジョン(a)を(b)+(c)成分中に撹拌しながら混合、乳化して目的とするO/W/O型エマルジョンを調製した。
【0035】前記表5および表6から解るように、油相中に脂溶性薬剤(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)を配合した場合にも乳化安定性の高いO/W型エマルジョン及びW/O型エマルジョンを得ることはできるが、シリコーン油を配合していない場合は薬剤の析出は認められないものの使用感が劣り、一方、シリコーン油を配合すると使用感は向上するが、経時的に薬剤の析出が認められる。そして、シリコーン系油分の使用感と、薬剤の結晶析出防止効果を期待して、表5の安定なO/W型エマルジョンをシリコーン系油分を含有する油相中に分散させ、O/W/O型エマルジョンを調製すると、表7のように前記表3の場合と同様乳化安定性が大きく低下し、内油相が外油相中に浸出してしまうため、期待された結晶析出防止効果は得られなかった。また、使用感も低下する傾向にあった。そこで、本発明者らは有機変性粘土鉱物を外油相に配合した場合の乳化安定性、薬剤安定性、使用感について調べた。
【0036】
【表8】
────────────────────────────────── 試 験 例 構 成 成 分 24 25 ────────────────────────────────── (a)O/W相[内油相に4-tert-フ゛チル-4'-メトキシシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタンを含有する]
試験例19のO/W型エマルジョン 70 70(b)外油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 28 − オクタメチルシクロテトラシロキサン − 28(c)外油相中の界面活性剤 有機変性粘土鉱物* 2 2───────────────────────────────── 乳化安定性 形態観察(室温) ○ ○ (50℃) ○ ○ 内相油残存率(50℃8週間後) 98 98結晶析出 ○(なし) ○(なし) 使用感 ◎ ◎ ───────────────────────────────── *表4で用いたものと同じである。
【0037】上記表7の製法に準じて表8の処方でO/W/O型複合エマルジョンを調製した。
【0038】上記表より明らかなように、有機変性粘土鉱物を外油相に配合した場合には、乳化安定性は乳化形態、内相油残存率共に極めて良好であった。そして、該複合エマルジョンにおいては内油相と外油相の合一が抑制されるため、内油相に配合した難溶性薬剤(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)が外油相中のシリコーン系油分と接触することが極めて少なく、外油相に移行することもないため、紫外線吸収剤の結晶析出が効果的に防止された。また、その使用感もべたつきのない非常に良好なものであった。以上のように、本発明の複合エマルジョンにおいては、外油相中に有機変性粘土鉱物を存在させることにより、内油相と外油相の合一が抑制されるので、内油相と外油相を一つの系に独立して安定に存在せしめることが可能である。従って、例えば、一方の油相にシリコーン系油分難溶性の薬剤と非シリコーン系油分を配合し、他方の油相にシリコーン系油分を配合すれば、これらを一つの系に安定に共存させながら、該薬剤の析出を防止することができ、しかもその使用感も非常に優れるエマルジョンを得ることができる。
【0039】以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明のシリコーン系油分含有複合エマルジョンは、親水性界面活性剤を用い、O/W型エマルジョンを調製した後、該エマルジョンと、有機変性粘土鉱物を添加した外相油とを混合乳化することにより構成される。本発明において用いられる有機変性粘土鉱物は、上述の通り、水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とで処理して得られる。
【0040】ここで用いられる水膨潤性粘土鉱物としては、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種で、一般に下記一般式(X,Y)A(Si,Al)410(OH)2B・nH2O(但し、X=Al,FeIII,MnIII,CrIIIY=Mg,FeII,Ni,Zn,LiZ=K,Na,Caまた、Aは2〜3,Bは1/3を表す。)で表され、具体的にはモンモリロナイト、サポナイトおよびヘクトライトなどの天然または合成{この場合、式中の(OH)基がフッ素で置換されたもの}のモンモリロナイト群(市販品ではビーガム、クニピア、ラポナイトなどがある)およびナトリウムシリシックマイカナトリウムまたはリチウムテニオライトの名称で知られる合成雲母(市販品ではダイモナイト;トピー工業(株)等がある)などである。
【0041】また、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては下記一般式化1でで表されるものが用いられる。
【化1】

(式中、R1は炭素数10〜22のアルキル基またはベンジル基、R2はメチル基または炭素数10〜22のアルキル基、R3とR4は炭素数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【0042】例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェートなどが挙げられる。本発明においては、これらの内一種または二種以上が任意に選択される。
【0043】つぎに、非イオン界面活性剤について述べる。本発明で用いられる非イオン界面活性剤は、HLB値が2〜16の範囲に存在し、3〜12のものがさらに好適である。ここでいうHLB値は、下記の川上式により算出される。
HLB=7+11.7・log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水性基部の分子量、Moは親油基部の分子量をそれぞれ表す。
【0044】例示すれば、ポリオキシエチレン2〜30モル付加{以下POE(2〜30)と略す}オレイルエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜20)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(3〜20)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型活性剤、およびPOE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型活性剤、更にPOE(2〜30)グルセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グルセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤、及びデカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、テトラグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノオレート等のグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エーテル型界面活性剤、例えば下記一般式化2で示されるジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のノニオン変性シリコーン活性剤などが挙げられる。
【0045】
【化2】

これらの中で特に、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、テトラグリセリルジイソステアレート等のトリグリセリン以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、POE(2〜12)オレイルエーテル、POE(3〜12)ステアリルエーテル、 POE(2〜10)ラウリルエーテル、POE(2〜10)ノニルフェニルエーテル、 POE(6〜15)ベヘニルエーテル、POE(5〜20)2−デシルペンタデシルエーテル、 POE(5〜17)2−デシルテトラデシルエーテル、 POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のPOE付加エーテル型活性剤、及び POE(10〜20)硬化ヒマシ油、POE(5〜14)オレイン酸モノエステル、 POE(6〜20)オレイン酸ジエステル、POE(5〜10)ソルビタンオレイン酸エステル等のPOE付加エステル型活性剤、POE(3〜15)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜40)グリセリルトリイソステアレート等のPOE付加エーテルエステル型活性剤等のエチレンオキシド付加型の非イオン性界面活性剤、前記化2のジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のノニオン変性シリコーン活性剤が好適に用いられる。
【0046】本発明において、これら非イオン性界面活性剤の中から一種または二種以上が任意に選択されて用いることができる。本発明に用いる有機変性粘土鉱物の処理方法としては、例えば、水、アセトン、あるいは低級アルコール等の低沸点溶剤中で水膨潤性粘土鉱物と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを分散撹拌処理するか、またはあらかじめ水膨潤性粘土鉱物と第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤とを低沸点溶剤中で処理してカチオン変性粘土鉱物を得てから非イオン性界面活性剤で処理し、次いで低沸点溶剤を除去することによって得られる。
【0047】以上のように調製された有機変性粘土鉱物について説明する。粘土鉱物のうち、例えばスメクタイト族に属し、水膨潤性を示すNa型モンモリロナイトは、第四級アンモニウム塩型有機カチオンとのカチオン交換反応で、疎水性の有機変性モンモリロナイトとなる。さらに、非イオン界面活性剤を包接して、包接化合物(複合体)を生成し、油中で膨潤し、粘調な油性ゲルを生成する。非イオン界面活性剤は、カチオン交換反応に関与しないモンモリロナイト層間(シリケイト層)の極性サイトに包接されるものと考えられ、油性ゲルの生成はこの層間へ、さらに油が侵入して膨潤、ゲル化するものと考えられる(油化学第40巻、第6号、491−496頁、1991)。
【0048】得られた有機変性粘土鉱物の構造は、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とが層間に入り込むことにより水膨潤性粘土鉱物の層間隔は広がった状態になっている。従って、X線回折で長面間隔を測定することにより第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と非イオン界面活性剤の吸着の有無を確認できる。また、得られた有機変性粘土鉱物をクロロホルム、エーテルなどを用いてソックスレー抽出すれば層間の界面活性剤は洗い流されてくるので、該抽出液をガスクロマトグラフィー分析、熱分解温度測定あるいは熱分解量測定(DTA−TG測定)等にかけて界面活性剤の存在を確かめることができる。
【0049】本発明に用いる有機変性粘土鉱物中の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の含有量は特に限定されないが、水膨潤性粘土鉱物100gに対して60〜140ミリ等量(以下meqと略す)であることが望ましい。また有機変性粘土鉱物中の非イオン界面活性剤の含有量は、水膨潤粘土鉱物100gに対して5〜100gが好ましく、更に好ましくは15〜50gである。有機変性粘土鉱物の使用量としては、組成物中0.1〜5%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3%である。0.1%よりも少ない場合、有機変性粘土鉱物の添加効果が得られず、安定な複合エマルジョンは得られない。具体的には、経時で内油相が消失し、複合エマルジョンを保持し得ない。また、5%を越えると調製されるエマルジョンの粘度が高く、のびが悪く、ざらつく、透明感がないなど、実使用上の問題が生じる。
【0050】本発明においては、シリコーン系油分として様々なシリコーン油を幅広く用いることができるが、使用感や製剤上の観点から常圧における沸点が200℃以下のものが好適である。例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン等が挙げられる。この中で、低重合度ジメチルポリシロキサン(重合度3〜7)等の揮発性鎖状ポリシロキサンや、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状揮発性ポリシロキサン等の揮発性シリコーン油を用いた場合には、通常のシリコーン油の比較して皮膚に塗布した際にオイル感が残りにくく、さっぱりとした使用感が求められる場合には特に好適である。
【0051】なお、これらのシリコーン系油分は場合によっては内油相に配合することも可能であるが、好ましくは外油相に配合される。本発明の複合エマルジョンにおいて、シリコーン系油分の配合量は適宜選択することができるが、好ましくは複合エマルジョン全量に対して5〜60重量%、特に好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。シリコーン系油分の配合量が少ない場合には、耐水性や耐油性、使用感等が充分に得られず、シリコーン系油分が多い場合にはエマルジョンの安定化が困難となる場合がある。なお、シリコーン系油分を外油相に配合する場合、シリコーン系油分の外油相に対する配合量としては、外油相の複合エマルジョンに対する割合によって8〜100重量%の範囲で選択可能であるが、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0052】また、本発明の複合エマルジョンにおいては、非シリコーン系油分として、極性油〜非極性油まで幅広い範囲から選択される油分が用いられる。例示すれば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、分岐鎖状軽パラフィン等の炭化水素油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリオクタノエート等のエステル油等が挙げられる。これらの油分は、場合によっては外油相に添加することも可能であるが、好ましくは内油相に配合される。なお、本発明にかかるシリコーン系油分含有O/W/O型複合エマルジョンにおいて最も好ましい形態の一つは、内油相油分を非シリコーン系油分、外油相油分をシリコーン系油分とすることである。また、内油相油分を非シリコーン系油分、外油相油分をシリコーン系油分と非シリコーン系油分の混合物とすることも好ましい形態の一つである。
【0053】本発明にかかる、親水性界面活性剤を用いたO/W型エマルジョンの調製法は、特に限定されず、安定なエマルジョンの得られる方法であればよく、例えば、第1段階として親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、次にこれに油相を添加して水溶性溶媒中油型エマルジョンを製造し、第2段階として該エマルジョンに水を添加することにより調製する方法がある(特公昭57−29213号など)。O/W型エマルジョンの調製にこのような乳化法を用いると、例えば内油相中に脂溶性薬剤を配合した場合にも内相油が微細且つ安定に配合され、本発明に係る複合エマルジョンの調製に特に好適である。この乳化法に用いられる水溶性溶媒は、親水性非イオン界面活性剤を溶解し、その後に添加する油相との界面に効率よく配向させる効果を持つものであり、低級一価アルコール類、低級多価アルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、アミン類、低級脂肪酸類、その他親水性で非イオン界面活性剤を溶解するものであれば極めて広い範囲の物質から選択することができる。
【0054】さらに、得られたO/W型エマルジョンを上述の有機変性粘土鉱物を含有する外油相となる油分に撹拌しながら混合・乳化することにより、O/W/O型複合エマルジョンが得られる。このとき用いる乳化機は特に限定されるものではないが、ディスパー(TK HOMD DISPER; TOKUSHU KIKA KOGYO CO.,LTD)等を用いることが好ましい。ここで、O/W型エマルジョンと、外油相の割合としては、2:3から19:1が好ましく、更に好ましくは1:1〜4:1である。2:3よりもO/W型エマルジョンの混合比が低くなると、調製される複合エマルジョンの粘度が低く、経時での乳化安定性が悪くなることもある。また19:1よりもO/W型エマルジョンの混合比が高くなると、撹拌乳化中に転相し複合エマルジョンとはならない。
【0055】以上のように形成される複合エマルジョンは、図2に示すように水相12と外油相10の境界面に有機変性粘土鉱物20が配向しており、内相油14と外相油10は有機変性粘土鉱物20により構造的、物理的に隔離されている。この結果、内油相14が外油相10に合一されてしまうことを有効に防止することができる。そして、例えば内油相にシリコーン系油分に対して難溶性の脂溶性薬剤と該薬剤の溶解性が高い極性油を配合し、外油相にシリコーン系油分を配合すれば、両者をひとつのエマルジョンの系に共存させながら、該薬剤の結晶析出を防止することができる。また、その使用感ものびが良くてべたつきがなく、シリコーン系油分を含有する単純なW/O型エマルジョンに比しても非常に優れている。
【0056】また、後述するようにこのような複合エマルジョンの内油相に易酸化性の脂溶性薬剤を配合した場合には、該薬剤の酸化分解を抑制することも明らかとなった。これは、内油相に配合せしめた脂溶性薬剤が外油相に移行することがないため、外気に直接接触する確率が非常に少ないことに起因するものと考えられる。さらに、工程中加熱の必要が特にないので、調製中の熱分解も非常に少なく、熱安定性が悪い成分の配合も十分に可能である。本発明において用いられる脂溶性薬剤としては、目的に応じて選択されれば良く通常化粧料や医薬品において用いられているものであれば特に限定されないが、シリコーン系油分に対して難溶性の脂溶性薬剤は、前述の様にシリコーン系油分を配合した油相と別の油相に該薬剤を配合することで結晶析出や、液状のものであれば分離を防止できるので、本発明の脂溶性薬剤として特に好適である。また、脂溶性薬剤が易酸化性の薬剤である場合には内油相に配合することでその酸化安定性も向上することができる。
【0057】シリコーン系油分に対して難溶性の脂溶性薬剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,1-カンファー、3-ベンジリデン-d,1-カンファー、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤が特に好適である。また、サンスクリーン剤の被膜剤としてアンタロン(ポリビニルピロリドンアルキル共重合体)や、ヘキセノール、3−オクタノール、1-オクテン-3-オール、9-デセノール、リナロール、ゲラニオール等、極性が比較的高く、シリコーン系油分に対して相溶性が低い液状の香料なども挙げられる。
【0058】易酸化性の脂溶性薬剤としては、例えば、脂溶性ビタミンや油溶性紫外線吸収剤、不飽和脂肪酸及びその誘導体等が挙げられ、脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンA類としては、レチノール、3-デヒドロレチノール、レチナール、3-デヒドロレチナール、レチノイン酸、3-デヒドロレチノイン酸やビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテートなどのエステル類が挙げられるほか、プロビタミンAとしてα-、β-、γ-カロテン、β-クリプトキサンチン、エキネノン等のカロテノイドやキサントフィルが挙げられる。ビタミンDとしては、ビタミンD2からD7等が挙げられる。ビタミンEとしては、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、α-、β-、γ-、δ-トコトリエノールやビタミンEアセテート、ニコチン酸ビタミンEなどのエステル類が挙げられる。ビタミンKとしては、ビタミンK1からK3等が挙げられる。油溶性紫外線吸収剤としては、前記紫外線吸収剤が挙げられる。
【0059】不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。また、その誘導体として、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル等のアルコールエステル類、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等のグリセライド、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン等のリン脂質、グルコシルセラミド等の糖脂質、セラミド、ワックス、コレステロールエステル等が挙げられる。本発明においては、このような不飽和脂肪酸の中でも不飽和度の高い、例えば一分子中に不飽和結合が3個以上あるような不飽和脂肪酸においても非常に高い薬剤安定性を得ることができる。
【0060】本発明にかかるシリコーン系油分含有複合エマルジョンは、使用感、耐水性、耐油性が良好で、乳化安定性や薬剤安定性に優れるので、特に化粧料や皮膚外用剤として有用である。例えば、乳液、クリーム、ファンデーションのような皮膚化粧料や皮膚外用剤の他、シャンプー、リンス等の毛髪化粧料等も挙げられる。また、本発明の複合エマルジョンには本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料や皮膚外用剤に配合される成分を配合することが可能である。例えば、アルコール類、保湿剤、美白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、キレート剤、香料、色素、顔料、染料、界面活性剤、その他の薬剤が挙げられる。
【0061】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は特に指定のない限り重量%で示す。
【0062】有機変性粘土鉱物の調製まず、本発明に用いられる有機変性粘土鉱物の調製法及びその確認法につき詳述する。
(調製例1)ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド45g(約100meqに相当)とPOE(6)ラウリルエーテル30gを50℃で溶解して水溶液500mlに水膨潤性粘土鉱物であるビーガム(米国バンダービルト社の商品名)100gを添加し、約30分間ディスパーにて充分に分散し混合する。次いで濾過器により水を除去後、約一昼夜乾燥して目的の有機変性粘土鉱物を得た。ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド{(A)と略す}とPOE(6)ラウリルエーテル{(B)と略す}の吸着の有無は、X線回折及びDTA−TG法による界面活性剤の熱分解量を測定し、水膨潤性粘土鉱物(ビーガム)と比較することにより判定した。結果を表9に示す。
【0063】
【表9】
──────────────────────────────────── 処理前の水膨潤性 調製例1の 測定項目 粘土鉱物(ビーガム) 有機変性粘土鉱物──────────────────────────────────── X線回折による 13.2 40.1 層間隔値 (オングストローム) (オングストローム)
──────────────────────────────────── DTA−TGによる (A) (B)
界面活性剤の熱分解量* 0 101meq 29g──────────────────────────────────── *水膨潤性粘土鉱物100gに対する量として表す。
【0064】表9から明らかなように、調製例1の有機変性粘土鉱物は、処理前の水膨潤性粘土鉱物より層間隔が著しく広がっている。これはDTA−TG測定の結果からも明らかなように、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドとPOE(6)ラウリルエーテルの結合によってもたらされていることがわかる。
【0065】(調製例2)POE(15)2−オクチルデシルエーテル{(C)と略す}20gを溶解したエタノール50mlに有機変性粘土鉱物であるベントン−38{モンモリロナイト100gを100meqのジステアリルジメチルアンモニウムクロリド(以下(D)と略す)で処理した有機変性粘土鉱物で米国ナショナルレッド社製の商品名}100gをラボホモジナイザーで充分に分散混合する。次いでエバポレーターでエタノールを除去した後、50℃で約一昼夜乾燥し目的の有機変性粘土鉱物を得た。調製例1と同様に、改質の有無をX線回折及びクロロホルムによるソックスレー抽出液中の界面活性剤量(DTA−TGで測定)から評価した。結果を表10に示す。
【0066】
【表10】
──────────────────────────────────── 調製例2の 測定項目 ベントン−38 有機変性粘土鉱物──────────────────────────────────── X線回折による 26.8 36.8 層間隔値 (オングストローム) (オングストローム)
──────────────────────────────────── ソックスレー抽出に (D) (C) (D) (C)
より抽出された界面活 12meq 0 12meq 20g 性剤の熱分解量*──────────────────────────────────── *表9と同じ【0067】表10から明らかなように、あらかじめ(D)の第四級アンモニウム型カチオン界面活性剤で処理された有機変性粘土鉱物(ベントン−38)を用いても、(C)の非イオン性界面活性剤で処理することにより層間隔が更に広がることがわかった。これは調製例1と同様、非イオン性界面活性剤の結合によって生じていると考えられる。なお、ソックスレー抽出で抽出された第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤量は、カチオン交換反応により有機変性化せしめた有機変性粘土鉱物(ベントン−38)中の物理的に吸着されている第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の量(化学的に吸着しているものは抽出されない)でありDTA−TG法によれば全ての第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の量も定量可能であることは調製例1に示したとおりである。
【0068】複合エマルジョンの乳化安定性評価方法■形態観察調製したエマルジョンを室温(RT)で6カ月間もしくは50℃の恒温槽内に1カ月保存し、光学顕微鏡及び肉眼で形態観察を行った。全く異常が認められない場合(乳化状態及び粒子が均一である)は良好(◎)とし、顕微鏡観察では粒子にややバラツキが認められるが、肉眼判定では異常が認められない場合を(○)、異常が認められる場合(水や油が分離した、粒子が粗大になった場合等)は不良(×)とした。
■内油相残存率(内油相が外油相に吸収されない点を示す実験)
(1) 定性的実験;O/W/O型複合エマルジョンを調製し、経時での状態変化を顕微鏡下で観察する。安定性の悪い系では、経時で内油相が消失し、最終的には単純なW/O型エマルジョンになる。加速的に試験するため、50℃の高温下で行う。
(2) 定量的実験;内油相に油溶性のマーカー物質(フタル酸ジエステル)を溶解し、O/W/O型複合エマルジョンを調製する。次にエマルジョンを遠心分離し、強制的に外油相油分を分離させる。外油相中に含まれるマーカー濃度を定量し、全体の濃度と差し引き内油相中のマーカー濃度を算出する。これを経時的に行うことで、外油相への移行状態を観察でき、内油相残存率を算出することができる。
【0069】薬剤安定性評価方法■結晶析出試料を50℃の恒温室内に1ヶ月保存後、薬剤の析出の有無を光学顕微鏡にて観察した。
○…結晶の析出が認められない(なし)。
△…結晶の析出が僅かに認められる(僅かに有り)。
×…結晶の析出が著しい(有り)。
■薬剤残存率試料を50℃の恒温室内に1ヶ月保存後、各試料中の薬剤濃度をHPLC法により定量、各薬剤の仕込量に対する残存率(%)を算出した。残存率により次のように薬剤安定性を示した。
◎…仕込量に対する薬剤残存率が90%以上○…仕込量に対する薬剤残存率が80%以上90%未満△…仕込量に対する薬剤残存率が60%以上80%未満×…仕込量に対する薬剤残存率が60%未満【0070】使用感評価方法専門パネル10名により、調製した試料を実際に皮膚に塗布し、官能試験を行った。評価結果は下記の表示で示した。
◎:10名中8名以上がべたつかないと回答した。
○:10名中6名〜7名がべたつかないと回答した。
△:10名中4名〜5名がべたつかないと回答した。
×:10名中3名以下がべたつかないと回答した。
【0071】(実施例1)
(1)組成【表11】
O/W型エマルジョンの組成──────────────────────────── 構 成 成 分 含有量──────────────────────────── (a)界面活性剤相 1,3−ブタンジオール 21 精製水 2 POE(60)硬化ヒマシ油 2──────────────────────────── (b)内油相 コハク酸ジオクチル 31 4-tert-フ゛チル-4'-メトキシシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン 2 ──────────────────────────── (c)水相 精製水 42──────────────────────────── 【0072】
【表12】
外油相の組成──────────────────────────── 構 成 成 分 含有量 ──────────────────────────── (d)界面活性剤 調製例1で調製した有機変性粘土鉱物 7──────────────────────────── (e)外油相 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 93──────────────────────────── 【0073】
【表13】
O/W/O型エマルジョンの構成比──────────────────────────── 例 O/W型エマルジョン量 外油相量──────────────────────────── 実施例1−1 50 50実施例1−2 60 40実施例1−3 70 30実施例1−4 80 20実施例1−5 35 65実施例1−6 97 3──────────────────────────── 【0074】(2)調製方法まず、上記表11に記載の(a)成分を均一に溶解混合したものに、(b)成分を撹拌しながら、混合・乳化したのち、(c)成分を添加混合しO/W型エマルジョンを得た。表12の外油相成分を混合し、上記により調製したO/W型エマルジョンを外油相中に撹拌しながら混合・乳化し目的のO/W/O型複合エマルジョンを得た。なお、O/W型エマルジョンと外油相の割合は上記表13のように変化させ、それぞれ実施例1−1乃至1−6とした。各複合エマルジョンの乳化安定性及び薬剤安定性の評価結果を表14に示す。
【0075】
【表14】
エマルジョンの特性評価──────────────────────────────────── エマルジョンの形態 乳化安定性 内油相* 結晶 (調製直後) RT 50℃ 残存率 析出────────────────────────────────────実施例1−1 O/W/O ○ ○ 92% ○(なし)実施例1−2 O/W/O ◎ ○ 93 ○(なし)実施例1−3 O/W/O ◎ ◎ 98 ○(なし)実施例1−4 O/W/O ◎ ○ 93 ○(なし)実施例1−5 O/W/O × × − ×(有り)実施例1−6 O/W/O+O/W × × − ×(有り)──────────────────────────────────── *内相残存率は50℃,1ヶ月後に測定した。
【0076】上記表14からわかるように、実施例1−5のようにO/W型エマルジョンと外油相との比が2:3よりも油相量過多の場合には、乳化直後にはO/W/O型エマルジョンを形成するが乳化安定性が悪く、室温保存、50℃保存いずれも油浮きが認められた。また、実施例1−6のように19:1よりもO/W型エマルジョンが過多となると、乳化分散中に転相し、調製されるエマルジョンはO/W/O型とO/W型との混在が確認された。このように、O/W型エマルジョンと外油相の比が2:3〜19:1の範囲外であるような場合には安定な複合エマルジョンが得られず、内油相に配合した薬剤(4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン)の結晶析出が認められた。これに対して、実施例1−1〜1−4のようにO/W型エマルジョンと外油相の比が2:3〜19:1の範囲内にある場合には系の乳化安定性が良好で、しかも内油相中に配合した薬剤の結晶析出が防止されることが理解される。
【0077】(実施例2)次に、本発明のO/W/O型複合エマルジョンの結晶析出防止効果について、脂溶性薬剤を変えて調べた。すなわち、表15に示す処方で種々のシリコーン系油分難溶性の紫外線吸収剤を配合したO/W/O型エマルジョン又はW/O型エマルジョンを調製し、その乳化安定性とともに結晶析出防止効果及び使用感を前記の方法で調べた。
(1)組成【0078】
【表15】
──────────────────────────────────── 構 成 成 分 実施例2 比較例1 比較例2 (O/W/O) (W/O) (W/O) ────────────────────────────────────(a)界面活性剤相 1,3-フ゛チレンク゛リコール 5 5 5 POE(60)硬化ヒマシ油 1 − − メチルハ゜ラヘ゛ン 0.1 0.1 0.1 ────────────────────────────────────(b)内油相 スクワラン 5 − − テトラ2-エチルヘキサンヘ゜ンタエリスリット 5 − − 紫外線吸収剤(表16参照) 2 − −────────────────────────────────────(c)水相 精製水 48.9 59.9 59.9 ────────────────────────────────────(d)外油相 コハク酸ジオクチル 9 9 30 ジメチルポリシロキサン 10 10 − デカメチルシクロペンタシロキサン 10 10 − シリコーンゴム 1 1 − 有機変性粘土鉱物(調製例1) 1 1 1 POE(6)ステアリルエーテル 1 1 1 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体* 1 1 1 紫外線吸収剤(表16参照) − 2 2──────────────────────────────────── *表4で用いたものと同じ。
【0079】(2)製法実施例2(a)成分を均一に溶解混合し、これに(b)成分を撹拌しながら混合し、分散乳化して界面活性剤相中油型乳化組成物とした後、これに(c)成分を添加、混合してO/W型エマルションを得た。次いで、このO/W型エマルションを、予め混合分散しておいた(d)成分中に撹拌しながら混合、乳化することにより目的とするO/W/O型複合エマルジョンを得た。
【0080】比較例1及び比較例2(a)成分を均一に溶解混合した後、(a)成分と(c)成分を混合した。(d)成分中に(a)+(c)成分を撹拌しながら混合、乳化することにより、目的とするW/O型エマルションを得た。
【0081】(3)評価方法表15のエマルジョンに対して前記の方法で形態観察を行い、粒径の変化や分離等の乳化状態の変化を調べ、乳化安定性を評価した。なお、保存期間は25℃6ヶ月もしくは50℃2ヶ月であった。また、前記の方法で結晶析出防止効果及び使用感を評価した。結果を表16に示す。
【0082】
【表16】
──────────────────────────────────── 紫外線吸収剤 乳化安定性 結晶析出 使用感 ──────────────────────────────────── 実施例(O/W/O) 2−1 2,4-シ゛ヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン ◎ ○(なし) ◎ 2 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン ◎ ○(なし) ◎ 3 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4,4'-シ゛メトキシヘ゛ンソ゛フェノ ◎ ○(なし) ◎ 4 2,2',4,4'-テトラヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン ◎ ○(なし) ◎ 5 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン ◎ ○(なし) ◎ 6 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシ-4'-メチルヘ゛ンソ゛フェノン ◎ ○(なし) ◎ 7 3-(4'-メチルヘ゛ンシ゛リテ゛ン)-d,1-カンファー ◎ ○(なし) ◎ 8 3-ヘ゛ンシ゛リテ゛ン-d,1-カンファー ◎ ○(なし) ◎ 9 4-メトキシ-4'-t-フ゛チルシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン ◎ ○(なし) ◎ ──────────────────────────────────── 比較例(W/O:シリコーン系油分含有) 1−1 2,4-シ゛ヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン × ×(有り) ○ 2 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン × ×(有り) ○ 3 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4,4'-シ゛メトキシヘ゛ンソ゛フェノ × ×(有り) ○ 4 2,2',4,4'-テトラヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン × ×(有り) ○ 5 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン × ×(有り) ○ 6 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシ-4'-メチルヘ゛ンソ゛フェノン × ×(有り) ○ 7 3-(4'-メチルヘ゛ンシ゛リテ゛ン)-d,1-カンファー × ×(有り) ○ 8 3-ヘ゛ンシ゛リテ゛ン-d,1-カンファー × ×(有り) ○ 9 4-メトキシ-4'-t-フ゛チルシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン × ×(有り) ○ ──────────────────────────────────── 比較例(W/O:シリコーン系油分配合) 2−1 2,4-シ゛ヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン × ○(なし) × 2 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン × ○(なし) × 3 2,2'-シ゛ヒト゛ロキシ-4,4'-シ゛メトキシヘ゛ンソ゛フェノ × ○(なし) × 4 2,2',4,4'-テトラヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン × ○(なし) × 5 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシヘ゛ンソ゛フェノン × ○(なし) × 6 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシ-4'-メチルヘ゛ンソ゛フェノン × ○(なし) × 7 3-(4'-メチルヘ゛ンシ゛リテ゛ン)-d,1-カンファー × ○(なし) × 8 3-ヘ゛ンシ゛リテ゛ン-d,1-カンファー × ○(なし) × 9 4-メトキシ-4'-t-フ゛チルシ゛ヘ゛ンソ゛イルメタン × ○(なし) × ────────────────────────────────────【0083】表16に示すように、比較例1の外油相に紫外線吸収剤とともにシリコーン油が配合したW/O型エマルジョンにおいては、べたつきのなさという点では比較的良好であったが、紫外線吸収剤が溶解性の低いシリコーン油と同じ油相中に配合されているために保存中に紫外線吸収剤の析出が認められた。一方、比較例2のように外油相にシリコーン油を配合せず、代わりに紫外線吸収剤の溶解性が高い極性油分を用いたW/Oエマルジョンの場合には、紫外線吸収剤の経時的な析出は認められなかったがべたつき感があり、使用感が悪かった。
【0084】これに対して、本発明のO/W/O型複合エマルジョン(実施例2−1〜9)では結晶が析出することがなく、乳化安定性も良好であった。しかもその使用感はさっぱりとしてべたつきがなく、比較例1のエマルジョンに比しても良好な使用感のクリームを得ることができた。以上のように、本発明の複合エマルジョンにおいてはシリコーン系油分難溶性の薬剤、非シリコーン系油分、シリコーン系油分という相溶性の低い成分を一つのエマルジョンの系に共存させながら、該薬剤の結晶析出を防止でき、乳化安定性や使用感も非常に良好なエマルジョンを得ることができるので、使用性及び安定性に優れたサンケア化粧料等の調製が可能である。
【0085】(実施例3及び実施例4)脂溶性薬剤として易酸化性の脂溶性ビタミン(ビタミンAパルミテート)又は易酸化性の油溶性紫外線吸収剤(オクチルジメチルPABA)を用い、下記表17及び表18の処方に示すように、各成分の配合量を変化させて前記実施例1の調製方法に準じてO/W/O型複合エマルジョンを調製した。その結果、本発明の複合エマルジョンにおいては薬剤の酸化分解を抑制することができ、前記表14と同様、O/W型エマルジョンと外油相の比が2:3〜19:1の範囲内であれば、系の乳化安定性や薬剤の酸化安定性が良好であることが示された。
【0086】
【表17】
──────────────────────────────────── 実施例 構 成 成 分 3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 ────────────────────────────────────(a)界面活性剤相 1,3-フ゛チレンク゛リコール 5 5 5 5 5 グリセリン 2 2 2 2 2 POE(60)硬化ヒマシ油 1 1 1 1 1 メチルハ゜ラヘ゛ン 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ────────────────────────────────────(b)内油相 スクワラン 5 5 5 5 5 ヒ゛タミンハ゜ルミテート 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2────────────────────────────────────(c)水相 精製水 82.2 76.7 56.7 36.7 16.7 ────────────────────────────────────(d)外油相 オクタメチルシクロテトラシロキサン 2.1 7.6 27.6 47.6 67.6 カチオン変性粘土鉱物* 2 2 2 2 2 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体** 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4──────────────────────────────────── O/Wエマルシ゛ョン:外油相(重量比) 21:1 9:1 7:3 5:5 3:7──────────────────────────────────── 乳化安定性(形態観察)
50℃ × ○ ◎ ○ × 薬剤残存率 × ◎ ◎ ◎ ×──────────────────────────────────── *商品名:ヘ゛ントン-38(米国ナショナルレット゛社製、前記調製例2で用いたものと同じ)
**表4で用いたものと同じ。
【0087】
【表18】
──────────────────────────────────── 実施例 構 成 成 分 4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 ────────────────────────────────────(a)界面活性剤相 1,3-フ゛チレンク゛リコール 5 5 5 5 5 グリセリン 2 2 2 2 2 POE(60)硬化ヒマシ油 1 1 1 1 1 メチルハ゜ラヘ゛ン 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ────────────────────────────────────(b)内油相 オクチルメトキシシンナメート 5 5 5 5 5 トリ2-エチルヘキサンク゛リセリル 10 10 10 10 10 オクチルシ゛メチルPABA 1 1 1 1 1────────────────────────────────────(c)水相 精製水 70.75 65.3 45.3 25.3 5.3 ────────────────────────────────────(d)外油相 流動パラフィン 0.65 2.6 9.2 16.0 22.6 テ゛カメチルシクロヘ゜ンタシロキサン 1.5 5.0 18.4 31.6 45.0 カチオン変性粘土鉱物* 1 1 1 1 1 POE(10)ソルヒ゛タン脂肪酸エステル 1 1 1 1 1 POEメチルホ゜リシロキサン共重合体** 1 1 1 1 1 ──────────────────────────────────── O/Wエマルシ゛ョン:外油相(重量比) 21:1 9:1 7:3 5:5 3:7──────────────────────────────────── 乳化安定性(形態観察)
50℃ × ○ ◎ ○ × 薬剤残存率 △ ◎ ◎ ◎ △──────────────────────────────────── *商品名:ヘ゛ントン-38(米国ナショナルレット゛社製、前記調製例2で用いたものと同じ)
**表4で用いたものと同じ。
【0088】(実施例5)さらに、内油相に配合する易酸化性薬剤として種々の脂溶性ビタミンを用いた場合についても、その薬剤残存率を調べた。
(1)組成【0089】
【表19】
──────────────────────────────────── 構 成 成 分 実施例5 比較例3 比較例4 (O/W/O) (W/O) (O/W/O)────────────────────────────────────(a)界面活性剤相 1,3-フ゛チレンク゛リコール 5 5 5 POE(60)硬化ヒマシ油 1 − − ベントナイト − − 0.5 メチルハ゜ラヘ゛ン 0.1 0.1 0.1────────────────────────────────────(b)内油相 スクワラン 5 − 5 テトラ2-エチルヘキサンヘ゜ンタエリスリット 5 − 5 セタノール − − 3 POE(20)ソルヒ゛タントリステアレート − − 1 シ゛ク゛リセリンモノオレエート − − 2 脂溶性ビタミン(表20参照) 1 − 1────────────────────────────────────(c)水相 精製水 51.9 52.9 37.4────────────────────────────────────(d)外油相 流動パラフィン 10 10 10 ジメチルポリシロキサン 10 10 10 デカメチルシクロペンタシロキサン 10 10 10 有機変性粘土鉱物(調製例1) 1 1 1 スクワラン − 5 − テトラ2-エチルヘキサンヘ゜ンタエリスリット − 5 − テ゛キストリンハ゜ルミチンエステル − − 1 セタノール − − 3 ミツロウ − − 2 ソルヒ゛タンセスキオレエート − − 3 ソルヒ゛タンモノステアレート − − 1 脂溶性ビタミン(表20参照) − 1 −──────────────────────────────────── 【0090】(2)調製方法実施例5前記実施例4に準じた。
比較例3前記比較例1に準じた。
比較例4(a)+(c)成分と(b)成分を別々に70℃に加熱溶解した後、(a)+(c)成分に(b)成分を撹拌しながら混合し、分散乳化してO/W型エマルションを得た。次いで、このO/W型エマルションを、予め80℃に加熱溶解しておいた(d)成分中に撹拌しながら混合した後、撹拌しつつ30℃まで冷却し、目的とするO/W/O型複合エマルションを得た。
【0091】(3)評価方法このようにして調製したエマルジョンに対して前記の方法で形態観察及び薬剤残存率を評価した。また、50℃の恒温槽内に1ヶ月保存後の変色、変臭についても判定し、下記の基準に従って評価を行った。
変色(目視判定)◎:全く変色しない○:やや変色した△:かなり変色した×:変色が著しい変臭◎:全く変化しない○:ほとんど変化しない△:僅かに異臭がした×:著しく異臭がした結果を表20に示す。
【0092】
【表20】
──────────────────────────────────── 脂溶性ビタミン 乳化安定性 薬剤残存率 変色 臭い 形態観察 (%) ──────────────────────────────────── 実施例5−1 レチノール ◎ ◎ ○ 90.1 (O/W/O) 2 ヒ゛タミンハ゜ルミテート ◎ ◎ ○ 97.5 3 ヒ゛タミンアセテート ◎ ◎ ○ 95.1 4 α-トコフェロール ◎ ◎ ○ 92.2 5 ヒ゛タミンアセテート ◎ ◎ ○ 99.8 6 ヒ゛タミン2 ◎ ◎ ○ 93.2 7 β-カロチン ◎ ◎ ○ 99.1 ──────────────────────────────────── 比較例3−1 レチノール × × ○ 48.9 (W/O) 2 ヒ゛タミンハ゜ルミテート △ △ ○ 67.5 3 ヒ゛タミンアセテート △ △ ○ 50.8 4 α-トコフェロール △ ○ ○ 63.2 5 ヒ゛タミンアセテート ○ ○ ○ 70.4 6 ヒ゛タミン2 △ ○ ○ 83.3 7 β-カロチン △ ○ ○ 87.1 ──────────────────────────────────── 比較例4−1 レチノール × × × 12.1 (O/W/O) 2 ヒ゛タミンハ゜ルミテート × × × 22.3 3 ヒ゛タミンアセテート × × × 30.6 4 α-トコフェロール △ △ × 63.7 5 ヒ゛タミンアセテート △ △ × 72.4 6 ヒ゛タミン2 △ △ × 77.7 7 β-カロチン △ ○ △ 69.6 ────────────────────────────────────【0093】表20から明らかなように、比較例3−1〜3−7のW/O型においては油相の分離等は認められず、安定な乳化状態が得られるが、薬剤(脂溶性ビタミン)が外油相に配合されているため、酸化分解による薬剤の残存量の低下が顕著であった。また、比較例4−1〜4−7のように従来法によるO/W/O型複合エマルジョンの場合には乳化安定性が悪く容易に分離してしまい、また、調製工程において加熱を伴うため、内油相中に配合した薬剤の分解が著しく、変色や変臭の程度も大きかった。これに対して、本発明の複合エマルジョン(実施例5−1〜5−7)においては、油分等の分離や変色、変臭がなく、乳化安定性に優れ、薬剤残存率も極めて高いエマルジョンを得ることができた。
【0094】以上のように、本発明によれば外油相中に有機変性粘土鉱物を配合することにより、乳化安定性及び使用感に非常に優れたシリコーン系油分含有複合エマルジョンを得ることができる。そして、本発明の複合エマルジョンにおいては内油相と外油相の合一が抑制されるので、内油相と外油相に性質の異なる油分を安定に独立して保持することができ、例えば内油相にシリコーン系油分に対して難溶性の薬剤とこれを溶解する非シリコーン系油分、外油相にシリコーン系油分をそれぞれ配合すれば、これらを一つの系に共存させながら、薬剤の結晶析出を防止することができる。また、内油相に配合した脂溶性薬剤が易酸化性の場合には、該薬剤の酸化分解を抑制することもできる。さらに、本発明の製造方法によれば、特殊な乳化機や加熱急冷工程を必要とせず、常温で簡便な調製が可能となるため、安価、且つ簡便に複合エマルジョンを調製でき、しかも熱に対して不安定な成分の配合も十分に可能である。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかるシリコーン系油分含有複合エマルジョン及びその製造方法によれば、外油相中に有機変性粘土鉱物を存在させることにより、乳化安定性、薬剤安定性、使用感に優れるシリコーン系油分含有O/W/O型製剤を得ることができる。




 

 


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