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発明の名称 高剛性、高熱変形温度特性を有する木質繊維系複合材製品の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−193347
公開日 平成10年(1998)7月28日
出願番号 特願平9−16024
出願日 平成9年(1997)1月14日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 澄夫 (外1名)
発明者 後藤 文雄 / 笠原 康正 / 石浦 龍之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法であって、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤とを含む配合物に、前記木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%(重量比)になるように予め算出した量の酸化カルシウムを添加し、そしてその酸化カルシウムが添加された配合物を成形機により成形すること、から成り、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンが無水マレイン酸変性度合いの高い、低分子量のものである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】請求項1に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの少なくとも一部は表面処理される、ことを特徴とする製造方法。
【請求項3】請求項1または2に記載の製造方法であって、前記成形機による成形は、前記酸化カルシウムが添加された前記配合物を、直接熱溶融し混練する成形機による成形である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項4】請求項1または2に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムが添加された前記配合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もってペレット状のマスターバッチに製作する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項5】請求項4に記載の製造方法であって、前記成形機による成形は射出成形または押出し成形である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項6】木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法であって、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックとから成る部材に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤と、前記木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%になるように予め算出した量の酸化カルシウムとを混合した混合物を添加し、そしてその混合物が添加された部材を成形機により成形すること、から成り、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンが無水マレイン酸変性度合いの高い、低分子量のものである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項7】請求項6に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの少なくとも一部を表面処理する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項8】請求項6または7に記載の製造方法であって、前記混合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もってペレット状のマスターバッチに製作する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項9】請求項8に記載の製造方法であって、前記成形機による成形は射出成形または押出し成形である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項10】木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法であって、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックと、前記木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%(重量比)になるように予め算出した量の酸化カルシウムとを混合して成る混成物に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤を添加し、そしてその剛性向上添加剤が添加された混成物を成形機により成形すること、から成り、前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンが無水マレイン酸変性度合いの高い低分子量のものである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項11】請求項10に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの少なくとも一部を表面処理する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】請求項10または11に記載の製造方法であって、前記混成物の一部または全部を、ペレタイザー装置によりペレット状のマスターバッチに製作することを特徴とする方法。
【請求項13】請求項12に記載の製造方法であって、前記成形機による成形は射出成形または押出し成形である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項14】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、さらに、同系統の複合材を所定の大きさに粉砕したものを含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項15】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの量は、含有する木質繊維系充填材の水分が最終的に3〜4%(重量比)になるように予め算出した量である、ことを特徴とする製造方法【請求項16】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの量は、水分との反応により生成される水酸化カルシウムの量が製品の全重量の12%を超えない範囲にあるように決定される、ことを特徴とする製造方法。
【請求項17】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記酸化カルシウムの量は、水分との反応により生成される水酸化カルシウムの量が製品の全重量の10重量%を超えない範囲にあるように決定される、ことを特徴とする製造方法。
【請求項18】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の分子量が50000以下であることを特徴とする製造方法【請求項19】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の分子量は20000以下であることを特徴とする製造方法【請求項20】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の溶融粘度は160℃で17000cps以下である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項21】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の溶融粘度は160℃で8000cps以下である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項22】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の酸価は20mgKOH/g以上である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項23】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記木質繊維系充填材は各種の木質、ハードボード、パルプ、麻繊維などの天然物、またはそれを主成分とした加工物を所定の大きさに粉砕したものである、ことを特徴とする製造方法。
【請求項24】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の添加量は、木質繊維系充填材を50重量%含む場合に、前記オレフィン系プラスチック100重量部に対して4〜7重量部である、ことを特徴とする製造方法。
【請求項26】請求項1、6または10に記載の製造方法であって、前記剛性向上添加剤の添加量は、木質繊維系充填材を50重量%含む場合に、前記オレフィン系プラスチック100重量部に対して5〜6重量部である、ことを特徴とする製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックを主成分とする複合材の製造方法に関し、特に木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとの配合物に剛性を向上させる添加剤を添加することにより、剛性、熱変形温度特性を向上させる複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】木材、ハードボード、パルプ、麻といった木質繊維系充填材を細かく粉砕し充填材として、ポリエチレンやポリプロピレン(pp)などの粒状オレフィン系プラスチックに混合して成る複合材が、押出し成形や射出成形などにより成形され、種々の板状シート、各種部品として広く利用されている。
【0003】このような複合物は、木質繊維系充填材の種類やその粉砕粒子の大きさ、混合する量を適切に選定することにより、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、熱変形温度といった物性が向上する。その結果、このような複合材は自動車の各種内装部品などにも適用されている。
【0004】しかし、このような木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとの複合材は、表1に示されているように、木質繊維系充填材の含水率が高くなると剛性が低下することが知られている。これは、配合物中のプラスチックの溶融、混練時における加熱により、木質繊維系充填材から過剰の水分が発生し、それがオレフィン系プラスチックと木質繊維系充填材との密着性を阻害するからであると考えられている。
【0005】
【表1】
表1 (木粉・プラスチック複合材の押出しシート板の物性) 配 合 標 準 配 合* 木粉含水率(%) 3〜5 7〜8 引張強さ (kg/mm2) 2.71 2.49 曲げ強さ (kg/mm2) 4.61 4.12 度 曲げ弾性率(kg/mm2) 443 394 標準配合*;pp:木粉:同系統の複合材(再生材)=2:2:1【0006】このような密着性の阻害を防止し、上記物性を良好なものとする目的で、混合するときの木質繊維系充填材の含水率を5%以下に抑えるために、含水率が3〜4%となるように予め木質繊維系充填材を乾燥させておく必要がある。また、複合材を成形する際に、その複合材と同一の要素を含む、既に成形された複合材(これを同系統の複合材という)を所定の大きさに粉砕して、これをまた要素として添加する場合があるが、その際、同系統の複合材を構成する木質繊維系充填材の含水率が5%となるように乾燥させておく必要もある。
【0007】ところで、複合材のマトリックスとして最も一般的に使用されているこのオレフィン系プラスチックは化学的に、すなわち極性的に不活性で、親和性が少ないことから、マトリックスと木質繊維系充填材との密着性が本質的に良好なものとならない。そのため、このような複合材から成形される製品における物性の向上には限界がある。化学的に不活性で、親和性の少ないこのようなオレフィン系プラスチックの密着性を向上させるための添加剤(剛性向上添加剤)として、無水マレイン酸変性度合いが低い、高分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンが実用化されている。
【0008】この剛性向上添加剤を2〜7%、ガラス繊維、タルク、炭酸カルシウムなどをフィラーとして混入したオレフィン系プラスチックからなる配合材料に添加すると、剛性や耐熱性が向上する複合材が得られ、木質繊維系充填材を含む複合材についてもこの剛性向上添加剤が利用されている。
【0009】無水マレイン酸変性ポリプロピレンの添加により、剛性や耐熱性が向上するのは、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが、オレフィン系プラスチックに添加され、溶融混合されると、殆ど極性のないオレフィン系プラスチックにある程度の極性が与えられ、充填材との親和性が増大し、密着性が高まるからと考えられている(以下で示す表2の市販品Aを参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような剛性を向上するための添加剤として実用化された無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、無水マレイン酸変性度合いが低いにもかかわらず、上記のように高分子量のため非常に高価なものである。
【0011】また、上述したように、物性を良好なものとする目的で、含水率が3〜4%となるように予め木質繊維系充填材を乾燥させておく必要があるほか、同系統の複合材の再生材(製品を製造する際の残った複合材や使用後の廃材となった複合材)を利用するとき、同系統の複合材を構成する木質繊維系充填材の含水率が5%となるように乾燥させておく必要もある。このような乾燥には特別な乾燥処理が必要となり、製品単価の材料比率が高いといわれるプラスチック複合材のコスト高にさらに拍車をかけることになり、その結果、現在、その用途が極めて限定されている。
【0012】さらに、この無水マレイン酸変性度合いの低い無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、上記のように剛性向上効果が大きいものの、分子量が大きく、溶融時の粘性流動性が悪い。そのため、これを配合物に添加して成形するとき、押出し性が、それを添加しない場合よりかなり低下し、成形物の板厚が均一とならず、またその調節も難しい。
【0013】上記無水マレイン酸変性ポリプロピレンの他に、比較的無水マレイン酸変性度合いが高い低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンも剛性向上添加剤として市販されているこれは前記添加剤より約半分ぐらいの安価なものである【0014】しかし、表2に示されているように、この無水マレイン酸変性度合いが高い、低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンが添加された複合材(表2の市販品B)の、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃強さ、熱変形温度のいずれも、無水マレイン酸変性度合いが低い、高分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンが添加された複合材(表2の市販品A)よりも向上しない。これは、前者の添加剤が、その分子量が後者の添加剤よりも小さいため、木質繊維系充填材から滲出される水分の影響を受け、その結果オレフィン系プラスチックと木質繊維系充填材との密着性が低下するためであると推測されている。
【0015】そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、安価な剛性向上添加剤を利用して、高剛性、高熱変形温度特性を有する、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とする複合材の製品を製造する方法を提供することである。
【0016】本発明の他の目的は、混合される木質繊維系充填材に対して特別な乾燥処理を必要としない上記複合材の製品を製造する方法を提供することである。
【0017】さらに、本発明の目的は、成形して複合材の製品を製造する際に、良好な粘性流動性が確保され、所定の製品に成形することができる上記複合材の製品を製造する方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法は、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤とを含む配合物に、木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%になるように予め算出した量の酸化カルシウムを添加し、そして酸化カルシウムが添加された配合物を成形機により成形すること、から成る。
【0019】成形機による成形は、酸化カルシウムが添加された配合物を、直接熱溶融し混練する成形機による成形であることが望ましく、酸化カルシウムが添加された配合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もってペレット状のマスターバッチに製作する場合、成形機による成形は射出成形または押出し成形であることが望ましい。
【0020】本発明の他の、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法は、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と粒状のオレフィン系プラスチックとから成る部材に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤と、木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%になるように予め算出した量の酸化カルシウムとを混合した混合物を添加し、そしてその混合物が添加された含有物を成形機により成形すること、から成る。
【0021】その混合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もってペレット状のマスターバッチに製作する場合、成形機による成形は射出成形または押出し成形であることが望ましい。
【0022】さらに、本発明の他の、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックとを主成分とし、高剛性、高熱変形温度特性を有する複合材製品を製造する方法は、所定の大きさに粉砕した木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックと、木質繊維系充填材の水分が、最終的に2〜5%になるように予め算出した量の酸化カルシウムとを混合して成る混成物に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤を添加し、そして剛性向上添加剤が添加された混成物を成形機により成形すること、から成る。
【0023】その混成物の一部または全部を、ペレタイザー装置によりペレット状のマスターバッチに製作する場合、成形機による成形は射出成形または押出し成形することが望ましい。
【0024】上記発明で使用する無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、無水マレイン酸変性度合いの高い、低分子量のものである。
【0025】
【作用】複合材に含有される無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、オレフィン系プラスチック材に極性を与え、オレフィン系プラスチック材と木質繊維系充填材との親和性を向上させ、密着性を高める。また、複合材に含有される酸化カルシウムは、木質繊維系充填材などから滲出する水分と反応し、塩基性の水酸化カルシウムを生成すると同時に、水分中に含まれる酸性成分を中和し、オレフィン系プラスチックと木質繊維系充填材との接合界面の阻害物を不活性なものに変え、その間の密着性を促進する。
【0026】さらに、使用される無水マレイン酸変性ポリプロピレンはその無水マレイン酸変性度合いが高く、分子量が小さいことから、溶融粘度が低い。したがって、成形のために、複合材を構成する要素を混合した材料を溶融する時に、その流動性が向上し、そのために複合材の成形性が改善され、複合材の生産性が向上する【0027】
【発明の実施の形態】本発明を実施するために、まず、粒状のオレフィン系プラスチックを用意するとともに、木質繊維系充填材を所定の大きさに粉砕する。本発明において利用できる木質繊維系充填材は、各種の木質、ハードボード、パルプ、麻繊維などの天然物、またはそれを主成分とした加工物を所定の大きさに粉砕したものが好適であり、その大きさは40―80メッシュが好適である。
【0028】また、複合材を形成する際、粉砕された同系統の複合材を一部添加することができるが、以下で説明する本発明にしたがって製造された複合材の他、従来技術にしたがって製造された複合材であって、同系統の、すなわち同じオレフィン系プラスチック、木質繊維系充填材を含んで成る複合材(これら複合材は、押出し成形などや製品の製造の過程で生じた廃材、使用後の廃材であってもよい。)で置き換えても良い。このような添加は押し出し性を改良する。
【0029】粉砕された木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックと、比較的無水マレイン酸変性度合いが高い、低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンまたはその誘導体を主成分とする剛性向上添加剤とを含む配合物とともに酸化カルシウムを、たとえばヘンセルミキサーの中に所定の時間混合し、ホッパーに移し、そして押出機で所定の厚さに押し出して複合材の製品を製造する。
【0030】木質繊維系充填材の混合割合、粉砕の大きさは、従来技術において説明したように種々の物性に影響を及ぼすことから、所期の物性が得られるように設定される。
【0031】剛性向上添加剤の添加量は、木質繊維系充填材の混合割合、粉砕の大きさに依存するが、概して木質繊維系充填材の量が、50重量%の場合、オレフィン系プラスチック100重量部に対して4〜7重量部が好適で、より好ましくは5〜6重量部が好適である。そして、剛性向上添加剤の分子量は50000以下であることが望ましく、さらに20000以下であることが望ましい。剛性向上添加剤の溶融粘度は160℃で17000cps以下であることが望ましく、さらに剛性向上添加剤の溶融粘度は160℃で8000cps以下であることが望ましい。剛性向上添加剤の酸価は20mgKOH/g以上であるが望ましい。
【0032】酸化カルシウムは一般に微粉末であり、水分の吸収が強いため、少なくともその一部について表面処理がなされることが望ましい。酸化カルシウムの量は、含有する木質繊維系充填材の水分が最終的に、すなわち成形されて複合材となったときに2〜5%(重量比)に、好ましくは3〜4%(重量比)になるように予め算出した量であることが望ましい。
【0033】複合材の成形過程において、酸化カルシウムが添加された配合物は直接溶融、混練されるが、そのときの加熱により、木質繊維系充填材から水分が滲み出る。添加された酸化カルシウムは、その水分(配合物に含まれる他の水分も含めて)と以下の通り吸収し反応して、水酸化カルシウムを生成する。
【0034】
CaO + H2O = Ca(OH)2(56)(18) (74)
【0035】ここで、酸化カルシウムが必要な量以上に配合物に添加され、未反応で多量に残存すると、成形後に空気中の水分を吸収して反応し、そのために複合材の寸法の変化や変形が引き起こされる。逆に、必要な量より少ない量が添加されると、上記含水率を達成できず、所期の効果を達成できない。したがって、本発明において、酸化カルシウムの添加量は非常に重要な要素である。
【0036】生成された水酸化カルシウムは、水分中の酸性成分を中和させ、その結果、添加された剛性向上添加剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレンの働き、すなわちオレフィン系プラスチックに極性を与える働きを促進し、オレフィン系プラスチックと木質繊維系充填材との密着性を増大させる。
【0037】しかし、生成される水酸化カルシウムの複合材中の割合は全重量の12%以内、好ましくは10%以内になるように、配合割合を調節する必要がある。この範囲を超えると、衝撃強さが低下し、剛性向上の効果が著しく低下するからである。
【0038】以下の表2は、剛性向上添加剤が添加されていない標準配合の複合材と、標準配合に無水マレイン酸変性度合いが低い、高分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤が添加された複合材(市販品A)と、標準配合に、無水マレイン酸変性度合いが高い、低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤が添加された複合材(市販品B)と、本発明にしたがって製造された、市販品Bの構成要素に表面処理酸化カルシウム粉がさらに添加されて成形された複合材との物性の比較を示す。
【0039】
【表2】
表2 (木粉・プラスチック複合材の押出しシート板の物性) 試 験 項 目 無添加の 剛性向上添加剤を添加した複合材 標準配合*1 市販品A 市販品B 市販品B の複合材 +酸化カルシウム*2曲げ強さ (kg/mm2) 4.86 5.94 5.34 6.06 曲げ弾性率(kg/mm2) 441 519 471 539 衝撃強さ (kg/ mm2) 2.93 3.05 2.95 3.09 (シャルピー) 熱変形温度 (℃) 116 123 120 124 (18.5kg/mm2*1;pp:木粉:同系統の複合材(再生材)=2:2:1市販品A;標準配合に、無水マレイン酸変性度合いが低い、高分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤を添加市販品B;標準配合に、無水マレイン酸変性度合いが高い、低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤を添加*2;表面処理酸化カルシウム粉【0040】表2から分かるように、本願発明にしたがって成形され、製造された複合材は、どの物性においても、剛性向上添加剤がされていない標準配合の複合材や、無水マレイン酸変性度合いが高い、低分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤が添加された複合材(市販品B)より優れており、標準配合に無水マレイン酸変性度合いが低い、高分子量の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤が添加された複合材(市販品A)と同等またはそれ以上の物性を示す。
【0041】上記説明した本発明の製造方法の実施態様は、木質繊維系充填材とオレフィン系プラスチックと無水マレイン酸変性ポリプロピレンとの配合物に、酸化カルシウムを添加し、直接熱溶融し、混練して成形するものであるが、この態様の他に、炭酸カルシウムが添加された配合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もってペレット状のマスターバッチに製作し、それを射出成形または押出し成形してもよい。
【0042】さらに、木質繊維系充填材と、粒状のオレフィン系プラスチックとを含む部材に、剛性向上添加剤と酸化カルシウムとを混合した混合物の一部または全部を、ペレタイザー装置により前もって製作したペレット状のマスターバッチにして混合し、それを射出成形または押出し成形してもよい。
【0043】また、木質繊維系充填材と、オレフィン系プラスチックと、酸化カルシウムとを混合して成る混成物の一部または全部を、ペレタイザー装置によりペレット状のマスターバッチに作成し、それに剛性向上添加剤を添加し、射出成形または押出し成形してもよい。
【0044】
【実施例】具体的に無水マレイン酸変性度の高い、低分子の無水マレイン酸変性ポリプロピレンの剛性向上添加剤と酸化カルシウムの吸収剤とを併用した複合材の製造方法を説明する。
【0045】50〜80メッシュの大きさに粉砕した、含水率が5%となるように乾燥した木粉と、粒状の、オレフィン系プラスチックの一つであるポリプロピレンと、木粉の含水率が7%の、木粉とポリプロピレンとから成る複合材の再生品を、前記粉砕した木粉と同様の大きさに粉砕したものと、剛性向上添加剤(これは無水マレイン酸変性度の高い、低分子の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(市販品:ユーメックス1010(商品名)))と、酸化カルシウム(商品名:CML#35)とを、それぞれ以下に示す分量でヘンセルミキサーに入れる。
【0046】
木粉 100 重量部ポリプロピレン 100 重量部再生複合材 50 重量部剛性向上添加剤 5 重量部(ユーメックス1010)*吸水材 7.5重量部(CML#35)** * 三洋化成製**白石カルシウム製【0047】それらをヘンセルミキサーで10〜15分混合し、そして押出機のポッパーに移し、180〜230℃で押し出し、厚さ2.0mmの板状シートを作製した。このように製造した板状シートは、表2に示す通りの物性、すなわち高剛性で、高熱変形温度特性をもつ。これを、スタンピング成形することによって、従来より高剛性で、高熱変形温度特性をもつ、自動車部品のリアシェルフを製造することができた。
【0048】
【効果】本発明にしたがって複合材を製造すると、その複合材は、従来の剛性向上効果の大きい剛性向上添加剤を添加して製造した複合材と同等の衝撃強さを有すると共に、剛性、熱変形温度に関しては、さらに優れた物性を有する。
【0049】また、本発明において使用する剛性向上添加剤は、従来実質的に多用されておらず、また非常に安価なものであり、同様に使用する酸化カルシウムもまた安価であり、製造に際して従来利用されてきた製造設備を利用することができ、さらに、木質繊維系充填材に対して特別な乾燥処理を必要としないことから、本発明の方法にしたがうことで複合材の製造コストは大幅な低減を達成できる。
【0050】さらに、本発明で使用する剛性向上添加剤である、無水マレイン酸変性度の高い、無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、分子量が、従来使用されていた剛性向上添加剤の分子量より小さく、したがって、成形過程において溶融した配合物の粘性流動性は、従来使用されていた剛性向上添加剤を使用する場合よりも良く、そのため、良好な粘性流動性が確保され、所定の製品に成形することができ、また製品の寸法の調節を容易に行える。




 

 


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