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発明の名称 立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−146854
公開日 平成10年(1998)6月2日
出願番号 特願平8−321157
出願日 平成8年(1996)11月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 澄夫 (外1名)
発明者 小川 太郎 / 後藤 文雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 カーペット繊維組成物が立体的に形付けられるとともにその裏面に発泡体の層が形成された、立体形状を有する自動車用カーペットを一体成形する方法であって、(a)前記カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液をスプレー方式により直接塗布する工程と、(b)当該自動車用カーペットの立体形状に相当する空間間隙を内側に画成する上型および下型から成る成形用プレス型の下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程と、(c)前記それぞれの塗布された発泡性混合液が、ガス化反応は終了しているが、まだ粘性流動状態は終わらない間に、前記それぞれの発泡性混合液の両表面が接合するように前記カーペット繊維組成物を前記プレス型内に配置し、型締めする工程と、から成り、スプレー方式により散布された前記発泡性混合液の微粒子は、カーペット繊維組成物の組織内に入り込んでその繊維表面に付着する一方、ガス化反応により直ちに発泡して膨張し、繊維組成物内部の浅い所で含浸層を形成し、型締めされることで、前記カーペット繊維組成物は形状付けられ、前記接合した両発泡性混合液は、一体化するとともに立体成形された発泡体となる、ことを特徴とする成形方法。
【請求項2】 前記下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程がスプレーまたは注入方式により行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】 前記カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液を塗布する工程が、カーペット繊維組成物の立体形状を保持するために必要な量の発泡性混合液を、前記裏面に均一に塗布することであり、前記下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程が、所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を前記下型の内側面に塗布することである、請求項1または2に記載の成形方法。
【請求項4】 前記カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液を塗布する工程が、立体形状を保持するために必要な量の発泡性混合液を前記裏面に塗布することであり、前記下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程が、所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を、部分的に塗布厚を変えて塗布することである、請求項1または2に記載の成形方法。
【請求項5】 前記カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液を塗布する工程が、立体形状を保持するために必要な量の発泡性混合液を前記裏面に塗布することであり、前記下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程が、前記下型内の所定の位置に緩衝部材を予め載置し、その上から所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を塗布することである、請求項1または2に記載の成形方法。
【請求項6】 前記所望の発泡体が所定の厚さをもつ発泡体であることを特徴とする請求項3または4に記載の成形方法。
【請求項7】 前記所望の発泡体が所定の密度をもつ発泡体であることを特徴とする請求項3または4に記載の成形方法。
【請求項8】 前記プレス型内の空間間隙の厚さを部分的に変えることで、薄い厚さの部分の空間間隙において形成される発泡体の圧縮率を部分的に高くし、厚い部分の空間間隔において成形される発泡体の圧縮率を部分的に低くする請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】 前記発泡性混合液が、発熱を伴って高速反応し、固化する前にゲル化し、一定時間粘性流動状態にある反応性樹脂である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】 前記反応性樹脂が、ポリウレタンフォーム、ポリユレヤフォームなどの樹脂である、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】 前記カーペット繊維組成物が、天然繊維、合成繊維、化学繊維、もしくは無機繊維から成る織布、編布、それにタフティング処理を施したもの、不織布、またはニードルパンチから成る、請求項1に記載の方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立体形状を有する繊維材シートの一体成形方法に関し、特に立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法に関する。
【0002】
【背景技術】自動車製造において、自動車の構成部品について要求される軽量化に伴い、自動車の外板の厚さを薄くするように求められているが、必要な剛性を確保するために、例えば、床面材は複雑な凹凸形状を呈するようになってきた。
【0003】一方で、自動車の快適な乗り心地の向上も求められ、床部周辺の制振性、吸音性(以下防音性という)、断熱性についての要求がより厳しくなってきている【0004】そのため、床面に配置する自動車用カーペットに対し、複雑な凹凸をもつ床面に整合させることの他、より一層の防音性、制振性、断熱性も要求されている【0005】
【従来の技術】最も一般的な自動車用カーペットは、カーペット繊維組成物の裏面にポリエチレンを溶融コーティングし、一旦室温に戻し、成形加工の際に、再びこのカーペットを加熱して、そのポリエチレンを軟化させ、所定の立体形状を画成する成形型内に載置し、圧縮成形することにより、所望の立体形状を有するように成形されている。
【0006】その際、さほど厳しくない通常の踏ん感じ、すなわちフィーリング、防音性が要求される場合は、再加熱して圧縮成形するとき、所定の密度、形状をもつフェルトが、軟化したポリエチレンコーティング層上の必要な個所に重ねられている。
【0007】高級自動車向けなどのように、さらに良好なフィーリング、防音性が要求される場合は、再加熱して軟化したポリエチレンコーティング面全体にシール用の薄いナイロンフィルムを積層して立体形状を作り、一旦室温に戻し、二次加工としてそれを所定の成形型内に載置し、発泡性混合液を通常の注入方法またはリム成形方法により、発泡成形を行い、カーペットの裏面に所望の厚さ、密度をもつ発泡体の層を成形する方法が行われている。
【0008】ここで使用されるシール用のナイロンフィルムは、発泡成形時の発泡性混合液がカーペットの表面に、にじみ出るのを防止するためのものである。このナイロンフィルムの施行工程を省略する場合は、カーペット繊維組成物が作成された際に、その繊維組成物のパイル抜け止めや、繊維の安定化を目的として行う通常のラテックスバックコーティングと一緒に発泡性混合液のもれ止めを目的としたバックコーティングの処理が行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、カーペット繊維組成物の裏面に行うポリエチレンのコーティングには、Tダイ方式による押し出し塗布を行う必要があるため、大がかりな設備を要し、また塗布の際に多量の熱エネルギーを必要とする。さらに、成型時には繊維組成物の裏面のポリエチレンコーティング層を再度加熱軟化させる必要があり、そのために生産性が阻害され、コスト高となっていた。また、ポリエチレンのコーティングおよび加熱成形にともない、カーペットの表面のパイルの毛倒れや外観のムラが生じる。
【0010】さらに、本格的なフィーリング、防音性が要求される高級自動車向けカーペットの成形には、カーペット繊維組成物の立体成形後に、その裏面に所定の厚さ、密度をもつ発泡体の層を形成しなければならず、そのための作業工程を要していた。
【0011】さらにまた、その発泡体の層を成形するために使用される注入方法やリム方法により発泡性混合液を型内に注入するとき、その混合液が覆うべき面積は非常に広く、パーティングラインまでの距離は大きくなる。そのため、中央部における生成ガスや気泡の抜けが極めて悪く、また型面の凹凸部のコーナー付近に気泡が封入され、一旦封入されると他へと出にくくなる。したがって、成形された発泡体の層、特に発泡体の底部コーナー付近に空気溜まりや、欠肉部が生じ易くなり、不良率は高くなり、耐振性、吸音性は悪くなる。
【0012】また、この発泡体の層の成形法において、上述したように、発泡性混合液の表面へのにじみだしを防止するための、ナイロンフィルムの積層やラテックスコーティング処理は不可欠であった。
【0013】特公平6-59693号は、発泡性混合液を所定の金型内面にスプレーによる塗布を行い、その上にカーペット繊維組成物を載置し、加圧成形して、自動車用カーペットを作る方法を開示する。
【0014】この方法は従来技術の多くの課題を解決し得るが、この方法をもってしても、発泡性混合液の表面へのにじみだし防止用シール処理は依然として不可欠である。その理由は、発泡性混合液が直接カーペット繊維組成物に塗布されないため繊維組成が柔軟にならないことから、加圧成形時にカーペット繊維組成物が局部的に引っ張られ、その部分の織り目、編み目が拡大し、そこから加圧された混合液が表面に、にじみ出すためである。
【0015】また、この開示の方法は、上記したように、金型面に塗布された発泡性混合液の発泡した表面上に、カーペット繊維組成物を載置し、加圧圧縮するため、その発泡した混合液は、カーペット繊維組成物の表面から中に入り込むものの、微細な繊維組織内には実質的に入り込めず、発泡体とカーペット繊維組成物との一体化が非常に弱いものとなっている。そのため、かかる方法では複雑な凹凸形状をシャープに成形することができない。
【0016】したがって、金型面のみへ発泡性混合液を塗布する上記方法では、高級仕様車用のカーペットに部分的に要求されるフィーリングや防音性を達成するための、著しく異なる密度および種々の厚さをもつ発泡体の成形は行えない。
【0017】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、カーペット繊維組成物が所望の形状に成形されると同時にその裏面に発泡体の層が成形された、立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を提供することである。
【0018】本発明の他の目的は、裏面の発泡体を部分的に所望の厚さ、密度を有するように成形できる、立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を提供することである。
【0019】さらに、本発明の目的は、カーペット繊維組成物の形状および裏面の発泡体の成形が一工程の加圧成形により行うことができる、立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を提供することである。
【0020】さらに、本発明の他の目的は、事前のラテックス・バックコーティングや成形時のナイロンフィルム積層などのシール処理を必要としない、上記立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を提供することである。
【0021】さらに、本発明の他の目的は、成形に際して、高温加熱の必要のない、上記立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明の、カーペット繊維組成物が立体的に形付けられるとともにその裏面に発泡体の層が形成された、立体形状を有する自動車用カーペットを一体成形する方法は、(a)前記カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液をスプレー方式により直接塗布する工程と、(b)当該自動車用カーペットの立体形状に相当する空間間隙を内側に画成する上型および下型から成る成形用プレス型の下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程と、(c)それぞれの塗布された発泡性混合液が、ガス化反応は終了しているが、まだ粘性流動状態は終わらない間に、それぞれの発泡性混合液の両表面が接合するようにカーペット繊維組成物をプレス型内に配置し、型締めする工程と、から成る。
【0023】ここで、下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程は、成形されるべき発泡体の形状や厚さ、密度に応じてスプレーまたは注入方式のいずれかの方法により行っても良い。
【0024】カーペット繊維組成物の裏面に発泡性混合液を塗布する工程は、好適にはカーペット繊維組成物の立体形状を保持するために必要な量の発泡性混合液を裏面に均一に塗布し、下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程は、所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を下型の内側面に塗布することから成る。
【0025】また、特に高肉厚で種々の密度をもつ発泡体を形成するときは、下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程は、所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を、部分的に塗布厚を変えて塗布することから成る。
【0026】さらにまた、緩衝部材と一体となった発泡体を成形するときは、下型の内側面に発泡性混合液を塗布する工程は、下型内の所定の位置に緩衝部材を予め載置し、その上から所望の発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液を塗布することから成る。
【0027】プレス型内の空間間隙の厚さを部分的に変えることで、薄い厚さの部分の空間間隙において形成される発泡体の圧縮率を部分的に高くし、厚い部分の空間間隔において成形される発泡体の圧縮率を部分的に低くすることができる。
【0028】発泡性混合液は、発熱を伴って高速反応し、固化する前にゲル化し、一定時間粘性流動状態にある反応性樹脂であることが望ましく、このような反応性樹脂として、ポリウレタンフォーム、ポリユレヤフォームなどの樹脂がある。
【0029】カーペット繊維組成物は、天然繊維、合成繊維、化学繊維、もしくは無機繊維から成る織布、編布、それにタフティング処理を施したもの、不織布、またはニードルパンチから成ることが望ましい。
【0030】
【作用】スプレー方式により散布された発泡性混合液の微粒子は、カーペット繊維組成物の組織内に入り込んでその繊維表面に付着する一方、ガス化反応により直ちに発泡して膨張し、繊維組成物内部の浅い所で含浸層が形成される。
【0031】一方、下型に対して発泡性混合液を塗布することから、その形状にそって混合液が充填される。下型に対する発泡性混合液の塗布は下型の凹凸形状、塗布量、塗布面積等により便宜選択されるスプレーまたは注入方式の何れかの方式により行われるが、下型に対して塗布された発泡性混合液は、発泡しながら膨張して、下型の凹凸部を充填していく。ここで、凹凸部のコーナーで生じたガスや空気溜まりは、実質的に混合液の発泡、膨張とともに表面へと分散する。
【0032】それぞれの塗布された発泡性混合液が、ガス化反応は終了しているが、まだ粘性流動状態は終わらない間に、それぞれの発泡性混合液の両表面が接合するようにカーペット繊維組成物をプレス型内に配置し、型締して両発泡性混合物を接合させると、ガス化反応は終了しているため、ガス溜まりは実質的に生じることはなく、これに起因するガス溜まりは実質的には生じないが、少量の空気が閉じこめられる場合がある。しかし、両型が締めつけられると、流動状態の発泡性混合液が加圧に伴い、カーペット繊維組成物と下型の内面との間で流動し、急速に形状変化を起こすことにより、空気は非常に細かく分散し、大きな空泡として残存することはない。
【0033】そして、両型を締め付けると、型内の流動状態の発泡性混合液の内圧(型締めによる圧縮力に抗するように生じる力)と相まって、カーペット繊維組成物中の流動状態にある含浸層は変形し、カーペット繊維組成物は上型の内側面にそって変形する。同時に、下型内の発泡性混合液は、カーペット繊維組成物の下面に塗布された発泡性混合物と一体となりながら、成形され、発泡体の層が作られる【0034】また、発泡性混合液を型クリアランスの調整と合わせ、下型の内側面に部分的に厚くまたは薄く塗布することによって部分的に厚さ、密度の異なる発泡体層が形成される。必要に応じて、下型だけでなく発泡性混合液の一部をカーペット繊維組成物の裏面にも追加塗布することで、防音性、断熱性、フィーリング性に対するよりきびしい要求に対応することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】図6(A)および図6(B)は、以下で説明する本発明の成形方法にしたがって一体成形された自動車用カーペットの背面の斜視図および断面図を示す。
【0036】自動車用カーペット1は、カーペット繊維組成物2とその裏側に一体となった発泡体の層4とからなり、その立体形状は、図6において典型的なものを示すが、自動車用カーペットの表面の形状、裏面の凹凸、発泡体の層の厚さおよび密度は、適用される自動車の床面に即して決定されるものである。
【0037】カーペット1を構成するカーペット繊維組成物2の素材としては、天然繊維、合成繊維、化学繊維、もしくは無機繊維から成る織布、編布、それらにタフティング処理を施したもの、不織布、またはニードルパンチタイプの繊維材が利用できる。
【0038】図示のカーペットは、図6(B)に良く示されているように、タフティング処理したもので、表面から突き出たパイルが略示されている。このカーペット1は、ほぼ平坦な平坦部5と中央を縦断するように伸びる中央隆起6を有して成る。
【0039】カーペットの平坦部の裏面には、吸音部7が形成されているが、その吸音部は厚さが厚く、弾力性のある発泡体層から成る。このような発泡体層は主に防音性のほかに断熱性も有する。
【0040】中央に伸びる中央隆起部(制振部)6の裏面にも高密度の発泡体層が成形されているが、その厚さは薄く殆ど固体状態であり、実質的に弾性は小さいが、隆起形状を保持するとともに制振性を有する。さらに、その側方も同様に薄くそして硬くなっている。
【0041】上記吸音部7である発泡体層と中央隆起部(制振部)6の固体状低発泡体層は、以下で説明する本発明の方法にしたがって形成されるが、その形状、厚さ、弾力性(密度)は任意に選択可能である。
【0042】発泡体の層は典型的に、発熱を伴って高速反応し、固化する前にゲル化し、一定時間粘性流動状態にある反応性樹脂から形成される。このような樹脂として、ウレタンフォームのほかポリユレヤフォームの反応性樹脂がある(これらと同等以上に高反応配合も利用でき、これらを総称してウレタンフォーム、ポリユレヤフォームなどの反応性樹脂という)。
【0043】本発明の、立体形状を有する自動車用カーペットの一体成形方法を図を参照して説明する。
【0044】まず、図1(A)に示されているように、ループを基布にタフティングしたタフテッドから成るカーペット繊維組成物2の裏面3を上にし、その裏面に、各要素が表1に例示された発泡性混合液を、スプレー装置11を矢印の方向に移動させながら塗布する。ここで塗布する発泡性混合物の塗布量は、以下で説明するように、カーペット繊維組成物を所定の形状を保持できる量乃至それよりも僅かに多い程度である。
【0045】この発泡性混合液は水を多量に含有した高反応型混合液のため、自らの反応熱により反応が進むとともに、反応により生成される水分は繊維に移行して、繊維組成物の成形に寄与する。
【0046】
【表1】
表1 化学名 重量部 ポリプロピレングリコール1 100 水 3.5 アミン触媒(a) 2.0 アミン触媒(b) 0.1 アミン触媒(c) 0.3 イソシアネート2 66.9 1 :三井東圧化学(商品名:EP-828)
(a):トーソー(商品名:L-33)
(b):UCC(商品名:NiaxA-1)
(c):エヤプロダクツ・アンド・ケミカル(商品名:DABCO T-120)
2 :三井東圧化学(商品名:コスモネートMC-83)。
【0047】塗布の際、この発泡性混合液を60〜70℃に保ち、その粘度を下げる。使用に適したスプレー装置はISOTHERM社のPSM3000が、スプレーミキシングヘッドは同社のGP400(チップ#4または#3)が好ましい。
【0048】ここで使用する発泡性混合液は、図4に示されているように、化学反応を起こしながら状態変化するものである。すなわち、この図の線16により示されているように、塗布された混合液は、直ちに化学反応を起こしCO2を激しく放出しながら、つまり発泡しながら体積を急速に膨張する(発泡領域)。次に、線17により示されている間、ガス化反応が終了した後(ライズタイム)、粘性流動状態が続く。この状態においては、圧力をかけると混合液は容易に変形する。続いて、タックフリーと呼ばれる点18を境に硬化が始まり、やがて完全に固形化(19)し、発泡体の層が形成される。
【0049】このように状態変化を起こす、発泡性混合液を上記のように加熱して反応の促進を図るとともに粘度を下げて、スプレー装置により噴霧すると、従来の発泡性混合液では得られない均一な微粒子(図1(B)参照)となり、急速に化学変化を起こしながら(予め加熱されているため、噴霧の際に混合液の微粒子の温度が若干低下しても、急速な化学変化を起こす)、カーペット繊維組成物を構成する微細な組織の奥に入り込み、組織内の繊維表面に付着する。そこで、直ちに体積が膨張し、また粘度が上昇することからそれより奥に侵入できないが、カーペット繊維素材の皮相的な部分において、くまなく入り込むことができる。
【0050】このようにスプレーにより混合液を塗布すると、混合液はカーペットの表面組織の奥深くまで浸透することなく、カーペット繊維組成物の裏面の皮相的な部分と一体となった含浸層となる。そして、発泡性混合液が硬化すると、カーペットの繊維材をしっかり保持し、繊維のほつれ、抜けが防止される(このように、発泡性混合液がカーペット繊維組成物の表面へと通過することなく、カーペットの繊維材のほつれ、抜けを防止する程度に入り込むところを、カーペット繊維組成物内部の浅い所という)。
【0051】前述したように、発泡性混合液が粘性流動状態にあるときは、その変形が容易に可能であるから、含浸層が形成されたカーペット繊維組成物を変形させ、その含浸層の混合液を硬化すると、カーペットの繊維組成物の変形した形状をしっかりと保持できる。
【0052】前記したカーペット繊維組成物の形状を保持するために必要な量とは、このように、スプレーにより、カーペット繊維組成物内に発泡性混合液の含浸層が形成でき、その含浸層の混合液が硬化することによりカーペット繊維組成物の形状が保持される量をいう。しかし、スプレーにより塗布する際、カーペット繊維組成物の裏面上に混合液が積層され、その積層した混合液が、以下で説明する下型の発泡性の層と一体となるために必要なことから、実際の塗布量は、前記したカーペット繊維組成物の形状を保持するために必要な発泡性混合液の量よりも若干多めとなる。
【0053】一方、図2に示されているように、自動車用カーペットの立体形状に相当する空間間隙を内側に画成する上型12と下型13から成る成形用プレス型14の下型13(この下型は自動車の床面に対応した凹凸面を有する)に、発泡体の層を形成するのに必要な量の発泡性混合液(表1)を、通常の場合は、塗布面がほぼ平坦になるようにスプレー方式により直接塗布する。
【0054】ここで、下型に対する混合液の塗布は、下型の凹凸形状、塗布量、塗布面積などによって、スプレーまたは注入方式何れかの方式が適宜選択される。
【0055】カーペット繊維組成物2に塗布された発泡性混合液、および下型13に塗布された発泡性混合液が、ガス化反応は終了しているが、まだ粘性流動状態は終わらない間に、それぞれの発泡性混合液の両表面が接合するようにカーペット繊維組成物2をプレス型14内に配置し(図2)、そして閉じる(図5)。
【0056】この実施例では、カーペット繊維組成物に発泡性混合液を塗布し、次ぎに金型に発泡性混合液を塗布した例であるが、塗布された両発泡性混合液が粘性流動状態で接合できればよいことから、塗布の順番は問わない。金型に発泡性混合液を塗布した後に、カーペット繊維組成物に発泡性混合液を塗布することも、またそれぞれに同時に塗布することも可能である。
【0057】両発泡性混合液の両表面が接合した際に、少量のガス、空気が閉じ込められる場合がある。しかし、両型が締めつけられると、流動状態の発泡性混合液が加圧に伴い、カーペット繊維組成物と下型の内面との間で流動し、急速に形状変化を起こすことにより、空気などは非常に細かく分散し、大きな空泡として残存することはない。
【0058】また、図5に良く示されているように、両型により締め付けられると、型内の流動状態の発泡性混合液の内圧(型締めによる圧縮力に抗するように生じる力)と相まって、カーペット繊維組成物中の流動状態にある含浸層は変形し、カーペット繊維組成物は上型の内側面にそって変形する。
【0059】金型14に塗布された粘性流動状態にある発泡性混合物は、型締めにより、カーペット繊維組成物の裏面に塗布され、粘性流動状態にある発泡性混合物と一体となりながら、圧縮されて、その密度が高められるとともに両型内に形成される空間間隙にそった形に成形される。
【0060】ここで、使用された型の中央部およびその両側では、型を閉じたときの空間間隙の厚さは薄く、したがって、この部分では、発泡性混合液はより圧縮され、その密度はより高くなる(図5)。
【0061】型締めを所定期間維持する。そして、硬化が90%以上終わった後に加圧を解除し、寸法の安定したカーペットを取り出す。
【0062】かくして、成形型内の空間間隙に忠実にそったシャープな立体形状を有するカーペットが製造される。そして、前述したように、含浸層はカーペット繊維組成物内に入り込んで一体となることから、カーペットの形状は保持される。
【0063】さらに、含浸層はカーペット繊維組成物の繊維をしっかり保持し、その抜けやほつれが防止される。したがって、従来技術において、必須であったバックコーティングが不要となる。
【0064】また、発泡性混合液により形成される発泡体の層4が、カーペット繊維組成物の裏面に形成されるが、この発泡体の層4の下面は、プレス型14の下型13の内側面に形成された凹凸面に忠実にそったシャープな三次元形状をもつ。したがって、自動車の床部の形状にそったプレス型を用意することで、成形された自動車用カーペットは自動車の床面に整合させることができる。
【0065】発泡体の層4は、図6を参照して説明したように、ほぼ平坦な平坦部5と中央を縦断するように伸びる中央隆起6を有して成り、その平坦部の裏面には吸音部7が形成されているが、その吸音部は厚さが厚く、弾力性のある発泡体の層から成る。中央に伸びる中央隆起部(制振部)6の裏面にも高密度の発泡体層が成形されているが、その厚さは薄く殆ど固体状態である。このような吸音部と制振部は、所定の型のクリアランスをもったプレス型を使用すると、下型13に塗布する発泡性混合液の量により調整される。したがって、所定の吸音部を有する平坦部および所定の中央隆起部を形成できる発泡性混合液が所望の発泡体の層を形成するのに必要な量ということになる。
【0066】さらに、プレス型内の空間間隙によっても、発泡体の層の厚さを調節できる【0067】図2の実施例では、塗布面はほぼ平坦となり、この状態で型締めを行ったとき、型内の粘性流動状態の発泡性混合液は全体的に圧縮され、変形する。そのため、密度や厚さが他の部分より著しく異なる発泡体の層部分をもつカーペットを成形できない場合がある。より良好なフィーリングや防音性が要求される場合は、著しく異なる密度、厚さをもつカーペットの成形をすることが必要となることがある。
【0068】このようなときは、図3(A)に示されているように、下型の必要な個所に部分的に発泡性混合液を厚く塗布して、必要な肉厚、密度を有する発泡体層を形成することにより、従来より優れた防音性、断熱性、フィーリング性を達成することができる。
【0069】また、図3(B)に示されているように、スラブウレタン、ウレタンチップ類、各種繊維やプラスチック表皮材など廃材チップ類、またはそれとウレタンチップとの混合物、フェルト類等などの成形または非成形品より成る各種緩衝部材を下型の所定の位置に配置し、その上から発泡性混合液を塗布し、前述したカーペット繊維組成物と一体でプレス成形することにより、各種の緩衝部材と一体となった発泡体層をカーペット繊維組成物の裏面の所定の位置に形成することができる。発泡体層と一体となって配置された緩衝部材は、部分的に制振性、防音性を高めるとともに、また成形されるカーペットに対してしっかり安定した形状も与える。
【0070】
【効果】本発明にしたがって発泡性混合液をカーペット繊維組成物の裏面にスプレー方式により塗布すると、その繊維組成物の組織内部の繊維内にその微粒子が入り込み含浸層が形成されることから、発泡性混合液から形成される発泡体の層とカーペット繊維組成物とが一体となり、繊維のほつれや、ループをタフティングした後のパイルの抜けが防止され、したがって、従来技術において必須であり、コスト高をもたらす抜け止め等のためのバックコーティングやナイロンフィルムの積層のようなシール処理が不要となる。さらに、含浸層はカーペット繊維組成物の裏面の皮相的範囲にとどまり、その表面に、にじみでることがないことから、カーペットの繊維が硬くならず、良好なフィーリングのあるカーペットを製造することができる。また、その含浸層はカーペット繊維組成物の表側から水の発泡体の層への浸入を防止することもできる。
【0071】さらに、発泡性混合液が塗布されたカーペット繊維組成物を、発泡体が下型に塗布されたプレス型に配置して、型締めという一工程の加圧成形により、自動車用カーペットの成形を行うことができる。また、成形において外部から高温加熱を必要としない。したがって、成形された自動車用カーペットには外観ムラや、毛倒れがない。
【0072】さらにまた、カーペット繊維組成物内に形成された粘性流動状態の含浸層は容易に変形可能なことからカーペット繊維組成物は型の表面に忠実にそって成形される。また、実質的な発泡体の層を形成する発泡性混合液は、その下型の内側面の凹凸にそって充填されていることから、実質的に空気溜まりや欠肉部が生じることなく、そして発泡体の層は型の凹凸面に忠実にそって成形される。したがって、成形された自動車用カーペットは金型通りのシャープな三次元形状をもち、かつ発泡体の層は所望に成形でき、従来より優れた防音性、制振性、フィーリング性を得ることができる。




 

 


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