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発明の名称 シームレス缶側壁部への凹凸模様成形方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−94848
公開日 平成10年(1998)4月14日
出願番号 特願平8−269129
出願日 平成8年(1996)9月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】秋沢 政光 (外1名)
発明者 榎木 泰史
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 焼鈍処理を経ていない有底略円筒状のシームレス缶を割金型内に配置し、次に当該シームレス缶内に流体及び弾性体の中から選ばれる少なくとも1以上の部材を導入して当該部材を加圧することにより、当該部材の圧力で当該シームレス缶の側壁部を割金型内面側に膨出させて当該シームレス缶の側壁部を割金型内面に押圧し密着させ、当該シームレス缶側壁部を割金型内面形状に膨出加工する方法において、当該割金型として、底部内面には、配置するシームレス缶の缶底形状に対応した形状を備え、胴部内面には、膨出加工前のシームレス缶の缶胴外径よりも小さい径の凸部を含む凹凸を有するものを用い、当該割金型を開き、次に、当該割金型の間に当該シームレス缶を配置し、続いて、当該割金型を閉じて、当該割金型内面の凸部を当該シームレス缶の胴部に接触させて押圧し、当該シームレス缶の胴部の一部を凹まし、その後に、当該シームレス缶の内部に当該部材を導入すると同時又は導入した後に当該部材を加圧して、当該シームレス缶の側壁部を割金型内面側へ膨出させ、当該シームレス缶の側壁部を割金型内面に押圧し密着させて、張り出し形状の凸部と引っ込み形状の凹部とを有する凹凸模様を当該シームレス缶の側壁部に形成することを特徴とするシームレス缶側壁部への凹凸模様成形方法。
【請求項2】 上記割金型の間に配置されている当該シームレス缶が、絞り加工としごき加工とにより成形された缶であることを特徴とする請求項1記載のシームレス缶側壁部への凹凸模様成形方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シームレス缶の側壁部への凹凸模様の成形方法に関する。なお、シームレス缶とは、底部と胴部とが一体となっている継ぎ目無し缶である。
【0002】
【従来の技術】飲料缶においては、従来、錫メッキ鋼板やアルミニウム板を有底円筒状に深絞り加工し、更に、しごき加工して、シームレス缶が一般に製造されている。しかし、これらの飲料缶は、ほぼ同一の形状であるため、大量に、かつ、安価に生産されるが、反面、これらのシームレス缶の形状は個性がない。そこで、飲料缶に飲料を充填して販売する飲料メーカーは、商品の個別化や差別化を目的として、個性的な形状で、しかも、安価な缶を要望している。
【0003】個別化や差別化のための缶胴部の成形方法の1つとして、エキスパンド金型を使った膨出加工あるいは加圧により大きく変形する液体や気体またはゴム等の弾性体を使った膨出加工(バルジ加工)が知られている。
【0004】また、通常、飲料缶に使用される缶胴部は、しごき限界までしごき加工され伸ばされて、壁厚を薄くされ、材料を節約されるとともに、加工硬化により強度が増されている。
【0005】このため、従来の飲料缶の缶胴部には大きな残留応力が残っているので、そのまま従来の飲料缶に膨出加工を行うと、所望の凹凸模様を得る前に、缶胴部に破断が生じることがある。
【0006】そこで、缶胴部の破断が生じないように、膨出加工量を減らした成形を行うか、あるいは、膨出加工前に焼鈍処理を行い、残留応力を取り除くとともに材料の伸びを増大させる必要がある。しかしながら、前者のように膨出加工量を減らし膨出加工をすれば、凹凸の高低差が小さく、個性的なデザイン面が得られないという欠点がある。一方、後者のようにシームレス缶を焼鈍すると、缶強度や耐圧力が減少し、缶のネックイン加工時のネックイン加工力や缶蓋巻締め時のリフター圧力により、缶胴部が座屈したり、あるいは、缶に飲料を充填し密封した後に、缶内圧により、缶底がバックリングするという欠点がある。これらの欠点を解消するために、缶胴部の壁厚を厚くして強度不足を補おうとすると、材料が余分に必要となるため、材料コストが高くなり、不経済となる。
【0007】以上の理由から、従来は絞り加工及びしごき加工缶についての膨出加工は、ほとんど実施されていなかった。しかし、絞り加工及びしごき加工缶についての膨出加工の提案が、特公昭59ー18261号公報及び特開昭61ー27124号公報に開示されている。前者は、絞り加工及びしごき加工により成形した缶の内外面へ印刷、塗装し、その後に、これを乾燥する乾燥炉を使って、絞り加工及びしごき加工時に生じた残留応力を減少させてから、缶を割金型に入れ、続いて、缶内に弾性体を挿入し、この弾性体を上方からの圧力により缶軸に直交する方向に膨出変形させ、この弾性体の押圧力により、缶胴部に缶軸に直交する方向の押圧力を加えて金型の内面形状に対応した膨出加工を行うものである。後者は、缶胴部の膨出加工をしようとする部分にのみ単時間の高周波誘導加熱することにより不完全焼鈍処理を行なった後に、缶を割金型に入れ、続いて、缶内に弾性体を挿入し、この弾性体を上方からの圧力により缶軸に直交する方向に膨出変形させ、この弾性体の押圧力により、缶胴部に缶軸に直交する方向の押圧力を加えて金型の内面形状に対応した膨出加工を行うものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の成形方法は、十分な膨出量の加工ができないという問題がある。もし膨出量を増すために加熱温度を上げると、缶底部の耐圧強度が低下するという問題がある。
【0009】一方、後者の成形方法は、通常の絞りしごき缶の加工工程に、膨出加工工程だけでなく、特別の熱処理工程も追加する必要があり加工コストが増加するという問題がある。しかも、高額の高周波誘導加熱装置が必要であり、前者に比べ製造コストが高くなり、実用的でないという問題がある。
【0010】そこで、本発明の目的は、シームレス缶に対し焼鈍処理を行なわずに、膨出量が大きく、凹凸の高低差を大にする膨出加工方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法のうち請求項1に係るものは、焼鈍処理を経ていない有底略円筒状のシームレス缶を割金型内に配置し、次に当該シームレス缶内に流体及び弾性体の中から選ばれる少なくとも1以上の部材を導入して当該部材を加圧することにより、当該部材の圧力で当該シームレス缶の側壁部を割金型内面側に膨出させて当該シームレス缶の側壁部を割金型内面に押圧し密着させ、当該シームレス缶側壁部を割金型内面形状に膨出加工する方法において、当該割金型として、底部内面には、配置するシームレス缶の缶底形状に対応した形状を備え、胴部内面には、膨出加工前のシームレス缶の缶胴外径よりも小さい径の凸部を含む凹凸を有するものを用い、当該割金型を開き、次に、当該割金型の間に当該シームレス缶を配置し、続いて、当該割金型を閉じて、当該割金型内面の凸部を当該シームレス缶の胴部に接触させて押圧し、当該シームレス缶の胴部の一部を凹まし、その後に、当該シームレス缶の内部に当該部材を導入すると同時又は導入した後に当該部材を加圧して、当該シームレス缶の側壁部を割金型内面側へ膨出させ、当該シームレス缶の側壁部を割金型内面に押圧し密着させて、張り出し形状の凸部と引っ込み形状の凹部とを有する凹凸模様を当該シームレス缶の側壁部に形成することを特徴とする。
【0012】本発明に係るシームレス缶側壁部への凹凸模様成形方法のうち請求項2に係るものは、割金型の間に配置されている当該シームレス缶が、絞り加工としごき加工とにより成形された缶であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様の成形方法について図面を参照して説明する。
【0014】図1はシームレス缶の軸を通る断面図である。シームレス缶1は缶底部101と缶胴部102を備えた有底円筒形状である。このシームレス缶として、アルミニウム合金3004−H191の板厚0.3mm材を用いて、缶高134mm、胴部厚0.155mm、ネック部(図2の開口部103とその下方の傾斜している部分)厚0.165mmで、缶胴外径が60mmの絞りしごき缶(比較例)と、缶胴外径が62mmであること以外は比較例と同じである絞りしごき缶(実施例)とを準備した。なお、シームレス缶としては、2回以上の絞り加工(ストレッチ加工を行う場合を含む)を施した深絞り缶でも良く、また、缶材料としては、錫メッキ鋼板や電解クロム酸処理鋼板等の表面処理鋼板も使用できる。
【0015】凹凸のある缶胴部に印刷するのは困難であるから、膨出加工する前に、図1に示すシームレス缶の状態で、缶胴部外面に予め印刷しておくのが望ましい。また、印刷済みの熱可塑性の合成樹脂フィルムを缶胴部外面に貼着する場合には、膨出加工後の凹凸のある缶胴部に合成樹脂フィルムを貼着しにくいので、膨出加工する前に、図1に示すシームレス缶の状態で、缶胴部外面に予め合成樹脂フィルムを貼着しておくのが望ましい。いずれにしても、膨出加工のために割金型を使用するので、缶胴部外面及び金型内面の傷発生防止の観点から、缶の外面が金型の内面と直接に接触するのは好ましくない。この観点からも、膨出加工前のシームレス缶の缶胴部には、塗料を塗布し、または合成樹脂フィルムを貼着するのが好ましい。
【0016】また、シームレス缶の缶胴部を膨出加工する時に、缶の開口部103の材料が引き込まれるが、その引き込まれ量が缶の円周方向で不均一である(金属板の圧延方向の伸び率と圧延方向に対し45°の方向の伸び率が不均一である)ことに起因する缶の高さのバラツキが生ずるのを防ぐために、膨出加工前に開口部103を加工硬化させるべく、開口部をネックイン加工するのが好ましい。図2は、ネックイン加工された缶の軸を通る断面図である。シームレス缶1の開口部103は、口絞りされ、開口部103の外径は缶胴部の外径より小さくされている。
【0017】さらに、ネックイン加工の際にノックアウトパンチが缶内に挿入されるが、ノックアウトパンチと缶の金属素地とが直接に接触しないように、缶内面に予め塗料を塗布しておくか、あるいは、シームレス缶成形用原材料の板材に予め熱可塑性の合成樹脂フィルムを貼着しておき、合成樹脂フィルム貼着面が缶内面側になるように絞り加工してシームレス缶を製造して、缶内面に合成樹脂フィルムを形成しておくのが望ましい。
【0018】本実施形態においては、缶外面に印刷・塗装を施した後に、250℃で6秒間乾燥し、缶内面にエポキシ−フェノール系塗料をスプレー塗装した後に、230℃で60秒間乾燥させ、その後にネックイン加工した。
【0019】図3は本発明の実施形態に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法において用いた割金型の正面断面図である。割金型2は2分割型であり、その片方を図3に示している。割金型2は胴部201と底部202と組立部203とからなる。割金型2の底部202の形状は、缶底部の形状に対応した雌型となっている。割金型2の胴部201の形状は、缶胴部の形状にほぼ一致した2分割の円柱状の雌型となっており、概ねその中心軸に平行方向に伸びる凸部210と凹部211が交互に繰り返す凹凸模様が雌型に形成されている(凸部210と凹部211は共に胴部201の中央部分がくびれた形状となっている。)。凹凸模様の凸部210の先端直径(各凸部210の先端を結ぶ仮想円の直径)は60.7mmであり、凹凸模様の凹部211の底直径(各凹部211の底を結ぶ仮想円の直径)は64.6mmである。即ち、割金型2の胴部201の最小径は、凹凸模様の凸部210の先端において、60.7mmであり、割金型2の胴部の最大径は、凹凸模様の凹部211の底において、64.6mmである。従って、実施例のシームレス缶の缶胴部の直径(62mm)は、割金型2の胴部201の最小径よりも大きいが、割金型2の胴部201の最大径よりも小さい。一方、比較例のシームレス缶の缶胴部の直径(60mm)は、割金型2の胴部201最大径よりも小さいだけでなく、割金型2の胴部201の最小径よりも小さい。
【0020】割金型2を開き、その一方の割金型2内に実施例のシームレス缶1を挿入する。その際、シームレス缶を挿入した割金型2に面している側のシームレス缶1の缶胴部102の一部は、その割金型2の胴部201の凸部210と接触しているが、シームレス缶1の缶胴部102の大部分は、割金型2の胴部201の凹部211とは接触せず、隙間がある。また、シームレス缶1の缶底部101の半分は、挿入した割金型2の底部202に接触しているし、シームレス缶1のネックイン加工された傾斜部分とその上方の開口部103の半分は、挿入された割金型2の内面と接触している。次に、割金型2を閉じると、割金型2の胴部201の凹凸模様の凸部210が実施例のシームレス缶1の缶胴部102の一部を内方へ押圧するので、シームレス缶1の缶胴部102の一部にくぼみ110が形成される。図5(a)は、本発明の実施形態に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法において、割金型を開き、割金型の間に実施例のシームレス缶を配置した後に、割金型を閉じ押圧した状態を示す正面断面図であって、図5(b)はその部分断面図である。各くぼみ110は、缶軸に平行方向に伸びた形状となっている。しかし、これらのくぼみ110は、明確な輪郭をもった形状ではない。
【0021】これらのくぼみが缶胴部の全周に連続的に形成されたり、あるいは、後の膨出加工によってこれらのくぼみの痕が消えないような寸法及びデザインである場合には、本発明の目的とする凹凸模様の形成は不可能である。即ち、本工程で形成されるくぼみは、缶胴部の外周長を変化させない程度でなければならず、膨出加工後にくぼみの痕跡が残らない程度でなければならない。
【0022】一方、図4は、割金型を開き、その間に比較例のシームレス缶を配置した後に、割金型を閉じ押圧した状態を示す正面断面図である。比較例のシームレス缶3の缶胴部302は割金型2の胴部201の凹凸模様の凸部210に接触せず押圧されないので、比較例のシームレス缶3の缶胴部302には、くぼみはまったく生じない。
【0023】図6は、本発明の実施形態に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法において、膨出加工工程で用いるバルジ成形装置の正面断面図であって、シームレス缶に膨出加工を施す前の状態を示す図である。閉じられた割金型2の凸部210によって、くぼみ110を形成されたシームレス缶1の内部に弾性体製の袋4を配置する。この袋4はネオプレンゴム製の有底円筒状であり、その上端の縁401は取付具5に取り付けられている。取付具5は割金型2の胴部201の底部202取付端と対向する他端204に密着取り付けられている。取付具5の中央には配管7が接続されており、不図示の圧縮機によって加圧された水が袋4の中に供給され、袋4の中には水6が充填される。水圧を40kg/cm2 にし、弾性体袋4を膨張させ、膨張した袋4でシームレス缶1の缶胴部102の内壁に外方への押圧力を作用させることにより、缶胴部102を膨出させ、割金型2の胴部201の内面に密着させて、缶胴部102に割金型2の胴部201の内面形状に一致した凹凸模様を形成させる。
【0024】ここで、本発明で行う膨出加工工程で用いる流体及び弾性体の中から選ばれる部材について説明する。膨出加工に用いる流体及び弾性体の中から選ばれる部材としては、水、油等の液体や空気等の気体やゴム等の弾性体を持つ固体を挙げることが出来る。液体や気体は、加圧状態で直接に、割金型内に挿入したシームレス缶の中に導入することが出来る。また、液体や気体を弾性体製の袋と共に用いることが出来、その場合には、先ず、割金型内にシームレス缶を挿入し、次に、割金型内のシームレス缶の中に弾性体製の袋を挿入し、その後、この袋の中に液体や気体を加圧しながら供給して袋を膨らませるか、或いは、特公昭51−41147号公報に記載の如く、弾性体の袋内に予め液体を封入すると共に、その袋内の液体中に、上下動可能な作動桿の下部を挿入し、しかも袋の上部外面には押圧板を取り付けたものを準備しておき、先ず、シームレス缶を割金型内に挿入し、次に、弾性体の袋の大部分を、割金型内のシームレス缶内に挿入し、その後、作動桿を押し下げることにより押圧板によって袋を上方から押圧して袋全部をシームレス缶内に押し込んで袋を軸線方向に圧縮させ袋を拡径させると共に作動缶桿を更に袋内に押し込むことにより、袋内の液を圧迫して袋を横方向(缶軸に直交する方向)へ膨出させても良い。また、ゴム等の弾性体を用いる場合には、特公昭59−53129号公報、特開昭57−28739号公報、特開昭61−27124号公報等に記載されている如く、先ず、割金型内にシームレス缶を挿入し、次に、シームレス缶の中に弾性体を挿入し、その後、その弾性体を上方から棒やシリンダー等によって加圧して弾性体を横方向へ変形させる。空気を直接シームレス缶の中に導入する場合は全く問題がないが、水を直接にシームレス缶の中に導入する場合には、後でシームレス缶の内面を乾燥させる必要があり、また、油を直接にシームレス缶の中に導入する場合は、後でシームレス缶の内面を洗浄し、更に、乾燥させる必要がある。
【0025】図7は、本発明の実施形態に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法において、膨出加工後のシームレス缶の正面断面図である。シームレス缶1の缶胴部102には、前工程で形成されたくぼみの上に凹部105が形成されて、くぼみの痕は完全に消えている。また、シームレス缶1の缶胴部102には、凹部105に隣接して凸部106が形成されている。図8は、図7のシームレス缶のA−A断面図である。各凹部105及び各凸部106の壁厚は、どの位置でもほぼ一定であり、また各凹部105の底部分を結ぶ仮想円の直径は60.7mm、各凸部106の先端部分を結ぶ仮想円の直径は64.6mmであって、凸部106と凹部105との高低差は1.95mmとなる。硬質のアルミニウム合金板から形成され、しごき率48.3%のしごき加工を受けてかなり加工硬化しており、しかも焼鈍処理を経ていない絞りしごき缶に対して、この膨出加工を施しても、缶胴部102に破断は生ぜず、しかも高低差が大きく外観が良好な凹凸模様缶が得られた。
【0026】膨出加工における加工量を表すには、周長がどれだけ伸びたかを測定することが多いが、胴部と底部が一体成形されたシームレス缶であることや模様によって材料の伸びが一様にならないことから、変形前後の缶外径の比率を測定したほうがより実際的に対応でき、破断にも対応できる。膨出比Rを膨出加工後の外径(r1 )と元の外径(r2 )の比、即ち、R=r1 /r2 で表すと、板厚0.3mmのアルミニウム材合金3004H191材を用いた、缶胴部壁厚が0.15mmの絞り加工しごき加工缶の場合、焼鈍処理をしないときは、R=1.06以上になると破断が発生するが、焼鈍処理を行うと、R=1.11以上になると破断が発生することがわかった。
【0027】膨出加工しようとする缶を焼鈍処理しない場合は、缶の破断を防止するため、膨出加工量が比較的小さく、限定される。したがって、未焼鈍缶については、従来、凹凸模様の高低差がとれず、その結果、凹凸模様を強調したデザインが表現できなかった。
【0028】もちろん、本発明においても、焼鈍処理していないシームレス缶の側壁部へ凹凸模様を成形するので、突出量は限定される。しかしながら、本発明の凹凸模様成形方法においては、従来の方法のような、高膨出加工部と低膨出加工部との高低差によって、或いは、膨出加工部と未膨出加工部との高低差によって、凹凸の高低差を形成するのではなく、押し込み加工とその後の膨出加工によって凹凸の高低差を形成している。従って、本発明の凹凸模様成形方法においては、破断を生ずることなしに、高低差の大きな凹凸模様が得られ、凹凸模様を強調したデザインの表現が可能となっている。
【0029】しかも、本発明の凹凸模様成形方法においては、缶を開いた割金型の中に配置した後に、割金型を閉じて押し込み加工をし、缶胴部に部分的に凹み(又はくぼみ)を形成し、続いて、缶内に挿入した流体及び弾性体の中から選ばれる少なくとも1以上の部材を加圧又は加圧変形させ、加圧又は変形した部材によって、缶胴部壁に外方への押圧力を加えて缶胴部壁を割金型の内面に密着させ、割金型の内面形状に対応した形状に膨出加工するので、凹部及び凸部がきれいに、しかも明瞭に形成される。即ち、所望のシャープな凹凸模様や目立つ模様が得られる。
【0030】本発明方法において使用する割金型の胴部の最小径は、割金型を閉じ押圧したときに、缶胴部にくぼみが生じ、そのくぼみが後の膨出加工によって完全に消え痕が残らないような値でなければならない。この割金型の胴部の最小径の値は、凹凸模様を形成しようとするシームレス缶の素材や絞り加工度やしごき加工度やストレッチ加工度によって異なる。
【0031】本発明方法においては、従来のシームレス缶製造工程に凹凸模様を形成する工程(押し込み加工工程及び膨出加工工程)を追加するだけで良く、製造装置としても、凹凸模様成形装置を組み込むだけでよいから、製造コストが安価であり、しかも、本発明の方法で製造された缶は、焼鈍処理を受けていないので、缶強度及び缶底耐圧力の低下がなく、逆に加工硬化によって缶胴部の硬度が更に増加するので、焼鈍処理を受けたものと比べると缶の耐圧力が高い(成形する凹凸模様の形状によっては、凹凸模様を成形する前よりも缶の垂直荷重に対する抵抗力が低下することがあるが、その場合でも、本発明で成形した缶は、焼鈍処理してから凹凸模様を成形したものよりも缶の垂直強度が高い。)。
【0032】
【発明の効果】請求項1に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法によれば、缶を割金型の中に配置した後に、割金型を閉じて押し込み加工して缶胴部に部分的にへこみを形成し、続いて、缶内に挿入した流体又は弾性体の中から選ばれる少なくとも1以上の部材を加圧又は加圧変形して、缶胴部壁に外方への押圧力を加えて缶胴部壁を割金型の内面に密着させ、割金型の内面形状に対応した形状に膨出加工するので、第1に、焼鈍処理を経ていないのに、破断を生じることなしに、高低差の大きな凹凸模様が得られ、凹凸模様を強調したデザインの表現が可能となるという効果があり、第2に、凹部及び凸部がきれいに、しかも、明瞭に形成され、所望のシャープな凹凸模様や目立つ模様が得られるという効果があり、第3に、従来のシームレス缶製造工程に凹凸模様を形成する工程(押し込み加工工程及び膨出加工工程)を追加するだけで良く、製造装置としても、凹凸模様成形装置を組み込むだけでよいから、製造コストが安価であるという効果がある。
【0033】請求項2に係るシームレス缶の側壁部への凹凸模様成形方法によれば、割金型の間に配置されているシームレス缶が、絞り加工及びしごき加工という過酷な加工を受けて成形されたものであっても高低差の大きな凹凸模様を持つ缶が得られ、また、膨出加工前のシームレス缶が焼鈍処理を受けていないので、缶強度及び缶底耐圧力の低下がなく、逆に加工硬化によって缶胴部壁の硬度が増加するので、焼鈍処理を受けたものに比べると缶の耐圧力が高いという効果がある。




 

 


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