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発明の名称 透明化された延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムを含む積層体及び癒着防止用シート材料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−244611
公開日 平成10年(1998)9月14日
出願番号 特願平9−65544
出願日 平成9年(1997)3月4日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池浦 敏明 (外1名)
発明者 大賀 隆裕
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 細孔内に水性液体を含浸させて透明化させた延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムと、その少なくとも一方の面に形成された水性液体を吸収している保水層とからなることを特徴とする積層体。
【請求項2】 該保水層が、ハイドロゲル化高分子層からなる請求項1の積層体。
【請求項3】 該保水層が、水性液体を含有する親水性多孔質材料層からなる請求項1の積層体。
【請求項4】 該保水層が、透明性を有する請求項1〜3のいずれかの積層体。
【請求項5】 該保水層の外面に補強層が形成されている請求項1〜4のいずれかの積層体。
【請求項6】 該補強層が、透明性高分子フィルムからなる請求項5の積層体。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかの積層体を実質的に水蒸気を透過させない包装材料で密封包装してなる積層体包装体。
【請求項8】 請求項1〜6のいずれかの積層体からなる癒着防止用シート材料。
【請求項9】 延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムに含浸された水性液体が、生理食塩水である請求項8の癒着防止用シート材料。
【請求項10】 請求項8又は9の癒着防止用シート材料を実質的に水蒸気を透過させない包装材料で密封包装してなる癒着防止用シート材料包装体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明化された延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムを含む積層体及び癒着防止用シート材料と、それらの密封包装体に関するものである。なお、、ここで言う癒着防止用シート材料とは、生体において臓器同志間あるいは臓器と結合組織との間の癒着を防止するためにそれらの間に介在させ、それらを隔離させるシート材料を意味する。
【0002】
【従来の技術】炎症や手術などに由来して、臓器同士または臓器と結合組織との間に癒着が発生する事がある。腹腔領域で手術後や外傷性炎症に由来する癒着が発生すると、例えば嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が見られ、重篤な場合には癒着除去手術が必要となる。心臓血管外科領域或は脳外科領域では、外傷、悪性新生物その他の治療に伴う切開手術等の原因で心臓或は脳硬膜の一部が欠損する例がある。これは、放置すれば癒着を生じてしまう。これらの臓器−組織間癒着を防止するために、同種/異種の生体由来材料や合成材料のシート材が用いられてきた。しかしながら、生体由来材料はウイルス感染や拒絶反応の問題から逃れることができず、合成材料も長期移植による分解劣化、発癌性といった問題があり、実質的には延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(以下ePTFEフィルムとも言う)のみが好適に用いられている。このものは、生体内に長期間適用しても、発癌や分解劣化等の不都合を生じることはない。しかしながら、このものは、その多孔質構造等に起因して、光を乱反射して白色不透明の外観を呈するため、癒着防止用シート材料として用いる場合、各種の不都合を生じる。例えば、顕微鏡下で実施されることの多い脳外科手術においてそのePTFEフィルムを適用する場合、視野中に見られるそのフィルムが照明を反射して強く輝き、執刀医の視界を眩ませてしまう。このことは、極めて精緻な手技と集中力を要求される脳外科手術にあっては大きな問題となる。また、ePTFEフィルムは不透明で、そのフィルムを通してフィルムの反対側を観察することが不可能であるため、そのフィルムを用いて脳硬膜欠損部を被覆縫合した後で手術部位及び周辺の細血管からの出血が持続している場合に、これを見逃す危険性もある。その他、小児血管外科領域において手術後速やかに心臓を超音波診断することがある。この際、空気を多く含有する白色不透明のePTFE製癒着防止用シートが超音波の伝播経路上に存在するとこれを妨害してしまう。また、脳外科領域の顕微鏡下手術の場合と同様、内視鏡手術の場合にも白色不透明のePTFEが照明を反射して、ビデオのイメージにフレアを発生させてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、癒着防止用シート材料として適用される延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムにおいて、透明化されたフィルムを提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、細孔内に水性液体を含浸させて透明化させた延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムと、その少なくとも一方の面に形成された水性液体を吸収している保水層とからなることを特徴とする積層体が提供される。また、本発明によれば、前記積層体からなる癒着防止用シート材料が提供される。さらに、本発明によれば、前記積層体を実質的に水蒸気を透過させない包装材料で密封包装してなる積層体包装体が提供される。さらにまた、本発明によれば、前記癒着防止用シート材料を実質的に水蒸気を透過させない包装材料で密封包装してなる癒着防止用シート材料包装体が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いる延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)フィルムは、従来公知のものであり、前記したように既に人工生体硬膜材料として使用されているものである。本発明で用いるePTFEフィルムにおいて、その厚さは通常2mm以下、好ましくは1mm以下であり、その平均細孔径は10μm以下、好ましくは1μm以下である。本発明においては、このePTFEフィルムは、そのフィルムの細孔内(空隙内)に水性液体を含浸させて透明化させて用いる。ePTFEフィルム中の細孔内に水性液体を含浸させると、白色不透明を示していたそのフィルムは、透明(半透明を含む)性を示すようになる。これは、そのフィルム中に多数存在する空気を含んだ細孔に起因する乱反射が防止されることによる。
【0006】ePTFEフィルムの細孔内に水性液体を含浸させるためには、ePPTFEフィルムが疎水性であり、水性液体をそのフィルムの細孔内に直接円滑に含浸させることが困難であることから、あらかじめ表面張力の小さい、水と相溶性のある有機溶媒を先ず含浸させ、次いで水性液体を含浸させるのが好ましい。この場合、ePTFEフィルムに対する水性液体の含浸は、そのフィルムの下面を好ましくは500トール以下の真空系に連絡させ、そのフィルムの上面に水性液体を供給するとともに、その真空系の吸引力により、その供給水性液体をフィルム中を通過させることにより行うことができる。この場合、水性液体の供給量は、フィルム体積の例えば10倍以上とし、フィルム中に含まれる有機溶剤を水性液体と完全に置換する。前記有機溶媒としては、水性液体と相溶性を有するものであればよく、アセトン、メチルエチルケトン等のケトンやメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が用いられるが、特にエタノールの使用が好ましい。ePTFEフィルムに水性液体を含有させる他の方法としては、密閉容器中で水圧により実施する事も出来る。この場合、ePTFEフィルムは含浸を目的とする水性液体中に浸漬し、500psi以下の水圧をかけることで、透明化される。また、この過程に先立ち、水性液体中に浸漬した状態で密閉容器を減圧し、ePTFEフィルムを脱気しておくとより効果的である。水圧処理の時間は圧力に応じて異なるが、約400psiの場合で4から5分程度、また、約200psiの場合で10分程度が目安となる。ePTFEフィルムに含浸させる水性液体としては、水や水溶液等の任意のものが用いられるが、生体に害を与えないように、パイロジエンフリーの滅菌精製水や生理食塩水を用いる。また、これらの水性液体には、必要に応じ、他の無機塩や、グリコール等の多価アルコール等を添加することができる。さらに、場合によっては、抗生物質等の薬剤やヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの生理活性物質を添加することもできる。
【0007】本発明の積層体は、前記細孔内に水性液体を含浸させて透明化したePTFEフィルムの片面又は両面に水性液体を吸収する保水層を積層する。この保水層は、ePTFEフィルム中に含浸させた水性液体の乾燥を防止する機能を有する。保水層としては、水性液体を吸収し得る材料であればどのような材料でも使用可能である。このような材料としては、吸水性高分子材料や、親水性多孔質材料等が一般的に用いられる。
【0008】吸水性高分子材料としては、親水基、例えば、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基等を含有する従来公知のものを用いることができる。このような高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル酸−ポリエチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸−ポリエチレングリコール)、ポリアリルアミン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アガロース、カラギーナン、カードラン、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸等の高分子が挙げられる。これらの主として親水性高分子は、吸水膨潤性を示し、前記保水層材料として使用することができる。前記親水性高分子は、フィルム状や不織布状で用いることができる他、高分子フィルムや紙等の支持体表面に形成したフィルム、短繊維、粉末等の各種の形態で用いることができる。短繊維状や粉末状で用いる場合、その短繊維や粉末を接着剤や高分子を用いてフィルム状に形成したり、不織布や紙、高分子フィルム等の支持体表面に付着結合させて用いるのがよい。また、2つの通気性高分子フィルム(有孔高分子フィルムや多孔質高分子フィルム等)の間に挟んで用いることもできる。前記親水性高分子は、他の疎水性高分子(ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等)とのブレンド体の形態で用いることができる。この場合、このブレンド体も、前記したような各種の形態で用いることができる。
【0009】本発明においては、吸水性高分子材料は、特に、透明なハイドロゲル形成性高分子材料であることが好ましい。このハイドロゲル形成性高分子材料は、軽度の架橋構造を有する親水性高分子から形成されたもので、いわゆる高吸水性高分子と呼ばれているものである。このようなものとしては、従来各種のものが知られており、例えば、デンプン系(デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−アクリルアミドグラフト重合体等)、セルロース系(セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、カルボキシメチルセルロース架橋体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト重合体等)、多糖類系(ヒアルロン酸、アガロース、カラギーナン、カードラン、デキストラン等を基材とするもの)、蛋白質系(コラーゲン、ゼラチン等を基材とするもの)、ポリビニルアルコール系(ポリビニルアルコール架橋体)、アクリル系(ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー、ポリアクリロニトリル系重合体ケン化合物等)のものの他、無水マレン酸系重合体、ビニルピロリドン系重合体、ポリエチレングリコール/ジアクリレート架橋重合体等が挙げられる。
【0010】前記ハイドロゲル形成性高分子は、フィルムや不織布状で用いることができる他、高分子フィルムや紙、不織布等の支持体表面に形成したフィルム、短繊維、粉末等の各種の形態で用いることができる。短繊維状や粉末状で用いる場合、その短繊維や粉末を接着剤や高分子を用いてフィルム状に形成したり、不織布や紙、高分子フィルム等の支持体表面に付着結合させて用いるのがよい。また、2つの通気性高分子フィルム(有孔高分子フィルムや多孔質高分子フィルム等)の間に挟んで用いることもできる。前記ハイドロゲル形成性高分子は、他の疎水性高分子(スチレン/イソプレン共重合体等)あるいはポリレタン、シリコーン等の高分子とのブレンド体の形態で用いることができる。この場合、このブレンド体も、前記したような各種の形態で用いることができる。
【0011】本発明で用いる好ましい吸水性高分子材料は、補強層として透明性を有する高分子フィルムを用い、これの表面に透明性を有する吸水性高分子層を形成したものである。この場合の補強層に用いられる高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの他、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。吸水性高分子としては、前記した親水性高分子やハイドロゲル形成性高分子が用いられる。補強層としての高分子フィルムの表面に吸水性高分子層を形成する方法としては、当該高分子フィルムの表面に対し、吸水性高分子フィルムを熱圧着法や接着剤を用いる接着法によりラミネートする方法、吸水性高分子を含む溶液又は分散液を塗布し、乾燥する方法、水溶性モノマー(ヒドロキシエチルメタクリレート等)をグラフト重合させる方法高分子フィルム裏面をシラン処理等で活性化して保水性材料と共有結合させる方法等が挙げられる。
【0012】保水層は、水性液体を含有する多孔質材料であることもできる。この多孔質材料は、多数の細孔を有し、水を吸収保持し、実質的に光透過性となる。この多孔質材料は、紙、合繊紙、不織布、織布、編布等のフィルム状ないしシート状の繊維材料が好ましく用いられる。
【0013】図1に本発明の好ましい積層体の説明断面図を示す。図1において、1は細孔内に水性液体を含浸させて透明化したePTFEフィルムを示し、2及び3は水性液体を吸収している保水層を示し、4及び5は補強層を示す。保水層2,3は、前記した吸水性高分子層からなり、水性液体を吸収して膨潤している。この保水層2,3は、水性液体を吸収していることから、ePTFEフィルム中に含浸されている水の蒸発が防止され、そのフィルムの乾燥を防止する。ePTFEフィルム中の水が蒸発してそのフィルムが乾燥すると、その透明性を有するフィルムは白色不透明なものとなるが、保水層はこれを防止する。補強層4,5は、保水層2,3補強するためのもので、高分子フィルムや、不織布、紙、合繊紙、金属箔等が用いられるが、好ましくは高分子フィルムが用いられる。
【0014】ePTFEフィルム1に対する保水層2,3の接着は、保水層2,3が水性液体を吸収して膨潤化した粘着力を有する高分子からなることから、特別の接着剤は必要とされず、その保水層の粘着力を用いて行うことができる。また、このような粘着力で接着している生体に移植されることを目的としない保水層は容易にePTFE製癒着防止用シート材料から除去できる。
【0015】本発明においては、保水層2,3と補強層4,5は、あらかじめ一体に接着した積層材料として形成するのが好ましく、特に、高分子フィルム表面に吸水性高分子フィルム(膜)を熱融着法や接着剤を用いる接着法により積層接着させた積層フィルムを用いるのが好ましい。また、より好ましくは、高分子フィルム上に接着剤を用いずグラフト重合や共有結合等の化学的結合により、直接保水層を一体化させることもできる。
【0016】図1に示した積層体において、水性液体を含浸させたePTFEフィルム層1の厚さは2mm以下、好ましくは1mm以下、保水層2,3の厚さは0.1mm以上、好ましくはePTFEフィルム層と同程度である。本発明の積層体は、それ全体が透明性を示すように構成することができ、このような構成は、ePTFEフィルムを保水層と一体のまま補綴部位を被覆し、必要な大きさにトリミングする上でより効果的である。この場合には、保水層2,3及び補強層4,5を透明高分子フィルム等の透明性材料で形成する。
【0017】図1に示した積層体において、保水層が十分な強度を有する場合、補強層4,5は、これを省略することができる。
【0018】本発明による前記積層体において、その水性液体を含むePTFEフィルムは、保水層の作用により、その乾燥の防止されたものであるが、積層体をそのまま長時間保存すると、保水層及びePTFEフィルム層は乾燥してしまう。このような乾燥を防止するためには、積層体全体を、水蒸気を実質的に透過させない包装材料で蜜封包装して包装体とする。また、この包装体には、適量の水性液体を同時に蜜封して、長時間の保存に際しての包装体から逃散する水蒸気量をあらかじめ補足しておくのが好ましい。包装材料としては、従来公知のもの、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体等の高分子から形成されたフィルム及びそれらの複合体、アルミニウム等の金属箔を高分子フィルムにラミネートしたラミネートフィルム、高分子フィルムにアルミニウムを蒸着したフィルム等が挙げられる。
【0019】本発明の癒着防止用シート材料は、水性液体を含浸させて透明化したePTFEフィルムを含む前記積層体からなるものである。この積層体を癒着防止用シート材料として用いるには、その積層体を適当形状及び寸法にトリミングした後、保水層を剥離除去するか又は補強層が存在する場合には保水層とともに補強層を剥離除去する。次いで、得られた水性液体を含有するePTFEフィルムを所定の生体組織部分に当て、縫合する。手術に長時間を要し、水性液体を含むePTFEフィルムの乾燥が心配される場合には、保水層をあらかじめ剥離除去せずに、手術に際し、保水層を徐々にずらせながら、そのePTFEフィルムを縫合し、縫合終了後に剥離除去すればよい。また、手術中にそのフィルム面に生理食塩水をふりかけて、フィルムの乾燥を防止してもよい。
【0020】水性液体を含むePTFEフィルムは透明性を有するので、そのフィルムを生体組織に移植手術する場合に、そのフィルムは照明光を反射して強く輝くことがなく、そのフィルムを作業性良く、所定の生体組織に移植手術することができる。また、本発明の癒着防止用シート材料を用いるときには、その反対側を透視することができるので、その膜の裏面に接触する生体組織に出血が存在する場合には、その出血を容易に視認することができる。従って、従来の癒着防止用シート材料の使用に際して見られる出血の見逃しの問題を完全に解決することができる。また、本発明の癒着防止用シート材料を用いるときには、超音波が伝播するため、シート材料下の臓器/組織に対して超音波診断を実施できる。
【0021】実施例次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0022】実施例1人工生体硬膜として市販されているePTFEフィルム(厚さ0.3mm、縱120mm、横100mm)(商品名「GORE−TEX(登録商標)DuraSubstitute」、ジャパンゴアテックス社より販売)に生理食塩水を含浸させて透明性ePTFEフィルムを得た。前記生理食塩水のフィルムに対する含浸は以下のようにして行った。ePTFEフィルムにあらかじめエタノールを含浸させた後、生理食塩水50mlをそのフィルム上面に供給し、そのフィルムの下面を150トールの真空系に連絡させて、そのフィルムにその上面から下面に向かう吸引力を作用させて、その生理食塩水をフィルム中を透過させ、フィルム上面には生理食塩水がほとんど残存しない状態とした。このようなフィルム中に生理食塩水を透過含浸させる作業を合計5回繰り返して行い、フィルム内に存在するエタノールを生理食塩水で完全置換した。このようにして特に生理食塩水を含浸させたePTFEフィルムは、その外周部をカットして、75×95mmの長方形フィルムとし、バット内の生理食塩水中に浸漬保存した。表面活性化ポリエチレンテレフタレート(75×95×0.2mm)の一方の面に、アガロースの1wt%生理食塩水溶液を厚さ0.5mmに塗布した後、その塗布面に前記で得た生理食塩水含有ePTFEフィルムを重ねて積層体を得た。この積層体は、全体として透明(半透明)を有するものであった。
【0023】次に、この積層体をEVAL(エチレン/ビニルアルコール共重合体)フィルムにより密封包装した。この際、包装体内に生理食塩水1mlを同時に封入した。この包装体を室温において1カ月間保存した後、その包装体を開封し、積層体を調べたところ、このものは包装前と同様の透明性を有するものであった。また、その積層体を室内に放置したところ、3時間経過後もその半透明性には変化は見られなかった。
【0024】実施例2ビニルアルコール/アクリル酸共重合体の5wt%生理食塩水溶液を実施例1で示したポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ0.5mmに塗布、乾燥した後、120℃で1時間加熱して、架橋させて、ハイドロゲル形成性高分子フィルム層を形成した。次に、この積層体フィルムを生理食塩水中に浸漬して、その塗布層をハイドロゲル化させた後、そのハイドロゲル化層の上に、前記実施例1で示した生理食塩水含有ePTFEフィルムを重ねて積層体を得た。
【0025】実施例3高吸水性高分子微粉末(スミカゲル」、住友化学社製)をポリカプロラクトン樹脂の熱溶融液に対し、50wt%の割合で添加混合した後、混合物をガラス板上に流延し、冷却して厚さ1mmのフィルムとした。このフィルムを生理食塩水中に浸漬してそのフィルム中に含まれている高分子微粉末に吸水させてハイドロゲル化した後、前記実施例1で示した生理食塩水含有ePTFEフィルムを重ねて積層体を得た。
【0026】
【発明の効果】本発明の積層体において、その延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムは、水性液体を含浸させて透明化させたものであり、光を強く反射することがなく、また、そのフィルムの反対側を肉眼的にも超音波的にも透視できるという利点を有する。本発明の癒着防止用シート材料は、前記積層体からなるもので、その適用に際しては、その積層体の保水層は剥離除去される。この場合、補強層が存在する場合には、この補強層も保水層ととも剥離除去される。この保水層の除去された後の水性液体を含むePTFEフィルムは、癒着防止用シート材料として生体に対して適用されるが、そのシート(フィルム)は透明性を有し、光の強い反射が防止され、顕微鏡視野或いは内視鏡視野での眩しさが減少するので、その適用作業性は著しく向上する。また、そのシートは、透明性を有し、その反対側を透明できるので、そのシートを生体に適用する場合に、その反対側の生体に持続性微量出血がある場合に、その出血を見逃すこともなくなる。更にそのシートを通して超音波診断を可能にする。




 

 


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