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発明の名称 気体分離膜および気体分離法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−99665
公開日 平成10年(1998)4月21日
出願番号 特願平8−256843
出願日 平成8年(1996)9月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
発明者 藤本 浩良
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 特定の気体成分を吸収する機能を有する吸収液を用いて混合気体から特定の気体成分を分離するための気体分離膜であって、該分離膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン樹脂よりなる支持層の片面側に、アモルファスフッ素樹脂被覆が形成されてなり、上記アモルファスフッ素樹脂被覆は、一部が前記支持層の多孔質空間に侵入すると共に、残部は前記支持層の表面で連続皮膜を形成していることを特徴とする気体分離膜。
【請求項2】 特定の気体成分を吸収する機能を有する吸収液を用いて混合気体から特定の気体成分を分離するための気体分離膜であって、該分離膜は、多孔質ポリオレフィン樹脂よりなる支持層の片面側に、アモルファスフッ素樹脂被覆が形成されてなり、上記アモルファスフッ素樹脂被覆は、一部が前記支持層の多孔質空間に侵入すると共に、残部は前記支持層の表面で連続皮膜を形成していることを特徴とする気体分離膜。
【請求項3】 前記支持層の厚みが5〜200μmであり、前記アモルファスフッ素樹脂被覆の厚みが0.01〜10μmである請求項1または2に記載の気体分離膜。
【請求項4】 前記支持層における前記アモルファスフッ素樹脂被覆形成面の反対面側に強化層が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の気体分離膜。
【請求項5】 フィルム状もしくはチューブ状に形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の気体分離膜。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜を使用し、該分離膜における前記アモルファスフッ素樹脂被覆形成面側に前記吸収液を存在させて特定気体成分の分離を行なう気体分離法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ガスや硫化水素の如き特定の気体成分を含む混合ガス中に含まれる特定の気体成分を、気体分離膜を介して吸収液に吸収させて回収もしくは除去する際に用いられる、改善された気体分離膜と気体分離法に関し、殊に特定気体成分の吸収をより効率よく行ない得る様に改善された分離膜と分離法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種工場設備や火力発電所あるいは車輌などから排出される排ガス中に含まれる炭酸ガスや硫化水素等の特定気体成分を除去する方法として、これら特定気体成分に対して吸収機能を有する吸収剤、たとえばモノ(またはジ、トリ)エタノールアミンを、気体分離膜を介して排ガスと接触させ、該気体分離膜を透過してくる特定気体成分を吸収剤に吸収させて除去する方法がある。
【0003】一方、特定気体成分を透過する気体分離膜を用いて、排ガス中に含まれる特定気体成分を加圧透過させて分離する方法も公知であり、この様な気体分離膜の構成素材として、環状構造のフッ素系ポリマーからなるアモルファスフッ素樹脂膜が知られている(特公昭63−264101号公報など)。即ちこのアモルファスフッ素樹脂膜は、5〜500Å程度の平均細孔径を有しており、該膜を挟んで一方面側に被処理ガスを存在させて加圧すると、平均細孔径よりも小さい分子サイズの気体成分は該膜を通して反対面側に透過するので、特定気体成分を分離することができる。また上記公報に記載の発明では、気体分離膜の片面側に多孔質の支持層を設け、強度特性を高める方法も開示している。
【0004】更に他の技術として特開平5−301033号公報には、親水化処理を施した多孔質フッ素樹脂を支持体とし、これを公知の気体分離膜と複合化した複合膜が開示されている。この複合膜は、支持層となる多孔質フッ素樹脂を親水化することによって、水蒸気や水の透過性を高めたもので、フッ素樹脂の有する優れた耐熱性や耐薬品性を有効に発揮させつつ、水や水蒸気の透過性能を高めた分離膜として様々の用途展開が期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記特公昭63−264101号公報に開示された分離膜、特に多孔質の支持層で強化した複合膜は、圧力差を利用して特定気体成分の分離を行なうものであり、この種の複合膜を前述の如き吸収液を用いた特定気体成分の吸収除去に利用しようとすると、分離膜を構成する薄肉のアモルファスフッ素樹脂膜にピンホール欠陥等が生じた時に、支持層を通して吸収液が被処理ガス側へ簡単に漏れ出す現象が起こるため、吸収液を用いた特定気体成分の除去に利用することはできない。
【0006】また上記特開平5−301033号公報に開示された複合膜は、支持層となる多孔質フッ素樹脂を親水化することによって水蒸気や水の透過性を高めたものであるから、この種の複合膜を前述の如き吸収液を用いた特定気体成分の吸収除去に利用しようとすると、分離膜を構成する薄肉のアモルファスフッ素樹脂膜にピンホール欠陥等が生じた時に、やはり支持層を通して吸収液が被処理ガス側へ簡単に漏れ出す現象が起こるため、吸収液を用いた特定気体成分の除去にその特徴を有効に活かすことはできない。
【0007】本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、特に吸収液を用いた特定気体成分の吸収除去を対象とし、吸収液と接触状態で使用した時に、アモルファスフッ素樹脂膜に対して優れた支持効果を発揮すると共に、該アモルファスフッ素樹脂膜にピンホール欠陥ができた場合でも、特定気体成分の吸収除去効率を下げることなく且つ吸収液の漏れ出しも起こさない様な気体分離膜を開発し、ひいては吸収液を用いた特定気体成分の吸収分離を効率よく実施し得る様な気体分離法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決することのできた本発明の気体分離膜とは、特定の気体を吸収する機能を有する吸収液を用いて混合気体から特定の気体成分を分離するための気体分離膜であって、該分離膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン樹脂または多孔質ポリオレフィン樹脂よりなる支持層の片面側に、アモルファスフッ素樹脂被覆が形成されてなり、上記アモルファスフッ素樹脂被覆は、一部が前記支持層の多孔質空間に侵入すると共に、残部は前記支持層の表面で連続皮膜を形成しているところにその特徴が存在する。
【0009】本発明の上記気体分離膜においては、前記支持層としての厚みを5〜200μmの範囲とし、また前記アモルファスフッ素樹脂被覆についてはその厚みを0.01〜10μmの範囲とすることにより、複合分離膜としての性能を一層確実に発揮させることができる。また、前記支持層における前記アモルファスフッ素樹脂被覆形成面の反対面側に強化層を形成し、複合分離膜としての強度特性を更に高めることは、気体分離膜としての寿命を延長する上で有効である。本発明の気体分離膜は、その使用形態に応じてフィルム状またはチューブ状として実用化することができる。
【0010】そして上記気体分離膜を使用し、該分離膜における前記アモルファスフッ素樹脂被覆形成面側に前記吸収液を存在させて特定気体成分の分離を行なえば、後述する如く支持層を構成する多孔質ポリテトラフルオロエチレン樹脂の有する撥水特性によって吸収液の漏れ出しを有効に防止しつつ、アモルファスフッ素樹脂被覆に対する支持作用を有効に発揮させることができ、吸収液による特定気体成分の吸収除去を長時間にわたって効率よく遂行することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明の気体分離膜は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン樹脂または多孔質ポリオレフィン樹脂よりなる支持層の片面側に、アモルファスフッ素樹脂被覆が形成された複合膜であり、上記アモルファスフッ素樹脂被覆は、一部が前記支持層の多孔質空間に侵入すると共に、残部は前記支持層の表面で連続皮膜を形成している。
【0012】ここで支持層を構成する多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂または多孔質ポリオレフィン(PO)樹脂は、PTFE樹脂またはPO樹脂を、延伸法、発泡法、溶剤抽出法などによって多孔質化したものであり、成形されたフィルムやチューブ等に2次元的ないし3次元的な連通孔が無数に形成された連続多孔質構造を有しており、中でも特開昭51−18991号や米国特許第3,953,566号などに開示された延伸多孔質PTFE樹脂は、強度的にも非常に優れたものとして推奨される。
【0013】なお該支持層構成材として多孔質のPTFE樹脂またはPO樹脂を選択したのは、それ自身優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性を有している他、特に撥水性にすぐれたものであり、多孔質の故に優れた気体透過性を有しているが細孔内への吸収液の侵入は起こりにくく、これを支持層として吸収液の接触側に配置して使用すると、気体成分の透過は殆んど阻害することなく吸収液の漏れ出しを可及的に阻止することが可能となる。特に多孔質PTFE樹脂を支持層構成材として使用すると、そのとりわけ優れた強度、耐薬品性、撥水性が遺憾なく発揮され、支持層としての機能を一段と優れたものとすることができるので好ましい。
【0014】またポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などからなる多孔質PO樹脂も、多孔質PTFE樹脂に比べると耐熱性や撥水性はやや劣るが、前記特公昭63−264101号公報や特開平5−301033号公報に開示された複合膜における支持層構成材に較べると優れた耐薬品性と撥水性を有しており、こうした特性は、吸収液を用いて特定ガス成分の吸収分離を行なう気体分離膜用の支持層構成材としての要求特性を備えているといえる。
【0015】支持層として用いられる上記多孔質PTFE樹脂や多孔質PO樹脂の細孔径は、ガス成分の吸収分離に用いる吸収液の圧力等によっても変わってくるので一律に規定することはできないが、ガス透過性を阻害することなく吸収液の漏れ出しを確実に阻止するには、平均細孔径で0.05〜3μm程度、より好ましくは0.1〜0.5μm、空孔率で30〜90%、より好ましくは50〜80%のものが好ましく、また、吸収液と接してその液圧を受ける分離膜の支持層としての機能を十分に活かし、且つ細孔による吸収液の漏れ出し効果を有効に発揮させる上では、その厚みを5〜200μm、より好ましくは20〜50μmの範囲とすることが望ましい。
【0016】上記平均細孔径や空孔率は、多孔質化するときの条件、例えば延伸多孔質膜では縦・横方向の延伸倍率を変える方法等によって任意に調整することができ、また支持層としての膜厚は、多孔質化処理後の厚さ減少率を加味してその前のフィルムの膜厚を変えることよって調整すればよい。
【0017】尚上記の様に、本発明で支持層として使用する多孔質PTFE樹脂や多孔質PO樹脂は、その優れた撥水特性を活かして細孔内への吸収液の侵入を阻止し、吸収液の漏れ出しを阻止するところに最大の特徴を有するものであり、こうした特性を更に高めるため、多孔質化した後の支持層構成材を撥水剤で処理し、液漏れ防止性能を更に高めることも有効である。ここで用いられる好ましい撥水・撥油処理剤としては、例えばPCT/US93/08884号(WO 94/22928号)に記載されているフルオロアルキルアクリレートやフルオロアルキルメタクリレート等から導かれるポリマー、PCT/US94/10075号(WO95/34583号)に記載されているフルオロアルキルアクリレートまたはフルオロアルキルメタクリレートとテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等が挙げられ、これらの撥水・撥油処理剤は平均粒径が0.001〜0.1μm程度のマイクロエマルジョンとして得られるので、これらを多孔質化したPTFE樹脂やPO樹脂フィルムに含浸付着させて乾燥すれば、多孔質フィルム層内のノードやフィブリル等の骨格組織に均一に付着して撥水性被覆を形成し、気体透過性を阻害することなく支持層としての撥水性を一段と高められ、吸収液の漏れ出しをより確実に阻止することが可能となる。
【0018】上記支持層の片面側に形成されるアモルファスフッ素樹脂被覆は、被覆内に5〜500Åレベルの微細な連通孔を有する選択透過性を有する被覆であり、その例としては、例えば特開昭63−264101号に開示されている如く、主鎖に環状構造を有する含フッ素系ポリマーを挙げることができ、具体的には主鎖に【0019】
【化1】

【0020】等の構造単位を有するポリマーを使用し、これをパーフルオロベンゼンやトリクロロトリフルオロエタン等の溶剤に溶解し、ロールコート法、キャスト法、ディッピング法、スピンコート法など任意の方法で、成膜し乾燥する方法によって得ることができ、そのフィルムはそれ自身で選択透過性を発揮する。そして使用するポリマーの種類や複合組成を任意に選択することによって、吸収分離すべき特定気体成分に応じた選択透過性の被覆を得ることができる。
【0021】該アモルファスフッ素樹脂被覆の厚さは、気体透過性を高める意味からすると薄くした方が好ましいが、薄くし過ぎると選択透過膜としての強度や耐液圧性が乏しくなるばかりでなくピンホール欠陥も生じ易くなって選択透過性も劣化してくるので、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmの範囲に設定することが望ましい。
【0022】上記多孔質PTFE樹脂または多孔質PO樹脂よりなる支持層とアモルファスフッ素樹脂との複合に当たっては、該支持層の片面側にアモルファスフッ素樹脂被覆を形成すると共に、該アモルファスフッ素樹脂被覆は、その一部を前記支持層表層部の多孔質空間に侵入せしめ、噛み込み(アンカー)効果によって強固に接合一体化させると共に、残部は前記支持層の表面で連続皮膜を形成し、選択分離膜としての性能が有効に発揮できる様にすることが必要となる。しかして、支持層の片面に接着剤を用いて前記アモルファスフッ素樹脂被覆の接合を行なおうとすると、接着剤の存在によってモルファスフッ素樹脂被覆の選択分離膜としての性能劣化が避けられないが、上記の様にモルファスフッ素樹脂被覆の一部を支持層の細孔内に侵入させて噛み込ませてやれば、モルファスフッ素樹脂被覆の選択分離膜としての性能に悪影響を与えることなく該被覆を強固に接合一体化することができるからである。そして、該支持層の表面で該モルファスフッ素樹脂被覆の連続皮膜を形成することによって、支持層の片面側に選択分離膜が強固に接合一体化した複合膜が得られるのである。
【0023】この様にアモルファスフッ素樹脂被覆を支持層表面に噛み込み状態で形成する方法は特に制限されないが、好ましい方法を例示すると、■上記アモルファスフッ素樹脂被覆を構成する原料樹脂の溶剤溶液からなるドープを支持層の片面に直接塗布し、製膜と同時に細孔内に噛み込ませる方法、この時、ドープの粘性を適正に調整すれば、噛み込みの程度を任意に変更することができる、■アモルファスフッ素樹脂よりなる薄膜を予め製造しておき、これを、同種のアモルファスフッ素樹脂の溶剤溶液からなるドープを用いて支持層の片面に接合させ、乾燥状態で該ドープ中のアモルファスフッ素樹脂を支持層表層部の細孔内へ噛み込ませ状態で固化させる方法、■アモルファスフッ素樹脂よりなる薄膜を予め製造しておき、これを支持層の片面に重ね合わせた後、ヒートロールやヒートプレス等を用いてアモルファスフッ素樹脂の軟化点以上で且つ支持層構成材の軟化点以下の温度で加熱圧着し、アモルファスフッ素樹脂薄膜の一部を支持層の細孔内へ噛み込ませてから冷却固化させる方法、等が好ましい方法として例示される。
【0024】本発明の気体分離膜は、支持層とアモルファスフッ素樹脂被覆(以下、選択透過膜ということもある)との複合によってそれなりの強度や耐圧性を有しているが、強度を更に高めるため、該気体分離膜における選択透過膜形成面の反対面側に補強層を積層して一層の強化を図ることも有効である。ここで用いられる補強層は、使用時において被処理ガス側に配置されるものであり、支持層構成材と同等以上の気体透過性を有している素材を用いることが望ましく、例えば素材に制限のない様々の不織布、織物、編物、ネット状物、フェルトなど、被処理ガスの種類に応じて、腐食や劣化を起こさないものを任意に選択して使用できる。該補強層の積層法にも格別の制限はなく、接着剤を使用する方法や熱融着法など公知の方法を適宜採用できるが、接合による通気性の劣化を招くことのない様、点状、線状、格子状等で接合させることが望まれる。
【0025】本発明の気体分離膜は、具体的な使用態様に応じてフィルム状またはチューブ状に形成することができ、チューブ状とする場合は、支持層となるポリテトラフルオロエチレン樹脂を最初からチューブ状に加工してから多孔質化処理し、その後アモルファスフッ素樹脂被覆を形成してもよく、或は長尺フィルムの両側縁を長手方向に接合してチューブ状に加工しても構わない。
【0026】かくして得られる本発明の気体分離膜を使用するに当たっては、上記アモルファスフッ素樹脂被覆形成面を吸収液側にして、その反対側に被処理ガスを存在させると、該支持層の細孔を通過し該アモルファスフッ素樹脂被覆を選択透過した特定気体成分のみが吸収液に吸収され、特定気体成分の選択的除去を行なうことが可能となる。また上記アモルファスフッ素樹脂被覆にピンホール欠陥が存在し或は使用時にその様な欠陥が生じ、該被覆を通して吸収液が被処理ガス側に漏れ出そうとしても、該支持層を構成する多孔質PTFE樹脂や多孔質PO樹脂は前述の如く撥水性を有しているので、支持層の細孔部分で吸収液の移行が阻止され、支持層の被処理ガス側にまで吸収液が漏れ出すことはなくなる。
【0027】換言すると、本発明の気体分離膜におけるアモルファスフッ素樹脂被覆が形成されていない面を吸収液側に配置して特定成分ガスの吸収除去を行なおうとすると、吸収液またはその蒸気が徐々に支持層の細孔内に浸透し、細孔部分において所謂液溜りが生じ、その部分では吸収液が循環しない。被処理ガスと循環する吸収液との間で液溜りが生じることは、特定ガスの吸収効率(分離効率)を大きく低下させることになる。又、アモルファスフッ素樹脂被覆にピンホール欠陥があり或は作業時にピンホール欠陥ができると、該ピンホール欠陥を通過した吸収液は直接被処理ガス側に漏れ出すことになり、折角支持層に設けられた細孔による吸収液露出阻止作用が全く発揮されなくなる。
【0028】図1,2は、本発明の気体分離膜を用いて被処理ガスから特定気体成分を吸収除去する方法を示す概念図であり、図1はフィルム状の気体分離膜を用いた例で、気液分離装置1内を気体分離膜2によって仕切り、該分離膜2のアモルファスフッ素樹脂被覆形成面側に吸収液A(例えばモノエタノールアミン等)を流して循環ポンプPにより循環すると共に、その反対面側に被処理ガスBを流し、被処理ガス中に含まれる特定成分ガス、例えば炭酸ガスや硫化水素等を、気体分離膜2を通して吸収液A側へ移行させて吸収除去する。
【0029】また図2では、気体分離装置1内にチューブ状の気体分離膜2を多数配置し、該チューブの内側に吸収液(または被処理ガス)を通過させると共に、その外側に被処理ガス(または吸収液)を流し、排ガス中の特定成分ガスをチューブを通して吸収液側に移行させて吸収除去する。この時、チューブ内に吸収液を流す場合は、該チューブの内面側にアモルファスフッ素樹脂被覆を形成し、逆にチューブの外面側に吸収液を流す場合は、該チューブの外面側にアモルファスフッ素樹脂被覆を形成すればよい。
【0030】尚図1,2では気体分離装置としての基本的な構造を示したが、本発明はあくまでも気体分離膜としての複合構造に特徴を有するものであるから、分離装置自体の具体的な構成については一切制限されない。
【0031】本発明の気体分離膜および気体分離法を採用して処理される被処理ガスあるいは使用する吸収液の種類は特に制限されず、例えば一般工場、焼却設備、廃液処理設備、火力発電所等からの排ガス、或は車輌等からの排気ガスの如く、炭酸ガス、硫化水素等を含有する様々の排ガスに適用することができ、また吸収液の種類もそれら被処理排ガス中に含まれる特定気体成分の種類に応じて、例えばモノ(またジ、トリ)エタノールアミン、あるいはそれらの水溶液、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水溶液などを使用することができる。
【0032】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0033】実施例1ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィルムを2軸方向に延伸してなる多孔質PTFE樹脂膜(平均細孔径0.2μm、厚さ40μm、空孔率80%)を支持層構成材として使用し、その片面に、環構造を有する含フッ素系ポリマー(E.I.Dupont社製商品名「Tefron AF#2400」)1重量部を溶剤(3M社製商品名「フロリナートFC−75」)49重量部に溶解した溶液を、ロールコート法によって乾燥厚みが1μm,3μmおよび5μmの厚みとなる様にコーティングし、オーブン中150℃で5分間乾燥することにより、多孔質PTFE樹脂よりなる支持層の表面に上記厚さのアモルファスフッ素樹脂被覆が形成された気体分離膜を製造した。
【0034】この気体分離膜を、図1に示した様な分離装置に分離膜としてセットし、吸収液としてモノエタノールアミンの100%液を0.5リットル/分の速度で循環させながら、分離膜を挟んでその反対側に20%の炭酸ガスを含む混合ガスを0.2リットル/分の流速で流し、該混合ガス中の炭酸ガスの吸収液による吸収除去を行なった。この時の炭酸ガスの吸収液方向への移動速度および吸収除去率を測定したところ、表1に示す結果が得られた。尚表1には、アモルファスフッ素樹脂被覆を形成されておらない上記多孔質PTFE樹脂膜をそのまま分離膜として用いた場合の例を、比較のため対照例として示した。また表中のCO2 除去性能は、アモルファスフッ素樹脂被覆の厚みが0である時の除去性能を100とし、これに対する相対値として示した。ガス透過率測定装置としては、柳本製作所製の「GTR−10型」を使用した。
【0035】
【表1】

【0036】表1からも明らかである様に、アモルファスフッ素樹脂被覆を形成しておらないものでは、炭酸ガス透過性は大きいが、モノエタノールアミンの透過を防止できず、本発明の目的にそぐわない。これに対しその片面にアモルファスフッ素樹脂被覆を形成した本発明の実施例では、炭酸ガス透過性はかなり下がってくるがモノエタノールアミンの透過は全く起こらず、気相側への吸収液の漏れ出しを生じることなく炭酸ガスを吸収除去できることが分かる。そしてアモルファスフッ素樹脂被覆の厚みを1μm程度まで薄肉化してやれば、炭酸ガスの透過性を極端に下げることなく吸収液の透過をほぼ完全に阻止することができ、分離膜を用いた特定成分ガスの吸収液による吸収除去を効率よく実施できることが分かる。
【0037】また他の実験でセル内に、上記各気体分離膜を挟んで空気とモノエタノールアミン水溶液を入れ、空気層方向へのモノエタノールアミンの漏れ出し状態を観察したところ、多孔質PTFE樹脂のままの分離膜(比較対照材)では、実験開始直後から空気層方向へのモノエタノールアミン蒸気の透過が見られ、3日後には空気層側の膜表面にモノエタノールアミンを含む水滴の付着が観察されたが、アモルファスフッ素樹脂被覆を形成した実施例の気体分離膜では、1か月経過後もモノエタノールアミンの滲み出しや蒸気の漏れ出しは全く認められなかった。
【0038】また、多孔質PTFE膜に代わる支持層構成材として、多孔質ポリプロピレン系樹脂膜(成膜後2軸延伸して多孔質化した膜、平均細孔径0.2μm、厚さ50μm、空孔率50%、ガーレー数200秒)を使用し、以下は上記と同様にしてその片面に厚さ1〜5μmのアモルファスフッ素樹脂被覆を形成した気体分離膜について同様の実験を行なったところ、表2に示す結果が得られ、上記多孔質PTFE樹脂を支持層として使用した場合とほぼ同様の結果が得られた。
【0039】
【表2】

【0040】また上記と同様に他の実験で、セル内に、支持層を多孔質ポリプロピレン樹脂とする各気体分離膜を挟んで空気とモノエタノールアミン水溶液を入れ、空気層方向へのモノエタノールアミンの漏れ出し状態を観察したところ、多孔質ポリプロピレン樹脂のままの分離膜(比較対照材)では、実験開始直後から空気層方向へのモノエタノールアミン蒸気の透過が見られ、3日後には空気層側の膜表面にモノエタノールアミンを含む水滴の付着が観察されたが、アモルファスフッ素樹脂被覆を形成した実施例の気体分離膜では、30日経過後もモノエタノールアミンの滲み出しや蒸気の漏れ出しは全く認められなかった。
【0041】なお支持層の構成素材としては、耐熱性、耐薬品性、強度特性、撥水性などを総合的に考えると、分離膜としての性能および耐久性の観点から多孔質PTFEの方が支持層構成材として優れたものと思われる。しかし、コストを考慮すると多孔質POの方がかなり安価であるので、その用途によっては多孔質POを支持層として有効に活用することも勿論可能である。
【0042】一方、アモルファスフッ素樹脂被覆構成材として最も一般的なのは、上記実施例で用いたE.I.Dupont社製の「Tefron AF」、および旭硝子社製の「CYTOP」であるが、これらのアモルファスフッ素樹脂を用いた分離膜のCO2 ,O2 ,N2 に対する透過係数(吸収液は用いていない)は下記表3に示す通りであり、いずれもCO2 ガスに対する透過係数が最も高く、該アモルファスフッ素樹脂被覆を設けた本発明の気体分離膜は、特定気体成分としてCO2 を吸収液側に移行させて吸収除去するための分離膜として、ガス透過性の観点からしても優れたものであることを確認することができる。
【0043】
【表3】

【0044】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、多孔質PTFEまたは多孔質POを支持層とし、その片面にアモルファスフッ素樹脂被覆を形成することによって、各種排ガス等から特定成分ガスを吸収液によって吸収除去するための気体分離膜として有効に活用することができる。




 

 


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