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発明の名称 中空顆粒モールドフラックスの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−146657
公開日 平成10年(1998)6月2日
出願番号 特願平8−315695
出願日 平成8年(1996)11月13日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
発明者 灘吉 正司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 モールドフラックスの原料スラリーを熱風乾燥塔内で噴霧乾燥し該乾燥塔下部から中空モールドフラックスを排出するに際し、400〜550℃の乾燥用熱風を乾燥塔の頂部から下向きに供給すると共に、乾燥塔内の乾燥域の下方部に配設されている原料スラリー噴霧用の複数のランスノズルから、固液比55〜75%、粘度50〜1000mPa.Sの原料スラリーを上向き広がり状態に噴射し、生成した原料スラリーの粒滴の初期乾燥を乾燥用熱風との向流接触によって行うことを特徴とする中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【請求項2】 乾燥塔内の乾燥域側壁面から半径で1/3〜2/3の範囲の環状域に、周方向にほぼ等間隔に配置されている3〜10個のランスノズルから原料スラリーを噴射することを特徴とする請求項1記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【請求項3】 ランスノズルの噴射方向軸線と乾燥域中心軸との交差角度を5〜35°、ランスノズルから原料スラリーを噴射した粒滴の広がり角度を40〜80°に設定した傾斜上向き広がり状態で原料スラリーを噴射することを特徴とする請求項1または2記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【請求項4】 ランスノズルからの原料スラリーの噴射圧力を8〜13kg/cm2 に設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造に使用される中空顆粒モールドフラックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、鋼の連続鋳造時に鋳型内に添加するモールドフラックスは種々の役割を担っている。すなわち、■鋳造される溶鋼表面を保温すること、■鋳型内溶鋼表面の酸化防止および浮上する介在物を迅速溶解すること、■鋳型と鋳片間の潤滑をつかさどること、■鋳片より最適な抜熱量をコントロールすることなどの働きを課せられている。
【0003】モールドフラックス(以下、単にフラックスと称す)のこれらの作用によって鋳片の表面欠陥をなくし、美麗な鋳肌を形成できる効果を有し、特に連続鋳造操業の鋳込作業の安定性の確保と、鋳片鋳造歩留り向上を図るためには必要不可欠なものである。
【0004】フラックスは、通常粉体あるいは顆粒(中空顆粒を含む)状であり、その成分は一般にCaO,SiO2 を主成分とし、他にAl23 、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の化合物(酸化物、炭酸塩、弗化物等)を加えてなるものであり、溶融温度、粘度等を調整し、さらに、溶融速度を調整するためにカーボンを添加してフラックス組成が構成されており、顆粒状の場合は、有機、無機質のバインダー等が用いられ一定の形状を保持している。
【0005】しかして、中空顆粒状フラックスの製造方法としては、上記組成を含有する原料フラックスに水を適量に混合し、水性のスラリー状となしこれを熱風乾燥塔(室)内にノズルから噴霧し、熱風に曝すことにより乾燥して適度の粒度をもつ製品フラックスを得ている。
【0006】このようなフラックスの製造方法の公知技術としては、特公平3−79100号公報が開示されている。この技術の要旨は、炭素質粉末と金属鋳造用の融剤成分とが含まれた水性スラリーを作り、水性スラリーをスプレー乾燥して水を蒸発させ、水の蒸発が固体部分を含んだ粒子を生成し、粒子内では固体部分の全体にわたって炭素質粉末が分散して含まれており、固体部分内では粒子の表面における炭素質粉末の割合が、粒子全体における炭素質粉末の割合よりも大きくなっていることを特徴としている。
【0007】該公報には特に製造装置については触れられていないが、上記の金属鋳造用融剤の製造方法によれば、スプレー乾燥は水性スラリーを供給ポンプにより噴霧器から霧状の粒子として分散させ、分散物を空気加熱から供給される熱風に乗せて乾燥室内を降下させ、降下の間に粒子を熱風で加熱し、粒子内の水分を瞬間的に蒸発させて、粒子内に空隙を形成させると共に粒子を乾燥して、多孔構造の球形粒子を得、こうして得た粒子を熱風と共にサイクロンに導き、ここで製品と熱風とを分離して目的とする融剤を得ると記述されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特公平3−79100号公報でのフラックス製造技術は、熱風乾燥室へのフラックスの原料スラリー供給と乾燥用熱風の供給は、前記乾燥室の上方から同一方向へ向けて放出するいわゆる併流方式を用いている。
【0009】このような方式においては熱風に曝されている時間を長時間必要とする関係上、乾燥室の規模を大きくする必要があり、設備的に費用が多くかかる。また、添付された図面からみる限り単一ノズルからのスラリー噴出を行っており、スラリーのノズル詰り等の対策については特に触れていない。
【0010】上記のようなモールドフラックスの原料スラリーの熱風乾燥においては、原料スラリーから生成する粒滴を制限された乾燥域内で効果的に乾燥する操業を長時間にわたって継続すること、および乾燥域を構成する塔壁面への粒滴の付着を抑制することが望まれている。
【0011】また、原料スラリーから生成する粒滴の乾燥は、乾燥域の雰囲気温度に律速されるが、所定の温度雰囲気での粒滴の自由落下の中で、例えば、1%以下の水分量まで乾燥するための距離を確保するには乾燥域長さを長くすればよいが、設備費が高くなる。
【0012】この問題を抑制するために雰囲気温度を高くすると、粒滴中の水分の蒸発が急速に進むため乾燥固化過程に爆裂し、所望の球状の中空顆粒モールドフラックスが得られないことになる。
【0013】このようなスラリーの熱風乾燥においては、上記したような問題点を有しており、本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、フラックス製造に際して、最適な製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題を解決するために下記の手段をとるものである。
(1) モールドフラックスの原料スラリーを熱風乾燥塔内で噴霧乾燥し該乾燥塔下部から中空モールドフラックスを排出するに際し、400〜550℃の乾燥用熱風を乾燥塔の頂部から下向きに供給すると共に、乾燥塔内の乾燥域の下方部に配設されている原料スラリー噴霧用の複数のランスノズルから、固液比55〜75%、粘度50〜1000mPa.Sの原料スラリーを上向き広がり状態に噴射し、生成した原料スラリーの粒滴の初期乾燥を乾燥用熱風との向流接触によって行うことを特徴とする中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【0015】(2) 乾燥塔内の乾燥域側壁面から半径で1/3〜2/3の範囲の環状域に、周方向にほぼ等間隔に配置されている3〜10個のランスノズルから原料スラリーを噴射することを特徴とする(1)記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【0016】(3) ランスノズルの噴射方向軸線と乾燥域中心軸との交差角度を5〜35°、ランスノズルから原料スラリーを噴射した粒滴の広がり角度を40〜80°に設定した傾斜上向き広がり状態で原料スラリーを噴射することを特徴とする(1)または(2)記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【0017】(4) ランスノズルからの原料スラリーの噴射圧力を8〜13kg/cm2 に設定することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の中空顆粒モールドフラックスの製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは従来技術の問題点に鑑み、フラックス製造時のフラックス原料のスラリーを、どのような形で熱風に曝せば理想に近い形で目標とする粒径の中空顆粒状フラックスを効率よく得ることができるか種々検討を重ねた結果、本発明の完成をみるに至った。
【0019】すなわち、原料スラリー(以下、単にスラリーと称す)と熱風との接触は、向流方式を採用することによって熱風乾燥塔を設備的にコンパクトな形にできる。所望の球状の中空顆粒モールドフラックスを得るためには、下向きに流動させる熱風によってもたらされる所定の温度雰囲気の乾燥域内に、スラリーを噴射し、生成される粒滴を上向きに飛翔させることによって初期乾燥が達成され、さらに、反転して自由落下する過程で所望の低水分までの乾燥を達成できる。すなわち、制限された乾燥域内に粒滴を往復させることにより効果的に乾燥することができる。
【0020】また、経済性を考慮した制限された容積の乾燥域で効率的に粒滴を乾燥するには、例えば、1個のランスノズルからスラリーを噴射して、所望の広がり角度で粒滴を分布させればよい。
【0021】しかし、本発明の対象とするフラックスのスラリーは、水中に固体粒子が懸濁した状態で、かつ所定量のバインダーが配合された流体である。この固体粒子は所定の粒径、例えば、0.3mm以下に微粉砕された粒子であるが、不可避的に管理外の粗粒の混在が避けられないことに起因して、しばしばノズル詰まりを発現するという問題を内在している。
【0022】ノズル詰まりを発生したランスノズルは乾燥域内の高温雰囲気に常時曝されていることから、ランスノズル内に滞留しているスラリーが乾燥固化され修復不能となる。従って、ノズル詰まりが発生すると直ちに操業を停止し、ノズル交換をしなければならず、著しく生産性を低下することになる。
【0023】上記スラリーのノズル詰まりを前提として連続操業を達成するためには、複数のランスノズルを用い、各ランスノズルを乾燥域に所定の位置に所定の間隔を持って配置し、スラリーを上向き広がり状態に噴射することによって、生成した粒滴は乾燥域内に均等に分布して、上記乾燥域内を往復する過程において乾燥が達成される。
【0024】かかるスラリーの噴霧乾燥において、特定のランスノズルにノズル詰まりが発生すると、そのランスノズルのみのスラリーの供給を止めて、ランスノズルを交換すれば、製品品質を阻害することなく、また、設備障害を伴うことなく連続操業を達成できる。すなわち、スラリーの噴射ノズルをマルチ方式にすることによって乾燥塔内で均一に乾燥を行うことができる。
【0025】また、上記したように本発明に適用するスラリーは、水中に固体粒子が懸濁した流体であることから、供給管路内を通過する過程においては固体粒子がほぼ均等に分布した流体とみなせるが、ランスノズルのチップ部においては所定の広がり角度で粒滴として分散させる、いわゆる噴霧するための絞り構造となっているので、ミクロ的には疎密のある固液流体と見なされ、結果として微小な脈動噴霧となることは避けられない。
【0026】この脈動噴霧現象は流体中に不可避的に介在する粗粒がノズルチップ部を通過する時、場合によってノズル詰まりの原因となるが、その様な状態に至らない場合には著しい脈動をもたらし、スラリーの粒滴生成を部分的に阻害し、ノズルチップ部から未噴射スラリーの垂れを生成してしまう。
【0027】この垂れの生成は、滴下して乾燥塔下部で排出途中の中空顆粒製品中に混在し、分別作業を余儀なく行わなければならないことに止まらず、ランスノズルから噴射された粒滴の飛翔方向を変動し、状況によっては粒滴の初期乾燥が十分に進行する以前に、制限された乾燥域を構成する塔壁面へ付着し、その状態で乾燥、固化され堆積するが、その状態が進行すると自重に耐えられなくなり、部分的に脱落して上記したように中空顆粒製品中に混在するという問題を発生する。
【0028】このような状態の垂れの生成したランスノズルは、前記したように直ちに取り替え補修しなければならないが、垂れの生成は不可避的に発現するものであるが、これを原因とするランスノズルから噴射された粒滴の飛翔方向を変動は、各ランスノズルの乾燥域内での配置、ノズルの噴射方向と広がり角度および原料スラリーの噴射圧力をそれぞれ単独にあるいは組み合わせて調整することによって抑制することは可能である。
【0029】上記した問題点を解決しフラックス粒径として好ましい300〜600μの製品を得るための適正な製造条件を選択することにより、本発明においては製品特性の優れたフラックスの製造方法を開発することに成功したものである。
【0030】以下、図1に基づいて本発明の特徴とその詳細を説明する。熱風発生装置からの熱風2は、スラリー4を向流乾燥する熱風乾燥塔(以下、単に乾燥塔と称す)5の頂部から熱風が圧送される。該乾燥塔5の下部寄りには、スラリー4を吹込むために先端部にノズル9を有するランス10が乾燥塔外より側壁8を貫通して乾燥塔内の所定位置にノズルが特定角度をもって上向きに、かつ、中心方向に向けて設置されている。
【0031】また、スラリー4は該乾燥塔5の側壁の周囲を囲繞する環状管11によって所定のスラリーヘッダー圧を保持し、各ランス10へ均等にスラリー4が供給される。また、ノズル9の配設位置は乾燥塔5内で点対称としているため、該塔内において略均等にスラリーが噴射され熱風(通常400〜550℃)との接触がムラなく行われる。
【0032】さらに、乾燥塔下部には熱風との向流熱交換により、乾燥された所定の大きさの形状の中空顆粒状フラックスが貯留され、排出口部に設けた、例えばロータリーバルブによってほぼ連続的に切り出される。さらにまた、乾燥塔下部の上方部にはスラリー4との熱交換済みの熱風排気部(中空体)13が設けられており、排気ダクト18に繋がっているので排気を乾燥塔5外へ吸引排出できる。
【0033】なお、この時微細なフラックスも排気と共に吸引されて室外に排出されるため、中空顆粒状フラックスとしては微粒粉を含まない製品が得られる。なお、図中14はノズル9から噴射するスラリー4の状況を絶えず監視するための覗き窓であり、20は乾燥塔内を点検するための出入口である。
【0034】フラックスの製造においてスラリーを乾燥する側からみれば、その条件として乾燥塔の規模、供給する熱風の量と温度があり、また、製造されるフラックスの製品側からみるとスラリーの特性、すなわちスラリーの組成、固形濃度、供給速度、圧力、ノズル1本当りの流量等が考えられる。
【0035】この相対する両者の条件によって製造できるフラックスの特性が当然変わってくる。従って一概には云えないが前記両者の条件を考慮のうえ、乾燥塔内に供給するスラリーの前記条件、およびノズル設定条件(ポンプ噴霧圧力等)を調整することにより、所定粒度をもったフラックスの製造が可能となる。
【0036】次に、本発明における乾燥塔内へ配設したノズルからのスラリー噴射状況の1例を図2および図3によって説明する。図2は乾燥塔内のスラリー噴射状況の側面概略図で、ノズルを4個配列した場合について示した。また図3は図2のA−Aから見た平面概略図である。
【0037】図においてノズル9の配設は乾燥塔5の乾燥域中心軸16に対して点対称に、かつ、均等間隔をもって配列される。ランスノズルの噴射方向軸線17は乾燥塔5の乾燥域中心軸16との交差角度をαとしα=5〜35°中心方向に向けて傾斜せしめて設置する。また、ノズルから噴射されるスラリーの噴射粒滴の広がり角をβとしβ=40〜80°の範囲で上向きに噴射する。
【0038】前記ノズル傾斜角αはノズル設定位置とも関連するが、値が小さく(0に近くなる)なると、乾燥塔側壁面へのスラリー付着量が多くなり好ましくない。また、逆に値が大きくなるとスラリーの噴霧高さが低くなり過ぎ、熱風との接触時間が減少するため未乾燥状態となるフラックス製品が発生する。そこで許容できる範囲として、本発明では5〜35°の角度とした。
【0039】また、ノズルから噴射させるスラリー粒滴の広がり角度βであるが、フラックスとして適正な粒径をもつ製品を得るにはそれに適した角度が存在し、本発明で狙いとしているフラックス製品平均粒径300〜600μではその角度は40〜80°が最適であり、これより角度が大きくなると得られる製品粒径が大きくなり過ぎる。また、逆に角度が小さ過ぎると製品粒径が小さくなり微粉の発生が多く、排気と同時に塔外へ搬送され生産性が低下する。さらに、この他に乾燥塔の側壁面に向うスラリーが増加し、側壁へのスラリー付着が発生する。
【0040】また、熱風の乾燥気体とスラリーの接触熱交換では、乾燥効率および製品の乾燥ムラ防止の面から、乾燥塔5内でのスラリーの分散を均一にする必要があり、実際の乾燥塔5内では、大量のスラリーを均一な噴射パターンで噴出させるため、ノズル数は乾燥塔の大きさにも関係してくるが、概ね3〜10本を必要とし、マッチノズルタイプを構成する。また、ノズル先端部の設定位置は、乾燥塔5の内周面からは半径で1/3〜2/3の範囲内で、一定の距離を隔て等間隔に配列させる。
【0041】ノズルの設定個数はスラリーを均一に乾燥するためには、単一ノズルではノズル先端へ付着物等が発生した場合に、スラリーの噴霧範囲が偏り乾燥に寄与しないデッドスペースが生じるので、その数は3本以上が好ましく、また数を多くすると隣接するノズルから噴霧されるスラリー同士が、干渉し合うので10個を超えて設定する必要はない。
【0042】また、乾燥塔内でのノズル先端設定位置をLとした場合、ノズルの傾斜角にもよるが、乾燥塔直胴部側壁面から半径(D/2)方向でLが2/3を超えると、対面するノズルとの間隔が近付き過ぎ噴霧スラリーの干渉が生ずる。また、Lが1/3未満であると乾燥塔中心部に乾燥に寄与しない熱風が存在するのと、噴霧スラリーの一部が乾燥塔側壁面に向い、側壁面に未乾燥のまま付着する恐れがあるので、その位置は乾燥塔の半径方向で1/3〜2/3の範囲内で設定すればよい。
【0043】次に、スラリーについて述べると、スラリーの特性値の変化によってもフラックス製造の良否が左右される。本発明者らは従来からの実操業での経験から、スラリーの固形分濃度とスラリーの粘度を特定の割合に設定しなければ、必要とする適正粒径(300〜600μ)をもったフラックス製品が得られないとの知見を得ている。
【0044】そこで、本発明ではフラックス製品における形状保持上必要とするバインダーによるスラリー粘度範囲を経験上から求め、これに対し原料中に添加する水分量を調整し、スラリー固形濃度を一定の範囲に定めて乾燥することにより、均一な粘度の製品を得ることができた。
【0045】その範囲はスラリー粘度として50〜1000mPa.S、スラリー固形濃度として55〜75%の範囲内に保持することである。この限界値は両者の相乗効果から導き出されたもので製品の粉化率が少なく、粒径の大きさが適正になる値から粘度が定まり、その粘度範囲内においてスラリー固形濃度を規制した。スラリー固形濃度の値が75%を超えると製品粒径が粗大になる傾向が認められ、逆に55%未満になるとフラックス強度が弱くなり乾燥時に粉砕され、微粉の含有量が増加する。
【0046】さらにまた、スラリー噴出用ランスノズルから噴射する噴霧圧力によっても、乾燥時の操業特性および製造されるフラックス特性に影響を及ぼし、噴霧圧力が8.0kg/cm2 未満では、フラックス製品の噴霧不足によるスラリー垂れ落ちが発生し生産効率が低下する。また、噴霧圧力が13.0kg/cm2 を超えるとスラリーの飛揚距離が増大し、乾燥塔の上部壁面および側壁面に付着する未乾燥スラリーが増大する。従って、スラリーの条件も前記範囲に規制する必要がある。
【0047】上記した如く、各種条件を設定することによって、ノズルから噴出したスラリーは、ノズルからの噴霧圧力によって一定の高さまで熱風中を上昇しながら、上方から降下してくる熱風と熱交換し乾燥され、水分を蒸発することにより中空顆粒フラックス製品が形成される。
【0048】乾燥塔5内へスラリー4を噴出するに当っては、本発明者らの経験によれば、単一ノズル9ではノズル詰りが発生した場合に装置全体の操業を停止せねばならず、また、ノズル9の先端部の一部に付着物が生じた場合には、その部分からスラリーの噴出が阻害されるため、乾燥塔5内でスラリー4が均一に分布されずデッドゾーンができ、乾燥熱風が無駄になるのと、付着物のためノズル9からのスラリー4の噴射が異常となり、強いては乾燥塔5内壁への未乾燥スラリー(中空品同士)の付着が多くなるという好ましくない事態が起る。
【0049】このような事態を避けるため、本発明においてはマッチタイプのノズル配設をとるものであり、もし仮りに数個のノズルのうち1個のノズルが上記現象を惹起したとしても、乾燥塔内を覗く覗き窓14からその様子を逐次監視し、素早く対応することによってそのノズルへのスラリー4の供給を停止し、該ノズル9をランス10と共に新しいノズルと交換することで、操業を停止する必要はなく対処することができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の1実施例について説明する。本実施例の製造に使用した装置は図1に示すと同様の装置であり、スラリーの原料は一般的な組成を有する連続鋳造用中空顆粒フラックスの製造を行った。乾燥塔は直径が7.1m、高さ7.0mであり、熱風発生装置からの熱風温度は約450℃であり、熱風量は180Nm3 /minであった。
【0051】一方、スラリーを噴出するランスノズルは乾燥塔内に8個配設し、ノズル先端の設定位置は乾燥塔側壁より半径方向で1700mmとした。該ノズルはスラリー広がり角度60°で乾燥塔軸線に対する傾斜角は20°であった。また、スラリーの粘度は150mPa.Sでスラリー固形濃度は72%とし、スラリーの噴射圧力は11.5kg/cm2 で、ノズル1個当りの流量は480リットル/hrに調整してスラリー噴射を行った。
【0052】フラックスの製造は概ね良好に推移し、約13時間の操業で目標とした粒径400〜500μの中空顆粒フラックスが36t得られ、その歩留りは約97%であった。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、乾燥熱風とスラリーの熱交換を向流方式とし特定の乾燥条件およびスラリー条件を採用したため、乾燥塔の規模を大きくする必要がなく、設備コストの低減に役立ち、また、マルチノズル方式を採用したので、操業中にノズル詰り等が発生しても、操業に支障をきたすことなく適正粒径の中空顆粒フラックスの製造を容易に行うことができ、生産性の低下をきたすことがない。




 

 


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