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発明の名称 鋼の連続鋳造用モールドフラックス
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58104
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−235785
出願日 平成8年(1996)8月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
発明者 松尾 晶 / 松山 利雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 特定されたモールドフラックス溶融試験方法で得られた試料の縦断面において、該試料断面内での結晶粒子径が0.1〜9.0mmであり、その粒子径が試料全断面内で占める割合が70%以上であることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項2】 請求項1記載の試料断面状態を達成させるために、結晶粒を微細化させる作用をもつ金属、またはその化合物の粉末を適宜配合したことを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項3】 結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物の粉末配合割合は0.2〜5.0重量%であることを特徴とする請求項2記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項4】 結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物の粉末粒子径は100μm以下であることを特徴とする請求項2記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項5】 結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物はMnまたはMn化合物であることを特徴とする請求項2記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼、特に中炭素鋼およびSUS420,SUS304の連続鋳造において、表面割れ(横割れ、縦割れ)のない表面性状の優れた、無欠陥鋳片を得るためのモールドフラックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、鋼の連続鋳造時に鋳型内に添加するモールドフラックスは種々の役割を担っている。すなわち、■鋳造される溶鋼表面を保温すること、■鋳型内溶鋼表面の酸化防止および浮上する介在物を迅速溶解すること、■鋳型と鋳片間の潤滑をつかさどること、■鋳片より最適な抜熱量をコントロールすることなどの働きを課せられている。
【0003】モールドフラックスのこれらの作用によって鋳片の表面欠陥をなくし、美麗な鋳肌を形成できる効果を有し、特に連続鋳造操業の鋳込作業の安定性の確保と鋳片鋳造歩留り向上を図るためには必要不可欠なものである。
【0004】モールドフラックスは、通常粉体あるいは顆粒状であり、その成分は一般にCaO,SiO2 を主成分とし、他にAl23 、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の化合物(酸化物、炭酸塩、弗化物等)を加えてなるものであり、溶融温度、粘度等を調整し、さらに、溶融速度を調整するためにカーボンを添加してフラックス組成が構成されており、顆粒状の場合は、有機、無機質のバインダー等が用いられ一定の形状を保持している。
【0005】特に最近では、■の作用において、鋼の炭素含有量が0.1重量%程度(一般には、0.06〜0.20%)のいわゆる亜包晶鋼の連続鋳造時には、凝固途中で包晶反応を含むδ→γ変態に伴う急激な凝固収縮が起り、鋳片がモールドより離れ局部的な凝固遅れを生じ、表面割れ等の欠陥の原因となることが明らかとなっており、これを防ぐためモールドの抜熱量をコントロールして、熱流束を低下させ、緩冷却化させることが好ましいとされている。
【0006】これ等緩冷却をする手段として、特開平7−214263に於ては、ZrO2,TiO2 ,CeO2 を添加して、CaO/SiO2 を低めに設定することにより、結晶化度を過度に高めず制御することや、特開平7−164120のように、Cr金属ないしその化合物の粉末を添加することにより、モールドフラックスの凝固時の結晶析出開始温度を高く、かつ結晶析出開始温度を冷却速度に拘らず一定にできる(固体スラグフィルムの厚さが一定であれば一定の抜熱となる)ことができ、緩冷却にして均一冷却が可能となり、表面割れが防止できるとしている。
【0007】しかしながら、包晶域の炭素鋼に於ては、上記公知の対策をしたとしても、特開平7−214263では、一定の結晶化率を得ることは、冷却速度が一定とはならないので非常に困難であり、操業変動によっては表面割れを完全に防止することはできない。
【0008】また、特開平7−164120を試みてみたが、結晶度合が高く均一な冷却速度の機能は得られたが、結晶開始温度が高くなることでモールド内面全体の潤滑性が低下し、充分なるシェル発達が遅れ拘束を起し、ブレークアウト発生に到る危険性が残っており、これらにより問題点を完全に解決したものとは言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、モールドフラックスの溶融スラグから、結晶凝固を起すときの結晶の発生およびその成長について種々の要因の中で、数多くの添加物の影響、特に結晶析出開始温度および結晶核発生量およびその大きさ、さらにはマトリックスとなるガラス相の残量についての調査を行うと共に、鋳造評価も合せて行った。
【0010】その結果、従来のモールドフラックス(例えば、特開平7−164120、特開平7−214263)では、確かに鋳片の縦割れ発生の防止は認められるが、モールド内に設置した熱電対からの温度情報によれば、若干の湯面変動やスラグベアの発達の場合、温度の乱れがあり、鋳片に均一な凝固シェルを形成しているとは言い難く、この様な理由でブレークアウトの警報が発生したり、ついには鋳片表面の凝固シェルの破断によりブレークアウトに到る惧れがある。
【0011】この発明は上記問題点を検討し、縦割れ感受性の高い包晶域の中炭素鋼やSUS420,SUS304の安定した鋳造操業が可能となる様に、かつ鋳片の表面割れ欠陥を防止できる連続鋳造用モールドフラックスを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記に示した目的を達成するために、本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、下記手段を採るものである。
(1)特定されたモールドフラックス溶融試験方法で得られた試料の縦断面において、該試料断面内での結晶粒子径が0.1〜9.0mmであり、その粒子径が試料全断面内で占める割合が70%以上であることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
(2)(1)記載の試料断面状態を達成させるために、結晶粒を微細化させる作用をもつ金属、またはその化合物の粉末を適宜配合したことを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【0013】(3)結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物の粉末配合割合は0.2〜5.0重量%であることを特徴とする(2)記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
(4)結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物の粉末粒子径は100μm以下であることを特徴とする(2)記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
(5)結晶粒を微細化させるためにモールドフラックス中に配合する金属、またはその化合物はMnまたはMn化合物であることを特徴とする(2)記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【0014】
【発明の実施の形態】上記に示した構成を有する本発明のモールドフラックスは、鋳型内に添加することにより鋳型と鋳片間に流入し、鋳型からは常に冷却を受ける。このために、流入したモールドフラックスは鋳型側では凝固して、固体状態のフィルム状となって鋳型に接しており、また鋳片側では、高温凝固シェルにより、溶融した液体状態のフィルム状となっている。
【0015】鋳片の縦割れ発生の主原因は、この固体フィルムと溶融フィルム厚みのバラツキに起因し、その結果、鋳片から鋳型への抜熱不均一によるものと考えられ、特に、抜熱が大きくなった局部に凝固収縮が集中し、鋳型内のメニスカス下部でモールドより離れてしまい、その部分が逆に凝固遅れを起すためそこに応力が集中し、鋳型より離れた部分が凹みを伴い縦割れの発生原因となると言われている。
【0016】このため一般的に鋳片の緩冷却を行うためにモールドフラックスの凝固温度を高くし、凝固フィルム厚を厚くすることにより目的を達そうとしたり、モールドフラックスをプリメルト処理をすることにより均質化をはかり、鋳片の縦割れ発生の防止を行っている。
【0017】しかしながら、このようにモールドフラックスの凝固温度を高くすることにより、鋳型に接した溶鋼湯面上でモールドフラックスが凝固したベアの発達が過大となり、操業性の悪化、さらには湯面変動により、この大きなスラグベアのためメニスカスで厚いスラグフィルムを形成し、その部分が過緩冷却となり、充分な凝固シェルの発達がおさえられて、モールド直下で溶鋼の静圧にたえられず、ブレークアウトの発生に到ることがあり、ブレークアウト発生の原因の一つと考えられている。
【0018】そこで本発明者らは、溶融したモールドフラックスの凝固時の結晶析出温度と、結晶の発生する数と大きさについて、図1に示すような鉄製鋳型に溶融フラックスを流し込み、その凝固組織を調査し検討を行った。モールドフラックスの溶融方法としては図2に示すように一般的なマッフル炉を用い、その操作を図3(a)と(b)に示した。
【0019】定量のモールドフラックス1(Ig.lossを除いたフラックス成分)を上部黒鉛ルツボ2の上方から装入する。この時上部黒鉛ルツボ2は下降した状態にあり、下部黒鉛ルツボ3の中心部に位置するストッパー5は閉じており、装入されたフラックス1は上部黒鉛ルツボ2が加熱状態にあるため、その一部は溶解されながら下部ルツボ3に流下し(図3−a)、ルツボ3内のフラックスを均等に溶融する。なお、下部黒鉛ルツボ3にはその外周に該ルツボを加熱するための発熱体9が設置されている。
【0020】モールドフラックス1は一定の均一溶融保持時間を経た後、上部ルツボ2を上昇することによりストッパー5も同時に上昇し、瞬時に下部黒鉛ルツボ3の抽出口4より流出させ(図3−b)、中間ノズル6を介して下方に位置する鋳型7に一定条件下で正確に注入されるようになっており、鋳型に注入された溶融フラックスは冷却され、モールドフラックスの凝固試料となる。冷却凝固したモールドフラックスは鋳型7より取り出され、該試料を縦方向に切断し、その切断面を肉眼によりその組織を観察する。
【0021】
【表1】

【0022】表1に試験を行ったモールドフラックスの組成と物性を示し、これらを図2に示した要領で溶解し、図1に示した鋳型に注入してその切断面の凝固組織をスケッチし、その概要を図4に示した。なお、図4に示される(a)〜(f)は表1のモールドフラックスA〜Fと対応している。
【0023】図4に示したように、(a)(b)のものは、ガラス化度が高く、高潤滑性を持つモールドフラックスであり、凝固温度が高くても低くてもガラス化し易い。また、(c)(d)は結晶性の高く、緩冷却となるもので品質は優れているが、その結晶性(柱状晶)が高いが由に、潤滑不良となって拘束性のブレークアウト警報を発生する場合が多く、かつその結晶性が大きく、スラグベアの発生も大きくなり、操業性不良によるトラブルの発生する場合が多い。
【0024】さらに(e)(f)は、前記(a)〜(d)のもつ欠点を改善したもので、その作用は(c)(d)に見られる柱状晶結晶、または、粒状晶の肥大を防止し、溶融したモールドフラックスが凝固する時に結晶を大きく成長させず、微細化させることにより、結晶化による抜熱低下および高潤滑性を得ることができるものである。前記したモールドフラックスの溶融凝固試料の切断面観察結果から図4における(a)、(b)の如き断面状況を呈するモールドフラックスは、一般的に割れ感受性の少い低炭素アルミキルド鋼や、包晶域外の高炭素鋼またはSUS430等に適用していた。
【0025】また、同図4(c)、(d)の如き断面状況のものは従来から一般に中炭素鋼(いわゆる包晶域)やSUS420、凝固収縮の大きいSUS304等に用いられていたが前述のような問題点の発生がみられた、同図4(e)、(f)に示される如き等軸結晶粒を有し、かつ微細化された特定される断面状況を呈するものが中炭素鋼等には最適であることが判明した。そこで、この結果に基づき中炭素鋼等の連続鋳造用モールドフラックスとしては、前記(e)、(f)の如き状況を呈するものを用いるとよいことが確認された。
【0026】本発明においては、モールドフラックスの溶融試験において、特定された条件のもとに冷却凝固した試料の断面観察を行ってモールドフラックスの良否を判断するものであるからモールドフラックスの溶融から鋳型への注入、また鋳型の特定等溶融試験において再現性ある結果が得られなければならない。そこで、特定される条件としては溶融モールドフラックスの溶解する時間と注入時の温度であるが、これは例えば図2に示したような溶解装置により、溶解を15分以内に行い、鋳型注入時の温度は1400〜1450℃の範囲内で、2秒以内に注入を完了させる。また鋳型については図1に示したような寸法を有する鋳型であって、鋳型の材質としては高熱伝導率の性質をもち、鋳型高さ全体に亘っての健全な試料が得られるよう考慮する。試料の冷却は通常の空冷で特別の処置を施す必要はない。
【0027】このようにして作成された試料を長手方向中央部を縦断して、その切断面を観察する。その観察結果で0.1〜9.0mmの結晶粒径を有するものが全断面積中70%以上占めているものが本発明に該当するモールドフラックスとして採用できる。
【0028】前記した凝固断面粒子径を満足させるためには、モールドフラックス組成としては通常含有している種々の組成の外に断面結晶粒を微細化させる作用をもつ金属、またはその化合物の粉末を適宜配合させる必要がある。その金属としては、例えばMnが考えられ、その化合物も有効である。また、その添加量はその効果を発揮させるためには最少限0.2wt%を必要とし、また上限は5.0wt%で充分である。配合するに際しては、その粒子径が大きいと混合が不均一となり易いことと完全溶解が難しく、溶融状態での均一な結晶を得ることができず、不均一冷却や潤滑不良が起るので100μm以下にする必要がある。
【0029】また、これ等の添加物を添加することは、モールドフラックス中のSを固定することになり、特開昭63−61108のようなSの規制も必要なくなるために、低コストのモールドフラックスが提供できる。これは、従来技術から見ると驚くべき発明である。しかもその添加量は僅かな量で充分にその特性を得ることができ、さらにどのような形状(粉末、押出顆粒、球形)でも問題はないが、スラグベアを最少限にするには、中空顆粒にすることが望ましい。
【0030】
【実施例】以下、本発明のモールドフラックスの効果を確認するために実施例と比較例について連続鋳造機で鋳片の鋳造試験を行った。表2および表3には使用したモールドフラックスの化学成分値と物性値を実施例、比較例共に示し、表4および表5には同様にそのフラックスを用いた連続鋳造での操業条件と使用時の操業性、鋳片の表面性状および使用結果の総合評価を示した。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】モールドフラックスとしては実施例1〜19が本発明範囲内に入るもので、比較例20〜23が本発明外のものである。原料は種々の形態のものを用いた。すなわち、表2,3の原料タイプの欄に示すようにA,B,C,Dの4タイプを示したが、その区別は次の通りである。
【0034】A:プリメル原料粉末原料を溶解した(プリメルト)原料のみを使用する。
B:珪カル人工珪酸カルシウム原料。フラックスを含有していないため、後添加でフラックス添加量が多くなる。しかし、安価に原料を入手することができるが、含有Sが高い傾向にある。このため、中炭素鋼への適用は避けられてきた。今回の特許では、有害なSをMnSのかたちで固定することにより、この原料も使用可能とすることができる。
C:一部プリメル原料+フラックス粉末原料を溶解した原料とフラックスとを混合したタイプD:珪灰石(ケイカイセキ)+フラックス天然に産出するCaO・SiO2 源を中炭系のパウダー原料として使用可能とするもの。
【0035】連続鋳造に供した鋼は、実施例1〜5および9〜19は中炭素鋼(C:0.1%)を、実施例6.7はSUS304、実施例8はSUS420を用いた。一方、比較例の20〜23は何れも中炭素鋼を用いた。
【0036】
【表4】

【0037】
【表5】

【0038】モールドフラックスの適正については表4および表5の評価結果から明らかなように、本発明モールドフラックスによるものは操業性が良好で得られた鋳片には割れの発生は見られなく、またSが高くともなんら支障なく優れた結果が得られた。これに対し、比較例20〜23ではモールドフラックスの試料断面性状が本発明のごとく結晶粒が微細化されていないため、何れの結果においても鋳片の表面性状が悪く、割れの発生もみられ、不良品が多発し鋳片の手入れ、割れ発生部の切断等の処理を必要とした。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の連続鋳造用モールドパウダーによれば、鋳型と鋳片間に流入したモールドパウダーが凝固する際の結晶化率を高くすることができ、モールド内の緩冷却化と局部的熱流束の変動低下を実現でき、高品質の鋼を安定して連続鋳造することが可能となった。




 

 


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