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発明の名称 モールドフラックスの溶融試験方法および観察試料採取用鋳型
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58103
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−235784
出願日 平成8年(1996)8月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康弘
発明者 松尾 晶 / 松山 利雄 / 益尾 典良 / 谷口 秀久
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 モールドフラックスを黒鉛ルツボへ装入し、該黒鉛ルツボを所定時間加熱して、モールドフラックスを均一に溶解せしめ、その後溶融したモールドフラックスを黒鉛ルツボより抽出し、予め用意した所定形状を有する傾斜冷却鋳型に注入して、モールドフラックスの冷却試料を作り、該試料を縦断してその断面を観察し、モールドフラックスの評価を行うことを特徴とするモールドフラックスの溶融試験方法。
【請求項2】 請求項1における溶融試験に用いる鋳型として、鋳型に注入した溶融モールドフラックスが縦方向において、傾斜冷却が行われる形状を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【請求項3】 請求項2における鋳型において、鋳型内部形状が逆円錐形または逆角錐形を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【請求項4】 請求項2における鋳型において、鋳型内部形状が断面逆三角形の溝を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【請求項5】 請求項2における鋳型において、鋳型内部形状が円柱形または角柱形を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【請求項6】 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の鋳型において、鋳型に冷却設備を配設したことを特徴とする観察試料採取用鋳型。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造時に鋳型内に添加するモールドフラックスを評価するための、モールドフラックスの溶融試験方法およびその試験に用いられる観察試料採取用鋳型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、鋼の連続鋳造時に鋳型内に添加するモールドフラックスは種々の役割を担っている。すなわち、■鋳造される溶鋼表面を保温すること、■鋳型内溶鋼表面の酸化防止および浮上する介在物を迅速溶解すること、■鋳型と鋳片間の潤滑をつかさどること、■鋳片より最適な抜熱量をコントロールすることなどの働きを課せられている。
【0003】モールドフラックスのこれらの作用によって鋳片の表面欠陥をなくし、美麗な鋳肌を形成できる効果を有し、特に連続鋳造操業の鋳込作業の安定性の確保と鋳片鋳造歩留り向上を図るためには必要不可欠なものである。
【0004】モールドフラックスは、通常粉体あるいは顆粒状であり、その成分は一般にCaO,SiO2 を主成分とし、他にAl23 、アルカリ土類金属およびアルカリ金属の化合物(酸化物、炭酸塩、弗化物等)を加えてなるものであり、溶融温度、粘度等を調整し、さらに、溶融速度を調整するためにカーボンを添加してフラックス組成が構成されており、顆粒状の場合は、有機、無機質のバインダー等が用いられ一定の形状を保持している。
【0005】ここにおいて、モールドフラックスの粒度分布、嵩比重等の粉末または顆粒状態における特性や、粘度、溶融状態、特に鋳造時に鋳片とモールドと間のフィルム状モールドフラックスの凝固特性の如何、すなわち、モールドフラックスが凝固状態において結晶質か非晶質か、また、結晶が柱状晶か等軸晶か、さらには粗大か微細かなどで、鋳片の表面性状の良否に大きく影響を及ぼすものである。従って、実際の使用に当っては、前記各特性を測定してその正確な把握を行なっておく必要がある。
【0006】前記各特性のうち、粉末または顆粒状態における粒度分布や嵩比重は容易に測定でき、また溶融状態における重要な物性である粘度の測定も比較的容易に行なえる。一方、溶融過程における挙動を確実に把握する方法としては未だ適確な方法が確立されておらず、従来においてはモールドフラックスの粉末を三角錐形状または円柱状に成型し、これを加熱炉内で加熱して溶融状況を観察するという方法が採られていた。
【0007】しかしながら、かかる方法では溶融速度や溶融量を測定し得ても、モールドフラックスの溶融状態の正確な把握は困難であった。それは、実際の操業時に鋳型内に添加される場合とでその状況にかなりの相違が生じ、そのためモールドフラックスの微妙な溶融状態での違いを見い出すことが困難視されていた。また、試料が三角錐形状または円柱状という立体的形態となっているため平面的に広い視野での観察が不可能であった。
【0008】また、特開昭53−70040号によってモールドフラックスをルツボ内に入れて一方向より所定時間加熱して冷却した後、ルツボを縦に切断して添加剤の溶融状態を観察する方法も知られている。
【0009】しかしながら、この方法ではモールドフラックスの表面層が完全に溶融した後に、表面層よりも内層に位置し、表面層よりも熱エネルギーの供給量の少ない(同一時間において)内層に位置するモールドフラックスに表面層から熱エネルギーが伝達されて、層に位置するモールドフラックスが順次均一に溶融するか否かを測定することはできても、同一の熱エネルギーが均一に供給される表面層において、該表面層の溶融初期の段階で表面層に溶融部分と未溶融部分とがどのような割合、分布パターンをもって存在するか、またこれらが結晶質であるか非晶質であるかを測定し、表面層がどのような過程で溶融して行くかという溶融過程における挙動に対する知見を得ることはできなかった。
【0010】さらに、特開平7−204810号の一部に溶融モールドフラックスにおける結晶化率の測定方法が開示されているが、これは特定条件下で結晶化されるモールドフラックスについての簡便な測定式による結晶化率の測定で全てのモールドフラックスを適正に評価するものとは言い難いものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように従来法ではモールドフラックスの溶融状態の正確な観察ができないことから、溶融状態の観察結果と、鋳片の表面性状の良否との間で相互の関係を見い出すことはできなかった。
【0012】一般にモールドフラックスの特性の違いにより鋳片の表面性状の良否に及ぼす影響は異なる。これはモールドフラックスの溶融状態に起因しているものと考えられ、従って具体的にどのような挙動が最適であるかについて適正な知見を得るためには、前記モールドフラックスの溶融状態をいかにして把握すればよいか、そのための溶融試験方法はどうあるべきかとの観点から適切な溶融試験方法の確立が強く要望されていた。
【0013】これはモールドフラックスの溶融試験方法が確立され、実際の鋳型と鋳片間での溶融状態と近似した様子が確認できれば、鋳造すべき種々の鋼種に最適なモールドフラックスを選択使用することができるためである。上記理由により本発明は簡便にして、しかもモールドフラックスの溶融状態を正確に観察することができるモールドフラックスの溶融試験方法およびその溶融試験に用いられ鋳型を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたもので、下記手段を要旨とするものである。
(1)モールドフラックスを黒鉛ルツボへ装入し、該黒鉛ルツボを所定時間加熱して、モールドフラックスを均一に溶解せしめ、その後溶融したモールドフラックスを黒鉛ルツボより抽出し、予め用意した所定形状を有する傾斜冷却鋳型に注入して、モールドフラックスの冷却試料を作り、該試料を縦断してその断面を観察し、モールドフラックスの評価を行うことを特徴とするモールドフラックスの溶融試験方法。
【0015】(2)(1)における試験に用いる鋳型として、鋳型に注入した溶融モールドフラックスが縦方向において、傾斜冷却が行われる形状を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
(3)(2)における鋳型において、鋳型内部形状が逆円錐形または逆角錐形を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
(4)(2)における鋳型において、鋳型内部形状が断面逆三角形の溝を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【0016】(5)(2)における鋳型において、鋳型内部形状が円柱形または角柱形を有することを特徴とする観察試料採取用鋳型。
(6)(2)ないし(5)のいずれかに記載の鋳型において、鋳型に冷却設備を配設したことを特徴とする観察試料採取用鋳型。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らはモールドフラックスの溶融試験において、モールドフラックスの特性値の一つである溶融したモールドフラックスが凝固する時の結晶析出温度と、結晶の発生数および粒度がモールドフラックスの良否を決める大きな要因であることの知見を得た。そこで、上記結晶析出温度と結晶数および粒度を実際の鋳型内に添加されたモールドフラックスが鋳型と鋳片間でフィルム状に存在したときに、その状態を再現性よく実現できる試験装置として図1に示すようなモールドフラックス溶融試験装置を採用し、その操作を図2(a)と(b)に示した。
【0018】モールドフラックスを溶解するための炉としては、マッフル炉が一般的で、定量のモールドフラックス1(Ig.lossを除いたフラックス成分)を上部黒鉛ルツボ2の上方から装入する。この時上部黒鉛ルツボ2は下降した状態にあり、下部黒鉛ルツボ3の中心部に位置するストッパー5は閉じており、装入されたフラックス1は上部黒鉛ルツボ2が加熱状態にあるため、その一部は溶解されながら下部ルツボ3に流下し(図2−a)、ルツボ3内のフラックスを均等に溶融する。なお、下部黒鉛ルツボ3にはその外周に該ルツボを加熱するための発熱体9が設置されている。
【0019】モールドフラックス1は一定の均一溶融保持時間を経た後、上部ルツボ2を上昇することによりストッパー5も同時に上昇し、瞬時に下部黒鉛ルツボ3の抽出口4より流出させ(図2−b)、中間ノズル6を介して下方に位置する鋳型7に一定条件下で正確に注入されるようになっており、鋳型に注入された溶融フラックスは冷却され、モールドフラックスの凝固試料となる。
【0020】冷却凝固したモールドフラックスは鋳型7より取り出され、該試料を縦方向に切断し、その切断面を肉眼によりその組織を観察し、結晶粒の発生状態をみて、モールドフラックスがどのような状態にあるかを把握し、評価を行い、鋳造鋼種への適正の有無を判断する。
【0021】ここで、鋳型7への注入に当っては溶融モールドフラックスの冷却を考慮し、できるだけ迅速に処理しなければならない。モールドフラックスの各試料毎にこの時間が異なると凝固後の結晶粒の発生状況に影響を及ぼし、試料同士の比較に大きな誤差が生じ、比較の意味が薄くなり、評価のばらつき、強いては無意味な評価となる恐れがある。
【0022】また、本発明に使用される鋳型は非常に重要な意味を持ち、モールドフラックスの適正な評価を左右するので、鋳型に添加したモールドフラックスが鋳型と鋼片間でフィルム状となり、潤滑剤としての効用を発揮する状態を適確に把握できるのに適した試料採取用鋳型でなければならない。
【0023】前述のように、本発明においては溶融したモールドフラックスを冷却し、その冷却過程において生成する結晶の状態如何が鋳片の表面性状を左右するとの知見が得られているので、溶融モールドフラックスの結晶化率を測定するのに適した鋳型としては、傾斜冷却が行なわれるような形状を有する必要がある。そこで、本発明者らは傾斜冷却に適した鋳型について種々の検討を重ねた結果、本発明鋳型を開発するに至ったものである。
【0024】本発明鋳型を形状の点からみると、急冷を受ける部分と徐冷を受ける部分が連続して一体的な鋳型壁によって構成され、鋳型壁の温度差(熱容量差)が連続的に変化する構造でなければならない。このような構造をとるものとしては種々の構造が考えられるが、本発明者らは冷却後の試料が目的とする結晶化率を適確に表わし、且つ試料のハンドリングが容易であるとの観点から追求したもので、その鋳型の形状の1例を図3に示す。
【0025】図3−aは円柱形の鋳型の中央部に逆円錐形の孔を穿った形状を有するもので、鋳型に溶融モールドフラックスを注入することによって下部は急冷され、上部に行くに従って徐冷される。このような形状の鋳型から得られる試料では縦断面の結晶状態を観察する試料切断時に、円錐底面部の中心を通るどこの位置からでも切断することができるので好都合である。
【0026】図3−bは逆角錐形の孔を穿った鋳型形状を示したもので、図3−aと同様に上部に行くに従い徐冷される。縦断面試料の採取に当っては円錐底面の対角線上の中心を通る線で切断すればよい。また、図3−cは逆三角形の溝を鋳型に穿った構造をとるもので、この場合は試料の採取に当っては略中央部を縦切りし断面の観察を行う。前記の図3a,b,cの鋳型においては、試料の採取に当たって鋳型の上、下を逆回転させることによって、簡単に鋳型より試料を取り出すことができる。
【0027】変形例としては図4に示すように試料を円柱形、角柱形とするために截頭逆円(角)錐形の鋳型中央部に円(角)形の孔を穿ち、鋳型の縦方向での熱容量の違いで傾斜冷却を行うことも考えられる。この場合は鋳型を有底鋳型とすることも可能であるが、取扱の点からは鋳型を無底とし定盤11の上に載置し、溶融モールドフラックスを注入して試料を作れば、試料を取り出す場合に定盤11を取り外した後、鋳型の上部から試料を押し下げることにより容易に取出し得る利点がある。試料の切断は上記したものと同様、底面または上面の中央部を通る線で切り出せばよい。
【0028】前記図3,4において試料の形状を角錐または角柱と表現したが、これは三角を除いた多角を意味し、鋳型作成上からは四角が最も好ましい形状である。また、図5に示したように鋳型が外気からの温度影響を避けるために、鋳型自体を冷却する水冷装置10を鋳型に配設することも考えられ、再現性の点からは有効である。
【0029】鋳型の材質については特に限定されず、鉄、銅等の金属製でも或いは陶器、磁器製でもよいが通常の連続鋳造鋳片との類似性から鉄鋼製が製作面からみて容易である。
【0030】
【表1】

【0031】本発明の効果を確認するために表1に示す組成および物性を有するモールドフラックスについて、図1、2に示す溶解方法で溶融モールドフラックスを溶解し、図7に示す鋳型に注入し、冷却後試料を取り出してその試料を縦に切断し、その断面の観察を行った。該試料の凝固組織をスケッチした概要を図6に示す。勿論溶融試験条件は全て同一条件である。
【0032】図6に示される(a)〜(f)は表1のモールドフラックスA〜Fと対応している。図6に示したように、(a)(b)のものは、ガラス化度が高く、高潤滑性を持つモールドフラックスであり、凝固温度が高くても低くてもガラス化し易い。
【0033】また、(c)(d)は結晶性が高く、緩冷却となるもので品質は優れているが、その結晶性(柱状晶)が高いが由に、潤滑不良となって拘束性のブレークアウト警報を発生する場合が多く、かつその結晶性が大きく、スラグベアの発生も大きくなり、操業性不良によるトラブルの発生する場合が多い。
【0034】さらに(e)(f)は、前記(a)〜(d)のもつ欠点を改善したもので、その作用は(c)(d)に見られる柱状晶結晶、または、粒状晶の肥大を防止し、溶融したモールドフラックスが凝固する時に結晶を大きく成長させず、微細化させることにより、結晶化による抜熱低下および高潤滑性を得ることができるものである。
【0035】図6から明らかなように、モールドフラックスの特性によって溶融試験で得られる凝固組織の結晶粒の発生に大きな差がみられ、この差によってモールドフラックスの評価を行うことができる。さらに、この評価に基づいて各種のモールドフラックスをこれに適した鋼種に使用すればよく、また逆に鋼種に適したモールドフラックスを選定または成分組成の配合等により作り出すことも可能である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、モールドフラックスの溶融試験を簡便な方法で行うことができ、さらにそれに適した鋳型を用いることにより、モールドフラックスの溶融状態の正確な観察を行なうことができる効果を有し、かかる溶融状態の正確な観察が可能となることによって、溶融状態の観察結果と鋳片の表面性状の良否との相関関係を見い出すことができるものであり、平滑美麗な鋳肌を有する品質良好な鋳片を製造するのに貢献するところ大なるものである。




 

 


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