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発明の名称 成形金型とその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−44160
公開日 平成10年(1998)2月17日
出願番号 特願平8−216091
出願日 平成8年(1996)7月29日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石井 陽一
発明者 中山 正俊 / 松場 康浩 / 津吉 淳弘
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくともキャビティ内部の表面に保護膜を有し、この保護膜が式I SiCX Y Z W(上記式IにおいてX,Y,ZおよびWは原子比を表し、X=0.5〜25Y=0.5〜20Z=0〜6W=0〜6である)で表される組成を有する成形金型。
【請求項2】 前記表面は超硬合金、ステンレス系材料、鋼系材料、またはアルミニウムもしくはその合金により構成されている請求項1の成形金型。
【請求項3】 ディスク基板製造用である請求項1または2の成形金型。
【請求項4】 少なくともディスク成形用のスタンパーを載置する面に保護膜を設けた請求項3の成形金型。
【請求項5】 金型に負のバイアス電圧を印加し、式I SiCX Y Z W(上記式IにおいてX,Y,ZおよびWは原子比を表し、X=0.5〜25Y=0.5〜20Z=0〜6W=0〜6である)で表される組成を有する保護膜を、少なくともキャビティ内部の表面に気相成膜する成形金型の製造方法。
【請求項6】 前記バイアス電圧は印加したDC電源または印加した高周波電力により発生したセルフバイアスによって印加される請求項5の成形金型の製造方法。
【請求項7】 前記保護膜をプラズマCVD法により形成する請求項5または6の成形金型の製造方法。
【請求項8】 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成する請求項5または6の成形金型の製造方法。
【請求項9】 前記保護膜をスパッタ法により形成する請求項5または6の成形金型の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成型用の金型、特にCD−R,DVD−Rなどの各種光記録ディスク、ミニディスクなどの光磁気ディスク、コンパクトディスク等のCD−ROM,DVD−ROM、レーザディスク、ビデオディスク、レコードあるいはプラスチックレンズ等の成形に適した成形金型とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の樹脂材の成形には種々の手法が用いられているが、例えば、光ディスク基板等の成形方法として、図1に示されるような成形金型を用いたものが一般的に知られている。図1において、成形金型は母型であるスタンパー1、可動側金型2、樹脂供給口3、外周リング部材4、固定側金型5、ゲート6、キャビティ7、スタンパー支持表面8、ゲートカット部材9、ゲートカット部10、エアーベント部11、ゲート部材12を有する。この金型は超硬合金、ステンレス鋼、鋼材、アルミニウムやその合金等から形成される。
【0003】樹脂材を成形するためのキャビティ7は、可動側金型2と、固定側金型5とから形成され、前記可動側金型2が閉鎖されたときにキャビティ7が形成されるようになっている。この可動側金型2はキャビティ7側の表面8が鏡面研磨され、シート状の金属スタンパー1が支持されている。そして、その外周部を外周リング部材4により押さえるようになっている。この外周リング部材4はまたキャビティ7の周壁をも構成する。
【0004】図1には金型が閉じた状態が示されており、キャビティ7が形成されている。この状態で、樹脂は供給口3よりゲート部材12のゲート6を経て所定の成形圧力でキャビティ7に導入されて成形が行われる。
【0005】ところで、このような成形金型を用いる場合、その金型の寿命が問題となる。すなわち、従来のTiN,TiCNを用いた保護膜を設けたものにおいては、例えばポリカーボネート製のCD−R用等のディスク基板を成形する場合のように、精度を必要とする成形では表面の面粗れが大きくなってしまい、金型自体の寿命は約30万ショット程度までであった。また、上記のような金型を用いて成形を行う場合、スタンパー1は熱による伸縮により、スタンパー1を載置する側である可動側金型2の表面8を滑動し、樹脂圧力等で押圧される。このため、繰り返し成形を行うとスタンパー1は摩擦によりショット毎に損傷を受け、成形品の表面に損傷が転写され、これを用いて光ディスク等を製造するとエラーを生じるため、スタンパー1の寿命となってしまう。
【0006】このようなスタンパー1の寿命は従来、可動側金型2、つまり金型のスタンパー載置側の表面にTiN,TiCNを用いた保護膜を設け、鏡面研磨した場合でも約2〜3万ショット程度であり、光記録ディスク等のような量産品を製造する場合、ランニングコストの低下、生産効率の向上を図る上から耐磨耗性に優れた保護膜を有する金型が望まれている。
【0007】このような金型の耐磨耗性を向上させたものとしては、ダイヤモンド状薄膜(DLC)を被覆した金型が知られている(特開平1−234214号公報)。しかし、DLCは超硬合金、ステンレス鋼、鉄材、あるいはアルミニウム系材料に対する密着力が弱く、未だ耐久性の点で問題があり、とりわけスタンパーを載置する金型の表面処理に用いた場合、スタンパーの寿命を延ばすことが困難であった。ここで、スタンパーの裏面は、通常Rmax=0.5〜5μm程度に粗れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、超硬合金、ステンレス鋼、鉄材、アルミないしその合金等に対する密着力が強く、耐久性に優れた成形金型とその製造方法を提供することである。
【0009】また他の目的は、CD−R,DVD−Rなどの各種光記録ディスク、ミニディスクなどの光磁気ディスク、コンパクトディスク等のCD−ROM,DVD−ROM、レーザディスク、ビデオディスクなどの各種再生専用光ディスク、レコードあるいはプラスチックレンズ等の成形に使用した場合にスタンパーの長寿命化が可能な成形金型とその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(9)のいずれかの構成により達成される。
(1) 少なくともキャビティ内部の表面に保護膜を有し、この保護膜が式I SiCX Y Z W(上記式IにおいてX,Y,ZおよびWは原子比を表し、X=0.5〜25Y=0.5〜20Z=0〜6W=0〜6である)で表される組成を有する成形金型。
(2) 前記表面は超硬合金、ステンレス系材料、鋼系材料、またはアルミニウムもしくはその合金により構成されている上記(1)の成形金型。
(3) ディスク基板製造用である上記(1)または(2)の成形金型。
(4) 少なくともディスク成形用のスタンパーを載置する面に保護膜を設けた上記(3)の成形金型。
(5) 金型に負のバイアス電圧を印加し、式I SiCX Y Z W(上記式IにおいてX,Y,ZおよびWは原子比を表し、X=0.5〜25Y=0.5〜20Z=0〜6W=0〜6である)で表される組成を有する保護膜を、少なくともキャビティ内部の表面に気相成膜する成形金型の製造方法。
(6) 前記バイアス電圧は印加したDC電源または印加した高周波電力により発生したセルフバイアスによって印加される上記(5)の成形金型の製造方法。
(7) 前記保護膜をプラズマCVD法により形成する上記(5)または(6)の成形金型の製造方法。
(8) 前記保護膜をイオン化蒸着法により形成する上記(5)または(6)の成形金型の製造方法。
(9) 前記保護膜をスパッタ法により形成する上記(5)または(6)の成形金型の製造方法。
【0011】
【作用】本発明では、成形金型の少なくともキャビティ内部の表面に所定の組成比のSi+C+H、あるいはこれにNまたはOを含有する保護膜を形成する。この保護膜は金型にDCバイアス電圧、あるいはセルフバイアスを印加し、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、スパッタ法などで形成することができる。
【0012】このようにして形成された保護膜は、TiN,TiCNを用いたものに比べ耐久性、耐磨耗性に優れ、また、ダイヤモンド状薄膜(DLC)に比較して超硬合金、ステンレス鋼、鉄材等に対する密着力が強く、金型自体の寿命を延ばす。同時、にポリカーボネート等を用い、CD−R,DVD−Rなどの各種光記録ディスク、ミニディスクなどの光磁気ディスク、コンパクトディスク等のCD−ROM,DVD−ROM、レーザディスク、ビデオディスク、レコードあるいはプラスチックレンズ等の成形に使用した場合、DLCよりも硬度が低いにもかかわらず、予想外に耐磨耗性が向上し、裏面の粗れているスタンパーの摩擦による劣化を抑制してスタンパーの長寿命化を図ることができる。このため、コストダウンと生産効率の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる成形金型の具体的構成について詳細に説明する。
【0014】本発明の成形金型は、金型のキャビティ側表面、あるいはゲートカット部、および/またはエアーベント部の所定内表面、とりわけ少なくともスタンパー支持表面を含むキャビティ内部表面に保護膜を有するものである。この保護膜の組成は式I SiCX Y Z Wで表されるものであることが好ましい。上記式IにおいてX,Y,ZおよびWは原子比を表し、X=0.5〜25Y=0.5〜20Z=0〜6W=0〜6である)である。また、好ましくはX=1〜15Y=1〜10Z=0〜4、特に0〜2W=0〜4、特に0〜2である。このうち、特に好ましくはZ+W=0〜4、特に0〜3である。
【0015】Xが0.5未満であると、膜硬度が弱く不十分であり、Xが25を超えると膜の内部応力が大きくなり、密着力が弱くなる。Yが0.5未満であると、膜硬度が弱く不十分であり、Yが20を超えると、膜の硬度が不足する。また、Zが6を超えると膜の密度が不足し、Wが6を超えると、膜密度と耐磨耗性が低下する。
【0016】その他、上記主成分の他S、B、P等の元素の少なくとも1種を全体の3wt%以下含んでいても良い。また、このような保護膜はアモルファス状態にあり、その膜厚は0.005〜10μm、特に0.05〜2μmが好ましい。膜厚が0.005μm以下の場合には本発明の効果が低くなり、膜厚が10μmを超えると逆に耐久性が低下してくるからである。通常、この保護膜のビッカース硬さはHv=1500〜4000程度、波長632nmでの屈折率は1.5〜2.8程度である。
【0017】このような保護膜を形成する金型自体の材質は、超硬合金、ステンレス鋼(SUS材)、鋼材あるいはアルミやその合金のいずれかより形成することが好ましい。いずれの場合にも本発明の保護膜は良好な接着性を有するからである。なお、下地となる金型基板として、通常JISB6803のRaは、1nm〜40nmであり、保護膜成膜後も同じく1nm〜40nmである。
【0018】ここで、超硬合金としては、W=50〜90wt%、Co=4〜9wt%、C=5〜10wt%、Ti+Ta=40wt%以下のWC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系が好適である。ステンレス鋼としては、Ni=16〜20wt%、Cr=8〜11wt%を含むSUS303,304等のオーステナイト系、Cr=11〜19wt%を含み、必要に応じMo、V等を4wt%程度以下含むSUS420J1、SUS420J2、SUS440C等のマルテンサイト系が好ましい。鋼材としては、焼入鋼、炭素鋼、軟鋼等であれば良いが、C=0.2〜0.6wt%、Si=0.1〜1.5、Mn=0.3〜1.1wt%を含み、必要に応じてCr、Mn、Mo、Vを補うかたちで15wt%以下含むSKD61等の焼入鋼が好ましい。アルミニウムまたはアルミニウム合金としては、Al=99wt%以上であって、Alからなるか、AlにZr、Ti、Ga、V、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn等の1種以上を含むものが好ましい。
【0019】次に、成形金型の製造方法を説明する。本発明では、保護膜をプラズマCVD法により形成することが好ましい。プラズマCVD法については、例えば特開平4−41672号等に記載されている。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流としては数ヘルツからマイクロ波まで可能である。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記載されているECRプラズマも使用可能である。
【0020】本発明では、プラズマCVD法としてバイアス印加プラズマCVD法を用いることが好ましい。バイアス印加プラズマCVD法では、金型に負のバイアス電圧を印加する。この方法については、例えば M.Nakayama et al, Journal of theCeramic Society of Japan Int. Edition Vol 98 607-609 (1990) 等に詳細に記載されている。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。交流電源であるプラズマ電源を装置の電極に接続するとプラズマが発生する。このプラズマは電子、イオン、ラジカルを含み、全体としては中性である。しかし、プラズマ電源の周波数がオーディオ波(AF)、高周波(RF)、マイクロ波(MW)になると、イオンと電子の移動度に差が生じるため、印加した電極側(通常、アースしない側)に負電圧状態を生じる。これをセルフバイアス電圧という。上記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
【0021】保護膜をプラズマCVD法により形成する場合、原料ガスには、下記のグループに属する化合物を使用することが好ましい。すなわち、Si、CおよびHを含む化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、トリメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリルメチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用しても良く、シラン系化合物と炭化水素を用いても良い。
【0022】Si+C+H+Oの組成を得る単独化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロシロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、トリエトキシビニルシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメトキシシラノール、ハイドロキシメチルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、エトキシトリメトキシシラン等がある。これらは併用しても良く、これに他の化合物を併用しても良い。
【0023】Si+C+H+Nの組成を得る単独化合物としては、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等がある。
【0024】この他、O源として、O2 、O3 等、C+O源として、CO、CO2 等、C+H源として、CH4 、C2 4 、C2 6 、C3 8 、C6 6 等の炭化水素、Si+H源として、SiH4 等、H源として、H2 等、H+O源として、H2 O等、N源として、N2N+H源として、NH3 等、N+O源として、NO、NO2 、N2 OなどNOx で表示できるNとOの化合物等を用いても良い。
【0025】上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜0.5Torr、投入電力は、通常10W〜5KW程度が好ましい。
【0026】本発明ではまた、保護膜をイオン化蒸着法により形成することが好ましい。イオン化蒸着法は、例えば特開昭58−174507号、特開昭59−174508号公報等に記載されている。ただし、これらに開示された方法、装置に限られるものではなく、保護膜の原料用イオン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイオン蒸着技術を用いても良い。
【0027】この場合の装置の好ましい例としては、例えば、実開昭59−174507号に記載されたイオン直進型またはイオン偏向型のものを用いることができる。
【0028】イオン化蒸着法においては、真空容器内を10-6Torr程度までの高真空とする。この真空容器内には交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラメントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与える。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置されている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイオンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速される。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整することにより、組成や膜質を変えることができる。本発明では、Vd=10〜500V、Va=−10〜−500V程度が好ましい。前記と同様金型に加えるバイアスは負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直流が好ましい。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。バイアス電圧は、前記同様好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。
【0029】保護膜をイオン化蒸着法により形成する場合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用いれば良い。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.01〜0.5Torr程度が好ましい。
【0030】本発明ではまた、保護膜をスパッタ法により形成することも好ましい。すなわち、Ar、Kr等のスパッタ用のスパッタガスに加えて、O2 、N2 、NH3 、H2 等のガスを反応性ガスとして導入すると共に、C、Si、SiO2 、Si34 、SiC等をターゲットとしたり、C、Si、SiO2 、Si3 4 、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場合によっては、C、Si、N、Oを含む2以上のターゲットを用いても良い。また、ポリマーをターゲットとして用いることも可能である。この様なターゲットを用いて高周波電力を加え、ターゲットをスパッタし、これを基板である金型上にスパッタ堆積させることにより保護膜を形成する。なお、この場合も金型に加えるバイアスは負のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧は、直流が好ましい。また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用してもよい。上記のバイアス電圧は、好ましくは−10〜−2000Vであり、より好ましくは−50〜−1000Vである。高周波スパッタ電力は、通常50W〜2KW程度である。動作圧力は、通常10-5〜10-3Torrが好ましい。
【0031】なお、本発明の成形金型にて成形される成形材として、CD−R,DVD−Rなどの各種光記録ディスク、ミニディスクなどの光磁気ディスク、コンパクトディスク等のCD−ROM,DVD−ROM、レーザディスク、ビデオディスク、レコードあるいはプラスチックレンズ等に用いられるポリカーボネートが一般的である。
【0032】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】(実施例1)プラズマCVD法(1) Si、CおよびHを含む化合物の原料ガスとしてテトラメチルシランを流量10SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流としてRF500Wを加え、動作圧力0.05Torrで、SUS304製の固定側および可動側金型のキャビティ内部上に、セルフバイアス−800Vにて2μm成膜した。
(2) (1)において原料ガスをSi、C、HおよびNを含むものとした、すなわち、Si(CH3 4 を流量2SCCM、NH4 を流量6SCCMとした。
(3) (1)において原料ガスをSi、C、HおよびOを含むものとした、すなわち、Si(OCH3 4 を流量2SCCMとした。
(4) (1)において原料ガスをSi、C、HおよびOとNとを含むものとした、すなわち、Si(OCH3 4 を流量2SCCM、NH3 を流量5SCCMとした。
(5)比較例として、(1)において、テトラフェニルシランを原料として、対向電極側に金型をセットしセルフバイアス電圧が印加されないようにして、アース電位で本発明外のSiCH膜を作製した。
(6)また、比較例として、(1)において、原料はテトラメチルシランのままで、バイアス電圧を−2500Vとして、本発明外のSiCH膜を作製した。
(7)また、比較例として、原料ガスとしてメタンを用い、(1)と同一条件にてDLCを2μm成膜した。
(8)また、(1)において、金型に超硬合金としてM10を用い、同一条件にて本発明のSiCH膜を2μm成膜した。
(9)(8)の比較例として、原料ガスとしてメタンを用い、(8)と同一条件にてDLCを2μm成膜した。
(10)また、(1)において、金型に焼入鋼材としてSKD61を用い、同一条件にて本発明のSiCH膜を2μm成膜した。
(11)(10)の比較例として、原料ガスとしてメタンを用い、(10)と同一条件にてDLCを2μm成膜した。このようにして得られた各試料の密着力をスクラッチ試験で評価し、その結果をビッカース硬さと共に表1に示す。また、形成された膜の、化学分析によって測定された組成を表1に示した。
【0034】スクラッチ試験RHESCA社製のスクラッチ試験機SRC−02型を用いた。この時のダイヤモンド圧子は5μmとした。上記各金型を用い、厚さ300μmのニッケル製スタンパーをセットし、ポリカーボネートの射出成形を行い、外径120mm、内径15mm、グルーブピッチ幅1.6μm、ランド間グルーブ幅0.4μm、グルーブ深さ200Aの基板を得た。
【0035】金型についてはスタンパーを載置する側である可動側金型と固定側金型の接触部、および外周リング部材と、可動側金型と固定側金型の接触部のいずれか1箇所の損傷深さが0.5μmになるショット数を寿命とした。また、スタンパーについては、上記金型の寿命の範囲内において、同一仕様のスタンパーを用いて成形し、スタンパーの損傷に起因するエラーが発生するショット数をスタンパーの寿命とし、その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】

【0037】表1に示される結果から、スクラッチ力、耐久性ともに本発明の成形金型が優れていることがわかる。また、TiN、TiCNの保護膜では金型の寿命が30万ショット、スタンパーの寿命が2〜3万ショットであったものが、本発明品では金型の寿命が100万ショット以上、スタンパーの寿命が10万ショット以上と改善された。
【0038】(実施例2)イオン化蒸着法(1) Si+C+Hの原料ガスとしてテトラメチルシランを流量10SCCMにて導入した。動作圧0.1TorrでVa=−80V、Vd=+40Vを加え、SUS420J2金型上に、セルフバイアス−800Vにて2μm成膜した。
(2) Si+C+H+Nの原料ガスとしてSi(CH3 4 を流量2SCCM、NH4 を流量6SCCMにて導入した。動作圧0.1TorrでVa=−80V、Vd=+40Vを加え、SUS420J2金型上に、セルフバイアス−800Vにて2μm成膜した。
(3) Si+C+H+Oの原料ガスとしてSi(OCH3 4 を流量2SCCMにて導入した。動作圧0.1TorrでVa=−80V、Vd=+40Vを加え、SUS420J2金型上に、セルフバイアス−800Vにて2μm成膜した。
(4) Si+C+H+O+Nの原料ガスとしてSi(OCH3 4 を流量2SCCM、NH3 を流量5SCCMにて導入した。動作圧0.1TorrでVa=−80V、Vd=+40Vを加え、SUS420J2金型上に、セルフバイアス−800Vにて2μm成膜した。
(5)また、比較例として、原料ガスとしてCH3 を用い、同一条件にてSUS420J2金型上にDLCを2μm成膜した。このようにして得られた試料の密着力をスクラッチ試験で評価し、その結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】表2に示される結果からスクラッチ力、耐久性ともに本発明の成形金型が優れていることがわかる。また、TiN、TiCNの保護膜では金型の寿命が30万ショット、スタンパーの寿命が2〜3万ショットであったものが、本発明品では金型の寿命が100万ショット以上、スタンパーの寿命が10万ショット以上と改善された。
【0041】(実施例3)スパッタ法(1) 反応性ガスとしてO2 +H2 を用い、SiCをターゲットとした。動作圧10-3Torrで高周波スパッタ電力として500Wを加え、SUS304金型上に、セルフバイアス−150Vにて2μm成膜した。
(2) 反応性ガスとしてN2 +H2 を用い、SiCをターゲットとした。動作圧10-3Torrで高周波スパッタ電力として500Wを加え、SUS304金型上に、セルフバイアス−150Vにて2μm成膜した。(1)、(2)ともスクラッチ力70mN以上、金型耐久性100万回超、スタンパー耐久性10万回以上であった。
【0042】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来のTiN,TiCNやDLCを用いた保護膜に比べ耐久性に優れ、100万ショット以上の寿命を有する成形金型とその製造方法を提供することが可能となった。
【0043】また、DLCに比べ超硬材、ステンレス鋼、鋼材に対する密着力が強く、CD−R,DVD−Rなどの各種光記録ディスク、ミニディスクなどの光磁気ディスク、CD−ROM,DVD−ROMなどのコンパクトディスク、レーザディスク、ビデオディスク、レコードおよびプラスチックレンズ等の成形に使用した場合にスタンパーの寿命を10万ショット以上とすることが可能となった。




 

 


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