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発明の名称 動力伝達用孔付き軸の強化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−166233
公開日 平成10年(1998)6月23日
出願番号 特願平8−330695
出願日 平成8年(1996)12月11日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
発明者 吉田 誠
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】軸部材の軸芯方向に交差する円孔を形成した動力伝達用孔付き軸の強化方法であって、前記円孔は軸外周面に向かって広がるテーパー形状に形成し、前記円孔の形成された軸に硬化処理を行うことを特徴とする動力伝達用孔付き軸の強化方法。
【請求項2】前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理としたことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達用孔付き軸の強化方法。
【請求項3】前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理した後、ショットピーニングの硬化処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達用孔付き軸の強化方法。
【請求項4】前記円孔内面の面粗度をRz≦15μmとし、ショットピーニングの硬化処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の動力伝達用孔付き軸の強化方法。
【請求項5】前記円孔の軸外周面に向かって広がるテーパー形状のなす角度を5〜12゜としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の動力伝達用孔付き軸の強化方法。
【請求項6】前記焼き入れ表面硬化処理は、高周波焼き入れであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の動力伝達用孔付き軸の強化方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軸部材の軸芯方向に交差する円孔を形成した動力伝達用孔付き軸の強化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力伝達軸としては、他えば、図9(a)に示すように、自動変速機1のトルクコンバータ2の回転出力を変速機4に伝達する入力軸3と、この入力軸3と嵌合して変速機4の変速した回転出力を出力する出力軸5とがある。
【0003】入力軸3は、図9(b)に示すように、トルクコンバータ2の入力側に開口する軸芯に形成された油経路6と、この油経路6と連通して軸外周に開口する円孔6aと、嵌合する出力軸5側に開口する軸芯に形成された油経路7と、この油経路7と連通して軸外周に開口する円孔7aとを有している。
【0004】また、出力軸5は、図9(c)に示すように、嵌合する入力軸3側の油経路7開口に対向した開口を有する軸芯に形成された油経路8と、この油経路8と連通して軸外周に開口する円孔8aとを有している。
【0005】これら入・出力軸3、5には、一般的なねじりトルクを受けるシャフト部材と同様に応力分布に応じた硬さの増加、圧縮残留応力の付与及び耐摩耗性付与の観点から浸炭焼き入れ焼き戻しまたは高周波焼き入れ等の表面硬化処理を行う方法が多く用いられている。
【0006】さらに、より一層の強度向上が必要な場合には、ターンテーブル上で入・出力軸3、5を回転させながら、入・出力軸3、5の円孔6a、7a、8aに向かってショットピーニング処理を行う場合もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、ドリル加工等により形成する円孔6a、7a、8aが切り欠きとなり、円孔6a、7a、8aの軸外周面より内部側に応力集中が厳しくなってしまう。
【0008】そこで、浸炭焼き入れ焼き戻し処理では、切り欠き感受性が高く、充分な強度が得られ難いとの問題があった。
【0009】また、高周波焼き入れ処理では、浸炭焼き入れに比較して処理コストが安価であるとともに、じん性の高い硬化層が得られ易くて強度的に有利であるが、図10に示すように、軸外周面から浅い硬化層9しか得られず、円孔6a、7a、8aの最奥部まで硬化することができないことから、円孔6a、7a、8a内部の未硬化部9aを起点として破壊するため、充分な強度を得ることが困難であった。
【0010】さらに、ショットピーニング処理を行った場合も、円孔6a、7a、8aの軸外周開口端に形成した面取り面6b、7b、8bから跳ね返ってくるショットが処理ショットと干渉し、円孔6a、7a、8aの最奥部までショットが届き難く、硬化処理の効果が少ないという問題点があった。
【0011】そこで、この発明の目的は、軸部材の軸芯方向に交差する円孔の内部まで硬化処理が可能な動力伝達用孔付き軸の強化方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、この発明の請求項1は、軸部材の軸芯方向に交差する円孔を形成した動力伝達用孔付き軸の強化方法であって、前記円孔は軸外周面に向かって広がるテーパー形状に形成し、前記円孔の形成された軸に硬化処理を行うことを特徴としている。
【0013】この構成によれば、硬化処理する軸部材に形成した円孔が軸外周面に向かって広がるテーパー形状に形成されているので、円孔内周のテーパー面に硬化が行き渡って円孔の内部まで硬化処理することができる。また、円孔をテーパー加工するリーマー工程時、円孔の面取り工程の代わりとなるため、工程の増加が発生しない。
【0014】請求項2は、前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理としたことを特徴としている。この構成によれば、焼き入れ表面硬化処理する軸部材には軸外周面に向かって広がるテーパー形状に円孔が形成されているので、円孔内部深く硬化層が得られ、十分な強度が得られる。
【0015】また、請求項3は、前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理した後、ショットピーニングの硬化処理を行うことを特徴としている。この構成によれば、焼き入れ表面硬化処理した軸部材の軸外周面に向かって広がるテーパー形状の円孔にショットピーニングの硬化処理を行うので、円孔内面を疲労起点とする場合に、ショットが起点周辺にまで有効に投射されて疲労強度を飛躍的に向上させることができる。
【0016】さらに、請求項4は、前記円孔内面の面粗度をRz≦15μmとし、ショットピーニングの硬化処理を行うことを特徴としている。この構成によれば、ショットピーニングの硬化処理を行う円孔内周のテーパー面を面粗度Rz≦15μmに加工したので、必要に応じて、テーパー角、円孔内面の面粗度を最適範囲に管理し、円孔内面を疲労起点とする場合に、ショットが起点周辺にまで有効に投射されて疲労強度を飛躍的に向上させることができる。
【0017】そして、請求項5は、前記円孔の軸外周面に向かって広がるテーパー形状のなす角度を5〜12゜としたことを特徴としている。この構成によれば、円孔内周のテーパー面が5〜12゜の角度で形成しているので、円孔内部深く硬化層が得られ、十分な強度が得られる。
【0018】また、請求項6は、前記焼き入れ表面硬化処理は、高周波焼き入れであることを特徴としている。この構成によれば、焼き入れ表面硬化処理を高周波焼き入れとしたので、高周波焼き入れ時のコイルと円孔内面の傾斜角度が減少し、円孔周辺による深い硬化層が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1および図8に基づいて説明する。
【0020】図1において、10は車両としての自動車の自動変速機、11は自動変速機10のトルクコンバータ、12はトルクコンバータ11の入力を変速する変速機、13はトルクコンバータ11の回転出力を変速機12に伝達する入力軸、14は入力軸13と嵌合して変速機12の変速した回転出力を出力する出力軸14である。
【0021】図2は、自動変速機10の動力伝達用軸としてのこの入力軸13と出力軸14とを示している。
【0022】入力軸13は、図2(a)に示すように、トルクコンバータ11の入力側に開口する軸芯に形成された油経路20と、この油経路20と連通して軸外周に開口する円孔20aと、嵌合する出力軸14側に開口する軸芯に形成された油経路21と、この油経路21と連通して軸外周に開口する複数の円孔21aとを有している。
【0023】また、出力軸14は、図2(b)に示すように、嵌合する入力軸13側の油経路21の開口に対向の開口を有する軸芯に形成された油経路22と、この油経路22と連通して軸外周に開口する複数の円孔22aとを有している。
【0024】これら円孔20a、21a、22aは、断面を拡大した図3に示すように、軸芯に形成された油経路20、21、22に連通する底孔23より軸外周に開口する表孔24の直径を大きくしたテーパー形状となっている。そして、テーパー角度が5〜12゜に形成されている。
【0025】このテーパー角度を5〜12゜に形成した理由は、トルク付加時の円孔20a、21a、22a内面の発生応力とショットピーニングによる残留応力との影響を考慮している。
【0026】即ち、テーパー角を増加すると、図4のねじりトルク付加時のテーパー角と有限要素法(FEM)の計算による応力との関係に示すように、表面硬化軸の亀裂発生方向となる軸中心より45°傾いた円孔20a、21a、22a内面に作用する最大主応力が増加する。そして、この最大主応力の最大値を示す位置が円孔20a、21a、22a深さ方向の深部に移行し、疲労強度、静的強度が低下する。
【0027】一方、図5に示すように、テーパー角の増大に伴い、ショットピーニング処理により発生する円孔20a、21a、22a内部の圧縮残留応力が増加する。ここで残留応力の測定は、X線により円孔20a、21a、22aに対する円周方向応力を測定している。
【0028】以上のことから、トルク付加時の円孔内面の発生応力とショットピーニングによる残留応力との影響は、テーパー角の増加に伴って相反する効果を示す。ことから、両者の影響を考慮し、目安として、20°以下であるが、最適な効果が得られるテーパー角を5〜12°とする。
【0029】また、円孔20a、21a、22a内面の面粗度をRz≦15μmとする理由は、リーマーにてテーパー加工可能で且つ疲労寿命の低下が軽微である面粗度としている。
【0030】即ち、図6に示すように、高周波焼き入れした軸のように円孔20a、21a、22a内面より亀裂が発生する場合、起点付近の表面の粗さが疲労寿命に大きく影響する。そこで、円孔20a、21a、22aのテーパー加工を行う場合、一般的に用いるリーマーにて加工可能であり、且つ疲労寿命の低下が軽微であるRz≦15μmとする。
【0031】なお、円孔20a、21a、22aのテーパー形状としては、疲労起点の深さを予め把握している場合、図7に示すように、疲労起点位置を含んだ円孔20a、21a、22aの軸外周に開口する表孔24の一部のみテーパー形状としても良く、同様の効果が得られる。
【0032】次に、本発明に係わる動力伝達用孔付き軸の強化方法を説明する。
【0033】まず、軸材により、図2(a)、(b)の入・出力軸13、14を製作し、ドリルによって入力軸13の油経路20と油経路21および出力軸14の油経路22を加工して形成する。
【0034】そして、図3の破線で示すような入力軸13の円孔20a、21a…および出力軸14の円孔22a…の最小径である下穴25をドリルによって形成する。この下穴25に対して、リーマーにて所定テーパー角、円孔内面の面粗度となるように加工する。
【0035】その後、入・出力軸13、14を例えば高周波焼き入れ焼き戻しを行い、焼き戻しの済んだ入力軸13が、図8に示すように、図示しないターンテーブル上の軸固定ジグ26に立てられる。そして、ターンテーブルを回転させて、入力軸13の円孔20a、21aを図示しないエアーノズル式ショットピーニング機のノズル27に向け、ショットピーニング処理を行う。
【0036】上述の実施の形態による実施例を説明する。
【0037】JIS・SCM440Hの軸材により図2(a)に示すような外形の入力軸13に加工し、加工の入力軸13に焼き入れ焼き戻し処理を行い、芯部硬さを220HBとした。その後、各円孔20a,21aの最小径をドリルによって下穴25を加工し、この下穴に対して、リーマーにて表1に示すテーパー角、円孔内面の面粗度となるようにそれぞれ加工した。
【0038】そして、高周波焼き入れ焼き戻しを行い、50HRC硬さにおける有効硬化層深さを2mmとした。さらに、図8に示すように、図示しないエアーノズル式ショットピーニング機のノズル27から粒径0.8mmのショットを投射圧600KPaで投射し、アークハイト値が0.8mm(Aゲージ)とした上で、ねじり疲労、及び静ねじり試験に供した。試験は最大トルク600Nmの片振りにて実施した。
【0039】
【表1】

表1に示すように、本実施の形態による供試番号1、2、3は、比較例の供試番号4、5、6、7に対して著しく高寿命であり、且つ静ねじり強度の低下も少なく抑えられることが明らかである。なお、比較例の供試番号6は、ショットピーニング処理を行っていない。比較例の供試番7は、各円孔20a,21aの内面を面粗度調整していない。
【0040】このように、円孔をテーパー形状としたため、高周波焼き入れ時のコイルと円孔内面の傾斜角度が減少するため、テーパー角0°の場合に比較して、円孔周辺により深い硬化層が得られるため、強度的に有利となる。また、円孔内部のショット投射状況の確認、面粗度測定等の品質管理が容易となる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明は、軸部材の軸芯方向に交差する円孔を形成した動力伝達用孔付き軸の強化方法であって、前記円孔は軸外周面に向かって広がるテーパー形状に形成し、前記円孔の形成された軸に硬化処理を行うので、円孔内周のテーパー面に硬化が行き渡って円孔の内部まで硬化処理することができる。また、円孔をテーパー加工するリーマー工程時、円孔の面取り工程の代わりとなるため、工程の増加が発生しない。
【0042】請求項2の発明は、前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理としたので、円孔内部深く硬化層が得られ、十分な強度が得られる。
【0043】また、請求項3の発明は、前記硬化処理は焼き入れ表面硬化処理した後、ショットピーニングの硬化処理を行うので、円孔内面を疲労起点とする場合に、ショットが起点周辺にまで有効に投射されて疲労強度を飛躍的に向上させることができる。
【0044】さらに、請求項4の発明は、前記円孔内面の面粗度をRz≦15μmとし、ショットピーニングの硬化処理を行うので、必要に応じて、テーパー角、円孔内面の面粗度を最適範囲に管理し、円孔内面を疲労起点とする場合に、ショットが起点周辺にまで有効に投射されて疲労強度を飛躍的に向上させることができる。
【0045】そして、請求項5の発明は、前記円孔の軸外周面に向かって広がるテーパー形状のなす角度を5〜12゜としたので、円孔内部深く硬化層が得られ、十分な強度が得られる。
【0046】また、請求項6の発明は、前記焼き入れ表面硬化処理を高周波焼き入れとしたので、高周波焼き入れ時のコイルと円孔内面の傾斜角度が減少し、円孔周辺による深い硬化層が得られる。




 

 


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