発明の名称 |
産業車両用カウンタウエイトの製造方法 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平10−128490 |
公開日 |
平成10年(1998)5月19日 |
出願番号 |
特願平8−278162 |
出願日 |
平成8年(1996)10月21日 |
代理人 |
【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外7名)
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発明者 |
神藤 明紀 |
要約 |
目的
構成
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特許請求の範囲
【請求項1】 複数の機種に共通な木型本体を作成し、機種に応じて少なくとも一つの着脱自在の木型部品を選択的に木型本体に取り付けて木型を形成し、この木型から鋳型をとってカウンタウエイトを鋳造することを特徴とする産業車両用カウンタウエイトの製造方法。 【請求項2】 木型部品を取り付けたときに隠れる木型本体の面に木型本体のみから製造されるカウンタウエイトを識別するための荷重数字を表示し、木型本体に取り付けられたときに露出する木型部品の面にこの木型部品が取り付けられた木型から製造されるカウンタウエイトを識別するための荷重数字を表示することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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発明の詳細な説明
【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、産業車両用カウンタウエイトの製造方法に係り、特に共通の木型を利用して複数種類のカウンタウエイトを鋳造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】図4にカウンタバランスタイプのフォークリフトを示す。車体の前方にマスト1が直立して設けられ、マスト1に沿って昇降自在に設けられたリフトブラケット2を介してフォーク3が取り付けられている。フォーク3はフロントホイール4よりも前方に張り出して設けられ、このフォーク3によって荷の昇降及び搬送が行われるので、車体のバランスをとるために車体の後部にカウンタウエイト5が搭載されている。 【0003】従来、カウンタウエイト5は次のようにして製造されていた。まず、図5(a)に示されるように、カウンタウエイト5の木型6を作成し、この木型6から鋳型7及び8をとった後、図5(b)に示されるように、これらの鋳型7及び8を用いてカウンタウエイト5を鋳造していた。 【0004】このようなカウンタウエイトは、フォークリフトの機種によってそれぞれ形状、重量等が異なるため、異機種のフォークリフト用のカウンタウエイト9を製造する際には、再び木型の作成から行わなければならなかった。すなわち、図6(a)に示されるように、カウンタウエイト9の木型10を改めて作成し、この木型10から鋳型11及び12をとった後、図6(b)に示されるように、鋳型11及び12を用いてカウンタウエイト9を鋳造していた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように、フォークリフトの機種毎に木型を作成し、木型から鋳型をとってカウンタウエイトを鋳造していたので、型の製造コストがかさむと共に製造日数が長くなるという問題点があった。この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、複数種類のカウンタウエイトを容易に且つ安価に製造することができる産業車両用カウンタウエイトの製造方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明に係る産業車両用カウンタウエイトの製造方法は、複数の機種に共通な木型本体を作成し、機種に応じて少なくとも一つの着脱自在の木型部品を選択的に木型本体に取り付けて木型を形成し、この木型から鋳型をとってカウンタウエイトを鋳造する方法である。木型部品を取り付けたときに隠れる木型本体の面に木型本体のみから製造されるカウンタウエイトを識別するための荷重数字を表示し、木型本体に取り付けられたときに露出する木型部品の面にこの木型部品が取り付けられた木型から製造されるカウンタウエイトを識別するための荷重数字を表示することもできる。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1にこの発明の実施の形態に係る産業車両用カウンタウエイトの製造方法で用いられる木型を示す。この木型は、木型本体21と、木型本体21に着脱自在に取り付けられた木型部品22及び23とを備えている。木型本体21は、複数の機種のフォークリフトにそれぞれ搭載される複数種類のカウンタウエイトに共通の形状を有している。木型部品22及び23は、例えばボルトによって木型本体21に固定されており、ボルトを外すことにより木型本体21から離脱させることができる。 【0008】図2に示されるように、木型部品22は木型本体21に形成された凹部24内に着脱自在に取り付けられるが、この凹部24の一つの面、すなわち木型部品22を取り付けたときに木型部品22によって隠れる面25に、例えば“10”を示す荷重数字26が浮き彫り等によって表示されている。この荷重数字26は、木型部品22及び23を用いずに木型本体21のみから製造されるカウンタウエイトを識別するためのもので、“10”はそのカウンタウエイトを搭載したフォークリフトの許容荷重1.0tを示している。一方、木型本体21の凹部24内に取り付けられたときに露出する木型部品22の面27には、“12”を示す荷重数字28が浮き彫り等によって表示されている。この荷重数字28は、木型本体21に木型部品22及び23を取り付けて形成した木型から製造されるカウンタウエイトを識別するためのもので、“12”はそのカウンタウエイトを搭載したフォークリフトの許容荷重1.2tを示している。 【0009】図示しないが、同様に、木型部品23を取り付けるために木型本体21に形成された凹部内の面に“10”を示す荷重数字が、木型部品23の露出面に“12”を示す荷重数字がそれぞれ表示されている。 【0010】ここで、実施の形態に係る産業車両用カウンタウエイトの製造方法を説明する。まず、許容荷重1.0tのフォークリフトに搭載するカウンタウエイトを製造する際には、木型部品22及び23を用いずに木型本体21のみを木型として鋳型を作成する。このとき、木型部品22及び23が木型本体21から取り外されているので、木型本体21の凹部24内の面25等に形成されている“10”を示す荷重数字26が露出しており、この荷重数字が鋳型にも形成される。次に、この鋳型を用いてカウンタウエイトを鋳造する。従って、製造されたカウンタウエイトに“10”を示す荷重数字が表示されることとなり、許容荷重1.0t用のカウンタウエイトであることを容易に識別することができる。 【0011】また、許容荷重1.2tのフォークリフトに搭載するカウンタウエイトを製造する際には、木型部品22及び23を木型本体21の対応する凹部内に取り付けたものを木型として鋳型を作成する。今度は、木型部品22及び23が木型本体21に取り付けられているので、木型本体21の凹部24内の面25等に形成されている“10”を示す荷重数字26は木型部品22及び23で隠され、代わりに木型部品22及び23の露出面に形成されている“12”を示す荷重数字28が露出し、この荷重数字が鋳型にも形成される。次に、この鋳型を用いてカウンタウエイトを鋳造する。従って、製造されたカウンタウエイトは木型部品22及び23の体積分だけ重量が増したものになると共に“12”を示す荷重数字が表示され、許容荷重1.2t用のカウンタウエイトであることを容易に識別することができる。 【0012】なお、図3に示されるように木型部品23を木型本体21に取り付けて木型を構成したときも、また木型部品23を取り外して木型本体21のみで木型を構成するときも、木型内の窪んだ谷部がそれぞれ所定の曲率を有する曲面から形成されるように木型部品23と木型本体21との境界部が設定されている。木型部品22についても同様である。このように木型部品22及び23と木型本体21との形状関係を設定することにより、鋳型の造型がし易くなる。 【0013】 【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、木型本体に木型部品を選択的に着脱することにより、容易に複数種類のカウンタウエイトを製造することができる。例えば、重量、内部形状、意匠等が異なるカウンタウエイトが容易に製造される。また、複数種類のカウンタウエイトに対して木型本体を共通して用いるので、カウンタウエイトの製造コストが低減される。さらに、荷重数字が表示されるように木型本体及び木型部品を形成すれば、複数種類のカウンタウエイトを製造しても、互いに識別することができ、カウンタウエイトの誤品を防止することができる。
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