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発明の名称 スクロール部材の加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−118823
公開日 平成10年(1998)5月12日
出願番号 特願平8−280982
出願日 平成8年(1996)10月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二
発明者 山口 幸雄 / 塩谷 正明 / 三浦 康弘 / 大野 友己 / 今村 和義
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 金属製の平面状端板(2)と、この端板(2)から、渦巻き状に突出する渦巻き部(3)とを有するスクロール部材(1)を刃具(4)により切削加工する加工方法であって、前記渦巻き部(3)の渦巻き状の外向面(3a)をその外周端(Ps)側から中心部(Pm)へ向かって前記刃具(4)により往路加工した後に、前記渦巻き部(3)の渦巻き状の内向面(3b)を前記中心部(Pm)から終端(Pe)側へ向かって前記刃具(4)により復路加工し、かつ、前記往路加工および前記復路加工をいずれも、前記刃具(4)と前記スクロール部材(1)との相対運動方向(A)と前記刃具(4)の回転方向(B)とが同一方向となるダウンカットにより行うようにしたことを特徴とするスクロール部材の加工方法。
【請求項2】 前記スクロール部材(1)の前記渦巻き部(3)側から見て、前記渦巻き部(3)は右巻の渦巻き状であり、前記刃具は、前記渦巻き部(3)の外向面(3a)および内向面(3b)のいずれか一方と、前記平面状端板(2)の平坦面とを同時に切削するエンドミル(4)であり、このエンドミル(4)は前記渦巻き部(3)側から見て左ねじれであり、反時計方向に回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスクロール部材の加工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製の平面状端板と、この端板から渦巻き状に突出する渦巻き部とを有するスクロール部材を刃具により切削加工する加工方法に関するもので、例えば、スクロール型流体機械(圧縮機、膨張機等)におけるスクロール部材の切削加工に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のスクロール部材の加工方法としては、特開平3−221307号公報、特開平7−164231号公報等に記載されたものがあり、これらの従来技術では、スクロール部材の渦巻き状の外向面をその外周端側から中心部へ向かってエンドミルにより往路加工した後に、スクロール部材の渦巻き状の内向面をその中心部から外周端側へ向かってエンドミルによりにより復路加工するものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では、エンドミルのような刃具とスクロール部材との相対運動方向と、刃具の回転方向との関係に基づいて定まるアップカット加工と、ダウンカット加工との切削作用の差異については何ら注目していない。しかしながら、本発明者らの試作検討によると、スクロール部材の渦巻き部は高さの比較的高い薄肉の壁形状であるため、剛性が低い形態である。また、渦巻き部の相互間の隙間も比較的狭いため、刃具も細径となり、剛性が低い形態にならざるを得ない。この結果、スクロール部材をアップカット加工で切削する場合には、次のごとき不具合が発生することが判明した。
【0004】すなわち、図5(a)に示す、平面状端板2および渦巻き部3を有するスクロール部材1において、渦巻き部3の外向面3aを刃具4により切削加工する際に、スクロール部材(ワーク)1と刃具4との相対運動方向をA方向とし、刃具4の回転方向をB方向にすると、外向面3aでは、この両方向が逆方向となるアップカット加工が行われる。
【0005】一方、相対運動方向をA方向のままとし、刃具4の回転方向を反転させB′方向にすると、外向面3aでは、この両方向が同一方向となるダウンカット加工が行われることになる。図5(b)、(c)は上記のアップカット加工とダウンカット加工とを比較して示すもので、5は刃具4により切削される切り屑の形態を示す。
【0006】上記のアップカット加工では、図5(b)に示すように刃具4のワーク1への切り込みが0から徐々に増加していくため、高速加工しようとすると、刃先の食いつきがどうしても悪くなり、刃の上滑りが発生し、加工面(渦巻き部3の外向面3a、内向面3b)にむしれが発生やすい。さらに、ワーク1は、通常、金属材のうちでも、アルミニュウムのように軟らかい材料で形成されており、しかも、渦巻き部3および刃具4がともに上述のごとく剛性の低い形態になっているので、刃具4による切削加工時にワーク1、刃具4が弾性変形を起こし、刃先の食いつきが一層悪化する。
【0007】この結果、冷媒圧縮機のように、渦巻き部3の壁面垂直度、面粗さ等に対して要求される高い精度を満足できないことになる。なお、アップカット加工によるむしれ発生を低減するため、切削加工の送り速度を低速化することも考えられるが、この対策は、加工時間の大幅増加を招き、実用的と言えない。
【0008】本発明は上記点に鑑みて、スクロール部材を、加工時間の増加を招くことなく、高精度で加工できる加工方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討によると、ダウンカット加工では、図5(c)に示すように、刃具(4)のワーク(1)への切り込みが切り込み量の多い状態から開始されるので、ワーク(1)への刃先の食いつきが良好となる。従って、渦巻き部(3)および刃具(4)がともに剛性の低い形態であっても、加工面(渦巻き部3の外向面3a、内向面3b)にむしれが発生しにくいことが分かった。
【0010】そこで、上記目的を達成するために、請求項1、2記載の発明では、スクロール部材(1)の渦巻き部(3)の渦巻き状の外向面(3a)をその外周端(Ps)側から中心部(Pm)へ向かって刃具(4)により往路加工した後に、渦巻き部(3)の渦巻き状の内向面(3b)を中心部(Pm)から終端端(Pe)側へ向かって刃具(4)により復路加工し、かつ、上記往路加工および復路加工をいずれも、刃具(4)とスクロール部材(1)との相対運動方向(A)と刃具(4)の回転方向(B)とが同一方向となるダウンカットにより行うようにしたことを特徴としている。
【0011】これにより、請求項1、2に記載の発明によれば、渦巻き部(3)の渦巻き状の外向面(3a)および内向面(3b)をいずれも、むしれが発生しにくいダウンカットにより切削加工して、スクロール部材を、加工時間の増加を招くことなく、高精度で加工できる。また、往路加工では、刃具(4)の先端部が全面的に平面状端板(2)の平坦面を切削するので、この平坦面に対する切削取り代が大となるが、外向面(3a)と刃具(4)との接触弧が小さくなり、外向面(3a)での取り代は小となる。これに対し、復路加工では、内向面(3b)と刃具(4)との接触弧が大きくなるが、平面状端板(2)の平坦面に対する切削取り代は往路加工での切削により大幅に減少する。従って、往路加工と復路加工の切削除去量が均等化するので、より一層高精度な切削加工を実現できる。
【0012】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。本実施形態は空調用冷凍サイクルに用いられる冷媒圧縮用のスクロール圧縮機におけるスクロール部材の加工方法に本発明を適用したものである。図1は本実施形態によるスクロール部材の加工方法を説明するもので、スクロール部材1はアルミニュウム等の金属からなる平面状端板2と、この端板2から、渦巻き状(一般に、インボリュート曲線からなる)に一体に突出する渦巻き部3とを有する形状になっている。
【0014】本例では、図1に示すように、スクロール部材1の渦巻き部3側から見て、渦巻き部3は右巻の渦巻き状であり、スクロール部材1は、図示しない横型スクロール加工機のワークチャックに、図1の上下方向が天地方向となるように装着されて、図1の上下方向、図1の紙面垂直方向、および図1の回転方向にそれぞれ位置制御可能となっている。
【0015】これに対して、スクロール部材1を切削加工する刃具4は、図2に示す、一般にエンドミルと称されているものであって、その先端側の底面と外周面の両方に切れ刃4a、4bを有しており、そして外周面の切れ刃4bは切削屑の排出のためにねじれ角が付与されている。このような刃具4は、横型スクロール加工機の主軸ユニットに図1の紙面垂直方向、すなわち水平方向に向くようにして回転可能に装着され、かつ、図1の左右方向に位置制御可能となっている。このような水平配置状態において、スクロール部材1の渦巻き部3側から見て、刃具4のねじれ角の方向は左ねじれとなっている。ここで、左ねじれとは刃具4の軸端からリードが左回転で進行することを言う。
【0016】また、刃具4の外周面の切れ刃20bの高さh1は、渦巻き部3の高さh2(後述の図4参照)より大きくなるように設定してあり、これにより、刃具4は渦巻き部3の内外周の側壁面、すなわち外向面3aまたは内向面3bと、端板2の平坦面(渦巻き部3の底面)とを同時加工できる。そして、この左ねじれ角を持った刃具4の回転方向を図1に示すようにスクロール部材1の渦巻き部3側から見て、反時計方向(矢印B方向)に設定している。
【0017】また、スクロール部材1と刃具4との相対運動方向は、図1において矢印A方向に設定する。この相対運動方向Aの設定は、スクロール部材1を固定して、刃具4を回転させながらC方向に移動させるか、刃具4を同一位置に固定したまま、回転させて、ワーク21をA方向に移動させるか、あるいは刃具4のC方向への移動とワーク21のA方向への移動とを併用することにより、実現してもよい。
【0018】スクロール部材1の切削加工は、具体的には以下のようにして行う。まず、左ねじれ角を持った刃具4を図1に示すように反時計方向(矢印B方向)に回転させ、図1のPs点(渦巻き部3のインボリュート形状の外周端)から切削加工を開始し、右巻き渦巻き部3の外向面3aの垂直壁面と端板2の平坦面(渦巻き部3の底面)とを切れ刃4a、4bにより同時に切削加工する。
【0019】そして、スクロール部材1と刃具4との相対位置を横型スクロール加工機の電子制御装置に予め記憶してある制御プログラムにより数値制御することにより、刃具4は図1の矢印C方向に進行して右巻き渦巻き部3の中心部Pmに到達するまで、端板2の平坦面を切削しながら右巻き渦巻き部3の外向面3aの壁面を切削加工(往路加工)する。
【0020】この往路加工において、刃具4を図1に示すように反時計方向(矢印B方向)に回転させ、刃具4とワークであるスクロール部材1との相対運動方向Aを刃具4の回転方向Bと同一方向にしているので、外向面3aの垂直壁面と端板2の平坦面とを図5(c)に示すダウンカットにて切削加工できる。また、往路加工においては、刃具4の先端部切れ刃4aが全面的に平面状端板2の平坦面を切削するので、この平坦面に対する切削取り代が大となるが、外向面3aと刃具4との接触弧が小さくなり、外向面3aでの取り代は小となる。
【0021】そして、刃具4が中心部Pmに到達した後は、刃具4は中心部Pmから内向面3bに沿って、右巻き渦巻き部3の外周側円周面の終端近傍位置Peへ向かって矢印Dのように進行して、内向面3bの垂直壁面と端板2の平坦面とを同時に切削加工(復路加工)する。この復路加工においても、刃具4とワークであるスクロール部材1との相対運動方向Aと刃具4の回転方向Bとを同一方向としているので、内向面3bの垂直壁面と端板2の平坦面とをダウンカットにて切削加工できる。
【0022】また、復路加工においては、内向面3bと刃具4との接触弧が大きくなり、内向面3bでの取り代は大となるが、平面状端板2の平坦面に対する切削取り代は往路加工での既切削分があるため大幅に減少する。従って、往路加工と復路加工の切削除去量が均等化する。なお、平面状端板2の外周面、および渦巻き部3の外向面3aのうちPs−Pe間の部位は円周面であるので、旋盤にて円形切削を行えばよい。
【0023】図3は、上記した外向面3aおよび内向面3bと刃具4との接触弧(壁面取り代)の大小関係と、端板2の平坦面(渦巻き部3の底面)における取り代の大小関係を示している。図4は、本発明者が実施した加工方法における数値的効果を示すグラフであり、図4の縦軸は渦巻き部3の壁直角度(μm)であり、横軸は同一の刃具4を使用した切削時間(秒)である。ここで、壁直角度とは、図4中に示す渦巻き部3の壁面両側のテーパα、テーパβの絶対値の差である。
【0024】図4の実施例における具体的切削条件は下記の通りである。
刃具4の回転数:30000〜40000rpm、切削加工の送り速度:15000mm/min、渦巻き部3の高さh2:33mm、渦巻き部3の厚さt:5.5mm、渦巻き部3相互の隙間d(図3参照):14mm、スクロール部材(ワーク)1の材質:高シリコン含有アルミニュウム材、上記条件において、前述の図1による加工方法を実施したところ、図4に示す通り、壁面の直角度を切削時間が増加しても僅かな増加に抑えることができ、4000秒を超える切削時間に対しても2.5μm以内という僅少値に抑えることができるという良好な結果が得られた。




 

 


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