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高度清浄空間 - 高砂熱学工業株式会社
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発明の名称 高度清浄空間
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−216466
公開日 平成10年(1998)8月18日
出願番号 特願平9−33172
出願日 平成9年(1997)1月31日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男 (外2名)
発明者 阪田 総一郎 / 佐藤 克己 / 高橋 秀人
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 湿度が調節された空気を循環させる機構を備えた高度清浄空間において,前記空気の循環経路に,撥水性ゼオライトを備えた通気性を有する吸着層と,該吸着層の下流側に配された粒子状不純物を除去するフィルタを設けたことを特徴とする高度清浄空間。
【請求項2】 前記吸着層とフィルタが,高度清浄空間の天井部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高度清浄空間。
【請求項3】 前記吸着層が,可燃物を含まない素材のみで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高度清浄空間。
【請求項4】 前記吸着層が,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の高度清浄空間。
【請求項5】 前記吸着層が,ハニカム構造体の表面に撥水性ゼオライトを固着させたものであることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の高度清浄空間。
【請求項6】 前記固着が,撥水性ゼオライトの粉末を分散させた懸濁液にハニカム構造体を含浸させた後,該ハニカム構造体を乾燥することによってなされたことを特徴とする請求項5に記載の高度清浄空間。
【請求項7】 前記固着が,接着剤によってなされたことを特徴とする請求項5に記載の高度清浄空間。
【請求項8】 前記ハニカム構造体が,無機繊維を必須成分としそれ以外の成分として粘土鉱物又は珪酸カルシウムのいずれかを含有する不燃性の構造体であることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の高度清浄空間。
【請求項9】 前記撥水性ゼオライトの有効細孔径が,7オングストローム以上であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の高度清浄空間。
【請求項10】 前記フィルタが,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9に記載の高度清浄空間。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,例えば半導体素子(LSI)や液晶ディスプレイ(LCD)の製造に好適に利用されるクリーンルームやクリーンベンチなどの,空気雰囲気の調湿機能と空気雰囲気中のガス状有機不純物と粒子状不純物の除去機能を有する高度清浄空間に関する。
【0002】
【従来の技術】今日,LSIやLCDの製造に清浄空間が広く利用されている。例えばベアウェハ(シリコンウェハ)から1MDRAMチップを製造するまでに至る半導体製造ラインは約200程度の工程を含んでおり,また,素ガラス(LCD基板)から9.4型TFTを製造するまでに至るLCDパネル製造ラインは約80程度の工程を含んでいる。これらの製造ラインにおいて,ウェハやLCD基板を各プロセスに常に連続的に流すことは困難である。例えば,TFT−LCDの製造ラインでは,前工程で回路が一通り形成された半製品基板は,後工程に移送されるまでに数時間〜数十時間の間,搬送容器(キャリア)や保管庫(ストッカ)の中において,清浄空間雰囲気に曝されながら待機させられる。
【0003】このように,ウェハやLCD基板を通常の清浄空間雰囲気中に長時間放置すると,それら基板の表面には清浄空間雰囲気由来の有機物が付着する。そして,例えばウェハに有機物が付着した場合には,次のような不都合を生じる。即ち,有機物が付着した状態でウェハ表面に絶縁酸化膜(SiO2)を形成すると,有機物中の炭素成分が絶縁酸化膜中に取り込まれることにより,絶縁酸化膜の絶縁耐圧が大幅に低下し,リーク電流も大幅に増大するといった問題を生ずる。また,ウェハ表面への有機物の吸着により,レジスト膜の密着性が悪くなり,露光・エッチング不良を起こし,正確なパターン形成ができなくなる恐れがある。加えて,表面に絶縁膜が形成されたウェハの表面抵抗率が上昇してウェハの帯電が生じやすくなり,気中に浮遊している微粒子が更にウェハ表面に静電吸着しやすくなって,より絶縁破壊が起きやすくなる。また,清浄空間雰囲気中に含まれた有機不純物に光学機器の紫外線が照射されると,その清浄空間中において光りCVD反応が起こり,その生成物が露光装置などの光学系レンズやミラー等の表面に付着して曇りが生じ,光学効率が低下してしまう。
【0004】また,雰囲気由来の有機物がLCD基板であるガラス基板に付着した状態でその表面上に薄膜トランジスタ(TFT)用のアモルファスシリコン(a−Si)を成膜した場合は,LCD基板とa−Si膜の密着不良を生じてしまう。このように,清浄空間雰囲気由来の有機物は,LSIやLCDの製造に悪影響を及ぼす。
【0005】一方,基板の表面に付着した有機物を,例えば紫外線/オゾン洗浄などの洗浄技術によって除去することも可能である。しかし,基板一枚当たりの洗浄時間は数分間も要し,頻繁に洗浄することは生産性の低下を招く。このように,特に最近では,金属不純物やパーティクルによる基板の汚染に加えて,清浄空間雰囲気中に存在する有機不純物が半導体製造に及ぼす影響が問題視されている。例えば,米国のSEMATECHが1995年5月31日に発表したTechnology Transfer #95052812A−TR「Forecast of Airborne Molecular Contamination Limits for the 0.25 Micron High Performance Logic Process」には,表1に示すようなウェハ表面の有機物汚染制御レベル(表面汚染の許容値)が記載されている。この記載によると,1998年には前工程で5×1013炭素原子個数/cm2,後工程で1×1015炭素原子個数/cm2の制御が必要とされている。
【0006】
【表1】

【0007】そこで従来より,清浄空間雰囲気中に含まれるガス状有機不純物を除去するための手段として,活性炭を用いてガス状の有機不純物を吸着して除去するケミカルフィルタが使用されている。そして,活性炭を用いたケミカルフィルタの最も簡素な形式として,所定のケースなどに粒状活性炭を詰め込んだ構成の充填塔が知られている。また,その他の形式として,繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバインダと複合してフェルト形状にした構成のケミカルフィルタや,粒状活性炭をウレタンフォームや不織布に接着剤で強固に付着させたブロック形状およびシート形状のケミカルフィルタも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば,天井面が清浄空気の吹き出し面となっているクリーンルームの場合についていえば,天井に取り付けられている粒子除去用フィルタの上流側にケミカルフィルタを配置することが,クリーンルームの空気雰囲気中のガス状有機不純物を除去するために極めて有効な手段である。しかし,活性炭は消防法において指定された可燃物であり,火気には厳重な注意が必要である。このため,防災上の観点から,活性炭を使用したケミカルフィルタは天井に配置し難い。
【0009】また,LSIやLCDの製造に利用される清浄空間は,通常,温度23〜25℃,相対湿度40〜55%の雰囲気に保たれる。しかし,活性炭は弱い疎水性であるから,ガス状有機不純物のみならず空気中の水分も相当に吸着する。このため,清浄空間への給気側に活性炭を使用したケミカルフィルタを取り付けた場合は,ケミカルフィルタの上流側においてせっかく所定の湿度に調節しても,ケミカルフィルタに使用されている活性炭が空気中の水分を吸着するので,清浄空間内の湿度が所定の値よりも低くなってしまう。湿度の低下は静電気の発生を容易にし,LSIやLCDの製造に支障をきたす。
【0010】そして,充填塔形式の従来のケミカルフィルタは,有機物の吸着効率は高いが,圧力損失(通気抵抗)が高いという欠点を有する。一方,フェルト形状やシート形状のケミカルフィルタは通気性に優れ,吸着効率も充填塔とさほど劣らないが,濾材(例えば,不織布,バインダなど)や,活性炭をシートに付着させている接着剤(例えば,ネオプレン系樹脂,ウレタン系樹脂,エポキシ系樹脂,シリコン系樹脂など)や,濾材を周囲のフレームに固着するために用いるシール材(例えばネオプレンゴムやシリコンゴム等)などから発生したガス状有機不純物がケミカルフィルタ通過後の空気中に含まれてしまい,半導体の製造に悪影響を与える可能性がある。さらに,これらフェルト形状やシート形状のケミカルフィルタは,クリーンルーム雰囲気中に含まれるppbオーダの極微量有機不純物を一旦は除去しておきながら,再びケミカルフィルタ自身から発生したガス状有機不純物を通過空気中に混入させてしまう。
【0011】また,吸着層の下流側に設けられた粒子状不純物を除去するフィルタには,従来,ガス状有機不純物を発生する素材を構成要素として含むため,粒子状不純物を除去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生するという不具合もあった。
【0012】従って本発明の目的は,防災に優れ,かつ湿度の低下が無く,しかも基板などの有機物汚染を防止できるクリーンルームやクリーンベンチなどの高度清浄空間を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するために,請求項1の発明は,湿度が調節された空気を循環させる機構を備えた高度清浄空間において,前記空気の循環経路に,撥水性ゼオライトを備えた通気性を有する吸着層と,該吸着層の下流側に配された粒子状不純物を除去するフィルタを設けたことを特徴とする。この請求項1の高度清浄空間によれば,高度清浄空間内において循環している空気中のガス状有機不純物を,湿度を低下させることなく除去することが可能となる。
【0014】この請求項1の高度清浄空間は,可燃物である活性炭を使用していないので防災に優れており,従って請求項2に記載したように,前記吸着層とフィルタを,高度清浄空間の天井部に配置することができるようになる。なお,防災性を更に向上させるために,請求項3に記載したように,前記吸着層は可燃物を含まない素材のみで構成するのがよい。また,請求項4に記載したように,前記吸着層は,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成することが好ましい。
【0015】なお,前記吸着層の好ましい構成としては,請求項5に記載したように,ハニカム構造体の表面に撥水性ゼオライトを固着させたものが提供される。この場合,前記固着は,請求項6に記載したように,撥水性ゼオライトの粉末を分散させた懸濁液にハニカム構造体を含浸させた後,該ハニカム構造体を乾燥する方法,請求項7に記載したように,接着剤によってなされる方法などによって行うことができる。また,請求項8に記載したように,前記ハニカム構造体は,無機繊維を必須成分としそれ以外の成分として粘土鉱物又は珪酸カルシウムのいずれかを含有する不燃性の構造体とすることが好ましい。更に,請求項9に記載したように,前記撥水性ゼオライトの有効細孔径は,7オングストローム以上とすることが好ましい。
【0016】また,請求項10に記載したように,前記フィルタも,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成するのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態にかかる高度清浄空間について詳細に説明する。
【0018】図1は,本発明の実施の形態にかかる高度清浄空間1の構成を概略的に示す説明図である。この高度清浄空間1は,具体的には,例えばクリーンルームやクリーンベンチなどである。高度清浄空間1は,例えばLSIやLCDなどの製造を行うための処理空間2と,この処理空間2の上下に位置する天井部(サプライプレナム)3及び床下部(レタンプレナム)4と,処理空間2の側方に位置するレタン通路5から構成される。
【0019】天井部3には,ファンユニット10と通気性を有する吸着層11とフィルタ12を有するクリーンファンユニット13が配置されている。処理空間2には,熱発生源となる例えば半導体の製造装置14が設置されている。床下部4は多数の孔が穿孔されたグレーチング15で仕切られている。また,床下部4には,半導体製造装置14の熱負荷を処理するためのドライコイル16が設置されている。ドライコイル16は,熱交換表面に結露を生じさせない条件で空気を冷却する空気冷却器を意味する。レタン通路5に温度センサ17が設置されており,この温度センサ17で検出される温度が所定の設定値となるように,ドライコイル16の冷媒圧調整弁18が制御される。
【0020】そして,クリーンファンユニット13のファンユニット10が稼働することによって,適宜気流速度が調整されながら,高度清浄空間1内部の空気は,天井部3→処理空間2→床下部4→レタン通路5→天井部3の順に流れて循環するように構成されている。またこの循環中に,ドライコイル16によって冷却され,クリーンファンユニット13内の吸着層11とフィルタ12によって空気中のガス状有機不純物と粒子状不純物が除去されて,適温で清浄な空気が処理空間2内に供給されるようになっている。
【0021】吸着層11は,循環空気からガス状有機物を除去するための撥水性ゼオライトを備えている。また吸着層11は,可燃物を含まない素材のみで構成され,かつガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されている。
【0022】フィルタ12は吸着層11の下流側に配されており,このフィルタ12は粒子状不純物を除去することが可能な機能を有している。またフィルタ12は,ガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成されている【0023】また,高度清浄空間1の床下部4内には,取り入れ外気が回路20を経て適宜供給される。この回路20には,取り入れ外気からガス状有機物を除去するための,撥水性ゼオライトを備えた吸着層21が配されており,吸着層21の上流側には,取り入れ外気の除塵・調温・調湿を行うユニット型空調機22が設けられている。また,回路20には湿度センサ27が配置されており,この湿度センサ27で検出される湿度が所定の設定値となるように,ユニット型空調機22の調湿部の給水圧調整弁29が制御される。一方,処理空間2内には湿度センサ28が設置されており,この湿度センサ28で処理空間2内の雰囲気の湿度が検出される。
【0024】回路20から高度清浄空間1の床下部4に供給された取り入れ外気は,レタン通路5及び天井部3を経由して,処理空間2に導入される。そして,この取り入れ外気に見合った空気量が,排気口25から排気ガラリ26を介して室外に排気される。
【0025】図2は,本発明の実施の形態にかかる吸着層11の概略的な分解組立図である。隣接する波形シート30の間に,凹凸のない薄板シート31を挟んだ構成のハニカム構造体32を有し,このハニカム構造体32の表面全体に撥水性ゼオライトが固着されている。後述するように,撥水性ゼオライトの有効細孔径は,7オングストローム以上であることが好ましい。図示のように,吸着層11は,処理空気の流通方向(図中,白抜き矢印33で示す方向)に開口するようにアルミニウム製の外枠35a,35b,35c,35dを筒状に組み立て,その内部空間に撥水性ゼオライトを表面に固着したハニカム構造体32を配置することにより構成される。吸着層11の外形および寸法は,設置空間に合わせて任意に設計変更することができる。
【0026】吸着層11の製造方法の一例を簡単に説明する。無機繊維(セラミック繊維,ガラス繊維,シリカ繊維,アルミナ繊維等)と有機材料(パルプ,溶融ビニロンの混合物)と珪酸カルシウムの3つの材料を1:1:1の等重量で配合し,湿式抄紙法により約0.3mmの厚みに抄造する。なお,珪酸カルシウムの代わりに,珪酸マグネシウムを主成分とするセピオライト,アタパルジャイト等の粘土鉱物を使用してもよい。この抄造シートをコルゲータによって波形加工し,出来上がった波形シート30を薄板シート31に接着剤で接着して図2に示すようなハニカム構造体32に成形する。このハニカム構造体32を,電気炉に入れて,400℃,1時間の熱処理を行い,有機質成分を全て除去し,ハニカム構造体32を多孔性とする。つぎに撥水性ゼオライトの粉末(数μm)と無機バインダ(シリカゾル,アルミナゾル等)を分散させた懸濁液に,多孔性ハニカム構造体を数分間浸した後,300℃,1時間の熱処理で乾燥して,吸着層11を得ることができる。こうして得られた吸着層11は,構成材料に可燃物を含まないし,吸着層が熱処理される際に構成材料に含まれていた表面汚染の原因となるガス状有機不純物成分が全て脱離・除去されるため,吸着層自身からガス状有機不純物を発生することもない。
【0027】次に,吸着層11の他の製造方法の一例を説明する。ハニカム構造体32を製作するまでは,先に説明した製造方法例と同じである。前述の例では,多孔性となったハニカム構造体32に撥水性ゼオライトの粉末(数μm)を含浸させたが,本例では,ハニカム構造体32に粒状の撥水性ゼオライトを接着剤で付着させる。図3は,本例における製造方法の吸着層11の断面部分拡大図である。波形シート30と薄板シート31の表面全体に隙間なく粒状の撥水性ゼオライト36を不燃性接着剤で固着する。そして,このハニカム構造体32を,電気炉に入れて,接着剤の耐熱温度以下の100℃で2時間の熱処理を行い,接着剤に含まれる表面汚染の原因となるガス状有機不純物成分を全て脱離・除去することにより,吸着層11を製造する。処理空気は図3に示す疑似半月形の断面形状をした筒状の空間37を通過することになる。なお,図4に示すように,山形シート38と薄板シート31を組み合わせて構成したハニカム構造体32の表面全体に隙間なく粒状の撥水性ゼオライト36を不燃性接着剤で固着することにより,吸着層11を製造しても良い。この図4の場合は,処理空気は三角形の断面形状をした筒状の空間39を通過することになる。
【0028】このようにして製造される吸着層11は,構成材料に可燃物を含まないため,図1のように吸着層11を天井部3に取り付けた場合,可燃物である活性炭をベースとした従来のケミカルフィルタを天井面に取り付けた場合と比較して,防災上の安全性は著しく高まる。なお,図1に示した高度清浄空間1において,取り入れ外気を処理する吸着層21も循環空気を処理する吸着層11と同様の構成とすれば,可燃物である活性炭をベースとした従来のケミカルフィルタを外気取り入れ口に取り付けた場合と比較して,防災上の安全性は更に高まる。
【0029】フィルタ12は,通常の中性能フィルタやHEPAフィルタ,ULPAフィルタでは,濾材に揮発性有機物を含むバインダを使用しているのでバインダからの脱ガスがある。したがってバインダを使用しない濾材を用い,あるいはバインダを使用していても焼きだしなどの処理により揮発性有機物を除去した濾材を用い,さらに濾材をフレームに固定する手段であるシール材にも脱ガスの発生のない種類を選択したり,あるいは濾材を脱ガスのない素材で物理的に圧着してフレームに固定することが望ましい。
【0030】つぎに,本発明の他の実施の形態にかかる高度清浄空間1’を図5に示した。この図5に示す高度清浄空間1’は,撥水性ゼオライトを固着させたハニカム構造体の吸着層11を高度清浄空間1’の天井部3全面に取り付けるのではなく,所々間引いて設置している。本例では,図1と比較して吸着層11の設置台数を半分にした。その他の点は,先に図1において説明した高度清浄空間1と同様の構成である。従って,図5に示す高度清浄空間1’おいて,先に図1で説明した高度清浄空間1と同じ構成要素については同じ符号を付することにより,詳細な説明は省略する。
【0031】半導体の製造などを行う高度清浄空間において発生する,基板表面汚染の原因となる有機物は,シーラントから発生する有機物シロキサン,建材中の難燃剤から発生するリン酸エステル,建材中の可塑剤から発生するフタレート,レジスト密着剤から発生するHMDS,カセット酸化防止剤から発生するBHTなどの高沸点・高分子の有機化合物に限られる。これらの有機物の発生源はクリーンルームなどといった高度清浄空間の構成部材もしくは高度清浄空間内部に存在する製造に利用する種々の物品であり,取り入れ外気に由来するものはあまりない。したがって,吸着層11の役割は,主として高度清浄空間内部で発生する表面汚染の原因となる高沸点・高分子の有機化合物を循環空気中から除去し,高度清浄空間内部のこれら有機物濃度を低減することである。吸着層11を備えた高度清浄空間を稼働すると,稼働初期に高度清浄空間内部の有機物濃度は最も高く,稼働時間の経過とともに,循環空気中からこれら有機物が逐一除去されて,濃度は低下していき,遂には高度清浄空間内部の発生量と平衡する濃度で安定化する。空気が1回循環する際に除去される有機物量は,天井全面に取り付けた図1の高度清浄空間1と,間引いた図5の高度清浄空間1’を比較すると,2:1の関係がある。つまり,稼働初期の最高濃度から,高度清浄空間内部の発生量と平衡する濃度まで達するまでの時間は,間引いた図5の高度清浄空間1’の場合は天井全面に取り付けた図1の高度清浄空間1の場合よりも相当に長くなる。また,最終的に到達する平衡濃度も,間引いた場合は天井全面に取り付けた場合よりも少し高くなる。つまり,間引くと濃度の低減に時間がかかり,低減後の平衡濃度も間引かない場合よりも少し高くなるという短所はあるが,吸着層11のイニシャルコストや定期的交換に伴うランニングコストを安くしたいという経済的要望から,この図5に示す例のように,吸着層11の設置台数を間引くことも多い。
【0032】
【実施例】次に,以上に説明した本発明の実施の形態にかかる高度清浄空間の作用効果を,実施例によって説明する。
【0033】まず,高度清浄空間の一例として,クリーンルーム中において,粒状活性炭と繊維状活性炭をそれぞれ使用した市販のケミカルフィルタ2種とイオン交換繊維を使用したケミカルフィルタのそれぞれにより処理したクリーンルームエアと,クリーンルーム中の空気を液体窒素で冷却し不純物を凝縮除去した後のドライエアの計4つの雰囲気中で,酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角の経時変化を測定した結果を図6に示した。表面に超純水を滴下して測定される接触角は,表面の有機物汚染の程度を簡便に評価する方法である。洗浄直後の有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハやガラスの表面は水に馴染みやすい性質,つまり親水性であり,接触角は小さい。ところが,有機物で汚染されたそれらの表面は水をはじく性質,つまり撥水性であり,接触角は大きくなる。例えば,クリーンルーム雰囲気中に放置されたガラス基板表面を対象に,超純水滴下による接触角の測定値と,X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定した有機物表面汚染は,図7に示すような相関関係があることが知られている。酸化膜付きシリコンウェハの表面についても,接触角と有機物表面汚染の間にはほぼ同様の相関関係がある。このように,基板表面における水の接触角の大きさと有機物表面汚染の間には極めて強い相関がある。
【0034】図6の結果からつぎのことが分かる。イオン交換繊維は本来水溶性無機不純物を吸着除去するためのものであり,有機物を吸着できず,逆にガス状有機物を発生する。1日放置で約10゜の接触角の増加が見られる。一方,ドライエア雰囲気中には,ガス状有機物はほとんど含まれないから接触角は増加しない。本来有機物表面汚染を防止するはずの活性炭フィルタ2種は,1日放置で約10゜の接触角の増加となり,表面汚染防止効果はほとんどない結果を示した。活性炭を利用した2種のケミカルフィルタに効果が見られない理由として,バインダ,接着剤,シール剤等の表面有機汚染物質がケミカルフィルタの構成部材に含まれるため,折角の活性炭吸着効果が自身の構成部材脱ガスにより打ち消されてしまったためである。一方,充填塔を使用した場合には,充填塔の容器などを金属製などとすればこのような心配はないが,充填塔は圧力損失(通気抵抗)が高いという欠点を有することは前述したとおりである。
【0035】次に,先に図1で説明した本発明の高度清浄空間を実際に製作し,処理空間に洗浄直後の有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハ基板を放置した。吸着層は,ハニカム構造体に撥水性ゼオライトを固着させた構成である。そして洗浄直後と3日間放置後の接触角をそれぞれ測定し,3日間放置による接触角の増加を調べた。3日間放置による接触角の増加の測定(洗浄→接触角測定→3日間放置→接触角測定)を同じようにして15日ごとに繰り返し,吸着層の吸着性能の経時劣化を測定した。高度清浄空間内の循環空気流量を5000m3/minとし,この循環空気を処理するために使用した撥水性ゼオライト使用量は5000kgとした。つまり,1m3/minの通気量当たりの撥水性ゼオライト使用量は1kgとした。外気取り入れ量は,循環空気流量の4%の200m3/minとした。クリーンルーム全体の内容積は3120m3であり,1時間当たりの換気回数は100回であった。
【0036】また比較のため,撥水性ゼオライトを備えた吸着層を,繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバインダと複合してフェルト形状にした従来の構成のケミカルフィルタに交換し,酸化膜付きシリコンウェハ基板を洗浄後3日間放置したことによる接触角の増加の測定を15日ごとに繰り返した。この場合も1m3/minの通気量当たりの活性炭使用量は1kgとした。さらに,本発明にかかる撥水性ゼオライトを備えた吸着層や従来の構成によるケミカルフィルタを一切設けない場合,即ち,清浄空間雰囲気中に含まれるガス状有機不純物が除去されない場合についても同様の測定を行った。
【0037】なお,洗浄直後の酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角は3°であった。3日間曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角が6°以下に保たれていることがガス状有機不純物汚染によるデバイスの品質低下を防止するための清浄空間雰囲気に求められる必要条件であると仮定する。
【0038】図8に測定結果を示す。本発明に従う高度清浄空間雰囲気と,従来の構成によるケミカルフィルタを設けた清浄空間雰囲気と,ガス状有機不純物が除去されない清浄空間雰囲気のそれぞれに曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角の経時変化を比較したものである。
【0039】ガス状有機不純物が除去されない清浄空間雰囲気に曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角は,3日間放置によって26°〜30°も増加する。撥水性ゼオライトを備えた吸着層については,使用開始直後の状態において,3日間放置後の酸化膜付きシリコンウェハの接触角は4°以下に保たれた。しかし,通気時間の増加と共に撥水性ゼオライトの吸着性能は低下し,吸着層通過後の空気中に含まれるガス状有機物の濃度も増加する。つまり,撥水性ゼオライトへの通気時間の増加と共に,下流側の処理済み空気に一定時間曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角も増加することになる。吸着層通過後の空気に3日間曝された酸化膜付きシリコンウェハ表面の接触角が6°に達するまでの吸着層の使用時間は約6ヶ月であることがわかる。一方,従来のケミカルフィルタについては,使用開始直後の状態においてすら3日間放置酸化膜付きシリコンウェハの接触角は12°に達した。この理由は繊維状活性炭を担持するために使用される低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバインダからの脱ガスがケミカルフィルタをそのまま素通りしてしまい,下流側に放置されたシリコンウェハの表面を汚染してしまったためである。本発明にかかる吸着層では,前に製造方法の一例を簡単に述べたように,構成材料に有機質を含まないので,構成材料自身からガス状有機不純物を発生することはない。従来のケミカルフィルタにおいても,通気時間の増加と共に活性炭の吸着性能は低下し,6ヶ月間使用後においては20°に達した。
【0040】次に,撥水性ゼオライトについて種々の検討を行った。ゼオライトの主成分はシリカ(SiO2)とアルミナ(Al23)であるが,その含有重量比SiO2/Al23を大きくしていくと,水の吸着特性が親水性から撥水性へと大きく変化する。図9に,25℃,相対湿度50%の雰囲気において測定した含有重量比SiO2/Al23とゼオライト100g当たりの水の吸着量(cc/100g)の関係を示す。SiO2/Al23が20以上で水の吸着量は低下し,80以上ではほとんど吸着しない。さらに,SiO2/Al23が40の撥水性ゼオライトについて,25℃の雰囲気において測定した水の吸着等温線図を図10に示す。比較のため,活性炭についても水の吸着等温線図を図10に示した。相対湿度50%において,活性炭(g)への水吸着量(cc)は0.11cc/g,撥水性ゼオライト(g)への水吸着量(cc)は0.03cc/gであった。
【0041】また,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライト,細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライト,椰子殻を出発原料とする天然物系活性炭,石油ピッチを出発原料とする合成物系活性炭の4種の吸着剤を対象に,クリーンルーム雰囲気中(23℃,40%RH)に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物の吸着性能を比較した。それぞれの吸着剤0.04gを断面積0.15cm2のカラムに充填し,クリーンルームエアを3l/min通気した。実験条件を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】図11において,曲線40は,洗浄直後の有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハを吸着剤に通気する前のクリーンルームエアに曝した場合であり,曲線41は,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトを備えた吸着剤に通気後のクリーンルームエアに曝した場合であり,曲線42は,細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトを備えた吸着剤に通気後のクリーンルームエアに曝した場合であり,曲線43は,天然物系活性炭を主成分とする吸着剤に通気後のクリーンルームエアに曝した場合であり,曲線44は,合成物系活性炭を主成分とする吸着剤に通気後のクリーンルームエアに曝した場合である。それぞれの場合の接触角の変化を図11に示す。なお,ウェハ表面の洗浄直後の接触角の測定値は約3°であった。
【0044】図11からつぎのようなことがわかる。
1.吸着性能は,曲線42(細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライト)>曲線43(天然物系活性炭)>曲線41(細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライト)>曲線44(合成物系活性炭)の順である。特に合成物系活性炭が悪い。
2.細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトと天然物系活性炭は,通気時間が50時間を越えるあたりから吸着性能の低下が始まる。
3.細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトと合成物系活性炭は,通気時間が200時間まで吸着性能は低下しない。
4.吸着性能が低下しない使用初期において,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトと細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトを比較すると,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトが3°→6.4°の変化に対して,細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトは3°→3.1°の変化であった。細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトはクリーンルーム雰囲気中に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物をほぼ完全に吸着除去できるのに対して,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトは吸着除去できずに通過してしまう表面汚染の原因となる微量有機物があるということがわかる。
5.細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトおよび天然物系活性炭の吸着性能は,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトおよび合成物系活性炭の吸着性能よりもはるかに良い。ゼオライトは,細孔径よりも大きな分子を吸着することはできない。従って,細孔径8オングストロームの撥水性ゼオライトでクリーンルーム雰囲気中に含まれる表面汚染の原因となる微量有機物をほぼ完全に吸着除去できたということは,表面汚染の原因となる微量有機物の分子サイズが8オングストローム以下であるということを示す。一方,細孔径6オングストロームの撥水性ゼオライトは合成物系活性炭と比較するとほぼ満足できる吸着性能があるものの,わずかに吸着除去できずに通過する表面汚染の原因となる微量有機物があるということは,この通過した微量有機物の分子サイズが6オングストローム以上8オングストローム以下であるということを示す。
【0045】次に,本発明にかかる高度清浄空間を,温度23℃,相対湿度50%で稼働した場合の湿度制御性を調べた。比較のため,本発明に従って撥水性ゼオライトを備えた吸着層を取り付けた清浄空間と,図1に示した吸着層の代わりに繊維状活性炭を低融点ポリエステルやポリエステル不織布のバインダと複合してフェルト形状にした従来の構成のケミカルフィルタに交換した以外は全て同じ条件とした従来の清浄空間の湿度制御性を調べた。湿度センサは,除塵・調温・調湿を行うユニット型空調機と吸着層を通過後の外気取り入れ回路に設けた。この湿度センサの信号によってユニット型空調機内に設けた調湿機の給水弁を調節した。湿度制御性の良否を判定するため,本発明に従う高度清浄空間と従来の清浄空間の内部にも湿度センサをそれぞれ設けた。また,循環空気量5000m3/minに対して,外気取り入れ量はわずか200m3/minとした。
【0046】図12に測定結果を示す。従来の構成のケミカルフィルタを備えた清浄空間では,ケミカルフィルタは通過空気中の水分を吸着しやすいため,ケミカルフィルタの取り付け後,活性炭が水分を吸着して平衡状態に達するまでの約2週間の間は清浄空間内部の相対湿度は設定値50%よりも5%も低い45%で推移する。一方,撥水性ゼオライトを固着させたハニカム構造体の吸着層を備えた本発明に従う清浄空間内部では,通過空気中の水分はほとんど吸着しないため,相対湿度は設定値の50%に維持された。LSIやLCDの製造工程においては,湿度が設定値よりも低下してしまうと,ウェハやガラス基板に静電気が発生しやすくなって,それら製品表面の微粒子汚染や素子の静電破壊が起きて歩留まりが低下する。従来の構成のケミカルフィルタを備えた清浄空間では,フィルタの取り付け後約2週間にわたって製品の歩留まりが低下した。しかし,本発明に従う吸着層を備えた高度清浄空間内部では,吸着層の取り付け直後から相対湿度は設定値に保たれ,製品の歩留まり低下は見られなかった。
【0047】さらに図13に示すように,繊維状活性炭を担持した従来のケミカルフィルタ50を設けた清浄空間Aと,ケミカルフィルタのような吸着層を一切設けない清浄空間Bの,2つの清浄空間A,Bをいずれも温度23℃,相対湿度50%で稼働した場合の湿度制御性を調べた。これら清浄空間A,Bは,天井部のサプライプレナム51と床下部のレターンプレナム52において互いに連通しているが,それ以外はパーティション53(壁)で仕切られている。また図13では,湿度センサ54は従来のケミカルフィルタ50を設けた清浄空間A内に設けた。清浄空間A内には,ゲート酸化膜前工程を行う処理装置56が設けられ,清浄空間B内には,シリサイドの工程を行う処理装置57が設けられている。
【0048】ここで,表3は,米国のSEMATECHが1995年5月31日に発表したTechnology Transfer #95052812A−TR「Forecast of Airborne Molecular Contamination Limits for the 0.25 Micron High Performance Logic Process」に掲載された0.25μmプロセス(’98以降)に必要な化学汚染許容濃度(ppt)である。
【0049】
【表3】

【0050】表3中,アンダーラインを付した箇所は,許容値が厳しく,必ず制御が必要になるケースである。また,%値は許容値設定の根拠となったデータの信頼度である。有機物については,ゲート酸化膜前工程では1ppb,配線工程では2ppbという厳しい制御が必要なのに対して,シリサイドでは35ppb,フォトリソグラフィでは100ppbという高濃度が許容され,雰囲気中の有機物の制御は不要であることがわかる。
【0051】図14に,図13に示した清浄空間A,Bの測定結果を示す。従来の構成のケミカルフィルタ50を備えた清浄空間Aでは,ケミカルフィルタ50は通過空気中の水分を吸着しやすい。しかし,清浄空間A内には湿度制御のための湿度センサ54が設けられているため,ケミカルフィルタ50の取り付け後,活性炭が水分を吸着して平衡状態に達するまでの約2週間の間は,外気取り入れ用のユニット型空調機60の調湿部からケミカルフィルタ50で吸着して失われる水分量だけ過剰に加湿される。そのため,湿度センサ54で測定した清浄空間Aの相対湿度は,ケミカルフィルタ50を取り付けた直後から設定値50%に維持された。ところが,ケミカルフィルタのような吸着層を一切設けない清浄空間Bの相対湿度を湿度センサ55で測定したところ,ユニット型空調機60の調湿部から過剰に加湿した影響がそのまま現れ,清浄空間Aに50を取り付け後約2週間にわたって,清浄空間B内の相対湿度は設定値よりも5%も高い55%になった。このため,相対湿度50%の場合と比較してウェハ表面に水分が過剰に吸着し,酸化膜が形成されるという製品品質上の不具合点がみられた。そこで,清浄空間Aの従来の構成のケミカルフィルタ50を撥水性ゼオライトを固着させたハニカム構造体の吸着層に交換したところ,清浄空間B内の相対湿度は設定値に維持されるようになり,前述のような不具合は全く起こらなかった。
【0052】つぎに,本発明に従う高度清浄空間において,吸着層の下流側にガス状有機不純物を発生しない素材のみから構成された粒子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合と,フィルタ構成材からガス状有機物が発生する従来の粒子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合を比較した。高度清浄空間内に洗浄直後の有機物汚染のない酸化膜付きシリコンウェハ基板を放置した。そして洗浄直後と3日間放置後の接触角をそれぞれ測定し,3日間放置による接触角の増加を求めた。ガス状有機不純物を発生しない素材のみから構成された粒子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合は,3日間放置後のウェハ表面の接触角は3.0°→4.0°とほとんど増加しなかった。これは,吸着層においては,表面汚染の原因となるガス状有機不純物はほとんど吸着除去され,しかもその下流側に配置された粒子状不純物を除去するフィルタはガス状有機不純物を発生しないことによる。一方,フィルタ構成材からガス状有機物の発生のある従来の粒子状不純物を除去するフィルタを取り付けた場合には,フィルタ構成材からの脱ガスの影響で3日間放置後のウェハ表面の接触角は3.0°→5.0°とわずかではあるが増加した。
【0053】以上,本発明の好適な例について,LSIやLCDの製造プロセス全般などに好適に利用される高度清浄空間(いわゆるクリーンルーム)に関して説明したが,本発明はかかる例に限定されない。ミニエンバイロメントと称する局所的な清浄空間やクリーンベンチやクリーンチャンバや清浄な製品を保管するための各種ストッカなど様々な規模の清浄空間,吸着層の処理可能風量,循環風量と外気取り入れ空気量の割合,清浄空間内部からのガス状有機不純物の発生の有無などの処理環境に応じて多様な適用が考えられる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば,清浄空間のガス状有機不純物を除去するために撥水性ゼオライトを用いているので,消防法において可燃物に指定された活性炭を含む従来のケミカルフィルタと比較して,防災上極めて安全である。また,撥水性ゼオライトを含む吸着層をガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成することにより,吸着層自身がガス状有機不純物を発生するという不具合も解消できる。また,吸着層の下流側に設けられた粒子状不純物を除去するフィルタをガス状有機不純物を発生しない素材のみで構成することにより,粒子状不純物を除去するフィルタ自身がガス状有機不純物を発生するといった不具合も解消できる。さらに,撥水性ゼオライトを含む吸着層は,ハニカム構造体に撥水性ゼオライトを固着させた構成とすることにより,処理空気の通気抵抗を小さくすることができる。また,撥水性ゼオライトを含む吸着層の上流側に空気の調湿装置を設けても,撥水性ゼオライトは吸湿しないため,湿度コントロールが容易である。




 

 


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