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発明の名称 内面切削加工方法及び装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−156610
公開日 平成10年(1998)6月16日
出願番号 特願平8−322900
出願日 平成8年(1996)12月3日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
発明者 二井谷 春彦 / 山本 敬紀
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ワークの円筒状内周面を切削加工するための方法において、上記円筒状内周面の中心軸回りにワークを回転させると同時に、この円筒状内周面に刃先を接触させた状態で上記ワークの回転中心軸から刃先よりに偏心した軸回りに上記ワークの回転数よりも高い回転数でツールを回転させることを特徴とする内面切削加工方法。
【請求項2】 請求項1記載の内面切削加工方法において、上記ツール及びワークを回転させながら両者を軸方向に相対移動させることを特徴とする内面切削加工方法。
【請求項3】 請求項1または2記載の内面切削加工方法において、上記ツールを上記ワークの回転数の(n+0.4)倍以上でかつ(n+0.6)倍以下の回転数(ただし、nは任意の自然数)で回転させることを特徴とする内面切削加工方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の内面切削加工方法において、回転中のワークの軸方向端面に上記ツールが偏心している側と反対の側から砥石を接触させてこの端面を研削加工することを特徴とする内面切削加工方法。
【請求項5】 ワークの円筒状内周面を切削加工するための装置において、上記ワークを保持してその円筒状内周面の中心軸回りに回転させるワーク駆動手段と、上記円筒状内周面を切削加工するためのツールを上記ワークの回転中心軸と平行な軸回りに上記ワークの回転数よりも高い回転数で回転させるツール駆動手段と、上記ワークとツールとをその軸方向及び半径方向に相対移動させる送り手段とを備えたことを特徴とする内面切削加工装置。
【請求項6】 請求項5記載の内面切削加工装置において、上記ツールの回転数を上記ワークの回転数の(n+0.4)倍以上でかつ(n+0.6)倍以下の回転数(ただし、nは任意の自然数)に調節する回転数調節手段を備えたことを特徴とする内面切削加工装置。
【請求項7】 請求項5または6記載の内面切削加工装置において、上記ワークの軸方向端面を研削加工するための端面砥石と、この端面砥石を移送して回転中のワークの軸方向端面に上記ツールが偏心している側と反対の側から接触させる端面砥石送り手段とを備えたことを特徴とする内面切削加工装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒状内周面をもつワークを切削加工するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ワークの円筒状内周面を切削加工する手段として、次のようなものが知られている。
【0003】A)ボーリング加工:ワークを固定してその内側にツールを挿入し、その刃先がワーク内周面と接触する状態でツールのみをワーク内周面の中心軸と同じ軸の回りに回転させてワーク内周面を切削加工する。
【0004】B)旋削加工:ワーク内にツールを挿入し、その刃先がワーク内周面と接触する位置にツールを固定し、ワークのみをその中心軸回りに回転させてワーク内周面を切削加工する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】A)のボーリング加工では、ワークを固定した状態でその中心軸と同軸回りにツールを回転させるので、ツールの刃先が摩耗して刃先径(刃先の回転軌跡である円の直径)が減少すると、そのままワーク内周面の加工径も減少してしまう。すなわち、刃先径の変化は加工径の変化に直結し、長期にわたって一定の加工径を保つことは非常に困難となる。
【0006】なお、この加工径を補正する手段として、バイト等をツール本体に対して回転半径方向に移動可能となるように取付け、刃先の摩耗に伴って上記バイト等を径方向外側に張り出させることが考えられるが、このようにすると構造が非常に複雑となり、また、加工中にツール回転による遠心力で刃先位置が回転半径方向に変化してしまうおそれも生じる。また、加工径の大幅な変更には対応できず、加工径に応じて使用するツールを交換しなければならない不便がある。
【0007】一方、B)の旋削加工では、ツールを固定してワークを回転させるので、刃先が摩耗して刃先径が縮小しても、これに応じてツールとワークとを回転半径方向に相対移動させることにより、加工径の微調節が可能である。しかし、A)のようにツールを回転させる場合には、1回転当たりの送り量を一定としても、そのツール回転数を高く設定することにより加工時間の短縮が可能であるのに対し、B)の旋削加工においてワーク回転数を高く設定することは次のような理由により困難とされている。
■ 一般にワークはツールよりも大型で、アンバランスな形状であることが多く、このようなワークを高速で回転させると、大きな遠心力が発生して確実なワーク把持ができなくなるおそれがある。
■ ワークを強い力で把持すると、この把持力に起因してワーク自身が弾性変形し、加工精度低下の要因となるため、特に高い加工精度が求められる場合、ワークを軽く把持しなければならない。このように低い把持力でワークを加工するには、加工中に発生する遠心力を低く抑えなければならず、自ずとワーク回転数も制限される。
【0008】従って、このB)の旋削加工ではA)のボーリング加工に比べて加工時間が著しく長くなり、高い能率で加工できないという欠点がある。
【0009】本発明は、このような事情に鑑み、ワーク内周面を迅速に切削加工でき、しかも加工径の補正や変更が容易な内面切削加工方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段として、本発明は、ワークの円筒状内周面を切削加工するための方法において、上記円筒状内周面の中心軸回りにワークを回転させると同時に、この円筒状内周面に刃先を接触させた状態で上記ワークの回転中心軸から刃先よりに偏心した軸回りに上記ワークの回転数よりも高い回転数でツールを回転させるものである。
【0011】この方法によれば、ワーク回転数に制限があっても、ツール回転数を高く設定することによって加工時間の短縮ができる。また、刃先が摩耗して刃先径が変化しても、これに伴ってワーク中心軸とツール中心軸との偏心量を増加させることにより簡単に加工径の補正ができ、また、その偏心量の増減によって加工径を積極的に変更することも可能である。従って、ツールを頻繁に交換する必要がない。
【0012】上記方法において、ワーク及びツールの回転中、両者を軸方向に相対移動させても良いし、させなくてもよい。前者の場合にはワーク内周面の例えば軸方向全領域を加工することが可能であり、後者の場合には例えば溝入れ加工が可能になる。
【0013】ワーク回転数及びツール回転数は、自由に設定可能であるが、ワーク回転数に対するツール回転数の比が自然数に近づくほど、加工後のワーク内周面の表面粗さが悪化し、逆に、その比が自然数から遠ざかるほどワーク内周面の真円度が向上する。従って、上記ツールは上記ワークの回転数の(n+0.5)倍(ただし、nは任意の自然数)の回転数もしくはその近傍の回転数で回転させることが、より好ましい。具体的には、(n+0.4)倍以上でかつ(n+0.6)倍以下の回転数で回転させるのがよい。その理由については後に詳述する。
【0014】また、この方法では、ワークとツールの双方を回転させるので、回転中のワークの軸方向端面に砥石を接触させてこの端面を研削加工することも可能であり、これにより加工能率はさらに向上する。この場合、上記研削加工を好適に行うにはワーク回転数が制限されるが、ツール回転数を高く設定することにより迅速な切削加工ができる。しかも、ワークとツールとを偏心させているので、ツールが偏心している側と反対の側から端面砥石をアプローチさせれば、この端面砥石とツールとの干渉を確実に避けながらワーク端面全域に端面砥石を接触させることができる。
【0015】また本発明は、ワークの円筒状内周面を切削加工するための装置において、上記ワークを保持してその円筒状内周面の中心軸回りに回転させるワーク駆動手段と、上記円筒状内周面を切削加工するためのツールを上記ワークの回転中心軸と平行な軸回りに上記ワークの回転数よりも高い回転数で回転させるツール駆動手段と、上記ワークとツールとをその軸方向及び半径方向に相対移動させる送り手段とを備えたものである。
【0016】この装置では、上記ツールの回転数を上記ワークの回転数の(n+0.4)倍以上でかつ(n+0.6)倍以下の回転数(ただし、nは任意の自然数)に調節する回転数調節手段を備えることが、より好ましい。
【0017】また、上記ワークの軸方向端面を研削加工するための端面砥石と、この端面砥石を移送して回転中のワークの軸方向端面に接触させる端面砥石送り手段とを備えることにより、前述の優れた作用・効果が得られることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0019】図4(a)(b)に示す内面切削加工装置は、ベッド10を備え、このベッド10上にワーク駆動装置12及びツール駆動装置14が相対向する状態で配設されている。
【0020】ワーク駆動装置12は、主軸台15を備え、この主軸台15に図略の主軸がZ軸方向(図4(a)(b)の左右方向)に延びる状態で回転可能に支持されている。この主軸の後端(図4(a)(b)では左端)には主軸駆動モータ16が連結され、前端(同図右端)にはワーク20を把持するチャック18が設けられている。ワーク20は、図1に示すように、円筒状の本体22の片端(図1では右端)に大径のフランジ部24が形成されたもので、この加工装置では、本体22の円筒状内周面26及びフランジ部24の端面28が加工対象となっている。そして、このワーク20の本体22が上記チャック18に把持された状態で主軸駆動モータ16が作動することにより、図略の主軸と一体にワーク20がその内周面26の中心軸(図3では点O)回りに回転駆動されるようになっている(図1及び図2の矢印C参照。)。
【0021】ツール駆動装置14は、固定台30を備え、この固定台30はベッド10上に固定されている。固定台30上には、X軸テーブル32が前記Z軸方向と直交するX軸方向(図4(a)では上下方向)にスライド可能に設置され、このX軸テーブル32はX軸駆動モータ34及び図略の送りねじ機構によってX軸方向にスライド駆動されるようになっている。X軸テーブル32上には、Z軸テーブル36が前記Z軸方向にスライド可能に設置され、このZ軸テーブル36はZ軸駆動モータ38及び図略の送りねじ機構によってZ軸方向にスライド駆動されるようになっている。そして、このZ軸テーブル36上にツール支持台40が設けられている。
【0022】このツール支持台40には、ツール軸42が回転可能に支持され、このツール軸42も前記主軸と同様にZ軸方向に延びている。このツール軸42の後端(図4(a)(b)では右端)にはツール駆動モータ44が連結され、前端(同図左端)には他の部分よりも小径のワーク挿入部46が形成されており、ツール駆動モータ44の作動によってツール軸42がその中心軸(図3では点O´)回りに回転駆動されるようになっている(図1及び図2の矢印T参照。)。このワーク挿入部46の周方向一部にはフラットなバイト取付面47が形成されており、このバイト取付面47の先端にバイト48が固定されている。このバイト48の刃先はワーク挿入部46の周面よりも僅かに径方向外側に突出しており、その刃先径(ツール軸42の回転に伴う刃先回転軌跡円の直径)は、前記ワーク20の内周面26の内径よりも小さく設定されている。
【0023】なお、この装置では、チャック18により把持されるワーク20の中心軸の高さ位置と、ツール軸42の中心軸の高さ位置とが合致するように、各寸法が設定されている。
【0024】図4(a)に示すように、前記ベッド10上には端面砥石送り装置52が設けられている。この端面砥石送り装置52は、前記ツール駆動装置14と同様にX軸方向とZ軸方向との双方にスライド可能に設置され、前記ワーク20のフランジ部24の端面28を研削するための端面砥石50を保持しながら、これを加工位置(図1及び図4二点鎖線に示すように上記端面28の径方向全域に端面砥石50が接触する位置)と退避位置(図4(a)の実線位置)との間で移送するように構成されている。この端面砥石送り装置52としては、要求される研削精度によっては、一般に用いられている搬送ロボット等も適用可能である。
【0025】さらに、この加工装置には、図5に示すような制御装置60が装備されている。この制御装置60は、コンピュータからなり、概ね次のような制御を行うように構成されている。
a)X軸送りモータ34及びZ軸送りモータ38にそれぞれ内蔵されたエンコーダの検出信号に基づいて現在のバイト48の刃先位置を認識し、その送り制御をすべく各送りモータ34,38に制御信号を出力する。
b)端面砥石送り装置52に制御信号を出力し、端面砥石50の送り制御を行う。
c)主軸駆動モータ16に内蔵されたエンコーダの検出信号に基づいて実際の主軸回転数(すなわちワーク回転数)を認識し、その回転数を目標回転数に合わせるフィードバック制御を行うべく、主軸駆動モータ16に制御信号を出力する。同様に、ツール駆動モータ44に内蔵されたエンコーダの検出信号に基づいて実際のツール回転数を認識し、その回転数を目標回転数に合わせるフィードバック制御を行うべく、ツール駆動モータ44に制御信号を出力する。
【0026】次に、この制御装置60の制御の下で行われる加工方法を説明する。
【0027】■ 初期段階ではワーク20からツール軸42を後退させ、ワーク内周面26の中心軸とツール軸42の中心軸とをほぼ合致させておく(図4(a)(b)の状態)。
【0028】■ ワーク20及びツール軸42をそれぞれ目標回転数と同等の回転数で回転駆動し、ツール軸42のワーク挿入部46の先端をワーク20の内側に挿入する。なお、この時のワーク20の回転の向き(図1矢印Cの向き)とツール軸42の回転の向き(同図矢印Tの向き)とは同じでもよいし、逆でもよい。
【0029】■ X軸テーブル32をスライドさせることによりツール軸42をその回転半径方向であって水平な方向(図2の矢印Rの方向)に静かに送り、バイト48の刃先でワーク20の内周面26を切削加工する。さらに、この内周面26を全長にわたって加工したい場合には、Z軸テーブル36をスライドさせてバイト48を僅かずつワーク軸方向(図1の矢印Fの方向)に送る。これにより、ワーク中心軸とツール中心軸とが所定量e(図3)だけ偏心した状態で、内周面26の切削加工を行うことができる。
【0030】■と並行して、端面砥石50を回転中のワーク20のフランジ部端面28に接触させ、この端面28を研削加工する。
【0031】■ 加工終了後、ツール軸42及び端面砥石50を初期位置に戻し、主軸及びツール軸42の回転駆動を停止して、ワーク20の取替えを行う。
【0032】このような方法及び装置によれば、次に掲げる効果を同時に得ることが可能である。
【0033】(a) バイト48の刃先が摩耗して刃先径が減少しても、これに応じて偏心量eを増大させるだけで加工径の補正ができる。すなわち、バイト48の刃先摩耗にかかわらず一定の加工径を得ることができる。また、偏心量eの増減によって積極的に加工径を変更することも可能であり、装置の汎用性が高い。
【0034】(b) ワーク回転数に比べ、ツール回転数をかなり高く設定することが可能であり、ワーク20のみを回転させる旋削加工に比べて加工時間を著しく短縮できる。換言すれば、ワーク回転数を低く抑えながらも、迅速な加工ができる。従って、図1に示すように内面切削と同時に端面砥石50による端面研削を行う場合にも、この端面研削に適した回転数にワーク回転数を設定することができる。
【0035】(c) ワーク中心軸に対してツール中心軸を偏心させた状態で切削加工を進めるので、その偏心側の反対の側(図1では上側)ではツール軸42のワーク挿入部46とワーク内周面26との間に比較的大きな隙間を確保できる。従って、この隙間が確保されている側に端面砥石50をアプローチさせることにより、この端面砥石50の先端とワーク挿入部46との干渉を避けながら、端面砥石50の先端がワーク内周面26からワーク内側にはみ出す寸法s(図1)を余裕をもって大きく設定することができ、端面砥石50を確実にフランジ部端面28の全域に接触させることができる。
【0036】ただし、本発明はワーク端面を同時研削するものに限らず、ワーク内周面26の切削加工のみを行う場合にも好適に利用できるものである。
【0037】また、その他、本発明は次のような実施形態をとることも可能である。
【0038】(1) ワーク回転数及びツール回転数は自由に設定すれば良いが、ワーク回転数に対するツール回転数の比(以下、「単に回転比Nr 」と称する。)が自然数に近づくほど、加工後のワーク内周面26に顕著なうねりマークが発生するため、この回転比Nr はn+0.5(ただし、nは任意の自然数)もしくはその近傍の値に設定するのが好ましい。その理由については後の実施例の項で詳しく述べる。
【0039】(2) 前記実施形態では、ツール軸42を実際に移動させるようにしているが、ツール軸42の位置は固定してワーク20側をX軸方向やZ軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0040】(3) 前記実施形態では、ワーク中心軸に対してツール中心軸を水平方向に偏心させているが、本発明ではその偏心の向きは問わない。
【0041】(4) 前記実施形態では、ワーク20の端部にフランジ部24が形成され、このフランジ部24の端面28が同時研削される場合を示したが、このようなフランジ部24を有しないワーク20についても、その端面研削をすることが可能である。
【0042】
【実施例】本発明者等は、次の表1に示す加工条件下で本発明の実施を行った。
【0043】
【表1】

【0044】すなわち、ツール回転数以外の条件は一定とし、ツール回転数のみを変えて複数回にわたる加工実験を行った。その結果を図6及び図7に示す。図6(a)は、回転比Nr とワーク表面粗さとの関係、同図(b)は回転比Nr とワーク内周面真円度(最大内側半径Rmaxと最小内側半径Rminとの差)との関係をそれぞれ示しており、これらの図に描かれた一点鎖線は各測定点に基づいて作成された近似曲線を示している。また、図7(a)(b)(c)(d)はそれぞれ図6(a)に示す各測定点Pa,Pb,Pc,Pdで得られた加工表面波形を示している。
【0045】図6(a)及び図7(a)〜(d)から明らかなように、回転比Nr が14.5(すなわち自然数+0.5)もしくはその近傍の値である場合には、実際のワーク表面粗さは理論粗さ(ノーズ半径と軸方向送り量から算出される表面粗さ;この実施例では約3μm)とほぼ変わらないが、回転比Nr が14.5から離れるにつれ(すなわち自然数に近づくにつれ)、実際のワーク表面粗さが悪化する。一方、図6(b)に示すように、回転数Nr が自然数(この実施例では14もしくは15)の点では、得られる真円度が約7.8μmであり、理論真円度とほぼ同じ値であるのに対し、回転数Nr が自然数+0.5(この実施例では14.5)の点では真円度が約4μmとなり、真円度が約 3.8mm(図6(b)の寸法Aに相当)も改善されている。
【0046】なお、ここでいう「理論真円度」とは、ワークの理論最大内側半径Rthmaxと理論最小内側半径Rthminとの差をいい、これらは、図8に示すように刃先半径(=刃先径/2)をr、ツール中心軸から加工点までの水平距離及び垂直距離をそれぞれX,Yとすると、次式により与えられる。
【0047】
【数2】

【0048】以上の結果が生じた理由について、次のような考察ができる。
【0049】本発明の切削加工方法では、ワークとツールの双方を回転させるため、ワーク内周面は図8の曲線C1,C2に示すように順次円弧状に削られ、円弧同士の間に山Mができる。ここで、ワーク回転数に対するツール回転数の比である回転比Nr が自然数であると(すなわちワーク回転とツール回転とが同期すると)、ワークが1回転してもまた周方向に関して同じ個所が削られることになり、上記の山Mがいつまでも削られずに残存してしまう。従って、この山Mの分だけ表面粗さが大きくなり、また真円度は改善されない。
【0050】これに対し、上記回転比Nr が自然数+0.5であると、上記の山Mが残されてからワークが1回転した後に今度はその山Mが丁度削られることになり、周方向に均等な切削加工が実現されることになる。これにより、ワーク表面粗さの悪化が防がれ、逆に真円度は向上するものと考えられる。
【0051】従って、本発明方法により切削加工を行う場合には、前記回転比Nr をn+0.5もしくはその近傍の値に設定することが好ましく、例えば前記実施の形態で示した装置では、制御装置60により制御されるツール回転数の目標値をワーク回転数の目標値の約(n+0.5)倍に設定することが好ましい。具体的には、上記加工実験の結果、回転比Nr が(n+0.5)の場合の他、(n+0.4)の場合も顕著なうねりマークの発生はなく、表面粗さも許容範囲内に収まることが確認されている。ここで、回転比Nr と表面粗さ及び真円度との関係は、図6(a)(b)に示すようにn+0.5をピークに対称な特性になると考えられるので、特に好適な回転比Nr の範囲は(n+0.4)≦Nr ≦(n+0.6)ということになる。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明は、ワークをその円筒状内周面の中心軸回りに回転させるとともに、この円筒状内周面に刃先を接触させた状態で上記ワークの回転中心軸から刃先よりに偏心した軸回りに上記ワークの回転数よりも高い回転数でツールを回転させて内周面を切削加工するものであるので、ツール回転数を高く設定することにより、従来の旋削加工に比べて加工時間を著しく短縮することができ、しかも、ワーク回転中心軸とツール回転中心軸との偏心量を変えるだけで加工径の補正や変更を容易に行うことができる効果がある。
【0053】さらに、上記ツールを上記ワークの回転数の(n+0.4)倍以上でかつ(n+0.6)倍以下の回転数で回転させることにより、表面粗さの悪化を防ぎ、また加工面の真円度を向上させることができる効果が得られる。
【0054】また、回転中のワークの軸方向端面に砥石を接触させてこの端面を研削加工することにより、加工能率をさらに向上させることができるとともに、その際にツールが偏心している側と反対の側から端面砥石をアプローチすることにより、この端面砥石とツールとの干渉を確実に避けながらワーク端面全域に端面砥石を接触させることができる効果が得られる。




 

 


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